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総合評価

522件)
3.9
132
191
135
16
7
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    又吉の感想で、「読む時代、時代で感じるものが違うのでは」とあった。時代もそうだけど、自身の年齢によっても捉え方が変わってきそうだから、次また人生の節目のタイミングで読みたいと思える本だった。

    1
    投稿日: 2025.11.02
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    持たざる者の辛苦は問題として取り扱われる事が多いが、持つ者の辛苦は見え難くそもそも問題にもされなかったりする でも持つ者にも必ず辛苦はある 想像が及ばない人々がいて、想像が及ばない想いを抱えてる人々がいる そんな 想像力の外側に溢れ落ちてしまう人々を、想いを、掬おうとしている物語だと感じた 自分の想像力の範囲はとても狭く 想像の及ばない範囲のほうが広いこと 想像力の外側に溢れ落ちている人々が、想いが、必ずあることを なるべく忘れずにいたい 文庫だと最後に芸人の又吉と西加奈子の対談が載っているのでちょっとお得感がありました

    9
    投稿日: 2025.10.01
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    ◼️ 西加奈子「i」 人が根源的に持つかもしれない意識を微細に描く。親子、シスターフッド、興味深い。 西加奈子さんは・・「さくら」「通天閣」「窓の魚」「炎上する君」「白いしるし」「円卓」「地下の鳩」「ふくわらい」「ふる」おおけっこう読んでいる。たぶん「きいろいゾウ」も読んだかな。人の想いは様々で、他人からはどうしようもないところもある。そんな、心のひだにどこか共感する。 アイはシリア人で、アメリカ人の父ダニエルと日本人の母、綾子の養子として、裕福で愛情深い家庭に育った。ニューヨークから日本へ移り住み学校へ通うが、自分の外見・出自による周囲からの特別視になじめないでいた。進学した高校で、天真爛漫なミラと出逢い、親友となる。 アイは世界で起こる悲惨な戦争、事件、事故に胸を痛め、犠牲者数をずっとノートに記していた。世界、そして日本の激動の中、大学生で原発反対などのデモに参加していた時、カメラマンの男性ユウと知り合うー。 物語が進むとイスラム国絡みでシリアでひどい内戦が起こる。「悲惨な事態を、自分は免れてしまった」という意識を持つアイは苦しむ。 宮沢賢治も、不作の年もある農村で裕福な質屋、金貸しの息子として生まれた我が身の境遇に引け目を感じて苦しんでいたし、川端康成は本人の言う「孤児根性」に苛まれた。他人が冷静に見ると、そこでそんなに悩まないでも・・とも思ったりするが、細かい心理的影響は誰しもいくつもあるのでは、とも思える。 肥大化させた主人公を置いて、時代を追っている、世界は悲惨に満ちている、という流れを作っていることには響くものがあった。犠牲者の出る紛争、災害、事件事故に胸を痛めるアイはわれわれの姿でもある。現代を炙り出すことに好感。 内に籠る少女期を過ぎ、美しくなって愛情を受ける。幸せな場から降りかかること。そのタイミングでのミナとの絡みは上手すぎるし、面白い。人間の妙味であり、蹉跌のポイントからその発露、昇華まで。映画のようで、どこか文豪の小説にも似ている気がする。純文学っぽい。 深まり、翻弄され、ジリジリする場面もある美しいシスターフッド。女性同士の特別な友情もまた主要テーマのひとつ。清々しくまとまっているな、と。 時代を見せられたような気分もする。アイを通じて描かれたもの、心の折り合い、人間っぽさ。心の中の澱。読後感が良い物語でした。

    5
    投稿日: 2025.09.27
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    愛に溢れた物語。 考えすぎるのがあなたなんだからそれで良いと思う、相対的に見たら間違ってても親友なんだから絶対だよ、と肯定してくれる友人。言い淀む言葉を待って、言葉に出来ない時は抱きしめてくれる恋人。そんな人に出会えたら人生素敵。 いくら知識を得ていても恵まれていても歳をとっても抱きしめたいし抱きしめられたくて、それで良いのだと思わせてくれた。 自分も帰国子女でアイちゃんと似たようなことを幼少期考えたことがあるだけに前半は苦しかったけれど、そこに愛があったから、終盤はキラキラした海の波が一気に押し寄せて、余韻が後書きまで残った。素敵な感覚でした。

    0
    投稿日: 2025.09.22
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    むずかしい でもミナとアイのような親友が 欲しいと羨ましく思う 繊細な描きかたが西さんの好きなところ 

    0
    投稿日: 2025.09.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    i,愛、アイ 端的に言えば血と愛のお話。国宝を見た後だからかこの血という部分についてすごく親近感を持って読み進めていた。アイが自分の存在についてさまざまなことを経験し、自身の存在を確固たるものにしていくお話。 何というか読んでて苦しい部分もあったけど、最後は期待通りの綺麗な終わり方。読みたく無いけど、読み進めたいそんな矛盾を感じながら読んでいた。

    0
    投稿日: 2025.09.14
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    「不幸で可哀想な主人公」の物語は、ある意味でわかりやすい。不幸は読み手の感情を動かしやすいし、そこから幸福を掴む過程は物語として理解しやすい。 でもこの作品の主人公アイは、裕福な家庭に養子として迎えられ、家族に愛されて育ち、大学院にまで進み、尊敬できる親友や恋人にも恵まれている。そんな一見恵まれた人物を主人公にしながら、ここまで深く考えさせられる小説は、自分にとって新しかった。 この物語が最も伝えたかったのは、「世界の悲惨な現実に目を向けながら自分の幸せを願うことは、矛盾しない」ということだと思う。 逆説的に言えば、自分の身に降りかかる不幸があっても他人の幸福には関係ないということでもある。それでも、その不幸を一緒に悲しみ、寄り添ってくれる人がいるというのは価値のあることなんだと思った。

    10
    投稿日: 2025.08.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    濱崎成男 矢吹沙羅 風間 数学教師。上級生たちに「アテネ」と呼ばれていた。 ワイルド増田アイ アメリカ人の父と日本人の母を持つ。養子の女の子。1988年にシリアで生まれた。小学校卒業までニューヨークで暮らす。ノートに世界で起こった災害や事故の死者数を書く。国立大学の理工学部数学科に進学し、院にも進んだ。 佐々木譲 高梨沙耶香 ダニエル アイの父。航空部品メーカー勤務。 定年前に退職し、人道支援団体に所属し活動に。 綾子 アイの母。 アニータ アイの家で働いているシッター。ハイチからの移民。カタリナ、レジーナ、フローレンスの3人の子の母。お金を盗んで解雇された。 パウウソティア アニータの後のシッター。 キョウコ アイの日本語の家庭教師。 田丸陽子 平子沙希 権田美菜 ミナ。高校時代の友人。家は老舗のこんぶ屋。 ダーマット・ワイルド ダニエルの祖父。アイルランドからの移民。 エヴァ ダーマットの妻。 ジェイムス ダニエルの父。 フロレンティナ ダニエルの母。ポーランド移民の娘。 ブルーノ・カミンスキ フロレンティナの父。 イザベラ フロレンティナの母。 ジョージア ダニエルの姉。 ロバート ダニエルの弟。 ドナルド ダニエルの弟。 栄吉郎 綾子の祖父。 武久 綾子の父。 なつめ 綾子の母。 豊作 なつめの父。 邦子 なつめの母。 美子 綾子の姉。 政子 綾子の姉。 内海義也 アイと高校3年生の時に同じクラス。プロのミュージシャンを目指すため進学しない。ウッドベース。ジャズ。叔父がプロのミュージシャン。アイの初恋の人。 ケイ ミナの交際相手。ニューヨーク在住。ミナが大学に入った直後に別れた。 奥田 中学生のときに三平方の定理の美しさに魅せられた。 笹山 解析学の教授。 佐伯裕 ユウ。フリーのカメラマン。原発反対デモでアイに声をかける。アイと結婚。 津島 複素解析論の教授。

    1
    投稿日: 2025.07.25
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    自分の幸せと、世界の幸せ どちらも祈ることは全く矛盾していない。 世界にいる沢山の死者、それが自分じゃないだけで胸が苦しくなる繊細な主人公アイ。 自分がその死者になればその変わりに救われた命がある。どちらかを願うことしか分からないアイ。 でも大切な親友、恋人、家族に支えられ、どちらを願うことも自分の存在を認めることも肯定していく。 「この世界にアイは存在しません」数学の教師の言葉に傷つき、それが自分の重りになっていた。 「この世界にアイは存在する」そう認めていぬアイの変化に共感や勇気をもらった。 その変化のひとつに、自分の劣等感は悪くないと認めて受け止め自分はこうゆう人だと肯定する。それこそが次へ進むアイの糧になったと思う。 TheBLUEHEARTS「ロクデナシ」の歌詞から言葉をかりる。「劣等生で十分だ。はみ出しものでかまわない。」これを思い出し強く共感した。自分の弱みも含めて自分の存在を認めてあげることが大事なのだと思う。

    5
    投稿日: 2025.07.19
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     恵まれている人に冷たい世の中になったなと思う。まるで幸福であることが罪であるかのような風潮。不幸なフリをするなんてそれこそ傲慢で冒涜だと思うけど、そうすることで許されたい、対等になりたいと思ってしまう気持ちもわかる。心が貧しいという点ではどちらが不幸なんだか。  不幸の程度なんて比べるものではないとはわかっている。けれど日々生きていく中で、そんなことでそんなに不幸ぶる?と思ってしまうことがないわけではない。良くも悪くも皆他人で、自分は自分として他人のことを祝福したり、心を痛めたりして、自分だけの気持ちを抱えて生きて行けばいいと思う。

    1
    投稿日: 2025.07.15
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    当事者じゃないからって自分の苦しみを否定しなくていい、渦中にいる人を見て自分の感情を相対化する必要なんてない、と言われていた でも、自分が苦しいかどうかすらも、そう思わされているだけでは?と疑ってしまう時、相対的な状況しか自分の感情のようなものの確からしさを保証するものなんてなくないか アイの黒いノートに知らんうちにひっそりと偽の死傷者数を書き加えたり、すでに書き込まれていたものを消したりしてもアイにばれなかったらアイの感情はなにも変わらないだろうなって考えたら悲痛な気持ちとかも不確かで幻想な気すらしてくる 辛いと感じていると思うから辛いのではないかと こんなに辛い人がいると知ることになんの意味があるのかと思ってしまう、想像力を鍛える?過去の過ちを犯さない?この世で生きながらえる程度には倫理的ルールはそれなりに身についている。そのルールが翻転して多くを傷つけ改訂されることもあるから絶対的な善もそもそも存在しないし。実際にこんな辛い思いをしているという自分の目で確認しようもない事実と、こういう悲惨な目に遭っている人だっていうるよねという自分の想像力限界まで駆使した情景とに何か差ってあるのか?そこのギャップを埋めるのが目的だとしたら、それって何か意味あるのか???どこで辛い事件が起きていても実感が伴わなかったら心が少ししか動かないのは当たり前では。犠牲者の顔が見えたらまたそこにはバイアスかかりますが。 生まれながらの差があったとしても、そういう状況にうまれたらしょうがなくない、自分が富める側にしろ貧しい側にしろ慣れるし受け入れて生きるなり死ぬなりするしかない、それだけでは アイは自分の感情を自分で煽っているような感じが度々した、PCOSも、知識や理屈でそこの苦しみを埋めることはしないのか、あまりに繊細でそのまま感情がとどまることなく全身に染み渡っていて戸惑う 「子供のことで、私がアイに謝ることはない。社会に対しても、不妊で苦しむ人に対しても、謝る必要はないと思ってる。私の決意と、みんなの体のことは別のことだから。私のからだは、私のものだから」どこまでも誠実でまっすぐなミナの言葉が素敵だった シリアの血をひいているからシリアの件で心を痛めているに違いない、などと根拠が不確かな割に線の強い矢印を勝手に繋いで心を誘導しようとするな、と憤慨しそうになるが、その矢印がなければどう感じればいいのかすらわからず自分の輪郭が解けていく感覚が頻繁にあったら、確かに身の置き場のない不安に襲われるだろうなあというのは理解できた。 悲しむ権利があるとかないとかそういうふうに感情に理屈を求めることをやめて、自分が本物だと思うものを慈しみ、相手の本物の感情に対して素直に反応するのが誠実な生き方。そして自分がここに存在していると確信できる方法なのだという結末に至っていた。感情を素直にありのままの姿で感じられたらそれほど幸せなことはないと私も思うが。

    5
    投稿日: 2025.07.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2025.7.5 話の進め方、間の取り方がすばらしい。一気に読んでしまった。読まされてしまった素晴らしい文章力。10年経った今でも鮮明に思い出すあの報道写真。それを元にした一冊なんだと分かったのが物語の最期・・・。それを知ってまた最初から読みたくなる。あまり西加奈子さんの本を読んでこなかったけど、全部制覇してみたいなと思わせる本でした。

    1
    投稿日: 2025.06.30
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    自分の存在意義を見出せないシリア難民の養女アイ。裕福で優しい両親の愛に包まれながらも、自分の存在を認めるという事は難しいのだろうか?いや、多分難しい。日本で生まれ、平凡な家庭で育った自分でも思春期などになると、自分の生きる意味などを考えてしまう時期というのは大なり小なり誰にでもある。結局答えなんか出ないうちに大人になって忘れてしまうか、仕事やパートナー、子供に出会う事でこれが私の生きる意味と信じて生きていく。でもね本来の自己の肯定感というのはもっと奥深い、心の根の部分にあるのかも知れないと思わされました。こらはもはや宗教の世界かも知れませんが、、、 ただ、人に紹介する物語としては見せ場などないので、自分で読み耽る本だと思う。

    0
    投稿日: 2025.06.28
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    生きにくさって誰しも感じるけど、アイの葛藤は想像するより辛かっただろうなあ。自分は誰かの立ち位置を奪って今ここにいて、その「誰か」が一生自分にまとわりつく。アイにとってミナとか両親、ユウがいてくれて本当に良かったと思う。いなかったら孤独で堪らなくて本当に死んじゃったかもしれない。

    0
    投稿日: 2025.06.24
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    主人公が「自分にだけふりかかってきた不幸」というものを実感してからが本番、という感じだった。個人的に身に覚えがあるようなことだったりするので、他人事として読めない部分もあったりするけれど、だからこそみんな優しい人ばかりで、少し遠い世界のことに思えてしまった。

    0
    投稿日: 2025.06.23
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    シリアで生まれ、裕福な両親の元に養子として迎えられたアイは、自分が運よく選ばれた人間、恵まれた人間であることに罪悪感を抱きながら生きていた。 自分は「社会の被害者」から運よく免れた人間の側に立っており、日々の痛ましいニュースを見るたびに「生き残ってしまった」という思いに囚われる。 世界では本当に苦しんでいる人がいる中で、自分たちは相対的に恵まれている。でも、感謝や幸せの気持ちは努力ですることではない。 そうミナに言われてもなお、アイは苦しかった。 そんな時、アイは流産を経験し、肌で感じる。「これが渦中にいるということなら、こんな経験はしたくなかった」 渦中にいる人、何かに選ばれて死んでしまった人の気持ちはわからない。でも生きている私たちが想像する限り、彼らは存在する。 今まで自分の生活に一杯一杯で、国際情勢に目を向けることがほとんどなかったので、この機会にもっと世界で起きている内戦や紛争について知りたいと思うようになった。 ☆を一つ減らした理由は、アイがずっと両親のお金で寄付をしたり洋服を買ったりと恵まれた環境を享受していること。それだけ考えているのに、なんで死者数をノートに書くとか泣くとか、それだけなのかな、と思ってしまった。

    3
    投稿日: 2025.05.31
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    この世界にアイは存在します。絶対に。 血の繋がりだけが全てじゃないんだよ。自分が幸せなことを後ろめたく思うことをしなくていいし。でも、どこかで、苦しんでる誰かを想う気持ち、考えることが大切なんだ。 自分とは違う考えでも、気持ちでも、否定から入らずまずは聞き入れることやめたくない。

    0
    投稿日: 2025.05.25
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    なんとなーく表紙にずっと惹かれてて、やっとこさ読んだ。 「i×i=-1」な、懐かしい!言われなきゃ思い出さなかった、「i」という存在。そうか、数学って美しいのかぁ。美しいかどうかで考えた事なかったな。 この本に書かれてるのは、恋ではなく、愛。養子として育った愛はたくさんのことが不安で、本当の愛って何かわからなくて....でも、本当の愛ってこういう事だよね、という本。 好きでした。

    1
    投稿日: 2025.05.21
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    自分の恵まれた境遇に居心地の悪さや罪悪感をもち、世界の色んな悲劇から目を逸らしている自分も情けなく、目の前の友を大切に思う気持ちと許せない気持ちがせめぎ合う。幸せの定義を考えすぎるあまり孤に向かう主人公の不器用さが染みる。巻末の西さん又吉さんの対談もよき。

    0
    投稿日: 2025.05.15
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    しんどい。しんどい人に読んで欲しいけど、読んだら読んだでしんどい。ラストに幾分救われたけど、しんどい。 愛の連鎖が血の連鎖と同等の価値で、尊いもんやと思えるよう、愛し愛される人でおりたいね。

    0
    投稿日: 2025.05.14
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    ツライ事も嬉しい事も見事に鮮やか! ラストシーン、なぜかコインロッカーベイビーズが思い浮かんだ。 なぜだろう?

    6
    投稿日: 2025.05.13
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    目に見える世界よりも見えない世界の方が多い。 それでも目に見えない世界を想像することはできるし、想像することで苦しむことは無駄じゃない。想いを馳せることは自分の世界を広げる。

    2
    投稿日: 2025.05.10
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    西加奈子さんの作品の中で断トツで好きな一冊です。 世界で起こる悲惨なニュースを拾っては自分のことのように心を痛めるアイ。 精神的、身体的にも弱ったりしながらもどの瞬間も自分や周りの人を大切に思い、ありのままを受け入れていく姿に本当の愛とは何なのかを教えてもらったような気がしました。 なんども読み返したくなる一冊。

    0
    投稿日: 2025.04.25
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    西さんの小説!って感じ。本当は抱かなくて良いはずの罪の意識と、それによる傲慢な自意識と、根底にある優しさと聡明さの間で苦しむアイちゃん。この経験や感情を追体験させてくれてありがとう、と感じる小説だった。悩み苦しんだ末に行き着くテーマがあまりにシンプルで少し拍子抜けしたけど、そのシンプルさが、人がただ生きることを肯定してくれる気がした。

    2
    投稿日: 2025.04.19
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    アイちゃんが繊細すぎるという感想が多かったが、 考え方が私ととても近くて、自分を言語化してくれているような感覚になって、読んでいて嬉しい気持ちがあった。 その自分に似ているあいちゃんが、最後自分というものを受け入れて存在を確信して、自分自身救われたような気持ちになった! 地震での死者○万人みたいな感じで死者は一括りにされがちだけれどその一人一人に人生があって未来があったと思うと悲しいなと思った…… 別に過剰に悲しむ必要はないが、他の国にも目を向けることは大事だと考えるきっかけになった

    3
    投稿日: 2025.04.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    2004年デビューの西加奈子さん。彼女の2016年の作品。 米国男性と日本人女性の家庭に養子となったシリア人アイの物語。彼女のガラスのような繊細な心、それを取り巻く周囲と彼女の自身への嫌悪感や罪悪感をざらりと描く作品。 なお、珍しく関西弁が出てこなかった、と思います。 ・・・ ということで、本作はアイというシリアが出自の女の子のお話。お父さん(米国白人)、お母さん(日本人)と血のつながらないという設定。 彼女は、雰囲気の読み取りが巧みで、かつ両親の気持ち・周囲の期待も理解する。でも、裕福な家庭で育つことへの罪悪感、シッターを雇うくらいの家庭でのシッターとの身分の違いにとことん悩む、そういった少女です。 当初米国で生活を送るも、後に父親の転勤で来日し、私立中学、私立高校と進み、ユウというかけがえのない友人を得る。 後に、ヘテロであるアイは不妊に悩み、体外受精を行うも流産。大きく心を乱します。一方レズビアンのユウは一時の過ちで妊娠するも、堕胎を予定する。親友然とした彼らの仲はこれを切っ掛けに、引き裂かれ、そしてまた繋がってゆきます。こうして、物語は大団円を迎えます。 ・・・ まあ本作の何がすごいかというと、この心の微妙な動きを的確にピンポイントで、しかもそれを自然に表現し文章を紡いでゆくことでしょう。 私みたいにがさつな人間はアイのような繊細な人も、『こいつめんどくせえ』って思ってしまいますが、それでも、文章の多彩さ、気持ちの「あるある」を見事に描くものですから、全く飽きずに読み終えてしまいました。 アイのように、他者と比べて劇的に幸運をつかんじゃった人だと、自らの幸福に罪悪感を(それこそ病むほどまでに)感じてしまうのでしょうね。もし私が近くにいたらみうらじゅんのエッセイでも貸してあげたくなったことでしょう。 その感受性の豊かさに、逆に居たたまれなくなります。本人もそれがおかしいと分かっているのに止められないのがもどかしい。 ・・・ ということで、久しぶりの西作品でした。 個人的には物語の筋は普通。感情の機微は「あるかもなあ」という感じ。でその感情描写の的確さ・表現力は抜群。すごい。 西作品は言葉を味わう作品であると感じた次第です。

    0
    投稿日: 2025.04.04
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    途中までは第三者として割と冷静に、他人事として読んでいましたが最後の6ページほどで心乱されて涙ぐみながら読み終えました。親の愛を疑ったことがある方、何か生きにくさを感じてる方は読んでいて共感してしまい、苦しいと思います。 あらすじ アメリカ人の父ダニエルと日本人の母綾子の元に養子としてやってきたシリア人のアイ、幼い頃から両親と血のつながりがないことで悩みつつも育つ。自分だけがシリアの内戦や他の様々な死戦を免れてしまったことにも苦しみながら日本で生きていくアイの成長物語。 あらすじと書くと難しいです。成長物語が1番しっくりはきますが、アイの悩みが重く、そして苦しい。繊細で賢いため、常人では気にもしないことを延々と考えてしまいます。 養子であり、父母どちらにも似ない容姿であるため、血のつながりにこだわり恋人とも何か違和感を覚えてしまう。そんなアイのことを、意味わかんないなあと思ってしまうのは多分自分が恵まれていて、日本人として一般的な人だからかもしれません。特に世界の不幸、犠牲者の数を記録して悲しんだりするのにはまるで共感できませんでした。え、自分が犠牲にならなくてラッキー✌️とかにならないところがアイのいいところであり、悪いところですね。 またあやふやな世界の中でもはっきりとした数学の理論に魅入られて数学科に入ってしまうってのもちょっと理解できます。アイの二乗はマイナス1、これ楽しいですよね。私も何度もチャートでこの章を解いたのを思い出しました。最後数学科はどうなるか気になります。さらに作中何度も出てくる、この世界でアイは存在しません、この言葉も暗示のように出てくるところがアイの悲観的な内面を想像させます。 世界のあらゆる不幸に敏感で、血のつながりに悩むアイに共感できるか、反発するかは読んだ人次第でしょう。ただ最後のシーンは暖かくて力強い、人間の芯の強さを感じて明日に向かう原動力になるでしょう。私は結構好きな本でした。また読み返して新しい視点を得たいと思います。

    0
    投稿日: 2025.04.02
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    非常に難しいテーマを取り扱っているけど、最初から最後まで飽きることなく、読み切った。 複雑な境遇のアイ、世界で起きる不幸に胸を痛めながら、幸せな自分に疑問を抱き、さらには自分自身に不幸が訪れて、大切なものを見失い、そして取り戻す。 1人の女性の変化が辛くも愛おしい、素晴らしい一冊でした。

    1
    投稿日: 2025.03.28
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    ※いち読者の、読後に考えを巡らせた内容をまとまりなく書いているだけの内容です。作品を評価するという類の内容ではありません。 主人公の、自分ってなにもの?自分ってなんで存在してるの?自分は他者や世の中の事象とどういう距離間で接したり感じたりすればよいの?ということでめっちゃ悩む気質に共感するものが多々ありました。わたしもそういうタイプなので。 生きていく中で、物事に正解がなにかを考えて対処し続けててもキリがないし、考えすぎて自分の思考とカラダが分離するような感覚になって危ういし、でも思考することは止められない。 主人公のアイちゃんは、自分に関係すると自覚した物事を無視したりテキトーにいなしたり他人の考えを借りて自分の考えにするとかしない。だからめっちゃ悩み苦しむ。けど、このめっちゃ悩み苦しむという行為そのものは、他人から見たら弱いものと思われるかもだけど、正面から受け止めているから起きていることで、実はめっちゃ強い。この部分、彼女の魅力です。 人生の進行状況による考えの変化が描かれている点もおもしろい。 そして、主人公に共感できる要素が多かったために、物語を紡ぐことばを通してわたし自身の思考が言語化されていく感覚があり、(表現が正しくないかもですが)解放感がある。 西加奈子さんの、人の心を細やかに文字に表現する力に感謝感謝です。

    1
    投稿日: 2025.02.25
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    シリアで生まれた養子の女の子が裕福な家で育ち、世の中の様々な悲劇に対して自分の境遇を申し訳ないと思いながら成長するというなんだか斬新な切り口の物語で面白かった。

    0
    投稿日: 2025.02.22
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    ミナとユウのような、惜しみなく相手を信頼し愛情を注げる人間になりたいと思った。 巻末にあった又吉さんと西先生の対談記事から、「自分の幸せを願う気持ちとこの世界の誰かを思いやる気持ちは矛盾しない」というメッセージがこの小説で伝えたかったことだと汲み取った。 これまでニュースで流れる世界の悲惨な出来事は、どうしても自分の周りで起きたこととしては捉えきれず他者のために祈ることは偽善っぽいと思うこともあった。でも、少しでも誰かの幸せや平和を願う時間は決してポーズではなく尊いことだと思った。

    2
    投稿日: 2025.02.22
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    西加奈子さんの作品は、今回初めて読みました。 ずっと気になっていた作家さんでしたが。 もっと早くから読めばよかった!です。 心理描写がうまくて、テーマが濃く、読み応えありました。西加奈子さんの他の作品も読んでいきたいです。

    16
    投稿日: 2025.02.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    衝撃的な小説だった アイが流産してしまったときの感情の動きがあまりにも苦しくて涙が止まらなくなった 自分の体を墓場のように感じてしまうこと、とめどない「この悲劇を、一度でも体感してみろ」という怒り、悲しみ、やるせなさ。 震災、戦争、生きていく上での別れ。そういうものがこの一冊に詰まっていて、そういえば私たちが生きている世界はそうなんだと思った。 ぎゅっと詰まってる。いろんなことが。世界のあれこれが、日々のあれこれが、私たちの人生には毎日毎日。 読みながら「どうかハッピーエンドであってくれ」と思ったけど、ハッピーエンドってどうなったらハッピーなんだよ、じゃあそれ以外は幸せじゃないってことかよ、幸せってなんだよ、と自問自答してしまって、とにかく最後まで一気に読んだ。 出会えてよかった小説になった。

    1
    投稿日: 2025.02.03
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    シリアで生まれ、アメリカ人の父、日本人の母に養子に迎えられたアイの話。アイの思春期から壮年期を描いた生き物語。人には色々な考え方がある。アイは恵まれた生活において、罪悪感を抱いていた。世界中では戦争、テロ、災害などで人が死んでいく事に関してなぜ私ではないのだと深く反芻し、生きていく。何か自分から意思を持ち決める事を避け、流されるまま生きていく。高校の時に出会った一生の友達ミナ、そして、原発のデモで知り合った伴侶となるユウ、そして多大なる優しさ、愛を与えてくれた両親。アイは1人ではなく皆の優しさを受け、成長していく物語です。

    4
    投稿日: 2025.01.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初から最後までのめりこめなかった。主人公のアイがずっと好きになれなかったからだと思う。冷めた目で見てしまっていたのでアイのなにもかもが響かなかった。もし同じように感じる人がいたら、アイがミナに出会うまでは続けて読んでみてほしい。 アイが稀有な生き方をしているのも繊細なのも事実だが、選ばれなかった人を考えるのは純粋にその人たちのことを思ってではなく、自分のアイデンティティを確立するためにのようでひどく傲慢に感じた。子供を欲しがるのも自分のためであって、あのまま親になっていたらと考えるとゾッとする。 一方で、アイの両親からは溢れんばかりの善性が見受けられたし、ミナからは等身大での生を感じられた。お陰で最後まで読み切ることが出来たと言っても過言じゃない。 欲しがって卑屈になるでのはなく、与えられるのを待つばかりではなく、思うところがあるのなら自身で行動していくような人間になりたいと思った。

    0
    投稿日: 2025.01.25
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    自分が恵まれた環境に選ばれたことを素直に喜べないどころか「どうしてわたしが選ばれたのか」と思う。自身の身に悲惨な出来事が起きたらこれで当事者になれると思う。けど当事者になれた安心感を恥ずかしくも思う。 複雑な話だったけれども、すぐに読み終えてしまった。 過去に一度挫折したことがあって(そのときは小説を読むときに物語の展開を重視していたから、心理描写に特化したこの本の良さを理解できなかった)、読めるかなと不安だったけれども、一瞬で読み終わってた。自分の成長が感じられてうれしい。 阪神淡路大震災の被災者について、主人公のアイが「被災者でない人は人々はいつ悲しみ終わったのか」と言っているのが残っている。 たしかに最近でいうと能登半島地震とか、去年の始まりあたりは暗いムードだったけれども、地震の影響のない私が住んでいる地域はもう今では、正直そんなムードはない。普通の自分の生活を楽しんでいる。 アイは傲慢だなと思うけれども、悪くない傲慢さというか、ミナが言っていたとおりそのままでいいと思う。何も考えないよりは、アイみたいに当事者じゃないことを恥じることは他者を想像することで、それは『テヘランでロリータを読む』の作者が言っている「私たちを想像してくれ」に繋がると思う。 でも、その「私たちを想像してくれ」は、「苦しんでいる人がいることを忘れるな」という不幸の押し付けでもない。 巻末の又吉さんの言葉が好き。弱音を吐くと「もっと苦しんでいる人がいる」といって、苦しむことすら許されない。しんどい時は素直にしんどいというべきだと思う。 また、主人公が虚数の「i」について、大学院の教授に尋ねるシーン、自分やその近くにいる人ではなく、他人からの肯定を求める気持ちがすごくわかる。自分の身近な人に肯定されても、うれしいけれども考えが似ている人に言われても説得力が欠けるというか、「似た生活をして似た考えを持っているから似た思考をするのは当然」と思ってしまう。だからこそ全くの他人に「それ合ってるよ」と言ってもらうと、違う環境にいる人でもそう思うのなら、きっとそれは正しい、と確信できる。 また数年後に読み返して自分の考えがどう変わったかを知りたい。久しぶりにすごく充実した読書時間を過ごせた。

    1
    投稿日: 2025.01.18
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    自分はここにいていいんだと認めてあげること、目を逸らさずに自分自身と向き合って生きて行くこと、肯定してあげる気持ちを大事にしていきたい。 次へ次へってページをめくる手が止められなかった! すごく好きな作品でした。

    1
    投稿日: 2025.01.05
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    テレビに映る悲劇の渦中にいる子どもたちと私を隔てるものは何なのか。 もちろん答えは単なる偶然に過ぎないが、そこに何かの因果を見出そうともがく主人公・アイ。 悲劇に対するある種のコンプレックスを抱きながか日本で中肉中背のままぬくぬくと育つ。 世界の悲劇と私という不均衡な繋がりを描いた作品なのでラストにもその不均衡さを感じるし、結果的にもどうしようもないけど、それでも前向きな終わってくれてよかった、 好きな言葉 「あれは思春期の淡い惑いだったのだ。生まれて初めて出来た親友を大事に思う気持ちを恋と勘違いする、若者特有の美しさだったのだ。ほんの数年前なのに、アイは過去の自分が眩しかった。」 「あのときミナはこう言ってくれたのだ。『誰かのことを思って苦しいのなら、どれだけ自分が非力でも苦しむべきだと、私は思う。その苦しみを、大切にすべきだって。』」

    0
    投稿日: 2025.01.04
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    シリアに生まれアメリカ人の父と日本人の母のもとへ養子としてやってきたアイ。虚数(存在しない数)=iと自身の名前アイとを重ね合わせ、この世に存在している自分と消えていった見ず知らずの人のことを思って悩むアイ。毎日のように世界の何処かで事件事故、自然災害、紛争や戦争で多くの人が亡くなっている、そのことを思い悼むことは大切なことで、それと同じく自身がこの世に生を受けて今を生きていることを感謝することも大切なことなのでしょう。

    0
    投稿日: 2024.12.31
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    西加奈子の本は昔から合わせると何冊か読んでるんだけど、だんだんと雰囲気が変わっている気がする。 作風が変わるのは当たり前かもしれないけど、少し心への響き方が違ってくるというか、個人的には昔の「あおい」や「さくら」のほうが好きだなぁ。 でももちろん変わってない部分もあって、西加奈子のこういう伝え方が好きなんだよなという所はやっぱり好き。 この本はどんな方向に向かっていくのかな?と思いながら読んでいたけど、最終的には良かった。 劇的な物語!というわけじゃないけど、心は打たれる。 ただ主人公アイの苦悩は自分には分からない感覚でもあってそこは共感できず、大きな感動にも繋がらなかったかも…。 でも、好きな人はとても好きな小説だと思います。

    3
    投稿日: 2024.12.28
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    読了。 i / 西加奈子 誰かが苦しんでいるときに、浜辺でそっと待ってあげられるような世界。そんな世界であってほしい。西加奈子さんの想いがぎゅっと詰まった作品だと感じた。 「想像に力はないかもしれないけれど、想像するってことは心を、想いを寄せることだと思う」

    2
    投稿日: 2024.11.09
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    まゆちもナチュラルグッドガールじゃないから終始ぴえんで数回泣いた。 やっぱり想像力があるニンゲンに成長しようねってコト❣️ アイが自己肯定出来るまで成長できてよかった!アイの周りに素敵な人たちがいてよかった! まゆちも大人になったらiを肯定できるようになるのかなー???と考えた。読んでよかった!

    6
    投稿日: 2024.11.07
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    なんか、自分って恵まれてるし 仕事そんなにキツくないしやめたらいけないでしょって言う気持ちめちゃつよだったけも 無理にそーゆうふうに思おうとしてたなぁ 辛い時は辛いって言うのが大事 それを今までは友達にも押し当ててたよなぁ 辛い人はみんなあるんだ みんな生きてるんだよ

    1
    投稿日: 2024.10.26
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    存在していい。幸せになれたかと思いきや突き落とされて泣いた。最後には親友と再会してより強固な関係になっていることが羨ましかった。 「p125: 父がここまで支援活動に熱心なのは、アニータへの贖罪からだけではなく、自身の恵まれた環境に対する罪悪感からなのではないだろうか。」ここで自分の中の嫌な部分に直面させられた。それでも存在していいのかな。

    0
    投稿日: 2024.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    世界中に溢れる不幸において自分が非当事者であるという自覚は、自分の存在に後ろ指を指し続ける呪いに転化する。それも、今の暮らしが自らの努力や才能ではなく、与り知らぬところで決められたものに依存した幸福ならば、自分が存在しているせいで誰かが幸福になり得た道を塞いでいるという罪悪感に繋がってしまうのも、無理はない。この小説は、そんな気持ちを掬い取り、アンサーとしてただただ、存在する、ということのみを叫び続けていた。 どんな人間であろうとその存在自体が揺るがされることは絶対にない、という考えてみれば当たり前のことを私たちはよく忘れる。時として震災時のアイのように、不幸でいることで生きる権利を得ようと試みてしまうほどに、当たり前が頭の中から抜け落ちることがある。そうなった時ほど、この小説を読み返したい。「思う存分いなさい。そこに。」というセリフに何度だってハッとさせられたい。 ただ、物語のスケールが大きすぎて、どこか嘘臭さを感じてしまった。外部への想像力は大事だけど、だとしても規模が大きい。恋や結婚、妊娠のくだりが早くて、主人公の気持ちに乗り切れなかった。

    0
    投稿日: 2024.09.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前半部分のアイの繊細さはリアリティがありかなり面白かったが、あそこまでの孤独を抱いていたにも関わらず、世界との繋がりを持ち自己の存在を確信するまでの展開が急だと感じた。人間は他人と過ごすことで癒されるとは思うが、孤独を解決することができるのだろうか?アイの周りの人間はできすぎていたが、大切な人間に拒否されたり否定されても、アイの確信は揺るがないのだろうか?他者からの目線で揺れ動くものを解決(や回復)と言えるのだろうか?終盤はあまり共感できなかった。ただアイの孤独の描写はこれまであまり見たことがない表現だったので楽しめた。

    1
    投稿日: 2024.09.12
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    数学でI は存在しないかも。無知でない私たちはここに在りつづける。 自己を愛し、誰かの中で生きて愛されたいね 対象のない罪悪感、訳もない孤独や空虚感etc 感じ得るネガティブな悲痛は、突き放すのではなく互い懸命に分かろうとした登場人物たちの優しさ、相互作用が素晴らしい創りでした。 私(I)だけでここに立てず、オール(all)とユウ(you)によって常に支えられていることを心に置きたい。 『i 』を書いてくれてありがとうございます。

    2
    投稿日: 2024.09.08
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    読んでて苦しい部分があったので後半の途中でリタイア。たまに描写が生々しいところがあった。もう少し余裕がある時にもう一度読み直したい。

    0
    投稿日: 2024.08.30
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    世界で巻き起こっている事象に対する報道を見ると、ひどく苦しみを感じる時がある。だがそれと同時に平和な日本でそんなことを想像して一体何になるのだと自分の想像を卑下して自らを腐してしまう。 本作を読むとそんな感覚も捨てるべき思考では無いし、知ること理解することによって何かが生まれるのかもしれないと希望を感じることもできた。 だからどうしたと言ってしまえばそれまでではあるが、いつか世界の人々全員が幸せを享受出来る日がくることを祈って、今日明日とまた人生を生きてみようと思う。

    0
    投稿日: 2024.08.21
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    わたしはあまりにも何も知らない。 世界のことも日本のこともトレンドも。何も分からなくて、それは怖くて不安なことだと思った。 でもシャットアウトしているつもりなどなくて、だけど情報はありふれているはずで、つまりどこにでもあるのに、見向きしていないのだ。無関心。世の中に無関心。自分が恐ろしいと感じる。どうにかしたい。 わたしと主人公に重なる境遇はないけど、それでも自分の意見がないこと、大人の顔色を、場の空気を常に窺ってしまうような姿に大きな親近感を覚えていて 彼女が変わるきっかけがこの物語で描かれるのであれば、きっとそれは、わたしがわたしらしさを手に入れる(もしくは取り戻す)手がかりになるのではないかと、縋り付くような、祈りに近い気持ちで読み進めた。 答えはない。でも、この世界にわたしは。

    0
    投稿日: 2024.08.13
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    図書館で、どの本を読もうかなと探していてたまたま目についた本でしたが、出会えて良かった。 溢れてくる沢山の感情を抱えながら最後まで一気に読み切りました。 私はこの先もアイのことを忘れないと思う。

    0
    投稿日: 2024.08.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読後スッキリした‼︎サラバと少し被った。 又吉との対談が一番ぐっときた‼︎ ALLとyouとI 一人一人の愛や想いがあっていいんだ。 確実に再読本‼︎

    3
    投稿日: 2024.08.08
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    深い。自分では絶対に抱かない感情を抱きながら生きているアイやミナの世界観にどっぷりと浸かることができる。読書による擬似体験とはまさにこのこと。

    0
    投稿日: 2024.08.03
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    ミナとアイの友情の物語かと思って読み進めていたが、途中から世界に向けて作者である西加奈子さんの思いがとても伝わってきました。

    0
    投稿日: 2024.08.01
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    最初は、面白い…か…?といった具合に読んでいたけれど、途中から面白いの概念ではなくただただ彼女のことを知りたくて読み進めた 物語は世界について知ることが出来る どこでどんな事件や事故、災害が起こり何人死んだ 主人公であるアイちゃんはそれらをノートに記載する 人との不幸を比べたり、傷つく姿は正直苦しい 平和な今を生きている私は、隣で起こる不幸にも心痛めないしましてや世界の裏側で怒ることなんて日々の片隅にも思い出さない 上手く該当する言葉が見つからないけど、アイちゃんはすごくすごく純粋な子なんだろうなって 彼女の苦労は伺えしれないし知りたくもないと思ってしまうけれど、見知らぬ誰かを全力で想う心は私には無いもので羨ましいなって思ってしまう 彼女を通して知る世界 世界では未だに戦争があることはもちろん理解をしているけれど、正直物語の中の感覚に近い 今この文章を綴っている最中にも亡くなっている方がいるのであろう この物語を読み、今までテレビの画面や物語の出来事であったものが少し現実味を帯びたように感じられる 生まれた国の違う両親と、生まれた国の違う養子 養子であるアイちゃん 正直私と全く立場の違う彼女の価値観や考え方に共感はできないけれど、一つだけ同じものがあった 自分が恵まれた環境にいることの恥ずかしさ その恥ずかしさは私自身も身に覚えがある事だ アルバイトをしなくても過ごすことのできた学生時代 全て両親が与えてくれた 私とは真逆の友人に対して、後ろめたさや気恥しさを確かにあの時の私は感じていた その感情は誰にも言うことが出来なかったけれど、彼女の感情を読んだ時に あぁ、同じだ って思ったんだ “アイ”というのは複雑で、そして単純でもあるんだな 一人称であるI 数学で用いられるi 主人公であるアイ そして世界に溢れる愛 まだきっと、アイは探せばあることだろう

    14
    投稿日: 2024.07.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かったんだけど、20代の主人公が、デモを撮影する40代カメラマンと恋に落ちるというシチュエーションが無職のおじさんに弱みにつけ込まれて騙されてるのではと思って心配になってしまった。(悪い人ではなかったのでよかったけれど)

    0
    投稿日: 2024.07.23
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    前半は中々しんどい感じだったけど途中から没頭した。 アイとミナの関係はとても素敵だった。 もっとニュースとかをちゃんと見て考えて感じていきたいと思った。

    0
    投稿日: 2024.07.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初めて読むジャンルの本。 裕福な家庭の養子として育ったシリアルーツの主人公。父親はアメリカ人、母親は日本人。 シリアの情勢を目の当たりにして自分は幸せでいいのか。と苦悩する。 苦しんでいる人がいるのに、もしかしたらその人は自分だったかもしれないのに幸福を享受していていいのかと悩む主人公に、人が不幸だからといってあなたが幸せになっては行けない理由にはならないと言う言葉をかけてあげたい。 マイノリティが故の苦悩を裕福な生活環境が邪魔をする色々な角度で考えさせられた本。

    1
    投稿日: 2024.07.07
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    「アイ=私」とは何か。 根源的な、哲学的な問いである。 親や家庭の存在を答えにすることもあるけれど、それでは、養子や孤児の場合には十分ではない。 「ユウ=あなた」に出会った後、アイの人生は彩りを豊かにしたように見えた。 では、「あなた」と呼べる特定の誰かとの出会いで、私は出現するのか? 西加奈子の答えは、否、である。 「ユウ」にも埋めきれない心の穴がアイにはあった。 「ミナ=皆=あなたではない存在」との繋がりは、ユウがいる時もいない時も、アイを支え、アイの参照項となった。ミナとのフリクションそのものが、アイに気づきを与えた。 私と、あなたと、そのどちらでもない何か。私たちは自分の居場所を確認するには、やはり3点からなる構造が必要なのだろうか。GPSみたいに。 アイは言った。 「両親に、ミナに、ユウに愛されたから私があるのではない。私はずっとあった。(略)そして、そんな私を、両親が、ミナが、ユウが愛したのだ。」 ただ、そこにあることを、肯定する。思想や宗教や、肌の色や性的指向や金銭的価値で線を引くのではなく。 自分の存在意義に悩み考え尽くした到達点が、「私はここにいる」であるというのは、デカルト的展開であり、つまるところ、これを足がかりにする他ないのだし、これこそが足がかりになるべきなのだ。 では、仕事に行ってきます。

    4
    投稿日: 2024.07.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公のアイがとことん自分というものと向き合っていく過程を描いたような小説。世界情勢、養子、セクシャリティ、家族関係、愛情とは、人に打ち明けづらく、苦しいものと向き合っていき、盛り上がっていくラストシーンは圧巻であった。中には世界情勢や、流産等の場面で本当に読むのがしんどいところもあり、これがもし自分に降りかかった時、本当に乗り越えられるのかと不安になった部分もあったが、想像力を持って、友と乗り越えていく主人公の姿をみて、逃げず立ち向かうための一冊になったと思う。

    1
    投稿日: 2024.06.28
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    誰かが苦しんでいて、その渦中に居ない自分が理解したつもりになっていることに少し罪悪感を感じて過ごしてきたので凄く刺さった。そして、他国で起きている戦争や紛争、自国で起きていることですら知ろうともせず胸を痛めることがない自分はなんて愚かなんだろうと思わされた。自分で精一杯、と言ってしまったらそれまでだが、私は私でいっぱいいっぱいです。それでも、折角わたしは生まれてきたのだから、私はここにいるのだから、もう少し、世界を知ることに注力していきたいと思った。

    1
    投稿日: 2024.06.28
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    主人公のアイと、アイを取り巻く人々が、わたしが切望している"想像力"にあまりに長けていて、ただ苦しかった。 世界の情勢を知ること、誰かを想うこと、その行為に意味を与えられるのは自分だけ。"善く生きる"ってどういうことなんだろうね、日々自問自答してる 2022/02/17

    0
    投稿日: 2024.06.24
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    自分の幸せを願う気持ちと、この世界の誰かを思いやる気持ちは矛盾しない。自分にも、他人にも自分なりのアイをもちたい。

    0
    投稿日: 2024.06.23
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    アイデンティティとか、世界情勢とか、愛とかいろんなテーマに触れながら、アイにもミナにも感情移入しながら一気に読みました。 ずーっと胸が苦しいけど、お話の展開がテンポいいし、終わり方もとても力強く綺麗で感動的でした。 でも難しいテーマです。「私ならこうだな」みたいな答えが見つからないと言うか…、ちょっと感情が整理できないです。

    0
    投稿日: 2024.06.23
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    PerfumeのDream Fighterを聴きながら感想を書いている…きっと僕らが生きている証拠だから。現実社会のつらいニュース、自分自身の現実と悩み、どう折り合いを付けていくか、人とどう関係を築いていくか。それらが丁寧に描かれる。巻末の又吉さんとの対談も良かったです。

    1
    投稿日: 2024.06.12
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    西加奈子さんは、人が一生にひとつしかかけないはずのお話をいくつも産み出してる感があります! これはオススメ!

    0
    投稿日: 2024.06.09
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    すごいや。 西加奈子さんは、いつもわたしの芯を強くしてくれる。 自分や他人の心に対する「どうして?」を考えることは、眠ることより大切なことかもしれない。あるいは食べることより、来週の予定を立てることより、働くことよりも。 難しいからって考えることを諦めていちゃだめなんだ。難しくて苦しくても、時間がかかっても、自分の答えを見つけて、自分の言葉で表現しなくちゃ意味がないんだ。わたしはいつも、考えることを見送って、他人の答えを分かったふりして借りていただけだった。そう、気づかせてくれた。 他人の心を想像するとき、それは自分の想像できうる範囲内のものにしかならない。100%理解するというのは無理に等しい。それでもいい。それでもいいから、想像して、寄り添おうとする、そんなのってすごく素敵じゃないか! あなたには分からないだとか、傲慢だとか、言う人もいると思う。自分が思いやりでしたことが、相手にとってはそうでないということも往々にしてある。それはそれでいい。別に間違いなんてないじゃん。ぶつかり合ったら、分かり合う努力をすればいい。分かり合えなくてもだ。愛ってそういうので大きくなるんじゃないかな。 だから、心について考えることから逃げてはいけない気がする。 今わたしの近くにいてくれる、優しさをくれるすべての人に、愛をあげたくなった!それくらいに、わたしは、この本を読んで満たされた!

    1
    投稿日: 2024.06.06
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    数学の先生の一言があったからなのか それまで悩んでた事が具現化された結果なのかそれ以降苦しめる事になる 浮き沈みがあったが最後は生きてて良かった

    0
    投稿日: 2024.05.29
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    色んな要素が盛り込まているものの纏まっていて読みやすかった。境遇は違えど共感する部分もあり、感情移入しやすかった。ラストの美しさは圧巻だった。

    0
    投稿日: 2024.05.26
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    繊細で聡明で特別な出自のアイにも、ALLにもなれないけど、私はわたしとして存在するしかない。どうして?を突きつめたら結局運とかそういう見えない何かふわっとした、言ってしまえば理不尽なものになるけど、それもまたどうしようもない私の1要素として受け入れるしかない。 書いてあることは綺麗事でも、言葉にして、残して、それで誰かが想像して、また繰り返すっていうそこに意味があるんだって右ストレートでわからせられる。ここ最近で一番好きな本でした。 私が世間では役に立たないと言われる古典を必死に学ぶことの意味も見いだせる感じがする。拡大解釈しれないけど。

    9
    投稿日: 2024.05.23
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    ニュースを見れば毎日世界中で色々な事がおきていて 胸が痛むこともある。けれど日々の自分の生活に夢中で辛い事から目を逸らしている時間も少なくはない。 私は自分を特に恵まれているとも不幸だとも思わないけど今まで生きられたことに"免れてきた"と言う言葉はしっくりときた。世界中の痛みに常に心を寄せていることは出来ないけど、渦中の人の悲しみを想像する事は忘れてはいけないと思った。

    4
    投稿日: 2024.05.21
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    主人公アイと数学のi、またさらに世界情勢や生い立ちが、アイの存在意義や自己肯定感といった苦悩を絶妙に表現している。また世界中の事故や、事件も強く印象に残り、亡くなった人達を忘れないで欲しいという想いを西さんから受け取ったような気がする。とにかくよく練られて描かれた本だと思った。西さんすげー。

    0
    投稿日: 2024.05.12
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    ------------------------- 残酷な現実に 対抗する力を、 この優しくて 強靭な物語が 与えてくれました。 (又吉直樹) 「i」を探す必要はないし、 失うこともない。 それはここに在るから。 それだけのことを書いた本に 胸が潰れそうになった。 (ブレディみかこ) 「絶対、  世界にアイはある」と、 この小説で叫びたい。 (西加奈子) ------------------------- 装丁が綺麗で、 キラキラして綺麗な話を想像してましたが、 全く違いました。 「この世界にアイは存在しません。」 入学式の翌日、数学教師は言った。 ひとりだけ、え、と声を出した、 ワイルド曽田アイ。 その言葉は、アイに衝撃を与え、 彼女の胸に居座り続けることになる、 ある「奇跡」が起こるまでは——。 同じ地球で、同じ時間を過ごしているけれど、 遠く離れた地では自由を奪われ、傷ついている人がいる。 だけど、自分だって傷つくことはある。 それを比べても仕方ないし、 他人は他人と開き直っても仕方ない。 少し前から「自己責任」がどんどん浸透して、 どんな傷も痛みも苦しみも、 全て自分のもの、個人のもの、 分断は広がっていく。 知らないことと経験したことないことは無知ではなく、 知ろうとすること、想像すること、馳せるが大事。 最初に読んだときは、 物語をすべて掴み切れず、 ピンとこないこともありましたが、 こうしてアウトプットすると 色々な思いが出てくるのは、 西加奈子さんの作品の持つ魅力ですよね。 「くもをさがす」が読みたくて、 次の給与が入ったら購入しようと思います。

    10
    投稿日: 2024.05.06
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    初加奈子。全く期待していなかったからか、とても良かった。自分とは何か?と考えている人にオススメしたい作品。簡潔にいうと——TV版エヴァ最終話ですw 星四つ半。

    2
    投稿日: 2024.04.28
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    いろいろとこの数ヶ月の自分の興味関心がこの本に辿り着かせてくれた気がする。 存在意義であるとか、戦争や、震災。 悲劇のヒーローになりたいような瞬間もある。 ただそれもまた肯定してくれる。

    1
    投稿日: 2024.04.25
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    とても難しい。 同世代の私が、知らぬところでこれだけの人が死んでいたと言う事実を知る。 そういうことを知りたくなくて、ニュースを見なくなったのはコロナ禍。子供が産まれてから。 文章は読みやすいのに、難しい内容で、感想まで思いが届かない。 とりあえず、その事実を知って、驚きと、憐れみと、免れた幸運と、今後、私や家族にも現実に何かあるのでは?どうしたらいいのか?という不安。

    1
    投稿日: 2024.04.08
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    西加奈子ワールド全開の本作。 西加奈子好きにはおすすめです。 それ以外の方にはどうおすすめすればいいのかわかりません笑

    0
    投稿日: 2024.03.26
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    コンビニ人間に通じるモノがある。『価値は命に従ってついてる』という椎名林檎の名曲ありあまる富が読み終えた脳内で再生される。 人の価値とか幸せを考え出すとキリがないのは確かだけど、どうしても考えたり比べたりしてしまう事はあって、そんなネガティブなポジティブな思考回路を生々しく優しく厳しく、それでいいのだ!という思いを文章に落とし込んでいて、正に人間讃歌な一冊。納得の傑作でした。

    3
    投稿日: 2024.03.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あとがきからの引用。また読んでみたい。 アイ=わたし ミナ=みんな(社会) ユウ=YOU アイデンティティとは何かを書きたくて。 今の自分の幸せを願う気持ちと、この世界の誰か(苦しんでいる人たち)を思いやる気持ちは矛盾しない。 ありのままの自分を見つめて、人と伝え合って、自分のままでありながら他人を想うこと(あい?)について感じた本。 いろんな内容が素直に体の中に入ってきた感覚があって、自分を投影することも多かった(やはり自分も恵まれていて、アイのいる境遇と似ている部分もあるのではと思うから) でも私は、ありのままで相手と対峙しようとする皆の姿勢が好きだし、ミナからの手紙で「私はあなたに謝らない」と伝えているのもすごく誠実でまっすぐで素敵だなと思ったし、私もそうありたいなと思いました

    1
    投稿日: 2024.03.17
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    ************************************************ 常に自分の恵まれた境遇と環境に罪悪感を持ち続け 存在意義を見出せずにいた繊細で聡明なアイ。 常に目立たぬよう隠れるように生きてきたが、 親友との出会い、愛する人との出会いにより、 少しずつ自己を確立出来るようになり、 自分を赦し、認め、世界に溶け込んでいく。 ************************************************ あまりに内包的なアイの思想は理解しきれないが、 共感出来る部分は多々あり、居た堪れなくなった。 本来なら人間誰しもこういう想いを少なからず 抱えながら生きているのだろうなと思わせるが、 生活に埋もれ瑣末なことのようになってしまう。 それどころか目を逸らし続けてしまう節もある。 それでも、想像し、悲劇に想いを馳せること、 他者と向き合い、そこに愛を持てるのか、 愛を感じられるのかどうかが肝要なのだろう。 自分を認め肯定出来る自分だけの定理を導き出し 意識が変わり強くなり、解放感に満ち溢れるアイ。 世界はただ輝いて、そこにある、そこに愛はある アイとユウ、ミナ、そしてミナの子供との暮らしを ちょっと覗いてみたいと思った。 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎-------- 子供を産むと決意したミナ。 父親には知らせるの!?知らせないの!? こういう展開になると、 いつも「29歳のクリスマス」思い出す(年齢バレる) -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------

    2
    投稿日: 2024.03.07
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    繊細な主人公に、私まで心が重くなってしまったりしたけど 自分とは違う他者を受け入れること、私に1番届いたメッセージでした

    1
    投稿日: 2024.02.24
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    この本は、最後のシーンに何度も出会いたいがために、再読してしまいます。モヤがかかっていたものが、スッキリ快晴のようになる、うまく表現できませんが、好きなラストシーンです。 再読したのはだいぶ前ですが、 確か、自分の悩みを他の人の悩みと比べなくていいと言うような文章に心救われた記憶があります。 私も悩みがあっても、他の人の方が重大なことで悩んでたり、大変な思いをしてるんじゃないかと考えたりして、自分の悩みを過小評価?してしまうところがあるのです。。 そんな時に、苦しい時は苦しいと感じていいのだとこの本は声をかけてくれました。

    16
    投稿日: 2024.02.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    再読。なぜかは分からないけど定期的に読みたくなる。 自分とは違う環境にいる人、生まれた人々。暖かく平和に暮らしている私には、少しは理解できるようでいて本質的には理解できない。所詮テレビの向こうで起きている惨状でしかない。これは振り幅の違いはあれど、日本社会にも言えることだと思う。 ただ、胸を痛めることはできる。たとえなんの役にも立たないことだとしても、胸を痛めること、寄り添うことは否定されない。 ここからは自分語り。 ずっと仲良くしていた親友だったあの子に、家庭環境に苦しんでいたあの子に、私とは違うから理解できないとだけ思って、寄り添うことを放棄していなかったか。今は疎遠になってしまっているけど、ずっと刺さったトゲがまだ抜けない。またこの本を読むだろうと思う。

    2
    投稿日: 2024.02.04
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    「この世界に、アイは存在しない」 「この世界に、アイは存在する」 リアルだったなぁ 育ちについては私自身もよく落胆的に考えてしまう部分があり、どこかの国の地震や事件、自然災害のニュースには毎度心が沈み、涙が勝手に出るくらい悲しむのだけれど、アイのように一つ一つの事をここまで重く自分の置かれた環境や世界に対して考えることはないけれど、 どこかしら共感できて、苦しくなる部分もあった。 ミナみたいなお友達すごく欲しいし、 この思考になって生きてみたいなとも思えた。

    1
    投稿日: 2024.01.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    小説の構成としては「サラバ」の方が好きだったけれど、扱っているテーマはこっちの方が自分には響いた。細かい描写もかなり好きだった。 「自分の幸せを願う気持ちとこの世界の誰かを思いやる気持ちは矛盾しない」 この前の地震が起こった時、普通の会話をしている、自分の地方で起こらなくて良かったと思っている自分に、なんとなく後ろめたさを覚えた。 親と食卓に並んだ時、特段真剣に考えているわけでもないのに地震のことを心配しているという趣旨の話をした。 反省。そんなことをするくらいなら目一杯正月を満喫すると同時に、被災地のことを真剣に考える時間を取るべきだった。親や友達と真剣に被災地のことを話す時間を設けられる人間でありたい。

    3
    投稿日: 2024.01.09
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    西加奈子はやっぱりいい。 どんどん吸い込まれていく。サラバの時もそうだったけど、終わってほしくない気持ちでいっぱいになる。 人の幸せは自分にしか分からない。でも、そこに気づけるか気づけないかでその人の人生や、存在意義が変わってくる。どんな状況下でも気づけた人は幸せなんだと思う。

    4
    投稿日: 2024.01.06
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    社会情勢、セクシュアリティ、血縁などの問題に主人公を通して触れていく。 存在意義を実感として得るというのは、自分を受容する過程でもあり、その道は険しい。 終わり方も美しく余韻が残った。

    1
    投稿日: 2024.01.05
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    年末、そろそろ今年良かった本をまとめようかな〜という時に、なんてものに出会ってしまったんだ……という気持ち。 実は学生時代、今よりもっと幼かった頃に西さんの小説で挫折してしまったことがあって、それ以来なかなか手に取れなかった作家さんなのですが、少し大人になって、本の読み方も分かってきてこれに出会うと、ドカーンと大きな感情に見舞われました。 具体的なことは何も言いません。 読んで、感じてほしい。それだけ。

    2
    投稿日: 2023.12.30
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    後半話の展開が早くて ちょっと雑になった気がした。 前半はアイの苦しみが一言一言丁寧に描写 されていて感情移入しながら読んだ。 恵まれている自分への戸惑い どのように世界にコミットするか 世界のどこに、何に自分の居場所を見つけるか アイがどんな職業に就いたのか まで知りたかった。

    1
    投稿日: 2023.12.26
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    世界と私、無関係ではいられない。紛争、貧困、人種、恋愛、出産とぐらぐら揺れる様を全肯定してくれる西加奈子はとんでもなく優しい。

    3
    投稿日: 2023.12.16
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    大人になったアイやミナと今の私が同い年くらいなのに随分と大人に見え、とてもカッコいい。人に流されず興味のない感じがすごく落ち着くし何より心強かった。シリアのことや今戦争が起きているこの世の中のことを思うと避けたくもなるが思い続けることが大事なんだなぁ。

    1
    投稿日: 2023.12.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    西加奈子さんの作品は大好きだけど、 これはあんまり好みじゃなかったです、、、 主人公が暗すぎる。 自分の出生地だとしても会ったこともないテロや戦争が頻発する地域の人に、申し訳なく思いながら生活することってその人たちを見下してるし、その感情を払拭しようとデモに参加するところとか どうせ変わる気なんか無いくせに何をずっと悩んでんだよ偽善的だな、と思ってしまいました。 ただ自分が両親の血を引いてて、生粋の日本人だという確固たるアイデンティティがあり、そういう経験がないからそう思うのかもしれません。難しいですね。

    2
    投稿日: 2023.12.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分とは関係ない貧困で苦しんでいる人や戦争の渦中にいる人に対して、想像することが心を寄せることになる。 たしかに、渦中にいる人しか苦しみを語ってはいけないと私も思っていたが、渦中にいなくたってその人たちのことを思って苦しんで、それが誰かに広がって想像する余地になる。渦中の苦しみを。それがどういうことか想像するしかないが、想像するってことは心を、想いを寄せること。 想像するだけで実際に何も変わらないかもしれないが、その自分の心は取り戻せる。 駅前でデモ活動をしている人を不思議に感じていたが、この本の上記のとおりで考え方が変わった。

    5
    投稿日: 2023.11.28
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    物語的には途中からすごく面白くなって一気に読めた。 自分の中でもやもやしてた感情を言語化してくれた小説。苦しみの中にいる人達が存在しているのに自分は免れていくというのは、それだけで罪悪感を感じてしまうし、「幸せ」であるという事実、「恵まれている」という事実は、心が苦しくなることでもある。これを共感してくれるアイがいてくれたことが私には救いだった。 自分を生きていくということは周りを幸せするんだと勇気を与えてくれる作品。

    1
    投稿日: 2023.11.27
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    自分の子供に読ませたい本。 ひとの痛みは相対的なものでは無く絶対的なもの。と私の推しアイドルが言っていたけど(我が推しながら誇らしい)そんな要素が入っていたり、 自分のアイデンティティに揺らぎながら、世界のどこかで信じられない凄惨な虐殺や事件が毎日起こっていることを全く違う世界のこととして目を閉ざさないでいたい。

    1
    投稿日: 2023.11.26
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    主人公のアイが成長していく中で色んな葛藤を経験していく話。 色んな種族のことを気を使って自分を殺しながら生きている彼女は、いつも頭のなかに考えが充満している

    1
    投稿日: 2023.11.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「私は恵まれている」「私は運よく免れた」という主人公アイちゃんの気持ちに共感できるからこそ、最後の最後まで、1ミリも、ひと欠片も、アイちゃんに共感できずにモヤモヤしたまま読み終わってしまった1冊でした(涙) 主人公のワイルド曽田アイはシリアに産まれ、赤ちゃんの頃にアメリカ人の父と日本人の母に養子として引き取られ、何不自由なく、幼年期をアメリカで、思春期を日本で暮らします。常に恵まれた自分の境遇に罪悪感を覚えながら。それでいて、デスノートよろしく世界のニュースの死者数をノートにひたすら書き続けてみたり、お菓子の食べ過ぎで太ってみたりしながら、ほぼ何ひとつアクションを起こさない謎い主人公。 両親から恵まれた教育投資を受けて、せっかく国立大の数学科の大学院まで行ったのに、考えなしに参加した「反原発デモ」(反原発はいいけどエネルギー問題どうすんのよ)で見つけた理解ある彼くんと結婚し、学位取得は放ったらかし。子供ができれば(なぜか)全部解決と息巻くも不妊治療の上、流産して親友に当たり散らし。最後にはシリアに写真でも撮りに行くのかと思いきや、ロスのビーチで親友と鎮魂ごっこして海でキャッキャウフフしてなんか満足した様子。 そんなに罪悪感があるなら、学位取って数学の知見を活かして世界に貢献しようとするなり、アクセンチュア※にでも就職してバリバリ稼いでドンドン寄付するなりすればいいのに。それでも世界は1ミリも変わらないだろうけど、悩むのはそれからじゃない?その前に、親のお金で寄付するのが心苦しいならバイトくらいすればいいのに。 ※アクセンチュア:いいとこの数学科の人がよく就職してて、めっちゃお給料がいい、というイメージのある会社 「やっぱ女の人生はイージーモードだよな」と言われんばかりの主人公アイちゃんの半生を、アイちゃんの視点でウジウジ描いた小説…なんだけど、ちょっとどこで感動していいのかわからなかったです。ここまでアイちゃんをダメなヤツにする必要もないので、もしかしたら作者の意図を読み取れてないのかもしれないです。だったらごめんなさい。(壮大な皮肉なのだったら☆3かな) 散々エラそなこと書いたけど、私も十分、恵まれて、免れて生きてきたので、精一杯働いて、子供の小学校のボランティアくらいは積極的に参加して、できるだけ世界に還元します(涙)。たいしたことはできないけれど。

    9
    投稿日: 2023.11.02
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    ずっと苦しかった、自分では変えることの出来ない境遇から、自身の存在について考え続けるアイ。共感することは難しかったけど、だからこそ考えさせられることが沢山あった。私1人では考えることもなかった視点が沢山あるから、西加奈子さんの作品に惹かれる。 全部存在する!必要だから言葉が生まれている!

    1
    投稿日: 2023.11.01
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    2回目。 自分の置かれた環境の恵まれていること、自分の幸せがある世界に恵まれない人達がいるということに罪悪感に似た感情を抱く女の子が、大人になっていく話。 自分と他人の間にはどうしても埋まらない溝も分かり合えない傷もあって、自分が不幸であることはおろか、幸せであることをさえ嘆きたくなるような瞬間がある。それは痛切で、けれど傲慢で、自分の抱く考えや感情の脆さに耐え難くもなるけれど、きっと精一杯に自分を確信して考え、悩み、傷んでいくしかないのだろう。

    3
    投稿日: 2023.10.28
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    今、ガザ地区で起きていることについてどう自分が考えるべきなのか、感じるべきなのか、ずっと考えていた。そんな時にふと読み始めて、今自分が読むべき本なのだとすぐわかった。ずっと積読にしてしまっていたけれど、今読むためにずっとずっと暖められていたのだと思う。

    1
    投稿日: 2023.10.24