
総合評価
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スパイ小説と法廷モノの融合
1巻や2巻で見られた意想外な展開は特にない。 順当な続編なので当たり前と言えば当たり前なのだが、作品世界が万華鏡のように変わっていった前巻までの味わいが感じられないのはやはり寂しい。 暗殺という非常手段に打って出るまでの覚悟があるのなら、何故にリスベットを生かして裁判に望ませるのか意味がよくわからないというのと、ジャーナリスト殺害の第一容疑者で逃亡中のニーダーマンの消息や追跡情報がパッタリと止むのも、その後の手筋がありありと読め過ぎてしまい、ちょっと興ざめさせられた部分。 各章のアマゾネスの引用も、女の強さを歴史的に強調させんがためとわかると、あざと過ぎて逆につまらなく感じた。 作者はいろいろなジャンルをこれだけ見事に書き分けられるのに、なぜか印象的な引用を付すことは苦労しているように思える。 シリーズを通して読むと、著者がどのような意図を持って書き上げたかがよくわかる。 サイコホラーやコンゲーム、社会派・警察小説にスパイ小説、そしてリーガルサスペンス。 ジャンルの異なるエンターテイメントの様々な要素をミックスすること、そして大団円の後に必ずもう一山を持ってくることだ。 すべては読者を愉しませたいと思いからだろうが、底流にはジャーナリスト的な弱者へのまなざしや、女だからと見縊り侮っていた男たちへの復讐、そして彼らの無様な醜態を晒して現実に風穴を開けたいと強い願望が滲み出ている。 班の解体や裁判での逆的劇はどちらも敵失とも言ってよいほどあっけないものだったが、最後のニーダーマンとの対決は良かった。 巨体だわ、怪力だわ、しかも先天的な無痛症のため、どんな攻撃もノーダメージで払いのけるってほとんど無敵の恐ろしさなのだが、幽霊に怯え、素っ頓狂でガキのような高い声の持ち主。 キャラクター造形がうま過ぎるにもほどがあるが、こんな怪物に閉じ込められたリスベットが最後に臨む一対一の対決ほど、シリーズ全体のフィナーレに相応しいクライマックスもないだろう。
0投稿日: 2024.05.27ついに3部作完結
【上巻】公安、スパイ、リスベットへの陰謀、ありとあらゆる汚さが露見する。一般市民にとってスパイなど絵空事と感じるが規模の小さい陰謀は会社という組織のなかで起こっているのではないか。偶然に掴んだ新聞社のスキャンダルは笑えないものがあった。リスベットの裁判など具体的な動きは下巻でとなるがスウェーデンの歴史や政治など考えさせられることが多かった。唯一の救いは政府が報道に介入しないと言い切っていることである。北海道開拓団「屯田兵」は北方警備の意味合いで「兵」という字がついていた。これもロシアを意識してのことだったのか… 【下巻】段々面白くなったが第1部の離島+狂った実業家一族という北欧版「八つ墓村」の雰囲気も良かった。全体通して「権力乱用して1人の人間を排除(虐待)するVSハッキングすれば何でも出来る」の対立であった。最後まで複数の女性と交際するミカエルだが常に相手を1人の人間として見ている点で魅力的だった。男女差別、DVなどが本シリーズの重要なテーマだがポイントはまさに「人を人としてみているかどうか」という一点ではないだろうか。著者がジャーナリストだったからなのか報道に関する倫理観もしっかりしていた
0投稿日: 2019.01.23「ミレニアム」を読み続ける幸せな時間、ここで打ち止め
1作目がクライムサスペンス、2作目が国際政治サスペンス、で、3作目は法廷劇。ストーリー上は3作がつながっているのに、見せるシーンや事件の側面が変化していくのが、『ミレニアム』のすごいところだと思う。 ストーリーの中では、あらゆる組織、人間関係で、有能な女性、かつ女性ゆえに苦しみながらも、自分に忠実な選択をしている女性が登場する。リスベットはもちろんのこと、1作目のハリエット、2作目のソーニャ・ムーディグ、3作目のミカエルの妹が象徴的。それ以外に、「ミレニアム」編集部にも公安にもミルトンにも、要所要所で優秀な女性が出てくる。「『ミレニアム』3部作のテーマは、女性を嫌いな男性と男性に苦しめられる女性だ」というような指摘をあとがきで読んだけれど、著者のスティーグ・ラーソンがなぜここまでこの視点にこだわったのか。本人に聞いてみたかった。(内縁の)妻であるエヴァ・ガブリエルソンも知的で優秀な、戦う女性だっていうのが少なからず影響しているとは思うけれど、確認はできない。残念なことです。 ああ、それにしても。 これで「ミレニアム」を読み続ける幸せな時間はいったん終わり。つくづく著者の早世が悔やまれてならない。エヴァ・ガブリエルソンによると4作目はリスベットが「自由に生きることを学ぶ本」だったらしい(http://www.rue89japon.com/?p=4597)。タイトルは『神の復讐』。はあ~、読みたかった…。
0投稿日: 2014.04.29ドラゴン・タトゥーの女で読むのを止めている方はぜひ先を読んで欲しい、後悔しませんから
ミレニアム最終巻を読んで今思うことは、もっとこの作品世界に浸っていたいと想うこと、ミカエルやリスベットに新たな冒険に出てもらいたいと純粋に願うことだ。しかし作者のラーソンが亡くなっている以上その願いは叶えられることはなく非常に残念だ。小説を読んで久々にまだ終わってくれるな、もっと先を読ましてくれと切望した。久々に物語が持つドキドキ感・ワクワク感を体感した。本作と同時期に生きてリアルタイムで読めたことに感謝!
2投稿日: 2013.10.17スウェーデン発大河ミステリ第3弾!
第2部で瀕死の重傷を負ったリスベットは病院に収容され、治療を受ける。一方で国家機密を保持しようとする勢力が暗躍し、リスベットを再び精神病院へ送り、二度と出てこれなくしようと画策する。ミカエルはこの勢力を暴き、粉砕すべく奔走する。やがて、殺人未遂ほかの罪で起訴されたリスベットの裁判が開廷する。 第3部は冒頭からすごいスピードで展開する。第1部のようなゆっくりとした導入部はなく、第2部の終盤の勢いそのままに、しかしさらに新たな要素が加わって大きなうねりとなっていく。本作のクライマックスであるリスベットの裁判シーンでは、完膚無きまでに相手を粉砕するための周到なやりとりが爽快である。 本作でこれまで提示されたほぼすべての謎が解決され、三部作は見事大団円を迎える。しかし、作者のPCには第4部、さらには第5部の一部の原稿も保存されていたらしい。作者の親族と作者のパートナーとの間でもめており、決着はまだ着きそうにないが、出来うるならば早期に和解して、続編の出版に道筋をつけてもらいたい。
1投稿日: 2013.10.10最終巻?
映画は3部まで観たが続きは? 原作読んで落ち着くか 4部の途中まで執筆済みといわれているが。。
0投稿日: 2013.09.30逆転がすごいです
長い本ですが、長さを感じさせない内容です。あっという間の3部作です。著者も続きを書きたかったことでしょう。亡くなってしまい、残念です。
0投稿日: 2013.09.24第2巻と第3巻はセットでお読みください
第1巻は1巻で完結していますが、第2巻を読んだら、直ぐに第3巻を読みたくなるというか、ほぼ続きなので、同時に購入することをお勧めします。 面白かったですよ、単純に。作家さんが亡くなり、続編が読めないのが残念です。
1投稿日: 2013.09.24
