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ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上・下合本版)
ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上・下合本版)
スティーグ・ラーソン、ヘレンハルメ美穂、岩澤雅利/早川書房
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総合評価

13件)
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  • 男女共作、ジャーナリストのスウェーデンもの

    スウェーデン・ミステリーと言えばマイ・シューヴァルとペール・ヴァールーによるマルティン・ベック警部もの。 全10冊のシリーズを高見浩訳で通して読むほど好きだったが、あちらも著者はジャーナリスト出身でおしどり夫婦だった。 本書の著者も正式な結婚はしていないがパートナーの女性との共同執筆で、ジャーナリスト。 しかも全10部の構想を持っていたらしい。 共通点が嬉しくなり読み終えた第一印象は、全然古びていないなということ。 20年前の小説で、作品に出てくるPCはiBookだったり、メールもEudoraと時代を感じさせる。 おまけに発売されるや世界的なベストセラーとなって映画化もされたので、その後に数多くの模倣者を生んで、斬新だったアイデアや設定も踏襲されまくっているだろうと思われたが、いま読んでもすこぶる新鮮。 それが驚きだった。 40年前の過去の事件を再び調べるのに、これまでであれば関係者から話を聞いたり、残された日記や手紙などの探索を手かがりに、詳細を再現していくというのが一般的だった。 それが本作では、失踪日に焦点を絞り、その当日に撮られたたくさんの写真を手がかりにしているのだ。 新聞記者が撮ったものから一般人が撮影したものまで、それら無数の写真を時系列に並べ、失踪時間帯の時間経過からアリバイの立証、さらには失踪者の感情の変化までをありありと浮かび上がらせることに成功している。 観光地とはいえ、辺鄙な片田舎で、しかも住民の少ない島を舞台にしているのに、そんな都合良く写真が集まるかよっていうツッコミを見事にいなす仕掛けを作者は考ちゃんと用意している。 すなわち、その町の年に一度のフェスティバルと一族全員が集まる会議、そして偶然にも起こった島を結ぶ唯一の橋で起こったタンクローリーの事故をその一日に重ねることで、救出作業を撮る新聞社のカメラマンや旅行者の写真のサルベージに不自然さはなくなり、かつ島を密室状態にもするという鮮やかさ。 もちろん意図して映した写真ではないから鮮明さに欠け、決定的な新証拠が発見されるわけではないが、過去の事件を蘇らせる手法として斬新だなと感心した。 その後の展開では、「えっ、もう犯人と対決しゃちゃうの」っていう早過ぎるクライマックスにもやっぱり驚かされた。 あと残りこんなにもページあるのに、どう物語の結末をつけるのか、と。 そしたらああいう展開で、まさかトマス・ハリスばりのサイコ・ミステリーの後に、ジェフリー・アーチャーばりのコン・ゲームが待っているとは思わなかった。

    0
    投稿日: 2024.03.28
  • 北欧版「八つ墓村」である

    かなり流行に乗り遅れて3部作の第1部を読了。スウェーデンの夏と冬のコントラストは道産子にお馴染みの光景である。そのせいか登場人物が多いわりに読みやすかった。田舎の小さな集落で濃厚な人間関係から起きる息苦しさにも既視感がある。絆という言葉がもてはやされる時代だが絆は時として人々の首を絞め窒息させるのだ。物語の柱は2つ。雑誌ミレニアムの責任者ミカエルが有罪となった名誉毀損事件の巻き返し。それともう一つは大実業家一族の秘密に迫る北欧版「八つ墓村」である。長くつ下のピッピのような調査員リスベットの存在感は凄い。

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    投稿日: 2019.01.23
  • 2004年、50歳で亡くなった著者の遺作にして最高傑作。

    全世界でシリーズ総計6000万部以上を売り上げるモンスター級のミステリー小説。 実業家の不正を暴いた、雑誌「ミレニアム」の編集者ミカエルは、名誉毀損で有罪となり一線から退くこととなります。同時期、とある大企業の元会長から40年前の兄の孫娘の失踪事件調査を依頼され、解決すれば実業家が破滅するほどの秘密を教えてくれるという。 調査から浮かび上がる一族の過去と愛と復讐のミステリー。“ドラゴン・タトゥーの女”は、本作品を原作に2011年に公開された、デヴィッド・フィンチャー監督による映画の中でも、強烈なインパクトを放っています。

    6
    投稿日: 2013.12.27
  • ミステリーだけでなくリベンジもあります。

    北欧には、オーロラやサンタクロースなど清々しく、人の心を和ませる国々というイメージを持っていたのですが、住んでいる人間の心の闇は同じなんだと思うと少し切なくなりました。 暴力的なシーンが出てくるので、重たい雰囲気はありますが、引き込まれます。 リスベットの心が癒される日を楽しみに次を読んでみたいと思いました。

    4
    投稿日: 2013.12.20
  • 主人公のキャラ設定にひとひねりあり

    全世界でベストセラーだそうですが、主人公コンビのキャラクターがやっぱり魅力的だからでしょうか。あとは奇をてらったところのないオーソドックスなミステリだと思います。この手のシリーズものは長くつきあうことによる楽しみや味わいがあるものですが、作者急逝で3巻までになってしまったのは残念。 スウェーデン人の登場人物名をおぼえるのに少し苦労しましたが、そういうときに電子書籍の検索機能がけっこう役に立ちました。「あれ、この人だれだったっけ?」がすぐに検索で分かります。

    1
    投稿日: 2013.12.13
  • 北欧ミステリの火付け役

    ハリウッド映画化も話題になった、スウェーデン発大河ミステリの第1部。 文庫化にあわせて発売された電子書籍版が上下合冊で安価だったので、購入して読んでみた。確かに冒頭から中盤あたりまでの人間関係を延々と探る描写は一面、長いなあと思わせるものではあるが、遅々とではあるものの物語が進展し、やがて一つの手がかりを見つけたあたりから徐々に加速して終盤のたたみかけるような流れは圧巻である。 しかも、ある面では解決したと思っていた物語が実は振り出しに戻っただけであったり、大きなどんでん返しが用意されていたり、それがきちんと整然と、ピースがはまるべく片付けられていく様子はミステリならでは。 所々強引に話が進んでいるように感じる部分がないわけではないが、デビュー作でこれだけの完成度はすごい。惜しむらくは作者スティーグ・ラーソン氏はすでに鬼籍に入っていること。禁句ではあるが、もし生きていたらこの3部作以外にどんな作品を書いていただろうかと思ってしまう。

    4
    投稿日: 2013.10.10
  • 映画を観たあとでもすごく楽しめました!!

    私は本作のハリウッド版を観てはまってしまい、 電子書籍を購入したのですが、 やはり原作は内容もさることながら、 推理、憶測などの登場人物の心理描写がたくみに描かれている。 映画ではほとんど描かれなかった、 リスベットのミルトンセキュリティーでの入社からの経緯や、 ヴェンネルストレムとの裁判の前話などがあり、 映画が多くの内容を削って作られたものであるとわかったので、 映画が気に入った方は読まないともったいないです! ページ数は多めですが、内容がおもしろいので気にならないかと。 オススメです!

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    投稿日: 2013.10.06
  • 舞台は北欧、丁寧に書かれたミステリー&サスペンス

    映画化されている原作はなんとなく避けていたのですが、海外旅行に行くときの移動中に読むために買ってみました。 読み始めたら止まらない面白さでした。 主人公は、自由人の編集者。知的で、クールで、それでいて情にあつくて、女性に優しく、優しさゆえに傷つける。 ストーリーは、社会問題をベースに、伏線も丁寧に書かれていて、ミステリーとしてサスペンスとして、飽きさせずに楽しめます。 舞台が北欧というのも、ミステリアスな雰囲気を助長しています。 暴力的なシーンもありますが、活字で表現されているので、想像力の調整して読み切りました。あまりにリアルな映像を思い浮かべるとやるせないので。

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    投稿日: 2013.09.28
  • 主人公がだんだんいとおしくなってきます。

    主人公か目が話せなくなり、一気に読んでしまいました。

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    投稿日: 2013.09.27
  • スウェーデンのすばらしいミステリー

    『ミレニアム』のジャーナリスト ミカエルは、ひょんなことからヴァンゲル財閥の会長の孫娘の 40年前の失踪事件を調査することになる。 調査を進めるうちに、ヴァンゲル財閥の闇の部分が明らかになる。ストーリー展開、謎解き等全てにおいて秀逸。ミカエルの助手であるドラゴンタトゥーの女リスベットが 個性的で大ファンになった。

    2
    投稿日: 2013.09.25
  • 読んで損なし!

    映画を観た人にもオススメ。ドキドキしながら一気読みです。

    0
    投稿日: 2013.09.24
  • 一気に読みました

    映画化されたけれど、原作を読みたくて買いました。読み始めたら、引き込まれ、あっという間に読んでしまい、続きを早く読みたくなりました。とても面白い本です。著者が亡くなったのが残念です。

    1
    投稿日: 2013.09.24
  • 世界の傑作、間違いなく面白い!

    さすがに世界中でヒットした傑作です。本当に面白い!北欧が舞台なので人や地域の名前が覚えづらく、導入部は少しガマンして読みました。文化も違いもあるので、少し取っ付きにくさもありましたが、物語の中盤から終盤に掛けてはそんな事も気にならないほど没頭してしまい、一気に読んでしまいました。登場人物のキャラ設定も面白かったです。「ドラゴン・タトゥーの女」のような女性はきっといないでしょうけど、とてもミステリアスで魅力的です。

    0
    投稿日: 2013.09.24