
総合評価
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powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
パラレルワールド、過去改変をテーマにした短編集。著者の最初期作だとのこと。 デビュー作ということもあり、少々荒味があってザラっとした読み感もあるものの、補ってあまりあるセンスオブワンダーな世界に魅了される。 創造主にもてあそばれ、自らが創造主となったときは創造物にもてあそばれるのが愚かな人間というもの。小さいけど健気に生きているのが人間やねんでほんま。 明らかにSF小説なんだけど、人間の哀愁を感じさせる味わいがよい。かといってウェットではなくドライな哀愁、無機質なおかしみとかなしみ。 その味わいが最後に収録された、唯一SFとちょっと呼べない短編で、ブワっと開花する。SFじゃないのにパラレルワールドだし、今までのドラい風味がなぜかここで湿りを帯びだす…構成の妙、こういう展開好きやなぁ。 次回作、早いこと出してください!
0投稿日: 2020.12.22
powered by ブクログハードディスクに上書きされるように過去が突然書き換えられる世界で記憶保持装置のモニターとなった男。設定だけでも面白いのに、途中で少しずつ雲行きが怪しくなり、翻弄された揚句ふっと自分の現実を確かめずにはいられなくなるほどどっぷり浸かっていました。この表題作「オニキス」をはじめ「神の創造」「猿が出る」「三千世界」までどれをとっても満足いくものです。ラストの「満月」の優しい収束がまた上手いですね。デビュー作とは驚きです。普段SFはあまり読まないのですがこれは素直に面白かったです。今後の作品も楽しみです。
0投稿日: 2019.06.14
powered by ブクログオニキス 村上春樹風の文体。物語の軸足が揺れ動く。それに伴い、読者の視点も変わる、ゆらゆらと揺り動かされる。話がどこへたどり着くのか 途中で主人公が変わるのも 神の創造 面白かった。内容的にオニキスを読んだあとなので警戒しながら読み進んだが、オニキスの流れとは違う内容なので、安心して読める。 載せる順序はこちらが先の方が良かったかも。 猿が出る 最後、猿との決着がどうなるのか、気になりつつ読み進んだ。昭和SF的な終わり方でちょっと残念。オチの子供とネズミも昭和的。 三千世界 ともすると、目まぐるしくて、ごちゃごちゃしすぎて読んでいる方は訳が分からなく、置いていかれそうな世界構成だが、きちんと書かれており、整理して読みやすく、没入できた。 ここから、オチに関わるネタバレ情報を書いています。 全般に精神的な、幻覚的な内容が描かれていて、目次順に読んだので、そのあとの物語はオニキスのようなオチを警戒して十分に楽しめなかった。 オニキスは、最後に持って行くべきか。 ある意味、夢オチと同義のオチ方なのでこれはちょっとスッキリしない。
0投稿日: 2016.12.02
powered by ブクログ過去に干渉する物質『マナ』。歴史は改変し、記憶が改竄され、現実が目まぐるしく書き換わっていく。表題作はこの認識がズレていく感覚が面白いですね。 自宅の散らかり具合が、重なり合うミニチュアの異世界に影響を与える「神の創造」も良かった。シュールに誇張された異世界は現実社会の矛盾や格差を反映しているというSF小説の構造を描いた話なのかなと思います。 センスオブワンダーと適度なユーモアのある短編5篇。なかなか楽しめました。
0投稿日: 2015.06.06
powered by ブクログ【装幀・デザイン】 岩郷重力+Y.S 丹地陽子 【あらすじ】 「マナ」により過去が書き換えられる世界を観察するため、由良芳雄は記憶保持装置のモニターとなるが――改変される現実と思いもよらぬ結末を描く、第1回ハヤカワSFコンテスト最終候補の表題作など現代性と普遍性と奇想を兼ね備えた5篇収録のデビュー作品集。
0投稿日: 2015.02.26
powered by ブクログーーーマナという物質により過去が書き換えられる世界を観察するため、由良芳雄は記憶保持装置のモニターとなるが―― 改変される現実と思いもよらぬ結末を描く、第1回ハヤカワSFコンテスト最終候補の表題作、 自室の混沌と秩序を反映したミニチュア異世界が重ね合わされた男の日常「神の創造」、 他人には見えない類人猿の進化を幻視する男の困惑「猿が出る」など、 現代性と普遍性と奇想を兼ね備えた5篇収録のデビュー作品集 新人作家、下永聖高の短編集 パラレルワールドや過去改変なんかの代表的なSF的要素を使いながら、どこか新しい読後感があった。 今までSFではあまり読んだことのなかったユーモラスな『神の創造』が作品としては一番好きやけど 『満月』の主人公が語った旅についての考察もドキッとして良かった。 「三千世界の鴉を殺し、ぬしと朝寝がしてみたい」
0投稿日: 2014.12.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
SFマガジン本誌で、表題作「オニキス」を読んで、印象に残っていたので同タイトルの文庫本を手にとった。 収録作いずれもうまく単語にできないが、変な?奇妙な?妙な?作品で、出だしと途中までは強く印象に残るのだが、最後どうなったかが記憶に残らない。 しばらくすると、あの話最後はどうなったんだけ?とまた読みたくなるような気がする。
0投稿日: 2014.11.25
powered by ブクログ「オニキス」 マナ兵器によって過去の書き換えが起こされる世界で、世界を観察するために記憶保持装置のモニターとなった人たちの記憶が次々と移り変わっていく。最後の結末はどんでん返しなのか、そうでないのか。スピード感ある展開で理解と考察がついてこない感じがSFっぽいなあ。 「神の創造」 現実の部屋の中と繋がる異世界。後半の熱いアクション展開は面白かった。 「猿が出る」 徐々に進化していく猿とのやりとりがコミカルだけど、結局猿は何だったのかよく分からなかった。猿は人類創世からの記憶だったのかな? 「三千世界」 平行世界を敵から逃げまわる話。未来っぽいガジェットと駆使して追手から美女と逃げる逃避劇は王道の展開だけど、最後の最後の種明かしの部分はちょっと微妙だったかな。 「満月」 この作品だけSFではなく、旅行記といった感じだった。恐らく著者が実際に経験した事も盛り込まれているのではないのかな。ひとり旅の物悲しさのようなものが、静かな南国の夜を通して語られている。私自身も、海外旅行を通して同じようなメランコリックな気持ちになることがあったので、面白く読めた。 「今見ている景色が一瞬前と同じものとは限らない」という現実の不確かさがコミカルなタッチで描かれていて、スピード感のある展開と合わせて、一気に読めた。
0投稿日: 2014.11.17ふわふわとした感覚に浸れる
短編5編。 なんだか随所に漂う中二病感がたまらない。 過去改変やら妄想幻想やら並行世界やら, どれも自分と他人,現実と虚構の境界が曖昧な, 夢の中のようなふわふわとした感覚に浸れるのが良い。
0投稿日: 2014.10.25表題作よりも?
時間SFということで読んでみました。 表題作「オニキス」は、マナという物質により我々が気づかないうちに過去書き換えが頻繁に 起こっているという設定は斬新だと思いましたが、読者の意表を突く展開なら何でもいいという訳でもなく やや世界観に入りにくいかもしれません。 私はこの表題作よりも同じ設定と世界観の「三千世界」の方が面白かったです。 表題作を読んだら、短編2作を読み飛ばして「三千世界」を続けて読むことをお勧めします。
0投稿日: 2014.07.18
powered by ブクログ面白かった。読み終えたあとにずしんと腹の奥に来るものがありました。読んでいる途中で「藤子・F・不二雄 異色短編集」を思い出しました。特に「三千世界」は「パラレル同窓会」が何故かちらつきました。(この話しはまた疾走感が堪らない!)先生が生きていたら漫画にしてもらって読んでみたい!!と強く思いましたね、特に「神の創造」「猿が出る」なんか凄く!そして最後の「満月」は繰り出されてきた不可思議な世界(IF)から(まだ読み足りない物足りないのに)もし、を想像する現実へと目が覚めるように引き戻される。(この物語を読み始
0投稿日: 2014.07.02
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
6/27頃~7/8 タイムリープものを連続して読んだあとの平行世界もの。 猿がでる以外は平行世界を題材にしていて、ほんのりつながっている。三千世界で主人公がナビを使って渡っていく様子はとても魅力的でもう少しこの世界をのぞいていたいと思った。またマナ粒子のある世界を題材にした話よみたいなーと。
0投稿日: 2014.07.01よくある風景からの飛躍
SF作品を中心とした短編集です。どの作品も(少なくとも最初の時点では)現代を舞台としているため、SFとしては取っつきやすい部類に入るでしょう。ただし、なかには設定が複雑な作品もあり、必ずしも「分かりやすい」作品ばかりではないように感じます。 「オニキス」――過去の書き換えというテーマは面白かったのですが、複雑な設定を理解するのに少々疲れてしまいました。 「神の創造」――わりと馬鹿馬鹿しい話ですが、個人的には好きです。異世界人が出てくるのに、この小ぢんまり感といったら……。 「猿が出る」――不穏な空気のただよう、シュールな作品です。ショート・ショートを長くした感じ、とでもいえばいいでしょうか。 「三千世界」――並行世界ものです。SFらしさはあるものの、どこか過剰な印象がぬぐえませんでした。 「満月」――ある男の旅を描いた小説(SFではない)です。情景描写、心象描写が見事で、主人公が抱える独特な心情にも共感をおぼえました。本書の中でいちばん好きな作品です。 「神の創造」「猿が出る」には4つ星、「満月」には5つ星をつけたいところですが、平均すると星3つかな、と。
2投稿日: 2014.05.29日常SFの心象風景
日常生活にSFガジェットや設定を登場させて主人公の生活や心理がどう移ろって行くかを描いた作品。過去書換、並行世界、人類進化、世界創造などSF的にはお決まりの設定ではありますが、あくまで個人レベルの範囲でしか話は広がらない。その意味では今風と言える。世界というよりは主人公の内面に向き合う方向に話は進み、本人が意識・無意識に関わらずに抱いている欲望や不安に向きあうことになる。題材の料理の仕方は良いのだが尺が短いせいか食い足りないというのが正直な感想。
0投稿日: 2014.05.25
powered by ブクログ第1回ハヤカワSFコンテスト最終候補の表題作を含むSF短篇集。 すべての作品が現実世界とそれ以外の世界の重層性とその狭間を行き来する意識という主題のもとに描かれています。 私達が暮らしている現代の世界から並行世界を次々と渡り歩く物語に何とかついていくうちに、読者である自分の意識まで浮遊していく感覚に襲われます。 視界が矢継ぎ早に変転していくドライブ感がたまらない一冊だと思います。(着いていくのが大変ですが……) さらに本の最後を飾る「満月」を読むことで、この短篇集の世界から脱し現実へ戻ってきても、魂を並行世界にとらわれているような余韻を味わうことができます。 関係無いですが「猿が出る」は世にも奇妙な物語にぴったりな作品ですね。長さ的にもオチ的にも。
0投稿日: 2014.03.20
powered by ブクログSFがマイブームなので購入。 短編集だが、面白いと感じたものといまいちと感じたものが混在していたため、星3。
0投稿日: 2014.03.19
