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木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか
増田俊也/新潮社
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総合評価

164件)
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37
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    読書録「木村政彦はなぜ 力道山を殺さなかったのか」5 著者 増田俊也 出版 新潮社 p87より引用 “ それが牛島辰熊だった。牛島は窪田に「柔 道には圧倒的なパワーが必要なんだ。だから バーベルを使ったトレーニングが必要なんだ。 そのパワーで大根を引っこ抜くようにグーンと 投げてしまうのがいい柔道なんだ」と言った。 豪快な人だなと窪田は思った。" 目次より抜粋引用 “巌流島の朝  熊本の怪童  鬼の牛島辰熊  木村政彦と高専柔道  師弟悲願の天覧試合制覇"  柔道経験者の作家である著者による、史上最 強の柔道家・木村政彦の人生と戦いを描いたノ ンフィクション。雑誌連載三年半分をまとめた 大作。  木村政彦の人生に影を落とした力道山との一 戦から、生まれ育ち柔道に邁進するようになる 過程、そして弟子を育て上げ亡くなるまでを、 日本柔道・武道会のみならず、世界の格闘界の 人々との関わりなども含め、十年以上の取材と 資料検索を元に書き上げられています。  上記の引用は、木村政彦の師匠・牛島辰熊の 発言を記した一節。 「柔よく剛を制す」と聞くことはありますが、 何度も日本一になっている人がこう言っている のならば、まずは何よりも体を鍛えて、力を付 けるのが大切なのでしょう。  出てくる柔道家の鍛錬内容を読んでいるだけ で、疲れてしまいそうな猛練習が描かれていま す。努力が出来るかどうかも、やっぱり才能な んだろうなと思わざるを得ません。鍛え上がる 前に、怪我をして体を壊してしまうんじゃない でしょうか。  本を手に持った時のボリュームが、辞書のそ れ。外ではとても読むことが出来ないサイズの で、移動中に読みたい人は、電子版を探したほ うがいいでしょう。  文章量、内容ともに「渾身」の二文字がしっ くりと来る作品。人一人、それも歴史に名が残 る人物の一生を描くのならば、このくらいには なって当然なのでしょう。  どれ程強くて凄い人でも、少しの油断でどう なるか分からないという事と、いつかは衰えて しまうものなのだなということを、思い直させ てくれる一冊。そして、いつか誰かのお世話に なることになるのだから、人には丁寧に接して おいたほうがいいなと思わせられる一冊。 ーーーーー

    2
    投稿日: 2025.05.01
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    前に売れていた事は知っていて、いまだに傑作と言われている本作。 機会があったら…と延ばし延ばしになっていて、図書館で目についたのでついに。 思ったよりも、ぶ、分厚い! 読み進めると、ずいぶん木村政彦に肩入れした著者さんだなぁ〜と。書き始めた動機のようなものだから、当たり前か? ただ、最後の方でしっかり現実を受け止めたところはよかった。 思わずこちらも目頭が熱くなった。

    0
    投稿日: 2024.06.08
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    増田俊也 『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』 世紀の柔道王木村政彦の生涯伝記。 柔道詳しくないので、こんな凄い人が居たのが驚きじゃった。 あのグレイシー一族の祖とも言われるエリオ・グレイシーの腕を骨折させた技が「キムラ・ロック」と技の名前になる程に最強の強さを誇ってた。 時代はプロレス人気になり、力道山との対決の末待ち受けていたものは…。 柔道の歴史、プロレスの歴史等、格闘技好きの人にオススメですw 2014年読破

    0
    投稿日: 2024.02.17
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    すべての格闘技好きに読んでほしい、胸が熱くなる超大作。総ページ数が700弱あるにもかかわらず、途中でダレることなく一気に読んでしまった。師匠・牛島辰熊さんと弟子・木村政彦さんの関係があまりにもドラマティックでカッコいい。まず師匠の名前からして一般人とは違う何かを感じる。名字の「島」以外すべて動物で構成されており、その名の通り人間離れした強さと巧みさを持つ寝技の鬼である。見た目も渋く、浅黒い肌と日本人離れした堀の深い顔に鋭い目つきが光を放ち、整えた口髭が雄々しい。さらに笑顔が可愛いというギャップまで持ち合わせている。 彼ら二人の根本的な違いは、牛島さんには自身の哲学や宗教観があり、木村さんにはなかったことではないだろうか。宗教が良い悪いという話ではないが、普通の人間が自身の中に絶対的な軸を持ち、崇高な目標に向かって生涯ブレずに生きていくのは簡単ではないだろう。牛島さんには確固たる哲学と宗教観があり、まだ幼い木村さんには師匠・牛島さんと柔道の世界しかなかった。そしてその世界は戦争によって引き裂かれてしまう。 読了後は、どうしても力道山さんに対してネガティブな見方をしてしまう。けれども読者が一方的に力道山憎しとならないような著者の配慮も感じた。力道山さんと木村さんは戦争の被害者だと著者は言うが、私も同じように思う。膨大な数の資料の中から各記事や証言を照らし合わせて真実に迫り、ここまでわかりやすく並べてくれた著者の執筆力、取材力は本当に素晴らしい。ただの格闘技好きで未経験者の私でも大変読みやすかった。資料収集と取材、そして連載終了までに18年を要した超大作である。柔道業界から排除されてしまった木村さん、そして牛島さんの名誉のためにも多くの読者の手にとってもらい、後世に語り継がれていってほしい至高の一冊。 「木村の前に木村なく、木村のあとに木村なし。」

    6
    投稿日: 2023.09.04
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    まずオープニングでぐっと引き込まれる。柔道家の木村政彦の名前は聞いたことがあったが、ほとんど何も知らなかった。この作品で彼のことをたくさんの人に知ってほしい。

    3
    投稿日: 2022.03.21
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    ノンフィクションを読む喜びを最大級に味わった本。厚さが全く気にならない。経歴、時代状況からみて、木村のような選手はもう現れ得ないだろうことを納得させられる。力道山戦などなければ、、、といろいろ考えてしまう。

    2
    投稿日: 2019.09.15
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     「ゴング格闘技」誌に4年間にわたって連載された大作。史上最強の柔道家、木村政彦の生涯を描く。  木村はまだ学生だった頃に柔道全日本選士権を3連覇、さらに天覧試合を制覇する。戦後はプロ柔道に参入し、ブラジルでエリオ・グレイシーを破る。そしてプロレスラーに転向し力道山と対決するが、卑怯なやり方で倒されてしまう。  高邁な思想家でもあった牛島辰熊と、その弟子でありながらただ勝ち続けることにしか興味のなかった木村。どちらが人間として立派だったかと問われればなんとも答えようがない。どちらが好きかと問われれば、より人間的な木村であるような気もするが、やたら暴力的で欠点も多い木村を手放しで賛美する気になどなれはしない。柔道は超一流であってもそれ以外は不器用な木村が、戦後の混乱の中で道を踏み間違え、利用され、柔道家としての名声を失っていったことは、残念ではある。  そして老いと死は、どんな人間にも訪れる。強さに取り憑かれてしまった木村は、生きている限り敗者の汚名に苦しまざるを得なかった。死は木村にとって救いであったかもしれない。「これでよかったよね」 ── 晩年に木村が涙を流しながら妻にいったこの言葉は悲しいけれど慰めでもある。木村の人生を眺め渡せば感じるだろう、何が幸福で何が不幸か、何が正しくて何が間違いだったかなんて、簡単に決められないのではないかと。  いわゆる格闘技の「アングル」で書かれた本かと思って読んだら、そうではなかった。著者自身、高専柔道の流れを汲む七帝柔道の経験者であり、確かに木村贔屓になりがちだけれど、関係者へのインタビューや当時の新聞記事などの一次資料に基づいて事実をありのままに記そうとしていることが分かる。戦前・戦後の柔道の歴史についての解説も興味深かった。

    5
    投稿日: 2019.08.04
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    ◆日本格闘技史、最大のナゾ!◆ 「木村の前に木村なし、木村の後に木村なし」と言われた不世出の柔道家、木村政彦。昭和29年、木村は人気絶頂の力道山と、プロレスのリングで対決する。視聴率100%の世紀の一戦、木村は一方的に潰され、国民的大スターの座から転落する。なぜ木村は、いとも簡単に敗れたのか?スポーツノンフィクションとして、異例のベストセラーとなった、第43回大宅壮一ノンフィクション受賞作品。

    2
    投稿日: 2019.06.04
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    自分は、プロレス中継がゴールデンタイムに放映されていた時代に小学生時代を過ごした世代です。 小学校の高学年の頃、クラスの男子の半分以上は熱狂的なプロレスファン。 学級文庫に「プロレススーパースター列伝」が置かれて回し読みし、プロレス雑誌やムックなどを通じて、プロレス界に伝わる歴史や伝説について学びあったものでした。 そんな小学生なんて、21世紀の今になっては想像もつかないでしょうが。 そんな自分にとって「木村政彦」の名前には、正直「プロレスの王者である力道山に挑んで、あっさり敗れた哀れな柔道王者」くらいのイメージしかありませんでした。 ただの柔道王者ではなく戦争を挟んで15年間無敗の無敵の王者であったこと。 「柔道家」の実直そうなイメージとはかけ離れたバンカラ、やんちゃで人間味あふれる人物だったこと。 力道山に先駆けて既に海外でプロレスデビューし、ブラジルでは若き日のエリオ・グレイシーにバーリトゥードで圧勝していたこと。 グレイシーの件はなんとなく耳にしていましたが、この本を読んで初めて知ったことがたくさんあり過ぎて混乱しそうなくらい。 そして問題の力道山との世紀の一戦。 今回、初めてYou Tubeにアップされている動画をみましたが、あまりの凄惨さにショックを受けました。 明らかに「プロレス」ではない。 力道山という「怪物」の底知れない恐ろしさを思い知らされる。 この試合の時点においては、力道山はまだプロレス界の王者であったわけではない。 木村を叩きのめすことで、その地位を確固たるものに固めていった。 一方で、「負け犬」として生き恥を全国民に晒された木村の後半生は、世間から忘れ去られていく。 ところが、この700頁に及ぶ壮大なノンフィクションを通じて描かれる木村政彦の一生は、けっして悲劇の主人公のそれではない。 そう思わされることこそが本書の素晴らしいところだと感じます。 著者の木村政彦に対する思いの強さは一方ならぬものがある。 強さも弱さもひっくるめて、木村政彦という傑出した人物の複雑さも単純さも全てが伝わってくる。 また、本書を通じて、現在の立ち技中心のスポーツとしての柔道が、木村が極めようとした「実戦的な柔道」とかけ離れたものであることを識ることができます。 「力道山のプロレス」にしても「講道館の柔道」にしても、最初っから絶対的な地位にあったわけではなく、戦後という時代の政治の流れの中でその地位に収まったものである。 21世紀の今、そんな冷静な見方で戦後社会を概観できるという点でも良著だと感じます。

    1
    投稿日: 2019.01.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    東京アンダーワールドで力道山の話が出ていたから、読みたくなった。 これは実にいい本だと思う。著者自ら、北大の柔道部出身であり、格闘家を肌でわかっている。しかし、この本が出るまでの労力と時間を考えると、仕事としては、全く、割に合わないと思う。それだけ熱い想いがあるのだ。 p.299 梶原一騎 未完の絶筆劇画「男の星座」は猪瀬直樹が絶賛だが、ウソもある。

    1
    投稿日: 2018.11.21
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    読書期間:2月7日~11日 最近読んだノンフィクションものでは文句なし、No.1である。2段組の700ページという大部であり、3連休をフルに使って読み切ったのだが、読み終わって、何をレビューすべきか迷っているうちに10日以上経ってしまった。 これまで木村政彦といえば、プロレス勃興期に力道山とともに盛り上げた柔道家であり、力道山と互いに戦って一方的にやられて負けた、というイメージしかなかったのだが、そのイメージが完全に覆された。著者が丹念に1次資料を収集し、関係者へのインタビューを行った結果、見えてきたのは、ひたすら強さを求めて、体を鍛え、技を磨き続け、相手を倒し続けて究極のファイターとなった男の姿である。立ち技では高段者でも受け身を取れないほどの強烈な大外刈が決め技で、講道館での出稽古では失神者が続出。また、寝技ではどの体制からでも腕がらみを決めることができ、出稽古で脱臼者が続出したため、大外刈と腕がらみは双方とも禁じ手とされていたという。全盛期であれば、オリンピック王者のヘーシンク、ルスカ、山下泰裕も全く歯が立たなかっただろうというのが意見が大勢を占めており、さらに総合格闘技で最強をうたわれるブラジリアン柔術の世界でも、マサヒコ・キムラの名前は特別に敬意をもって取り扱われている。プロ柔道を引っ提げてブラジルに渡り、ブラジリアン柔術の王者であるエリオ・グレイシーを手玉にとって破っているからだ。ちなみに、その時の決め技の腕がらみのことを、ブラジリアン柔術ではキムラとかキムラロックと呼んでいるそうだ。 木村政彦と関係した人物についても、丹念な取材により明らかにされていく。木村政彦を育て上げた師匠の牛島辰熊、彼は全日本の選士権で実質的に5連覇を果たした最強の柔道家だったが、ついに天覧試合では優勝できなかった、その無念さを晴らすため、木村政彦を最強の選手に育て上げたという。この鬼気迫る師弟関係も見ものである。また、木村政彦を兄と慕った極真会館の大山倍達、そして、プロレスラーの力道山。ブラジリアン柔術の王者、エリオ・グレイシー。作者により掘り起こされた、これら一癖も二癖もある男たちの姿は実に魅力的だ。彼らの人生が木村政彦という強烈な磁場に引き寄せられ、互いにぶつかり合い、交錯し合っていく様子に惹き込まれ、時間を忘れてページをめくっていた…。 実のところ、読み終わった今でも「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」という問いに対しては、答えが得られた気がしていない。しかし、暴力団相手の喧嘩で刺されてあっけなく死んでしまった力道山に対して、師の牛島辰熊が自分を育てたのと同様に、拓大の柔道部を自分が経験した内容に匹敵する地獄の特訓で鍛え上げて岩釣兼生という世界チャンピオンを育てあげた木村政彦、このあまりにも対照的な二人の生涯を見るにつけ、木村政彦は力道山を殺すまでもなく、勝負がついてしまっていたように思えてならない。ただ、自分との再戦から逃げ続けて勝手に自滅してしまった力道山に対して、木村政彦の殺意は最後まで枯れることがなかったようだ。最晩年の木村政彦が、作者の増田俊也氏に'あいつ(力道山)は卑怯な男だから、(自分の額に「殺」という文字をイメージして)殺した'と語ったというエピソードに表れている。 作者の増田氏の木村政彦に対する思い入れは相当なものがあり、誇張した表現も多用されているが、読んでいるうちにほとんど気にならなくなった。作者に洗脳されてしまったようだ。少なくとも'格闘技史上最強は木村政彦!'と自分の中では揺るぎのない確信を得るに至った。

    2
    投稿日: 2018.11.19
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    「空手バカ一代」の妙に生々しいエピソードの空気感は本当だった 実に、キャッチーなタイトル。 本書は、その試合に限らず、柔道家木村氏の栄光の道程と挫折、そして流浪と復活の一大ドキュメントである。 また、昭和史としても読ませる。 ただし、700ページもの大著のため図書館貸出期限で読了できないと考えて、興味ある章を飛ばし読みした。 大きな成功を収めた者ほど、挫折のショックは計り知れない。 晩年の弟子たちにおどけた木村と後輩の著名柔道家に子供じみた露骨な攻撃をする木村。 なんだか、分裂気味な印象を受ける。 しかし、あの試合がなければ、拓大の躍進、海外勢を含めた多くの弟子たちとの出会いもなかったかもしれない。 木村が、分身、岩釣氏をアンダーグラウンドの総合格闘技選手に育て上げたことが本当に真実なら、実に物語性に富んだラストだ。 冒頭の「忠臣蔵事件」また岩釣氏自身を本書で初めて知った。 図書館で借りました。

    1
    投稿日: 2018.10.29
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    力道山に負けた柔道家、と伝えられてきた木村政彦の半生を綿密な取材を基に再検証した読み応えたっぷり700頁超。日本のみならず世界の格闘技史の変遷とそれを彩る人間ドラマの面白さは圧巻。格闘技ファンでなくても一気読み必至!

    0
    投稿日: 2018.10.09
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    木村の前に木村なく、木村の後に木村なし。三倍努力、負けは死を意味するとまで考えて勝負に臨んできた、鬼の木村である。 そんな最強木村が、なぜ力道山に負けたのか・・・。 18年の歳月をかけて辿り着いた結論に著者の筆も激しく揺れる。途中まではこんなに木村に思い入れてしまって大丈夫だろうかと思っていたが、最終的には著者自身が腹をくくって真実を追求していた。アツすぎて一気にかぶれてしまった。

    2
    投稿日: 2018.09.08
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    タイトルに対する答えは十分ではない。しかし、とにかく力作であり、読み応えは十分あった。柔道とは武道とは。日本一になるためにはどれだけの努力が必要なのか。鬼といわれる人間たちの凄絶さを目の当たりにして驚嘆した。かつて、グレイシー一族の父であるエリオを倒した日本人がいたことに驚きと誇りを覚えた。力道山とのくだりは、お互いの思惑が色々あるのだろう。どちらが油断したか、ということではないだろうか。

    1
    投稿日: 2018.01.12
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    私の場合、特に格闘技が好きというわけではありません。この本を手に取ったのは、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したベストセラーであったこと、ジャカルタ日本人会の古本市で50円で売られていたという理由だけです。ところが、読み始めたらやめられず、正月休みで完読してしまい、充実した読後感を味合うことができました。 「木村政彦」という名前はあまり浸透していないと思います。木村政彦は主に戦前に活躍した柔道家で全日本選手権13年連続保持、天覧試合優勝も含め、15年間不敗のまま引退。「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と讃えられ、現在においても史上最強の柔道家と称されています。 しかし、戦後、食えない時代にプロ柔道に参戦したこと、さらにプロレスラーに転向して力道山と不可解な試合を行い、無様な敗北をしたため、戦後の柔道界は木村の存在そのものを柔道史から抹殺しまいました。 本書は木村政彦の評伝。「昭和の巌流島」と言われた昭和29年の力道山との試合を中心に据え、木村政彦の少年時代から臨終までを、柔道、プロレス、当時の世相を絡めながら描くノンフィクションの大作です。 著者の増田俊也さんは北大柔道部に在籍していたノンフィクション作家、小説家。増田さんは木村政彦と力道山を「怪物」と断言します。 「柔道家として全盛時代の木村は、まさに戦うためだけに造られたサイボーグであった。(中略)ただただ勝ち続けることを課され、それに応えて完璧なサイボーグ戦士となった怪物であった。大日本帝国が産み落とした怪物であった」 「一方の力道山は、はじめは植民地の朝鮮半島から夢を見て内地日本にやってきた素直で優しい少年だった。だが(中略)差別からくる怒り、自らではどうしようもない国家という化け物に振り回され続ける怒り、その中でもがき続けた」 上の文章に国家をも絡めた、木村政彦と力道山の2人の性格の違いが簡潔に記されていると思います。そして、なぜ2人の怪物が不可解な試合を行い、木村政彦が醜態をさらし、木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのかを、膨大な資料とインタビューから明らかにしてゆきます。まさにノンフィクションのお手本のような本です。 文句なしの★5つ。最後の数ページは目頭が熱くなりました。

    2
    投稿日: 2018.01.07
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    ★柔道からの熱すぎる思い★柔道の、木村政彦のすごさを伝えようとする「私」主語のノンフィクション。熱い思いを伝えるには、著者が出てきた方がいいのだろう。幅広いインタビューと資料収集は門外漢が読んでも納得する手厚さだ。力道山が体現するショーとしてのプロレスに、言説の分野で柔道(やアマスポーツ)が負けてきたことへの対抗心にあふれている。そして講道館からもプロ柔道を立ち上げた木村が排斥されてきたことに、二重の反発があるのだろう。 最後に岩釣がアンダーグラウンドで優勝したことを記したのは、岩釣の、ひいては木村の強さを表したかったのだろうが、蛇足ではなかったろうか。相手が誰だったのかいらぬ詮索を読んでしまい、言い訳じみて見えてしまう。

    1
    投稿日: 2017.07.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    牛島辰熊~木村政彦~岩釣兼生に至る愛憎入り交じる師弟愛、世界最強への道。最後の岩釣兼生の地下格闘技チャンプのくだりは真偽は別としてじんときました。もともとは長い期間待って図書館で借りて読んだが、もう一度読みたくなり文庫本を購入。

    1
    投稿日: 2017.07.08
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    青春時代の多くの時間を武道に費やしたものとして驚愕の思いで読破しました。 この歳になって武道とは・・・・、強くなるには・・・・。少しわかったような気がします。 自分がやってきたことがいかに未熟であったかを思い知らされた。 木村雅彦の武道に対する真摯な姿勢と豪放な私生活。 時代が彼の人生を翻弄したのか、それとも自ら選んだ道なのか。 読むまではちょっと誤解していた木村雅彦という人が好きになったと同時に、なぜか哀しく思います。

    1
    投稿日: 2017.05.08
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    日本が生んだ最強の柔道家「鬼の木村」の人生を中心に、日本の柔道界、空手、プロレスといった格闘技界の歴史と裏事情を書いた、ある意味で暴露本。 ヒクソングレーシーの父で、世界最強の男エリオ・グレーシーに生涯一度の黒星をつけた木村雅彦というとてつもない怪物がいたことを知り、日本人として溜飲が下がった。しかもその映像がYoutubeとかで観れるんだけど、かなり圧倒的だなぁ。大外狩りで既に殺しそうな勢いなんですが... 元来、日本の中で洗練されてきた寝技や打撃(当身)を重視した総合格闘技としての実践的柔道が、講道館が生き残るための政治として「立ち技重視のきれいな一本勝ちこそ日本柔道」という一スポーツに方向付けられ、結果、世界の柔道から実力で離されているという歴史的な背景を知り、なんともいえず残念です。復活してくれ、日本柔道! しかし、二段組で700ページ...長かったよー。

    1
    投稿日: 2017.05.03
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    これは面白いノンフィクション。柔道史上最強と言われる木村政彦。しかしながら彼の名は柔道界では一種のタブーとされている。それは講道館と決別し、プロ柔道団体を旗揚げしたからである。その後彼は力道山とプロセスで相見える。世紀の一戦と言われたその戦いで彼はあまりに大きなものを失う・・・。この人の人生を通して戦前の柔道界・戦後復興を遂げる日本において娯楽であったプロレス・そして今にある総合格闘技の変遷がつながる。個人的に興味を引いたのが、その中で絡んでくる合気道の存在。合気道の稽古に励んでいた大学2年くらいの時に読みたかった。

    1
    投稿日: 2017.01.29
  • 木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか

    柔道にもプロレスにも興味がなく、木村政彦の名前も知らずに、ただ題名のインパクトだけで手に取った一冊。読みごたえ有りです。木村政彦の強さが半端ない。ネットで彼の名を検索して読みまくりました。

    0
    投稿日: 2016.11.11
  • 腹から湧きでる悔しさを殺すことは、人を倒すより難しい。

    自身も柔道選手であった新聞記者・増田俊也が、柔道史上最強の木村政彦の真の姿を伝えるべく、18年の歳月をかけて取り組んだ圧倒的な取材の記録。 日本柔道史において傑出した存在であり、15年間不敗のまま柔道界を引退した柔道家・木村政彦。「負ける」ことが一番嫌いで、練習中にただ膝を付かされたというだけで悔しくて眠れず、深夜に包丁を持ち出して相手を刺しに行こうとしたほど。ヒクソン・グレイシーの父、エリオ・グレイシーが柔術の試合で唯一負けたのが、木村だったとも言われています。 とても挑発的なタイトルにもある力道山の存在が、彼の人生を大きく変えました。力道山とプロレスラーとなっていた木村との試合は、引き分けで終わらせるという約束の試合でした。ところが、力道山は約束を反故にしてだまし討ち。敗れた木村は表舞台から姿を消しました。人一倍、負けず嫌いだった彼の悔しさは、想像を絶します…。 「力道山に負けた男」と報じられた木村は、後に「勝負の世界なんだ、いまさら弁解も何もしない、まさしく僕の負けだ」と語ったそうです。果たしてそれは彼の本音なのか。力道山への怒りと、哀しみを抱えながら生き抜いた半生を丹念にたどります。

    2
    投稿日: 2016.11.11
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    決して凶暴な顔ではないが、迫ってくる迫力と冷たさを感じる木村の表紙写真。 勝負でなくショーを演じるプロレスの世界での木村は、この雰囲気ではなかったのだろう。穏やかな表情のそのころの写真は別人だ。 師匠の牛島との息をのむ特訓や破天荒な行動は劇画の世界だ。 合気道を学んだ阿部謙四郎に敗北し、タイミング無用の大外刈りを完成させる。 そして柔道の真の武器である寝技。 しかし最強の男は、ハングリーで武士道とはかけ離れた精神構造を持ち、ビジネスの急所を逃さない力道山に葬られる。 まあ力道山は負けなかっただろう。木村に隙が無ければシナリオ通りに引き分ければいい。油断であったし、グレイシーの言う「後悔すべきは、真剣勝負でない舞台にあがったということ」に言い尽くされる。そもそもが結核の妻の薬代を得んがために、プロレスを始めたことを考えれば悲しいことだが。 しかしながらとにもかくにも魅力的な伝説の男だ。

    2
    投稿日: 2016.08.01
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    この一括りが的確か否か判断し兼ねるほどいわゆる「格闘技」に精通している訳ではないですが、この本は評判以上の出色の出来。必読と言って差し支えなし。 確かに柔術とかそもそもの内容が分からない部分もあるかもしれないが、それを超えた人間の息遣いが聞こえてくる。とにかくこの熱さには誰もが触れておくべきかと思われ。 また、五輪の度にマスコミで白熱する柔道の体たらく論も極めて浅薄な見方であることを痛烈に理解させてくれるところなど純粋なスポーツ論としてもほんと白眉の出来であります。当方如きが言うと嘘臭いかもしれませんが。

    1
    投稿日: 2016.05.14
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    もともと読むのが遅い上に、こんなに分厚いもんだから一ヶ月半くらいかかって読了。疲れた。 いや、長いから疲れたんじゃない。熱いから、作者と、そして本作に登場するあいつらが熱すぎるから、読んでるこっちまでクタクタになってしまう。当然良い意味で言ってるわけだが。 俺は元来の運動嫌い&運動音痴で、柔道どころか格闘技だって1つも本腰入れて観戦したことのない非国民だけども、今作の面白さははっきり言って尋常じゃない。 こういう言い方は好きじゃないんだけど、まぁ言ってしまうよ。「読まなきゃ、人生の半分損してるよ!」って。

    0
    投稿日: 2016.04.29
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    現在の日本人の精神性は、完全に戦後のものなんだということがよくわかった。 前半の木村政彦の全盛期と後半のその後の人生に対して語り口が変わるところなど、読んでいて作者の気持ちと一体化してしまう。 自分は世界も時代も知らないなと思う。

    1
    投稿日: 2016.03.14
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    分厚い本である。枕にしてちょうど良い高さになる。読み応えがある本だ。木村に関しては、子供時代に熱中したレスリングで力道山に負けた柔道家ぐらいにしか記憶がなかった。しかし、この本を読んでいかにマスコミにより誤った記憶を刷り込まされてきていたのかよく解った。柔道と柔術の違いも理解できた。

    1
    投稿日: 2015.12.14
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    熱い!面白かった!師匠、牛島辰熊との特訓や、様々なエピソードを読んでるうちに作品に惹き込まれていって、エリオ・グレイシーとの戦いは熱狂に巻き込まれる。増田俊也の木村政彦や柔道への愛情も作品から溢れてる。

    0
    投稿日: 2015.07.13
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    「愛する者が病気で死にかかっている。自分の嫌なことを我慢すれば治せるとわかっていたら、君ならどうする?」 柔道で最強と言われた木村政彦について書かれた本。この本を読むまでは木村政彦を知らなかった。この本を読もうと思ったきっかけも、面白いという評判を聞いたからだ。大変厚みのある本でなかなか手をつけられなかった。序盤は正直あまり面白いとは感じなかった。しかし、それらを超えて読み進め、力道山が出てくる終盤では木村政彦の壮絶な人生が思い出され、心が動かされる。もちろん、木村びいきになる。 なぜ真剣勝負にこだわっていた木村が見せ物であるプロレスに出たのか。途中で疑問に思った。その答えが、最初に記したものだ。自分の信念ではなく、愛を選んだ。大変に豪快で、練習には人一倍取り組んだまさに鬼のような男の一生が描かれている。

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    投稿日: 2015.05.09
  • 一人の天才と時代のうねりのお話しでした

    私は上海在住です。そして出張が多い。 ハードカバーでボリュームのある本はどうしても手が出ませんでした。 この一冊をどうしても読みたくてソニーリーダーを購入し、直ぐに読みました。 不世出の武道家であり、豪胆で、人間臭く、時に狂った様に突き進む、ちょっとタガの外れた天才木村とそれを取り巻く人々。 柔道をかじった人ならわかると思いますが、選手層の厚さ、そして限定されたルールの中で発揮されるチカラ(メンタリティー)、フィジカルの強さ等。そして、当時の世相を考えれば、柔道界の頂点に立っていた彼は恐らく、日本最強であったと思います(他の武芸・武術はいますが、試合が難しいので)。 彼は生きる術(決して貧乏くさい意味では無い)に興行の世界に足を踏み入れます。興行で楽しく過ごす彼と、興行の頂点に立つため虎視眈々と準備をする力道山との邂逅。  壮絶です。いかに強くても不意打ちではどうにもならないと言う事があると解りました。そして、想いの強さが後の結果を分け、生き方の違いが両者の運命を分けたと言うのも皮肉です。  これまで大好きだったプロレスや格闘技ですが、熱が冷めてしまいました。それだけ強烈な印象をくれた一冊です。スポーツ・武道に目が行くきっかけになりました。 最高に面白かったです。

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    投稿日: 2015.03.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    木村政彦と力道山2人の因縁物語だと思いきや、そんな内容ではとどまらない。鬼の木村と言われた柔道界最強の男がなぜプロレスラーに負けたのか。柔道経験者の筆者自身が納得するために丹念に一次資料を洗い、それぞれの出自から解きほぐすというまさに執念を感じる一冊。それぞれの出自だけでなく、柔道やプロレスの黎明期の話についても詳細に掘り下げられており、非常に読み応えがある。これほど筆者の想いが強く伝わるノンフィクションというものも珍しいのではないか。

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    投稿日: 2015.02.18
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    「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と言われた最強柔道家、木村政彦。力道山の某略に嵌り、力道山なの負けた男として、格闘技の歴史の闇に葬り去られた男。本物の柔道は打撃もある最強の格闘技であることが語られている。著書の木村政彦への愛が感じられる。それにしても、力道山は大嫌いになったなぁ。

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    投稿日: 2015.02.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    公式な記録には書かれていない裏事情が書かれていて、とても興味深い。しかし、理屈がねじ曲がっている。「なぜ」の答えは、木村にはそのつもりがなかったからだし、やろうとしても出来なかったからだ。

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    投稿日: 2015.01.19
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    武道人口が今とは比較にならないほど多かった戦前において10年以上負けなしという偉業。それを支える師と、強さの飽くなき探究が記されている。 エリオグレイシーとの戦いに至った背景も、ネットで読むとなんとなく船で渡ったと書いてあるが、そこも突っ込んで読めるので奥深い。

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    投稿日: 2015.01.04
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    柔道経験者な為か、総合格闘技を見ていても柔道の寝技が最強というか、必須だと思う。木村対エリオの動画を見たが、当時で、このレベルとは木村最強は過言ではない。 力道山との試合については、力道山の卑怯な遣り口があったとはいえ、木村に勝ってほしかった。おそらくこの試合当時は、木村は世界最強ではなくなっていたのだろう。力道山より上かどうかは別にしても・・・

    1
    投稿日: 2014.11.04
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    異常に強かった柔道家がいたのはわかったが、ここまで書かれるとかなり話を盛っているのでは、と思ってしまい、ホントかなと懐疑的になってしまい楽しく読めなくなってしまった。 人間的には無茶苦茶だけど、異常に強い、漫画の主人公にでもなれそうだなと。

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    投稿日: 2014.11.01
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    木村の魅力は伝わったしエリオとの対戦は面白かった。ただ著者は木村への先入観があり過ぎだと思う。巌流島の戦いについては力道山側の視点でも読んでみたい。

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    投稿日: 2014.09.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    天皇御前試合を含むあらゆる試合で15年無敗、伝説の、不遇の柔道家について、調べられる文献と可能な限りのインタビューを元に著された、まさしく入魂の一冊。 木村政彦の子供時代から、戦前の全盛期、戦後のプロレス時代、力道山に敗れてからの放浪時代、拓殖大学師範時代、そして晩年と、話は進んでいく。 柔道やプロレス、空手や総合格闘技の格闘技の歴史書でもあるし、師匠の牛島辰熊、因縁の力道山、弟子の岩釣兼生、さらに最終章では岩釣と関係のあった石井慧まで登場し、世紀を超えた人間ドラマのようにも思える。 本当に強く、人間的魅力にあふれた木村政彦の人生に感動すると共に、本当にすごい本を生み出すことができるもんだ、と著者の力量・努力にも関心した。

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    投稿日: 2014.08.31
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    強い格闘家が好きです。だから柔道の鬼と呼ばれた本書の木村政彦も大好きです(たぶん、マンガの空手バカ一代で知った)。 木村は力道山に負けたことで有名なのですが、その真相が明らかになる本です。 取材ノートをそのまま読まされているような本なので、読むのに時間が掛かりました。700ページの単行本なので家で読むしかないですし……Amazonの記録によると、「2011/10/7にこの商品を注文しました。」ですので、3年!?

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    投稿日: 2014.08.24
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    「結局、木村先生は刺し殺すことを途中で思いとどまって力道山を付け狙うことをやめてしまいます…髙阪さんは決着をつけるべきだったと思いますか」 髙阪はまた考え、そして言った。 「もちろん刺し殺すなんてやっちゃいけないのは当たり前です。でも木村先生はそうするしかなかった。だけど男としてやるべきだった…」 「…」 「男同士、殴り合って理解しあえることがあるじゃないてですか…。でも、その人間らしさ、男らしさを木村先生は試合中に力道山から感じられなかったんだと思うんです。だから、それを味わいたくて、刺す瞬間、ほんの一瞬でもいいからそれを味わいたかったんじゃないでしょうか…」 そして髙阪は目を閉じ、天井を仰いで言った。 「ああ…でも悲しいなあ…」

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    投稿日: 2014.08.19
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     木村政彦という柔道家のことは知らなかった。この本を読んで、柔道のことも何も知らなかった、ということがわかった。現在の柔道の正史は講道館が書いたもの。でもそれは、かつてたくさんあった流派の一つでしかなかった講道館が柔道を支配し、後付けで書いた「正史」。現在のスポーツ化してしまった柔道とは別の、実戦的な総合格闘技としての柔道の歴史。講道館が消し去ってしまった真実を、木村政彦とその師匠牛島辰熊、二人の"鬼"と呼ばれた柔道家の生き様を通じて白日の下に明らかにする。  木村政彦の生き様は凄まじい。こんなふうに生きた人間がいた、ということがすごい。その人生はすごいとしか形容できない。柔道の裏面史とともに、木村の生き様にぐいぐい引き込まれて行く。久々に凄まじい、ノンフィクションであった。

    2
    投稿日: 2014.07.13
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    ラストが「俺たちの戦いはこれからだ」という感じでしみじみした。自然発生的なものと思っていた力道山ブームが、実は周到に作られたブームということに驚いた。木村政彦の霊に黙祷し、もって瞑すべし。

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    投稿日: 2014.05.15
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    問答無用の満点。 悪名だかい「空手バカ一代」でも有名なエピソード、「木村VS力道山」で敗れた天才柔道家木村政彦の一生を膨大な資料と関係者の取材で構成した一冊。 男としての生き方、人間離れした練習量、勝利へのこだわり……エピソードの一つ一つが面白く、木村政彦の半生を追う、すなわち昭和の日本を追体験するような構成になっていることも面白い。 ラストの100ページでは木村の余生が描かれるが涙なしで読み切ることはできない。安易に「昔は良かった」なんて言う大人は嫌いだが、破天荒な男たちが暴れまわっていた昭和は今と違う魅力に溢れていたのだなと痛感。 帯に百田尚樹の推薦文があるだけでスルーしちゃもったいない弩傑作。

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    投稿日: 2014.03.26
  • 腸が煮えくり返るほどの怒りのやり場はどこだったのか

    “このミス”出身の小説家増田俊也が、ノンフィクション作品の書き手として素晴らしい仕事をしたのが、本書『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』。 日本の柔道史上最強と言われ、15年間不敗のまま柔道界を引退した怪物、木村政彦。練習中に膝を付かされることすら彼には耐え難く、深夜に包丁を持ち出して相手を刺しに行こうとしたという伝説が残るほどの怪傑だ。 その木村が、相撲出身の英雄力道山とのプロレス試合で、引き分けに終わる約束がだまし討ちにされ、敗北を期してしまう。それを契機に木村は表舞台から姿を消していったのだった。 最強とうたわれた男が、卑怯な手段で土を付けられた。「力道山に負けた男」と冠がついてしまった木村の心中はいかなるものだったのか。膨大な資料と取材で描き出した圧巻の1冊。

    1
    投稿日: 2014.03.12
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    もちろん5星、いやそれ以上だ。この本で今まで誤解され誤ったイメージで評価されていた.人も救われる人も多いと思う。その価値は大きい。 マスコミの話や作られたイメージには注意しよう。 それにも増してこの本には根底に愛がある。そのための気の遠くなる期間を要した取材と執念には脱帽である。表層の下には 人間一人ひとりの気持ちと人生があることを肝に銘じよう。

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    投稿日: 2014.03.09
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    すごい内容、ボリュームに圧倒されました。 前半は柔道を詳しくない人には永く感じるけど半分過ぎた頃から読むスピードが早くなり夢中になりました。 木村さんの一生がまるで一緒に生きてきたかのように身じかに感じました。 不器用な人生を過ごし、人間くささをもった立派な柔道家、柔術家 2014/2/27

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    投稿日: 2014.03.02
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「鬼の木村」といわれ天覧試合を制した木村政彦は、「昭和の巌流島」力道山との一戦で死ぬまでその屈辱を抱えつづけた。「木村は力道山より絶対に強い」という信念のもと書き始めた作者の揺れが連載時のまま書かれているところが切ない。でも、それだからこその静かな感動ではないか。「強さ」を求める狂気にも似た気持ちは、実はそれほどよく理解できないんだけれど、でもその凄まじさだけはわかった。

    0
    投稿日: 2014.02.24
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    「15年不敗、13年連続日本一、天覧試合制覇、日本柔道史上「最強」の男が背負った悲しき人生」と帯にあります。 格闘技ファンのみならず、私の世代、または上の世代の方たちにとっては、木村政彦の名はあまりにも有名です。しかしそれは、力道山と戦って敗れた木村政彦、それも力道山が八百長の約束を破り、不意打ちのようにして負けてしまった木村政彦として。 しかし真実の木村政彦は、どんでもない男です。この本を読めば良く分かります。700ページ近い大著ですが、とにかく面白い。読ませます。そして木村政彦のすごさが分かります。 三倍努力という有名な言葉があります。本には次のように書かれています。 強豪選手たちが三時間稽古していたので木村は六時間から七時間稽古していたが、倍の稽古だけでは「絶対」の境地には辿り着けない。ライバルたちも必死に努力しているからだ。二倍程度の稽古量では、なにかのはずみで勝敗がひっくり返ることもある。しかし三倍の九時間以上稽古をすれば、他の人間はついてはこられまい。 この9時間以上の稽古には、座禅やウェイトトレーニングなどの時間は入っていないそうです。実際には、寝る間も惜しんで稽古をしていました。これはすでに狂気かもしれません。天才が三倍稽古するとどんなことになるのか、そもそも三倍稽古できることがすでに凡人ではありません。凡人である私は、三倍稽古しなければなりませんね。 どの格闘技が一番強いのか。よく問われるところです。アメリカでバーリトゥード(なんでもありの総合格闘技)の大会がずいぶん前に開かれました。その時に圧倒的な強さを誇ったのが、ブラジリアン柔術でした。日本の柔術が前田光世によってブラジルに渡り、そこで独自の進化を遂げた、打撃あり、関節技ありの柔術です。 木村政彦がブラジルに行った時に、このブラジリアン柔術で無敵を誇る、エリオ・グレーシーと戦いました。結果は、まったく相手にならず、木村政彦の圧勝でした。今でもブラジリアン柔術では、ある関節技を「キムラロック」と言っているそうです。この本を読み、柔術こそが格闘技の中で一番強いのではないかと思いました(現代の柔道と違い柔術には、打撃も関節技もありました)。 木村政彦がいれば、日本の柔道も世界に対して、負け知らずだったかもしれません。 生涯を勝手気ままに、大酒も飲み、世界を転戦して歩いた木村でした。 木村政彦が晩年に病床で、娘の友子に、妻の斗美(とみ)のことを語った場面があります。 木村が最晩年、病床に伏してから長女友子に言った言葉だ。 「斗美(とみ)は俺の太陽だったんだよ」 まさにそのとおりだっただろう。妻斗美は、木村が外でどんなやんちゃをやっても、どんなに苦しいときも側に居続けてくれた女神だったのだから。 「俺の太陽だったんだよ」 本当に、妻は太陽だと思います。

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    投稿日: 2014.01.15
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    700ページ。しかも二段構成。最重量級のボリュームだったが、読んでよかったと感じる結末でした。 たった一人のドラマなのに、熱気むんむん。とりあえずUFC見たくなる。格闘技嫌いに読んで欲しい内容でした。

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    投稿日: 2014.01.14
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    柔道がわからなくても良い。男とは、家族とは、師匠とは、生きる意味とはを考えさせられ、胸が熱くなる。世界一強かった男の物語。

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    投稿日: 2014.01.05
  • 700ページ二段組み それも気にならないほど熱中できる

    柔道史上最強と詠われる鬼の木村政彦と力道山の昭和の巌流島決戦を中心に木村の歩んだ道が綴られている。 もう一方の主役力道山以外にも大山倍達、塩田剛三など伝説のあるいはマンガの主人公が話に絡む。 戦前の木村は柔道日本一をめざし激しい修行に明け暮れる。今の柔道より実践的で寝技、関節技以外に当て身、つまりパンチや蹴りもある総合格闘技に近いものだったようだ。足払い一発がとにかく痛いらしく得意技の大外刈りも切れが鋭く受け身がとれず失神者続出、とうとう練習では禁止になり又グレイシー柔術ではキムラロックと名付けられた腕がらみは立っても寝てもかけることができ、通常とは逆の左手を極めながら投げる一本背負いなどもあった。寝技でも下からの三角締めなど当時開発された技は多くレベルは非常に高かった。 師匠もすごい何せ名前が牛島辰熊だ。自らが果たせなかった天覧試合での優勝を弟子の木村に託す。また思想家でもあり東城英毅暗殺を試み、柔道が強くなること以外には興味がなく一方で師匠には逆らえず実行犯にさせられそうな木村がなんとか逃げ回っていたようでもある。 1日9時間の乱取り、うさぎ跳びで風呂に行き、腕立て1000回、巻き藁突き左右1000回、立ち木への打ち込み数千回が日課でとうとう木が枯れてしまい、眠る前にはイメトレまでこなすのが日課で、その結果畳の端を持ってあおいだり、100Kgのバーベルを腕の上を転がしたりとエピソードは満載だ。 また精神力もすごい、負けたら腹を切ると思い詰め実際に本当に切れるか確かめている。この結果日本選士権を3連覇し、戦争を挟んで15年間負けなしであった。 戦後は師匠の牛島の興したプロ柔道に参加するが客は入っても出る方が多く興行は行き詰まる。そのころ妻の結核の薬代を稼ぐためにハワイに渡りプロレスと出会った頃から運命が変わり始める。木村は師匠とは違い金があれば使いやりたい放題の悪ガキのままでもあった、簡単に金が入るプロレスについては勝負だとは考えていなかったようだ。 ブラジル遠征では伝説のエリオ・グレイシーとの一戦が行われた。会場は前年のワールドカップ地元開催の為にたてられたマラカナン。決勝でブラジルは悲劇の逆転負けを喫しており、ここで行われたブラジルの英雄との一戦はワールドカップの決勝と同じほどの熱狂ぶりだったらしい。 練習していなくても自力が違い過ぎ試合は一方的になる。ついてキムラロックでエリオの腕を折るがそれでもタップしないエリオにセコンドの兄が代わりにタップした。木村はエリオの執念をたたえ、エリオは後年この唯一の敗戦を生涯忘れられない屈辱であり誇りであると語っている。 一方の主役力道山も同時期にプロレスを始めている。実力もあったようだがそれ以上にスターにのし上がったのはプロレスというショーを理解し、またあらゆるものを利用したしたたかさにあるようだ。シャープ兄弟を呼びタッグに木村を口説き落としたが自分が主催者として木村に負け役を押し付けて行く。 金を稼ぐためにプロレスを受けた木村だが負け役が続くにつれ世間の評判が落ちて行くのに耐えられなかった。力道山に対して真剣勝負なら負けないと挑戦状を叩き付ける。しかしそれでもプロレスの範疇であり、力道山と同格の結果を出せればいいと思っていたらしい様子が見える。 第一回の日本選士権は引き分け、二回目は勝ちを譲るとの念書を出すが力道山はのらりくらりと自分は出さないまま契約が決まった。試合前トレーニングに精を出す力道山と酒ばかり飲んでいる木村。木村はいざとなれば寝技に持ち込めば勝てると思っていたようだがコンディションの差は大きい。途中まで八百長を信じていた木村に対しいきなり仕掛けた力道山。右ストレートがまともに入るがその後もまともにガードせず一方的に打たれ続けた木村はKOされた。試合後も木村が八百長を持ちかけたと念書をマスコミに流す力道山。マスコミに叩かれる木村。リング内でも外でも木村は負けた。何があっても負けないと準備していた木村であれば油断はなかったろう。しかしプロレスは勝負と思わず準備を怠ったために負けたのだ。 怪我の見舞金という形で力道山と木村は手打ちをする。しかし写真撮影が終わると力道山は帰る木村を見送りにも来ない。この後木村は短刀を持って力道山をつけ狙うがそのうち恨みを抱えたまま田舎に帰り、この後の半生を苦しみ続けることになる。 東京五輪ではヘーシンクに対抗できるのは当時47歳の木村しかいないという意見もあるほどで実際に練習に来たメダリストたちも寝技ではおもちゃにされていたらしい。最後のエピソードでは弟子の岩釣が地下格闘技のチャンピオンとなり誰も知らない世界で木村の柔道が強いことを証明したと遺言代わりに伝えている。

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    投稿日: 2014.01.01
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    打撃のある柔術は最強というのは何となくわかります。 しかし今の柔道はただのスポーツで、打撃系がないのが当然のようになっていますが、そもそもの武道からの成り立ちからすれば、確かに柔術に打撃系の技がある方が自然だと思いました。 そういう意味で、戦前の柔術の流れを汲む柔術家は強く、木村政彦最強伝説は頷けました。 木村政彦よりの本書を読めば、もちろん木村政彦よりの見方となり、それは力道山批判というよりも、格闘家として生きることの難しさを感じました。 格闘家の、試合結果に対してその後人生の評価が変わるという矛盾に切なさを感じました。

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    投稿日: 2013.12.14
  • 格闘技に興味なくてもはまる、寝不足必至の面白さ

    すこぶる面白い。700ページでしかも二段組の大著だが、数日の間一度も読書が遠のくことはなく、文字通り貪るように読んだ。 だが、読後感はすっきりしない。 これは戦後以降からの章で感じていたことだが、読めば読むほど木村という人物がわからなくなる。人より3倍も練習し試合前には瞑想もするほど精神が研ぎ澄まされていたはずなのに、思想・信条が心のうちに芽生えてこないというのにも納得いかないが、負ければ切腹する覚悟をもって勝負に臨むと言う一方で、練習も程々でしたたかに酩酊して現地入りするのだ。鬼と呼ばれるが性質は柔和。 力道山には卑怯なだまし討ちで負けただけで真剣勝負なら勝っていたはずという作者の思いは、太田の「後になって悔やむならリングに上がるな」という一言で一気にしぼむ。面白いのはこれを作者は隠さず、手の内をさらしていることだ。 読後この一戦を見たが、どうひいき目に見ても木村が負けるべくして負けたという印象しか残らない。本を手に取る前に見なくて良かった。ただ天覧試合はあるなら見てみたい気がする。

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    投稿日: 2013.12.12
  • ノンフィクションの醍醐味を満喫できる一冊

    本書は、史上最強の柔道家である木村政彦がなぜ力道山に負けたのかの解明を試みた渾身の一冊である。 費やした期間は18年、千点以上の参考文献や資料、関係者へのインタビューなどを通してまとめた本書は、単行本では2段組み700ページ、電子書籍では1674ページという大著である。 しかし、他のどの書評でも言われているように、主題に向かって読者をどんどん引き込んでいく、読み応えのある作品である。 言葉を換えれば、昭和の巌流島と称された1954年12月22日蔵前国技館の木村政彦対力道山の日本プロレス選手権試合の謎の解明には、単にこの一戦だけを論ずるのでなく、もっと大きな視点でとらえなおす必要があるということだろう。 具体的には、本書では、木村の生い立ちから始まり、師と仰ぐ牛島辰熊との出会い、高専柔道との関わり、太平洋戦争と闇屋時代、プロ柔道旗揚げ、ブラジルへの渡航とエリオ・グレイシーとの戦い、等々の事実関係や時代背景を積み重ね、これらすべてが、木村政彦対力道山の日本プロレス選手権試合の謎の解明につながっていることが、本書を読むと納得させられるのだ。 また、著者、増田俊也氏の執筆姿勢がフェアなことも、本書の価値を上げていると思う。 格闘技やプロレスなどは、ファンの熱も上がりやすく、自分が好きな選手を贔屓目に見たり、神格化したりしがちだ。 事実、著者の増田俊也氏も、 『もともとこの作品を書き始めたのは一九九三年(平成五)、木村政彦が逝ったとき、すべてのマスコミが「力道山に負けた男」という単層的な見方で報じたことに反論するためだった。柔道経験のある私には許せなかったのだ。 木村先生は負けたわけではない--。』 と執筆の動機を語っている。 しかし、本書では、自分の思いに溺れることなく、取材や資料で突き止めた事実を丹念に積み重ねることで、謎の解明を試みており、そこから得られる結論が、例え自分の願望とは異なっていたとしても、、、 結論は本書の核心部分でもあるので、これ以上触れるのは止そう。 フェアで資料に忠実、中立な著者の態度は、著者もやるという柔道の精神に通じるものがあり、安心して読むことができ、実に気持ちよい。 最後に。 柔道、プロレス、格闘技といった血なまぐさい戦いの話の一方で、木村政彦と妻斗美との関係で、愛し、そして、愛されて生きることの救いも本書から得られたことを付け加えておきたい。 ノンフィクションの醍醐味を満喫でき、本当に満足である。

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    投稿日: 2013.12.02
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    取材力、調査力、構成力、文章力、そして木村政彦をはじめとする人物達への尊敬の念、どれをとっても一級品のノンフィクション。そのへんの国語辞典並みの厚さだが、それに見合うだけの読み応えと感動がある。

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    投稿日: 2013.11.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ほうぼうの書評で凄いと聞いていたが、噂に違わぬ凄まじい本だ。 これはノンフィクションなのだろうか、著者の入れ込みようが尋常ではなく、小説仕立てで冗談としか思えないエピソードも並ぶ。にわかには信じがたいが。確実に言えるのは著者の18年にも及ぶ情熱は本物だろう。 木村政彦という伝説の柔道家の血と汗と青春の日々、そして輝かしい栄光。戦後の混乱からのプロレスラーに転身、そして敗北からの生き地獄。 ただ一人の男の伝記に留まらず、木村に関わる人や事にも丹念に資料を探り解説。格闘技の裏と表の歴史、日本と世界の日本人コミュニティに関わる歴史。その時代の空気を感じさせてくれる。 そして、木村の汚名をそそぐために始まった筆はやがて木村の魂の介錯まで及ぶ。 格闘技に疎い自分には分からない点も多く、また書かれたことの成否も分からない点も多い。それでも読んでよかったと感じさせる。晩年の木村の「これでよかったよね」という言葉が胸に打つ。 勝負に生きた人間の心は自分には理解出来ないことも多い。だがしかし、その生き様は確実に胸を打つ。木村に勝った力道山は生き急ぎ無残にあっけなく死んで、力道山に負けた木村は無残でも耐えぬいて生き抜いたのだ。人生も勝つか負けるかの一本勝負なら、木村は粘り勝ちしたのだとそう思う。そう思わせてくれる。そう思いたい。

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    投稿日: 2013.11.21
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    ぶっとい本ですが、読みごたえ十分。YouTubeでエリオ戦をあらためてみました。 悲しみがなくてはいきていけませんね。

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    投稿日: 2013.11.17
  • 時代に封印されたプロレスの1つの歴史書

    とはいえ、すべてが真実と確定しているわけではなく、本書はかなり木村側にたったものの見方をしています。 力道山がプロレスラーとして以外の部分で悪評が高かったのは事実ですが、それを超えて怨念のようなものすら感じます。 また、「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」と言う事に対する答えは残念ながら本書にはありません。しかし、「木村政彦の手で殺すべきだった」と言う事を1から解説している本といえるでしょう。 プロレスファンにこそ読んで欲しい1冊ですが、それに加えて昭和のTVを中心とするエンターテイメント創成期を語る上でも重要な1冊だと感じます。

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    投稿日: 2013.11.15
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    伝説の柔道家である木村政彦の生涯を圧倒的な取材量と熱い熱を持って書き上げたノンフィクションの傑作。 格闘技好きだっから木村政彦の名は「エリオに買った日本人柔道家」といつくらいの認知だったが、この本を読んでいかに強い男だったのか、いかに極限を生きた男だったのかがわかる。師匠である牛島辰熊と共に夢の展覧試合を制するまでの前半はとにかく凄い熱量でめちゃくちゃに面白かった。講道館柔道とは技術体系を持った武徳会や高専柔道といった存在は初めて知った。中でも高専柔道の寝技は後にグレイシー柔術へ受け継がれるなどして進化を遂げていることに驚かされる。 物語の中盤では有名なエリオ・グレイシーとの対決を詳しく書かれている。グレイシー一族にとって特別な存在感だという木村。試合の内容やグレイシーとのやり取りで納得。熱い内容だった。 後半はこの本のテーマでもある力道山との試合。そして、その結末。 18年かけて書き上げただけあって凄いボリュームだったけど、早く続きが読みたくて仕方なかった。 昭和という激動の時代を生きた柔道家たちの姿に熱いものがこみ上げてくる名著です。

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    投稿日: 2013.10.17
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    内容紹介 昭和29年12月22日----。プロ柔道からプロレスに転じた木村政彦が、当時、人気絶頂の力道山と「実力日本一を争う」という名目で開催された「昭和の巌流島決戦」。試合は「引き分けにする」ことが事前に決められていたものの、木村が一方的に叩き潰され、KOされてしまう。まだ2局しかなかったとはいえ、共に生放送していたテレビの視聴率は100%。まさに、全国民注視の中で、無残な姿を晒してしまった木村、時に37歳。75歳まで生きた彼の、人生の折り返し点で起きた屈辱の出来事だった。柔道の現役時代、木村は柔道を殺し合いのための武道ととらえ、試合の前夜には必ず短刀の切っ先を腹部にあて、切腹の練習をして試合に臨んだ。負ければ腹を切る、その覚悟こそが木村を常勝たらしめたのである。約束を破った力道山を許すことができなかった木村は、かつて切腹の練習の際に使っていた短刀を手に、力道山を殺そうと付けねらう。しかし、現実にはそうはならなかった......その深層は? 戦後スポーツ史上、最大の謎とされる「巌流島決戦」を軸に、希代の最強柔道家・木村政彦の人生を詳細に描く、大河巨編!!

    2
    投稿日: 2013.10.10
  • 格闘技ファンじゃなくとも必見の一冊

    筆者は柔道史上最強の男、木村政彦がなぜ力道山に負けたのか?それは、プロレスのアングルだったのではないか?という、仮説を証明するために木村の半生を軸に知られざる戦前戦後の柔術•柔道界、格闘技界の歴史を辿っていく。 (講道館柔道が柔道の唯一の流派だとおもっている方も多いのでは?) そして、最後に作者がたどり着いた結論は??

    3
    投稿日: 2013.09.28
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    この本、前から買ってあったのですが、大宅壮一ノンフィクション賞も獲得し、圧倒的な高評価なるも、この700頁近い厚さゆえ、読み始めたら、仕事に支障が出るだろうなと思い、なかなか、手をつけられずにいました。私は結構速読ではあるものの、完読までに1週間近くかかってしました。 13年間無敗で、「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」とまで言われた圧倒的な強さをもった柔道家である木村政彦についてのノンフィクションです。彼が、なぜプロレスに転向し、力道山と戦うことになり、そして負けたのか。柔道を講道館柔道ではなく、寝技中心の高専柔道から見た本であり、力道山対木村政彦の巌流島対決を、力道山の視点ではなく、木村政彦の視点から見た本です。 筆者は、格闘技ライターで、本書はゴング誌で4年間にわたって連載されていた記事故、前半1/3はやや資料的な記述が多く、少々もたつきましたが、この本のメインイベントである巌流島対決のあたりからは、一気に読み進めました。本のタイトルも、絶妙だなぁ。もちろん、力道山を殺したのは、木村政彦ではありませんが、木村政彦は、自分の念で力道山を殺したと言っています。 噂通り、とてもおもしろい本でした。特に、格闘技に興味がある方は、必読の本でしょう。

    2
    投稿日: 2013.09.23
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    伝説の柔道家、木村政彦の評伝。格闘技ファンならたまらない。しかし戦前の拓大柔道部がこんなに強かったとは驚き。納得の星三つ

    0
    投稿日: 2013.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    長編です。長いだけではありません。著者の思いが強く響いてきます。18年に及ぶ取材に敬意を示したいです。

    1
    投稿日: 2013.09.01
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    「木村の前に木村なし、木村の後に木村なし」。 全日本選手権を制すること13回、また天覧試合も含め無敗のまま現役を退いた日本史上最高の柔道家、木村雅彦の生涯をおったルポ。 関係者がだんだんと死去する中、著者は18年の年月と、1000を越える参考文献と向き合い、丹念な取材を重ね本著を書き上げる。 木村はその名声を、あの力道山とのプロレスマッチで失ってしまう。力道山側にブック(プロレスで事前に決められた筋書き)破りがあった事がその大きな原因だが、木村はそのリスクをコントロール出来ず、突然の打撃ラッシュにリングの上で倒れてしまう。木村はその後汚名を晴らすべく力道山を追いかけるが、その力道山は繁華街にて刺殺されてしまう。 分厚い(電子書籍で読んだんだけど、本屋でその厚さわみて驚く!)本だがとても面白かった。また戦後史の物語としても興味深い。

    1
    投稿日: 2013.08.01
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    長かったけど遂に読了。戦争前後の柔道史と、それにまつわる格闘技史からプロレスへ、個人的に格闘技好きなので非常に興味深く読めた。端々にみられる木村愛と膨大な取材量、後書き読んで18年かかったというのにしみじみ納得。恐らく自分の人生には何一つ必要ないけど、でも知的好奇心を満たしてくれる素晴らしい本でした。 しかしあの試合は改めて動画観てみたけど、酷いな力道山、、、

    1
    投稿日: 2013.07.29
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    今更だが、圧巻のルポ。格闘技に興味のない私は、タイトルだけでもう読む気が湧いてこなかったのだ。そういう人は結構いるのではないだろうか。でもこれは、格闘技を知らない人でもぐんぐん読んでいける、熱のこもった一冊だ。 およそマニアというものは皆そうなのかもしれないが、格闘技ファンもまた、身内でしか通じない言葉でしゃべっているという印象が強い。この本もそういうものの一つではないかと思っていたのだが、先に読んだ「七帝柔道記」があまりに面白く、この著者ならばと手に取ってみた。それにしてもドカベンのようなこのボリューム! 果たして読み切れるのか?という心配は全くの杞憂で、あっというまに(というのはさすがに言い過ぎだけど)読了。圧倒された。 何よりも胸を打たれるのは、自身柔道をしていた著者の、木村政彦に対する心からの敬意が行間にあふれていることだ。ゆがめられた姿のままで歴史に埋もれていく、不世出の格闘家の真実の姿を明らかにしたい、世に知らしめたいという情熱がふつふつとたぎっている。 いやまったく、私は木村政彦という名前さえ知らなかった。力道山はさすがに知っているが、この本で書かれている姿は意外なものだ。一般の人はもちろん、格闘技好きな人たちの間でさえ、事実からはほど遠いことが歴史として定着していくことに何とか抗いたいという、著者の渾身の評伝だ。 「七帝柔道記」でも思ったが、きわめて「熱い」題材を扱いながら、門外漢にも説得力があるのが、増田氏の優れたところだろう。時にナマの感情をさらけ出しながらも、非常にバランスのとれた書きぶりになっていて、そこが他にはない魅力だと思う。 まあ、言いたいことはいろいろある。おおかたの格闘技というのは「力で人を制する」というその本質的なところにおいて、権力や裏社会と親和性が高い。はっきり言えば、右翼やヤクザと切っても切れない関係にある。この本でもそれはしばしば語られている。木村の出た拓殖大学もそういうイメージ抜きには語れないだろう。学生運動が盛んだった頃、武道を中心とする体育会系の学生が、当局の意を受けて左翼学生に凄惨なリンチを加えて運動つぶしを行ったことを忘れるわけにはいかない。 だがしかし。それでもなお、ここに描かれた木村政彦という人の、何とまあ魅力的なことか! 決して(まったく、と言っていいくらい)人格者ではなく、思想というものを持たず、世の中で身を処していく知恵もない。敵も多くいたようだが、彼を心から慕い、誰よりも尊敬した人も、またたくさんいた。その唯一無二の個性こそが本書最大の読みどころだろう。 たいそう印象的なエピソードが数多く語られる中で、最も心に残ったのは、著者が、プロ柔道やプロレスで木村と一緒だった遠藤幸吉に話を聞いていたときのことを綴ったところだ。 「ある日、話の途中で遠藤が感極まったように声を震わせはじめた。 『ああ…木村さんの話をしてたら会いたくなっちゃったよ。木村さんにまた会いたいよ…』」 木村政彦の人間的魅力をこれ以上雄弁に語る言葉はないだろう。

    8
    投稿日: 2013.07.28
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    史上最強と謳われる柔道家、木村政彦の、その比類なき強さ、人間的魅力、力道山戦が彼に何をもたらしたのかなど、彼の様々な面を、膨大な資料や、関係者へのインタービューにより浮き彫りにした、ノンフィクション。 まず、柔道そのものについて、はじめて知ることが多くて面白かった。 今の柔道の前身というと、戦国時代にでもさかのぼるような気がしていたが、たった50年前には、高専柔道という、現在のグレーシー柔術のような実戦的な寝技の体系を持った柔道の勢力が大きかったというのは、新鮮な驚きだった。 その頃の、旧制高校や中学同士の対抗戦は寝技が中心で、それらの切瑳琢磨から、数々の絞め技、極め技、またそれらの返し技のバリエーションが生まれたとか。 日本の柔道家がブラジルに渡って、グレーシー柔術が生まれたのはなんとなく見たまま、という感じがするが、現在のオリンピックなどで見られる、立ち技中心の柔道がまず伝えられ、ブラジル人があのネチっこい寝技を工夫したのだと思い込んでいた。 しかし、筆者が現代の総合格闘家と、木村vsエリオ・グレーシーの試合のビデオを見るシーンで、木村の寝技は現代でも通用するどころか、動きによっては、現在使われているものよりも進歩しているものもあるというような描写もあって、木村が強かったのもあるのだろうけど、やはり、当時の日本の寝技の技術というのは、凄かったのだ。 ブラジル人格闘家の、寝技中心の試合を初めて見たとき、カルチャーショックを受けたものだが、それが50年前の日本人が開発した技術体系だと知って、またショックを受けてしまった。 それと、なんといっても木村や、周囲の人々の生き方に、影響を受けた。 伝説の柔道家であるから、筆者や関係者の話も何割増しかであるかもしれないが、 それにしても、練習量、強さ、生き方など、まさに規格外である。 師匠の牛島をはじめとして、周囲の人間も相当に濃く、自分の信念を貫き通して生きる人ばかりだ。 50年前にそういう雰囲気の中、そういう人たちが生きていたことを想像するのは、本当に現実感が無い。 自分が些細なことで悩んでいるのは、本当に意味がないと思った。 木村の、食う、寝る、あとは柔道ではないが、やれることをやって八方塞がりになってから悩めばいいのだと。 最後に、本筋の、力道山との対立、凄絶な試合、そしてその後の両者の明暗という部分も、 その背後に、戦後の社会の状況や、日本に残った朝鮮半島の人々の葛藤、興行の利権を巡る対立など、 様々な要素が複雑に絡みあっていて、とても面白かったとともに、 本書で嫌というほど木村の強さを語り尽くされた後では、 不意に力道山に仕掛けられたセメントで、木村がなす術もなかったというのは、 筆者と同じで、とても残念だった。 社会的には、世事に長け、貪欲な力道山が勝つのは時間の問題だった気もするだけに、 本当に、その一戦だけは・・・と思ってしまう。 その試合の印象だけで木村の強さを軽んじる、世間やマスコミを憂いて、筆者は筆をとったとのことだが、 その目論みは、十分すぎるほど、成功している。

    1
    投稿日: 2013.07.19
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    あまりの長編だったので、途中からは、斜め読み。 木村と力道山関係だけのを読む。 プロレスの八百長試合に登った木村さんがまずかった。 おごりがあった。

    0
    投稿日: 2013.07.17
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    厚い本だが、ダレることなく一気に読めた、自身柔道家である著者の熱意と、哀感にあふれる作品。 また、戦前は講道館、武徳会、高専柔道と大きく3つの潮流があったが、戦後はGHQにより軍国主義との結びつきを指弾され、武徳会は解散させられ、高専柔道も消滅。スポーツに特化することで生き残りを図った講道館のみに収斂された歴史を学べた。

    1
    投稿日: 2013.07.14
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    恐らく、史上最強の柔道家である木村雅彦の生涯を描いたルポタージュ。一般には力道山に敗れた柔道家として紹介されてるが、柔道への真摯さやその自由な人柄は多くの人々に愛されたことがわかる。 また、柔道の系譜、日本のプロレスの創成、総合格闘技としての柔道の強みと弱み等も書かれており、格闘技好きでなくとも十二分に楽しめると思う。グラッブラー刃牙なんか読んでいると、なお楽しめるかも。 百田直樹がオススメするだけはあると思ったが、約700ページという分量はちょっと辛い人が多いかもしれない。

    1
    投稿日: 2013.07.12
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    戦前の天覧試合を制した木村正彦の一代記。『プロモーターとしての力道山にしてやられ苦しい後半生』というストーリーですが、苦衷はあったものもそれなりに楽しく豪放磊落な人生のようにも見えます。プロレス自体も好きだったようですし。 しかし、この時代の武道家の練習量と内容は常軌を逸してますな。山岡鉄舟みたいだ。

    1
    投稿日: 2013.07.12
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    力道山との「巌流島決戦」で一敗地にまみれた木村政彦の伝記。筆者自身が高専柔道と呼ばれる寝技主体の柔道の体験者だけあって、講道館と武徳会、高専柔道の歴史など、柔道史としても読ませる内容になっている。 一日10時間練習した(腕立て伏せや、立木相手の打ち込みなど、一人で行うトレーニングは含んでいない)という、木村の全盛時はどれだけ強かったのかと、想像するだけでもドキドキする。 それに引き換え、力道山戦に向けた準備の疎かだったこと。 プロレスというフォーマットと、自身の肉体への過信があったのだろうか。 本書の前半における完璧な武道者としての木村とのギャップが堪らなく悲しい。 それにしても、「アングル」が当たり前で、何が本当なのかよく分からないプロレスと、講道館以外は歴史外とされている柔道、さらには既に手垢が付きすぎた極真空手、と難しい取材を積み重ねて、これだけのものにまとめ上げた著者の労力には驚くばかりだ。

    1
    投稿日: 2013.06.24
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    柔道史とプロレス史から封印されてきた木村政彦氏が、本書の中で息づき蘇る。プロレスでは絶対にやってはいけないシナリオ破りにより、日本全国民の前で木村政彦をKOし名を上げた力道山は、当時の日本人には希望の光に写った。しかし本当の光は木村政彦氏であり、力道山は闇社会を上手く利用しただけのフェイク。生涯を掛けて真の強さを真摯に追い求めた木村正彦氏とは対象的に、あくまでも経済的な成功のためだけにプロレスや支援者を利用しただけの力道山。35歳の若さで刺されて死んだ力道山と、最期は最愛の妻と穏やかな時を過ごし75歳まで生きた木村政彦。人生の終わり方にもそれぞれの生き様が集約されていた。本作は木村政彦氏の力道山戦の真相を明るみにするだけでなく、木村政彦氏が追い求めた真の強さをも、最後の最期で証明してくれた。格闘技ファン、プロレスファンは絶対に読んで損がない名著。

    1
    投稿日: 2013.06.23
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    読了後、木村政彦の魅力にメロメロになる一冊。明治以降の武道史をすべて書きつくすかのような著者の筆力にも脱帽。これぞ名著。

    1
    投稿日: 2013.06.10
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    個人的には、斎藤貴「梶原一騎伝」、佐野眞一「巨魁伝、正力松太郎伝」魚住昭「差別と権力 野中広務伝」 団鬼六「真剣師 小池重明伝」あたりとならぶ21世紀の日本のノンフィクションベスト10にはいる傑作。牛島辰熊、講道館覇権主義、力道山の実像、南米移民史、グレイシー柔術、そして無名の無数の格闘家…、18年の取材をかけた超大作だわ…ノンフィクション、格闘好きなら必読

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    投稿日: 2013.06.04
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    木村政彦という、面白さ。 そして圧倒的な強さ。 それを取り巻く、さまざまな人間模様。 面白かった。 柔道史、プロレス史、格闘技史としても、一次資料に精力的に当たっており一級品ではないか。 一冊の本としてこなれていない部分は確かに感じるが、これはいつか再読必須。 ただし、このボリュームはちょっと気合がいる。

    1
    投稿日: 2013.05.23
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    男の一生。 中学時代に読んでたら人生変わってたかも。うちの中学には柔道部なかったけど。。。 世界中の人すべてに読んでもらいたい!! お茶目な人やで木村政彦

    1
    投稿日: 2013.05.18
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    95ページ  だが、見た目は一〇〇キロだが、実は三キロも無い発砲スチロールでできた人間だったらどうだろう。   ◆発砲→発泡

    1
    投稿日: 2013.05.18
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     実はプロレスにほとんど興味もなく、格闘技にも興味がないので、タイトルの木村政彦氏の名前を知らなかった。  読み進めるうちに、著者の迷いと、確かに生き抜いた木村政彦氏がとても輝いて見える。  木村政彦は力道山に負けた。それをきちんと認められたことがすごい。  ラストはドラマティックすぎでしょう。

    0
    投稿日: 2013.05.05
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    【武鬼の復活】日本最強、いや、世界最強の柔道家として名を馳せた木村政彦が、怪物・力道山と対決した1954年の「昭和の巌流島決戦」。ゴング前に引き分けと約されていたその試合は、力道山が狂ったように木村を攻撃し力道山の圧勝に終わる。かつて負ければ腹を切るとまで覚悟していた木村は、この上ない恥辱の果てに力道山を殺めるため、短刀を懐に潜め彼に近づくのであるが......歴史の砂塵に埋もれた木村政彦という「鬼」の半生、そしてその鬼を通して見た戦前・戦後の格闘技界を描いた超力作です。著者は、本作で大宅壮一ノンフィクション賞と新潮ドキュメント賞をダブルで獲得した増田俊也。 圧倒的すぎるほど圧倒的。情報量、分析力、そして著者が本書に捧げた情念のどこ一つをとっても本書に肩を並べることのできる作品はそうはないはず。上下二段組で700ページ近くにも及ぶ大作になりますが、木村政彦が著者を始めとする格闘技界のあらゆる人間を引きつけたように、読者も本書から目を離すことができなくなるはず。日本の格闘技界、特に柔道とプロレスに対する一般的な物の見方が見事に引っくり返される感覚をぜひ味わってみてください。 本書で語られる様々な木村政彦のエピソードの中でも、もっとも心を打たれたのが師匠である牛島辰熊との複雑なれども純真すぎる関係。相互に培われた愛情、信頼、そして疑心から嫉妬、さらにはそれらを経ての赦しに至るまで、ありとあらゆる感情に彩られた2人の歩みに胸が思わず打ち震えました。著者の増田氏にはこのような作品を著してくれたことに対する心からの賛辞を贈りたいです。 〜牛島の長女孝子によると、試合後、家に戻ったとき孝子が「どうしてあのときリングに上がっていったの?」と聞いたという。牛島は目を潤ませながらこう答えた。「木村の骨を、他に誰が拾えるんだ……」〜 著者の執念なくてはこれほどのものは書かれなかったでしょう☆5つ

    1
    投稿日: 2013.05.04
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     柔道家・木村政彦への思いが積もったノンフィクション。著者の思いが至るところに散見されて、格闘技ファンが一人の人物を崇拝するとこうなるのか、と冷静に考えてしまった。どの格闘技が最強なのか、といったことにあまり興味はなかったけれど、一つの勝負にこだわり抜き、勝負に負けて全てを失う、壮絶な人生を生き生きと描ききっている。力道山対木村政彦の試合は全く知らない。文中の登場人物でわかったのは、アントニオ猪木と石井慧ぐらい。忘れ去られているのだろうけど、同時代を生きた人には決して忘れられない一戦だったのだろう。その思いの強さに圧倒されるような本だった。

    0
    投稿日: 2013.04.30
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    総合格闘技がもてはやされるのは日本の特殊な現象で、海外では、普通はなにかしら胡散臭い目でみられることが多い、日本独自の現象には、猪木の異種格闘技戦の影響が大きいというのが別の作者の「1976年のアントニオ猪木」の主張でしたが、力道山VS木村戦もその一因であることがよくわかりました。木村政彦の強さに関して、作者が述べていることに異論をはさむほどの知識はありませんが、牛島-木村-岩釣と続く師弟の努力研鑽に感心しました。師弟のそれぞれ結末にはどれも悲しい印象を受けました。

    1
    投稿日: 2013.04.30
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    プロローグから一気に持っていかれた。 戦争がなかったら、力道山が刺されていなかったら、、、幾つもの'If'に思いを馳せずにはいられない。 18年かけてこれだけの大著を書き上げた著者およびその関係者に拍手を送りたい。 そして柔道界において木村政彦の名誉が回復することを只々願うばかりである。

    1
    投稿日: 2013.04.20
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    読み応えありました。 昨今の柔道界も性犯罪やら暴力事件やら助成金不正受給やら問題多発なので、柔道界の伝説的な人物を通して昭和初期からの柔道を知ろうと思って読んでみました。 木村氏の強さが浮き彫りになって、創造していた人物像より人間的な側面が見えて面白かったです。

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    投稿日: 2013.04.09
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    力道山に負けた最強の武道家木村政彦。最強の武道家はショートして行われるプロレスの試合で、力道山の卑怯な裏切りによって国民の前で叩きのめされる。言い訳はしない木村政彦の汚名をそそぎ、名誉を回復させる良い本だと思います。そして、その裏切り者の母国を相手にいま戦わなければいけない日本。自分が正義であっても、卑怯者の汚い手にやられないように気をつけなければいけない。

    0
    投稿日: 2013.03.08
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    前半は怪物・木村の半生、後半はプロレス勃興期に力道山vs木村に至った過程、真相、その後について。 「前半は木村の半生だからプロレス者にとっては退屈かも」と聞かされてたけど中々どうして、全てが面白かったです。 柔道やMMAの基礎知識があった方がより楽しめるかとは思いますが。 ただ、『昭和の巌流島』と呼ばれる力道山vs木村の一戦ですが、正直自分がYouTubeで見た限りでは今一つピンとこなかったです。 途中までは普通のプロレスですし、木村もタイツを直すくらいの余裕がある。 「力道山が木村の急所蹴りで切れた」ということですが、急所に入ったかの真偽は不明としても、その後の顔面パンチや寝ている状態での顔面蹴り、あの程度はプロレスなら普通にあります。 何より、今のMMAを見慣れた人には、それほど陰惨な光景には映らないかと。 筆者は木村を神格化するあまり、プロレスの本質を見失っているように感じました。 細かい用語の間違いなどもありますし。 ただ、柔道の歴史、プロレスの歴史、戦中戦後の時代背景描写、何よりこの時代を生き抜いた怪物たちの伝記としては、本当に面白かったです。 次は力道山側からこの一戦を記したものも読んでみたいです。

    1
    投稿日: 2013.03.04
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    柔道史上最強と詠われる鬼の木村政彦と力道山の昭和の巌流島決戦を中心に木村の歩んだ道が綴られている。 もう一方の主役力道山以外にも大山倍達、塩田剛三など伝説のあるいはマンガの主人公が話に絡む。 戦前の木村は柔道日本一をめざし激しい修行に明け暮れる。今の柔道より実践的で寝技、関節技以外に当て身、つまりパンチや蹴りもある総合格闘技に近いものだったようだ。足払い一発がとにかく痛いらしく得意技の大外刈りも切れが鋭く受け身がとれず失神者続出、とうとう練習では禁止になり又グレイシー柔術ではキムラロックと名付けられた腕がらみは立っても寝てもかけることができ、通常とは逆の左手を極めながら投げる一本背負いなどもあった。寝技でも下からの三角締めなど当時開発された技は多くレベルは非常に高かった。 師匠もすごい何せ名前が牛島辰熊だ。自らが果たせなかった天覧試合での優勝を弟子の木村に託す。また思想家でもあり東城英毅暗殺を試み、柔道が強くなること以外には興味がなく一方で師匠には逆らえず実行犯にさせられそうな木村がなんとか逃げ回っていたようでもある。 1日9時間の乱取り、うさぎ跳びで風呂に行き、腕立て1000回、巻き藁突き左右1000回、立ち木への打ち込み数千回が日課でとうとう木が枯れてしまい、眠る前にはイメトレまでこなすのが日課で、その結果畳の端を持ってあおいだり、100Kgのバーベルを腕の上を転がしたりとエピソードは満載だ。 また精神力もすごい、負けたら腹を切ると思い詰め実際に本当に切れるか確かめている。この結果日本選士権を3連覇し、戦争を挟んで15年間負けなしであった。 戦後は師匠の牛島の興したプロ柔道に参加するが客は入っても出る方が多く興行は行き詰まる。そのころ妻の結核の薬代を稼ぐためにハワイに渡りプロレスと出会った頃から運命が変わり始める。木村は師匠とは違い金があれば使いやりたい放題の悪ガキのままでもあった、簡単に金が入るプロレスについては勝負だとは考えていなかったようだ。 ブラジル遠征では伝説のエリオ・グレイシーとの一戦が行われた。会場は前年のワールドカップ地元開催の為にたてられたマラカナン。決勝でブラジルは悲劇の逆転負けを喫しており、ここで行われたブラジルの英雄との一戦はワールドカップの決勝と同じほどの熱狂ぶりだったらしい。 練習していなくても自力が違い過ぎ試合は一方的になる。ついてキムラロックでエリオの腕を折るがそれでもタップしないエリオにセコンドの兄が代わりにタップした。木村はエリオの執念をたたえ、エリオは後年この唯一の敗戦を生涯忘れられない屈辱であり誇りであると語っている。 一方の主役力道山も同時期にプロレスを始めている。実力もあったようだがそれ以上にスターにのし上がったのはプロレスというショーを理解し、またあらゆるものを利用したしたたかさにあるようだ。シャープ兄弟を呼びタッグに木村を口説き落としたが自分が主催者として木村に負け役を押し付けて行く。 金を稼ぐためにプロレスを受けた木村だが負け役が続くにつれ世間の評判が落ちて行くのに耐えられなかった。力道山に対して真剣勝負なら負けないと挑戦状を叩き付ける。しかしそれでもプロレスの範疇であり、力道山と同格の結果を出せればいいと思っていたらしい様子が見える。 第一回の日本選士権は引き分け、二回目は勝ちを譲るとの念書を出すが力道山はのらりくらりと自分は出さないまま契約が決まった。試合前トレーニングに精を出す力道山と酒ばかり飲んでいる木村。木村はいざとなれば寝技に持ち込めば勝てると思っていたようだがコンディションの差は大きい。途中まで八百長を信じていた木村に対しいきなり仕掛けた力道山。右ストレートがまともに入るがその後もまともにガードせず一方的に打たれ続けた木村はKOされた。試合後も木村が八百長を持ちかけたと念書をマスコミに流す力道山。マスコミに叩かれる木村。リング内でも外でも木村は負けた。何があっても負けないと準備していた木村であれば油断はなかったろう。しかしプロレスは勝負と思わず準備を怠ったために負けたのだ。 怪我の見舞金という形で力道山と木村は手打ちをする。しかし写真撮影が終わると力道山は帰る木村を見送りにも来ない。この後木村は短刀を持って力道山をつけ狙うがそのうち恨みを抱えたまま田舎に帰り、この後の半生を苦しみ続けることになる。 木村は田舎に帰りその日暮らしを続けた後師匠の牛島に再度助けられ拓大にもどり指導者として日本一に導く。東京五輪ではヘーシンクに対抗できるのは当時47歳の木村しかいないという意見もあるほどで実際に練習に来たメダリストたちも寝技ではおもちゃにされていたらしい。 木村はまた自分の弟子として岩釣兼生を鍛え上げ日本選手権をとらせた。岩釣がプロレスにスカウトされた際には馬場との真剣勝負を条件にしたが結果としてその復讐劇が実現することはなかった。 この本の最後のエピソードはこの連載が終わる前に亡くなった岩釣から託されたものだった。昭和50年代地下格闘技大会が開かれチャンピオンとなったのは岩釣だった。誰も知ることのない世界で木村の柔道が強いことを証明したのだ。

    1
    投稿日: 2013.02.19
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    このレビューはネタバレを含みます。

    重厚ノンフィクション。 人の3倍努力をする。 基本が体に染みつくまで、何万回でも練習する。 目指しているものについて、常に考える。 心も体も、目指しているものそのものになる。 そのものに取り組んでいる他の誰よりも、そのものに接し、愛し、尊び、極める。 姿形のないそのものを体現した唯一無二の存在になる。

    1
    投稿日: 2013.02.18
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    撃つ、投げる、極める、落とす。 参ったと言わせるか、失神、戦闘不能になるまで、戦う。 有効も効果もない、判定勝ちもない。 「東京には参ったは無しだ。」 「最初に持ったところを躊躇なく折れ。」 いつの時代、どこの修羅の国の話かと思ったら、ついこの間の日本でした。

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    投稿日: 2013.02.17
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    たった今、深い感動とともに読了。ハードカバーで700ページの大部ですが、仕事の合間に10日間ぐらいで読みました。ページを繰る手が止まらないとはこのことです。 牛島と木村、さらには木村と岩釣の師弟愛、木村の群を抜いた強さ、圧倒的な練習量、そして木村が力道山戦の敗戦にどれだけショックを受けて後半生を過ごしたか…。 それらが綿密な取材で紡ぎだされ、何度も心を打ちました。 今までに読んだノンフィクションでは最高の傑作です。打ちのめされます。 ちなみに本書を読んでいる間、ユーチューブで4度も木村VS力道山戦を観ました。 あまりにも壮絶です。一時期、総合格闘技に夢中になった私が観ても、その最後のセメントぶりには肝を冷やします。 それから、これは自分でも不思議なのですが、読み進めながら視聴するたび、この試合から受ける印象が変わっていきました。 初めは力道山への憎しみばかりが沸きましたが、本書の終盤になって改めて観ると、力道山への同情のようなものが芽生えてきたのですね。 こういう読書体験はもちろん初めてでした。 それからラスト689ページ。感動で胸が震えました。木村政彦を心の底から称賛したい―。そんな気持ちになりました。 格闘技は全く興味がないという人にもお勧めしたいですし、多少興味があるという人は読むべきだと思いますし、大好きだという人はゆめゆめ読み忘れることのないよう、切に、切に、切に願うものであります。

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    投稿日: 2013.02.16
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    まずはじめに、木村政彦とはいったいどんな人物なのか? 「木村の前に木村無し、木村のあとに木村無し」と言われ、歴史上最強の柔道家という評価を受ける人物であるというのが本書の冒頭で説明されます。 で、まずそれを読みすすめ、木村政彦の経歴や強さの伝説、人物の魅力などを知るうちに、なぜ私は木村政彦の名前を今まで知らずに格闘技を見てきたのか?という疑問が湧きあがります。なぜテレビや一般のメディアではそれらのことを知ることができないのか。 そんな木村政彦の強さの秘密、そしてなぜ木村政彦という名前はメディアから消され、格闘技史上でも存在感のないものとされてしまったのか、それらのいわば「謎」に好奇心がぐいぐい湧き起こされます。 さらに本書の凄いところは、そんな一人の人物史に収まらないところです。 ノンフィクションであり、木村政彦という人物がどのような収束を迎えるかは冒頭である程度分かってしまいます。しかし、それでも圧倒的な取材量による膨大なデーターを背景とし、戦前の柔道の歴史も踏まえた数えきれないエピソードのすべてが凄まじい。 木村政彦という人物はどのような環境で生まれ育ち、どのような時代に生きたからこそ最強の柔道家になれたのか。その歴史は日本の戦前戦後の国家としての歴史、柔道という格闘技がオリンピック競技になるほどの「スポーツ」として世界的にメジャーなものへと変わっていった歴史、プロレスという新たな娯楽に熱狂した戦後日本の国民性、そういった時代の移り変わりに翻弄されてしまったことが、膨大な資料や取材による事実として飛び込んできます。本書を読んでみれば現在われわれが目にしている日本の格闘技というものの歴史は上手く勝ち残れたものが作り上げることに成功したハリボテようなものであり、その狭間に埋もれていった真の強者と呼べるような人たちがたくさんいたということ、そして日本の格闘技、柔道の歴史がいかに閉鎖的で虚構に満ちているか、評価されるべきことが埋もれてしまっているというのが次々と明るみにされます。 そして木村政彦自身とその周りの人物たちの魅力もまた凄まじい。木村政彦と師である牛島辰熊との読んでいるだけでめまいがしそうな特訓の様子、三倍努力三倍練習の凄まじさ、そしてそれが現在で言えば大学生の頃だったということでさらに驚かされます。木村政彦と牛島辰熊という人物の魅力、ただの取材データだけでなく著者の作家としての視点が炸裂してもう完全にショートショートとして成り立ってしまうような破天荒エピソード。プロ柔道、海外での戦い、プロレスの日本輸入などの歴史、どれを読んでも面白すぎて本当にページを手繰る手がもどかしい。 そして最後に向かうにつれ、今度は逆に終わってしまうのが本当に惜しくなってしまう。残り少なくなった木村政彦の生涯、岩釣兼生という自身の分身ともいえる弟子を育て、岩釣の全日本選手権を制覇も達成する。それら晩年のエピソードをひとつひとつ消化して迎えるラストは、もう涙で読めなくなるくらい激しく心を揺さぶられます。 自分が今まで作り上げていた柔道やプロレスなどの格闘技だけでなく、昭和という時代への既視感、頭に思い描いていたイメージをいったん更地に戻して作り直してくれます。知っていることに知らなかったことがたくさん入り込んできて瓦解してそれでも飲み込みたくなる読書。 とにかく、格闘技がちょっとでも好きなら読め、好きじゃなくても自分自身の先入観や既成概念が一から作り直されるような特別な読書を経験したいなら何も言わず読め、と言いたくなるような素晴らしい本です。

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    投稿日: 2013.02.14
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    木村政彦という不世出の柔道家の壮絶な一生を読むことができた。タイトルが際物っぽいが、素晴らしいノンフィクションだ。プロレスは武道ではなく芸能であることがはっきりと書かれている。その芸能で稼ぐことにより愛妻の病の薬を買い続ける木村の姿が琴線に触れる。力道山はつまらぬ男である。

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    投稿日: 2013.01.18
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    雑誌で読んで、単行本でも読んだ。雑誌で書いてあった数々の破天荒なエピソードが一部削られてるのが残念。 とにかく面白いし、柔道&柔術、その他格闘技の歴史がよくわかる。 空手をやってる親にあげたら喜んで読んで、ほかの道場生にあげてしまった。 この本の著者が木村は力道山に負けたって断言するのは、もう圧倒的に柔道&柔術の強さが総合格闘技の世界で証明されたからであって、格闘技に詳しくない人が額面通りに捉えてはいけない。

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    投稿日: 2013.01.11
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「木村の前に木村なく、木村の後に木村なし」と言われた不世出の柔道家の生涯。力道山に負けたプロレス試合は、力道山によるブック(台本)破りの騙し討ちとしつつも、木村政彦が負けたと言い切っている。前半生の柔道に打ち込む姿は妥協がなく「鬼」の名にふさわしい。その分、力道山との試合での準備不足が残念に思われた。 戦前戦後の柔道についても詳述されている。柔道界での講道館の一人勝ち状態を、実践の勝利というよりむしろ嘉納治五郎による言説の勝利と紹介されているのが興味深い。一般に流布される歴史は勝者によって書かれるものだ、とつくづく認識させられる。起きた事象は勝者に都合よく解釈され、勝者に都合の悪いことは無かったことにされる。矛盾を取り繕うために創始者の思想さえねじ曲げて継承され、結果として自家撞着に陥り、現代にまで混乱をもたらす。

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    投稿日: 2013.01.04
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    友だちから「絶対読め」と貸された本。分厚くしかも二段組のため、文章自体は上手く咀嚼しなくてもスラスラと読めたが、読み切るのに四ヶ月かかり読了。 木村政彦のような超人が世間から屠られていく様が物哀しい。 マスコミが絶対に取り扱わない裏の戦後史としても読み応えあり過ぎの一冊。

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    投稿日: 2012.12.13
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    すごいです。 プロレスも柔道もまったく知識はありませんが、楽しめます。 作者の柔道に対する思い入れがもの凄く伝わってきます。 ネットで試合の動画も見ました。しかし、私が一番興味を持ったのは、前三角絞めと袖車絞めの講習動画でした。今度、甥っ子にでも試してみたいです。

    2
    投稿日: 2012.11.19
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    題名からは察する事の出来ない日本武道の生い立ちなどの歴史を 垣間見ることが出来ました。自分も少なからず武道を習った経験があり、 現代の武道の教え方について疑問を感じることが多々あったけど、 この本を読んで、武道とはなにかを少しだけ理解できたように思いました。 「姿三四郎」で講道館には良いイメージがありましたが、知られたくない 歴史を隠し繁栄しているなんて、なんだか今のダメ政党と同じように思え ました。多くの日本人は柔道や講道館を誤認していることもわかりました。 師匠を裏切った後、再開するシーンは筆者もネタに困ったのか、感情表現 もなく、他の内容が分厚い分だけにあまりに薄く感じた。 とても大きなシーンになる部分だと思っていただけに残念。

    2
    投稿日: 2012.10.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    圧倒的な取材の量。 まず著者に拍手。 そしてその姿勢は公平な立場に立とうという決意を感じさせる。 「国民的」英雄とされていた力道山が 俗にいう在日、であったことが公然の事実となったのは いつのことだろう。 少なくとも1990年代初頭は、お付きの人の後日談として 「ハングルが話せるので、半島出身かもしれないと思った」 と語っていたほど、ぼかしたミステリーのようになっていたはず。 当時の興行と裏社会とのつながりも描かれていて、 大変興味深い。 さて、公平に努めようとしてはいるが 「真剣勝負なら文句なく木村」という前提に立ち過ぎて、 「木村がだまされた」と結論づけたい願望がみえてしまう。 某動画サイトで、件の試合のダイジェストを観てみた。 試合内容については、本の中の記述の通りだが、 何より気になるのが力道山と比べて 全く張りのない木村の身体。 放蕩三昧で、 「真剣勝負なら必ず勝つ」と世間に触れてまわり、 試合の最後の部分だけシナリオ通りでなかったというだけで 「謀られた」というのは 共感を持つことが難しい。 大変印象深いエピソードで この本は幕を閉じる。

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    投稿日: 2012.10.17