
総合評価
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「走れメロス」が白眉
「走れメロス」が白眉ですが、元ねたを知っていれば、その巧みなパロディぶりに爆笑できると思います。 「走れメロス」は、本家は時間内に王の下に戻る、本作は時間まで逃げ切ると、間逆の前提に立ちながら、随所に本家を髣髴させるシーンを交えて、より大きな笑いにつなげてくれます。 どこを本家から踏襲して、どこを直したかという点だけでも興味深く読めるのではないでしょうか?
1投稿日: 2015.09.28同じデザイン(ストーリ展開)?でも新釈だから、違う世界がみえるのです。
5編の名作(・・・といっても読んでいないものもありました)をベースに森見ワールドが展開。一口に森見ワールドと書いてしまっていますが、私の感覚的には、ムツカシイ言葉をライトな流れに乗せて、意味深そうで意味が無いようなフワフワした読書中の気持ちです。 好き嫌いはあるでしょう。 元ねたがある本って、登場人物を現代の「いそうな人」に設定して、今風な状況やリアル感を出すようなイメージですが、本作での登場人物は、全てに作品に登場する斉藤氏をはじめ、「現代にだっていなさそうな人」を作り出してしまっています。そんなキャラを不思議と感じなくなってしまうのが、これまた不思議な森見ワールドです。 メロスをはじめ、原典と違うキャラで原典のストーリーをすすめると、見え方がこんなにも違う。まさしく新釈ですね。 小説って奥深いなぁ。
11投稿日: 2015.09.02昔の名作を京都を舞台に現代風にアレンジするとこうなる
まず面白そうな「走れメロス」を読んだあとに最初から読み直したところ、それぞれの話のバランスがしっかり考えられており、短編集ではなく長編の一つの作品であると思うようになりました。 まず「山月記」で阿呆な学生が出てきて、「藪の中」では哲学的なタッチに変わり色々と思うところが出てきます。そして作者もノリノリで書いた「走れメロス」で阿呆度が最高潮に達しますが、その後に「藪の中」以上に哲学チックな「桜の森の満開の下」を読むことで何かドーンと心に響くものがありました。最後に作者本人も登場する「百物語」で満足感と共にスッキリ終わります。 個人的には一気読みが最も楽しめる読み方だと思いますが、それぞれ10~20分くらいで読むことが出来るので、別個にゆっくり読んでも楽しめると思います。特に「走れメロス」は「四畳半神話大系」とか阿呆話好きならこれだけのために買っても満足できる作品だと思います。
1投稿日: 2015.07.19動機はどうあれ、阿呆学生が京の街を目一杯走り抜けます
お馴染みの物語を森見さんが森見さんなりに解釈し リメイクした短編集 誰もが知っているあの「走れメロス」 確かに本家同様目一杯走り抜けましたが 正義感溢れるメロスと阿呆学生ではその源は正反対 立場一つを変えただけでこうも対照的な話を作り上げ 最後はメロステイストで収めてしまう事に脱帽です その他にも「藪の中」や「百物語」のような 森見テイストを少し抑えて書かれた話の 抑え気味で吶吶とした語り口にゾクリとさせられ 全編に渡り楽しめる内容となっています
6投稿日: 2015.07.02
