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ある行旅死亡人の物語
ある行旅死亡人の物語
武田惇志、伊藤亜衣/毎日新聞出版
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総合評価

365件)
3.8
78
141
90
21
4
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    このレビューはネタバレを含みます。

    兵庫県の風呂もないアパートで、金庫に3400万円を残し、孤独死した女性「田中千津子」さんは誰なのか? 住民票がなく、年金も受け取らず、あえて痕跡を残さないように生きていたとしか思えない女性をつなぐ細い糸をたぐり寄せ、二人の記者が真実に近づいていく流れも興味深かった。 とうとう幼馴染みを捜し当て、おとなしくて勉強も運動も飛び抜けたところはなかったけれど、学校への行き帰りを毎日一緒に過ごした千津ちゃん、シマちゃんの姿が浮かび上がったことで救われた気持ちになった。

    1
    投稿日: 2023.08.15
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    ノンフィクション作品。 孤独死を遂げた右手指を欠損した身元不明の女性。 家に残された3000万超の現金と、数枚の写真。 預金通帳から氏名は判明しているが、住民票が何処にも見当たらない。 謎の数字を残したメモが入った星形のペンダント。 彼女は一体何者なのか。 弁護士、警察もお手上げの個人の身元を、突き止めることは出来るのか? 手掛かりは残された写真と、旧姓のものと思われる印鑑に刻まれた珍しい苗字。 以下ネタバレ。 苗字を手がかりに調査が進んでいく。 親族と思われる人物にまで辿り着き、DNA鑑定での証明も出来た。 残された現金と、ペンダントの謎と、身長の誤差については未解決だけど、そこはまぁフィクションではないしジャーナリストの調査の限界ってことで致し方ないのかもしれない。 中途半端にミステリアスな事例だけに、読後感はスッキリしなかったな。

    1
    投稿日: 2023.08.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ノンフィクションの本って真実のみを書き記しているので、読んでいて脳が疲れる。しかしこの本はフィクションのようでスラスラと読み進めることができた。自分の記者のような気持で記事の中に入り込むこともできた。 面白かった。 世の中には本当に奇怪な事件がいっぱいあるんだろうなぁと痛感させられる内容だった。 ただ奇怪=猟奇ではなく、その真相は意外とシンプルだったりするのだ。そのかけがえのない真実を追求するために、人間は奔走するのだと思う。

    1
    投稿日: 2023.07.23
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    行旅死亡人。身元不明で亡くなった人を指す言葉。 官報に掲載されるデータで死亡時に所持していた金額トップであった女性に記者が興味を持ち、その女性の身元を突き止める物語。ミステリー的な要素があるノンフィクション。読み始めたら最後まで止まりません。

    1
    投稿日: 2023.07.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    WEBニュースで途中経過までを興味深く読んでいたので、その後どうなったのかと思っていました。 少しずつ読むつもりが早くその先を知りたくて寝る間も惜しんで一気読み。 ここまでたどりつけるものなのか、記者の取材力に圧倒されました。 ただ、戸籍上の身元が判明するという着地点にはたどりつけたけど、田中姓の男性が誰だったのか、住民票登録がなぜ自治体権限で抹消されたのか、息子がいたという話の真偽、キーホルダーの中の紙に書かれていた数字の意味といった謎は依然残ったまま。 それらをもっと知りたい気持ちがわいてくる反面、それはひっそりと生きてきた故人が望んでいたことではなかったんだろうなと思うと己の野次馬根性に嫌気がさしたりもして、気持ちのザラつきをおぼえました。 大きなぬいぐるみをずっと大切にしていたことにはどんな意味があったのか、なんとなくだけどそれが一番気になりました。

    1
    投稿日: 2023.07.21
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    ひとりの女性の死亡から、深い闇へとつながっていくことを期待していた。 残された大金。 正体不明の男の写真。 結局、何が結論で、何が解決しているのか消化不良である。

    1
    投稿日: 2023.07.08
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    驚いたことが2つ。記者ってこんなに地道に且つ丁寧に事件を追っていくんだということ。もう一つは、見知らぬ人(記者)に協力し、時間をとって調べたり、話をしたりする人はこんなに多いんだっていうこと。私だったら訝しんで近づかないかも。

    2
    投稿日: 2023.07.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    すごく惹き込まれて、ぐんぐん読み進めてしまった。これが本当にあった話とは驚き。 解明されていない謎も残っているけど、それがあるからこそ、このお話が心の中に残る気がした。 最後は、千津子さんを思い、自分や大切な人を思い、涙が溢れてきた。

    1
    投稿日: 2023.07.05
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    はじめて書店で見かけたときから気になってはいて、書評で取り上げられているのも複数回目にしたし、ってことで読む。まず、行旅死亡人って言葉が聞き慣れないものだけど、亡くなった後も身元不明の人、みたいな意味なのね。行旅と付くから、旅先で亡くなってどこの誰か分からない、ってことかと思った。それにしても、三千万の現金を残して、っていうんだから、どうしても気になっちゃう。そのあたりを起動力に、語り始められる。途中、”火車”を引用されていたり、北朝鮮の符号がチラついたりで、ひょっとして、ミステリ的な驚きの結末が…⁉と思いきや、最後、当たり前の決着を見る。現実の話だし、そんな突拍子もないこと…、ってのは分かるんですけどね。なんだかちょっと、モヤッとする。

    2
    投稿日: 2023.07.05
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    2023.07.04 この本を知った時から「絶対読みたい!!」と思っていたので図書館で購入してくれて嬉しい。 3400万の大金を持ちながらも古いアパートに長年一人暮らしで身を隠すようにひっそりと生きていた女性…その地域に長年住んでいながらも大家さんすら親しく話したこともないというのは異常…普通に暮らしてたら顔見知りの1人くらいはいるはず。スパイ説も頷けるけど電子機器は自宅にはほぼなかったなんて謎すぎる。 住民票については、何かのタイミングで居住調査(健康保険とかの関係?)があり、それで身を隠してたから職権消除されたのかな…と想像。 高齢なのに健康保険証もなく生活してたなんて、信じられないけれど大金と引き換えに何か罪を犯して隠れて生きざるを得なかったのか… 大金の謎、リュウジさんの謎、住民票の謎…なぜ?はたくさんあるまま終わってしまったのはノンフィクションだから仕方のないことですね。 大事にしていたぬいぐるみとベビーベッドは、リュウジさんとの間に生まれたお子さんで、その子を幼くして亡くした…とか?その子の名前が「たん」くんだったのでしょうか。想像でしかないですが…。 大変興味深く読み終えました。

    1
    投稿日: 2023.07.04
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    知らなかった行旅死亡人という言葉。 確かに身寄りのない方が亡くなったらどうなるんだろうな、というのはふと考えた事はあったけど・・・ 記者さんの仕事って想像するだけで、こういった事を扱う場合、些細な事に目を向け、いろんな人と出会い取材をしていくという過程が細かく書かれていて、その仕事ぶりを知る貴重な本でもあるなと思いました。 あっ、あまりノンフィクションを読まないもので・・・ アパートで亡くなった千津子さんが誰なのか、それがわかっていく過程が面白く一気に読みました。

    8
    投稿日: 2023.06.27
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    本書で知った『行旅死亡人』。二人の記者が警察にも優る執念で、謎多き女性の身元を丹念に調査。遺品の現金や田中竜次の存在など謎は残るが、そこがノンフィクションの良さである。二人の取材力に感服。

    1
    投稿日: 2023.06.24
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    ルポルタージュ作品 現金3200万を残して孤独死した身元不明の女性 彼女は一体誰なのか、真実とは。 人の足跡、生きた痕跡は必ずどこかに残る… 全てが明かされる訳では無いけれど、読んでよかった。 官報をみたらほぼ毎日行旅死亡人が記載されているけど 少しでも"名も無き人"が親族の元に戻れると良いな。

    2
    投稿日: 2023.06.21
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    記者の取材力を感じるルポ オーディブルにて 面白かった 謎の多い身元引受人のいない老女には大金が残され、この人は一体誰なのか 自分は最期、1人で死なずに済むのだろうか 寂しいだろうなあ孤独死

    0
    投稿日: 2023.06.20
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    面白かった。一気に読んでしまった。 小説ではなく、ルポルタージュ(でいいのかな?)だから、文章表現は味も素っ気もないが、それゆえ「事実」「現実」であることを読者に訴えてくる。 人生ってなんなんだろう……そう考えずにこの本を読み終えることのできる人はいないだろう。 千津子さんはひっそりと孤独に亡くなったが、そうでない人(多くの関係の中で生きた人)も時間が経てば忘れられてしまう。行き着くところは同じだ。 それにしても千津子さんの「真実の人生」を知りたいものだ。

    1
    投稿日: 2023.06.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    執念のルポルタージュ、という帯のコメントは何か違う印象。行旅死亡人のことも気になったが、それよりも記者とは何をする人ぞ、というのが立ち現れていく過程の方に興味があった。そこに人がいて、何をどうやって取材していくのかということ。とても情熱的で野心もある、というわけでもなく、やはり疲れたり倦んだり飽いたりしながら日々を過ごしていることがリアルだったように思う。 当人のことはわかったようでわからない。その点では諸々判明してスカッとする話ではない。

    1
    投稿日: 2023.06.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    行旅死亡人。 「こうりょしぼうにん」と読むそうです。 この言葉、この本のタイトルで初めて知りました。 本に登場する一人の行旅死亡人。 彼女はいったい誰なのか。 残された現金3,400万円の出どころはどこなのか。 右手の指が1本もないのはなぜなのか。 なぜ彼女は住民票から消えたのか。 なぞなぞなぞのオンパレードで始まります。 その謎の答えを導き出すべく、二人の記者が取材を通して彼女について知ったことを一冊の本にまとめています。 全くの赤の他人なのにも関わらず、なぜ最後までこの本を読んでしまったのか? それは、死亡した彼女の空白時間(誰とも関わっていなかった長い時間)に東野圭吾小説のようなストーリー(人情モノ)を期待してたからに他なりません。 自分の想像(期待)と現実を照合したい。 読み続けたその先に何らかの答えがあるに違いない、そんな個人的な好奇心だけで、この本を読みました。 とはいえ、現実はそんなに甘くないんですよね。 ラストがものすごく現実的です。 ミステリ小説であれば、探偵がピタッと謎を読み解いてくれるんでしょうけど、現実世界ではそれは難しいのですね。 謎の答えは、彼女の空白の人生に隠れていることは間違いありません。

    1
    投稿日: 2023.06.18
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    面白かった。 ひとりの人間、その《中身》を調べていくことにこんなにドラマがあるんだな。 確実に生きて、そこにいた人のことを、少しずつ想像できるようになっていく。 特に子供時代の友だちに会えたのは彼女の横顔を知る上で大きい。 ぬいぐるみを大事にしていたのは子供の代わりなんだろうか。子供はどこへ行ったのか。夫ではなかった男性の正体、なぜ住民票を持たず、障害補償も自分でやめたのか。 謎だらけだが、ごく近所が舞台なのもあり、最後まで臨場感をもってハラハラと楽しめた。 こんな古い古い文化住宅、今もたくさん近所にあるよ…。 珍しい苗字とか、車のデザイン、写真の日付、公社に務めた経歴など、多方面から攻めていく面白さ。 途中で登場する、伏見桃山駅の駅前商店街の文具屋さん…行ったことある!この近くに住んでたころに! ここによど号事件の関係者がいて、日々お店に出ていたなんて。 もちろんただの客には知る由もないけれど、ひとってすれ違うだけでは何もわからないな、とここでも思った。 私自身は、やや変わった姓ととても珍しい名前なので、何かあれば即・身バレの世界。 私を知る学生時代の友人が取材で何を話すか、想像するだけで怖いです…!

    5
    投稿日: 2023.06.16
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    現金3400万円を残して孤独死した身元不明の女性。孤独死と言っても普通は何かしら繋がりのある人が見つかるが、その女性に関しては警察も探偵もたどり着けなかった。ふたりの記者が追った執念のルポ。その女性は他人との関わりを避け、どんな思いで歳を重ねたのだろう。偶然にもある期間、女性の暮らすアパート近くの学校に通っていた。もしかしたらすれ違ったことがあったかもしれないなどと思いながら、複雑な気持ちで読み終えた。

    1
    投稿日: 2023.06.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    フィクションを読んでるような気になりながらも、合間あいまに出てくる写真(女性の若い頃や夫と思われる男性、わずかな所持品など)が現実に引き戻してくる。謎を多く残したままお話は終わっているけど、孤独死した千津子さんを悼んでくれる人がちゃんといたってことに心が少し落ち着く。 人付き合いに疲れ誰にもかかわらずに生きていきたいと思うことは多々あるけれど、本当にそうせざるを得ない状況ってどんななんだろう。 いろいろと考えさせられるお話だった。

    3
    投稿日: 2023.06.11
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    面白かった。一気に読んだ。 記者としての好奇心とスキルのおかげで行旅死亡人では無くなった。 しかし、後年の話は寂しい、母のことを考えたりもした。

    2
    投稿日: 2023.06.10
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    兵庫県尼崎市のアパートで一人の女性が亡くなった。身元不明で引き取り手がない「行旅死亡人」。しかし、女性は3千万円を超える現金を持っていた。しかも、あえて人付き合いを避けていた。女性は何者なのか、なぜ孤独死をしたのか。二人の記者がその謎に挑んだ記録である。 最終的に記者は女性の身元を突き止めたが、謎は残ったままだ。しかし、小説ではあるまいし、すべての謎が解かれるなんてあり得ない気もする。

    2
    投稿日: 2023.05.30
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    部屋で孤独死したのに行旅死亡人とは。世間のあらゆるしがらみから離れ、歳をいつわり孤独に生きてきた女性。大金を手元に残していたこと、北朝鮮との関わりを示すモノを持っていたこと、そして謎の男性。あなたはいったい誰ですか?創作かと思わされるようなこの話が現実にあったことだなんて。謎の全てが解明されたわけではないので、どうにも尻切れトンボのような感じがするも探偵でも探せなかった親族を探しだし知人を見つけ、行旅死亡人に名前を見出した記者の執念がすごい。興味深い読み物だ。

    1
    投稿日: 2023.05.26
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    若い記者二人が、警察や探偵でもたどり着けなかった情報に少しずつ近づいていく様子がまるで小説のようでどきどきしながら読んだ。 それでも解明できない謎は残っていて、読み終わってからも千津子さんに思いを馳せてしまった。

    1
    投稿日: 2023.05.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    多額の現金を残し孤独死した女性をめぐるノンフィクション 戸籍がたどれず正確な名前や身元が分からない引き取り人不明のご遺体を行旅死亡人といい、警察も探偵もその身元を特定しきれずにいた方を記事がそのノウハウと地道な聞き込みによりひとりの人物の生きてきた道を浮かび上がらせる様は、まさに事実は小説より奇なりといった感じ 読み勧めていくうちに、あれ私この話知っているな?と思ったのはネットニュースでみたからか。あの記事がこうして一冊の本になるのだなという面白さもありましたし、記者結構自腹でプライベート削って仕事してるんだな…ということも知ることができました。大変なお仕事だ……

    1
    投稿日: 2023.05.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大金を残して彼女は一体誰なのか。 弁護士や探偵がたどり着けなかった正体が分かるとき、意外なところの点と点が繋がる。 何故大金を残して亡くなったのはわからないけれど実家に帰れて良かった。 本当に良かった。

    1
    投稿日: 2023.05.04
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    「身内の方を探したいし、亡くなった方は個人情報保護法の関係もなく、守秘義務も発生しないので、もし報道してもらえる機会があるなら、利用させてもらいたいんです」(18頁)相続財産管理人に選任された弁護士が記者に伝えたところで、そういう展開もあるかと。はじめは故人の親族探しを興味本位で読み進めて良いものか後ろめたく感じました。最後には、謎に満ちた部分が多く残されたものの、故人が都市に出て行くまでの故郷での有り様を見聞きし、老いていく過程を想像するしかなく最後まで元気で幸せだったのかなと、他人事には思えず一気に読んでしまいました。

    1
    投稿日: 2023.05.03
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    現金三千万円を残して亡くなった見知らぬ人。 戸籍さえなく暮らし続けた老女は、何故身元を隠し抜いたのか。 答は見つからぬままだが、一人の生き抜いた過去を探る旅は、読者の心を引き寄せてくれる。

    1
    投稿日: 2023.05.01
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     行旅死亡人(こうりょしぼうにん)とは、病気や行き倒れ、自殺等で亡くなり、名前や住所が判明せず、引き取り人不明の死者を表す法律用語である。この行旅死亡人として、2020年4月兵庫県尼崎市のとあるアパートで、女性が孤独死。遺留品には、現金3,400万円、星形マークのペンダント、数十枚の写真、珍しい姓を刻んだ印鑑、ぬいぐるみなど。この女性は誰なのか、行政で調査しても判明しない。著者である記者が官報で知り、同僚の記者と共に業務外の時間を使い、死亡した女性を追いかける。珍しい姓を刻んだ印鑑を元に、協力してくれる人々にも恵まれ、いくつもの家系図を突合する中で、若かりし頃の女性を知る知人、親族に巡る会い、写真の確認にも成功する。女性は若い頃に広島県呉市から関西に移り住み、仕事中に右手を切断する事故に遭うも労災を固辞し、歯科治療は実費診療の通院し、家賃も遅滞なく納め、長期間身を潜めるようにアパートに住み続けたがなぜなのか謎は残る。  記者魂と幸運な人脈に恵まれ、詳らかとなって行く一人の女性の人生とは。一人の人間が確かにこの世界で生きていたのだという実感と、その人生への敬意がこみ上げてくる。かけがえのない人生を掘り起こした渾身のノンフィクション。読み始めたら止まらない、良書に巡り会った喜びは計り知れない。

    2
    投稿日: 2023.04.29
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     何か記事ネタはないかと、大阪の喫茶店で「行旅死亡人」データベースにアクセスした著者は、「本籍・住所・氏名不明、年齢75歳ぐらい、女性、身長約133cm、中肉、右手指全て欠損、現金34,821,350円」の情報を目にする。  右手指全欠損して3,400万円のもの大金を所持した75歳の女性はどうして行旅死亡人となったのか、その人生は・・・相続財産管理人の弁護士は「この事件はかなり面白いですよ」という。そして、警察も探偵も解明できなかった女性の人生を追うことになる。尼崎から広島へ。    少しずつ明らかになる、死亡人の人生、家族関係・・・。手に汗握る展開。  そして・・・結局、なぜ3,400万円もの大金を所持していたのか、身元がわからないように生きていたのか、星型のペンダント、亡くなったアパートを契約した男、多くの謎は残ったまま、調査は終了してしまう。  この時代でもまだ、こんなふうに人知れず生きることができるんだ、というのは驚くし、やはりこの死亡人は自分の意思で、人知れず生きていたわけで、それは一体どうしてなんだろう。謎は、解明されていない。

    1
    投稿日: 2023.04.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    なんか一気に読んでしまった。わかってよかったなあ。それでもどうしてそういう暮しをしていたのとかはわからずじまい。書いてないこともあるのだろうけれど。

    5
    投稿日: 2023.04.28
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    2023/04/24予約 152 大金を残したままアパートで死んでいた身元不明の老女。遊軍の記者二人が細かく調査し、警察もわからなかったことを突き止める。 その二人の調査記録なので大どんでん返しというものはない。 8ヶ月待ってやっと借りられた本だったので、モヤモヤがスッキリにならなくて少し消化不良。

    2
    投稿日: 2023.04.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ドラマみたいな凄いどんでん返しを期待しつつ読めます。本になったんだから、最後の方にきつと何か凄い事が分かったのかなぁーって。 ノンフィクションと書いてあるけど、実は実は、ノンフィクションというジャンルを語ったフィクションなんじゃないの?とか。 実在するはずなのに、なぜこんなに儚いの?探しても探してもかげろうのように逃げてしまう。 なのでいっそ、関係者の方を不快にさせないルールで、こころから先、フィクションで作品を募って、作家目指しませんか?的なのもありかもしれないです。 本当の事は現代を生きる私たちには調べても分からなかったけど、生きた証が少しだけ、残りました。合掌

    3
    投稿日: 2023.04.20
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    身元不明で見つかった一人の女性の遺体。行旅死亡人の官報を見た新聞記者が女性の人生の足跡を辿る。 3400万円の現金、年金、保険など身分につながる情報を残さぬ謎の暮らし。アルバムなど遺品を手がかりに一人の行旅死亡人の女性の人生を断念な取材を通して再現していく。 ほんの数行の記事にしか過ぎない死者の情報にもそれぞれにドラマチックな人生が隠れている。 「路上ですれ違ったような、はたまた電車で隣合ったような一人一人の人間の内にも、それぞれ物語があり。それぞれの風景が広がっている。」 今のところ今年のBEST1。

    2
    投稿日: 2023.04.17
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    このルポルタージュの内容こそひとの好奇心や興味をそそるものだろうと思います。記事を書いた記者たち同様の気持ちで先を急ぎ、読み終えました。 行旅死亡人とは聞き慣れない言葉ですが、「病気や行き倒れ、自殺などで名前や身元が判明せず、引き取り人不明の死者を表す」ことのようです。 誤解を恐れずに言えば、これだけでも、その事実を前にするとこの方は一体誰なんだろう?と興味を覚えます。そこにアパートでの孤独死、女性、現金3400万円があった事実が積み重なると謎は更に深まり、想像だけで幾通りの人生が出来上がってしまいそうです。 数行の死亡記事からその人の名前や、どんな人生を送りここに至ったのか知りたいと行動を起こしたのは報道記者たち。その死亡現場にあった「タナカチヅコ」という氏名を追ってこの方の半生の物語を紐解きます。 結局、本名や生い立ちが判明し、相続人も分かったので法律上はこの事案は解決したのだと思いますが、それでもどうして多額の現金を持っていたのか、彼女は何故そこまで私生活を隠して生きていたのか…これらのことは墓場まで持って行った秘密、永遠にわからずじまいになりました。 でも、人は誰でも多かれ少なかれ秘密にしておきたいことはあるし、他人がそれを理解するのは難しいのでしょう。 しかし、一方で彼女の珍しい苗字から家系図が作られ系譜を辿る過程は、どんなに消そうと思っても、血縁は残るし曲げることもできない人としての証であることも印象に残りました。

    1
    投稿日: 2023.04.17
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    現金3400万円を残して死んだ女性の身元を 二人のジャーナリストが探して、行き方をたどって行く 親族にはたどり着き、子ども時代の友人にも会うことができた でも身元を特定できるようなものを何も残さず 身元不明の死者として扱われるような行き方を したのは何故なのか、人って複雑

    1
    投稿日: 2023.04.15
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    尼崎のアパートで孤独死した女性。彼女は自宅に三千万円もの現金を持っていたが、田中千津子という名前、その素性を語る遺品は身の回りのものと数枚の写真、そして「沖宗」という姓の印鑑のみ。 共同通信社の記者二人が、この一人の「行旅死亡人」(身元不明のままとなった死者、昔でいう行き倒れとなった死者)の人生を探る調査を開始し、そこで徐々にわかってきた女性の人生を描き出す。

    7
    投稿日: 2023.04.12
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    魅力的な謎があり、劇的に展開し、死亡した人物の生前の姿が判明する まるで探偵小説のようだ 回収されない謎もあるけどそこもノンフィクションらしく魅力的と言えなくもない 珍しい名字という手がかりから立ち上がってくる正体はリアリティがある

    2
    投稿日: 2023.04.06
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    遊軍記者のネタの探し方などもわかって、面白い。だけど、小説じゃないから、謎は謎のままで終わってしまったのが残念。

    1
    投稿日: 2023.04.05
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     「行旅死亡人」‥初めて聞く言葉でした。法律用語で、身元不明で引き取り手のいない遺体を指します。日本では年間6〜700名の行旅死亡人情報が官報に記されるそうです。  本書は、2020年に兵庫県で行旅死亡人と認定された高齢女性の半生を追ったノンフィクションです。彼女の周囲は謎が多く、警察・探偵も辿り着けなかった真実へ、共同通信の2名の記者が切れそうな細い糸を執念で辿っていきます。  読み進めるほど、ミステリーと錯覚してしまいそうです。しかし、記者・読者に都合よく物語は進みません。ミステリー感覚で、本書のラストを期待するのは間違いでしょう。  むしろ、一人の死者の人生を丁寧に追うことの意味と困難さを提示しているようです。かつてそこに生きていた痕跡・輪郭を、完全に再現したり理解したりは不可能に違いありません。だからこそ、一度しかない人生は、儚いけれどもかけがえのないものだと思わされます。  フィクションのように、全てが解明されるわけではありませんが、ノンフィクションならではの重みが感じられ、2人の記者の熱量が伝わってくる作品でした。  また、普段は考えない、人生とは? 死とは? という難解で正解のない問いを突き付けてくる一冊だと思いました。

    69
    投稿日: 2023.04.04
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    身元不明から判明に至るまでのドライブ感に圧倒されて一気に読んだ。目立たぬように生きていても、生きてきた痕跡はわずかでも残るのだと知りちょっとホッとした。 先の見えない、どう着地するのか想像できない取材を続けた二人の記者さんには本にまとめてくださりありがとうと言いたい。

    2
    投稿日: 2023.03.27
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    3400万円余の大金を残し、尼崎のアパートで絶命した状態で発見された75歳くらいと思われる女性。身長133cmで右手指全てが欠損していた。名前や住所などが特定されず亡くなったいわゆる行旅死亡人だ。 共同通信大阪社会部に所属し自分でネタを探して自由に動く遊軍記者の2人が警察も解明できなかった身元調査に乗り出す。彼らは、沖宗という珍しい印鑑や数十枚の写真など残されたわずかな手がかりをもとに、尼崎から広島に向かう。そして、死んだ女性の名前やおいたち、どんな仕事をしていたかなどを暴き出す。 本書は、そこに至る執念のルポルタージュである。 記者魂には恐れ入るが、結局、残された大金、星形マークのペンダント、写真に写っていた男性の正体など、解き明かされない謎も多く残った。小説のようなわけにはいかないのはわかるが、読後は、すっきりしない感じと物足りなさが残った。

    1
    投稿日: 2023.03.25
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    行旅死亡人とは、名前や住所など身元が判明せず、引取人不明の亡くなった人を表す法律用語。共同通信社の記者である著者が、ネタ探しの習慣でチェックしている「行旅死亡人データベース」、官報の公告記事を転載しているサイトで、気になる一件を見つけたことから取材が始まる。その時点から1年前の2020年4月に尼崎市のアパートで亡くなった高齢の女性、所持金3400万円、右手指すべて欠損、身元が判明しないという。 謎を追って記事にする、その過程がドラマのよう。弁護士が雇った探偵の調査を上回る成果を挙げ、亡くなった方の親族に辿り着いた。旧姓が珍しかったことが、最大の手がかりだったようだが。

    1
    投稿日: 2023.03.19
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    行旅死亡人の女性を追ったルポルタージュ。 興味深く読んだが、もう少し踏み込んだ結末を期待していたので、すこし残念。 しかし身元不明の人物を探るというのは下世話なことだけどロマンもある。 読んでいて思い出したのは有栖川有栖先生の「鍵のかかった男」。まさにこの人物のように、大金を持ちながら、身元を隠し一生を終えた男を「探す」ミステリー。推理小説だからもちろん謎には答えが用意されている。 しかしこれは謎がほとんど解かれずにおわる。現実だからこそ、ここまでしか辿れなかったというものなのかもしれない。フィクションだからこそのリアルな限界。だからいいのかもしれない。人間の内心は誰にも分からないからいいのだ。 ところでデジタル化した現代、身元を隠した人物を辿るのはより困難になるのかな。それともむしろ情報がたくさんでてくるのか。 …写真、現像します?スマホなくなったらパソコンからクラウドに保存しているデータにあたらない限り写真は見れない。千津子さんのように他人が写真を見つけて…なんてことはなくなるのかも。ロマンも一緒になくなるな…。 あおり文句よりも内容を語る表紙のイラストがとにかく良かった。 現実にいるのに、孤独な背中が見える。 名も無き人にも人生があるなあ。

    1
    投稿日: 2023.03.18
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    人探しの追体験してるという意味では面白いがルポルタージュとしては社会的意義は少ない。オチもない。 自分も家系図と過去帳見て鹿児島を旅したのを思い出した。町に一人はやたら過去のこと詳しいおせっかいお爺さんがいてその人にたどり着き色々聞けた。自分のルーツ探しって面白いですよ。

    1
    投稿日: 2023.03.17
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    兵庫県尼崎市の古いアパートで孤独死した老女。部屋に残された3400万円余りの現金。住民票はなく、本籍も不明、右手の全指を欠損した彼女は誰で、一体どんな人生を送ってきたのか。共同通信大阪社会部の遊軍記者が残された小さな手がかりを元に彼女の身元を辿っていくノンフィクション。 まるでよくできたミステリのように謎めいた孤独死。警察も弁護士も、探偵でさえも掴めなかった彼女の身元を地道な取材により明らかにし、無縁仏にすることなく遺骨を郷里の寺で供養できたことにまずはホッとする。 結局、彼女の身元以外の謎が解明されなかったことにモヤモヤしたものが残るが、それらを詳らかにすることは死者の本意ではないだろう。 珍しい名字という僥倖があったとはいえ記者の調査は素晴らしく、その行程に目が離せず一気読みでした。 彼女の事情はわからずじまいだけど、これだけ世の中と故意に関わりを断とうとして暮らしていても、人は生きているだけで他者と関わらざるを得ない生き物なんだなぁとつくづく思う。

    2
    投稿日: 2023.03.14
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    行旅死亡人データベースなるサイトは、以前何かのきっかけで開いたことがあった。確かに、不謹慎とは思いながらも、想像力を掻き立てられる。 無機質なデータの羅列の向こうには、誰かの一生分の人生が存在するのだと思っても、そこにあるはずの重みと画面に並ぶデータ化された文字との釣り合いが取れずに、ぼんやりとした気持ちになった。 だが、やはり現役の記者というのはすごい。ノウハウを駆使して多くの人間を巻き込み、たった数行からなるネタに次第に地肉を通わせ、一人の女性像を結んでゆく様は、読んでいてわくわくした。 様々な憶測が彼女にかけられるが、追いかけても追いかけても、真実は霧の中に紛れてしまう。けれどそれが、彼女の望むことではないかと思う。一人の人生を特定の言葉で表して分かったことにするより、その足跡を辿って思いを馳せる方が、亡くなった方により近づいたことになるのではないかと思った。

    8
    投稿日: 2023.03.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    行旅死亡人という言葉は知らなかった。 書評欄にのっていたので図書館から借りて読む。以前 阪急園田駅の南側に住んでいたので杭瀬は土地勘があるところ。 その近くにすむ独居老人が大量の現金を持ちながら孤独死していた謎に迫るノンフィクション。 生活の痕跡から世間との縁を切って暮らしていた様子がわかる。年金も受け取らず、労災も受け取らず。地域の人とも交流せずにいきた女性。 その女性の本名、戸籍、親族を共同通信の記者が執念で探し当てる。ネットニュースでも話題になったそうである。 ミステリーを読むような緊迫感があるが、大金のなぞ、遺留品のなぞ、なぜ世間と関係を絶ったのかは不明。 ぬいぐるみに子供服を着せていたところに彼女の愛の片鱗がみてとれる。多分子育てをしたかったんだろうと。 表紙のイラストが彼女を孤独を語る。 令和から展望する昭和の世界。

    4
    投稿日: 2023.03.12
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    風呂敷の広げ具合で社会の暗部へと切り込んでいくルポかと思いきや、知られざるひとりの女性の足跡を他者が紡ぎ上げていく軌跡へと転換する。裏切られた読後感はあるが、僅かに残された誰も知らぬ人物の記録や記憶は、偉大な功績と相互に関与している。知る知らないは偏見と紙一重であり、知っているとは驕りにも通じる。全ての事物は知られざる側面が多い。知らない "もの" でこの世は生きている。それを著者であるふたりの記者(武田惇志 伊藤亜衣)の奔走によって感じ取る。

    3
    投稿日: 2023.03.04
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    不思議な話 事実は小説よりも奇なり ただ…切ない…。 身元はわかったけれど、多くの謎が解明されていない。。。

    1
    投稿日: 2023.03.04
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    「行旅死亡人」初めて聞く言葉。 病気や行き倒れ、自殺等で亡くなり、名前や住所などが判明せず、引き取り人不明の死者を表す法律用語、とある。 管轄する自治体が、官報に公告して引き取り手を待つ。 これらの一覧のデータベースがあるらしい。 ある時あるジャーナリストが閲覧していた時、一人の行旅死亡人に目を止める。 尼崎市のアパートで孤独死した女性。 目を引いたのは所持金3400万余りの現金があったこと。 興味を持ったジャーナリストは調査を開始する。 警察が一通り調べてわからなかったことを、また調べなおすのだからなかなか難航する。 しかし残されていた印鑑の珍しい苗字を手掛かりに、だんだん真相に近づいていく様子は、ついつい引き込まれる。 その謎に包まれた過去は、北の工作員か?やくざ絡みか? その死亡人の身元はわかったが、所持金やその人生などは結局謎に包まれたまま・・・・ なんか肩透かしを食らったような結末。

    3
    投稿日: 2023.03.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    振り返ると、すべてがぎりぎりのタイミングだったのだろう。面影は、真夏日に食べるアイスクリームだなと思う。もたもたしていると食べきる前に溶けてなくなってしまう。 209頁から

    1
    投稿日: 2023.02.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ネットの紹介記事がたまたま目に入って興味をもって読んでみたら、最近読んだ本や映画の中でも特に深く心に残る本になった。 話としては一風変わっているけれど劇的ではないし、そこまでは珍しくはない話。 ある記者が身元がわからないままけっこうなお金を残して死んだ年よりの女性に関心を持ち探っていくうちに、彼女のことはほぼ忘れていた親戚、育った町、そして中学時代に仲良しだった友達、他の背景も探し当て、話を聞き、当時の写真を見せてもらい、素性を解明する。終わりでは身元が明らかになって故郷で納骨された主人公を尋ねる。 取り立てて大きな事件ではない一故人の話が、記事の発表後すぐ、筆者も予想外の大きな反響があり、このように書籍化までされた。現代人は大げさな事件よりも日常に潜んでいる身近な秘話を求めているところがあるのだろうか。 第Ⅰ章の終わりに次の文がある。 「千鶴子さんはなぜ、隠れるように生きなければならなかったのか。彼女の人生に少しでも肉薄すること。身元の判定でようやく取材のスタート地点に立ったのだった。」 結局、この物語の核心の部分は解明されていないと思う。主人公の故人の女性があらゆる世間と関係を断って孤独に暮らした核心である田中という恋人のような男性についてはほぼ不明だから。 ただ、足取りをたどれて、千鶴子さんが何故世間との繋がりを断ったのかを予感することはできた。 おそらくクライマックスは中学校の仲のいい同級生を探し当て、いつも一緒に通学していたことなど、当時のアルバムも交えて語ったシーン。話だけでなく、学生時代の写真も語りかける。 インタビューでは元気な同級生が、本が出る頃には彼女も故人になっていて話を聴けたのも間一髪の幸運だった。 最後に自分の勝手な推論。多分収入がなくなってから20年以上の月日が経っているので、おそらく最初にあったのは5000万円ぐらいあって、生活費に使った残りが3400万ほどだったのではないか。彼女の仕事からこの5000万円を貯めているとはちょっと思えない。高度成長の高インフレ時代、今とは給与水準が全然違うし、当時の5000万というのは今以上に相当な金額だ。インフレの時代、財テクとか複利を使えばまだ可能性はあるが彼女の場合それはなさそう。つまり、この田中という男性から受け取って、それを一人暮らしで使ったとしか思えない。 そして、彼女が音信を立ってほぼ一人で孤立したことの背景には、この田中という男性の秘密にあるようにしか思えない。やはり一番納得感が強いのは北の工作員?(筆者もその可能性については可能な限り誌面を割いているように感じる)。 とにかく彼女の最後の20年間の孤独は、この田中との思い出にとともに暮らしていたのだろうか。

    2
    投稿日: 2023.02.25
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    続きが気になって一気読み! 過去の記録や人の記憶が得られると、人の輪郭が立ち上がってくる気がする。以前年金記録の調査をした時も、そんな無骨な記録だけでもその人の人生を少し覗き見した気がしたものだったよ。本を一冊読み終わる頃には千鶴子さんの輪郭が朧げながら浮かび上がった気がした。面白かった!

    2
    投稿日: 2023.02.23
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    https://twitter.com/books_plug/status/1627235861556498432?s=46&t=pU4V-JW4Txx6HfmpH6qGFA

    1
    投稿日: 2023.02.20
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    行旅死亡人。あまり聞くことのないことばだが、目にするのは新聞で…だろうか。 病気や行き倒れ、自殺等で亡くなり、名前や住所など身元が判明せず、引き取り人不明の死者のことを表す法律用語である。 これは、2020年4月。兵庫県尼崎市のアパートで女性が孤独死したことから始まる。 たった数行の死亡記事が気になり警察も探偵もたどり着けなかった真実を記者が追う。 アパートでの死亡だと身元はわかるだろうと誰もが思うはずなのだが、現金3400万を残したまま本当の名前がわからないという…。 彼女が誰なのか? 彼女を知るまで追う執念は、何なのか? たんなる興味だけではないものを感じた。 それは、たとえば自分の最後はどうだろうか?と考えてしまったからだろうか。 どういう最後にしろ、無名のまま誰にも知られないまま亡くなるのは辛いことである。

    46
    投稿日: 2023.02.16
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     行旅死亡人とはいわゆる行き倒れを指すが、法律的には名前や身元が分からず、引き取り人不明の死者をいう。    尼崎市のアパートで高齢女性が孤独死した。部屋の金庫には約3400万円の現金が残されていた。数十枚の写真と星型マークの付きのペンダント、珍しい姓の印鑑等も残されていた。だが身元を特定できるようなものは無かった。本人は「タナカチヅコ」と名乗っていたという。本籍地や相続人もわからない。警察や相続管理人の弁護士が雇った探偵でも調べることが出来なかった。  共同通信の二人の記者が、残された資料をもとに身元の調査に乗り出した。苦労の末に身元は判明するのだが、未解明の部分も残った。夫と思われる「田中竜次」と名乗る人物は一体誰なのか? 3400万円もの現金の出所は?  本書は二人の記者の執念が実を結んだルポルタージュと言える。ページをめくる手が止まらなかった。

    40
    投稿日: 2023.02.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初の3ページくらいで既に面白い。 行旅死亡人とは普段聞き慣れない言葉だったが、知らなかっただけで昔から多くの行旅死亡人が存在していたのだろう。 最後は孤りだったかもしれない。それでも、そこに行き着くまでにはその人しか知ることのない人生が確かに存在したはずだ。それが幸せだったのか、辛かったのか、悲しかったのかは誰にも分からない。でも確かにそこにいたはずの1人に焦点を当てて丁寧になぞることで、その人が最後に家族の元に戻れて良かったと思う。本人にとっては不本意かもしれないが…。 最終的に謎は残っているものの、それが気にならないくらい夢中になって読めた。 私も、生前の彼女に会ってみたかった。

    2
    投稿日: 2023.02.06
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    ネットで、多額の現金を残した行旅死亡人の記事を読んでいた。新聞の書評で本書のタイトルを見つけ、あ、あの記事が本になったのか!と、読んでみた。 時系列で進んでいくせいか、まるで一冊の小説を読んでいるような錯覚にとらわれ、汗を垂らしながら、通常業務に追われながら、休みを削って駆けずり回る記者たちの姿を思い浮かべつつ、気づけば一気読み。 最後の10ページくらいのところで、初めて本件をネット記事に挙げたエピソードが出てくるのだが、なんとアクセス数で1位を取ったのだそう。ツイッターでもトレンドになるなど、記者が”この苦労は報われるのか?”と疑心暗鬼になりながら進めていた取材が、一躍世間の耳目を集めてしまったらしい。そもそもこの記者も、行旅死亡人と多額の現金など、およそ不釣り合いな単語の組み合わせに興味を惹かれて(私もだけど)の取材開始だったのだから、世間一般の目も同じだということなのだろう。 結局のところ、行旅死亡人とされたご本人は一介の市民だったということなのだけれど、人にはその人その人の人生があって、些細な事から人生を変える大きな事まで、様々にいろいろな場所、人、時代と関わりながら紡がれていくんだなあと、つくづく感じ入った次第。 思いがけず、なかなかに感慨深い作品だった。 それにしても、丹念に資料を紐解き、聞き込みをし、裏付けを取り、しかも報われなかったり、と、記者の仕事とは、労苦の連続なのだな…。私には無理だわ。

    3
    投稿日: 2023.01.16
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    「行旅死亡人」とは、名前や本籍地が不明で遺体の引き取り手もない死者を指す。本書は「行旅死亡人データベース」に掲載された記事に興味を惹かれ、その死者の調査を始めた共同通信社の記者2人が書いたノンフィクションだ。 アパートの1室で孤独死した老女。彼女を知る人はなく、3千万以上の現金が残されていた。弁護士が探偵を雇って調査するも埒が明かなかったのに、記者がいとも簡単に(実際は苦労したのだろうが)身元を特定してしまったのには驚いた。しかし、身元以外の謎は謎のまま残された。なぜ、どうしてに答えてくれる人はいない。

    4
    投稿日: 2023.01.13
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    ネット記事で興味を持ち購入。  多額の現金をアパートの一室に遺したまま孤独死した女性の素性を追っていくルポルタージュ。  ミステリー小説を読むよう。他者との接触を極端に無くし、生活の痕跡がほとんど残っていない女性。 僅かな手がかりから、のっぺらぼうのようだった女性の印象が、少しずつ生きていた人間のそれに変わっていった。  小説ではないので全部が都合よく繋がったりはしないし、御本人の言葉や書き残したものもないため、なぜ?という答えはでない。  休日のドトールコーヒーでこれを書いているが、当然ながら隣の方々がどんな人なのかは分からないし、 どんな人生を歩んでこられたのかも分からない。なんだったらマンションの隣に住んでる方の顔も分からない。逆も然りで自分のことも知られていない。  学校や職場では少なくとも名前はわかる人が隣りにいるが、そのエリアから外に出ると全然分からない。 作中の女性とそんなに大差ないのではないか。 そう考えるとネットはもう一つの社会なのだな。  

    8
    投稿日: 2023.01.08
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    2020年4月、兵庫県尼崎市のとあるアパートで、女性が孤独死。  残されたのは、現金3400万円、星形マークのペンダント、数十枚の写真、珍しい姓を刻んだ印鑑鑑。    警察、弁護士、探偵が身元を探しますが、まったく分かりません。 この事件を知った記者二人が、残されたわずかな手がかりをもとに、身元調査に乗り出します。 尼崎から広島、たどり着いた地で記者たちが見つけた「千津子さん」の真実とは?  ミステリを読むような面白さです。 謎は残りますが、千津子さんが生きていた証が見つかります。

    3
    投稿日: 2023.01.02
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    この本の内容については以前ネットで読んでおり、以降気になっていた。2020年、尼崎のあるアパートの一室で現金3400万円を残して亡くなっていた一人の高齢女性。その死そのものに不審な点はなかったものの彼女の素性は謎めいていた。本名なのか偽名なのかはっきりしない。12歳もサバを読んでいた。右手の指すべてを工場勤務での事故で失っていた。にも関わらず労災を受け取っていなかった。年金も受け取っていなかった。住民票は役所の処理によって消されていた。親類や友人とのつながりを示す手がかりが一切部屋に残されていなかった。大きな犬のぬいぐるみが置かれたベビーベッド。若い頃の写真。一緒に写っているやはり素性不明の男性(彼女は結婚していなかった)。アパートはその男性名義で契約していたが大家は何十年ものあいだ一度もその男性を見たことがないという。通話記録はなく基本料金だけを払い続けていた旧型の電話。近所の人たちとの接触を避けるような暮らしぶり。部屋の窓には内側からつっかえをし玄関扉には自前のチェーンをつけていた。 「行旅死亡人データベース」でこの女性の存在を知った記者二人が、わずかな手がかりをもとに細い糸をたぐりよせ出身地の広島にたどり着く。しかし結局上記の謎の大半は謎のまま残される。北朝鮮のスパイ? いやむしろ暴力団関係の方が濃厚だろうか? 遺体発見時にはあった貴金属類が行方知れずになったのはなぜ? 解明されない部分が多すぎて最後まで読んでも物足りなさが残る。が、警察や探偵でも断念した女性の素性をここまで突き止めた記者二人の執念はすごい。 自分がこの女性の死に関心を持ったのは、ベビーベッドに置かれたぬいぐるみの写真に彼女の叶わなかった願いを見たような気がしたため。LLLサイズの犬のぬいぐるみは幼児用の服を着せられ、名札には男性と女性の子供であるかのような姓名が記入されていた。彼女はぬいぐるみにどんな思いを託していたのだろう。30年も40年もそばに置き続けたぬいぐるみ、まるで自分の子供、家族のように。彼女は男性と一緒になりたかったが何らかの事情があってできなかった? にも関わらずその部屋で待ち続けた? 3400万円は手切れ金? 謎は永久に謎のまま残された。

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    投稿日: 2022.12.31
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    WEBで話題になったということだが全く知らず、話題本として知って、タイトルと装丁に興味を持った。 まず、行旅死亡人という言葉が初耳だし、官報もまともに見たことないし、まるで違う世界を知ったようだ。 2章にわかれていたので、2人の話かと思ったが、なんと一人の女性を追う記録。謎が深まるばかりだが、ミステリー小説よりもゾクゾクとする展開、謎解きだった。 そして、大きく違うのは最後の結末である。 これが実在する人間のドキュメントなのだろう。

    9
    投稿日: 2022.12.22
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    「行旅死亡人」という、聞いたことのない言葉。 思わず手に取って読み始めてみたが、あっという間に引き込まれてしまった。 共同通信社の記者2人による、ルポルタージュ。 身元のわからない、ある日1人で死んでいた女性の生きてきた軌跡を辿る取材を記事にして、出版したものだ。 手に入れた情報を、丁寧に1つひとつ確認していく地道な活動が、飽きさせないテンポで記述されている。 また、複数の情報を精査し、狙いを定めて調べていく過程に「情報収集力」の高さを感じた。 取材の結果、どんなことが分かったのか、ページの先が気になってしょうがなかった。思わず、食事をする手を止めて読んでしまうほどだ。 どんな結末になったのか、ぜひ読んで欲しい。

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    投稿日: 2022.12.03