
総合評価
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powered by ブクログ第104回芥川賞受賞作の表題作を含む3篇の短編集。 小川洋子さんは天才なんだな、と改めて実感。 妊娠カレンダー 評価5 姉の胎児を傷つけようとする密かな悪意。 純粋にしれ〜っとした文体で静かに描いていく。 怖い。しかし、日常はこういう恐怖が渦巻いている。 スポーツクラブのトレッドミルを速歩きしながら読了。 ドミトリィ 評価5 村上春樹さんからの影響を強く感じさせた。特に比喩の使い方とか。センスがキレキレで明確で力強くて、読み返してはため息が出てしまうような表現ばかりだ。 反面、ストーリーはモヤモヤしたまま。 先生や、美しい左指の彼や、完璧な肩甲骨のいとこがどうなってしまうのか。不思議な空白感が余韻で残る。これが良いんです、なんて(笑) 散歩の際立ち寄ったタリーズでソイラテを飲みながら読了。 夕暮れの給食室と雨のプール 評価4 私が出会った宗教の勧誘員にとって、学校の給食とプールは鬼門だった。追い詰められていた勧誘員を救ってくれたのは、家族から厄介者扱いされた酒浸りのおじいさんだった… 何事も定義しようとするとたちどころに、本当の姿を隠してしまう。 ビールを飲みながら読了。
35投稿日: 2021.02.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
タイトルの妊娠カレンダーは 登場人物たちに愛を感じなかった。 姉はただ妊娠は出来てしまったものとして そこに愛情がなく、いつも精神的に不安定。 義兄はいつも顔色を伺っているイメージ。 わたしは生まれてくる赤ん坊が破壊されていて欲しいと願っていそう。 グレープフルーツが胎児に良くないからこそ 毎日姉に与える。不気味… ドミトリイは疑問がとにかく残る 先生がなぜ両手と片足がないのか いとことなぜ会えなくなるのか シミだったのは果たして本当に蜂蜜だったのか 消えた学生はどうなってしまったのか いや〜な感じで終わります。 夕暮れと給食室と雨のプール あの親子は一体なんだったのか、、
1投稿日: 2021.02.10
powered by ブクログ小川洋子は独特の世界観の物語を描くなあ。妊娠というおめでたいことなのに、誰も喜んでいなくて全体的に不穏な空気。最後、妹が破壊された赤ん坊に会いに行く一文がメチャクチャ怖い。モヤモヤするが心に残る話。
1投稿日: 2021.02.09
powered by ブクログ神経衰弱がちなのに加えて妊娠で不安定になっている姉に従う妹。 姉を宥める義理の兄を妹は偽善者のような感じたり。 染色体に悪影響あるってわかってるグレープフルーツのジャムを姉に食べさせ続ける。 姉の通っているクリニックの先生との親密な、転移が起こってるとも見れるような関係。 お腹の中の子どもに対して何も感じない姉。 妹もあまり愛情を感じていない。 解説が面白かった。 赤ちゃん=自己とする夢判断に従えば、妹は赤ちゃん=自分に毒薬を与えることで苦しめようとしている。 ドミトリィ(片足しか存在しない寮長が運営する大学の近くの小さな寮のもとへ、主人公のいとこを住まわせる話)と夕暮れの給食室と雨のプール(宗教勧誘をする父と息子との話。プールがトラウマの父と主人公と犬)のほうが好きだった
1投稿日: 2021.02.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
"食べること"を目の前に突きつけられてハッとする場面が何度もあった。食べずには生きていけないが、その裏にある欲の生々しさや生命さえもがグロテスクに感じられる。 名前も知らない登場人物たちの話がスッと心に入ってきて不思議だった。束の間の交流なのにそこに人生が詰まっている気がした。 三編の中でも特に『ドミトリイ』の、時が止まっているかのような手触りが好み。不穏さが魅力的だった。
1投稿日: 2021.01.26
powered by ブクログ一文一文がとても丁寧で詩を読んでいるような不思議な感覚になりました。作者の才能なんだと思います。 後味もすっきりしないのですが、なんか満足させられた感がします。 久しぶりに文学を楽しんだ気持ちになりました。
1投稿日: 2020.10.17
powered by ブクログ「妊娠カレンダー」 「ドミトリィ」 「夕暮れの給食室と雨のプール」 の3つからなる短編集。 個人的には2番目の「ドミトリィ」が好き。 3番目の話もそうだけど、どことなく村上春樹を思わせる。
1投稿日: 2020.10.12
powered by ブクログ3篇収録。 全体的にとらえどころがない。 ぼんやりした印象。 表題作が一番よかったが、もっと悪意を感じたかった。
1投稿日: 2020.09.12
powered by ブクログ表題作を含めた3作品の短編集。 姉の妊娠を妹の立場から描いた表題作は、1991年第104回芥川賞受賞作。妊婦となった姉の体調の変化を妹の冷めた感情が読んでていてざわつかせる。 『ドミトリイ』は主人公が学生時代に住んでいた学生寮の話。主人公の従兄弟が大学入学で住まいを探して欲しいとのこと願いで自分の板寮を紹介する。従兄弟が入居後は、管理人である先生と主人公の不思議な交流がはじまる。これも恐怖感を感じる。 『夕暮れ給食室と雨のプール』は結婚を機に新しい町に越して来た主人公と、幼い男の子を連れた男性の宗教勧誘員の話。タイトルからして全く関連が見いだせない上に、普通ならあり得ない人との交流。 全体的に静かなモノクロームな世界を感じる。何かが欠けた気にさせながら、なぜか脈略のないモノに細かすぎる描写があったりと不思議な小説。 自分の読書人生では手にしたことのないジャンルだが、先日読んだ『一度は読んでおきたい現代の名短篇』にて『夕暮れ給食室と雨のプール』が紹介されていたのをキッカケに手にした本作。
3投稿日: 2020.08.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
姉の妊娠期間を妹の目線から書いたお話 基本的に妊娠中の姉の言うとおりに従い、邪魔にならないよう気を使う妹 たがなぜか赤ちゃんの染色体を傷つける可能性のある毒薬にまみれた輸入グレープフルーツと知りながら、妊娠中の姉に食べされる行為は、なんともいえない感情になった 妊娠に対する喜びの描写はなく、不安の方が多く描かれている 共感する部分もあり、読み終えてなんともすっきりしない変な気持ちも残った とにかく産まれた赤ちゃんが元気であることを願う
1投稿日: 2020.08.11
powered by ブクログ怖くはないけど少し座りが悪くて、綺麗なんだけど透明ではない、みたいな短編集。ドミトリイは、そっと読みたくなる。好きです。
1投稿日: 2020.07.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
いつの間にか勝手に大きくなっていって生まれてくる子ども。 自分のお腹を見て、これが自分の赤ん坊だとどうしてもうまく認識できないという姉。肉体的にも精神的にも不安定になっていき、つわりで物を食べられず匂いに過敏に反応する。そして(心配になるほど)どんどん痩せていく。 そうかと思えば、つわりの時期が終わると今度は今までの巻き返しかのごとく食いまくる姉。あっという間に太っていく。 姉が産んだ赤ん坊を主人公が会いに行くというところで終わったけど、まるで生まれてくる子どもが未知の生物みたいな表現をしてるのが怖い。もうなんていうか主人公がびっくりするぐらい捻くれてる。 表現の仕方といい考え方といい、なんじゃそら。でもそんなヤツいそうだから凄い。 過去の出来事や景色に関することに対してはやたらと瑞々しいというか、爽やかーに表現してるくせに、赤ん坊とか姉の精神や肉体の描写だけ生々しいから不気味。"破壊された姉の赤ん坊"というのは俊逸だと思う。破壊されているのがどちらかあやふやだから、取りようではその意味合いが全然違ってくる。 「破壊された姉」の赤ん坊なのか、姉の赤ん坊が「破壊」されているのか。 出産までの道のりで摩耗し精神的にも肉体的にも変化しまくった姉を破壊されたと表現したのか、姉を変えてしまった出産の結果(赤ん坊)を破壊したいという主人公の願望なのか。 主人公は姉が食べたいと言ったジャムを作る時、"農薬まみれのアメリカ産のグレープフルーツ"は染色体を傷つけるから身体に悪いって話をどこかで聞いていて、それを思い出しながらも姉に言われた通りジャムを作っている。延々と与え続けたジャムで主人公は姉の染色体を傷つけていると想像してもいるから、おそらく両方にかけているんだと思う。モヤモヤ感が最初から最後まで続く本だった。
1投稿日: 2020.06.17
powered by ブクログ短編でぞくっとしたのは初めてかもしれない。 姉の妊娠イコールhappyだけではすまない、妹の微妙な気持ち、ちょっとした嫉妬?憎悪でもない、子供の好奇心みたいな、なんかわかる微妙な、ちょっとした意地悪? グレープフルーツジャムは甘いが少しほろ苦い。その部分みたいな。
7投稿日: 2020.05.27
powered by ブクログ病は気からというように、毒も気から、といえるかもしれない。プラシーボ効果は時にマイナスに働く。影響するかもわからぬ甘い毒を丹精込めて煮詰めて、食らわす。毎日、少しずつ、少しずつ、蓄積されていく。生まれてきた子は、きっと他と変わらぬ健康な身体を持つのだろう。なんとなく、そう思った。そして、なんとなく、残念な気持ちになってしまった。
1投稿日: 2020.05.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
小川洋子は、文系出身だが、医大に勤務していたせいか、一貫して、理系に興味を示す。 『妊娠カレンダー』 正直、面白くない。
1投稿日: 2020.04.24
powered by ブクログ言葉の選び方がとても綺麗な作品。ひとつひとつの描写が静かで清潔な感じ。 登場人物の心理が深く書かれていないので、なぜこういった行動をしたのか、というのはあくまで読者の推測になる。妊娠カレンダーが1番面白かった。
1投稿日: 2020.03.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ずいぶん昔に読んだものの再読。 結婚して出産を経た今だと、このどろどろぐちゃぐちゃしたものに彩られた毎日の表現、姉の気持ちも妹の気持ちも非常になじむ。 私も妊娠中、自分がホルモンに支配された動物だということをよく考えていたし、毎週毎日胎児の成長を調べて記録していたし、それでも最後まで自分の赤ん坊というものをうまく理解できなかった。 最後は生まれた赤ん坊がどんな風か言及されないまま終わるけれど、どっちだっていいから書かれないのだと思う。妹は、結局姉にも義兄にも赤ん坊にも興味はない。ただ認識するだけという気がする。 私は、変わったところもない普通の赤ん坊が生まれていると思っているけど。 「ドミトリィ」「夕暮れの給食室と雨のプール」は、あんまり印象に残らなかったかも。 時間を塗りつぶすために手芸をするのは、共感する。
0投稿日: 2019.10.01
powered by ブクログ娘に赤ん坊ができた時、その妹のことを考えながら読んだ。妙に納得してしまった。ドミトリーも独身時代に住んで単身寮のイメージが重なって楽しめた!
0投稿日: 2019.07.17
powered by ブクログ20年近く前に、始めて読んだ小川洋子さんの本。 彼女の描く世界は、始めて出会うタイプのもので新鮮だった。 穏やかな明るい夕暮れの向こうにどんよりとした雲が薄っすらと見えるような、気のせい?くらいの不穏が漂う感じ。
9投稿日: 2019.05.18
powered by ブクログ中編3編。 3編とも、静かな文章。 淡々と描かれる文章の中で、食べ物に関する描写は、なまめましくてグロテスク。ある意味、ホラー。 私は影響されやすい性質で、他人が嫌いな食べ物についておぞましく語っているのを聞くと食べられなくなってしまうタイプなので、「それ以上言わないで~」と思いながら、食べ物の描写を読んでました。
0投稿日: 2019.04.26
powered by ブクログ妹が姉の妊娠から出産を見守り観察して綴った日記形式の短編。家族愛を感じるほのぼの系かと思いきや若干ホラー味を感じさせる不思議系でした。妹は姉を憎んでいるわけでもなく義兄も義兄の両親もいい人なのに、なぜ妹は猛毒の防カビ剤使用の危険な食品であるグレープフルーツをそうと知ってジャムを作り姉に食べさせ続けたのか?姉のグレープフルーツの食べ方も異常。マタニティブルーというのは本来妊婦本人がかかるものだがひょっとして妹は姉と共に暮らしながらそれにかかってしまったのだろうか?と思えるほどに不安定感、不安感に溢れていました。得体の知れない不気味さはなんとなく、その昔見た映画『ローズマリーの赤ちゃん』を彷彿とさせました。赤ん坊がどのような姿で生まれたのか見せないで終わってるところがいいかも。案外普通の姿で生まれているかもしれないですね。 『 ドミトリイ』『夕暮れの給食室と雨のプール』も独特の謎めいた不安感や孤独感が漂っていてなかなか良かったです。
2投稿日: 2019.04.18
powered by ブクログあまりにも美しい言葉に頭を殴られたような衝撃を受けた。 かの有名な純文学の賞を受賞した作品とあって、純文学らしく大きな事件が起こるわけではない。不思議な謎もない。 でも、日常のちょっとした出来事が美しい言葉で彩られたらその瞬間から物語になる。 それは、鍋で煮込むジャムだったり、古びた宿舎で食べるケーキだったり、犬の散歩だったりと本当に些細な事であるが、読み終えたときにはそんな日常の美しさが眩しい。
2投稿日: 2018.12.23
powered by ブクログ妊娠カレンダー、読んでみたくて。 小川洋子さんの作品は「博士の数式」以来で、なぜかレビュー漏れで当時それを読んで何を思ったか書き残されてはないんだけど、感動したんだったような。 「妊娠カレンダー」や「ドミトリイ」に関しては、一言不気味であった。 言葉はつらつら連ねるとその対象をどのようにも昇華させることはできるが、その対象に対する人間の言動というのは嘘や誤魔化しがきかず、その言動をこと細やかに観察していくと小川洋子さんのような小説が出来上がるのかな。 そういった見方をすると、彼女は理系の方なのかしら。
0投稿日: 2018.09.27
powered by ブクログ淡々と恐ろしいお話。 タイトル的にもっとハッピーな感じだと思ってたから、思わぬ誤算!笑笑 1回目の読了後はそんなに響かず、なんかあんま合わないかもなぁー?と思ってたけど、サラッと2回目を読んでみるとなんだかジワジワきた。 不思議な魅力があるなぁー。 グレープフルーツのジャムが今後毒にしか見えなくなっちゃう。。 姉の食べている時の描写が、目の前で見てるみたいな気持ちになり、とても病的な感じがして目を離せなくなる。 ドミトリィはその風景や色味がぐわっと想像できる作品。 色味を感じられる。 とても、綺麗。
0投稿日: 2018.07.07
powered by ブクログタイトルになった妊娠カレンダーも良かったが、併録されてるドミトリイも良かった。 手の無い寮監が何かしたのかと思いながらドキドキしながら読んだ。物語を通して感じる肌寒い感じが癖になりそう。
0投稿日: 2017.11.20
powered by ブクログ具象と心象、そんな言葉が浮かびます。 あらすじを書こうとしたのですが、どうも小川洋子さんの作品はストーリーを描いても、何も語れない様な気がします。大まかなストーリーはあったとしても、それはプロットを繋ぐための担体としての役割しか持っていないのではないかと・・・。 各々のプロットの表現力には凄さを感じます。それは奇妙な心象風景であったり、ストーリーとは関係無い著者の実生活の一部を切り取った具象らしきものだったりします。で、具象と心象。 しかし、まだ理解できません。そもそも理解しようとするのが間違いなのでしょうけど。
0投稿日: 2017.10.30
powered by ブクログ静かに、たんたんと流れるように話が紡がれていく。 妊娠カレンダー ドミトリィ 夕暮れの給食室と雨のプール どれもなんだか息苦しいようで 同時に澄んでいるようにも感じられる。 あんまりハッピーな感じではないです。
0投稿日: 2017.10.14
powered by ブクログタイトルからのイメージとのあまりのギャップに驚く。妊娠というと、とにかくめでたくてハッピーの塊、というイメージを180度覆すような、どんより重苦しい空気が始終漂っている。そして、こういう先入観こそが妊婦さんを苦しめているのかもしれないと思った。これも、妊娠のリアル。ハッピーだけじゃないよなあ、確かに。これはきつい。 妊娠した姉が、妊娠に伴う自身の体調やボディイメージの変化が受け入れられず苦しんで、家族に当たり散らし、周りにいる家族は静かにそれを受け止め、少し距離を置きながら眺めている様子が描かれている。 つわりはよくあることで、妊娠の受容がまだ出来ていない状態、とかそんなラベル分けは薄っぺらい。実は妊婦さんは表に出していないだけで多かれ少なかれこういう感情を持っているのではないかと思った。こういう気持ちを少しずつでも受容に向けていくのが助産師や家族の役割だと思う。この暗澹とした気持ちのまま生まれてしまった子どもは一体どうなるのだろうか。読後感はあまりよくないが、じわじわ考えさせられる。 クリニックの待合室に置けるかな、と思ってタイトル買いしたけれど微妙なところだ。個人的にはこういう本こそ置きたいと思うけれど。ああ私だけじゃないんだって、勇気が出る人がきっといるはず。妊婦さんの気持ちの代弁として家族にも読んでもらいたい。芥川賞受賞作品。 ———————— どうしてうちには、こんなににおいがあふれてるの。なんでもかんでも気持ち悪いにおいを振りまくの。——一つのにおいがアメーバみたいにどろっと広がって、別のにおいがそれを包み込んで膨張して、また別のにおいがそれに溶けていって、……もうきりがないわ。 においがどんなに恐ろしいものか分る?逃げられないのよ。容赦なくどんどんわたしを犯しにくるの。においのない場所へ行きたい。病院の無菌室みたいな所。そこで内蔵を全部引っ張り出して、つるつるになるまで真水で洗い流すの。 ———————— でももっと怖いのは、自分の赤ん坊に会わなきゃならないってこと。——ここで一人勝手にどんどん膨らんでいる生物が、自分の赤ん坊だってことが、どうしてもうまく理解できないの。抽象的で漠然としてて、だけど絶対的で逃げられない。 ああ、わたしは赤ん坊に出会うことを恐れているんだわって、自分で分るの。
0投稿日: 2017.10.08
powered by ブクログ作者の描く人物は人間として何処か欠落していて何処か切ないが。表題作に関しては、他の作品が欠落しまくりの人物だらけな感じなので物凄くフラットな神経の一般人にしか見えない(笑)
2投稿日: 2017.10.04
powered by ブクログ物事に対してちょっと不思議な、なんとなく近寄りがたい印象を持ったそれぞれの話の主人公が印象的だった。 3人とも同じ人なんじゃないかと思うくらい似ているような気がした。
0投稿日: 2017.09.28
powered by ブクログ久しぶりに。なんだか再読熱です。どのお話も、悪意とまではいかないものの、日常からかけ離れた不思議さを感じます。静かな違和感、でしょうか。ほとんど、「妊娠カレンダー」のことしか覚えていませんでしたが、いつでもすっと心に入ってきます。表題作のスーパーの描写は再読でもはっとして、「ドミトリイ」の、一人で暮らすことは何かをなくすことに似てる、という台詞も残りました。「夕暮れの給食室と雨のプール」も、たくさん機械的に人の食べ物を作る、というかすかな違和感を覚えます。タイトルもいいです。小川さんの物語は、初期の頃から小川ワールドだなと思います。ひっそりとしていて、好きです。
0投稿日: 2017.09.25
powered by ブクログ読みやすいとは思うのですが、ミステリー要素を含みドキドキして読み進めて、結果が曖昧というスッキリしない内容で総合的に見るとわたしはイマイチでした。三篇ともこの後はどうなったんだろう‥と気になるものでした。2017.6.18
0投稿日: 2017.06.19
powered by ブクログごめんなさい。私個人が純文学系が苦手な事を把握しないまま読んでしまいました。 感覚や感情の表現は素晴らしいと思いましたが、どれも終わり方に納得できず、星2つです。 読み手の想像力を働かせるような終わり方でした。 ハッキリとした結末がない。 世の中の、純文学に詳しい人からすると、星5つかもしれません。
4投稿日: 2017.06.09
powered by ブクログ出産を控えた姉に毒薬の染まったジャムを食べさせる妹…。妊娠をきっかけとした心理と生理のゆらぎを描く芥川賞受賞作「妊娠カレンダー」。謎に包まれた寂しい学生寮の物語「ドミトリイ」、小学校の給食室に魅せられた男の告白「夕暮れの給食室と雨のプール」。透きとおった悪夢のようにあざやかな三篇の小説。 --------------------------------- 「妊娠カレンダー」はいろいろ衝撃的だった。小川さんのは優しい作品しか知らなかったので特に。妹にただ悪意があるわけではなく、妊娠した姉自身やその夫にもおかしな所はあり、生活を共にする妹は姉が持っていた毒に染まっていったのではないかと思う。
0投稿日: 2017.04.20
powered by ブクログ3編の小説集。どれも仄暗く、どれも煮え切らない。「見えないものを描くことに小説の真実がある。」(あとがきを評者が意訳)のだから、分りやすい結末など迎えようがないということなのだろうか。描かれた「見えないもの」を色濃く持つ人は、よくぞ!となり、そうでない人にとっては読んだそばから忘れてしまいそうな作品。
0投稿日: 2017.03.04
powered by ブクログ妊娠カレンダー:ゆがみ、残酷さ。溜め込んで行く過程にゆがみが生まれる。 ドミートリー:大好きな作品。先生。孤独。性。他愛のない関係。 プールと給食室:プールは屈辱、給食室は見てはいけない食品加工。
0投稿日: 2017.01.02
powered by ブクログ小川洋子さんの初期の小説にして、芥川賞受賞作。 表題作プラス二つの物語の短編集。 妊娠した実の姉の十月十日の日々を、妹が淡々と綴るというシンプルな内容なのだけど、独特なぞっとする感じは、女性にしか描けない種類かもしれない。 ゆるやかな破壊。目に見えない“毒”の恐ろしさ。 私は妊娠を経験してはいないけれど、実の姉がすぐ傍で妊婦の日々を過ごしていた経験があるから、この小説に出てくるお姉さんの突拍子のない要求(夜中に枇杷ゼリーがどうしても食べたいと言いだすところとか)に振り回されるところなんかは、身に覚えがあると思った。 経験していないから完全には分からないものの、抑えきれないものがどうしようもなく溢れる瞬間があるのかも、と想像したり。 自分のなかに、自分ではない“イキモノ”がいるということ。もちろん母性から愛おしいと思うのだろうけど、最後まで違和感があるまま出産を迎える人だって中にはいるんじゃないかと思う。 そういう、普段口に出すのはタブーとされている側面を、小川さん特有の少し童話っぽい雰囲気で描いている。 残りの二作(「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」)も、静謐さの中にぞっとするような雰囲気が。 身体のことを描写しているところが静かで恐ろしいのかも。 「ドミトリイ」に出てくる“先生”には両手と片足がなくて、それなのに難なくお茶を淹れたり生活したりしている、そういうところに美しさと怖さが共存しているように思った。
4投稿日: 2016.10.11
powered by ブクログタイトルが有名すぎて読んだと思い込んでいた。 短編3つとも、いつも大切な誰かがいない。手紙が来たりとか、思い出を思い出したりとか、気配はあるのだけど、現実の生活だけが静かに続いて、そんな人いないんじゃないかという気持ちになる。いないのかもしれない。目の前にいない人は、いないのかもしれない。
3投稿日: 2016.08.18
powered by ブクログ人間の陰の部分というか、普段はひっそりと体のどこかに潜んでいる微妙な感情を描いた作品…なのかな。 3つの短編それぞれが、どこか不気味というか、ゾワッとするような感じのお話でした。 「妊娠カレンダー」姉の妊娠をどこか客観的な視線で見つめる妹の話。 意外と人はこんな感情を持て余しているのかもしれないなーと。 ストーリー性というより、人間の裏側に触れられる作品たちでした。
0投稿日: 2016.08.06
powered by ブクログ小川洋子さんの小説、博士の愛した…に続き2冊目のチャレンジ。短編集でしたが、どの話も好きでした。妊娠カレンダーの姉との距離感はとっても腑に落ちて、私と似てるのかなぁと思うぐらいでした。今の時期、仕事を辞めて他人との関係が希薄になっていることに不安を覚えていたのが、この家族のあり方に慰められたようなところもあった。それぞれで良いのだ、きっと。 ドミトリーの怖さも好き。どれも少し現実離れした話でありながら、リアルな感覚で描かれていて私は好きだなぁ。
2投稿日: 2016.06.27
powered by ブクログ表題作を含む3つの短編集。 姉夫婦と同居している主人公。姉の妊娠発覚から出産までを日記っぽく綴る。冷めた視点で姉を観察しつつ、こっそりと悪意を姉に食べさせていく。だからと言って何かが起こるわけではないが、きっと誰しもがこの手の悪意には心当たりがあるんだと思う。
0投稿日: 2016.05.21
powered by ブクログ「ドミトリイ」の静かに静かに包み込むような、微かな恐怖が波紋のように心に広がって行きます。怖さの中に、何か心地よさが感じられるような不思議な感覚。
0投稿日: 2016.04.09
powered by ブクログ不思議なことに今まで読んでなかった小川洋子さん、芥川賞であれだけ話題になったのに読んでなかった「妊娠カレンダー」初読みです。 「妊娠カレンダー」を含む中編3編。 はっきりいえばよくわからなかった。 「妊娠カレンダー」はストーリーとしては面白かったが、他2編も含めて腹に落ちるというか、共鳴するところがなかったようだ。残念。 (図書館)
0投稿日: 2016.02.06
powered by ブクログ表題作を含む3つの短編集。 妊娠は周囲にとっては手放しで喜ばしい出来事であったとしても、当の本人は嬉しいの一言では片付けられない部分があります。我が子を宿した喜び以上に襲ってくる体の変化に対する不安。ちょっとしたことでイライラしたり、今まで普通に口にしていた食べ物から異臭を感じたり、つわりから一切の外出が苦痛になったり…そんな変化に周囲も振り回されていきます。 姉の妊娠をきっかけに生じる姉の変化や自身の冷静(冷徹?)な思いを妹目線で綴った表題作『妊娠カレンダー』。姉の妊娠を知ったものの喜びという感情はピンと来ないし、体を労わる言葉を掛けつつも特に中身はない…そんな毒づいた感情は私が思っている以上に現実的なのかもしれません。 「求めているのはわたし自身じゃないのよ。わたしの中の『妊娠』が求めているの」 「ここで一人勝手にどんどん膨らんでいる生物が、自分の赤ん坊だってことが、どうしてもうまく理解できないの。抽象的で漠然としてて、だけど絶対的で逃れられない」 姉の鋭いセリフも印象的です。小川洋子さんのあとがきも秀逸。 内容を全く知らずにほっこりな作品かと思っていましたが、これほどドロドロした感情が渦巻いていたとは。日常の静かな恐怖。
4投稿日: 2016.01.14
powered by ブクログ表題作がホラーチックだと聞き、購入。とても面白かった。 数年前に「博士の愛した数式」を読んで以来、小川洋子さんの著書を読んだことはなかったが、こんな作品もあるのかと驚いた。他の作品も是非読んでみたくなった。 短編集であるが、どの作品も、日常生活の片隅に隠れた非日常を垣間見る、そんな作品だった。 1.妊娠カレンダー 外出直前に慌てて読んだため、深く読めなかったのが残念に感じられるくらい、良い作品だった。 淡々とした筆致で、出産を控えた姉の不安定な情緒と主人公である妹の仄かな殺意(?)を描く。殺意と言えば、大袈裟で、あまり的を射ているとは思えない表現だが、語彙がないので仕方ない。 解説には「現実味を持って出産を考えられない若者」といったようなことが書いてあったが、そうかもしれない。そうではないかもしれない。 2.ドミトリイ どこか怪しげな学生寮とそこに住む寮長さんを描いた作品。 学生寮の荒廃っぷりがなんとも哀しげで面白かった。若い男性の身体に執着する寮長さんのキャラクターも怪しげで良かった。そんな寮と寮長さんを主人公は健気に信じているのだが、一人称小説なので読者としては信じられない。これらが結びつくと、寮に関する怪しげな噂の真実味も増して、ラストはハラハラさせられた。 3.夕暮れの給食室と雨のプール 新生活を控えた新婚の女性と怪しい宗教勧誘(?)の親子を描く。 大きなストーリーがないように感じられ、面白かったが、感想が書きにくい。細部を楽しむ類の小説に感じた。 夕暮れの給食室を眺めるという筋で、全体として物寂しい雰囲気を纏っていた。給食室やプールの授業や廃工場の描写は、なんだか寂しいような哀しいような気持ちにさせてくれた。 印象深かったが、何が良かったのか説明しにくい。
0投稿日: 2016.01.03
powered by ブクログ妊婦なので、題名につられて手にとってみた。 表題作を含め三編の短編で構成される。どれも平和な日常を綴っているようだけど、裏側にあるぞっとする瞬間がふわりと回転して出てくる。そのバランスが好きな作品です。
0投稿日: 2015.12.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
妹の悪意は姉にこれからも一生気付かれることなく、姉は元気な赤ちゃんを産んでこれから慈しみ育てるのだろう。 妹のグレープフルーツに隠された真意は、読者にしかわからない。なんだか共犯者になったみたいで、ぐつぐつ煮込まれた悪意を覗き込む話だった。 小川洋子の表現って、冷たい無機質なガラスみたいなものだから余計に怖いのかもな。 2015.11.15 ちがう!破壊された姉の赤ん坊って書いてあった!ぞわってきた!! 細部まで読まないとだめだ!!
0投稿日: 2015.11.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
わかんねえ… 芥川賞だなあ、としか… 2024.3.19 再読。 うおお、分かるぞ しつこいくらいの全面的な気持ち悪さを一字一句から感じ取ることができるぞ 私、昔より着実に感受性は豊かになってると思う あんなに何を伝えたいのか分からなかった本が、分かるというか、自分なりに感じることができるようになってる 妊娠、めっちゃ怖い 胎児の染色体は順調に増殖しているのだろうか、とか、でももっと怖いのは自分の赤ん坊に会わなきゃならないってこと、とか、ここで一人勝手にどんどん膨らんでいる生物が、自分の赤ん坊だってことが、どうしてもうまく理解できないの。抽象的で漠然としてて、だけど絶対的で逃げられない。とか、だけどすっかり目が覚めて、自分の身体を眺めてしまうともうだめ。たまらなく憂鬱になってしまう。とか、わたしの中から出てきたら、それはもう否応無しにわたしの子供になってしまうの。選ぶ自由なんてないのよ。顔半分が赤痣でも、指が全部くっついていても〜とか、分かりすぎる怖すぎる このしつこいまでの光景の細かい描き方が、 最初はうわ〜江國香織もそうだけど読んでらんねえんだよな〜と思うのにどんどん気持ち悪さを微細に想像させる手法にまんまとはまってる 友達が結婚して、それについて何か思うところがあるかと思って再読し始めたけど、全くそうゆう話ではなかったですね 小川洋子さん一体何歳だったんだろこの時 なんかでもやっぱりこのオチのないオチの必要のない社会性の必要のない感じ、執拗にこのたった一つの独特な感じを描き続ける感じ、それを鋭利に尖らせていく感じが芥川賞であり純文学だなって思った 今の芥川賞はまた違いそう でも私は分からないと思いつつも、一回読んだだけでこの本のめっちゃ独特な雰囲気をずっと覚えてたんだよな〜 不思議な伝わってくるこの世界観の魅力は感じてたんだろうな てか妊娠カレンダーっていうこの文字のフォントがパンチがあっていいよね あのフォントからあの話のあの雰囲気がかなり伝わってくるもん 「怖いとか嫌だとかいう、ありふれた一言で説明できる場面なら、もうとっくに忘れてしまったはずです。感情がこみ上げてくるよりも前に、生温かい湯気のゆらめきや、シャベルの先から落ちてくるシチューのしずくや、マッシュポテトの中に埋もれてゆく長靴の形や、そんな不可思議な風景が僕の胸をふさいでしまったのです。」 などが久しぶりに読んで心に残った言葉だな 久しぶりに読むと、情景が細かすぎて読めない読めないってちょっとなっちゃったなあ 分かりやすいメッセージのないものだけど、情景からこの雰囲気から私が受け取れるものは増えたなと思うし、些細な言葉が胸にひっかかるようにはなった
0投稿日: 2015.09.22
powered by ブクログ解説に「ほのぼのした物語のつもりでこの本を手にしたひとにはお気の毒だが」とあったが、まさにそれ。タイトルから想像した話と全然違った(笑) 私と同じく岡山県生まれの著者だし、『博士の愛した数式』は好きだから、読んでみたけど。
0投稿日: 2015.07.09
powered by ブクログ「妊娠カレンダー」 姉の妊娠によって、母系的に変容していく家庭の空気を どうしても素直に受け入れられない妹は 少しずつ悪意を蓄積させてゆく やがてそれは現実の毒となり、姉の口へと運ばれるのだった 芥川龍之介は、人の終末に際して世界の変わってゆくさまを しばしばモチーフに扱っているのだけど 91年に芥川賞をとったこの作品では、ちょうどその逆を行っている 豊かな時代にも、やはり人は否応なく大人にならざるをえない それを理不尽と呼ぶ「自由」がそこにはあった 「ドミトリイ」 古い学生寮(ドミトリイ)の終末に際して その世界は変容せず、調和のもとに時間を停めゆくという話 「夕暮れの給食室と雨のプール」 給食室におぞましいイメージを持っていた少年が あるきっかけでそれを肯定的に受け入れるようになったという話
0投稿日: 2015.06.19
powered by ブクログ読んでから知ったのだが、表題作で芥川賞を取ったんですか。最近読んだ中では方向性の似ている、山本文緒や恩田陸の本と比べると"解る"のだけど、小川洋子の作の中では平凡で切れが悪い気がする。 本書は、表題作だけでなくあと2作含まれており、3つの家でどれかというと「ドミトリー」の暗さと、日本映画的な鬱々とした強烈なキャラクターの描写が、他2本より際立っていると感じた。 とはいえ、芥川賞をとったからといって、小川洋子の本でこれをおすすめするかというと別。他に面白い本はいくらでも有る。
0投稿日: 2015.06.06
powered by ブクログ「妊娠カレンダー」を読んでいったい何が人間らしいのか分からなくなった。この姉妹、二人ともどこか欠落している。自分は姉の方に近いのだろうなと思った。妹の方はあまり共感できない。見え隠れする狂気に始終胸の中がざわざわした。 「ドミトリイ」は小川作品に珍しくオチがある。ラストの盛り上がりは胸騒ぎを感じた。あるべきはずのものが「ない」ことで逆に「ある」ことを強烈に意識させられた。 「夕暮れの給食室と雨のプール」は給食室の回想が衝撃。どこかで見た消化しきれない出来事を小川先生は小説の形にすることで分解浄化しているのでは?と邪推した。 1994年 2月10日 第1刷 2009年 1月15日第17刷
0投稿日: 2015.05.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
暑い日にひんやりしたコンクリートの建物に 入って涼みたい、そんなときに読みたくなるのが 小川洋子さん 3作それぞれ良かったけど芥川賞受賞の『妊娠カレンダー』が 一番好き、妊娠したときのあの乗っ取られてる感じが出てる 解説が松村栄子さんでびっくり、よく見るとこの本は20年以上前発行… えーそんなに前の本なのかぁ…『アバトーン』好きです
0投稿日: 2015.05.13
powered by ブクログ以前に「博士の愛した数式」を読んだことはあって、そのときにはあまりこの作家さんの本を他にも読んでみようとは思わなかったのだけど。 これはなんか全然雰囲気違ってる。 全体的に不穏。下の方に沈殿するような静けさ。安定感のある不安定さ。閉塞感っていうのかな。真綿で締められるような怖さもはらんでて、こういう雰囲気嫌いじゃない。 繊細で写実的な表現って、そう書くと現実的っぽのに、洗練されればされるほど現実感が薄れるのってなんだろう。不思議。
0投稿日: 2015.04.30
powered by ブクログ妊娠した姉に振り回される妹の話。日記帳に語られる、心理状態の変化。グレープフルーツの皮が染色体に悪影響だと知りながら、姉に皮入りのジャムを食べさせる妹。 小川洋子さんの作品だったので期待していたが、少し期待はずれ。 収録されている全作品に関して結末があっさりしすぎている。えっ、そこで終わり?という感じ。
0投稿日: 2015.04.19
powered by ブクログ久しぶりの小川洋子。 小川洋子の作品を読むと 感受性が鈍っているかがわかる、気がする。 芥川賞受賞作の「妊娠カレンダー」。 鬱ぎみの姉が妊娠した様を、 妹目線で客観的に描写。 毒入りグレープフルーツで毎日ジャムを作り、 姉はそれをむさぼる。 「ドミトリイ」は手足が3つない先生が経営する学生寮のお話。 行方不明の学生が出て、寮には住民が1人だけ。 「夕暮れの給食室と雨のプール」は 小学校の給食室に美しさを見出す男性の告白を描く。 3作とも話の説明が難しいのだけど、 どれも描写が清潔で精密、病的で上品、美しく客観的。 そして、静かで恐い。 今、私の感受性は鈍いなと感じた。 急いでしまう。 小川作品はかみしめ味わい、ゆっくり読むものだから (私にとって、です。) 先を急ぐと描写が体全体にしみ込まなくて 読んでもあんまり意味がないなって思った。 たぶん、いろんな本を読みたくて 気が焦っているのだろう。 茨木のり子の詩を音読しなきゃ。
2投稿日: 2015.02.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
妊娠カレンダー 妹から見た姉の妊娠だけど、妹が姉にたいして、姉の妊娠に対してどう思っているかは全く書かれていないからこそ、アメリカ産グレープフルーツをジャムにして食べさせる行為が、冷酷で悲しいものに見える。 ドミトリイ 小川洋子の作品ではよく何かが欠落している、誰かが消える(亡くなるということではなく)ということがある。そのむなしさが存分につまった作品。 どこかで楽しく合宿中であるはずのいとこさえ悲しさの対象になってしまうほど、寂しさと静かさに包まれた学生寮。 どの作品でもそうだけど、結果や結末や答えや実感を求める方には向かないと思う。 雨のあとの土の上を歩くような感覚を、ずっと味わうのが好きな私にはあってる。
0投稿日: 2015.01.21
powered by ブクログ【瀬尾まいこが僕の光なら、小川洋子は僕の陰】 たまらなく相性がよい。肌に馴染む気味悪い程に。独特の言葉運びは、誰にも汚されない。ザラりとした砂を吐き出すような、鉄が焼ききれた電球のような美しいような醜さ。面白かった。
2投稿日: 2015.01.16
powered by ブクログ姉に毒ジャムを作り続ける妹の話、と聞いて読み始めたのだけどちょっと意味が違うよね。 純粋な憎悪と殺意より恐ろしい気がしてじわじわくる。
0投稿日: 2015.01.12
powered by ブクログ2014.12.9 染色体を破壊するグレープフルーツのジャム。 小川洋子さんさいしょグロテスクだと思ったけれどいくつも読むと平気になる。飾り気がなくしんとした雰囲気がここちよい。
0投稿日: 2014.12.09
powered by ブクログ妊娠カレンダー 妊娠だからといって、ハッピー全開ではない話。姉の妊娠を冷静に観察する妹。ピリリと毒もあった。 ドミトリイ ある学生寮の不思議で不気味な話。ぞくぞくした。 科学室とか理科室とか、医療系のような、ビーカーやホルマリン漬けの生物とか…そんな風景描写が好きなよう。
2投稿日: 2014.11.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
私の読みが浅いのかもしれませんが、「描写が薄く、中途半端で何とかエキセントリックであろうとする筆者の舞台裏が見え隠れするような本」という印象でした。 グロテスクな描写を狙っているのでしょうが、読み手の顔色を気にしながら表現しているのか、突き抜けるものがなく、印象も薄かったです。 この雰囲気の文章がお好きな方なら、もしかしたら、村上龍さんの「トパーズ」や、「料理小説家」がパンチが効いていてお気に召すかもしれません。 よろしければ参考にしてください。
2投稿日: 2014.10.26
powered by ブクログずっと気になっていたのをやっと読めました。 妊娠とかゆーて、純文学やしぜんぜんおめでたい雰囲気やないんやろうなあと思ってはいたけども、思っていた以上やった。妊娠という事実と、それが自分の子どもやということとがイコールじゃない、程度の心理はあるんやろなあとは思うけど、いや経験したことないけんわからんけども、姉や妹の心理に共感できる人ってどんだけおるのやろ?? 食べ物いっぱい出てくるのに、グレープフルーツジャムしかおいしそうじゃなかった…。食べ物がどれも特殊な扱われ方をされていた。あと、閉塞感できゅうきゅうしそうなのばっか。学生寮ってモチーフとしてよくあるもんなんだろーか。
0投稿日: 2014.10.24美しく恐ろしい不思議な物語
芥川賞を受賞した表題作ほか3篇からなる短編集。 「妊娠カレンダー」は、妊娠した姉夫婦と同居している妹の視点で綴られる日記形式の物語。自分に近しい存在だった"姉"が、まるで別の生き物のような"母親"に変容していく様を、時にはグロテスクに、時には悪意さえ持ちながらレポートしていきます。 美しい文体で、ゾッとするような恐ろしいことをさらっと書く、小川洋子の不思議な感覚に引き込まれました。
12投稿日: 2014.09.13
powered by ブクログ小川洋子さんはモヤモヤさせるのが上手いなぁと感じる。どの作品も日常の切れ端の様な設定で、でもどこか非日常…毒があって闇があって、光や希望が…ない。モヤモヤ、鬱々させられて読まなきゃ良かったかなと思うけれど、また読みたくなる。それはきっと小川洋子さんが毒や闇を知っている、持っているから。だからリアルに伝わってくるし、毒や闇を持ち合わせていない人には絶対に描けない世界がそこにあるからだと感じる。
0投稿日: 2014.09.09
powered by ブクログ3つの短編集。 とても不思議な物語。 登場人物はみんな淡々としていてなんだかよくわからない気味悪さが全体に漂っている。 終わったのかどうか、結局何だったのかよくわからなくてまるで夢を見ていたみたい。
0投稿日: 2014.09.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
透き通るような文章だな、ととっさに感じた。 人には人知れずある種の残酷さを持ち合わせているように思える。「わたし」はつわりで苦しむ姉のために家中のものを無香料のものに置き換えつつ、義兄の優しさをつまらないものと感じ、「染色体」という認識でしか赤ん坊をとらえられない。そして、妊娠中の姉に毒素のあるジャムを食べさせ続ける。私たちは生活のなかで、きっと、気づかれないように人に刺を刺しながら生きているんだろうなと思う。
0投稿日: 2014.09.03
powered by ブクログ農薬とオレンジとジャムと妊娠という取り合わせが嬉しくて幸せな気分を、異化している。 なんとなくほの怖い。
0投稿日: 2014.05.27
powered by ブクログ旦那さんに勧められて読んだが…うーん、私にはあんまり響かない作品でした。それよりも、他の短編の方が響いたかな。妊婦に食べさせるものが、もっと毒性の高いものだったほうが私には響いたかも。恐ろしさが私には足りなかったかも、笑
0投稿日: 2014.05.11
powered by ブクログまさに悪夢のような、ちょっと悲しくて、ちょっとゾクゾクする物語が3話。 どの話も静かで不思議な雰囲気の、小川洋子らしい話だった。
0投稿日: 2014.05.02
powered by ブクログタイトルが気になって手にとった。 著者の作品は初めてだったし、作風など何の情報もなかったので、内容に少々面食らった。 淡々と静かに紡がれる文章でありながら、ドキドキしながら先を急いて読んだように思う。 今の私にははまらなかっただけかもしれない。 いずれ、他の作品も読んでみたい。
0投稿日: 2014.04.13
powered by ブクログなんの起伏も無いけど内側から滲み出る狂気がなんとも言えません。 淡々としてるが故に不気味に感じるのかな。でも、そういうところが好きです。 芥川賞って純文学が中心なので、私の今の読解力じゃあまり読み取れませんがこういう雰囲気がたまらない。 にしてもマカロニやシチューが食べれないような描写が独特ですね。普通ああいう風にものを見たりしませんよ(笑) いや、でもそういうちょっと違う角度から見た小川さんの発想はとても好きです。
2投稿日: 2014.03.10
powered by ブクログ独特の世界観、大人のファンタジーというような 妊娠カレンダーは、体にもう一つ他の生命がいる姉の様子をグロテスクに描写している
0投稿日: 2014.03.02
powered by ブクログ(写し済) 庭で食事をする時は、いつもより時間をかけて食べる。ござの上に置いた食器は、どれも少しずつ傾いている。こぼさないように注意しながらシチューをついでいると、ままごとをしているような気分になる。闇の中では、時間がゆるやかに流れてゆく。 *・*・*・*・ 大学1年の時に日本現代文学論をとっていて、わたしはその先生が大好きで、だから毎週授業を楽しみにしていた。 でもその先生は少しどこかグロテスクな作品が好きで、授業後の余韻はいつも爽やかとは正反対のものだった。 古い校舎とあいまって、自分がどこにいてなにをしているのか、よくわからなくなった。 この小説は、その時の雰囲気にとてもよくにている。 どことなくグロテスクで、自分が何者なのか、よくわからなくなる。
0投稿日: 2014.03.01
powered by ブクログ芥川賞受賞作品。「妊娠カレンダー」「ドミトリィ」「夕暮れの給食室と雨のプール」の三作。静かで少し気味の悪い話だった。じわじわ何かが始まりそうで何もない。最後どうなったと分かりやすく落ちをつけてしまう話もいいが、読者に「どうなったのだろう」とそわそわさせる話も好きだ。女性作家らしい綺麗な雰囲気と心理描写がとてもよかった。 妊娠カレンダー、ドミトリィは単なる日常の一部を切り離した話ではなく怖い話だった。 ドミトリィに出てくる登場人物はみんな印象的だが特に印象に残ったのは、数学科の学生。数学が得意というのはなんだか素敵だなーと。数を数えるのがセクシーみたいなことを書いた本があったが、数学なんて必要ないと思って捨てた自分がバカだったなと思えるほど使える科目だと思う。絶対損はしないものだし。 三作の中だとドミトリィが一番好きかな。どの話にしても出てくる食べ物が美味しそうだ。
3投稿日: 2014.03.01
powered by ブクログ日記形式で淡々と綴られる『妊娠カレンダー』 あまり現実感がなさそうに感じられるのに表現の生々しさがアンバランスで、惹きつけられてしまいます。つわりは共感。私も匂いは駄目でとてもつらかったです。 他の収録作『ドリトミイ』は不気味でした。読みながらぞわぞわしました。綺麗な表現とナマナマしさ、少し不気味な世界観。その絶妙なバランスが小川さんの魅力かもしれません。
0投稿日: 2014.02.23
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
三篇、全ての小説が心に沈みこみました。 どの物語にも小さな闇を感じてしまう。 それは、登場人物に見える闇であったり。物語の展開を残酷に予想する私自身の闇。 でも生身の人間は、そういう暗い部分を持っていて、心の奥にしまってる。後ろめたいわけでもなく。たまに表に出て来て、またしまう。 『妊娠カレンダー』の字体を、『世にも奇妙な物語』の字体に置き換えた事を想像して、ちょっと笑った事は完全に蛇足ですね。
0投稿日: 2014.02.20
powered by ブクログ小川洋子さんの作品が好きで、これは芥川賞も受賞された本なので読んでみました。タイトル「妊娠カレンダー」から期待していた内容とは違い、ビックリしました。3作ありますが、どれも暗いというか・・・あまり好きなタイプのストーリーではありませんでしたが、コレが小説の醍醐味なんだろうなーと思いました。 農薬たっぷりのグレープフルーツのジャムを妊婦にあげる妹の気持ちや、両手と片足がない寮の管理人を怪しむ女性など、何とも印象強いストーリーでした。
0投稿日: 2014.01.22
powered by ブクログ小川洋子さんの作品は読む前になんだか緊張で深呼吸をしてから読むような感じなので体がざわざわする。(けして悪い意味ではない。)
2投稿日: 2014.01.01
powered by ブクログ日常を非日常な言葉で表現して行くことで、不思議な世界へいざなってくれる。言葉の使い方を変えるだけで、こうも猟奇的な世界に入り込めるのか。 何だか、前衛的な絵画を観賞している時と同じ気分になる。
0投稿日: 2013.11.28
powered by ブクログ初めての小川洋子作品。独特の世界観は嫌いではありませんでした。むしろ好きかも。登場人物の気持ちに共感できる部分はあまりなかったのですが、不思議と魅力的で惹かれるものがありました。 短編だったので物足りない感があり、長編の作品を読んでみたいと思いました。
2投稿日: 2013.11.16
powered by ブクログ妊娠に対する生理的嫌悪を淡々と描く表題作が衝撃的。 内藤瑛亮監督の映画『先生を流産させる会』と通じるものがあるかもしれない。どす黒い邪気は感じられず、むしろ透明で清らかな悪意、とでも表現したくなる独特の心理描写に引き込まれる。 他の2編はいずれも、ある種のモラトリアム期間におかれた女性が、異形の存在と出会い、不思議な交流をするという筋立て。 「ドミトリィ」はラストが強烈。 「夕暮れの給食室と雨のプール」は表題作に通じるような嫌悪感も描かれるが、ややマイルドな話。 この中では表題作がベストだった。
0投稿日: 2013.11.15
powered by ブクログ1990年第104回下半期芥川賞受賞作。 限りない優しさが全編を覆い尽くす「博士の愛した数式」で作者を知った多くの読者は、本作に戸惑いを隠せないだろう。後ろ指のさされることのない姉夫婦の間の妊娠というおめでたく慶ばしい出来事を、客観的で意地悪い冷めた目で描写する妹の一人語り。 精神的に脆い姉や、気弱い歯科技工士の義兄がどこか病的で不安になる。 丁寧な叙述や独特の視点を駆使し、男性にはなかなか理解し難い、女性が妊娠という現象をどう受け取って処理しているのかを考えさせられて興味深かった。 他に「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」収録。 2013.10.27読了
0投稿日: 2013.11.02
powered by ブクログ再読 妊娠した姉に毒入り?ジャムを食べさせる妹…表題作ほか、大学生の従兄弟を紹介した下宿には両手と片脚のない主人がいた「ドミトリイ」と一編収録
0投稿日: 2013.11.01
powered by ブクログ綺麗な情景描写の中に、どろどろとした現実的なのか非現実的なのかわからないほどの描写が含まれていてすごく、おもしろかった。 ふたつめの不思議な寮の話が1番好きだった。 手足のない寮の先生とメガネをなおしながら笑う姿が印象的な甥、数学が得意で手の綺麗な彼、すべて綺麗だけど何かがあるというのが良かった。 最後の給食室の話も素敵だった。 雨の日にレインコートを着て訪ねてきたシーンが1番好きでした。 面白い一冊でした。
0投稿日: 2013.10.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
「博士の愛した数式」の小川洋子先生作品。 図書館にて借りました。 日常におこるねっとりとした感情の縺れが、ひとつの胎児に影響するようにと、グレープフルーツのジャムを作る。 怖い。 真綿で首を絞められる感じ。
0投稿日: 2013.10.15
powered by ブクログ芥川賞受賞作品。グレープフルーツジャムのように、どろどろと粘液がおちていくような小説。 きれいな情景描写とねっとりとした表現が混在していて、それが違和感に感じるのだけれどすいすいと読めてしまう。 なぜ、妹は胎児の染色体を壊そうとするのだろうか。姉が胎児によって乗っ取られてしまったからだろうか。 静かに破壊していこうとする妹の静かな狂気にぞくぞくする。 また、「ドミトリイ」のいなくなってしまった彼らは、蜂の巣に取り込まれてしまったのだろうか。それともおかしな色のチューリップの下に埋まっているのだろうか。 想像するとこれもまた、ぞくぞくする。
2投稿日: 2013.10.03
powered by ブクログ芥川賞を受賞した表題作を含む3篇の中篇小説を収録。小川洋子は2作目だが、これも独特の感性が感じられる物語だ。「妊娠カレンダー」は、私の日記というスタイルを取り、1人称体で語られる。対象となる姉は、妊婦であることの傲慢さを隠そうとしない点において、本人もそれと気づかない、見えざる悪意を私に向け、私はアメリカ産のグレープフルーツで作ったジャムを姉に食べさせることで、毒の悪意を姉に向ける。ここに描かれる世界は、一見したところ普通の日常なのだが、それは非日常に逸脱する一歩手前の危うい位置にあるのだろう。
2投稿日: 2013.09.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
短編集。 『妊娠カレンダー』…芥川賞受賞作です。出産を控えた姉に、染色体を破壊する恐れのあるグレープフルーツで作ったジャムを食べさせる妹。 『ドミトリィ』…年の離れたいとこと、右足しかない先生をとりまく、謎に包まれた寂しい学生寮の物語。 『夕暮れの給食室と雨のプール』…小学校の給食室に魅せられた男の告白。 読み終わると不思議な感覚になりました。 小川洋子さんの作品を読むのは2作目ですが、描写の美しさにうっとりします。 内容自体は「しかしその内容をうまく理解することができなかった」(126頁)という感じです。ですが、そのよくわからないものを風景や人物の描写を通して、何か感じ取ることができる気がするのです。 『妊娠カレンダー』で、ジャムを作り続けた妹は、赤ちゃんを奇形児にしたかったのかしら。それともそこまでは思っていないのか。この赤ちゃんは生まれてくることを誰に喜んでもらえるのだろう。妊娠している姉を醜いものに感じてしまいました。 『ドミトリィ』が1番面白かったです。いとことの楽しかった田舎の思い出と、人がいなくなった学生寮は対照的だと思いました。先生がいとこを殺してしまったのでないかとも考えたのですが、どうなったのだろうという余韻が好きです。いとこの微笑みはきっと美しい。 『夕暮れの給食室と雨のプール』給食のことをじっくり考えると気持ち悪くなりました。
0投稿日: 2013.08.29
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
小川洋子の本を読むと不安定というかデジタルから離れて暮らしたいような気持になる。 短編が三つで、代表作の『妊娠カレンダー』の続きが気になる。赤ん坊の姿はどうなったのか。 『ドミトリイ』の両腕と片足のない先生が印象的だった。 『夕暮れの給食室と海のプール』は、この短編集の中で唯一主人公が幸せそうだった。「オヤスミ」。
0投稿日: 2013.07.09
powered by ブクログ誰しもがもつ残酷さをあまりにも美しい描写で表現された作品です。 日々のなかで誰しも壊したいと感じながら生きている。 でも、壊す事なんてできないからこそ主人公に共感し又、物語に引き込まれていきます。
2投稿日: 2013.07.01
powered by ブクログ淡々、と静かに狂気を綴られている。甘ったるいジャムを使っているところがまた、ねっとりしていて、女の感情をよく表しているような気がした。
0投稿日: 2013.05.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
『妊娠カレンダー』『ドミトリイ』『夕暮れの給食室と雨のプール』の3作品。 どの短編も文章が詩的で美しく印象的な言い回しが多かった。 そして3編に共通して言えるのが、どれも本来なら 優しく朗らかさのある状況、状態であるのに ヒタっとした冷たさが美しい文章の根底にあり、 その感覚と文章のギャップが面白いと感じた。 どろりとした熱々のグレープフルーツジャム 血のような、粘度のあるはちみつ 長靴の足跡がついたマッシュポテト ぞくっとしました。
2投稿日: 2013.05.08
powered by ブクログ芥川賞を受賞した表題を含む三編の短編小説集。小川さんの本は、一応ハッピーエンドか、もしくは暗くても主人公になんらかの救いがあるものしか読んだことがなかったので、妊娠カレンダーはなかなか衝撃的だった。病的なものと喪失の描き方が特徴的な作家さんというイメージだったが、破壊とその進行というのも特徴で、その精緻さに怖さがあると思った。解説にもあったけど、描く対象が身体器官や内臓だったりするのがリアルな一方、表現が抽象的で詩的なのが対象的で面白い。夕暮れの給食室と雨のプールは、ストーリーに上手くのれたし、感覚に共感できたけど、他二篇はなかなか難しかった。そういう難解さも好きだけど、短編だと物足りない。初期の作品だからなのかわからないが、なんとなくセリフ回しとか謎が折り重なる感じが村上春樹に似てる?
0投稿日: 2013.05.04
powered by ブクログ妊娠カレンダーとドミトリイは、なんだかゾッとした。 なんで毒だとわかっていて妊婦に食べさせるんだろう。 不自由な体で、どうやって身体能力の高い年頃の男子を…? 解説を読んで少し(全部ではない)疑問が解けました。 夕暮れの給食室と雨のプールは、なんだか不思議な感覚。 でもまぁ、生きていると、思わぬところで思いもよらない出会いがあったりして、そのまま関係が一生続く事もあるかも知れないけれど、どこかで関係が途切れてしまう事の方が多いと個人的には思うのですが、そんな風に関係が途絶えてしまった人とのわずかで些細なエピソードがやけに印象的でなんとなく何度も思い出して不思議な感覚に浸ってしまう…この話はそんな類のような気がしました。
2投稿日: 2013.04.29
powered by ブクログ灰色の空とグレープフルーツのジャムとの対比が印象的。 表題作がいちばん好きです。 小川洋子は身体的欠陥のある人物をよく書く。 それと精神の歪みと、欠けているもの、満たされないもの 今回は姉の体型と私の精神の呼応 どのように関係しているのか考えています。
0投稿日: 2013.04.24
powered by ブクログ友人から拝借。読んでいるときは夢中になるのに、一話読み終わるごとにぼやぼやして、あとになにも残らず溶けていくような感覚。
0投稿日: 2013.04.21
powered by ブクログ何度めかの時、インフルエンザで高熱を出しながら、病床で読んだところ見事にまきこまれた。忘れ難い読書体験となった1冊。 考えてみれば、小川洋子さん独特の重りのある読後感は病気で寝ている日にぴったりだと思う。 枇杷のシャーベットが印象的!
0投稿日: 2013.04.06
powered by ブクログ作者独特の文章から醸し出される不穏な感じとか不安感が、個人的にはとても好きです。 だからといって薄暗いイメージは全然無く、むしろ鮮やかで透明感溢れる爽やかさが全体に感じられます。だから余計に不安な気持ちになるのかもしれませんが… 作者の作品に登場する理系男性が、怖い!と思うんですが、惹かれます…(キャラクターとして) 他にも「薬指の標本」「ブラフマンの埋葬」も読みました。薬指の~に出てくる男性も怖くていいです…
0投稿日: 2013.03.17
powered by ブクログ博士の愛した数式の小川葉子さんの作品。 妊娠と狂気を描いた「妊娠カレンダー」、不気味な「ドミトリイ」、一番好きな「夕暮れの給食室と雨のプール」の3作品を収録。 妊娠カレンダーではお姉さんの妊娠を妹視点で描く。妹がどんどんおかしくなる。 ドミトリイは単身赴任の夫を持つ主人公と歳の離れたいとこ、昔住んでた学生寮と先生のお話。よくわからないけどホラー。 夕暮れの給食室と雨のプールはまわりに反対された結婚をする主人公が新しく住む街で出会った親子との物語。 描写がすごく丁寧。こわいくらいに。 内容★1 描写★4 ー誰でも一度は、集団の中に自分をうまく溶け込ませるための、ある種の通過儀礼を経験すると思うけど、僕はたまたまそれに手間取ってしまった。そして、夕暮れの給食室を見ると必ず、あの頃の、通過儀礼に手間取っていた頃の、胸の痛みを思い出すのです。
0投稿日: 2013.02.22
