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小さいおうち
小さいおうち
中島京子/文藝春秋
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総合評価

495件)
4.0
139
196
108
7
3
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    全てを語り切らない余韻がほどよかった。後半やはり徐々に切なくなるけど、世代、時代の移ろいを感じながら読了。 どうも最近はおばあちゃんが出てくる物語に自然と惹かれるようだ。

    2
    投稿日: 2021.04.15
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    女中のタキちゃんがポーチがある赤い小さいおうちで時子奥様と恭一坊ちゃんと過ごした思い出日記をずーっとたどる物語。 戦争の時代でも市民は意外と明るく暮らしてた時間もあったんだなと思う。 日記は途中で終わってしまって、最後どうなったかはわからないまま。タキちゃんの孫が引き継ぐ形で物語をすすめるラストも良かった。 読み手みんながタキちゃんに感情移入して、銀座でカレー食べるのにワクワクしたり、奥様の帯が結び直されてることにちょっとドキドキしたりしたんじゃないかと思う。 いつまでも少女のように素直でまっすぐなタキちゃんがかわいい。 ただ最後の2〜3ページで話がわからなくなってしまった…。どういう解釈をすればいいんだろう。映画も気になる。

    2
    投稿日: 2021.04.09
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    思い出話で終わらんのがこの本のすごさやなと思った。タキ目線おもしろくてスイスイ読んでたら、健史目線でフイって違うもの見せられる感じ。ただじゃ終わらん構成。よかった。

    2
    投稿日: 2021.03.13
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    面白かった。映画を先に観たのでちょっと引きずられてしまったけど、原作の方が深い。映画の美しさはそれはそれで良いのだけれど。

    2
    投稿日: 2021.03.11
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    久々に直木賞受賞作を読む。非常に面白かった。文章も分かり易く、無駄なくユーモアがある。“原稿を燃やした女中”のエピソードが主筋のモチーフとして効果的に用いられ、多くの仕掛もスマートに最終章で収束されており上手に書かれた小説だと思う。時子とタキの主従関係もよかったし、各脇役が生き生きと人間らしく創られていた。昭和10年代から敗戦迄うまく描かれその世相が反映されているが、よく資料を調査したことと当時を生きた谷崎、太宰等文豪の著作からの影響が垣間見られる。 特にだが、石井桃子先生の自叙伝的小説『幻の赤い実』の影響が大きいと感じる。時子と睦子の関係は石井先生と同じ出版社で働いた親友がイメージされる。そもそもこの作品が、作:バートン 訳:石井桃子 のオマージュであり、石井先生の没年(2008)に連載が始まっていることからも執筆のきっかけになったのだと思う。コアな感想だが “ビフテキをバターで焼く”など無作為な単語のイメージで繋がっていたのも興味深かった。 手紙の扱いと手記に関して “?” となる読者もいると思うが、タキが老婦人にありがちな“信頼できない語り手”ということだろう。その視点で最後に作品全体を見直すという意味でもよくできた演出だと思う。

    2
    投稿日: 2021.03.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    映画を観たので原作を読んでみた。 映画とは若干違うけど、昭和初期の女中さんの目を通してみた中流家庭の様子が垣間見れて興味深い。親の世代が恭一の世代なので話は少し聞いた事もあるようなそんな内容。 板倉さんが出征する前の下りが映画と違って、ちょっとんんん?となったけど、正解は無いのかな。健史と同じように混乱しちゃった。 映画のお陰で時子奥様が松たか子さんとして脳内再生されて華やかだった。 あと、来館者の住所氏名を記載されたノートが誰にでも見れるように置いてあるって今からじゃあ考えられない。この本は何年を想定して書いたのかなぁ。 同じ事で誰かの住所を知りたいと思っても今では殆ど無理だからこのお話も結末は変わるよねとちょっと思ってしまった。

    0
    投稿日: 2021.02.09
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    あけましておめでとうございます♪ 今年も よろしくお願いします。 戦時中の一家族の生活を女中タキさんが淡々と話すのを、じっと聞き入る感じで読み進めた。 時子さんが巻き起こす?様々な出来事は、現代でも起こりうるように思って、妙に身近に感じた。 なんだろう… 全然好転しないコロナ禍で、まだ身近で感染がないだけにそれ程実感がわかないんだけど、気持ちは悶々としている所に、ちょっと明るい陽をさしてくれた本だった。 なんかキツくなってるのかなー。

    9
    投稿日: 2021.01.02
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    振特に山もなく谷もなく特別な事は奥様の不倫(?)位な優秀な女中のタキ目線で進む普通のお話。 昭和初期…戦争か…って読んでる途中で気がついた。けど、この世界の片隅に的な一般人から見た戦争で終戦間際になるまで戦争感はあんまりない。 女中っていう仕事も、現代を生きる私にはピンと来なくて、同じ日本に生きてるのに、分かってはいたけど曾祖母と祖母の間のまだ身近な時代なのに、こんなに私とは違うんだと不思議になった。

    0
    投稿日: 2020.12.17
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    図書館で借りて。ブクログでどなたかの感想を辿り、借りることにしたのだけれどとても良かった。 この時代の裕福なおうちの暮らしが興味をそそるし、恋愛事件の行方も気になり、そして後半は戦争の辛さと子供たちの不憫さに涙。 確か映画化されていたよね?映像で見たら素敵だろうと思うので見てみたい。→Amazon primeでサラッと飛ばして見てしまったけど、板倉さん、私の期待と違った…微妙に本とは違うところもあるようだ。

    0
    投稿日: 2020.11.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    女中時代を思い出して書き留めた話。 奥様が好きだった。それ故か、それ以外の理由か、手紙は出せなかった。それをなかったことにしたくて書いたのか、はたまた、手紙まで行き着いてもらうために書いたのか。 戦前から戦時中までの様子を知るのにも役立ちます。(もっとも、この通りかどうかは分かりませんが…) 表紙が「ちいさいおうち」をオマージュしていて素敵です。読み終わってもう一度見ると、なるほど、と。

    0
    投稿日: 2020.10.25
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    こんなふうにとらえてはいけないのかもしれないけど、東野圭吾の白夜行を思い出しました。理屈ではなく、見返りを求めるのでもなく、愛してしまう相手。愛することが幸せな相手というのはあるのでしょう。

    0
    投稿日: 2020.09.08
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    自分が生まれる前の時代設定であるにもかかわらず、懐かしさを感じるのは何故だろう?時を超えて小さな秘密が明かされていく部分も面白い。映画も観てみたくなった。

    1
    投稿日: 2020.08.14
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    2020年6月 東京で女中として暮らすタキの周りにはふくふくとした幸せが溢れている。 幸せな日常に少しずつ軍国主義が入り込む。 大局的に見れば当時の日本の状況がかなりまずいものであったことは現代を生きる人にはわかる。でもその時代で実際に生活をしていた一般庶民にはそんな大きなことは見えにくいのだと思う。 わたしが生きているこの時代は後世から見るとどういう位置付けになるのだろうか。

    4
    投稿日: 2020.06.23
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    昭和初期をリアルに生きたイメージ。 戦争の悲惨さをメインに書いてあるわけではなく、 ごく個人的な体験が、美とてもリアリティをもって 微笑ましく、痛ましく、真に迫って感じられる。 またそれだけではなく、後日談のように語られる最終賞も素晴らしい。 言葉も美しく、素直に心に響く傑作だと思いました。

    0
    投稿日: 2020.05.09
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    タキちゃんをはじめ、登場人物の一人ひとりが愛おしい。 昭和初期の、未来に向かう高揚感。 銀座という街の、都会感、華やかさ。 鎌倉という街の、ハイカラ感、爽やかさ。 誰かを想う強いきもち。 長い歴史から見ると、ふつうの人が戦争を体験したのはほんの一瞬に思えるけど、忘れてはいけないこと。 何が正しいのか、自己判断が難しかった時代だなぁ、と感じた。 今もそれは変わらないかもしれない。 少ない情報の中で みんなで一つのことを信じ迷いなく進む。 多すぎる情報の中で それぞれが疑念をいだき迷いながら進む。 選択の自由はある。 何が幸せなのかを考える一冊。

    0
    投稿日: 2020.04.29
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    戦争の時代を生き抜いた女性の物語りでありながら、戦争に焦点を当てておらず、淡々と日常生活を送る様子がとても興味深かったです。最後の最後で涙が出ました。そして読了後、この本の主題は何だったのか、改めて考えされられました。もしかするとタキちゃんは…

    0
    投稿日: 2020.04.16
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    戦前、戦中、戦後と生き抜いたおばあちゃんの回顧録。 昭和初期、山形の奥地から女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。 昭和初期というと、戦争に塗り潰された暗い時代と単一のイメージで語られがちだが、当時の東京における家庭や日常風景が描かれる。 当時の雑誌の場面が出てくるが、『戦死軍人の妻の涙の手記』とか、事変が始まったばかりの時には『未亡人読本』なんて付録が付いていたとか。 おばちゃんの大甥も一緒に語りに入るのだが、戦争観に関してのズレが、とても分かりやすい。 大甥が「戦争のこと」と言うが、大叔母タキに言わせると、正しくは「兵隊さんのこと」とか「海軍のこと」、「戦闘のこと」となるらしい。 戦地に行っていないものたちが、戦地の話をするのは、平和な時だ、と。 支那事変や朝鮮戦争やら、対岸の戦争時は三越やらで戦勝セールなんてのをやってたというから、まだまだ知らないことが多いと気付かされた。 結末が、戦争ものではあるが、何とも含みのある静かな一冊でした。

    1
    投稿日: 2020.04.03
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    テレビで映画の放送をみかけて、原作を読んでみたくなりました。映像が先だったので完全に役者さんたちがそのまま再生されている状態。「顔が浮かぶ状態」はまったく邪魔になることなく、良い相乗効果で楽しむことができました。 戦時中だって当たり前の日常があって、一般市民には重大な情報は伝えられぬまま、気が付けば戻れないところにいて、それでも毎日をなんとかやっていくしかなかったのだと改めて考えさせられました。映画版でもそうでしたけど、健史くんは嫌ですよ。若いからなのか?想像力の欠如。嘘と決めつけてはいけないです。いったん素直にお話きいてほしかった。思い込んでいると難しいのかもしれないですね…き、気を付けよう。 登場人物みんな少し困ったところがあって、それが人間くさくて、「気が付けばドツボ」というのはなにも戦争に限ったことではなく、日常の些細なことや人間関係にもあるもので、その対比も楽しんで読むことができました。 タキさんを見習って、背筋を伸ばして暮らしたいなぁと思います。淡々とこなしていくというのは、簡単なようでなかなか…いまは働き方も生き方も幸福感も複雑になっているような気がして、それはたくさんの可能性と、反面自ら舵をとることの難しさをひしひしと感じます。

    0
    投稿日: 2020.03.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦前、戦時中の女中タキちゃんの記憶だけと思ってたら最終章で健史目線でびっくりした。 タキちゃん目線で、時におかしかったりちょっとハラハラしたりしたけど、人の家の秘密を覗いてるみたいで読んでていいのかなぁ、と不思議な気持ちだった。

    0
    投稿日: 2020.02.11
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    最初は普通の日常やできごとを綴る本かと思いきや、終盤で色々と考えさせられる構成になっていて、結果面白かった。

    0
    投稿日: 2020.02.01
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    着物を持って行って食糧を調達したとか、親から伝え聞いて少し知っていることもありました。戦時中のお話を、女中という立場で語っているところがとても新鮮。昔の正義感もちらほら。小さいおうち、は子供のころ読んで今でもストーリーを思い出せる良本。そんな本との対比も。いつか精読すべき。(できるかな?)

    8
    投稿日: 2020.01.06
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    学校で習った戦時中の話と全く印象の違うことに驚いた。こんな風に楽しく過ごしていたなんて。なにが真実なのか戦後生まれの者には分からないのですが、恐いだけの歴史の授業では語られない、新たな面を知ることができ心が動かされました。こんな戦前戦中戦後の人々の生活があったなんて。

    3
    投稿日: 2019.12.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦時下の恋愛事件ー というほど、ドロドロした感じではなかった。 昭和初期のドロドロは平岩弓の方が話が面白い。 最初はゆったりと楽しそうに話が進んでて、よく考えると、13歳で女中なんてけっこうハードなんだけど、奉公先に恵まれて、楽しみながら成長していく。 戦争物の悲惨さや暗さがなく、昭和初期の明るい街並みや、美味しそうな食べ物、レストランや別荘の様子など、戦前、戦中とは思えないほど豊かな暮らしぶりが見える。 なんとなく似ているなと思ったのは、 この世界の片隅に 最初は子ども時代から始まり、結婚して夫が出征するまでは昭和の楽しい暮らしぶりが伝わる見ていて楽しい物だった。子供もドラマを時代劇を見るような感じで見ていたが、楽しんでみれた。 でも、その頃実際では、外洋でことごとく日本が負け始め、資源もなく、若いたくさんの人たちを次々と送り込んでは、尊い命が次々と砕け散っていったのではないだろうか。国民には知らされなかったことだけど。 本当にしんどいのは19年20年なんでしょう。 学童疎開での子供社会での厳しい戦い。 南洋に送られた兵隊の想像を絶する生活。 読めば読むほど、子供たちの生まれた時代が、戦争がなくてよかった。と思った。うちの子に乗り越えていけるとは思えない。 でも、後書きの対談でおばあさんの話として、 80年代、景気が右肩上がりでどんどん良くなっていきそうだった時代に 「ちょっと嫌だわね、戦前みたいで」 ていう話が出てきて、少し怖かった。 今もいろいろ条件が揃ってると思う。 戦時中の人たちはみんなあの頃大丈夫だと思ってたけど、東京は焼け野原になった。 今もみんな平和に暮らしてるけど、どうなるかわからない。日本の周りを見れば安心はできないと思う。 最後の最後にタキさんは小中さんに言われた「女中の心得」みたいなものを思い出して、奥様のために罪を被ったのかなー。それとも別の何かのかなー。それにしても、タキさんが渡してないとは思ってなくって驚いた。 あとがきで盧花公園の話が出てきて、うれしかった。 直木賞苦手意識少しなくなったかも。

    3
    投稿日: 2019.12.10
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    戦前、戦争に向かっていく時代の中で、 赤い屋根とステンドグラスというハイカラな小さいおうちに住む人達の話。 語り部は女中さん。 あー、「この世界の片隅に」みたいな、そーゆー時代にも普通に暮らしてる人達がいて、それが戦争によって変化を強いられるけど、戦後どんな執着点を見出していくか、みたいな時代小説ね、と思い読み進んでいくと、最後の章でマジか!となった作品。 この人間模様は、この時代として切り取るからこそ、深みが増すな。 映画観たくなるな。

    1
    投稿日: 2019.11.14
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    2019.10.16 田舎から出て、奥様の事を憧れて憧れて… って気持ち、よく分かります。 息子さんから見た奥様の印象と、タキから見た印象が違うのもとても良い。 良い本でした。

    1
    投稿日: 2019.10.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    以前、映画を見てとても良かったので原作を。 映画はものすごく原作に忠実に作られていたようだった。 キャストもぴったりで、黒木華と松たか子と吉岡秀隆で脳内再生される様々なシーン。 カテゴリは迷ったが、昭和初期を描いた小説というのは、もう“時代小説”に分類して差し支えないだろう。 時代小説というとどうも江戸時代のイメージがあるが、過去のある時期の、歴史の教科書に載るような大きな出来事ではなく、日々の生活を描いたものを時代小説と呼ぶのであれば、これは時代小説に値する。 戦前の話というとやはり暗いイメージがつきまとうが、本当に終戦間近になるまで人々の生活は小さな楽しみもありつつ続いていたんだな、と感じることができた。 主人公?のタキおばあちゃんが泣くほど後悔することとは一体何だろうか。 封を開けないまま残された手紙。 タキは、板倉さんにあの手紙を渡さなかったらしい。 しかし、板倉さんはやってきた。 もしかすると、甥の健史に「嘘じゃない」と言い続けたあの手記の中で、唯一あの日に板倉さんがやってきたことだけが、「こうなれば良かった」というタキの願いが書かれていたのだろうか。 タキの後悔は、あの手紙を渡せばよかった、ということなのだろうか。

    3
    投稿日: 2019.09.11
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    戦時中の話をこんな目線でこんな形で表したものは知らなかったので新鮮でしたが読み終わってみると今は亡き祖母の話が思い浮かびます。彼女から夫が戦死した後乳飲み子を抱えて大変な苦労をして戦後の混乱の中母を育てた話ももちろん聞きましたが、それ以上にたった二年しかなかった結婚生活でどれだけ楽しいことを沢山経験したかを聞きました。戦時中というのが特殊ではなく日常の延長にあったことを嫌でも感じさせられます。ラストの展開は意外で楽しめましたが切ないですね。想像にゆだねる部分があるところは好みです。

    0
    投稿日: 2019.06.14
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    「長いお別れ」がとても面白かったので、続けて中島京子さんの作品を読みましたが、こちらもたいへん素敵でした!

    0
    投稿日: 2019.06.13
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    自分もそのおうちにいるような気分になれた。 時代背景は厳しいはずなのに幸せな気分にさせてもらえるのは不思議だった。 話は逸れるが、自分は現代社会の中で毎日追われるように日々を過ごしこんなに丁寧に過去を綴れないなと思う。 丁寧な暮らし、小さなことへの感動とか驚きとか悲しみとか大切にしていることが素敵だなって思う。 最後にたけしがつないでくれたものに感動したし、素敵なお話だった。

    4
    投稿日: 2019.03.06
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    表紙を見たときに、なんとなく絵本の「ちいさいおうち」を思わせるものがあって借りてみたら面白い!絵本の方が全く家目線でどんな人が住んでいるか寧ろうやむやなままになっているのに対し、こちらはたった4人の関係の濃いメンバーの代だけで終わってしまう、人間中心物語。戦前の空気感が一般市民目線で描かれていて読みやすく、最後までなんだかドロドロしていてよかった。

    1
    投稿日: 2019.01.04
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    久しぶりにめちゃくちゃ面白かった。人は人生で色んな落とし物や忘れ物をするけど、忘れた頃あきらめた頃に埋めあわせができたりする。 疎開の子供を引率してきたタキちゃんが、お米といわしを奥さまに渡すシーンが大好き。女の人しかわからないと思うけど。

    1
    投稿日: 2018.11.28
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    途中号泣。最後も号泣。よくある設定なんだけど、こういう設定すごく好き。主人公もいい。時代も太平洋戦争で、そういう時代の、庶民より少し浮いている人たちの暮らしっていう設定もいい。太宰治の「斜陽」みたいな。映画を観てからだったので、おうちの感じとか想像できたし、主人公も黒木華で奥さまも松たか子で読み進められた。

    1
    投稿日: 2018.11.10
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    ▼Evernote登録済み ▼121214 丸善本店 ◎積んどく状態のものを、2013年4月に読み終わった ◎最初は単調な物語だが、後半に入り一気に物語の世界に引き込まれていく。 ◎最終章はちょっと感動。こういうシーンを入れないと芥川賞は取れないのだろうな。

    0
    投稿日: 2018.10.24
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    現代から昭和十年代を回想する時代もの 『嵐が丘』というか『日の名残り』あたりのを狙った内容だが 作中でもあるように「家政婦は見た」以上ではない 無駄な描写が多い一方で必要な描写に欠ける残念な作品

    1
    投稿日: 2018.10.20
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    女中だったタキが書きつけたノートという体をとって進んでいく。まるで映画を見ているように読める絵画的な小説。根が明るく聡明で気丈なタキの始末のよいしごとの描写が楽しく、またそれぞれの秘めた愛のかたちに涙が流れる。 muddling through 秘策もなく。何も考えずに。 sacred/secured イノセンスが,傷つけられずに「聖なるもの/守られたものとして描かれるのは,唯一「小さいおうち」の丸がこみのなかの人物たちだけなのです。「小さいおうち」の丸がこみの絵の中に,彼が生涯守り続けたかったものが描かれたと考えるのは,少しセンチメンタルに過ぎるでしょうか。

    0
    投稿日: 2018.10.18
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    絵本は知っていたから絵本の話の大人版?かなー?と思っていたら、ちいさな家にまつわるばーさんの手記のような一冊でした。 昭和の時代に怒涛のごとく過ぎ去ったばーさんの物語。 最終章で、甥っ子が出てきたあたりに物語が急速に終わり始め、軽い謎を残して終わるので、ほんわかしたばーさんミステリのようでした。 私の持ってる本がどこから流れてきたのかわからないが、めちゃくちゃ書き込みされてて、しかもなんとなく字体が絶対にばーさんかじーさんで、本の中で手記を綴るのタキさんもやたらばーさんなだけに、この書き込みが妙にリアルでゾクゾクした。笑笑 めっちゃメモってあったし。ミステリでもなんでもないけど、タキ、甥、タケシ 時子 夫人 奉公先 板倉 時子 恋? 部下 みたいなメモがなんだかリアルばーさんの手記になってる特別版でした。

    1
    投稿日: 2018.09.19
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     太平洋戦争の前夜から物語が始まる。女中として裕福な家に住み込みで働いていた女性が、晩年になって昔を振りかえってノートに書きつけてゆく形式。なんでもないような日常生活の描写が続く。戦争に巻き込まれながらもそれほど劇的なことが起きるわけでもなく、淡々と物語は進むのだが、それでも最後にはじんわりとした感傷が沸き起こってくるようなストーリー。

    2
    投稿日: 2018.09.10
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    当時を生きている人の、 当時のひとの日常のおはなしでした。 戦前〜戦後を生きた女中の手記のようなもので、 戦争が近づくなかでも、楽しく生きていた人々の様子が目に浮かびます。 戦争を知らないわたしは、この本に出てくる健司(漢字違う気がする)のようにその時代はずっと辛く苦しい日々が続いていたのかなと勝手に決めつけてしまうけれど、人々の生活はいきなり恐ろしい非日常になっているのではなく、いつも通りの生活がしわじわと変化していっているのだと感じました。 きっとこれは今のわたしたちと同じなんだろう。 タキや平井家の日常にほっこりする場面も多く、古き良き日本を感じられますが、戦争に反対だったり、興味がない人たちが時代とともに戦争に賛成とまではいかなくても協力する体制ができていたり、そういう気持ちになるように世間が動いている様はとても恐ろしくなりました。 映画では、タキと時子、そして板倉さんの恋愛模様に焦点があれられているようでしたが(映画未視聴、予告だけ見た感想)、恋愛小説というよりは、今を生きる私からは想像できない当時の様子を魅力的に描いた小説の面に強く感動しました。 また読みたいです。

    1
    投稿日: 2018.09.04
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    古き良き時代の描写が美しい。 登場人物全ての人が純粋な心を持った素敵な物語。 美しく生きるための参考書。

    1
    投稿日: 2018.08.30
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    その頃の世情や暮らしぶり、戦争により日常の歯車が少しずつ狂ってゆくさま。 だけどタキちゃんのバイタリティといったら! こんなに心に飛び込んでくる活字は初めて。

    1
    投稿日: 2018.08.16
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    らび姉さんにお勧めの本として頂く。試験勉強中で本控えていたが、昨日の飲みで勉強する気も起きないので、今日は早速これを持って出勤。眠い。 戦争前、東京の家に奉仕する女中として仕事をしていた主人公が、昔を振り返り出版されるか分からないが本にしたため、甥に読んでもらうと言う形で話は進む。 戦前、戦中のある程度裕福な家の生活が読めるのは楽しい、内容としてはほのぼのしていて女性向けかなと思うが、最終章の甥の目線からの話で、もう一つの視点が見えてきて、話に深みを与えている。

    1
    投稿日: 2018.08.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    *赤い三角屋根の家で美しい奥様と過ごした女中奉公の日々を振り返るタキ。そして60年以上の時を超えて、語られなかった想いは現代によみがえる* 文庫を見つけての再読。初読時はまだ自分も青かったのか、単純に、静かで平坦な物語だなと言う印象でした。 それが8年経った今読み返すと…なぜ、こんなにも素晴らしい世界観がわからなかったのか、自分に呆れるばかりです。 静かな時間の流れの中にも、しっかりと芯がある。どんなご時世でも生き生きと暮らしを紡いでいく。自分の役割を精一杯務めること。他者への気遣い、尊敬、そして恋慕。様々な、人として尊い何かがぎっしり詰まっているような、珠玉の物語。しばしその余韻に浸りたい。

    1
    投稿日: 2018.06.27
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    太平洋戦争前夜、日本がかなり文化的な状況に合ったことが分かる。選曲が相当悪化するまで、一般市民が普通の生活を続けていたということも。戦争のイメージが変わったという点でとても勉強になった。戦争は知らないうちに近づいてくるもの。

    1
    投稿日: 2018.06.27
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    タキさん本人の手記ではないかと思うくらい、戦前の暮らしをリアルに感じた気がします。 作者さんの筆力がすごいのでしょう。 淡々と日常を描写しながら、当時の暮らしや、その暮らしの中で戦争が始まって変化していく人々の暮らしと気持ち。当時を「歴史」として見てしまう現代人にはわからない気持ちかと。 作中の事件より、戦前の、ちょっといいお家の暮らしぶりに心奪われました。

    2
    投稿日: 2018.05.14
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    昭和10年代の東京郊外を舞台に、東北地方から上京した娘の、若く美しい女主人に女中として仕えた日々が描かれる。 彼女たちと私たちの橋渡し役のように、現代を生きる主人公の孫のような青年が登場し、彼目線での彼女の昔語りへの感想が挟み込まれるが、あの太平洋戦争へ向かう時代が背景で、戦争の影は徐々に忍び寄っては来るものの、彼女たちを取り巻く生活は、小さな西洋風の住宅が示すように美しいものに彩られ、大正モダニズムの続きの時代なのだと再認識させられる。お出かけで外食を楽しんだり、新年には新しい着物をあつらえたり、美術展の美しい画集を眺めたりする暮らしは、私たちが享受しているものと地続きなのだと思うと同時に、今の時代が対戦前の時代にどこか似ていると言った人のことを思い出し、ぞっとする。 それでも、主人公から見た女主人は、「絵のように」美しく、憧れの人。かの女主人が女学生の頃には、彼女に恋焦がれておかしくなってしまった人までいたというエピソードからは、Sの関係とか、あぁいった文化の香りまでしてくる。そして、この小説は、秘められた恋の物語でもあった。

    1
    投稿日: 2018.03.17
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    おばあさんが戦前から戦時中にかけて女中をしていた体験を綴っていく話。その頃の時代の感じが知れた。最後に全てがつながって面白かった。久しぶりに出会えた良い本。

    2
    投稿日: 2018.03.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    じわじわ浸透していく戦争 殺伐としていくけれど淡々としているので暗すぎもしない タキの後悔はなんだったのか 手紙を隠した→板倉が会いにきてしまった→奥様とギクシャク、? 駆け落ちの可能性とかタキの恋慕とか板倉が感じていた小さなおうちの内側とか恭一を探したのか探さなかったのかとか旦那様は知っていたんだろうなとか 読者の想像に任されたので想像のしがいがあります

    1
    投稿日: 2018.02.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    戦前の帝都東京の雰囲気を味わえる小説。 戦前に平井家に女中奉公していたタキの回顧録みたいなもの。 平井家は東京郊外に赤い屋根の瀟洒な文化住宅に住んでいて、戦争も間近なのに百貨店ではセールがあり、食べ物も配給制になれどタキの采配でなんとか文化的な生活を送っている。 私のような読者の代弁者のように、タキの甥の息子はその話をタキから聞いて戦争直前でそんなわけない、と信じない。 時子奥様の息子恭一ぼっちゃんにたどり着くラストまであるとは思わなかったな。

    1
    投稿日: 2018.02.18
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    [手に取った理由] 黒木華さんがこの作品で、第64回ベルリン国際映画祭 最優秀女優賞受賞とニュースで知って。そのうち読むリスト入り。 [主な登場人物] タキ…女中 小中(こなか)…小説家 平井時子…奥様 平井恭一…ぼっちゃん 平井…旦那様。時子の再婚相手。玩具会社の営業部長 麻布の奥様…時子の姉 正人…息子 睦子…時子の女学校時代の友人。出版社勤務 板倉正治(しょうじ)…玩具会社のデザイン部 セイちゃん/石川清太(せいた)…坊ちゃんの友達 タッちゃん/佐橋達吉(さはしたつきち)…坊ちゃんの友達 健史(たけし)…タキの甥の次男 [感想] タキと時子の関係が好きでした。 食糧が入手しずらくなりながらも、少ない材料で工夫を忘れない生活が好きでした。 健史の突っ込みに対するタキの反論が好きでした。 タキが残したノートは、素敵なものがいっぱい詰まっています。 綴られなかった思い。綴れなかった思い。それはタキと共に消え去りました。 もし…。

    1
    投稿日: 2017.12.04
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    2017.2月。 戦争ってこんな風に近づいてきていつのまにか入り込んで侵食してくるのかと怖くなった。特に子どもが戦争を美化して目を輝かせていることにゾッとした。私たちはもう知っている。私たちがちゃんと声をあげて止めないといけないんだ。タキちゃんのまっすぐさが眩しい。

    3
    投稿日: 2017.12.03
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    今、読んでおくべき本はこの本だと思います。美しい日常に忍び寄る戦争のリアル。私達は戦前を知らないのだが、豊かだったのです。それらを奪い取る戦争。生活が変わらないから政治に関心が無くて良いと言えますか?

    3
    投稿日: 2017.11.26
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    穏やかな平井家の暮らしは、 二つの事でさざ波が立ち始める。 板倉さんの登場と戦争への歩み。 秘め事も戦いもいつかは終わり・・・ それを見続けてきた女中のタキも・・・。 その記憶は現代に甦り、終焉を迎える。 タキさんの冥福を祈りたくなる、そんな佳品。

    3
    投稿日: 2017.10.17
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    物語は女中たきちゃんの手記の様な、日記の様な回想録の形で進んでいく。 女中として、平井家で奉公し、旦那様、奥様、ぼっちゃんと過ごした日々。赤い三角屋根のモダンなお家。戦争へ向かっていく混乱していた時代、しかし忘れられないキラキラした東京での生活の中に、忘れられないもう一つの想いがあった。 最後の種明かし(?)の部分、もう少し丁寧に描写されててもよかったかなぁ。多分、少なすぎても多すぎてもダメなんだろうけど。 けど、たきちゃんの思いを考えると、どこまでも切ない物語でした。

    3
    投稿日: 2017.09.19
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    女中タキの昔語りで進行する物語は、語り口調が面白くとても飄々としていてのめり込むように読んだ。第二次大戦中の日本や家事や料理の話、家のなかの人間模様などを女中らしく、時にはすこしの皮肉を交え、「戦争が始まるまでは、なんだかまるでいいことがなかった」と読者を煽ったりする。話し上手な人とはこういう人のことをいうんだと感心した。

    1
    投稿日: 2017.09.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    美しい時子奥様と女中タキの物語。 教科書にも載っていない、昭和初期の美しき良き時代が生き生きと綴られている。 タキちゃんの作る、工夫を凝らした料理が美味しそうで、一口でも良いから食べたかった。 赤い三角屋根の洋館「小さいおうち」は恐らく現代に造ることは無理だろう。 一度で良いから入って見てみたい。 そしてラストで明かされた謎。 何故タキちゃんは……? 読後、不思議な余韻が残る、品のある美しき物語だった。

    3
    投稿日: 2017.08.20
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    前に読んだことあるなあと思って読んでいたら まさに でした 本当のことを実は日記に書くことなく死んでいったんじゃないかな あのお手紙が封を開けずに出てきたってことは 奥様と最後会えなかったんじゃないかなあと 思いました それをずっと後悔していたのではないかと 残念なことに出版社は、来なかったし 本当に料理の本が出たとも眉唾だけど。

    1
    投稿日: 2017.08.15
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    ○節約一辺倒で描かれがちな暗い戦前~戦中を、現代小説のように想像力豊かに語る あっけらかんとした語り口調。帯に書いてある恋愛事件に辿り着くまで文章に冗長な感もあるが、次第に引き込まれるだろう。 茨城に住むタキは、少女時代からある家に女中奉公をしていた。 小説家である小中先生の女中をしたあと、浅野家の奉公をした。そのお嬢様であった時子が平井家に嫁ぐというので一緒に平井家のご奉公へ行くこととなった。 旦那様は玩具会社へのお勤めで、じきに常務になった。 時子と息子の恭一、旦那様とタキの4人で戦前~戦中のあわただしい時期に仲睦まじく過ごす風景が、戦争の高まりによって少しずつ崩れ始める。 そんなときに発覚したのが、平井家に出入りをしている若手社員の板倉へ、時子が思いを寄せているのではないか、という疑惑だ。旦那様に伝わることはない(と思いたい)が、それを知ったとき、タキはどのように行動するか。 戦争へ突入してからの物語もタキらしい。山形出身ながら東京でたくましく生き、山形で生き延びるチャキチャキ娘。戦後、事実を知ったタキの受けたショックは計り知れないだろう。 最後は一度ひっくり返し、もう一度読者の期待の上をいく構成で満足。 黒木華の女中姿が目に浮かぶようだ。 節約一辺倒で描かれがちで、暗いイメージも強い戦前~戦中を、思ったことをズバッと言うのは禁忌であるにもかかわらずあっけらかんと話すこの小説は、とても明るい。 現代に生きてくるべき教訓を語るようである。たくさん読者に想像させ、もしかしたらその時代においても楽しい日々があったのだ、と思わせるほどワクワクさせてくれる。 読了後ウェブページを漁ってわかったことだが、最後に悟って睦子さんが暗唱した小説の一節は、実は優しかったんだなぁ。

    1
    投稿日: 2017.08.14
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    昭和初期の東京、坂の上の小さいおうち。綺麗な奥様、ぼっちゃん、家事に長けた女中、玩具会社重役の旦那様、女学校友達で職業婦人の睦子さん、音楽や美術に詳しいデザイン部の若者。戦後、タキばあちゃんと甥、著名漫画家の記念館。 戦前というと暗いイメージだったけれど、今と変わらないような東京の豊かな暮らし。戦争の影が暗く重くではなく、噂の片隅であり、普段通りの日常が続いていた感覚。戦争が断絶したこと。

    1
    投稿日: 2017.07.16
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    なんとなく後回しにしてしまっていたけれど、読んで大正解。唸らせる直木賞作品。単なる女中さんの回想録に留まっていないところが素晴らしい。まさあんな展開で結末を迎えるとは。昭和初期の市井の生活がよく分かるのもさることながら、世間がだんだん戦争へ向かって行くときの国民の昂揚感がよく伝わる。過去から眺めれば地獄の始まりなのかもしれないが、当時はやはり「もっと良くなる」かもしれないという希望はあったろう。そういう時代。時々挟まる甥っ子の指摘、それは後の歴史観。そのずれをきちんと盛り込んでいるのが秀逸。映画必見だな。

    2
    投稿日: 2017.05.25
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    第143回直木賞受賞作品、知り合いが「とてもいいよ」というので遅ればせながら手に取りました。 時代は昭和初期、主人公少女タキの女中奉公先で起きた様々な出来事を綴った作品。 人を思う気持ちの強さ、戦争の悲惨さ、亡くなった人の無念さ、思いを知った若者の行動、何十年も経って甦る記憶等々、作品の中にはたくさんの生きざまがあり、いろいろと思い考えされられました。 同じパターンで構成する展開かと思ったら、突然の変化に驚きながらクライマックス。文章に込められた鼓動やリズムが、ぐっと胸に迫ってくる感じがすごくよかったです。装丁も可愛く、ふと手に取ってみたくなる感じです。 原作は、山田洋次監督によって映画化もされていました(恥ずかしながら知りませんでした)。今度、じっくり観たいと思います。 ぜひ多くの方に読んでほしい作品ですね。

    2
    投稿日: 2017.05.08
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    映画観たい。 赤屋根の小さなおうちが観たい。 映画観たら、少しはこのモヤモヤ 消化されるかなぁ‥。 タキさんの涙、 タキさんの家族、 タキさんの愛したひと‥、 なんとなく、 そっちかなぁぁ‥と思った。 ワタシも。 2017.05

    2
    投稿日: 2017.05.07
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    昭和開戦時、田舎から出てきたタキは、きれいな奥様にお仕えすることになる。その奥様一家とタキが暮らす家が、赤い屋根の小さなおうち。 女中という仕事に誇りを持ち、奥様にお仕えできた幸せな日々を、高齢になったタキが回想する内容。

    1
    投稿日: 2017.04.30
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    原作は未読のまま、試写会で観た『小さいおうち』。原作を読んでみてたまげました。たまげたというのは大げさですけれども、山田洋次監督はやっぱり凄い人だなぁって。 最近は原作を読んでから映画を観ることのほうが多いですが、そうでもなかった数年前、『その日のまえに』(2008)のことが思い出されます。大林宣彦監督の作品はもともと得手ではなく、『その日のまえに』も映画版は「なんだかなぁ」と感じたのに、原作を読んでぶっ飛び、それをあんなふうに映画化した大林監督は凄い人だと思い直しました。 『小さいおうち』に関しては、映画版も好きでしたから、『その日のまえに』の原作を読んだときとは入り方がそもそも違いますが、これをこういうふうに映画化するのかとタマゲタ度は同じくらい、そして山田監督は素晴らしいとあらためて思ったのでした。 話の大筋は変わりません。『北のカナリアたち』(2012)のような、原作ではなく原案と言うに留まるわけでもなく、どこからどう見ても、まちがいなく原作そのままです。しかし、少しずつ変えられた状況に非常に興味を惹かれます。 たとえば、タキ(黒木華)が最初に奉公した作家の小中先生(橋爪功)宅での話。小中先生がタキに聞かせる「気配りのできる女中」についての例。原作と映画とどちらが良いということではなく、映画の例はとてもわかりやすい。 タキが小児麻痺にかかった幼い恭一(秋山聡)をおぶって、来る日も来る日も整形外科へかよったのはうだるような暑さの夏のこと。その苦労と努力を認めた治療師(林家林蔵)が、タキにマッサージ法を伝授して、これからは君が坊ちゃんにやってあげなさいと言います。それが原作では年の暮れのこと、病院も正月休みに入るため、やむをえずタキが医者の代わりにマッサージすることになります。 平成のタキ(倍賞千恵子)の様子をしょっちゅう見にくる優しい健史(妻夫木聡)が、原作ではもっと辛辣にタキを嘘つき呼ばわりする甥の次男だったり、初婚同士以外だとは思ってもみなかった時子(松たか子)と雅樹(片岡孝太郎)夫婦が、原作ではそうではなくて、しかもそんなワケありだったのかと驚いたり。 雅樹がタキの見合い相手に選んだ和夫(笹野高史)には、映画・原作共に大笑い。悲しむタキの気持ちを汲んで、時子は「ずうずうしいにもほどがある」と。若い男性は兵隊に取られるかもしれないからと言い訳する雅樹に、「(あんなジジィなら)鉄砲玉に当たらなくても死ぬかもしれない」、そりゃそうだ。そして、原作ではちょっとだけ描かれていたお見合いのシーンは、映画では笹野さんのためであろう演出がなされていて印象深い。 原作ならではの楽しみだったのは、タキが工夫をこらした数々の料理。洋風化が進むなか、「クリームシチュウの付け合わせにはナマス」などという、わけのわからない取り合わせが雑誌に掲載されたりして、それは変だと感じたタキが、自らパンを焼きます。米の節約も強いられるご時世で、なんとかあるもので美味しくと、落花生を砕いたものに砂糖を落としてつくるピーナッツバターが実に美味しそう。こうした料理が映画にも登場すれば楽しかったでしょうけれども、それでは『武士の献立』ならぬ『タキさんの献立』になってしまう(笑)。 映画では時子とどうかなるには色気がなさすぎると感じた正治(吉岡秀隆)。原作を読んで誰だったらイメージできたかなと考えたら、ひょっと思い浮かんだのが斎藤工。いかがでしょ? 後日、笹野さんのエッセイが載っている新聞を読みました。黒木華を見て「この人がボクのものになるんだとつぶやいたら、山田監督に笑われました」とのこと。相変わらずワラかしてくれます、笹野さん。 映画は観たけれども原作は読んでいないという方には、ぜひお読みになることをおすすめします。 追記:映画の感想はこちら。→http://blog.goo.ne.jp/minoes3128/e/bfe84c50e6b6838c4cee0307d99db368

    3
    投稿日: 2017.04.24
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    いやー!やられた! これぞ小説!この物語の中に入っていけて、娯楽としての読書趣味心を満たしてくれる! 家政婦タキちゃんの目から見た、タキちゃんの語りによる進行。語りを使った手法なだけに、本当の真実は読み手が想像できるから、いつまでも物語に浸っていられる。 そして、最終章もまた、物語の理解を深めるのに良い働きをしている。 とても良くできた小説! 戦争の時代が背景だけれど、自分が今まで思っていたイメージとはだいぶ違った。戦争の時代でも、日常は、現代の日常と大差なく、ドン底から暗いわけでもなく、普通に冗談があったり笑ったりしていて、なんだか救われた気がした。

    2
    投稿日: 2017.04.21
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    あの戦争前後を生きた、結構裕福な家庭の物語。特に何が起こるでもなく、比較的淡々と進んでいく。それを読ませる作者の技術は素晴らしいと思うけど、単調に思えてしまい、何度か睡魔に持っていかれてしまいました。

    1
    投稿日: 2017.04.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ラストの手紙で「ん?」。 そして、“あの日(第六章・15)”までページを戻って「ん~・・・?」。 結局、奥様の手紙を彼に渡さなかったことはわかったけど、あの日の記述内容が謎ですよね。“読者がいることをよく考えようと思う”というようなことを、直前に書いているので、やはり・・・。 この“藪の中”感が、余韻といえば余韻? ま、タキちゃんが奥様を好きすぎたって事ですかね。

    2
    投稿日: 2017.04.19
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    自粛という言葉は日本独特だ、なんて話も聞くけど、自粛する感覚自体は意外と他の国にもあるよなぁ、と思ったりもする。ここはこうしておくべきだろう、みたいな空気とか。 ともあれ、自粛感覚によるものなのか、一般的に戦時中の様子を語る時に、けっこう楽しい話があったとか、面白おかしく過ごしてたなんて話はあまり聞かないわけで。世の中のどこにもお調子者とかいなかったのか?っていう疑問がそう言われてみれば無きにしも非ずで。ただ一般人が、戦争って言われてもピンとこないわー、って言って暮らしてるだけの話なのに、実に新鮮なのです。 でもって適当にばあさんの昔話だけかと思ったら、最後の余韻がね、この流れはけっこう好き。

    3
    投稿日: 2017.04.06
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    東京の赤い屋根の洋館「小さいおうち」に女中奉公する少女タキの視点で描かれる、戦前のモダンな東京の生活、奥様と板倉との恋愛、次第に軍国少年へと変わっていく恭一ぼっちゃんなど、人々の普通の暮らしが戦争へと流されていく感じがなんか現代にも通じるのかなと思った。タキが歳をとって亡くなり、手記が途中で終わってしまうのだが、甥の次男健史によって、タキが書かなかったことが明らかになっていく。時間を超えて、あの当時の人々の様々な感情が届いてくるのが、なんか愛おしくて切ない気持ちになった。

    2
    投稿日: 2017.02.27
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    昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。だが平穏な日々にやがて密かに“恋愛事件”の気配が漂い出す一方、戦争の影もまた刻々と迫りきて…。 晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す。 戦時中は暗い雰囲気一辺の時代だと思っていたけど、市民の暮らしの中には、現代の私たちと同じように、日々の楽しみや娯楽があった。 タキの甥の次男で、大学生の健史が、タキの手記の読み手として、時々タキの記憶に茶々をいれる。 「戦時中、そんなに明るい、呑気な話があるわけない」と。 でも、きっと実際はそんなものだったのかもしれない。 この健史が、最終章でとても大事な役割を果たすのだけれど、この物語の切ない巡り合わせに、なんとも言えない寂しさが残った。

    2
    投稿日: 2017.02.07
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    「うんと、かわいそう」 「タキちゃん」と女中を呼ぶ時子奥様の言葉が好き。お嬢様言葉なのに嫌みがなくて、世間知らずなのに憎めない。戦争の渦中の話とは思えないほど、美しい言葉が綴られている。この作品では日々の生活の中で感じることを、そっと大事に守っているような、一つ一つ心に留めていくような印象を持つ。作品で時子が「外に食べに行けないのが悲しいのではなく、心のゆとりが欲しいだけなの」と言っていていたところが特に印象に残っている。戦時下において、洋裁や髪型など、美しいものを愛でる心はつい軽視されがちだけど、心の豊かに生きていく上で、それらはとても大切なことなのかもしれない。最終章でいろいろなことが明らかになる。

    2
    投稿日: 2017.01.17
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    この世界の片隅にのように、一つの家庭の平和で明るい家庭をメインに(女中の目線ではあるけれど) 、戦前戦後の時代を昔語りに語りかける口調で書いていく物語、時折甥の子の話なども入り込むので主観的でありながらもリアルに生き生きとした様子が表現されていて良い本だ、と途中まで読んでいて、最後の章のメタ的な視点にやられました(面白さが倍増した)。 明示的に語られるものと、暗示的に語られるものと、暗示的にも語られないものと。タキさんの目には本当にそれしか見えていなかったのか、それとも当時が美化されてしまったのか。 核心は闇の中、という全てが明らかにされつくさない部分も良いなと思った。鍵は小中先生の、主人の原稿を燃やした女中の話でしょうか。

    1
    投稿日: 2017.01.08
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    ◆どこか懐かしい、心に響く昭和モダン!◆ 昭和初期、東北から東京の裕福な家庭に女中奉公に上がったタキの語りから物語は始まる。全編漂うのは昭和モダンの味わいだ。「赤い三角屋根の文化住宅」「銘仙の着物」「職業婦人」「ハイカラ」「ブリキの玩具」等の言葉が魅力的。加えて「大東亜戦争」「東京大空襲」など戦争の影も絡んできて、当時の人々の慎ましくも活気があった時代に想像が広がる。最終章で明かされる意外な結末とは…直木賞受賞作。 山田洋次監督の映画もオススメです。

    1
    投稿日: 2016.12.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    わたしから戦争の時代は遠く、戦争への勉強も不十分だ。なぜそもそも始まり、この間の日常はどう起こっていたのか、ということの一端をしり、この時代に人々は普通に暮らしており、その事実がただただつらく悲しい。 話の中心のタキちゃんの後悔は、誰かが、死ぬまでに一言でも許しを与えられなかったのか この手の、死んでから、あの人はこうだったとか、これで救われるとか生きてる人が思うのは、もうしんでるんだよ!というか本当にかなしい。 映画も見たのだけど、あまりにも松たか子が魅力的で、タキちゃんが奥様に思いをよせるのも無理はない。若い女の子のあこがれとか、友愛はほぼ恋みたいなことってあると思う。

    1
    投稿日: 2016.12.03
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    読み終わるまで長く時間をかけ過ぎた。読んでいる最中は、軽快で、面白かったが、組み込まれた仕掛けを見落としているような感じがして、あまりスッキリしない感じ。 女中が描かれた小説は今まで読んだことがなかったため、どのような生活をしていたのか、女中はどのような存在であったのかわかって、面白かった。特に家事の内容、洋裁が家事の一つとして、女中の技術には入っていたことと、闇市とそこで取引したものから作られる料理は具体的で良かった。 14歳で家を出て女中になったタキちゃんにとって、やはり奉公した家は彼女の居場所だった。日本の女中と雇い主の関係性は遠いようで近いものであったのかもしれない。奥さんとの関係性が重要なのかもしれない……

    1
    投稿日: 2016.11.09
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    レトロな雰囲気が素敵。現代っ子から時折入る突っ込みもいい。 最終章での転換があざやかでした。 でも奥様の旦那様への気持ちがあまり描かれてなくて、そういう不満がにおわされていないのは不自然に感じた。 旦那様の事情ははっきり書かれているのに。 でも素敵な小説でした。

    1
    投稿日: 2016.09.24
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    昭和初期、女中奉公にでた少女タキは赤い屋根のモダンな家と若く美しい奥様を心から慕う。だが平穏な日々にやがて密かに”恋愛事件”の気配が漂いだす一方、戦争の影もまた刻々と迫り来て-。晩年のタキが記憶を綴ったノートが意外な形で現代へと継がれてゆく最終章が深い余韻を残す傑作。 移りゆく時代背景の中での生活模様の変化、タキの縁談、記録したノートが興味深い。 もう一度、読んでみるのもいい

    2
    投稿日: 2016.08.24
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    女中タキの視点で語られる戦時中を過ごした日々。 奉公していた平井家は裕福で食糧困難だった戦時中というイメージとは違った生活をしていて驚いたけど、裕福な家庭は案外そんな暮らしをしていたのかも。 それでも段々少なくなっていく食料を工夫して豪華に見せたり、戦争が進むにつれ変化していった市井の人々の生活。 昭和の時代の生活ぶりを鮮明に思い描くことができる作品。 最初からタキの女中時代を手記にまとめていく形で語られていくのだけど、途中少し中だるみしてしまった。 途中から恋愛事情が絡み、タキの秘密が明らかになり、最後はタキの甥目線で語られる真実。 最期まで読んでみてもなんだかスッキリしない、何か見落としてる想いがあるんじゃないか、、、  釈然としない気持ちで他の方々の感想を読んでみて初めて、もう一つの可能性を見出すことができた。 その衝撃は読了後の余韻をとても大きくしました。 読んでいて気付けなかったことにがっかり(笑) 読者に委ねられた真実、タキの手記は全て真実ではないかもしれない可能性に気付いた時、釈然としなかった睦子さんの言葉や板倉さんの16枚目の気持ちがスッと理解できた。

    1
    投稿日: 2016.07.22
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    中盤まではまぁ昭和の日常を描いた話なのだなって程度であったが、終盤から急に空気が変わったのに感心した。よくできた話である。謎を残して終わるが、その謎が謎であることにこの作品の魅力が詰まっているように想う。

    1
    投稿日: 2016.07.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    とっても好きな小説。魅力的な奥様には私もすっかり魅了され、楽しく読めた。言葉遣いや身のこなしは洗練されているのに考え方などがアンバランスな奥様、禁欲的で献身的で真面目なお手伝いさんの主人公の関係がとにかくステキ。二回も読んでしまった。2つの時代が交錯しながら描かれていて、結末や真実は解釈に委ねるといったつくりが憎い。

    1
    投稿日: 2016.06.20
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    戦中ってこんなだったの?と思うような生活の描き方が新鮮で面白かった。登場人物たちもすごく生き生きと描かれていてリアリティがあった。 健史だけは物語の構成上ちょっと現実味が薄いのと、睦子さんはあんなにはっきり同性愛を示唆する必要はなかったんじゃないかとは思うけれど、最後謎が明かされないまま終わるところが美しいなと思う。 主人公のタキさんがとにかく魅力的で最後後悔に苛まれて亡くなってしまったことが読んでいてとても辛かったけど、板倉さんの16枚目の絵が、全てを救っているなと感じた。

    1
    投稿日: 2016.06.19
  • 昭和モダンの喪失とある「秘密」の物語

    戦前の東京を主な舞台に、平井家という家庭に女中として入った山形出身のタキという女性が、自身の過去を振り返る形で語る、まるで細い糸を使って丹念に作られた繊細な織物のような物語を堪能しました。「昭和モダン」に彩られた首都東京の今からは想像もつかない「豊か」な情景が、「事変」から「戦争」に至る過程でその姿を失っていく様の描写の見事さに胸打たれつつ、平行して語られる、はかなさをまとったある「秘密」の物語が現在と過去を結び、少しの「謎」を残して物語を閉じるその余韻にも心揺さぶられました。本当に素晴らしい作品でした。

    8
    投稿日: 2016.06.16
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    秘密は時につながりを強くするけど、場合によっては疎遠にもする。 タキさんの抱えた小さな秘密。最終章で健史の視点に切り替わってから明かされたその秘密を目にした時、ちょっと息をのんだ。 タキさんの晩年の胸のうちを想像すると、心が揺れる。私だったら、どーするかな?大切なものに相対することは、容易に答えなんてでない。ずっと問いかけて、ずっとずっと心に留めていくのだ。

    2
    投稿日: 2016.05.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    タキが大切にしていた手紙を甥の健史が読んで感じたタキの長年の胸の内が、お話の最後の最後に明らかになります。真実はわかりませんが、自分が読んでいて見過ごしていた可能性にはっとさせられました。

    0
    投稿日: 2016.05.25
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    女中タキの、平井家で過ごした回顧録と、現代との交わり。戦時中の話だけど、戦争の色は薄い。不思議な1冊。時子さん、現代にもいそうな愛されていないと不安定になるタイプ。タキが手紙を自分の懐にしまったのは、吉だったのか凶だったのか。

    0
    投稿日: 2016.05.01
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    若いころ女中をしていたおばあちゃんの手記という形でお話が進んでいく。 当時の暮らしが、女中タキ目線でつらつらと語られるので、盛り上がりとかはないのだけれど、不思議とひきつけられる。ちょこちょこ親戚の少年が現代っ子ならではのつっこみをいれ、彼の手によって、ただのおばあちゃんの手記だったノートが、現代に繋がってくる。 静かに流れていた物語が、最終章にきて、波打つ。とても上手だと思うし、おもしろかった。

    2
    投稿日: 2016.04.26
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    戦争中も、こんなふうに普通の生活が繰り広げられていたんだな。 普通にもいろいろあるけれど。 タキさんが、大事な人を想って、食料が少ない状況でも工夫してお炊事する姿は心温まる。

    2
    投稿日: 2016.04.24
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    直木賞受賞作。今まで読んだことのないタイプの本で、楽しめた。 丘の上の小さな洋館で奉公する、女中のタキ。そこの家族との生活が、回想録の形態で描かれてゆく。時代は戦前で、国民がまだ盛り上がっていた頃。そして戦争が始まり、世の中が変わっていく。奉公先の奥様に強烈な憧れを持ち続けるタキは、ある日奥様の秘密を知ってしまう。 仕掛けがあり、なんとも言えない余韻を残す物語。

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    投稿日: 2016.04.17
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    本を読んでから映画を見ました。私はストーリーよりおうちの中の家具や間取り雑貨などを見るのが楽しかったかな(笑)

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    投稿日: 2016.04.08
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    面白かった。 タキが綴り、甥の健司が読み、最後の一人称は健司。 時代とタキの目線や考え、そしてイタクラショージと時子の恋。 映画もみてみたい。

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    投稿日: 2016.03.18
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    昭和初期東京、戦争の影濃くなる中での家庭の風景や人々の心情。ある女中回想録に秘めた思いと意外な結末。 女中タキの視点からの語り口が良かった。戦前の豊かな暮らし、戦争に対する雰囲気、意外みんなのほほんとしていたのだなあ、戦争は悲惨だなんて誰も考えていなかったのだなとよくわかる。

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    投稿日: 2016.03.03
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    このレビューはネタバレを含みます。

     これは、平井家に女中として仕えたタキの回顧録である。タキが語り手として物語は進むが、最後に思いもよらぬ「真実」が明らかになる入れ子構造によって、このお話の面白さが"うんと"増している。また、聞き手となる甥の健史が読者の気持ちを代弁してくれていることも、物語を冗長に感じさせず、ぐいぐい読み進めさせてくれた。  そう、健史のように、「戦争のこと」は「兵隊さんのこと」「海軍のこと」「戦闘のこと」、または悲惨な大空襲や原爆投下のことをわたしも想起するが、この本に描かれる戦争には、むごたらしい描写はほとんどない。今を生きるわたしたちと変わりない消費者としての生活の延長にある。昭和初期の東京が、こんなにも平凡で、活気溢れる街であったなんて。想像に難い光景だ。一方で、厳重な情報統制が敷かれていたと思われる様子や、ハイカラな職業婦人、睦子さんの婦人誌にすら「一人でも多く殺せ!」なんて文字が躍っていたことを思うと、ほんとうに空恐ろしい。そして、誰もが、なにかしら不本意な選択を強いられた、それを思うと何よりも物悲しい。  戦争なんてするもんじゃない。何度もそんな話を聞いてきたけど、この本の登場人物の気持ちを想像したとき、より強くそう思った。

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    投稿日: 2016.03.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    序盤、主人公のが自身の懐かしき女中時代をひけらかすだけの物語としか思えなくて読み進めるのに苦労したけど、最終章でその印象ががらりと変わった。タキの判断、もし自分だったらと思うといつまでも引きずってしまいそうだなぁと。正解なんてないのだろうけど。 あとは、あとがきの対談で出てきた楽しく暮らしていたのにいつの間にか戦争になっていたというくだり、怖いなぁと。

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    投稿日: 2016.02.20
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    2010年直木賞 なんだか読んだことがあるなと思いつつ読み進め、四分の一のところで、「奥様の不倫相手』が出てきて思いだした。 いろいろ仕掛けがあっておもしろいし、戦前の時代を女性の目から見たところが興味深い。 時代、男女、世代の違い、幾つも絡み合い、直木賞らしいと思った。

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    投稿日: 2016.02.11
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    暗いばかりだと想像していた戦前の東京。 しかし、慎ましくありながらも華やかさがあった時代として描かれている。 品のよい庶民の生活が描かれていて微笑ましい。 奥様の最大の出来事もあけすけには描かれず、このように結ぶのかと意外な展開であった。

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    投稿日: 2016.02.07
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    太平洋戦争に日本が突き進んでいる頃の東京の様子を、玩具会社常務家の女中だった老婆の追想録の形で描く。振り返る過去として見る戦中と、実際に生きていた目線で語られる戦中の乖離に、空恐ろしさも感じた。安保法整備が進む今読むと、また、深みがある。

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    投稿日: 2016.01.05
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    女中という言葉は今時聞かないし、戦争はるかに昔のようにも思えるが、考えてみるとほんの数十年しかたっていなくて驚く。健史はいちいち突っ込むが、戦争前の庶民の雰囲気は本当にあんな感じだったんだろうなーと思う。 映画のCMをみたときは、何となく不倫の話なのかと思っていたけど、一途な恋の話であった(と私は思う)。

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    投稿日: 2015.12.06
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    おばーちゃんの人生興味でーへんわー。と思いながらダラダラ読んでたのに。最後の展開に驚いた。読み終わっても気になってしゃーないやん。なんか、面白かった。変に。

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    投稿日: 2015.12.06
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    戦前の人々の暮らしと町の様子、女中の生き方、人間の生き方など。 女中さんや、戦争の、例えば原爆や空襲とは違う恐ろしさなど、知らないことぼんやりとしか把握できてなかったことを知ることができた。 小説としても色々な読み方ができると思うので、タキちゃん以外の人の視点でも読んでみたいな。 映画も見たい。映画も見たくなる小説は久しぶり。

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    投稿日: 2015.11.21
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    おもしろかったー。 途中健史のちゃちゃ入れがうるさかったが、最後はよかった。 最終章のあれについてはなんとなく予期していたもののぞっとした。

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    投稿日: 2015.10.22
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    奥さまは、周囲の人の生き方を決めてしまったくらい愛らしくて魅力的と書かれているのに、なにか好きになれないものを感じる。

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    投稿日: 2015.10.18