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何者(新潮文庫)
何者(新潮文庫)
朝井リョウ/新潮社
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総合評価

1565件)
4.0
431
609
327
55
11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大学生の話についていけるかなと読み始めたが、そんな生易しい物ではなかった。 物語は終始「拓人」の視点で語られるが、終盤で理香が拓人に詰め寄る場面から一変する。 「誰かのことを観察してひそかに笑って、自分が別次元に立って」 「いい加減気づこうよ、私たちは何者かになんてなれない」等。 拓人が話し手から聞き手になった時、拓人と同じ目線で見ていた読者が傍観者から当事者に引きずり込まれる。 ここでの理香の責めのセリフは読者の方へ向いている。 まさに大どんでん返し。こんなひっくり返され方は初めて。朝井リョウ恐るべし。

    3
    投稿日: 2025.06.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウさんの作品を初めて読んだ。拓人のような観察者のように他人を見てしまうことは正直私にも自覚があったため読んでいてどきっとさせられた。それをTwitterなど大衆に向けて述べるようなことはしなかったが、心の中で呟いている人も多いのではないかと思う。物語の展開が終盤を迎える頃には読む手が止まらなく一瞬で読み終わった。他の朝井さんの作品も気になるので読んでみようと思う。

    3
    投稿日: 2025.06.21
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    就活とSNSのリアル。 自分を良く見せること、うまくいってるひとの粗を探す。 自分もあるし、みんなにもあると思う。何だか気を付けようと思った。何者かになるんじゃなく、 自分を生きる。

    5
    投稿日: 2025.06.19
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    痛い痛い大学生の頃を思い出す。 (今だって痛いんだろうけどさ。) 46歳だから読み終えたけど、20代なら読めなかったかも。 (読んで「いるよな、こういう奴」とか言ってるかも。) 俺のことを書いてるのかと。 俺のことを丸裸にするなと。 もうごめんて!謝るからそれ以上言わんでくれ! と思いながら、最終盤、里香のセリフを追っていた。 自分は何者でもないし、何者にもなれないことを、受け入れられない苦しさ。 それに耐えられなくて、「今の俺に無いものは、くだらないものなんだ、だから俺はそんなもの欲しくないんだ」と、世界を分かったかのように無意識に振る舞ってしまう、その時間帯を、思春期と呼ぶのだと思う。 思春期を脱するのに必要なのは、諦め? ちがうな、何なんだろ。 武装解除、かな。 あー青春てめんどくさい。 老いって素晴らしいぞ、若者よ。 (46時点の暫定回答)

    12
    投稿日: 2025.06.17
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    自分が上手くいっていない時、上手く行っている人が羨ましく疎ましく粗を探して安心しようとしてしまう事、私もあるなぁ…なんて思った。 何者かになりたい、認められたいっていう気持ちは誰しも密かにあるのではないでしょうか。 ただ何もせずして何者かになれるわけではなくて かっこ悪くてもそんな自分を認めてあがくしかない。 思わず自分を省みた話だった。

    3
    投稿日: 2025.06.15
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    やっぱり、想像力が無い人間は苦手だ。 ・この言葉に共感したけれど、そういう私も勝手に想像できてる気になって、そんな自分に酔ってるだけなのかもな〜。 ・瑞月さん好きだな

    1
    投稿日: 2025.06.12
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    就活中の学生のリアル。 自分を大きく見せようとする人。主流から外れることで人と違うと表現したがる人。純粋にすごいと褒める人。分かったうえでみんなが不快にならないよう立ち回る人。それらを客観的に分析する人。 そんな人の見栄と弱さと強さを、Twitterをうまく使いながら繊細に表現していた。 最初からずっと好きだったが、ラストの衝撃展開に入ってからはページをめくる手が止まらなかった。 全体的に、人を斜めから見ているようで、人を信じているように感じるところも、とても好き。 直木賞の審査時、23歳だったことにも驚いた。

    12
    投稿日: 2025.06.12
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    かっこ悪くても頑張ろうと思った。拓人が最後責められてるシーンで、もうやめてって思った。でもそれは自分にも当てはまって自分に言われてると思ったから。大事なことを教えてもらえた。

    2
    投稿日: 2025.06.08
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    映画を観たことがある。 改めて原作を読もうと買っていたけれど、痛々しい拓人の内面と同じような醜い感情を持つことがある自分に向き合うには時間が必要だった。 そろそろ読めるかも。と思ったので、読み始めたが、やはり朝井リョウさんの作品は解像度が高過ぎて恐ろしい。結末を知っているのにページを捲る手が止まらなかった。 どんなにカッコ悪くても足掻き続けるしかない。 自分は自分にしかなれないんだ。

    0
    投稿日: 2025.06.08
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    いつぶりか分からんけど再読!面白いけどキツかったー心がエグられるf^_^;自分も学生で名刺作ってる人おったら、きっと名刺ってwってなってしまうタイプなので心を改めよと思いました

    1
    投稿日: 2025.06.05
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    大学の就職活動を通じた人間模様。 SNSを使って人間の表と裏が描かれた。 SNSやると、何かやってるアピールしたくなる気持ちは分かる。 終盤の深層にびっくりでした。

    0
    投稿日: 2025.06.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    拓人と自分は同じだ。「何者」かになろうと努力する人間を見つけては、その人間の不幸を見つけて安心し、「何者」でもない自分を正当化する。

    0
    投稿日: 2025.05.30
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    転職活動がひと段落したから読み始めた話だけど、転職とか就職とかを抜きにして自分を省みる機会になるなと思う。20代のうちに読んでおけて良かったなと思う小説の1つかなと。 朝井リョウさんの小説ってうまくいえないけど生まれ変わり的なニュアンスがあって、何かが心に積もる感じの消化悪めカロリー多めな感じだけど心に響くから本当に好きかもしれない。

    0
    投稿日: 2025.05.30
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    おおおおおおおおお。 何様を読んでたからか、なんか、おおおおおってなって、あ、ここがつながるんだ、あ、ここか!みたいな発見があって、意外に面白かった。 いやぁ。でもたしかに、あれは、うーん。あの、心が痛い。読んでて、痛い。つらい。 やめ、もうやめてあげてぇぇってなる笑。 就活怖くなる、あと。単純に。怖いよう。 SNSが発達したこの時代に、確かになっていうところ、通じるところはあるのかなっておもった。裏垢だったり、限られた文字数の中での自分じゃなくて、そこに書かれなかった本心、を想像しようっていうところ、なるほどなぁ、、、って。 この人の作品でも好きかもなって思った。 痛くなるけど学びもあるし、、、。 でも、こういう人、多い,よね。私もそうです。でも、それを暴いて、それは違うよねって教えてあげるのも、違うというか、もっと言い方はあったよね、というか、やっぱり、そんなこと言える立場にないってなっちゃうから。言う人見るのも、言われる人見るのも、苦しくなる。あああ。 何様を推そう。あっちの方が読みやすかったし、よかった、ような、気がする。 でもこっちも悪くなかったな。よき。

    2
    投稿日: 2025.05.29
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    これ、面白いのかな? 最初から最後まで気持ちよく読めなかった。最後、逆転した感あるのかな。でも、スッキリもサッパリもしなくて嫌いだわー。 テーマ的にそういう小説なんだろうけど。きらい。。

    1
    投稿日: 2025.05.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大学時代に読み、二十代後半になって再読した。何度読んでも、ものすごく刺さってくる。ブクログで「agjmd」というアカウント名をつけて、感想を書いている今この行動も、二宮拓人が「何者」という裏アカでやっていたことと同じなのではないかと思い、すごく心が痛くなってくる。 ただ、そう思いながらも、こうやって匿名のアカウントで感想を呟くことが辞められないのは、やっぱり、最後に理香が拓人に言っている通りなのだと思う。 いつか何かのきっかけで自分は変われると思ってる。未練たらたらで演劇系の企業受けてたのだって、どっかで『君は他の子と違って面白い考え方をしてるね』なんて評価されることを期待してたんじゃないの? そんなエピソードはね、誰のところにだって降ってこないんだよ(p313) 思ったことを残したいなら、ノートにでも書けばいいのに、それじゃ足りないんだよね。自分の名前じゃ、自分の文字じゃ、ダメなんだよね。自分じゃない誰かになれる場所がないと、もうどこにも立っていられないんだよね(p317) カッコ悪い自分をカッコよく見せるにしても、曝け出すにしても、ネットという場所で、現実の自分に直接影響を与えない何かを書くことは、理香の言っている通りになる。現実の中で「何者」にもなれない自分を、誰かに承認されたい、せめてバーチャルな世界で「何者」かになりたいという気持ちは、同じことの裏表だ。 本当に物語のラスト、拓人がインターネット通販企業の面接で正直な気持ちを語ってしまうシーンを見ると、やっぱり切なくなる。おそらく拓人は、他のどんな人間よりも本当の自分を曝け出した結果は、面接官たちや他の学生の表情によく現れている。 カッコ悪くても、泥臭く頑張ることで、果たしていつか企業に受かるのか。理香の言っていることは正しい一方で、結局理香は、物語の中で内定を手に入れることができていない。拓人の本心を語った先に、やっぱり内定をもらえることのない未来の可能性も考えると、ものすごく悲しい話に見えてくる。 もしも、インターネットがなかったら、何かが変わっていただろうかと考える。拓人が、「痛い自分」に本当の意味で気がつけたのも、やっぱり拓人の痛い言葉が、全世界に発信される媒体に乗っかっていたからだと思う。でなければ、理香にその現実を突きつけられるという最後の結末もありえなかったと思う。 そういう意味で、やっぱりTwitterは、痛い自分と現実のズレから、何かを気がつかせてくれる可能性があるものとして、この物語では、一つの希望として描かれているのではないかと思う。 というのも、今回読み直すのといっしょに映画版も見て初めて気がついたのだが、拓人は、本当に自分が内定をもらえない理由に気がついてなかった。前回読んだときは、最後の「何者」アカウントのツイートを、拓人の本心とは読んでなかった。 何者 @NANIMONO 1時間前 今年も、内定が出ない。理由がわからない。 とりあえず、明日の受験票を印刷しないと。(p328) 瑞月や光太郎、サワ先輩の言葉の意味を、理香に指摘されるこの瞬間まで理解してなかったのか、と思うと拓人の見え方がより痛々しく見える。この物語は、周りの人たちの言葉によって拓人が成長するシンプルな成長物語だったのだなと、いまさらと思った。 自分のアカウントは、せめて自分を知っている人たちに対しては、リアルの自分と紐づいているものにしておこうということだけは、心掛けようと思うばかりである。 自分の痛さに向き合えない人は、読んでおくといいと思う本。

    2
    投稿日: 2025.05.28
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    浅井りょうの作品は、嫌いだ。主人公が繊細で捻くれているからだ。その細かい性格を読みやすく分かりやすく書く文章力はさすがだ。 僕はいつも主人公に感情を没入させて読む癖がある。主人公は捻くれているものの、共感する部分もあり、いつしか僕が主人公になっていた。 ラストスパートで、主人公が見下していた人に「ダサいカッコ悪い今の姿で、これまでもかってくらい悪あがきするしかないんだよ」と言われたとき、自分が説教されている気分になった。第三者から言われたため、想像していない展開だった。めっちゃ刺さった。現実世界では、本心をぶつけてくれる人が少なくなってきて、刺激ある体験ができた。

    12
    投稿日: 2025.05.24
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    就活する大学生のそれぞれの向き合い方を通して成長して行く物語。みんなかっこよく取りつくろって生きている❣️1番かっこつけだった主人公!!本音で生きれるほど強くないなぁ〜と思ったり。自分らしく生きれると良い!

    13
    投稿日: 2025.05.24
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    終盤、びっくり。この物語の登場人物たちを見て、「まあ確かに、こういう奴いるよなーわかるー」と俯瞰していたがために、やられた。自分って弱いなと、再認識。だけどなぜだか、気持ちが暗くなる訳でもなく、それらと真剣に向き合っていきたいと心から思えた。読んでよかった。

    1
    投稿日: 2025.05.23
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    他人を何者にもなれていないと評価していると、最後には自分に突きつけられる現実。自分が何者にもなれていなかったんだと。

    0
    投稿日: 2025.05.22
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    いつでも成長過程ではカッコ悪さが付きまとう。それを受け入れて進めるか、恥ずかしくなって俯瞰してしまうか。 就活前に読めていれば前者の振舞いをしようと思えるし、就職してからだとしてもできないことを受け入れながら立ち向かおうと思えるのでは。

    0
    投稿日: 2025.05.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    就活前に初めて読み、就活終わった今再読。 改めて就活前に読んでて良かったなと思う1冊。危害が加えられない安全な場所から、冷笑するのは簡単なこと。でもそんなことをし続けていても自分は何も変われない。かっこ悪くてもいいから、もがいて何か1つでも生み出そうとする姿勢の大切さを学べました。 自分自身の就活はとても効率的とは言えなかったけれど、その日に何か1つでも生み出そうともがいていく中で、最後は自分なりの正解を見つけられました。 就活時代を思い出したくなったらまた読もうと思います。

    3
    投稿日: 2025.05.21
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    大人に見えるサワ先輩も、なんだかんだ上手く生きてる光太郎もきっとカッコ悪いところあるんやろうなあって思うのは、タクトみたいな自分を庇いたいだけなんやろうか

    0
    投稿日: 2025.05.20
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    ⭐︎4.5 等身大で色んなタイプの就活生の心情を描くことができるのがすごい すごい肩書きなど無い、何者でも無い自分を出すことが結局は大事なのかなと思った

    0
    投稿日: 2025.05.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    生殖記がめちゃくちゃ刺さったので、少し前の作品だが直木賞を受賞したこちらをバリューブックスで購入。 冷静分析系男子就活生の目線から語る、就活まわりの群像劇。 朝井リョウさんの作品は、するする面白く読み進めていると、いきなりカウンターパンチを喰らうのよ。 今回の作品は、SNSを使ってわりと頻繁に読んだ本の感想をあげている私のような人間には特に。 内容を深くは書かないけど、ここに描かれているテーマは、現在進行形で「何者」かになりたいと喘ぐ人にも、そんなモンはとっくに捨ててますよ、と思っている人にもダメージをくらわせる鈍器だな、と思った。 切れ味鋭い刃物ではない、重く鈍い痛みをジクジクもたらす鈍器みたいなお話。 かなりの人に当てはまりそう。 その上で私が思ったのは、「何者」であるかを外部に評価されることばかりに意識が向いてしまうと、ずっとしんどいんだな、ということ。 かと言って、100%自分の評価は自分で下します!という態度も、社会生活の中では立ち行かなくなるシーンが多い。 とは言え、就活なんて外部に自分の価値を評価されてなんぼの世界だから、こんなふうに拗らせてしまうのは個人の責任ではないよな、とも思う。 何事もバランスだよなぁ…。 ちなみにちょっとだけネタバレになるけど、この中で実は1番あざとくて計算高いのって端月さんなのでは?とか思った。 彼氏と別れた話、その彼氏の同居人に泣きながら電話しなくない? 元彼もいるってわかっているゴハンの会で、内定の報告を主人公(つまり元彼の同居人)に連絡して、電話変わってもらうって、だいぶ計算してるよなぁ…。 ちゃっかりその後もう一回告白してるし。 基本的には主人公目線で語られる物語なので、そこのところに鋭く言及はしてないんだけど、彼女は拓人が自分のことを好きなんだろうな、ってわかった上でこれらの行動に出ている…と、わたしは分析しました。 そのなりたい「何者」のレベルに高低差はあれど、少なくとも他人にこう見られたい、こういう人間だと思われたいという願望は多くの人が持っている。 それを表すのにどんな言葉を選ぶか、だけではなく、そこに至るまでにどんな言葉を捨てて来たのか。 そこを想像することも大事なことだな。 ラストの面接の短い時間、拓人の選んだ言葉は少なくて、それだけ?と思われるけど、小説を読んできた私たちにはわかる、語られなかった言葉。 舞台みんなで観に行けたかな。

    1
    投稿日: 2025.05.17
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    大学生の頃、もっと言えば就活の真っ最中に一度読んだ本。 当時は本を読む習慣なんて無く、「就活で役に立ちそうな本でも探すか」くらいのノリで本屋に足を運んだはいいものの、自己啓発本は読む気にならず、偶然目に入ったこの本が絶賛就活中の自分と重なり、何となく買って読んだ。 それから時が経ち、本作のアナザーストーリーである『何様』を読みたくなったため、再読。 再読して驚いたことは、当時と感じ方や共感するシーンが異なっていたこと。 当時と付箋を貼る箇所がかなり違った。 同じ人間が読んでいるのに、年齢や境遇でここまで変わることが面白い。 朝井リョウさんの作品は、フィクションでありながら、現代社会の問題や人間模様に対する解像度が高く、それ故に、読者の置かれた状況で感じ方が変わるのだと再認識できた。

    3
    投稿日: 2025.05.17
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    5.0/5.0 自分が今、この小説を読み終えた時点で自分の年齢はこの小説の登場人物たちとほぼ同じ。 こんなにも今の自分の小説だ、と感じたことは他にあまりないかもしれない。 知識をインプットしたきりで、何かをしようとする過程だけをアピールして、結局何一つ生み出さないでカッコばかりつけている隆良、頑張っている人のことを白い目で見ながら、その奥底には嫉妬や妬みを抱え、それを見ないふりしている拓人。 多くのこの歳の人間はこの二人のどちらかにどこかしら当てはまると思う。 自分は「何者」かになれると根拠もなく信じる幼さと、だんだんと輪郭がはっきり見えてくる現実の狭間で頑張ることをダサいことだと捉え、傷つく勇気を踏み出せず、斜に構えてまるで自分が上に立っているかのような気になる。 この小説で描かれるこういった人間模様は極めてリアルでかつ非常に痛いところをついている。 瑞月の隆良に対する叫びだけでも充分に衝撃的だったが、語り部である拓人に対して、理香が指摘した「あんたは観察者ぶっているだけだ」という指摘は文学界における一つの革命だとすら思った。そしてそれは小説の登場人物を介して、物事を俯瞰的に描いている作者に対して向けられている言葉だとも解釈した。 SNSや裏アカといった現代人が向き合うべきツールも交え描かれる鋭すぎる視線に天晴。 頑張ることを白い目で見そうになったり、誰かの上に立ったつもりになってしまいそうな時はいつでも言い聞かせたい。 「お前は何者でもないだろう?」

    0
    投稿日: 2025.05.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    解説に書いていた通り、「何者」はいつの間にか主人公を傍観していたはずが当事者になり変わる部分が魅力。途中の光太郎の「相変わらず君は人の嫌なところしか見てないね」というとこに詰まっていると思う。1年後に就職を控えているので光太郎のように就活が得意なのか、それともどこにも決まらないのかどちらに転がるか分からず不安。

    0
    投稿日: 2025.05.13
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    読む時期を見誤った。 就活はもう数十年前! 当時を懐かしむには良いが、 その時期に読む方がもっと良い。 だがラストには 今でも刺さる言葉が羅列されていた。

    1
    投稿日: 2025.05.13
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    ほんとうにたいせつなことは、ツイッターにもフェイスブックにもメールにも、どこにも書かない。ほんとうに訴えたいことは、そんなところで発信して返信をもらって、それで満足するようなことではない。

    2
    投稿日: 2025.05.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    大好きな朝井リョウ!!就活終わったら絶対に読むと決めてたから、ようやく読めて嬉しい。 この小説は何かの物事に対して人間の取り組み方というか、頑張れる人とそうでない人を細分化するような話だと思った。 人生を同じ目線で見てくれる人がいなくなることは、就活を通して私自身強く感じた。これまでは大会や受験など、人生の節目では予備校や学校の先生がいて、面倒を見てくれていたのに、就活は正しいやり方がなんなのか分からずに自分一人で模索していくしかない。今までは過程を認めて努力を褒めてくれる人がいたけど、この年齢になるともういない。これからは結果を出していかなければいけないということも、普段の生活を通してひしひしと感じた。 結果が出せなくても、何者にもなれなくても精一杯生きていくしかない。これは今もがいている人からしたら希望に感じるだろうし、誰かの努力を笑ってきた人に対しては断罪に感じるんだろうなと思った。 頑張っていない自分を肯定するために、頑張っている人が間違っている道に進んでいますようにと祈るしかなかったのが、理香や拓人が歩んでしまった方向なんだと思う。その事に理香も拓人も最後に気づくことができ、何者でもない自分と向き合って終わるのはある種ハッピーエンドと言えるかなと思った。 でも実際読んでみると、あんまり私には心をえぐられるほどの衝撃はなかった。私含め周りに意識高い系がいなかったのと、私自身そこそこ頑張って今まで物事に取り組んできた自負はあるので、あまり当事者意識がわかなかったことも今回響かなかった要因かなと思う。この物語に共感できないのはいい事なのかどうか分からないけど、自分のかっこ悪い姿も受け入れて生きていきたいとこの本を読んで思えました!!

    4
    投稿日: 2025.05.04
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    自分も少なからず拓人側の人間なので、理香の言ってることがぶっ刺さってきつかった。転職活動も経験したが、学生が一斉に行う新卒の就活の方が2度とやりたくないという思いは強い。

    1
    投稿日: 2025.05.03
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    面白かった。自分の中にある醜い部分は、普段、周りに気づかれないようにしていても、自分が1番知っているし、向き合うのは苦しい。それにしても、こんなに本音をぶつけ合える人と出会えるのもすごい、学生時代ならではの人間関係かも。終盤、どんどん、辛い話になったけど、希望のある終わりでよかった。

    6
    投稿日: 2025.05.02
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    汚れたものでいっぱいの洗濯ドラムの中に、きれいな水が溜まっていく─ 些細なのに突き刺さってくるような風景描写がとにかく多く、主人公の心の機微や何かの示唆がザワザワと心を撫でてくる感じです。あれれ、就活ってもしかして人生最後の青春だったのかも?なんて、永遠の14歳(ワタシ)は全編共感できました。 作者と年代は違えど、就職氷河期にそそくさとフェードアウトした組。(そんな組あるか) 勤めだしてメンタルになった時、リハビリで辿り着いた答えが「何者か願望」の排除でした。ミセスさんが歌うところの『誰かの私になりたかった』。でも仮に自分が何者かであったんだとしても鈍感で気づけない。何者か願望はただの認知の歪みで、自家中毒なんだと思います。 そういう人間の求めるエサが不幸。 面と向かって呪うのはカッコ悪いから批判したり。 そのくせ好かれない自分に自問自答する夜。 いいね!が欲しくて、本当に必要なのは自分へのいいねだということに気づかない。 この作品が直木賞に輝き、多くの人の共感を呼んでいることに癒しをもらえた気分です。 ちなみに鈍感さは心理療法で改善できます。

    23
    投稿日: 2025.05.02
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     就活を通して拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良の5人の人間模様を描いた一冊。この作品ではSNSの投稿が頻繁に登場する。すごく今っぽいなと思ったが出版されたのが10年前と知って著者の先見性に驚いた。  私はひねくれた性格なので真面目に取り組むのがダサいと思っていた。このような性格だからこそ読んでいて2回刺された気分になった。これまで自分は他のやつとは違うんだとプライド肥大化させ、「真剣に取り組まなかったからだ」と上手くいかなかった原因をうまむやにしていた。本当はある日、突然何者に生まれ変わることなんてわかっていたのに。手を抜くことで自分の可能性を残すという舐め腐った行為で自分を落ちつかせていたのだ。本当はわかっていた。自分の全力をぶつけて否定されるのが怖かったのだと。真面目に取り組む奴らを馬鹿にすることでその言葉で自分自身を縛っていたと。   この本を読んで今まで自分を苦しめていた正体を見つけられた。それは他でもない自分なのだと思う。 自分のやらなければいけないことがあるのにそこから逃げ続けた、結果自暴自棄になり自分のやりたいことを見失なっていた。これからは自分に正直に生き、前に進みたい。

    2
    投稿日: 2025.05.01
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    俯瞰することで何者かになったような錯覚に浸れるのは、そんなことしてる余裕がある学生かニートの間までってことですね。 格好悪くても、苦しくても、どうしようもなくても、いつだって自分は自分の人生の当事者だ。 人生の段階を上がっていって守るものが増えてくると、当事者意識はどんどん強くなっていく。 問題や困難は増えていく。 でも、その課題と向き合った先に、幸せはある。 ラストの拓人の面接のシーンは、それを象徴的に表していたと思う。 彼の名前のとおり、彼が自分の人生を当事者意識をもって「拓いて」いく第一歩が、あの面接での最後の言葉だったんじゃないかな。

    1
    投稿日: 2025.04.30
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    自分の苦戦した就活時代を思い出して、 私もリカさんみたいな就活生だったと振り返って恥ずかしくなった、何度も読むのを辞めそうになった。 が、そんな感情になった本、然るべくして直木賞作でした。ちょっと悔しいけど星5。

    0
    投稿日: 2025.04.30
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    シンプルに就活こわいよ( ; ; ) 人のいやーな部分全開な小説なのに、最後は希望を見せてくる朝井リョウ先生さすがです。 どの登場人物にも共感できて、「刺さる」を超えてめっちゃ苦しかったです。

    23
    投稿日: 2025.04.24
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    2025/04/21 読了 途中で入るTwitterのつぶやきが一人一人のキャラを更に際立ていて、物語が進むごとにリアルな空気感とかが伝わってきてラストは鳥肌だった。何様も読みたい!

    0
    投稿日: 2025.04.21
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    朝井リョウさんの作品を読むのは2作目。 先に読んだスターも面白かったけれど、この作品も引き込まれる「グッと」くる感じが一段も二段も深く感じた。 大学生の就職活動期間の物語というと、「就職戦線異状なし」の織田裕二みたいにキラキラしたイメージのものを連想するのですが、本作は至ってストイック。二度ほど光太郎が性欲をムラムラさせますが、それ止まり。一定のテンションで淡々と物語が進んでいきます。 ただ、それがいいんです。文章の端々で「ああ、こんなこと発信するのはちょっとなぁ」とか「意識高い発言を客観視するとキツイな」とかあーだこーだと感想を持ちながら読み進めるこちら側をある瞬間にバッサリとやられてしまいます。 終盤の本音の羅列は自分のかっこ悪いところを全て見抜かれたようにグサッとやられます。いや、この言葉のチョイスや、言い過ぎなくらいの台詞の量は著者ならではなのでしょうね。心が傷だらけになりながら読了。でも不思議と嫌な気分じゃない。

    0
    投稿日: 2025.04.16
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    2012年に就活を題材にこれだけのリアルさで書けているのがすごい。『生殖記』もそうだったが、社会情勢に対してシニカルな作風なのかという印象を受けた。もうちょっと朝井さんの作品を読みたくなった。

    0
    投稿日: 2025.04.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    新卒2週めの私にすごく刺さる本でした。 かつて、就活で苦しみ、感じた違和感を書いている本でした。 日本の就活がいかに不気味なのか、、 身をもって感じています。 私は、スーツを着て研修を受けています。このスーツを着てみんなとおんなじ道を歩くことにほんとにいいのか?という疑問でいっぱいです。今も正直悩んでいます。 ほんとに自分の選んだ道は良かったのか?正しかったのか?ただただ悩んでいます。 私は、大手と呼ばれる企業を蹴り、誰も知らない会社に入ることにしました。 内定先どこですか?っていう問いに 答えると心許ない「すごいね」という声。 内定先や、入る会社で選ばれる世界はなんだろうか? 大手に行くと、その人は、すべてを肯定される。 これは、なんだろうか。 この謎にもこの本は切り込んでくれていると感じました。

    2
    投稿日: 2025.04.11
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    すごくよかった。 就職という、人生の中で大きな節目の中で自分が何者であるかを自問する。多くの場合悩みながらもなんとなく内定をとり、なんとなく就職をする。内定が出ないことを最悪の結果として、なんとなく。 大切なのは自分がどういう思考特性や行動特性を持っているかを知り、不都合があった時にどうやって向き合うかを考えること。これは大人になった今も難しい。一生をかけて考えていく問なのかもしれない。自分に正直にカッコ悪い自分から逃げずに考えたり行動できるか。自分のこれからの日々の教訓にしたいと感じさせてくれた一冊。

    0
    投稿日: 2025.04.10
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    拓人は“気付いてしまう人”。 人との関係性、冷めた空気感…気付いたうえで、それを言わないでいる優しさや思慮深さもある人なんだなぁと思ってた…のに!!! 朝井さんの本はなんでこうも心の中を抉ってくるのか…相変わらずハッとさせられる表現が多くて面白かった! 内定が貰えた、SNSで評価された=社会に認められた の式が成り立つこの世代ならではの葛藤が苦しいくらい再現されていました。

    2
    投稿日: 2025.04.10
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    岩盤浴をしながら読了 何年も積読していて、 やっと波がきました。笑 就職活動がテーマのお話で、 私自身も仕事について考えることが多くなった このタイミングで読めてよかった…! 就職活動を経験しているので 登場人物に共感することも多く、 特に終盤の光太郎の気づきが、もう苦しくなるくらい あぁ…気づいたのか、気づくとしんどいよな と共感しまくりでした。 仲間内で内定をもらう人、 まだの人が出てくる時期のあの雰囲気。 とてもリアルに描かれてて、 自然と思い出されて嫌になりました。笑 そして瑞月ちゃんのことば、 ぶっ刺さりました 私もいつまでも甘えていられないなと 喝を入れられました しっかり自分で自分の将来を考えないと 誰かが何かをしてくれたり、 自分がいきなり変わることなんてない。 今できることを少しずつ前向きにやろうと 改めて思ったし、行動もしたい! 読み進めていくと え!?そうやったん!? っていうところもあって 朝井リョウさんみを感じました 満足です!!!

    0
    投稿日: 2025.04.06
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    この本が出版された時代の就活とはまた違うかもしれないが、就活を終えたばかりの自分には共感する部分が多くあった。ラストも衝撃的だった。 大手の会社に入っただけで、自分が何者かになったかのように周りの人が崇め称えてきたり、自分自身も何者かになったような気がしてくるこんな経験は誰しもあるのではないか。世間体や人間の醜さ、承認欲求について考えさせられた。

    0
    投稿日: 2025.04.05
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    中学生の頃読んだ時と、大学生になった今読んだ時、全然違う印象を受けた。 耳が痛いくらい共感できるところもあった。なんか登場人物全員に自分と似てるところある気がしてやまない気分になった。就活が怖い。

    0
    投稿日: 2025.03.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    読み進めるうちに体の最奥部が壁を作って何とか自我を守ろうとする感覚に陥っていきました。 読み始め、自分の安いプライドを守るために言い方を巧みに変えるギンジや隆良や、プライドが高くてどこか周りを馬鹿にしている理香に身に覚えを感じ、半分反省し自分が蝕まれていく感覚に耐えながら、半分主人公に自己投影しなんとか冷静さを保とうとしていました。 そして、瑞月の言葉。 「⋯あなたが歩んでいる過程なんて誰も理解してくれないし、重んじてない、誰も追ってこないんだよ、もう」 春から大学生になる身なので余計にブッ刺さりました。今まで過程で褒めちぎられてきていたけれど、これからはそうはいかない。盲点でした。 何より最後、これまで逃げ場として主人公に身を預けていたもう半分の自分まで逃げ場を失いました。(ただ、理香や隆良、ギンジに自己投影していた分の自分は少し救われた気になりましたが) この本を読んで、暫くは自分を否定し肯定しを繰り返すことに手一杯で、感想をこの匿名アカウントであげることも躊躇われました。たとえ少なくてもいいねが来るのが嬉しくて、自分の感想をいいと思ってくれた人がいることで『読書家の何者か』が肯定された様な気がして。現実ではこんな口調ではありませんし、感想をこう綴っている私が何者か自分でもよく分かりません。 しかし、ここでしかこの本の本当の感想は明かせないと思いました。現実では、理香や隆良、ギンジに自己投影しただなんて自分が本当はちっぽけなプライドで生かされているとバラすようで家族にさえ言えません。この匿名のアカウントだからこの本が刺さったのだと堂々と感想を言い合えるのだと思います。誰でもいい。匿名の『何者』かと感想を語り合いたい!

    1
    投稿日: 2025.03.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いまから10年も前のSNS黎明期の作品。自分の想い考えを世界中に向けて気軽に発信できるようになった、そんな時代の転換期にある就活生の話。 わたしは他人と比べられ自分を値踏みするような就活が怖くて、専門職になった。 そして本作も私が怖がる就活の姿が無惨にも描かれていて、やっぱりな…と思った。自分と向き合えなかった私はタクト側なんだろう。 *印象に残ったところ 主人公のタクトは、人間観察と分析が得意。 タクトの周囲の人間がどんな人なのか分かる。のに、タクト自身はどんな人なのかいまいち分からない。就活の様子も分からない。 他人のことはとやかく言うくせに、お前、もしかして就活全然上手くいってないんじゃないか?という雰囲気を醸し出す、この感じ。 コータローやミズキなど裏がなく素直で可愛い人間は、内定が決まる。一方…他人に厳しく嘲笑い、自分自身を客観視できずお高く止まっている人は、就活市場で受け入れられない。 終盤のリカに攻め込まれるシーンで、タクトは心の中で必死に否定するが声に出ない。思わずミズキがタカヨシに訴えるシーンを同時に思い出す。 就活は自己分析だけど自分自身だけでは上手くいかなくて、他人を介して本当の自分を知らなければならない、ということが分かった。

    1
    投稿日: 2025.03.26
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    就活という個人的に身近なテーマを通して繊細かつ明瞭に描かれた登場人物それぞれのかっこ悪さが、まるで自分に対して「お前はどうなんだ?」と問いかけてくるようで居心地が悪かった。物語としては抑揚に欠けたものの、朝井リョウの作品はいつも自己分析のきっかけとなることを再認識させられた。

    4
    投稿日: 2025.03.25
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    朝井リョウさんのエッセイ体験以来、朝井さんへの苦手意識が消え、若者小説も手に取れるようになった。 SNS世代の小説か、裏垢か、あるあるだなと読んでいたが、だんだん矛先が自分にも向いてきた。就活が背景にあるけど、これはもしかしたらどの世代でもありうることだと気づいてしまった。 特に終盤の女性二人がぶつけた本音は傷口を抉り出されるくらい強烈だった。 「人生が線路のようなものだとしたら、自分と全く同じ高さで、同じ角度で、その線路を見つめてくれる人はもういないんだって」(瑞月) プライドだけで自己弁護を続ける友人の心に迫っていく。 「ダサくてカッコ悪い今の自分の姿で、これでもかってくらいに悪あがきするしかないんだよ、もう」(理香) 離れたところで人を観察し、分析し、自分を守るために人をさげる主人公はぐうの音も出ない。 自分も学生時代に言われたことがある。 「おまえは評論家だな」 その言葉を思い出すだけで背筋がぞわぞわする。 親友だからこそ言ってくれたんだろう。

    105
    投稿日: 2025.03.25
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    就活×SNSが本書のメインテーマ。 2012年に初版発行された小説ということで、まさに時代を表している。 読みやすく、考えさせられる内容で、評価が高いのも納得である。 作品に出てくる大学生は皆、「こういう人、確かにいるいる!」と思えるくらい、実際によくいる大学生の像を上手く捉えている。主人公の拓人は、就活や周囲の人間を終始達観した目線で見ており、少し捻くれて、拗らせている感じで、あまり好きじゃないなあと思うけれど、自分自身と重なる部分もあり、つい物語に没頭してしまう。 共感できる部分や没頭できる部分が多いからこそ、心をえぐられる人が多い小説なのではないかと思う。これから就活を控えている人や就活中の人にはあまりおすすめ出来ない。特に就活が難航している人は、心にダメージを受けると思うので、読まない方がいいかもしれない。。 個人的に、大学を卒業して新卒採用を経験した身として、この小説に出てくる「内定が出ない人」の特徴は実際とは全く違うと感じたので、この本を読んで無駄にダメージを受ける必要は全くないと思った。 私の周りにも何社受けても全然内定が出ない人が何人かいたが、内定の有無は人間の優劣や性格の良し悪しとは全く関係ないと思う。成績優秀で優れた人格の人だって内定が出ない場合もあるし、他人の粗探しばっかりしている人や、SNSの裏アカで他人の批判ばかりに忙しい人は内定が出ない、なんてそんなの全く関係ないと思う。 また同じ大学の同じ文系で受ける業種も被っているような同級生が、一緒に集まって就活対策をしてお互いにESを見せ合うといった設定や、自分たちはまだ内定が出ていないのに仲間の一人の内定が出た段階で翌日も試験があるのに祝宴をあげるといったシーン等もあまり現実的ではないように思うし、人物像以外の設定はなかなか無理があるように感じた。 個人的に納得がいかない部分も多かったが、人の心を揺さぶる力のある素晴らしい小説というのは間違いないと思う。

    12
    投稿日: 2025.03.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    この小説の舞台は就活とSNS。 ガクチカマンとインフルエンサーが支配する、現代に現れた魔窟。 そんな本音と建前が交錯する殺伐とした世界で、内定という共通のゴールのために、薄切りハムのような仲間感を出している若者たちの関係性をこまやかに描いている作品です。 会話がメインのシーンでも、一言一言に対して主人公の心の声があったり、動作や視線、風景の描写があったり、はたまた会話が展開されている横でまったく別のことを気にしてたり。 すごく丁寧で繊細な会話の描き方で、会話のリアリティと濃度が高くなっているところが好きですね。 ですが……そんなふうに丁寧に繊細に描かれてきた人間模様のお陰で、終盤は本当に精神ダメージが高い。 主人公への感情移入と共感レベルが高いほど、メンタルがやられてしまうという。 ルームメイトの元カノとの関係とか、良識ある先輩との関係とか、複雑な人間関係の中で主人公が揺れ動いてるのもなんかリアルで、総じて共感ルートに持っていくのが上手いんですよね。 これは小説という箱を逆手に取った、巧妙なトラップだと思っています。 朝井リョウさんの作品は、初めて読みました。 SNSとか見てて、なんだこいつ気持ち悪ッ、と思うことがままある自分の視野のせまさを認識させられたような感じです。 観察してる人は何も成果を出せないけど、小さなことでも発信してる人は、何かしら社会に影響を与えている。 共感性と精神攻撃のインパクトに目が行きがちだけど、安全地帯が増えたことでなにかと観察評論しがちになってしまった現代社会へのメッセージも込められていて、素晴らしい作品でした。

    5
    投稿日: 2025.03.23
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    何者かになりたい気持ち、何者かに憧れ劣等感を感じる気持ちすごく分かります。 就活などの、ピリピリした日々は自分と自分以外を比べてしまう時期なのだと思います。 周りを見下す事なく、自分自身と向き合って、そのままの自分で戦うしかないんだなと思いました。

    38
    投稿日: 2025.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    SNSが一般的になった世界の就活をからめた人間関係。 周りを見下していて、自分は特別な「何者」かと信じ、 俺はまだ本気出してないだけ、の人と、 つたなくてもいいからアウトプットを続けている人では 差がついてしまう 最後の主人公の裏アカウントの内容にゾッとした 終わり方には希望があった

    2
    投稿日: 2025.03.21
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    2025/3.17 読了 読み始めたのはちょうど就活してた1年前くらい 読み終わる頃にはもう社会人直前になってしまったけど読む時期としてはちょうど良かった

    3
    投稿日: 2025.03.17
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    人間の誰にでもある、ドロドロとした部分の描写はグサっときた 主人公の生き方が変わる描写がもっと欲しかった 登場人物が全員もやもやしたまま終わった

    2
    投稿日: 2025.03.15
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    皆何者かになるために頑張っている それを笑うのは簡単だし、達観したフリをするのも簡単 でも自分が何者かになるために努力できるのは自分だけだし、もがくのも失敗するのも自分 装った自分なんて脆くてすぐ崩れちゃうんだから と、いう感想に併せて、感情の機微がリアルすぎて自分の就活を思い出して読み辛い時もあった笑 それが故の3点

    1
    投稿日: 2025.03.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    就活って正気の沙汰じゃないくらい時間をかけてる。試験に面接。面接なんか何回あんだよってくらい大企業はある。そんな就活あるあるを交えた大学生の話で、後半までいまいち乗ってこなかった。が、隆良に対する瑞月の言葉がグサグサ刺さる。んでもってラストの理香と拓人の言い合いもゴリゴリ精神を削ってくる。タイトルの意味を考えさせられたし、掴めてもいない。俺も拓人や隆良同様結果出せない側なんだな…

    2
    投稿日: 2025.03.14
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    自分と異なる考え方を持っている人たちを見たときに、その人達の考え方を自分と違っているから劣っているだとか、バカじゃんとか、アホじゃんとかそういうふうに思う事で自分は他者とは違う「何者」なんだと思おうとはしてないだろうか。自分自身も極たまにそう思ってしまう。この物語では就職活動と同時進行で更新されていくSNSの投稿を見ながらその人の深い部分にある考え方を覗くことができる。 主人公の目線から語られているという事もあり、最後の怒涛のクライマックスには度肝を抜かれた。同じ考え方の人はこの世に1人もいないからこそ、考え方が違う人と会った時でも冷めた考え方でお高くとまるのではなく、腰を低くし自分の中で全力で解釈し、どこか吸収できる部分はないか、見習う所はないか、という考え方を大事にしたい。あと、受け身のままでは自分の理想の「何者」にはなれないので、日々行動、そしてチャレンジをしていくことが大事だと思った。 あと、悪口をSNSに書くのはやめた方いい。

    2
    投稿日: 2025.03.12
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    第148回直木三十五賞 これは、みんな読んだらドキリとするのでは?! 何者でもない自分が他人を評価するなんてことは、誰でもあるはず。 こっそり考えていたことを知られていたらどんなに気まずいことか。 内にとどめずSNSに投稿する文化って危うい。 就活というセンシティブで特別な時間では、人間関係の歪みは簡単に生じそう。 悩める若者をさらに悩ませそうなテーマ。

    38
    投稿日: 2025.03.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「何者」なのかを考えさせられる本。 この本の感想を書くという行為でさえ、自分が何者の立場で感想を述べているのか、ということを考えさせられます。 指摘されたくない、自分の奥底の部分を見事に言い当てられたなという終わり方でした。

    1
    投稿日: 2025.03.11
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    ちょっとした会話でも、目線や話の間でお互いの就活状況に探りを入れる描写がすごい。感情の微小な機微を掬いあげながら進んでいく。 このヒリヒリ感がクセになり、一気に読んでしまった。

    1
    投稿日: 2025.03.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    4月から就活が始まる私にとって非常にタイムリーなテーマだった。 小説を読む時は語り手に感情移入し、その目線で物語を眺めていくことが多い。今回も語り手に感情移入していただけに、就活2年目ということが明らかになり終盤理香によって語り手が否定された時、自分自身も否定されたような気がした。 語り手であるため周りで起こることを客観的に書いているのかと思いきや、それは主人公が何者かになりたくて、何者かであると思い込んでのことであった。語り手という性質をうまく生かしていると感じた。 現実を受け入れ、ありのままの自分でこれからを生きていこうとする瑞月と光太郎、本音を隠して自分は他の人とは違う何者かであると信じたい隆良と拓人、自分を受け入れて泥臭くも前へ進もうと頑張ることで何者かになろうとする理香とギンジ。理想と現実がどの程度整合性がとれているかという分け方だ。 就活を通して人間の芯の部分が浮き彫りになるのが面白くも恐ろしくもあり、社会に出ていくのはこういうことなのかと思った。 私はというと、ガクチカのために色々やってみてその中で本当に心から楽しいと思えるものを探している段階である。理香に近い状態であり瑞月や光太郎になりたいと考えている。 瑞月や光太郎のように本音で就活できれば、企業側へも熱意は伝わりやすいし内定にも納得できると思う。しかしそれが叶わずどうしようもなければ理香のようにならざるを得ない。 起業したいと一時期考えたこともあった。しかし、それは周りと違う何者かになりたくての考えだったのかもしれない。 どんな仕事でも、世の中に価値を提供して対価としてお金を貰うという行為は尊く素晴らしいことである。 就活前に読んだことを後悔しかけたが、読み終わってみると読んで正解だと感じた。

    1
    投稿日: 2025.03.08
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    平成生まれの直木賞作家:朝井リョウ「何者」を読んでみた。 まず思ったのが就職活動=シューカツって、刻々と変化しているんだなあ・・ということ。企業へ電話をかけて面接を申し込んだ自分自身の就職活動は、もう遥か昔のこと(笑)ワープロができ、携帯ができ、インターネットができ、どんどんと学生の常識も変わる。そしてこの小説・・登場人物が皆ツイッターをつぶやくわけだが、そこには本音と建前が・・。 仮面をかぶる者、悪態を書き連ねる者。リアルな場で話す内容と、SNS上でつぶやく内容が違う。こういう世界に生きている若者たちと、これから一緒に仕事するのか・・頑張ってオジサンもついていかないとね~!

    0
    投稿日: 2025.03.07
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    映画化もされていたし朝井さんだし有名な本だし…と言う理由で読んでみました。 自分はあんまりハマらない内容でしたが、就活を控えている学生さんにはめっちゃ刺さるよな…と遠い遠い過去を振り返りながら読み終わりました(^ω^)

    1
    投稿日: 2025.03.02
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    今まで読んだ小説のなかで、一番グサッと胸に突き刺さった作品。 共感や苦しさ、恥ずかしさとごちゃまぜの気持ちになって胸が痛くなる。 そして、自分もまた頑張ろうと思える。 映画もとてもよかったけどやっぱり小説が好き。

    1
    投稿日: 2025.03.01
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    就活っていう人生の1フェーズを通じてあらわれる人間味が印象強く描かれていて好きだった。 ストーリーの流れも満遍なく展開があって飽きない。 大学生の今だからより共感できるところがあったのかもしれない。

    1
    投稿日: 2025.02.26
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    このレビューはネタバレを含みます。

    これ、就活生が読んだら、本当に心にぐさぐさ刺さるんだろうなあ。 いや、今は売り手市場だという話だから、刺さらんか。 だけど、なかなか内定が決まらないことへの不安、だけではなく、周りの人と自分を比べては、なんとか自分という存在の価値を上げようと、人をけなしたり、思わせぶりに自分を高めてみたりという、他人には見せられないあがきが実にうまく書きだされている。 もし私がこの年代だったら、恥ずかしくていたたまれなかったかもしれない。 私の頃はエントリーシートなんてものはなくて、子どもがそれを書かねばならないと知った時、「時代が違ってよかった~」と思ったものだ。 口頭で自分の長所を言うのも恥ずかしいのに(なけなしのささやかな長所だから余計に)、それを文章で書いて提出しろ、だと? それは面接官が、面接のやり取りですくい取ってくれよ、プロなんだからと思うと思うが、面接官は決してプロではないことを大人の私は知っている。 要するに可能性の塊の若者を育てるのではなく、人事採用を失敗したくないからの手段なんだよね。 だけど、「出る杭は打たれる」ことを経験知として持っている学生が、突然「自己アピール能力大事」と言われても、途方に暮れてしまうのでは? 私は、大学生活の半分を就活に使わざるを得ないなんて、学生の能力の無駄遣いだと思うのだけど。 作者の上手いところは、なんとなく読者を語り手の拓人の視点に寄り添うように誘導しておきながらの、最後の突き放し。 拓人に共感していればいるほど、はね返ってきた言葉が痛い。 その痛さを受け入れることが、認めることができることが、一歩前に進めるきっかけになると、そこまで書いている作者は多分優しい。

    2
    投稿日: 2025.02.26
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    耳がいたい。 ん?目がいたい? 朝井さん色々いたいよ〜笑 なんかもう反省する事でいっぱいですという読後感。 なんていう人間観察力と表現力なんだ。 本当にこの人、凄い!

    1
    投稿日: 2025.02.26
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    怖すぎ。冷笑主義的な批評家に成り果ててしまう現在のSNS社会を描いた物語で、最後の怒涛の展開はホラー小説よりも怖い。こんな批評サイトで感想を述べることすら怖くなってしまう。

    6
    投稿日: 2025.02.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウさんというだけで選んだ本。 直木賞受賞作品らしい。 平成24年刊行なので、時代は2012年頃かな。景気がめちゃくちゃ悪い時期。就活で頑張る男女4人+αのお話。 読んだ感想としては、自分と主人公たちの年齢とか時代がかなりかけ離れているせいもあり、登場人物全員に感情移入しながら読んだよ。 何で就活でこんなに苦労しなくちゃいけないんだって。 政治家何やってるんだー! 就活失敗して、裏垢で本音を書くことで自分を正当化しようとした拓人、一見意識高い系のツイートばっかしてるように見えるけど、実は必死に足掻いてる理香。 …誰も責められないよなあ。 思えば私が若い頃も、そうした人たちが多かった気がする。 あれはやっぱり自分を「何者」かにしたくて足掻いてた姿だったんだろうか?とこの小説を呼んでて思った。 小説の中では、光太郎の考えだけが分からなかったなぁ。 続きがあるみたいだから、その中で語られるんだろうか?

    0
    投稿日: 2025.02.24
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     あーいるいるなんか上滑りしてる人、ちょっとちょっと空回りしてますよ、そこカッコつけてどうーすんのよ、と主人公と同じようにツッコミを入れつつ読んでたら最後にガツンときました。

    13
    投稿日: 2025.02.22
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    今読み終わった。 朝井リョウさんの作品を読んだのは、「性欲」「死にがいを求めて生きているの」に続いて3作目で、まぁふんわりした読後感が残ってるまま、感慨に耽りながら、忘れないうちに感想を書いている。 自身が就活中ということもあり、タイムリーで節々に自分の重なる部分が多かったが、その内容よりも、人の「浅ましさ」(評価で三浦大輔さんが書かれていた「俗」さ)の深度がケタ違いで、それが個人的に凄く好みの作風で、読んでて楽しかった。 内容どうのこうのは、実は正直なところ、言えることは無いと思う。作品の構成,展開,キャラクター性,錯綜する人間関係,読者を飽きさせない表現,言葉にすると沢山出てくるけど、あまり核は掴めてない感もありつつ、でもそれくらいでいいでしょって思ってる部分もある。 だから、結局超単純な部分になってしまうけど、読み終わった後で、自然と他の作品も読んでみたいなと、1作目,2作目と同じく思わされた。それだけ影響を受けてるって事だし、そんな影響を与えられる作品っていうのが、やっぱ凄いと思う。 「他の作品も読みたいって思わせる」のって、超凄いことよね? 本を読むのは大変って思うこと多いけど、でも読み終わった後の読後感は、他のコンテンツでは味わえない一番の良さがあると思うから、まぁ、ゆっくりまた暇な時に時間つぶしで読んでいきたい。 でも、ペースが2,3ヶ月に1冊とかやから、もうちょっと上手い隙間時間の使い方とか、具体的なルーティンに沿う形で、無理無く読む時間を見つけていけたらと思う。

    0
    投稿日: 2025.02.21
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    斜に構えて物事を捉えてしまう自分にとても刺さった一冊。何気なく主人公にと同じ視点で物語を進めていると後半で凄く衝撃を受けたのを覚えている。

    0
    投稿日: 2025.02.21
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    就活で内定が出た2日後タイミングで読んでよかった。 この就活生達が何月から始めているだとか、1ヶ月でスムーズに内定を出せた自分に安心しながら読んでしまっていたからきっとこの子たちと何ら変わらないんだろう。内定が出た企業のいいところを探して、落ちた企業はあらを探した。 諸事情で1年休学したから、周りの子の就活状況と比べたり一緒に就活対策することはしなかったけど、きっと同じことをしてしまっただろうなぁ。 きっと内定が出る前に読んでいたらもっと苦しかったし、でもまだ2月だしと言い聞かせたりしたのだろうなぁ。 自信満々に肩書きを並べて内定を取ったけど、それが恥ずかしくなって出来なくなった気もする。 だから今読んでよかったとも思うし、就活中に読んでおけばとも思った。 何事もタイミングって一番大事だと思った。どのタイミングでどんな言葉を読むか、言われるか。 それによって色々左右されるだろうな。 どこか自分を見透かされているようで恥ずかしくなるような、それでいて同じような人がいることに安心した。 解像度がめちゃくちゃ高くて凄いと思ったけど、 自分の痛いところを突かれすぎていて高評価は付けられなかった。 面白い面白くないではなく、自分にとって痛すぎてもうしばらく読みたくはないから2 でも解像度がめちゃくちゃ高い、単に小説としての評価ならもっと高い でも面白くない、辛かった。

    2
    投稿日: 2025.02.19
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    自分に刺さりまくる内容でした、 最後の解説にも書いてあったけど主人公に感情移入していただけに最後のリカとのシーンを読むのはとても辛かった、 他人からの見られ方とか逆に自分が他人を見るときとか、自分が自分自身について考えるときとかの考え方が変わる、そんな感じがした。 会話の間に情景描写が挟まれて進んでいくシーンはテンポが良くてページを捲る手が止まらなかった。

    1
    投稿日: 2025.02.16
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    就活を通して自分が何者なのかを模索する大学生というテーマが今の自分に当てはまっていたので読んでみた。本を読むきっかけとして、自己省察の一環として、さまざまな考えを学び、自分が物事を考える時の判断材料になればいいという思いがあった。物語の登場人物は妙にリアルで、今の自分なら、友達ならどのキャラクターに当てはまるのかを想像しながら読んだり、今の自分に刺さったセリフがあったりと、本と対話してるみたいだった。美月とリカがいきなり芯のついた、言われてズタズタにされそうなことを言い出した時は、思わず声が出たし、先を見るのが怖かった笑。特に今の自分が向き合わないといけないなと感じたことは、高校を卒業してからは特に周りが言ってたから、ネットでみたからとかそういうので物事を判断せず、自分がどうしたいかに焦点をおくこと、そして、自分の意思を持って行動することが大切だと思ったが。天心が言ってたな、矢印は全部自分に向いてるからこそ、何か考える時は自分軸で判断する、だから迷いがないって。参考になるなあ。そして、拓人の今の状況がどうなってるのかは読者に委ねるといった終わり方が本ならではだと本を読んでこなかったは感じた。

    1
    投稿日: 2025.02.16
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    強烈な印象が残った!200%の力を振り絞って、ナイフで切り裂かれたような・・・。大人でなく学生ならではの本音のやり取りがそう感じたのかもしれない。心をエグる作品だ。主人公・拓人が、最後の面接場面で、「短所は、カッコ悪いところです。」「長所は、自分はカッコ悪いということを、認めることができたところです。」こんなセリフで終わる。たぶんこの先うまく成長していけるのだろう?と、最後は何となくホッとさせてくれた。あと、サワ先輩という先輩学生が、良い味を出している。

    0
    投稿日: 2025.02.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    正欲を読んだ時も感じだけど、自分の価値観がぶっ壊される気がする。よく書けるなあ、すごいなあ。 読み始めは登場人物の中で私が1番似ているのは拓人だなあなどのんびり読んでいたので、終わりごろに拓人が理香に言い込められているところは胸が痛くなった。 でも大学生って、周りからも大人として扱われるし、自分自身もなんとなくいろんな経験して大人になった気でいるのが普通だと思う。その表現の仕方が、みんな違って、仲良くなったり衝突したり。 拓人は理香に指摘されたことで、自分を見つめ直すことが出来たのだろうか? Twitter、Instagramなど自己表現が好きな人やマネタイズに利用している人にはとてもいいツールなんだろうけど、悪い意味で友達に常に監視されている状態って健全なのかな?生きづらそう。

    0
    投稿日: 2025.02.15
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    正欲でも思ったけど人間なら誰でも持ってそうな、堂々と人には話せない心情がとても受け取りやすく描かれてるな〜とおもた!さいこー! 何事にも白黒はっきりつけたい。小説や映画もそうしてくれ。と思いながらつい最近まで生きてきた。 わかりやすいが常に正義だと思ってきた。 最終章がハッキリと描かれていない物語は苦手だった。 それは単純にひとつの答えを他人に求めて、自分が考えるということを放棄していただけのことかもしれない。 朝井リョウの物語は読み手が何を受け取ったかに重きが置かれていると感じた。 少し前の自分だと「この登場人物はどうなったんだ!」とたった一つの明確な答えを求めて駄々をこねるような物語。 大学生の時に見た本作の映画がなぜか忘れられずに何度かのリピートを経てついには原書を読んだ。 映画の人物が脳内で動いてくれるので解像度高く読めたのと同時に、原書と映画がお互いに説明されていない空白部分を補いあっているとも感じた。 見た人が共通で抱きそうな抽象的な感想がありつつも読み手が想像力を働かせて自分なりの結末に辿り着くことができる作品。 こういう余白を考える何者かになれる小説、最近はとても好きだ。

    0
    投稿日: 2025.02.15
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    直木賞受賞作と聞いて身構えていたけど、面白かった。就職活動をする大学生5人の人間模様。 就活対策で集まるが、それぞれ友人の前で話すこととSNSでの発信内容の違いや、裏アカでの発言、実際の行動の違いが浮き彫りになっていてリアル。 内定をもらえた人ともらえない人とで関係性も変わっていく感じが、すごく共感もできるし、苦しくもなる。

    1
    投稿日: 2025.02.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    軽やかで読みやすい、大きな盛り上がりもなく、それでも読み進めることに苦痛がない。こんなに盛り上がりのないままどうやってこの残ページでまとめていくんだ?と思ってからの怒涛の最後数ページ。本当に、何者でもないことを認めることしかできない。みんな人の為に悪者になれる優しい人たちばかりで、ハッピーエンドでした。 どんどん読めるのに、思い返すと具体的な年数が書かれていなかったり、キャラクターの発言がもう一段階意味を持っていたりしてして、伏線が細かい。 肩書きが変わらないからこそ、何者でもないことを忘れがちな私に襟を正させてくれてありがとうございました。たまに何者にでもなれそうな夢を見そうになるけど、結局、日記すら毎日書けない私は本当に何者にもなれないんだなぁ。いい大人になった私の背筋を伸ばしてくれてありがとうございました。

    2
    投稿日: 2025.02.09
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    映画は鑑賞済み。 解説にもあるけど、人間の心理、行動、みたいな所の描写が的確すぎる。ありふれた内容を本にしているだけなのになぜか面白い。 10点でも20点でも自分の中から出せるようになろう。

    1
    投稿日: 2025.02.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    主人公の鋭さに前半はドキッとさせられる。自分もSNSで無意識に何者かに見せているかも、と。 そして後半はもっとドキッとさせられる。主人公のように、自分を守るために観察者してしまってるかも、と。キラキラしてるインフルエンサーや成功者と呼ばれる人達に、羨ましく思いつつもどこか粗探しをしたくなってしまう時がある。 でも結局、羨ましく思う人たちは、観察者になる暇なく行動しまくって、結果を残してる。 なんとなく心のどこかにあったモヤモヤをこの本はハッキリとさせてくれる。

    1
    投稿日: 2025.02.08
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    軽く読み終えた。朝井さんの小説は初めてだったが文がとても読みやすい。 各登場人物の個性があり、皆醜い部分があって面白い。 感情移入して読み進めると急に刺された、やられた。

    1
    投稿日: 2025.02.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「なんでもないようなことを気軽に発信できるようになったからこそ、ほんとうにたいせつなことは、その中にどんどん埋もれて、隠れていく」 その通りだなと思った。みんな自分の言いたいことは結局隠して生きてるんだなと。

    2
    投稿日: 2025.02.08
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    拓人の考えに共感していた分、最後詰められた時とても刺さった。 自分以外の「何者」になるのではなく、自分自身になる。それはとても尊いと思う。そうなれたらいい。 でも、現実を見た時そう簡単にはいかないよな、とも思う。最後の拓人のように本当の自分で、できるだけあがいて、それでもダメだったとしても誰も助けてくれない。 そうあれたらいいけれど、やはり現実の就活はダウトのままだ。 この思考のままだと、変わる前の拓人と同じだが。

    1
    投稿日: 2025.02.01
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    サクサクと読み進められた。人間の少し嫌なとこ、だけど誰にでもあるところを突きつけられた感じだった。自分が就活したことあったらもっと共感出来て楽しかったかも

    1
    投稿日: 2025.02.01
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    https://paz-library.opac.jp/opac/Holding_list?rgtn=00056969

    0
    投稿日: 2025.01.29
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    前半は…今どきの就活ってこんな感じなんだ…自分の時とは全然違うなぁと社会勉強的な感じで読んでました。 それが段々雰囲気変わってきて、主人公だけが取り残されてる、コレはなんで?どうして? という感じになり…最後グサッと胸を抉られるような思いでした。 しばらくダメージ残りそうな読後感です。

    6
    投稿日: 2025.01.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    やはり、朝井リョウの小説はおもしろい…!! 小説を通じて人に対するネガティブな感情を湧き上がらせるのがうますぎるし、「そんな感情を持つってあなた性格の悪い人間なんですよ」と突きつけるやり口が見事。 もはや私は小説を読んで自分の性格の悪さを感じることが快感になりつつあるが、本書はそれにもってこいの小説だと思う。 『何者』を読んで改めて朝井リョウ恐るべしと思ったポイントは、学生で名刺作るとか、OB訪問やりまくるとか、他人がやってるとちょっと意地悪に見てしまう行為の例示?が本当にうまい。 しかも、行為者(理香)がそれを友達に言ったりSNSに投稿するから、どんだけ自己顕示欲強いんだよと思ってしまうじゃないか。 人のことを見下す行為ってよくないけど、なんなら見下される側に落ち度があるように描いてくるんだよなー。 名刺とか学生で作るってなんの意味があるのw OB訪問ばっか頑張ってても意味ないからw などなど。 自分、ほんと性格悪いんだなぁと改めて思う。 そんな理香や隆良のことをSNSで密かに批判する拓人。 だがしかし、拓人自身も最終的に理香から痛烈に批判されるし、伴って読者である我々も拓人と一緒に痛烈に批判されることになる。 それはもうグサグサ刺さった。 最後、拓人のSNSの投稿内容がずらっと並ぶところは圧巻。 仲間だと思ってたやつって、傍目から見るとこう見てえるんだ…!うざいやつじゃん…!みたいな。 その衝撃たるや。いろんな人に味わってみてほしい。 あと、小説内で登場人物のSNSの投稿内容がところどころで挟まるんだけど、その書きっぷりがかなりリアル。 登場人物ごとに実際のアカウントのモデルがいるんじゃないかと思うくらい、あの解像度の高さはすごい。 人って、どんな人に対してネガティブな感情を持つんだろうなぁ。 そしてそれは悪いことなのか。どこまでいったら悪になるのか。 などなど、考えることがたくさん出てくる小説でした。

    5
    投稿日: 2025.01.18
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    読み始めは主人公の客観的な目線から見た他人の描写は自分の心情なのかと思ったら、ラストで気付かされ衝撃を受けた。 そして利用しているSNSやこの感想を更新している自分にも自然と主人公と同じ様な思考になっているのではないかという恐怖も感じた。

    3
    投稿日: 2025.01.17
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    結構びっくりするようなエンディングだったが、言われてみれば最初からそうだったと、読者の意表を突く展開だった。 最後に主人公が改心した様子が描かれていたのが、とても好印象だった

    2
    投稿日: 2025.01.12
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    このレビューはネタバレを含みます。

    朝井リョウさんは「正欲」で初めて知り、読んだ時とても衝撃を受けたことが記憶に新しく、ずっと気になっていた「何者」を今回読んだ。これもすごかった。私はまだ2作しか読めていないが人の真髄というか、なんとなく思ってるけど改めて指摘されたくないような、柔らかい隠しておきたい場所を的確に刺してくるのが上手い(上手いなんて一読者が烏滸がましいが表現が他に出てこない)と感じた。また、人の生々しさがなかなかに残酷だけどこれがすごく面白い。 読んだ時の感想としては最初は就活の話であったので自身も数年前に就活生だったから分かるな〜こういう人いたな〜という共感が多かった。しかし途中から自身にも刺さる言葉が多くハッとさせられた。 内定が出たあとの居酒屋での飲み会の光太郎のセリフ「俺このまま何もしなかったら俺のままじゃん?〜〜」あたりは自分も考えたことがあったので印象に残った。就職したら自分で何かを起こさない限り勝手に起きるイベントは基本的にない。就職した今実感もしているし、だからこそ、何者かになりたいなら自分で何かを起こさないといけないんだな〜と再認識した。 終盤の展開は驚いたが、少し拓人と理香に似たことは私も思ってしまうなと感じた。自分より幸せになって欲しくないとか、心の中では応援できないとか……こういう仄暗い気持ちは誰にでもあるのかもなぁ。(というかあって欲しいとこういう気持ちを持ってしまう自分が思う) 自分は自分にしかなれない、だからカッコ悪くても足掻く。理香の就活中の行動は正直自分も痛いな〜こういうやついたな〜と思いながら嘲笑していたが、終盤の語りをみてそれが理香の足掻きだったと分かって自分が恥ずかしくなりました…… すごく好きな話だった。移動時間に読み始めたけど面白くて一日で読み終えてしまった。 朝井リョウさんの作品他にも読んでみたい。

    2
    投稿日: 2025.01.12
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    「こんな人いるよな、嫌だよな、わかるわかる」と主人公に共感しながら読んでいたけど、ラストではっとさせられた。

    0
    投稿日: 2025.01.11
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    初めて直木賞受賞作を読んだ。 物語の内容的に就活生じゃなくても心に刺さる部分はあった。 カッコ悪く足掻いて転職活動頑張ろうと思う。

    2
    投稿日: 2025.01.05
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    何者かになろうとするけど、何者にもなれず、「痛くてカッコ悪い姿で足掻き続ける」奴を批判することで足元を整える、人間の裏を描いた作品 登場人物は少ないけど、生きている誰もがこの悩みに引っかかると思う。共感できるし読みやすいからおすすめ

    4
    投稿日: 2025.01.04
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    ⚫︎えらく登場人物に既視感があるなと思ったら、何様を既に読んでいた… ⚫︎前半は引き込まれるけど、だれるな〜とか思っていたけど、ラストの怒涛感がやばい… ⚫︎ドラマ化されてるっけ?光太郎の菅田将暉感がやばいなw ⚫︎うう…何者にもなれない虚しさを感じる年始や… ⚫︎ラスト、実は主人公は2年目の就活が判明してからの今までのTwitterツイート公開がキツい。まともに読んでいられないほどの共感性羞恥をビンビン感じたよ…

    0
    投稿日: 2025.01.04
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    朝井リョウは名前のない感情を言語化するのが本当にうまいなと思う。 もう就活生に共感出来るほど若くはないが、何者かになれるはず、自分は他の誰かと違うはず、という感覚は痛いほどわかる。 自分は何者でもないただの平凡な人間なのだ、と認めるのが怖くて、傷つきたくなくて、傍観者になって他人を小馬鹿にしてしまうことも。 カッコ悪くてもあがいていくしかないと気付けるまでにどれくらいの時間がかかったのだろうか。 面白かったけど、朝井リョウの他の作品に比べるとテーマが就活だからか刺さる部分が少なかったから、星4つにしたがとても素晴らしい作品だと思う。

    1
    投稿日: 2024.12.31