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何者(新潮文庫)
何者(新潮文庫)
朝井リョウ/新潮社
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総合評価

1571件)
4.0
434
612
327
55
11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウさんは「正欲」で初めて知り、読んだ時とても衝撃を受けたことが記憶に新しく、ずっと気になっていた「何者」を今回読んだ。これもすごかった。私はまだ2作しか読めていないが人の真髄というか、なんとなく思ってるけど改めて指摘されたくないような、柔らかい隠しておきたい場所を的確に刺してくるのが上手い(上手いなんて一読者が烏滸がましいが表現が他に出てこない)と感じた。また、人の生々しさがなかなかに残酷だけどこれがすごく面白い。 読んだ時の感想としては最初は就活の話であったので自身も数年前に就活生だったから分かるな〜こういう人いたな〜という共感が多かった。しかし途中から自身にも刺さる言葉が多くハッとさせられた。 内定が出たあとの居酒屋での飲み会の光太郎のセリフ「俺このまま何もしなかったら俺のままじゃん?〜〜」あたりは自分も考えたことがあったので印象に残った。就職したら自分で何かを起こさない限り勝手に起きるイベントは基本的にない。就職した今実感もしているし、だからこそ、何者かになりたいなら自分で何かを起こさないといけないんだな〜と再認識した。 終盤の展開は驚いたが、少し拓人と理香に似たことは私も思ってしまうなと感じた。自分より幸せになって欲しくないとか、心の中では応援できないとか……こういう仄暗い気持ちは誰にでもあるのかもなぁ。(というかあって欲しいとこういう気持ちを持ってしまう自分が思う) 自分は自分にしかなれない、だからカッコ悪くても足掻く。理香の就活中の行動は正直自分も痛いな〜こういうやついたな〜と思いながら嘲笑していたが、終盤の語りをみてそれが理香の足掻きだったと分かって自分が恥ずかしくなりました…… すごく好きな話だった。移動時間に読み始めたけど面白くて一日で読み終えてしまった。 朝井リョウさんの作品他にも読んでみたい。

    2
    投稿日: 2025.01.12
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    「こんな人いるよな、嫌だよな、わかるわかる」と主人公に共感しながら読んでいたけど、ラストではっとさせられた。

    0
    投稿日: 2025.01.11
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    初めて直木賞受賞作を読んだ。 物語の内容的に就活生じゃなくても心に刺さる部分はあった。 カッコ悪く足掻いて転職活動頑張ろうと思う。

    2
    投稿日: 2025.01.05
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    何者かになろうとするけど、何者にもなれず、「痛くてカッコ悪い姿で足掻き続ける」奴を批判することで足元を整える、人間の裏を描いた作品 登場人物は少ないけど、生きている誰もがこの悩みに引っかかると思う。共感できるし読みやすいからおすすめ

    4
    投稿日: 2025.01.04
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    ⚫︎えらく登場人物に既視感があるなと思ったら、何様を既に読んでいた… ⚫︎前半は引き込まれるけど、だれるな〜とか思っていたけど、ラストの怒涛感がやばい… ⚫︎ドラマ化されてるっけ?光太郎の菅田将暉感がやばいなw ⚫︎うう…何者にもなれない虚しさを感じる年始や… ⚫︎ラスト、実は主人公は2年目の就活が判明してからの今までのTwitterツイート公開がキツい。まともに読んでいられないほどの共感性羞恥をビンビン感じたよ…

    0
    投稿日: 2025.01.04
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    朝井リョウは名前のない感情を言語化するのが本当にうまいなと思う。 もう就活生に共感出来るほど若くはないが、何者かになれるはず、自分は他の誰かと違うはず、という感覚は痛いほどわかる。 自分は何者でもないただの平凡な人間なのだ、と認めるのが怖くて、傷つきたくなくて、傍観者になって他人を小馬鹿にしてしまうことも。 カッコ悪くてもあがいていくしかないと気付けるまでにどれくらいの時間がかかったのだろうか。 面白かったけど、朝井リョウの他の作品に比べるとテーマが就活だからか刺さる部分が少なかったから、星4つにしたがとても素晴らしい作品だと思う。

    1
    投稿日: 2024.12.31
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    映画を見てから読みました。 何者かになりたい…何者にもなれない。自分は自分として生きていくしかない。 みんなが憧れるあの人もこの人も、"何者"になっている、というわけではなく、 生きてきた結果、何者となったんだろう 何者のゲシュタルト崩壊…

    0
    投稿日: 2024.12.31
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    このレビューはネタバレを含みます。

    短く簡潔に自分を表現しなくちゃいけなくなったんだったら、そこに選ばれなかった言葉のほうが、圧倒的に多いわけだろ。 だから、選ばれなかった言葉のほうがきっと、よっぽどその人のことを表しているんだと思う。 ほんの少しの言葉の向こうにいる人間そのものを、想像してあげろよ、もっと。 グサグサ刺さる言葉が多かった

    1
    投稿日: 2024.12.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    正欲ぶりの朝井リョウさんの作品。 その時もそうだったけれど、上手く向き合いきれていない自分の弱い部分に気付かされるような感覚が随所であってチクっと心に刺さる。 タクトが隆良とギンジを重ねて、マイナスのフィルター越しに見てしまう描写、共感できるなと思った。新しく人に出会う時、つい『これまで出会ったきた人』の誰と似ているかを考え、その枠の中で人を判断してしまっているなと思った。目の前の相手と、これまで出会った人は違う人間だとわかっているのに。あと、会話の中で誰かの名前を出すときに、自分の辞書にある言葉だけで人を表現しようとしてしまうこともあるなと反省した。自分の知識の中で、人を語るなんて傲慢だ、とこの作品を読みながら考えたりした。 SNS上で何者かになろうとしてしまうこと、耳の痛い話だった。自分の中の嫌いな部分を隠して、自分の理想を画面の中で実現しようとしてしまうこと、よくある。でも、それで自分を保てている時もある。何者かになろうとしてしまうこともまた、カッコ悪いと思いつつも、それによって本当の自分を否定しすぎずにいられることもあるなと思った。 213ページの瑞月さんの線路の話、心に響いた。ここまで大人への変化を言語化してくれている文章に出会ったのはこれが初めて。線路を同じ高さで、同じ角度で、見つめてくれる人の人数が変わること、その変化が大人になっていくってことなのかと腑に落ちた。それと同時に、今の自分にはそんな存在はいなくて、自分の線路の続く先を考えられるのは自分だけだから、もっと向き合って決断をしていかなければならないんだな、と背中を押されるような感覚だった。 大きな感動こそないものの、色々と考えさせられる作品でした。今よりも、何か決断をせねばならない岐路に立たされたときに読むと、また響き方が変わるだろうなと思う。

    3
    投稿日: 2024.12.26
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    何様→何者と読みすすめたが逆がよかったのか?関連しているのは確かだが時が経ちすぎていてあまり思い出せなかった。 今の就活生の気持ちなんだろうな…TwitterもやってないしSNSも積極的にやってこなかった自分としてはちょっと共感は薄かったかな。

    5
    投稿日: 2024.12.24
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    自分が就活を終えて半年後に読了。 「冷静に人を分析できる」というのは危険かもしれない。人間が誰かを、何かを考える時、自分自身の偏見やコンプレックス、劣等感、疎外感、プライド等が無意識に埋め込まれている。 だから、他人のSNSや何気ない日常からその人を評価・判断し、知ったような気になって自分を高めてはいけない。あくまで自分自身の「偏向」から見た、その人の「虚像」にすぎないから。 作者の朝井リョウさんは、若者の脆くて儚い心を緻密に言語化することが大変上手だと感じる。作者自身の実体験なのか、そうでなくとも実体験かと錯覚してしまうほど、若者の心の動きを機敏に捉えている。その鋭さに作者の意地悪さと共感を感じ、なんとも言えない気持ちになるが、そこに素晴らしさがあると思う。

    3
    投稿日: 2024.12.22
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    物事をいつも俯瞰して見てた。 痛いやつだと思って生きてきた。 そんな自分が1番痛かった。 痛い部分を隠して振る舞う自分は何者にもなれない。その痛さを分かった上であがいて、生きていくことが、必要なんだ。

    5
    投稿日: 2024.12.18
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    自分が大学生の時は就職氷河期で、隆良の様な考えで、嫌な仕事の為にみんな就活してると勝手に決めつけてしまっていました。結果卒業と同時には就職せずに一年後、契約社員で中小企業に入り、結果若い間は新卒との1歳違いと言う微妙な立ち位置に少なからずコンプレックスを持っていました。 今考えると大学就活時期は何も努力していなかったので社会に出るのが怖かったんだと思います。 就活生にとってその後の分岐点にはなるのですが、上手く行っても行かなくても、会社に入ってから考え方も変わったり、色々あるので体や心を壊さないようにいい塩梅でがんばって下さい。と就活生に声をかけてあげたいです。 ってこれ読んで思いました(笑)

    1
    投稿日: 2024.12.17
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    拓人と理香の考え方どちらも共感できた。 読んでる中で自分を客観視してるようだった。 「自分をどう見せるか」については未だ自分の中の課題であるため、参考になる部分がいくつかあった。

    0
    投稿日: 2024.12.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ちょうど今年就活が終わったタイミングだったので読みました。 途中まで理香や隆良をこういう人もいるよね(笑)と見ていましたが、最後で主人公と共にグサグサ刺されました。 私も他人の内定先の欠点を探して安心したことが何度かあります。決して見下していたわけではないですが、どこかで自分はもっとできる存在だと思っていたと思います。 『就活が得意なのと仕事ができるのは違う』 これすごく刺さりました。割とトントン拍子で就活が進んだので自分は向いているのかと思っていましたが、実際に内定者たちと関わる機会があるとほかの人たちとは仕事に対する熱意があまりにも違くて如何に自分が愚かだったか気付かされて今とても不安です…。 弱い自分も認めてがんばるしかないですね。

    3
    投稿日: 2024.12.12
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    昨今では、「意識高い系」という言葉も定着を見せ、嘲笑の的となっている。しかし、、「意識高い系」を俯瞰してせせら笑う私たち(私を含む)を更に高次で俯瞰してせせら笑う人の存在をこの本はありありと描いた。また更に俯瞰、俯瞰…と堂々巡りをし、結局のところ私たちは人をバカにすることで自尊心を保ってしまうという生き物であることを嫌でも突きつけられる。先程、カッコ書きで(私を含む)と記したが、筆者の狙いはバカにする私たちを客観的に描くことで、私たちの愚かさをメタ認知させようとしているのではないかと考えた。

    30
    投稿日: 2024.12.07
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    私が大学生ということもあり、とてもリアルで、そのまま現実の人間関係があるのでは無いかという感覚があった。 主人公は、何事も俯瞰して見る癖があり、がむしゃらに日々を生きる人々をバカにしていた。 自分はそんなことをしなくても何者かになれると信じ行動に移さない姿は、自分を見ているようで辛かった。この本を読んでいる私自身も、この主人公を小馬鹿にしながら「私はこんなことしない」と俯瞰しながらでないと読み切ることが出来なかった。

    4
    投稿日: 2024.12.06
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    SNSによって人間の裏の顔を知ってしまうのは恐ろしい。知らない方が平和に過ごせるのだろうが、それでも知りたいという気持ちは抑えられない。SNSなんてなかった時代はもっと平和だったような気がするのは気のせいか?

    3
    投稿日: 2024.12.06
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    何者かになりたくて、でも何物にもなれない若者たち。 肥大した自我意識を持て余す中で就職活動が始まった。

    6
    投稿日: 2024.12.05
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    自分を売り込むのに、自分が何者かわからないから、 試行錯誤して「自分」と思われるスタイルで就活に挑む。 選考に落ちて、そこでまた悩む。 うまくいかないと「自分」がダメな気がして、 内定をもらったり、自分とは違う方法でがんばっている人を批判し、自分を保った気になる。 社会人として何年も生きていたって、そんな気持ちはいくらだって沸き起こるから、 人生を決める就活生だとなおさら雲をつかむような話なのかなと感じた。 人のいやな部分が前面に書かれていて、読み進めるのがきつかったー。 自分にもそういうところがあるってわかるけどね。 わかるけど、目をそらしてしまう部分がたくさんでした。

    3
    投稿日: 2024.12.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公は何者にもなれないのに何者かになろうとしてる周りの人たちを無意識に観察しては卑下していくが、 結末ではようやく 主人公が何者にもなれない自分の弱さを認めた上で就活に挑むシーンが心を打たれた。

    1
    投稿日: 2024.12.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    就活してた当時を思い出し、何も手ごたえなく終わる面接を思い出した。。就活が得意なのと、仕事をしていくのはまた違うというのは、納得。外から批判や評論だけより、泥臭く当事者としてやり切るのがやっぱり大事。社会人として必要な要素が、色の違う五人の登場人物に含めらるてんのかな、あなたはどのタイプ?って聞かれてる気がした。最後までモヤモヤ。

    0
    投稿日: 2024.12.03
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    「観察者」として物申すと、これに新知見を見出している人はどれだけ薄っぺらい人生を送ってきたんだと言いたくなる。自戒を込めて

    1
    投稿日: 2024.12.02
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    朝井リョウらしいリアルな小説だったなと思いました。 数年前に就活を経験した身からすると、こういう会話や全てのシーンが容易に想像できてしまうくらいよく再現されていたストーリーだと思いました。 なのでイメージが湧きやすく読みやすかったです。 そして登場人物のそれぞれが「確かにいたなこういうやつ」というキャラでゾワゾワというか、痒くなるというかそういう感じで読みました。 主人公は友人が泥臭く行動していることをカッコ悪いと批判して、それは無意識のうちに自分を守る(無理やり肯定する)ための行動だったと気づくシーンがあります。 私はこのシーンを見て「あぁわかる、無意識にやってしまう自分のやなところに似てる…」となんか居心地が悪くなりました。 これが朝井リョウ小説なんだよなという充実感と謎の焦りみたいなものを読了後にじわじわと感じています。

    1
    投稿日: 2024.11.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    終盤までずっと主人公に感情移入してて、一緒に理香さんとか隆良をバカにしてたけど、最後の最後にやられた。自分は他の人より考えてる、想像力がある、と思ってる人ほど、考えられてなかったり、想像力が足りないことは多いのかなと思わされた。

    3
    投稿日: 2024.11.24
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    この本を読んだのは中学生だった。あの頃は就活なんてまだ数年後のことで、こんなに大変で苦しいものなんだとどこか他人顔してたし、まだ理解できない不安が書かれていた。そんな私も今は就活生。自分のやりたいこと、できること、できないことで絞られる選択、やらなきゃいけないことがたくさんある中で結局私は何者になるんだろう、何がしたいんだろうっていう不安が込み上げてくる。でもまた読みたい。次は就活生も終わって苦しくない時に。

    2
    投稿日: 2024.11.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読みながら辛くなった。でも年代もまったく違う私がここまで感情移入できる作品だった。 痛いところ、見られたくない気持ちを何度も繰り返し刺してくる。拓人は相手が自分より下だと思うことで自分の優位性を認識する。直接言えないから匿名アカウントで吐き出す。相手の匿名アカウントも探し出し、相手の本音を知る。 拓人の、理香や隆良を馬鹿にしてる感情は読者に伝わるし、そう感じる人も多いのでは。その拓人が最終で逆転し、やり込められる。理香や隆良が苦手だと思っていたが、一番苦手なのは拓人だった、そういうことって現実にもあるように感じた。 いまさらだけど、読んでよかった。 朝井リョウさん、岐阜県出身とのこと。あれは南山大学のことかな、と思った。

    2
    投稿日: 2024.11.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【読んでいる途中の感想】 朝井リョウの小説は、私の記憶では多くが一人称小説で、この小説も一人称(拓人目線)だけれども、いつも思うのは、朝井リョウが書く主人公に体温を感じない。 登場人物は直接的な言葉であろうがなかろうが、イライラしたとか、むかついた、嬉しかった、悲しかったの感情を表現しているのに、それでも自分や周りを客観視しているような雰囲気がある。 「こいつは苦手だな」と主人公が感じているのは文を読めばわかるけれども、主人公の心の奥底にある言葉ではないような気がする。自分が小説の登場人物と分かっていて「自分」を物語用に作っているとか、一人称視点なのにいわゆる「神の視点」的な空気がある。 【読了後の感想】 自分の子の目線はまんまと朝井リョウの作戦に引っかかっていたのだなと思った。自分は客観的に物事を見れる人間なのだと、そういう登場人物に共感させておいて、さりげなく理香や隆良を笑うべき「痛い」人の象徴と描いておいて、最後の最後で拓人と拓人越しにいる読者を徹底的につぶす。読者の心の隅に逃がしている他者への軽蔑を決して見逃さない。 自分も無意識のうちに、他人を冷静に観察できる人間だと思っていたのを知らされて嫌だった。けど、その嫌さが気持ちよくもあった。 結末の拓人じゃないけれども、他人に指摘されることで自分の悪さを認識できたし、受け入れられたと思う。 拓人が右ポケットに入っているのにも関わらずそれを隠して煙草を持っていないふりをして隆良を逃がさないの、最高に性格が悪くてよかった。 解説の三浦さんの「これは罰するのではなく赦す物語」とあって、納得した。理香や瑞月は、拓人や隆良に対して、もしかしたら罰したいという気持ちが少なからずあったのかもしれないが(ここを理解できていないあたり、自分はまだ完全にこの物語を読めていないんだなと思う。)、物語全体で朝井リョウからのメッセージとしては、拓人に感情移入・共感した自分を責められているとは感じなかった。 この小説を買った後に、「就活生は何者を読むな」とSNSで見ていたし、実際にバイト先の社員さんからも「今は読まないほうがいいよ」と言われた。 けれども、いつもの朝井リョウじゃん、と思った。就活中に読んでも大丈夫だとは思う。人間不信にはなるが(笑) 追記 就活中に読んで大丈夫だと思ったのは、自分には友達がいないからでした。友達がいない人はノーダメージで読めます。ソースは私。

    1
    投稿日: 2024.11.19
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    就活中の男女の物語。見栄・虚栄心・侮蔑等の感情が登場人物から滲み出てくる。映画を見たあとに原作を読んだので登場人物は映画の役者で脳内再生。 自分自身やあの人は本当は「何者」なのだろうか。多くの物語で表現されているが「視る人によってその人の評価は変わる」ということが印象的だった。

    4
    投稿日: 2024.11.19
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    就活中に読んで病みました。集団の中で自分の立ち位置を確認したかったり、他人の就職先の欠点を探そうとするのはリアル。少なからず主人公のような感情は持つものなので、それを受け入れて一歩踏み出す結末になったのは救われた気がした。

    2
    投稿日: 2024.11.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    就活がテーマのように見えても、ディジタルネイティヴと言われる現代の若者の自意識こそが本書の真のテーマだ。性格が悪いやつを追い詰めていく探偵であったはずの語り手こそが"犯人"(=性格が悪いやつ)であったと暴露されるミステリーだとも言える。と。イヤな時代になったと心底思う。プライヴァシーの侵害やキャラの使い分けは昔もあったけれど、現代ではスマホやPC内の個人情報、プライヴァシーを盗み見したり、SNSで裏アカを作って本音を吐露したり、裏アカを突き止めたり。インターネットの暗い時代の到来を描いた小説でもある。

    2
    投稿日: 2024.11.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    誰しも心の奥底に持っている、黒い部分を曝け出したような話だった。 Twitterを効果的に使っていて面白いなと思ったけど、私には少し読みにくいというか引き込まれる感じがなくて、前半はちょっとだけ挫折しそうになってしまった。 自分を何者かであるように見せようとするダサさが、「俺なんかはそう思っちゃう」とか、そういう言葉の端々にあらわれてて、あーこういう痛い人いるよねぇと思いながら読み進めたけど、最後拓人が理香にこてんぱんに言われるところは、正直理香って性格悪くない?って感想にしかならなかった。 誰だって人を妬んだり、嘲笑ったり、小馬鹿にしたり、することってあるよね。 世の中にはそういうことをしない、信じられないくらい性格が良い人もいるのかもしれないけど、ほとんどの人がそういう黒い部分を持っていると思う。 拓人ってそんなに悪いやつかなぁ。 友達の内定を祝ったり、瑞月のことを本当に心配したりしてるし、心の中で小馬鹿にしてても、本人に全部言ったわけじゃないのに、ちょっと厳しくない?あ、ギンジには言っちゃってたか。 そりゃあ裏垢で友達のこと馬鹿にしてたら引いちゃうけど、心の中で思ってしまうことは、きちんと隠せればそれで良いと私は思う。思ってしまうのは仕方ないもん。わざわざ裏垢探す方も探す方よ。 どの角度から見てもダサくないように生きようと思うと、この世界は生き辛い。 ダサい自分も笑えるように、自意識過剰な自分も認めて、人の心をえぐるようなことは言わないで生きていたいな、と思った。

    2
    投稿日: 2024.11.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分が就活していた時はまだSNSとかなかったし、この作品とは時代背景が違うのだけど、あー、わかるなあ。こういう人、絶対居るよなあ、、と、どの登場人物もリアリティがあった。 きっと私もこの時代に就活してたら、他人のSNSやら、他人から見た自己評価やら、気にして悶々としてたと思う。今は歳を重ねてもう割と諦めがついて他人は他人、自分は自分とだいぶ俯瞰して見られるようになってるなあ、とこの本を読んで自分も少しは大人になれたことを実感できた。

    1
    投稿日: 2024.11.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ちゃんとした就活をしなかったので、ある意味新鮮でした。主人公みたいな人はたくさんいて、私も似たようなことを思うことはある。最後責められてかわいそう。私のように共感できる人が多いからこそ主人公だったのかな。

    1
    投稿日: 2024.11.05
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    「六人の嘘つきな大学生」の次に読んだ小説。余計に自分の嫌な部分に気付かされた気がします。ページ数は多くないけど、読み進めるのが怖かったり、前のページを見返したりと、読むのに時間がかかりました。

    1
    投稿日: 2024.11.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    初めて朝井リョウ先生の本を読みましたが、非常に読みやすかったです、ただ自分が就活をしていた時とはだいぶ境遇も違っていたので「共感」ってほどにはならなかったですが興味深く読めました。朝井先生は人物描写が上手く特に「痛いキャラ」を描くのが抜群に上手でした。だからこそ私たちは主人公の拓人に1番感情移入してしまいます。なので拓人にもう少し救いのあるラストでも良かったんじゃないかと思ってしまいました。大学の仲間たちがただ就職活動をしてるだけで割と物語が進んでいくので最後どういう風に終わるのかなとは途中から思いました。正直後味はよくないし、モヤモヤは残る最後でした。拓人は確かに自分以外の他人の批評を裏でしてましたが表向きは普通に善人です。最後理香さんにメタくそに言われてましたが、そんなに拓人は「悪」なのか?実際に拓人と理香さんがいたら私は拓人の方と友達になりたいし、入社して欲しい。その位拓人という人物はありふれていて「普通」の人間だと思っています。拓人みたいな気持ちは誰もがある感情ではないでしょうか、表でマウント取る理香さんより裏垢で文句言う拓人が劣っているのか?そんなことはないと私は思ってます。しかし1番ありふれている拓人というキャラを(ましてや主人公)を最後突き落として我々読者に問いかけるのが朝井先生の戦略なのかな、と思いました。ラストはそこまで描かれないので拓人が就職出来ますようにと、願ってやみません。

    2
    投稿日: 2024.11.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    安定の朝井リョウ 最後に全員5年生だと分かった瞬間に2年目NNT主人公の観察眼や冷静さが全て逆のバイアスで効いてきて痛々しく見てられなくなるのがミステリー的などんでん返しみたいで最高だった。 こういう書評SNSを愛用するような、第三者として人の作品を品評するのを好む人種は本作で共感性羞恥が掻き立てられてしまう。私です……

    0
    投稿日: 2024.11.02
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    就活が終わって何年か経つけど、、、終わってから読んでよかった…多分あの頃読んでたら色々気になって仕方なくなっちゃってたかも。 朝井さんの観察眼が恐ろしすぎて怖い。登場人物全員が誰に当てはまるとかないけど、ほんとに想像でいそうな人物で、いてもおかしくないし、てか、どこかにはいて、そんな人たちが読んだらどう思うんだろうって思っちゃう。けど、自分もこの中の誰かかもしれない、なのに達観してしまっている、という罠に入り込んじゃう感じ… 多分周りからこう見られてるなって本人は、思ってなくても実際そう見られてたとき、「ださ」って思ってしまう節はあると思う。とにかく朝井さんがすごすぎる。

    5
    投稿日: 2024.10.30
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    私は今までなんの努力もせず、やりたいことや目標があっても行動をせずに過ごしてきた。だけど自分には才能があっていつか何者かになれると思っていた。そんな自分を見ているような作品だった。

    0
    投稿日: 2024.10.27
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    自分が大学生の頃だったら生々しくて読めなかったかも…というのが読了後の率直な感想。 結局人は「自分でない誰か」にはなれない。自分の人生を当事者意識を持って生きていくしかない。当たり前のことだけど、改めて目の前に突きつけられた気がしました。

    0
    投稿日: 2024.10.26
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    初めて朝井さんの作品を読んだ。 何気なく読み進め、自分が主人公になったような感覚だった。自分の周りにも隆良や里香ような人いるなと思っていたら、こんな結末になるのかという感じだった。 その思いをSNSで発信するか、しないかはあるが、自分も似たようなところがあると思った。仲の良い友達でも全てに好意を持てる訳ではないし、嫉妬することもある。 ごくごく一般的な生活の中での話だが、考えさせられる作品だった。

    14
    投稿日: 2024.10.25
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    拓人。 分かるわぁ。クールな傍観者を装って、心の中は暴風が吹いてる。 でも、悪態をつくような気持ちを、誰にも知られたくない、自分の中だけのことってのが、少し前の世代? 裏アカってとこで、吐き出すことは出来ない。 最終的に、拓人はカッコ悪い自分を直視出来た。けっこう大変なことがあった時、それは無駄じゃなかったってこと、よくある。何もないと、トラブルはないけど、人としての魅力も少ない。 サワ先輩はすでに見えてて、渦中にいないとこや、ギンジくんみたいに、完成には遠いけどその時出来ることで進んで行く、このふたりは何者にかなるのかもしれない。

    1
    投稿日: 2024.10.24
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    知ったように読んでいたら 最後にそうくるか。とどん底に突き落とされた感覚。 でも私は就活の経験が乏しいので深く共感したりすることは出来なかった。 そして純粋に私は恵まれてるんだなとも思った。   「何者」になれるのか「何者」にもなれず終わってしまうのか…   でもそれって巡ってくる運命に身を任せるだけじゃなく 自分から掴みに行かないといけないものなのかもしれない。

    0
    投稿日: 2024.10.21
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    主人公に感情移入しながら読み進めていたはずなのに 自分自身のものの見方を見つめ直すきっかけになっていました。 物語後半のブーメランのような展開は衝撃的でした。

    0
    投稿日: 2024.10.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    物知り顔でふんふん読んでたら、最後にずたずたにされてしまった。 かっこ悪くてもがむしゃらに何かできるってきっと才能だなぁ。せめてそれを応援できる人でありたい。一生懸命を簡単に否定するのは、きっと負け惜しみだから。 個人的に価値観がぐわんぐわんする話が好きなので高評価!!

    0
    投稿日: 2024.10.19
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    ちょうど就職活動前に読んだからこうはなるまい、と自分を保つとこができたかもしれない。新卒就職活動ほど不透明でプレッシャーのあるイベントはあとも先にもないだろう。

    0
    投稿日: 2024.10.19
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    就活が終わったあとに読んだら共感できることがたくさんあった、、 主人公の自分を守っている姿や周りのことばかり気にして何者かになろうとしているところが自分の就活経験とかさなった。小説読んでから、映画見たらわかりやすかった。

    0
    投稿日: 2024.10.15
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    何もしてなくても、小学校中学校高校大学と進んでいった。だけど、就職転職は違うよね。 やーーな奴もリアルに表現されてた。

    0
    投稿日: 2024.10.12
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    面白かった、というか「あーいるいる」「あーあるある」って感じ。就活したことある人は多分よく気持ちが分かると思う。でもSNSがこんなになかった時代(mixi全盛期)だったから良かったなっておもう。今のが辛そうw就活中と、就活前の人は読まない方がいい。でもほんとにあれなんだったんだろうっていう時間だな。就活って。で、就職した職場…結局就職した後、何をするかが大事なんだけどね。そして案外何もできないんだよね

    1
    投稿日: 2024.10.11
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    2024.19th 昨年「正欲」を読んで以来の朝井リョウ作品でした! 「正欲」が圧倒的過ぎた(テーマ設定の段階で既に勝ち確みたいな作品でしたよね(´ー`))ので、それよりはインパクトに欠けるものの、分かりみの深さという意味では本作かなり秀逸でしたね。。 わざわざSNSで発信するかどうかは別にしても、拓人みたいに自分を守りたくなる気持ちは分かる(=´∀`) あと、本作の映画化で監督も務めた三浦大輔さんの巻末の解説…正直過ぎて笑ってしまいましたw

    0
    投稿日: 2024.10.10
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    途中までのんびり読んでいましたが、最後に自分に向けられているかのような内容に変化してビックリしました。

    0
    投稿日: 2024.10.09
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    同世代が横並びで競い合うイベントと言う意味では、就職活動が最後のイベントかもしれない。そんなタイミングに差し掛かった大学生たちの不安な日々が描かれている。 一方で、登場人物たちのアカウントが冒頭で紹介されているように、ソーシャルメディアがもう一つのテーマ。特に終盤は、読者自身もこの物語の中に取り込まれたかのように大きく物語が変化する。ネタバレとならないうちに読むことがおすすめ。

    0
    投稿日: 2024.10.08
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    正欲がとても面白かったので読んでみました。 正欲ほどのインパクトはありませんでしたが、こちらも十分に楽しめました。 終盤の展開のように、それであなたはどうなの、と言われているような、これまでの物語で説明されてきた構造に放り込まれるパターンはこの人の小説あるあるなんだろうか。 就活にしろ結婚にしろ、これまでみたくエスカレーター式で引っ張ってくれる時間は終わっちゃったんだし、自分で選択していくしかないんだよね。 分かっちゃいるけど主体性を持つ、ってかなり覚悟がいることで、年齢相応の精神年齢に至ってないのはこういうのから逃げてばかりだから、というのも理由の一つのような気がします。

    4
    投稿日: 2024.10.07
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    映画化されている作品。 カバーに出演者の写真が載っていて、 俳優さんの声が物語を楽しめた。 裏アカの検索の仕方にゾゾゾ。 まさかツイートを辿って読んでる人がいるなんて。 スピンオフ『何様』とセットで読むのが、オススメ。

    1
    投稿日: 2024.10.06
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    就活をするかしないか迷っている自分にはとても刺さった。見えない社会の流れに乗る人生なんてつまんない。自分の軸で生きていけば良い。って言葉に背中を押されたけど、拓人が就活しないと決めている人の自分は何か違うというのはなんなんだろうかという言葉も刺さった。留学しても海外インターンしても何も変わらないというのも、刺さった。自分の好きなことを周りに何を言われても突き詰めるギンジの生き方もダサくても一生懸命やり抜くリカもかっこいい。

    0
    投稿日: 2024.10.03
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    ツイッターに囚われすぎる自分に嫌気がさしてやめた後に読み始めた。そんなタイミングだったこともあってか、ぐさぐさ来た上に結末にびっくり。冷ややかに客観視するのは格好が悪く思えて、滑稽に見えたって足掻いて頑張る人間になりたいと思った。.

    1
    投稿日: 2024.10.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    何者かになりたい若者の就活期の葛藤を描いた作品。 何者かになるってのは 急にチャンスがくるわけではなくて、自分で掴み取りにいくもの。 それも何者でもない姿でがむしゃらに頑張った先にあるものかもしれない。 このテーマが凄く腑に落ちた。 ボランティアをしても、留学をしても何も変わらなかったと言った理香さんのセリフが本当にその通り過ぎて、成り行きに任せて色々やってみたけど何者にもなれてない自分とリンクしてそりゃそうか〜〜と思わされました。 読んで良かったです。

    1
    投稿日: 2024.09.26
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    ************************************************ 就活を通して知り合った大学生男女五人は、 本音と建て前が交錯する中で関係が変化していく。 見え隠れする心の闇とアイデンティティを模索し、 自分自身との対峙を余儀なくされ、成長していく。 ************************************************ 映画から入ったので脳内は常に菅田将暉。笑 割と小説に忠実な映画化だったのかなと思った。 就活という題材で、人間の闇が引き摺り出される話。物語は始終冷静な分析をする主人公目線で進むので、無意識に同立場同意見になってしまうところがあり、それが大きな間違い、いや、間違いではないけれど、些細な違和感を感じつつもそれを都合良く解釈して一方向にしか目が向いていない浅はかさを思い知る。 誰かを観察し分析し評価し何者かになった気でいる。 じゃあお前はどうなんだよ?と、問われて狼狽える。曖昧で不明確で不安が付きまとうアイデンティティ。身に覚えあり過ぎる。。。。苦笑。 画一的な意見を鵜呑みにしないようにはしているし、自分の愚かさを認められるようになったと思うけど、まだそんな自分を咀嚼し切れなくて持て余してる私。「大丈夫だ」と確信を持って言えるようになるのかな。正直これだけ拗らせた主人公がすぐ実直になれるとは思えないので、この先を見守っていきたい気分?笑。 誰かと比べ、誰かを蹴落とし、誰かを嘲笑うような、そんな生産性のないことしたくないよねと思いつつ、人間はとても弱いからバランスを保つので精一杯で、自分を肯定する為に他を批判するなんて日常茶飯事。 でも、「自分は自分にしかなれない」のだから、 そんな自分から曝け出したもので勝負するしかない。何もせず同じ場所で同じことを言ってるくらいなら、 「十点でも二十点でもいいから自分の中から出す」 ことからしか、何事も始まらないんだなと痛感した。 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎-------- 朝井リョウ作品だけは、珍しく夫氏も読みます。 なのでお互い読了後はあれやこれやの討論大会。 楽しいです。笑 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------

    5
    投稿日: 2024.09.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分の痛いところを見透かされているようで何度もグキッッッ! 最初、主人公が理香や隆良に対して抱く嫌悪感に共感しながら読んでたのに、最後理香に思いっきり遣り込められた。 毎日ネットやテレビに触れているとステージ上で輝くアイドルや大爆笑をかっさらう芸人が当たり前のように目に入ってくる。 それに対する尊敬や憧れの気持ちが現実とのギャップと擦れ歪んだ自意識を生む。 結局自分は何者にもなれない。 世間から注目されるような才能もなければ努力すらもしていない。 心のどこかでは分かっていても認めたくないという反発心が醜くも 渦巻いている。 悲しいかな何者にもなれない人がこの世の大半を占めている。 その中でダサくとも足掻ける人はかっこいい。 主人公のような、自分の弱さから目を背け努力することすら放棄して張りぼての達観を振りかざし、がむしゃらな人を見下すことこそが最も醜い。 「何者にもなれないくせに、そんな足掻いてカッコ悪い」と何者にもなれないながらに頑張っている人を一歩引いた場所から何もせず鼻で笑うだけの人にだけはなりたくない。 共感性羞恥も、足掻いてる人を見て焦り必死に繕った「自分はこんなことしなくても何者かになれるから大丈夫」という自己欺瞞の裏返しなのかなと思ったり。 サワ先輩の主人公に対するちょっとした説教も心に残った。 Twitterやインスタをやっていないからこそ至れる達観。 自分も主人公のようにネットに拘泥してしまわないよう気をつけたい。

    16
    投稿日: 2024.09.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    普段ミステリーを読むことが多い自分には、評価が難しいと思いました。結末が読めない分、スラスラと読み進めることができました。以下思ったこと ・理香がちょい役だと思ったら、全然そんなことなかった ・ギンジがもう少し関係するかと思ったら、全然そんなことなかった ・光太郎が良い人すぎた ・裏アカってそんなすぐバレるものなのかと疑問 ・拓人はシンプルに面接が下手なんじゃないか ・ラストの理香の言葉が、読者に向けられてる感じがした 普段本の感想を誰かに伝える訳でもないので、そういう意味では、ここの感想も裏アカみたいなものだと思いました。メッセージ性の強い一冊

    1
    投稿日: 2024.09.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大学時代に読み、社会人の転職しようか迷うっているタイミングで読み返しました。 日記じゃなくてSNSに載せることで、他の人からすごいと思ってもらいたいとか、友人が受かった就職先の悪い噂をネットで調べたりとか、自分も見に覚えがあるなあという感じ。 本当にやりたいことには蓋をして、「ちゃんと」就職する。 理想と現実のギャップにやられた就活時代を思い出しました。 本棚にしまっておきたい1冊です。

    0
    投稿日: 2024.09.19
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    就職活動中の学生それぞれの思いを形にするとこの作品になるのですね。終わり方が唐突で「えっ⁉︎これで終わり?」と思ってしまった。映画も観てみたい。

    7
    投稿日: 2024.09.19
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    本が苦手でもスルスル読めた! 今から就活をする自分を重ねて読めてめっちゃ面白かった。誰も何者でもない。今の自分を相手の前に提示するしかない。響いた

    0
    投稿日: 2024.09.17
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    私自身は田舎出身で高校を卒業してすぐ 就職したのでいわゆる就活は経験せず、 社会人になりました。 なので(特に都会で)大学出てから就職するのって こんなにも大変なのか、、!! と衝撃を受けたところからスタート。 SNSは私もやっているけれど、 みんなに報告できるほど楽しい 学生生活を送っていた訳でもないし、 同世代に苦手意識もあるため、 リアルなアカウントは1つも作ってません。 でも、だからこそ常に「観察者」になってるし、 自分を隠したり、別の自分を演じたりしてしまう。 「ほんの少しの言葉の向こうにいる人間そのものを、想像してあげろよ、もっと」 と言うサワ先輩の言葉と どんでん返しの構成にハッとさせられました。 エッセイでも感じたけど、 朝井リョウさんは凄まじい観察力と 優しい想像力を持った 素敵な方なんだなぁと思いました。

    9
    投稿日: 2024.09.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み始めは、最近の就活における心模様みたいな小説なのかなと思っていたら…ラストのおそろしさ。 学生時代に読んだ「人間失格」で主人公が自分の道化を見抜かれた場面を思い出し、読んでいて息が詰まりそうでした。 自意識の過剰、自己欺瞞、隠したつもりで見抜かれている自分の本心。 どうにもならない人の心が、就職活動という横並びの競争のなかで歯止めがきかなくなっていく。 人を気にせずありのままの心で生きられたら、どれだけ楽なことか。その難しさは時代をこえて普遍なものでもあるんだなと、、久しぶりに忘れていたキリキリする痛みを感じました。 朝井リョウさん、これからも心して読みたいと思います。

    7
    投稿日: 2024.09.09
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    自分の就活時代を思い出した。 一緒に就活する仲間は欲しい。 でもその仲間が自分より先に面接が進んだり、内定が出たりすると、いつのまにかライバルに変わってしまう… その辺の心情がうまく描かれていたと思う。 今でもエントリーシートや面接だけで、企業は自分を判断し合否を決める。 企業側もよそ行き、面接側もよそ行きで面接し合って意味あるのだろうか… 永遠のテーマ。

    2
    投稿日: 2024.09.07
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    就活の行動や感情、SNSに書き込む胸の内がリアルに描かれており、どんどん読み進めた。 特に学生側の奮闘する姿は、「ああ、こういう人確かにいたな」とすぐ思えた。 学生から社会人になるその変化を捉えた瑞月の言葉が印象的でした。

    1
    投稿日: 2024.09.04
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    就活生を題材にした小説 直木賞受賞作だし、この作品の方が先だけれど、イメージしていたのは『六人の嘘つきな大学生』でした 違いました、やっぱり… 自分への刺さり方が全く違った どこか俯瞰して周りを見てしまう自分と似ている主人公 器用に立ち回れない自分を無理やり肯定しようとすると、「自分は見えてるよ、気付いてるよ」と言うスタンスを取りがち。自分を守るために… だから読んでいて最後の方はしんどかった そして、SNSは自分を晒すものなのか、隠すものなのか 色々と考えさせられたし、突きつけられたし 凄い作品でした

    10
    投稿日: 2024.09.04
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    この作品を読んだときは就活を控えた大学生だった。当時特に何かを頑張っていたわけでもないのになぜか自分に自信があったので、同じように周りを見下す登場人物に共感し、自分の痛さを思い知った。自分のそういう面はすぐに変えられるものではないけれど、自覚したくないことを自覚するきっかけになった。

    1
    投稿日: 2024.09.04
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    就活の為に集まった5人の話。拓人の言動に何となく嫌だなと感じる。それでも殻を破ってくれる人がいる事がどれだけ救いになったことか。若い時に読んだらまた感じる事が違ってくるんだろう。歳を取れば本音は伝え難くなりそう。

    33
    投稿日: 2024.08.30
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    就活は自分自身と向き合う時間だ。 これほどしんどいことはない。 なぜだろう。 自分に自信がないから? 自分の嫌なところばかり気になるから? 逆に好きなところがわからない? 結局、周りからどう見られているかが気になる だけなのか? SNSという場所は、自分を隠す場所なのか、 さらけ出す場所なのか、別の自分を生きる場所なのか。 私は何者なのか? 50半ばになってもわからないかも!

    6
    投稿日: 2024.08.27
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    就活対策として定期的に集う就活生たちを描く青春群像劇。『六人の嘘つきな大学生』に続き、就活のお話。私自身が人生の中でほとんど経験してこなかった就活というものについて、考えさせられる作品だった。 主人公の二宮拓人は俯瞰して物事を見る癖があるドライな性格の大学生。 同居人の神谷光太郎や同クラスの田名部瑞月に対して、どこか仄暗い感情を持っているように見える拓人だが、彼の視点から語られる就活対策メンバーの姿はどれも解像度が高く、「あ〜、こういう人いるよね」と思わず頷いてしまうものだった。しかし、この読者を巻き込んで一種の同調のような感情を抱かせる一人称視点は、後半のあるシーンで一気に読者の首を締め付けてくる。 試験に落ち続けて誰かに拒絶させる苦しみと、たいした者ではない自分をたいしたもののように話し続けなければいけないこと。拓人の語る就活の苦しさには、いまのネット社会を連想せずにはいられない。 インターネットの中であれば、どれだけ惨めな生活を送っていても虚勢を張ることができる。それが徐々に本当の自分を隠してしまうことで、いつしか現実の自分が嫌いになり、行動も消極的になっていくことを私は知っている。 かつてツイ廃だった私は二年前にSNS断ち(主にTwitterとInstagram)をしたのだが、その行動は正しかったようにしみじみと感じる反面、それらを上手く使いこなせなかったという悲しい想いもずっと心の中にある。 私たちはインターネットという世界へ、仮面を被って潜っている。改めてそれを実感させられ、現実の自分を見つめ直すきっかけになる作品だった。 三浦大輔氏による解説も本編に見劣りしないほど面白い。まさに愉快という言葉がふさわしく、この作品の魅力がよりくっきりと輪郭を現すような表現は一見の価値あり。

    17
    投稿日: 2024.08.25
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    就活のあの痛々しさと、それを嘲笑する目線すら包括して描いている。 朝井リョウが描く“観察者”特有の言葉の飲み込み方が意地悪で人間臭くてゾクゾクしちゃう。 最低で最高などんでん返しが良いね。映画版も見てるが、文章の方が破壊力出る。

    1
    投稿日: 2024.08.24
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    友人にも本当の姿を見せない(見せられない)若者たち。なのかな。 物語を通してSNSというツールについて改めて考えさせられる作品であったと思う。

    1
    投稿日: 2024.08.21
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    就活って、企業に見せる表の面には綺麗で見栄えの良いものばかりを揃えるのだけど、その分裏面はものすごく醜くなっちゃう。 いつも以上に他人が気になって、自分への慰めも兼ねて人のことを見下してしまう、就活時代に親の顔よりよく見たそんなグロテスクなやり取りで心が抉られた。

    5
    投稿日: 2024.08.18
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    4年前、就職活動をしている同級生を「私は一般企業受けないから」と言って横目で見ながら、教師になりました。だんだんその生活が苦しくなってきて、去年転職活動をしました。「前に比べて暇でさw」なんて言いながらのらりくらりと生活しています。読んでいる最中から読み終わった今も、ずっと心が痛い。

    0
    投稿日: 2024.08.18
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     就職活動に臨む現代の大学生たちのリアルを描いた一冊です。  主人公は、演劇のサークルで活動をしていた男子大学生。引退ライブを最後にバンド活動をやめたシェアメイトとともに就職活動に挑んでいる。エントリーシート、就職試験の模擬、面接練習――そんな就職活動に向けて、主人公とシェアメイト、主人公の好きな人でシェアメイトの元彼女、その友達とその彼氏という少し変わったメンバーで集まりながら、彼らは自分の進んでいく方向を探していく。  私は自分の進んだ学部の特性上、一般的な大学生が向かう『就職活動』のようなことはしなかったので、想像するしかない部分もあるのですが、SNSやWEB検索に振り回されて、自分が何者であるのか、何者になれるのか、探して求めていく様子がとてもリアルに伝わりました。  自分は、本当はどういう人間なのか。  大人になったらわかるものなのか。  自分の足場をどこに置いたらいいのか確かめるような日々を越えて、彼らが掴むのはどんな未来なのか。  今の自分にも置き換えながら色々と考えさせられる話でした。  大学生であったのはもうはるか以前の話であるのに、今でも私は『何者』かになれた気はしていません。  いつかなれるとも思われないですが、それでも、今こうしている道にも意味があると思いたい。  そんなことをじんわりと感じていました。

    0
    投稿日: 2024.08.11
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    「何者」かになる方法。それは、誰かから冷笑されても踠き抗うことを辞めないこと。自分の中の10点、20点、他の言い方をするのならカッコ悪いところを出し続ける挑戦者であること。 記号以下の言動で装うのでもなければ、都合の良い言葉で気持ちを保つことでもない。自分自身の本心から来る言動。そして、他者からの厳しい視線と意見を聞くことができる人なのかもしれない。

    1
    投稿日: 2024.08.09
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    内容は就活に励む大学生たちの日常。その陰に潜む本心が綴られている。 まず、自分はまだ就活をしたことがない。だから就活の大変さを知って、将来自分もこの道を通らなければならないのかと思うと少し億劫になってしまった。最後の就活の面接のシーンでも突然振られた質問に正しく答えて、自分が入社したいという気持ちを言語化して相手に伝えなければならないということはとても私にはできそうにないと思った。だけどやらなくてはいけないのだなという気持ちも芽生えた。 この作品では田名部瑞月の隆良に言った言葉がとて納得した。 「人生が線路のようなものだとしたら」「生きていくことって、きっと、自分の線路を一緒に見てくれる人数が変わっていくことだと思うの」 このセリフは私もそう思う。今までずっと自分は良い結果が出せないから過程が大事だと言い続けてきたけれど、自分が将来社会人になったら私を評価するものは私が生み出した評価だけなのだということに気付かされた。高校までは私の日常を見てくれる先生や両親が存在していたけれど、大人になれば先生だっていなくなるし両親ともより距離ができる。親しい同僚ができたとしても先生や両親ほど過程を気にしてくれるとは限らない。だからこそ結果を出すのは大切だしそれ以前に自分から挑戦して10点でも20点でも自分で結果を作るという行為は大切なのだなと気付かされた。だから私も良い点数が取れないからというだけでtoeicのテストを受けないのではなくて低い点数でもまずは受けてみようという気持ちになれた。 また後半で光太郎が自分はただ就活が得意なだけだった。就活ができても何者にもなれていなかったというセリフもとても印象に残っている。私もふと同じことを思う瞬間があるから就活もしていないのに少し共感してしまった。元々自分は中身が空っぽなのだなと思うことが最近あって何が好きなのかが自分でもわからなくなったり、自分で自分を疑ったりして自分が何者なのかがわからなくなることがある。でもこれは私ほどひどくなくても思う人は他にもいるのかもしれないと思うとどこか少し救われた気がした。 この作品では若者ならではのTwitterが多用されているが、SNSの恐ろしさを実感した。自分の顔が見られていないからといって好き勝手に言葉を残すことの恐ろしさやその自分の汚い部分がそのまま他の人にも見られていると思うと読んでいる自分もゾッとした。 久しぶりの朝井リョウさんの作品でとても充実した時間を過ごせた。自分の汚い部分を見ている気がしてハラハラするが、それを知ることの気持ちよさと、他人に見つけてもらえることで自分だけで背負っている感情じゃないという謎の救いを感じることができるからこの方の作品を読むことを止められないのだなと思いました(^ ^)

    19
    投稿日: 2024.08.09
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    現代の就活生の実態やSNSの使い方とかリアルだった。 けれど、なんか主人公の拓人には好感がもてなかったなぁ…。 自分は専門職だったから、一般職の就職の様子がよく分かった。

    4
    投稿日: 2024.08.08
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    現実味があり、小説として面白くなかった。 誰もが不安に感じる就活。 妙に意識高くなる周り。 意識高いことで、優越感に浸る人間や、安心を得ようとしているタイプの人間っているよなと現実に当てはめてしまい不快な気分になる。

    0
    投稿日: 2024.08.05
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    就活に励む大学生の話。就活を通して学生から社会人へマインドが少しずつ変化していく中で、まだ「何者」かになる事を捨てきれない若者特有の葛藤が上手く表現されていると感じました。 上手くいかない就活に対してまるで傍観者のように立ち振る舞う事で自分を守る人、人脈や肩書などを使い自身満々に振る舞う事で自分を守る人、色々な人がでてきます。 個人的には瑞月が隆良に感じていた違和感を伝える場面が良かったです。あと最後の理香さんが拓人に説教かますシーンは胸が熱くなります。理香さんも同じ穴のムジナなような気もしますが、自分の事を理解し、もがき苦しんでいる点では拓人よりも一歩リードしている気もしました。 人にあれこれ言って自分の事は疎かにしたり、生きてく上での覚悟みたいなものが足りないと、人としての厚みが無いように見えるのだと感じました。

    1
    投稿日: 2024.08.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

    直木賞受賞作。 序盤は「あ、こういう就職活動をしている学生たちの話か。」と思ったけれど、さすがの直木賞受賞作、そんな単純な群像劇では終わらない。 中盤からどんどん人間の闇が見え隠れする。 ストーリーが進むにつれ、次第に本性が現れてくる。 最後にはミステリーかと言わんばかりの展開があり、その闇が露わになる。 SNSの裏アカなど現代ならではのツールを使い、軽い気持ちで投稿した数々の低俗な言葉が溢れる。 ドロドロとした雰囲気で読み終わるのかと思いきや、読後感は妙に爽やかときた! 朝井リョウさん、やるな……!

    2
    投稿日: 2024.07.31
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    自分の就活中を思い出した。 必死だったなぁ。日本特有の集団一括採用。 振り返ってみれば人はどうでもいいことに悩むが当時は本気なのだ。 他人の内定を素直に喜べない感じや人間の嫌なところが出る感じがリアル。 最後に安全なところにいた主人公が裏アカを持っていたどんでん返し。なるほどね

    1
    投稿日: 2024.07.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    思ったこと感じたことを、心に留めておくのではなくSNSに綴ってしまうと目に見える形として残るなと。良くも悪くも。 外見に対しての承認欲求とか、生き方や考え方についての自己顕示欲とか、今の時代にやたら目立つようになった人間性が就活中の大学生たちの日常には溢れていて苦しくなる。 読んでいくなかで最初はこの苦しさは彼らの青春や若さに対しての妬みなのかと思ったけれど、たぶんこれは人間の卑しさを感じて苦しいんだなと。それが自分の中にもあることに、物語を読んでいると気づくからキツい。読者にブーメラン!

    0
    投稿日: 2024.07.29
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    うんうん、大学生の時ってこんな感じだよな〜 就活懐かしいな〜と甘酸っぱい感じで読み進めた。 そうそう若い時は自分はこういう人間だという事をやった・やれる事柄で表現したがるよな、でも今でもそれはやっちゃうかもななんて評論家気取りでいたら…。 あ〜、頭をガンと殴られた気分。やられた〜という読後感。これはいい経験した。

    1
    投稿日: 2024.07.28
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    タイトルが読んだ後にガラッと意味が変わって捉えられる本。 菅田将暉くん好きだから読んでたんだけど確かに役柄にぴったりな明るいキャラでした笑

    0
    投稿日: 2024.07.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    油断していた。 タイトルと、聞いた話から、 これは何者かになりたい人達の話だと思っていた。 違和感はなんとなく抱えつつ、 ふーん、と読み進めて、 あ、って気づかされるラスト。 やられた、そっちもか、、となるし、 どんな感想を書こうとすでにがんじがらめにされているのはきっとみんな同じなんだろう 意識高い系はやるだけ偉いって思うし、 難しい言葉を使わなくても、毎日ちゃんと生活を営んでる人たちは偉いって思う。 みんな偉いとは思うけど、 やっぱり何者かではいたい。 しかもノーリスクに。 そして、 誰かの何かでいることの難しさを学びながら、 その生活を守ることも、 充分立派だとも感じている。 そんなことを書いていたところで、 凡人の光太郎が、 自分の人生での惑う事なき主人公であったことを思い出す。

    0
    投稿日: 2024.07.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    再読、当時映画も観た。 就活中の人は苦しくなるから読まないほうがいい。満足に終活を終えられなかった人も、自衛が必要かも。 終盤、理香が自分は恥ずかしいところをさらけ出してる!そのぶんあなたとは違う!と拓人を詰めていくが、いやいやその冷笑している人と同じラインでしょうあなた。と思ってしまった。 タクシー内で『何者』のいわゆる種明かし部分はできなかったかな?光太郎との会話で明かされてたら、もう少し救われたのだけど(._. 嫌にリアルな部分があり、感情が動かされる人が多いから良い作品と評価されるのだと思う。けれど、素敵!や共感!などではないので、注意。

    2
    投稿日: 2024.07.23
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    主人公の悪く言うと捻くれてるところが自分に当てはまって辛いところはあったが、その分共感できてなお辛かった。

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    投稿日: 2024.07.21
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    正直しんどかった。作者と同世代なので自分の就活をリアルに思い出して辛かった。ここまで悪く書かなくてもいいのに、とも思ったが、そこを描ききるところが作者の作家としての本懐なのだとも思う。他の世代の人にとってはもう少し気軽に、興味深く読める作品なのかもしれない。

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    投稿日: 2024.07.19
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    率直に、すごく面白かった。 甘酸っぱい、ではなく、ほろ苦い学生時代の感覚をまざまざと思い出した。 就活でいちばん大切なのは自己分析、というのは、いまも昔もよく言われる。 自分という人間が何者なのか、何者になりたいのか、なれるのか。 面接官でも、就活仲間でも、キャリアセンターの人でもなく、自分自身で見つけなければならないのだ。 その過程で、自分の嫌なところとも向き合わざるを得ない。つらいが、必要な経験だ。 SNSのせいで、他人のことは気にしない、というのが難しい世の中になったなぁと思う。巧妙なマウントの取り合いがヒリヒリする。 嘘ではない。でもカッコつけた自分しか見せてない。自分でも意識しないくらいにカッコつけた自分しか。それを繰り返していくと、ホントの自分がわからなくなる。でもその葛藤自体が、まぎれもなく「青春」の一部でもあると思う。 終盤はミステリのどんでん返しのような感もあり、最初から最後まで目が離せなかった。 リアルすぎて、現在絶賛就活中の人に勧めるのは、ちょっと躊躇う……

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    投稿日: 2024.07.09
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    今ちょうど就活が始まろうという時期で、とてもタイムリーな小説だった。自分が何者かになりたくて他の人と距離をおいて俯瞰したり、自分は他人とは違うと思い込むことで自分自身を守っていることなど共感できるポイントがいくつもあった。他人と比較する前に自分自身を見つめ直して、認めてあげることが重要なのかなと感じました。

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    投稿日: 2024.07.09
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    自分も就活中だから焦りを感じた。中盤まで理香とか隆良のこと痛々しいなって思ったから拓人くんと同じ気持ちだった。傍観者気取りして必死に行動してる人を馬鹿にしちゃうの分かるからぐさっと刺さった。私もこういうひねくれたとこある。ただ、就活がずっと自分は人とは違うって考えて上手くいくわけないっていうのはほんとその通り。裏垢で愚痴書いてたの見られたの怖すぎる…。SNS漁られたら怖いからちゃんと鍵掛けよ〜と危機感も感じた。

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    投稿日: 2024.07.08
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    就活に挑む6人の話。自分は「何者か」になれるのか。就活の闇をじっくり見せられた感じ。何者にもなれない自分を何者かに見せることのしんどさみたいなのがめちゃくちゃリアルだった。

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    投稿日: 2024.07.04
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    面白い。大学受験の自分に重なった。拓人に理香さんが言ってる言葉が少し自分に言われているような錯覚に。就活の時自分はどうなるかな。

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    投稿日: 2024.07.04
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    朝井さんの作品は本当に中毒性がある。 毎日寝る前に数ページずつ読むつもりが、ラスト3分の1くらいは一気読みしてほぼ徹夜みたいになった笑 別の作品も読んでみたい。(『正欲』も同様に徹夜したんだよね笑)

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    投稿日: 2024.07.03
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    就活生の身になったので読み返した。前に読んだときよりも空気感がすごくリアルなもの、身近なものに感じられた。自分自身で体当たりで勝負するしかないっていう励み。

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    投稿日: 2024.07.01
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    2024年 38冊目 正欲が面白かったので、直木賞受賞作である本書を読了。ネタバレになってしまうのであまり語れないが、感情移入させる文章やストーリー、視点の変え方が素晴らしく、創刊当時は出始めだったSNSも物語を盛り上げる上で実に効果的に使われている。就活は遠い昔にやったが、人間の性格を歪める一つの要因である、とこの本を読んで改めて思った。

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    投稿日: 2024.07.01
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    サワ先輩含めてタイプの違う6人が就活に挑む話。それぞれのタイプが20年前の自分の就活のときにもいたなーと思うし、どのタイプにも自分の性格と似た点が見出されて身につまされる。 大なり小なり自己顕示したい気持ちはあるし、若いときなんて何者でもない自分を誇張したくなるし、就活の時はその何者でもない自分と向き合わないといけないしなかなか辛いものがある。 自分の殻を壊してとか、観察者やめて自分ごとにとか言うのはやすしだけど現実的には勇気がいるもの。とはいえ就活のときに手懐けられなかった自己顕示欲とはその後なるだけ若いうちに折り合いつけないと生きるのがますます辛くなんだよなぁと読後に改めて思う。

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    投稿日: 2024.06.30