
総合評価
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powered by ブクログ学園ものかな?と読み始めたのですが、いい意味で裏切られました。旧ユーゴスラビアのことはなんとなくしか知らなかったのが恥ずかしいです。もっと世界のことを知らないといけないな。終盤は地図とにらめっこしながら読み進めました。最後はほろ苦さが残る終わり方で、ハッピーエンドとはいかないところが米澤さんらしいですね。
0投稿日: 2019.12.10
powered by ブクログ最初マーヤはスパイなのか?と思ったり本国では戦闘要員的な感じなのかと思ったり。彼女はどこから来たのか?それを解明かす話だったんですね、ミステリーともちょっと違うでも何かを解く話・・・。
0投稿日: 2019.12.01
powered by ブクログ遠い国から来た少女マーヤと守屋路行たちによる、2ヶ月の物語。 実際に出くわしたら気にも留めない現象がマーヤの目を通して、謎になる。 一つ一つの謎は答えを聴けば簡単なことだったが、真実の裏側を考え出すようで面白かった。 小説としては長編だが、ひと場面で1つの謎という形で、短編感覚で読み進められた。 また、マーヤと過ごすことで少しずつ変わっていく主人公たちの変化も見どころ。 2回目読むと面白そう。
0投稿日: 2019.10.26
powered by ブクログ紛争地帯を扱った小説はあまたあるが、ほとんどは紛争地に侵入してスパイ活動やテロをする冒険物が多い中、こんなに身につまされて切ない小説には初めて出会った。世界は歪んでいる。今の幸せに浸り切っていいのか?でも、日々の生活に流されていく日本に住む私達。 歴史好きな観点からもユーゴの分裂の背景を知れて勉強になった。印象深い良い本だった。
11投稿日: 2019.10.21
powered by ブクログ面白かった! 高校生賢いな。私もっとずっと勉強もできなかったし何も考えてなかったぞ。笑 日常の謎解き、ちょっと堅苦しい言い回しのティーンエイジャー 今までフォーカスしたことのなかった、ユーゴ内戦。 面白かった。
0投稿日: 2019.08.27
powered by ブクログ創元推理文庫デビュー作であり代表作となった 「さよなら妖精」太刀洗万智登場を初読み。1991年4月ユーゴスラビアからやってきた少女マーヤと藤柴高校生(きっと氷菓シリーズの神山高校)の日常の謎。少女は約束通り2カ月後帰国 ボスニア ヘルツェゴビナ、クロアチア、セルビア などニュースでは知っていましたが.....
0投稿日: 2019.07.30
powered by ブクログ青春小説 昭和から平成の初頭に存在していた国ユーゴスラビア 私にとってはサッカーの強い国で名古屋グランパスエイトで活躍していたストイコビッチ選手が印象的。分裂した後にクロアチアという国が生まれた位置はヨーロッパの東の方ぐらいの知識しかありません。 本作品はユーゴスラビアから訪れたマーヤを四人の高校生が2ヶ月間近くの観光地などを巡り案内する話です。 ジャンル的にはミステリーになるかと思いますが本作は何が謎なのか?というミステリーになってます。 因みに王とサーカスの主人公の大刀洗万智が初登場する作品です。
0投稿日: 2019.06.23
powered by ブクログ学生の軽い日常の謎系?と思いながらのめり込んで読み進めていったので、テーマの重さに途中でかなり凹みました。海外からやってきたマーサをどう受け止めるかで読み手の感情は相当変わると思います。基本、私たちは自分に直接関わってこないことに無頓着です。守屋が考えること、しようとすることは年を重ねた身では冷静に受け止めてしまいますが、気持ちはわからないではありません。作者がこうした二人の出逢いと別れを綴ったちょっと変則なミステリに乗せることで重いテーマをそっと投げかけるところは嫌いではないです。続編も読んでみます。
0投稿日: 2019.06.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
少し書きすぎている。個人的には、やっぱりミステリに「哲学」をあまり持ち込んで欲しくはない。筋書き全体は面白いし、ラストで解かれる謎も、そこに至るまでの異邦の少女の思い出をうまくまとめて導かれるものになっていると感じる。だから、もっとラストの謎解きに紙面を費やしても良かったのではないか。 語り手がなぜそのような行動をとったかを、抽象語を用いて説明しようとしすぎると、かえって印象に残らない気がする。「氷菓」は少なくとももっと肩の力を抜いて読めるように思う。扱っているテーマのせいだろうか。 出身地を推理するという趣向自体は非常に面白かった。謎が解かれる爽快感と、重いテーマとがややミスマッチに感じたのと、メインの謎解き以外の部分がやや長すぎるようにも思う。短編集の方がまとまりがいいように思った。 辛口になってしまうし、何様のつもりだよという感じだが、この作者は硬質な文章よりも、「インシテミル」のようにゲーム性のあるものとか、「氷菓」のゆるさの方が個人的には好みに思える。
0投稿日: 2019.05.11
powered by ブクログ米澤穂信さんの作品で、高校時代の太刀洗万智が登場します。映画の世界でしかないような非現実的なストーリーでしたが、登場人物たちのもつ高校生らしさには現実世界を感じました。思い出の1頁は、内容は違えど誰しも持っていそうなものですが、本作品のような体験はその人の世界観や生き方に大きく影響しそうだと感じました。
0投稿日: 2019.04.19
powered by ブクログ11 ユーゴスラヴィアから来た女の子をめぐる2ヶ月間のお話。 どファンタジーだと思ってたので現代の高校生の話でびっくり。 日常の謎解きから壮大な話になってった。 面白かった。あと会話から推理するのとか。 ただ、どうしても出てくる登場人物のラノベっぽい話し方が苦手だった~。今年読んだ話の中で一番話し方が嘘くさい笑 2019.02.12
1投稿日: 2019.02.13
powered by ブクログわたし自身舞台となった1991年生まれなのに、恥ずかしながらユーゴスラヴィアのことはほとんど知らなかった。他国で哲学的な意味を知ることは、その国に生きる人々の文化や歴史、強いては日常を知ることなのだなと思いました。 米澤穂信さんの日常系ミステリーが大好きなのだけど、その理由のひとつとして、謎の後ろに人の想い(良くも悪くも)や、絡み合った繋がりがあるからで、それらを通して主人公たちが少しずつ成長してゆく。たった2ヶ月だったけど、何にも変えがたい時間。青春ミステリーとしても素晴らしかったです。
0投稿日: 2019.02.04
powered by ブクログ「叫びと祈り」が話題になったとき、異文化のフィルターを通したミステリーは他になかったかと考えた。本書がまさにそうだ。無気力に生きる少年が少女との出会いで変わっていく、というのは初期の米澤作品に通じるテーマのような気がする。以前クロアチアに旅行したときにユーゴやあの戦争の本もいくつか読んだ。小さなころ、世界のどこかでまだ戦争をしていることに驚き、どうして大人はそんな世界を放っておくのだろうと不思議だった。どんな悲惨なニュースよりも切実に訴えることのできるひとつの死もあって、そういうのも文学の力だなと思う。
0投稿日: 2019.01.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
苦い。こういう苦味をサラッと残していく作家だということを、終盤に至るまで忘れていた自分が悪い。平和ボケしていた。いろんな意味で。 米澤を『古典部』含め複数作読んでいて、思うのは「日常の謎」というより「クローズドな社会」を描くことに長けているのだろうなと。『古典部』でも折木の才は仲間内では持て囃される一方で、『遠まわりする雛』において、ではその才の行く先はどこになるのかということが、千反田と比して明確にはなっていない、「クローズドな社会」の外をまだ想像できていない、というような下りがあったように記憶している。日常の謎を解くというのは、文原の言を借りれば手の届く範囲の世界を明らかにする営みだ。それは良くも悪くも、彼岸の悲劇を遠くに置き去りにする。その対比が本当に上手く、ともすれば愛おしくすら感じる筆致。ミステリーではあるが、とても文学的だ。この後の『王とサーカス』では、太刀洗が海外に出るようなので、この「日常の謎」との対比がどう転ぶのかが気になる。
0投稿日: 2018.12.10
powered by ブクログ70年代、80年代の空気をまとった青春ほろ苦小説だった。タイトルがオタっぽいが、ラノベではない。結構細かいところで登場人物たちの会話が仕掛けられていて、後半じわじわ効き始める。そこが、好きだったり興味がある人は終盤一気に物語に巻き込まれて主人公の少年とシンクロし物語を堪能できる。 少々理屈っぽいところもあるが、青春小説の好きな方は是非!
0投稿日: 2018.12.07
powered by ブクログ2016年このミス1位の著者による以前の作品を読んでみた。一人称の形式で、会話も多いので読みやすい。 高校生3人組が、ユーゴスラビアから来た少女とかかわった二ヶ月の物語。ミステリーにも分類されるようだが、少し路線が違うと感じた。 異国からの来客と接することで、その国のことだけでなく、自分の国についても、様々なことを考えたり調べたりすることになる。高校生くらいで、こういう経験をすると、大きく世界が広がるだろうなぁ、と感じながら読んだ。
0投稿日: 2018.12.02
powered by ブクログまさかユーゴスラビアの女の子を巡る話だとは知らず読み始めたが、引き込まれていった。 自分もかつて八王子のバーで知り合った外国人たちがボスニア・ヘルツェゴビナから来たと知り、守谷君のように国がどこにあるのか、言葉を少し覚えようと、エクスプレス ボスニア・ヘルツェゴビナ語テキストを購入したことを思い出した。彼らの1人は内戦時に銃で人を撃ったと話していた。しかし彼らは生き残り、しかもビジネスマンとして成功し日本にやって来ていたので、マーヤとは立場が全く異なる。これは歴史も学べる物語。再読しよう。
0投稿日: 2018.11.29
powered by ブクログユーゴスラヴィアについて、国名以外に何も知らなかったことに気付かされた。スラブの民族自決の話がでてきて、そういえばミュシャのスラブ叙事詩の中の一枚のタイトルが民族自決だったと思い出したくらい。日常の謎のスタイルを取っているのだが、ユーゴスラヴィアの歴史の壮絶さの印象が強くて、圧倒されてしまった。
1投稿日: 2018.11.04
powered by ブクログ角川ミステリで死にかけていたところを救われたという本作/ いつも通りそつなくまとまっていて非常に読みやすい/ 強いて言えばユーゴスラヴィアの事細かい情報はいらないです/ 日常のミステリ成分がいくつか入っているけど、それがなかったら純文だね/ それをチャレンジととるかどうかで評価は分かれるでしょう/ 墓参りの紅白饅頭は良い/ 太刀洗に苛つきつつも普通に読めた/ もっと子どもっぽければいいのに/ 酒煙草を高校生にやらせたのは評価/ 時代が古いからね、許されたね/
0投稿日: 2018.10.08
powered by ブクログ想像してたのとちょっと違っていた日常の謎。 日常の謎から伝統の謎?風習の謎?というか由来? 今ならグーグル先生に聞けば分かるようなことでも30年前じゃあそうはいかない。 そして後半の、マーヤはどこから来たのか?では見事なロジカルシンキングを繰り広げる。 しかしこんな結末が待っているとは……。
0投稿日: 2018.09.27
powered by ブクログクロアチアに旅行記念に再読。今読むとラノベぽく感じて、軽く読めた。遠い世界を想像する大切さを教えてくれた本。マーヤはいなくなったけれど、主人公たちの想いの中にこれからもいるのだろう。
0投稿日: 2018.09.23
powered by ブクログ二度目を読んでなお、これが推理小説に分類されるのがよくわからない、というぐらいに、単なる日常の出来事なのか謎解きなのかがはっきりしない作品に思えて来る(分類的には日常の謎だとしても)。読み返してみると、確かに、細やかな疑問とそれに対する思考の結果としての推理や解決などがそれなりにちらばっている。最も大きな謎はマーヤの母国探しだろうけれど、マーヤに関わるユーゴの話の方がインパクトが強いのか、これらの謎よりもユーゴの話の方についつい気がいってしまうせいだろうか。それこそ謎かもしれない。
0投稿日: 2018.07.04
powered by ブクログ太刀洗万智シリーズの予習として。ユーゴスラヴィアから来た美少女と、日本語と、日常の謎の組み合わせの妙。“言葉遊び”が面白い。
1投稿日: 2018.06.14
powered by ブクログ2ヶ月間日本で過ごすことになったユーゴスラヴィアの少女マーヤと、彼女と関わる主人公の高校生たちの話。主人公の空回り感も含めて青春ミステリー小説という感じです。何がミステリーかというとマーヤがユーゴスラヴィアのどこから来たのかを辿るところぐらいで、密室殺人事件の犯人探しとかそういうのではありません。 ただ、ここでユーゴスラヴィアの歴史を改めて知る事ができるのが良い。文体もスラスラ読めて面白い。以前に読んだ「折れた竜骨」とはまた違う面白さ。 こんな高校生おるんか?とってぐらいスカした感じの太刀洗万智という女友達がちょっと鼻につきましたが、クライマックスで感情をむき出しにしたのは良かった。キャラ濃いと思ったら太刀洗万智がメインの「王とサーカス」「真実の10メートル手前」という本もあるみたいなので、これも読んでみよう。
0投稿日: 2018.06.03
powered by ブクログユーゴ分裂問題をモチーフに、高校生の真太い感覚が描写される。太刀洗の人物像が、『真実の・・』とセットで読むと厚みをもって見えてくる。
2投稿日: 2018.05.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
マーヤがどうなったのかは、先に「真実の10メートル手前」を読んだから知っていた。 そこに向かって収束していく物語を読み進めるのは辛く、事実が明らかになったその場に立ち会った時、やっぱりどうしようもなく悲しかった。だけど「真実〜」の世界に、太刀洗万智という人間が大人になり、強く生きている未来が存在することも知っている。「王とサーカス」でまた彼女に会えるのが楽しみ。 謎解き部分がもっとあればと思ったけど、ストーリー的に不自然にならない程度となるとこんなものかな?★4で。
0投稿日: 2018.05.18
powered by ブクログ「真実の10メートル手前」を読んで、大刀洗万智、彼女がどんな少女だったのか、俄然知りたくなった、というわけでこの本に戻ってきた。雨のGW休暇に一気に読む。 前の本の5つ目の話「ナイフを失われた思い出の中に」に出てくるマーヤの兄・ヨヴァノヴィチ氏が妹の言葉を思い出すシーン。 『日本に友人ができた。純真な者や正直な者、優しい者が彼女の友になった。そしてセンドーと呼ばれる少女は、とても恥ずかしがり屋だったという』 この文章だけでは分からなかったのだが、マーヤはしっかりと大刀洗の本質を見抜いていたのだな。 守屋に言わせると、その風貌には「翳と険、ついでに鋭さ」があり「強いて孤高を望むわけでもないのにどこか超然とした気風」を感じさせるということだが、守屋は本当にドボクネンジン。 ただ外から見るとそう見えるのも確かで、恥ずかしがり屋ってホントに損な性分だよな。 他人が自分のことをどう思っているかを知っていて、自分がそう見えることも知っていて、そうやって冷たく見積もられすぎていても何も口に出せなくて、そのくせ、人に嫌なことを言わなければならない役回りだけ回ってくるのだから。 それを全て引き受けた彼女を、読者に対して内心を明かさない謎めいた人物にすることを選ばず、一人称の物語で、器をはかられ底を知られるほうを選んだ作者の選択に拍手。 「王とサーカス」が文庫になる8月が楽しみ。
0投稿日: 2018.05.03
powered by ブクログいつまでもきっと忘れられないだろうストーリーだと思った。 でも再び読みたいとは思わない気がする。だから★3。 「人間は、殺されたお父さんのことは忘れても、奪われたお金のことは忘れません」 この言葉が少なからず衝撃的だったのは、マーヤの年でマーヤの口から発せられた言葉だったから。
0投稿日: 2018.02.25
powered by ブクログそこそこ面白く読めた。同じ日常の謎系ミステリでも、北村薫のおブンガク少女がときどきちょっと不良になったり恋したり!という生ぬるさにはいい加減うんざりしていた。ので、旧ユーゴスラビアの話を縦線にして徐々にシリアスな話に持っていく手法にはすごく共感できる。特に主人公の葛藤は、日常とは本当に日常と言ってよいのかを鋭くえぐってくる。その点で、坊ちゃん嬢ちゃんしか出てこない北村薫作品よりはるかに社会性があるし、真っ当で健全な批判意識を持っている。北村作品はおブンガクの箱庭の中でお話が展開されるので とにかく甘ったるくて気持ち悪いのよ。 やや中二病が痛くはあるが、登場人物の葛藤もまたよし。またみんなに会いたいと思わされる。
0投稿日: 2018.01.04
powered by ブクログ青春ミステリ、と言えば良いかな。1990年代初頭、ユーゴスラビアから日本に来た女の子マーヤと、日本の高校生達が親交を深めながら、日常の小さな謎解きに取り組む。 小気味良い文体や言葉遊びが読んでいて心地良い。主人公達の高校生らしい葛藤も良い。中高校生の時に読んでおけば良かった。
1投稿日: 2017.10.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
高校三年の時に体験した、たった2ヶ月の出来事が青年の心を深く揺さぶる。 ユーゴスラビアからやって来たマーヤ。 初めは単なる異文化交流だったが……。 青年の狭い世界に風穴を開け、熱情をもたらすが、現実はそんなに甘いものではない。 「観光に命を賭けるのはよくない」と冷静に言うマーヤの言葉が的を得ていたように思う。 ラストは想像通りの結果で残念。 2ヶ月の間、いつも興味津々に「哲学的意味がありますか?」と質問し、熱心にメモを取っていたマーヤを愛しく思う。
6投稿日: 2017.08.17
powered by ブクログうーん、良いには良いんだけど、日常謎解きと全体の話、ユーゴ情勢と詰め込みすぎてちょっと。古典部との間での微妙なキャラの差が気になる。
0投稿日: 2017.08.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
青春小説と思いきや、ユーゴスラビアの分裂、民族扮装、マーヤの死。何が言いたいのかちょっと不明。展開も不思議。米澤作品の中では、下のレベル。
0投稿日: 2017.08.08
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
太刀洗万智シリーズの一作目だと思って読みましたが、違いますね。 太刀洗万智は出てきますが、この話のメインはマーヤという少女の…ああ、これを言ったらネタバレになるか? そして語り手守屋の成長物語とも言える。 ホームステイ先として当てにしていた人物の死により路頭に迷う少女マーヤを、守屋と太刀洗は行きがかり上、老舗旅館の娘白河に紹介する。 彼女の家でお手伝いをしながら、2ヶ月の間日本の生活を研究し満喫するマーヤ。 このマーヤが好奇心旺盛で、たぶん目をキラキラさせて日本の生活を楽しんでいる様子が浮かんでくるよう。 それは、2ヶ月という限定された期間での滞在だからと言うだけではなく、マーヤが本来持っている生命力の発露、命のきらめきなんだと思う。 マーヤはユーゴスラヴィヤからやって来た。 父の仕事について歩き、世界のあちこちを旅しているマーヤは、文化や風習などに特に興味を持っている。 それは、彼女の祖国に関係している。 ユーゴスラヴィヤは6つの国が集まってひとつの国になった。 元の国にはそれぞれの文化があり、民族も違い、歴史も別である。 しかしひとつの国になったからには、6つの文化の上にもうひとつの、ユーゴスラヴィヤとしての文化を作ることを自分の使命とマーヤは言う。 それがマーヤの願いであり、祈り。 ユーゴスラヴィヤがなぜ分裂してしまったのか。 それは民族が違うからとか、過去の因縁とか、裕福な北部にとって貧乏な南部はお荷物であったとか、理由はいろいろあるのだろうけど、それでも一つの国でありたいと思う人は少なくなかったと思いたい。 “「人間は、殺されたお父さんのことは忘れても、奪われたお金のことは忘れません」” といったマーヤは、それでも願う。 “ユーゴスラヴィヤは、『南スラヴ』が一つであるようにとの名前です。それは最初は嘘だったかもしれません。歴史はわたしたちを忘れるかもしれません。 でも、わたしたちはもう、存在しています。きっといつか……。いつかは、私たちユーゴスラヴィヤ人が、七つ目を造り出すのです” 前半はカルチャーギャップによる日常の謎のミステリなの。 だけど、マーヤが帰っていったのはどのユーゴスラヴィヤだったのかという謎と共に、マーヤが語っていたことの裏に隠された決意と顛末。 これがもう圧倒的に大きくて。 電車で読んでいて涙が盛り上がってきましたが、マーヤが泣かずにこらえた涙を私が流すわけにはいかないと、ぐっとこらえました。 好きな作品はたくさんありますが、この作品に関しては好きという言葉では語りきれないくらいの衝撃を受けました。 やっぱすごいな、米澤穂信。
0投稿日: 2017.08.03
powered by ブクログ学生たちの群像劇的なお話かと思いきや。 お話は、途中から全く違う顔を見せて展開し始める。そのギャップになかなかついていけず、そこまでの覚悟なく読んでいたもので、少し面食らってしまった。 ユーゴスラヴィアという国?地域?のことは、名前を聞いたことがある程度で、日本とは全く違う暮らしの中にある人たちのことを考えたこともなかった。同じ民族の中にいくつもの決定的な思想の違いがあるという感覚は、容易に想像できるものではないけれど、マーヤはチャーミングな「普通の」女の子で、たぶん人間の基のところは同じなのだろうと思う。だからこそ、同じなのに、全く違う世界の中で生きている人たちのことを考えることを、しなければいけないのだろう。
0投稿日: 2017.05.18
powered by ブクログ太刀洗万智のデビュー作ですが、主人公は、その恋人?の守屋という人物です。その守屋と太刀洗と友人男女2名の計4人が高校3年生時代に経験した同年代のユーゴスラビア人女性との2ヶ月間の交流を経て、それぞれが人間として成長していく過程と、ユーゴスラビア人女性の人間としてのたくましさと哀しい自国の運命と立ち向かう姿というのが切なかったです。 そんな中、太刀洗の冷静沈着な考え方や守屋の洞察力というのは良く描かれていました!
1投稿日: 2017.05.17
powered by ブクログユーゴスラビア、ボスニア、クロアチア… 確かに昔、ニュースで聞いた地名。 当時のイメージは、今のアラビア半島周辺。当然その辺りだと思っていた。 つまり、戦争、殺戮、虐殺、内戦のイメージ。それがヨーロッパだったことに衝撃である。 先に、この物語の後の話を読んだ。 なるほど、切ない…
0投稿日: 2017.04.26
powered by ブクログ守屋路行、高校三年。衣食に不自由することはなく、成績も悪くはなく、友人もいて、部活動もする、当たり前の日々。 ある4月の雨の日、路行と、友人の太刀洗万智は、雨宿りをしていた少女マーヤと出会う。 マーヤは、ユーゴスラヴィア連邦から来たという。旺盛な好奇心で、日本の文化を深く知ろうとするマーヤと接するうちに、路行はこれまで全く知ることのなかったマーヤの故郷に興味を持つようになる。 読了後に解説を読んで、「うわ、そうか、ミステリだったんだっけ」と思った。現代の若者の、充足しているけれど充実してはいない空気や、微妙な人間関係の距離感などがくっきりと描き出されているのに対して、謎解きの快感はスパイス程度。 路行の成長物語、青春群像物語として、読み応えがあった。
0投稿日: 2017.04.25「時間」を読む本
不可思議な,高校生の時代のそれも緩やかな時間そのものを感じるような本だった.懐かしさやもどかしさ,儚さなどを,「思い出す」ように追体験した.もし,少し田舎の高校生だった自分を感じてみたいなら読んでみるのもいいです.
1投稿日: 2017.03.07
powered by ブクログ古典部シリーズや小市民シリーズなどの作品がある、米澤さんの作品。 こちらも高校生が主人公のボーイ・ミーツ・ガール。 ユーゴスラビアからの旅行者・マーヤと人口十万人の地方都市・藤柴市の高校生、守屋路行と太刀洗万智、白河いずる、文原竹彦の4人は神社や橋の立て看板、なぜ男性は傘をささずに雨の中を走っていたのか。マーヤという「異国」が入る事で、「日常・当たり前」が「非日常」に変わります。 もし私達が、違う国や違う価値観の所(遠くでなくても)に行ったら体験できるんだろう。このような相乗作用が出きる大切さは、なにものにもかえがたいです。 そして、マーヤが残したものの大きさに愕然とするラストは驚きです。
0投稿日: 2017.03.06
powered by ブクログユーゴスラビアから日本を学びに来た女の子マーヤ(^^)雨の日にマーヤと出会い、日本での2ヶ月間を日々の謎を解きながら共に過ごす高校生たち(^^)暗い影はチラチラするものの、なんと楽しそうな青春を過ごしているんだ!(^o^)と羨ましく思った(*^^*)それだけに、チラチラしていた暗い影が現実になってしまった最後はツラかった(ToT)
0投稿日: 2017.02.21連邦とは・・・
丁度、テレビではトランプ大統領のニュースが流れています。大国アメリカ内ではデモがあちこちで起きて賛成派と反対派が二分した状態だと放送されています。 そんな中、軽い気持ちでこの本を読み始めましたが、読み進めるうちに深い話で最後には不覚にも涙がでてしまいました。 そもそもこの本は、知らない国から来た女の子との交流をきっかけに遠い国に思いを馳せるという誰でも読みやすく楽しめる話です。 但し、そこに連邦という形で作られた国の内戦と日本の風習や神社、人間性を並べることで平和な日本のなんと素晴らしいことなのかを改めて感じさせる素晴らしい本です。 色々な感じ方が出来る本と思いますので、いろんな人の感想をしりたくなる一冊です。
1投稿日: 2017.02.05
powered by ブクログある雨の日、主人公守屋はユーゴスラビア人の少女・マーヤと出会う。彼女は母国の新しいあり方や文化を作らために世界各国を旅していた。 守屋はマーヤと共に行動する内に何にも執着していない自分に焦燥感に似た物を感じ、マーヤに興味を抱く。しかしその頃、ユーゴスラビアで不穏な気配が漂っていた。 雰囲気は古典部シリーズに似ている。主人公の守屋などからは折木と同じ空気を感じる。 史実を基に物語が進んで行くため、リアリティがあり、結末もかなり心に響いた。
0投稿日: 2017.01.20
powered by ブクログユーゴスラビアから来たマーヤと偶然出会った高校生の守屋。守屋を含めた高校生達とマーヤの二か月間の交流は、この作者さんお得意の日常の謎を絡めながら、淡い恋心なんかも感じられ、甘酸っぱい。マーヤの出身地がユーゴスラビアというところで、ただ甘酸っぱいボーイ・ミーツ・ガールものでは終わらない。ボスニアがどんな変遷を辿るのかを知っているだけに、終盤の守屋の青臭さが一層切なく感じる。甘酸っぱく、青く、ほろ苦い作品でした。『王とサーカス』で成長した太刀洗さんに会えるのが楽しみ。
0投稿日: 2017.01.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
高校生の太刀洗万智たちが経験した2か月間の友情と喪失について。 解説にあるとおり、ユーゴスラヴィアからやってきた探求少女マーヤの目を通して日本を見ることで提起される日常系ミステリ。ユーゴスラヴィアの複雑深刻な情勢と、思春期の焦燥と無力感をベースに、マーヤの溌剌とした生き様がまぶしい作品。
0投稿日: 2017.01.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
大刀洗シリーズ第1段というところでしょうか。逆に新しいものから読み進めてしまいましたが。 ミステリの要素が入りつつも、切ない青春小説でした。
1投稿日: 2017.01.03
powered by ブクログところどころで入る「日常のちょっとした謎を解く話」が、私は実はちょっと苦手なのかもしれない。そんなに謎か?普通はそんな簡単に解けないでしょ?って感じで。 それは置いておいて、米澤さんは個性的で魅力的な女の子を書くのがうまいと思う。軽妙な掛け合いがそんなにあるわけではないけど、こんな可愛くて近寄りがたくて賢い女の子と毎日会話を交わせるほど仲良くなれたら楽しいだろうなという。太刀洗ちゃんの「私を冷たく見積もりすぎじゃないの!」は良かった。 冷酷な現実と、茫然と何も出来ない自分、という結末は意外と心にくる。
0投稿日: 2016.12.15
powered by ブクログ最後切ないな~ ミステリーの部分が日常系ということなのかそんなにぴんと来ず、しかし高校生たちのひと夏の青春と思えば(高校生っぽくはない)中々読みごたえがあった。 大刀洗万智が好きになれないかも、と思いながら読んでたけれど、最後でちょっと愛しく思えた。 マーヤの“んー”っていうのがかわいくて好きだったんだけどな… かっこよくてかわいい子。
1投稿日: 2016.12.14
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
守屋くん、何やってんだよ……。斜に構え、言葉を操って理屈を捏ねて異文化交流を楽しみ、マーヤが凄いことやってそうだなと分かったらユーゴスラヴィアに行くとか言い出し、断られても金を貯め、挙句に救出に行くと言い出す。見ちゃいられないよ…… 国情が落ち着いたら観光に来て、と言ったマーヤ。苦くて残念な結末。墓参りに行けたらな。
2投稿日: 2016.11.28
powered by ブクログ日常系ミステリということだが、良い意味で日常的ではない。登場人物のマーヤからしてユーゴスラビアから来日した女性であるという設定自体が、多くの日本人にとって日常ではない。けれども、マーヤと過ごす守屋や太刀洗、白川、文原たちが、第三者(読者)から見た場合の表面的な日常を描き出している。高校生くらいの男女が集まる普通の生活風景だ。第三者から見れば外国人が日本に遊びに来ただけのように見えるかもしれない。しかし少なくともマーヤには日本に行かなければならない明確な理由があったし、ユーゴスラビア情勢が不安になる中、日本を去り自国に帰ってから遂行するべきこともあった。ラストはネタバレになるので、詳しくは触れないが、これまでの日常をすべて吹き飛ばす衝撃的なものだ。日常というものは一般的には幸せを想像させる。しかし、そこには残酷なほどの不幸も混じっているのだと思い知らされた。 さて、これを書いているとき、目の前に白人女性が目の前に立っていた。マーヤと同じ年格好だ。しかも雨の日。もしかしたらユーゴスラビア人かもしれない。毎日の通勤という日常にも非日常は存在している。
0投稿日: 2016.11.12この物語を書いた経緯を知るとより楽しめます。
作者は大学の研究テーマにユーゴの紛争を選んだそうです。その研究から生まれた物語が本作で「知る」「伝える」がテーマとのこと。 (本の話webというサイトに詳しく出ていますのでご興味のあるかたは是非) お得意の日常系ミステリにしっかりとメッセージをプラスしてとても奥深い物語になっています。
8投稿日: 2016.10.31
powered by ブクログマーヤは妖精だったのか・・・きっと違う。 人間だったのだ。 妖精だったら こんな悲しい結果にはならなかった。 10年以上前の高校生の気持ちは きっと今とあまり変わらないだろう。 彼らが使うツールが変わっただけだ。 そう思うと、 つくづく日本は平和なのだと思い知る。 日々いろんなことがあり 悲惨な事件もあるけれど、 少なくとも戦火に巻き込まれることは今のところはない。 そのことを、もっと誇りに思うべきだと思う。 太刀洗女史の高校生時代、 この経験は後の彼女に影響を与えたことは 間違いないだろう。 元々は古典部シリーズになる予定の話だったとか・・・ そうそう11月に新刊がでる噂を耳にしました。 気になります!!
0投稿日: 2016.10.01
powered by ブクログほかの作品(王とサーカス)がよかったので、勢いで読んでみたのですが、うーん。自分には合いませんでした。若い人が読むとまた違う感想になるのかなぁ。
0投稿日: 2016.09.19
powered by ブクログ最初からやたら訳のわからん言葉を使う高校生達。 何なのお前らって、全く感情移入ができませんでした。 こんなに理屈っぽいのいないでしょ…だれか一人ならともかく。 主人公の気が利かないダメな奴感はよく出ていたと思います。いらいらしますが。 物語の序章みたいなところで話が終わってるように思います。結局ユーゴスラビアの何だったんだ??何をしたかったの??
0投稿日: 2016.09.02
powered by ブクログ世界が変われば自分も変われる。 手の届かないものに憧れるのは思春期の宿命だけれど、それの残酷さを今にして思う。 私の「マーヤ」に向けられた銃口は、その弾丸は遥か遠くに突き刺さり、いま私は「マーヤ」を抱擁している。 ありえたかもしれない路の先に幸福を望むのは、それもまた残酷だろうか
0投稿日: 2016.08.26
powered by ブクログ感想はブログでどうぞ http://takotakora.at.webry.info/201608/article_3.html
0投稿日: 2016.08.17
powered by ブクログ過去の不思議な出会いと日常と小さな謎。そして現代に続く非日常。謎解きというより学生時代の青春を振り返る物語です。守屋くんの想いがせつないです。「太刀洗万智シリーズ」となってるようですが万智は主人公ではないのでシリーズと言っていいのかどうか...
0投稿日: 2016.08.02
powered by ブクログひどい作品だった。意味を見出しにくい言葉遊びやどうでもいい事象を推理仕立てで紐解いていく姿に、とてもしらけてしまった。良い評判もあったので最後まで読んでみるも、最後までその思いはぬぐいきれない。しいて言えば、ユーゴスラヴィア事情の知識を多少得た程度か。 以前に読んだ「満願」はとても面白かった分、同じ作家でここまで印象が異なることがあるのか、非常に不思議。 いつかまた他の作品で検証をしたいと思うが、とりあえず、「王とサーカス」は開くことなく図書館に返した。
1投稿日: 2016.07.31
powered by ブクログ米澤穂信得意の日常ミステリーの色は濃くないが、少しずつ日常の謎はちりばめられていたので物語の良いスパイスだった。 どことなくノスタルジックさを感じた。ただ、高校生の持つ独特な刹那的な雰囲気と大人と子供のちょうど境目に立った登場人物たちには、ちょっとラノベっぽいところもあった。
0投稿日: 2016.07.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
初、米澤穂信(よねざわほのぶ) 図書館ランキング上位で予約数40くらいだったのだが、予約してみた。というか、王とサーカスを予約したのでその前に太刀洗万智が登場している物語を読んでおいた方がいいのかな~なんて思いもあり。 高校時代の学校の帰り道、守屋路行と太刀洗万智は廃業したフォトスタジオの軒先で雨宿りをしているユーゴスラビア出身のマーヤと出会う。 行くあてがないマーヤは、守屋、太刀洗の友人の家が旅館を経営している白河に助けを求め、住みこみで手伝いをしてもらうことで落ち着く。 マーヤと仲良くなるうちに、ユーゴスラビアに詳しくなっていく守屋。 2か月の期間限定日本滞在の期間が終わる送別会の席で、 守屋はユーゴスラビアへ連れて行ってくれとマーヤに頼むが断られる。 マーヤを送り出してから、マーヤがユーゴスラビアのどこの地方の出身だったか、住所も何も知らないことに気づき、彼女の居場所を記憶をたどりながら探し出していく…。 最後は彼女がユーゴスラビアのどこの地方かを突き止めるのだが、知らない方がよかったのかもしれない結末だったけど、守屋にとっては知ってよかったのかも。 まとまった終わり方だった。太刀洗万智って損な役目だな~。 他の推理小説のような、大きな山場とかはない気がしたが、淡々とした日常の謎を突きつめていくような?物語だった。 私的には本には日常と違うものを求める帰来があるので、もっとドラマチックなものの方が好きだな~。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1991年4月。雨宿りをするひとりの少女のとの偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。謎を解く鍵は記憶のなかに―――。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。『犬はどこだ』の著者の代表作となった清新な力作。(裏表紙より)
0投稿日: 2016.07.14
powered by ブクログユーゴについて無知であったので、片鱗だけでも知ることができて良かった。学生たちの日常的なミステリかと思ったが全くもって違っていた。何故若者たちが、民間人が死ななければならないのか。平和が長すぎた日本にとっては遠い話に思えるかもしれない。しかし毎日のように何処かで紛争が起こっている、これは紛れもない事実だ。なす術がないことを自覚する。やるせない気持ちになるものだ。
0投稿日: 2016.07.10
powered by ブクログ米澤作品の中であまり好きではない古典部シリーズのような雰囲気だったので、なかなか入り込めなかったけど、後半も後半の回想が終わってからの急展開で引き込まれた。 締め方なんかは、米澤作品らしい寂しくも切ないラストに満足でした。
1投稿日: 2016.06.19
powered by ブクログなぜこの本を見逃していたのか。 『日常の謎』系ミステリと呼ぶには重い話だか、とても好きになった。 この作家の本は、以前にも読んだことがあって、自分には合わないなぁと思ったから、それ以降ノーチェックだった。 古典部シリーズをたまたま最近アニメで観て、他の作品をという事で購入。大正解でした。
0投稿日: 2016.06.04
powered by ブクログ読了。24冊目。 米澤穂信の小説です。全体的にしんみりとお話しが進みます。ミステリー要素は少なめ。
0投稿日: 2016.06.03
powered by ブクログポッドキャスト「チラ見の世界史」ユーゴスラビア編で世界情勢を復習しながら読了。国際理解、青春小説としては納得だが、ミステリーとしてはイマイチ。彼らが遭遇する日常の謎?に魅力を感じない。そして謎が解けた後の悪意は放置プレイなのね。核のマーヤ探しも、まぁそこでしょうね、って感じでした。
0投稿日: 2016.05.29
powered by ブクログ真実の10メートル手前の主人公、10代の頃の物語。若くて小ぶりで甘さもあるが、将来の活躍を十二分に予想させる聡明が随所に溢れている。クールな彼女は必要以上に冷たく見積もられるが、情の熱さは今も昔も将来も同じ。だしぬけにぶつけられる真相に思わずひるまされる。主人公に心のすべてを持っていかれた。この人、本当に好きだ。
1投稿日: 2016.04.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
1991年4月の雨の中、彼はマーヤに出会った。 彼女はユーゴスラヴィアから日本を知るためにやってきたという。 受験を控えた高校生、守屋、太刀洗、白河、文原はマーヤとともに藤柴の町を歩き、親交を深めていく。 「哲学的、意味ありますか」 マーヤが目をとめ、脚を留める先の小さなミステリ。 二ヶ月が経ち、マーヤは帰国することになるが、彼女の国は不穏な情勢になっていて。 マーヤが帰国してから1年後、守屋は白河と1年前を思い出す。 「ルピナス」と同じような空気。多湿で暑いどんよりとした季節が守屋の心情を語るよう。 マーヤの言葉、表情、思い出していく守屋の語りが淡々とした中に焦りと迷いが混ざる。 歯がゆいような彼らのお話。
2投稿日: 2016.04.21
powered by ブクログ歴史的、地理的背景が強くて知識が無い自分には理解が難しかったが全体の流れは掴めたので読むことができた。締め方がしっくりこない感じがした。
0投稿日: 2016.04.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
再読。太刀洗万智の第1作。語り手は友達の守屋だけど。日常の謎系ではあるけど、それよりも高校生の時にユーゴスラビアという異国から来たマーヤからいろいろ刺激を受けるという青春譚であり、ユーゴスラビアの歴史を知る小説でもある。日本でのんびり暮らしていた守屋がユーゴスラビアに行かなきゃ、と思うのは分からんでもない。思春期だから。マーヤは日本人ではいないような生き方、と思うけど、幕末期とか、日本でも同じように国のためを思って外国に勉強に行った人がいるんだろうな。
0投稿日: 2016.04.10
powered by ブクログ青春の痛みや無力感を、 ユーゴスラビアからの留学生との交流を通して 描いた青春ミステリー。 米澤穂信の初期の名作と名高い本作だけど 今の同氏の作品群を読んだ後だからか、 いい作品ではあるが、言うほど・・・という感もある。 青春の焦燥や痛みが胸を締め付ける感覚は 古典部シリーズで感じたそれではあるが、 感じた量は多くはなかった。
0投稿日: 2016.03.23
powered by ブクログ7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字を持つと表された、かつて存在した国。 1991年、ユーゴスラビアからやってきた少女マーヤと過ごした2ヵ月のお話。 高校生の守屋は、紛争さなかの国へ帰って行くマーヤと話すうち初めて、外の世界を知りたい、何かしたいという衝動に駆られる…。 米澤穂信、日常のミステリー。この作家の良さはもっと後の作品に益々出てくるのだろうなという感想。
0投稿日: 2016.03.04
powered by ブクログブックオフで見かけた『王とサーカス』の帯に「前作」にあたるという本書についての言及があったので、「ではまず」と手にとったものです。『王とサーカス』の方は図書館で600数十人待ちとなっていたので、実際に読むのは相当に先でしょう。 本作に先立つ「古典部」シリーズもそうですが、この人の作品は部活もののお話に出てくるより平板そうな「ふつうの学生」の日常生活と、ミステリーにつきものの探偵的パーソナリティをものぐささのポーズで隠蔽した主人公、そして時間的・空間的な隔たりを飛び越えて主人公たちの身近に突如顔をのぞかせる社会・経済的なテーマ──それは窃盗罪のような刑事的な話題だけでなく、本作で描かれる国際紛争や『氷菓』で描かれた学生闘争も含む──という3つの組み合わせに特徴的なようです。 それで、本作で登場する「想像の共同体」「伝統の創造」といった用語にはクスリとしてしまうとともに、なるほどと思うところがありました。前述の三要素のとくに最後のものは著者の来歴、学生時代の関心と関わっていたわけです。アンダーソン『想像の共同体』もホブズボーム『創られた伝統』も、わたしやわたしの1つか2つ上の世代にとって、とくにエスニシティの社会学や民主主義の政治史学に関心を持つ者にとってのちょっとしたバイブルになっていましたからね…。 読後感はかならずしもよいものではありませんでしたが、お話はおもしろかったですし『王とサーカス』にも一層期待が持てました。
1投稿日: 2016.02.22
powered by ブクログ日常のミステリーが織り込まれているが、どれも小さなものであって、物語の中心ではない。物語の中心は主人公の少年の心の変遷だと思った。それ故に青春小説なのだと思う。 氷菓の時にもあったが人によっては後味の悪いと感じるだろう。物語が全て丸く収まって終わるというわけではないほろ苦さを感じた。 真相を知る彼らがこの件をこの糧に成長してほしいと祈る。
0投稿日: 2016.02.20
powered by ブクログ思わず駆け出したくなるような読後感 青春ミステリといえばこれ、と名前を挙げる人は多いはず。異国の少女・マーヤと、高校生の出会いと別れの物語です。前半は何気ない日常の謎、後半は少女帰国後のエピソードが描かれます。「氷菓」と同じく、ミステリはエッセンス程度で物足りなく感じますが、本作はマーヤとの異文化交流としての意義もあります。 色々なことに興味津々で可愛らしいマーヤですが、祖国の話にはっとさせられることもしばしば。守屋、太刀洗は個性をあえて控えめにして、「妖精」を引き立てつつ、思春期らしい心の動きを捉えているのが見事です。 青春小説として読むなら、迷わずおすすめできる作品です。
0投稿日: 2016.02.06
powered by ブクログ古典部シリーズや小市民シリーズを 読んでからの購入。 上記のシリーズに比べると 登場人物のキャラクターが熟れていない。 エンターテイメントとして純粋に楽しむには 重すぎるテーマ。 マーヤの遺した言葉の端々から 推理が展開されるが テーマを考えると あまり脳天気には楽しめなかった。 そんな中で 人間的な魅力を感じたのは 大刀洗万智。彼女が探偵になるという 別のシリーズを読むことにしよう。 彼女との出会いのための一冊だったのだと 納得することにする。
1投稿日: 2016.01.30
powered by ブクログ王とサーカスが読みたくて、まずこちらを読んでみた。 ミステリなのかな?って思っていたらユーゴスラヴィアという国からきた少女との交流で、ユーゴスラヴィアという国の事情と絡むような少し悲しいお話だった。 太刀洗能力は最後の守谷に突きつけた言葉が印象的。 2016.1.24
0投稿日: 2016.01.24切ないボーイミーツガールの物語
異国の少女と出会った少年・守屋は、激しい紛争が続くユーゴスラヴィアの実情を知ることになります。これまで平和かつ狭い範囲で生きてきた少年にとって、はじめて世界を身近に感じると同時に、母国のために自分にできることを成し遂げようとする少女の姿に感化されます。そしてある行動を取ることを決意するのですが・・・それは若さゆえの短絡的思考でした。痛々しくもあります。しかし、こうした苦い経験を経て、登場人物たちはど大人へと成長していくのでしょう。登場人物の一人である大刀洗は「王とサーカス」等で成長した姿を見せてくれます。果たして少年・守屋は、今回の少女との出会いを通じてどのような成長を遂げたのか。彼の後日潭もいつか語られてほしいものです。
2投稿日: 2016.01.23
powered by ブクログいわゆる「日常の謎」派ミステリー。すぐれて青春小説でもある。 人が人に関わることの豊かさ、難しさを考えさせられる。
0投稿日: 2016.01.10
powered by ブクログ「さよなら妖精」 ある日異国から来た一風変わった少女との一夏の出来事。 この少女に関わった高校生4人は短いけどとてもしあわせな時間を共有する。 この少女の国はユーゴスラビィア。当時は6つの国からなっていた。 でも、少女が帰国するときには内戦が勃発し幾つかの国は独立を果たす。 そんな中彼女は帰って行くんだけど、一体彼女はどの国に帰ったのか?ひたすら記憶と格闘しついに突き止める! が、そこにはとても悲しい現実が。。 じわっと切なく戦
0投稿日: 2016.01.04
powered by ブクログ米澤さんの小説はとても読みやすい。 読んでていて、キャラクターたちの行動がほほえましく爽やかだが、少し苦く感じてしまう。
0投稿日: 2016.01.03
powered by ブクログ読み始めてしばらくは「これってミステリ!?」って思ってしまったけど、そういえば古典部シリーズとかもこんな感じだったっけーということを思い出した。そして、どこか切ない青春物も米澤作品ならではだよね。
0投稿日: 2015.12.26
powered by ブクログ「王とサーカス」を読むために読んだけどなかなかの秀作。何と言ってもユーゴスラビアを選んだことが一番の要因だったかも。
0投稿日: 2015.12.15
powered by ブクログ月並みな言い方で申し訳ないけど、人間が描けていないんじゃないですか。致命的だったのは、本作に登場する高校生たちが、リアリティがないというか、全く高校生らしく感じられなかったこと。哲学的意味がどうたらなんて会話、普通ありえないでしょ。 ではミステリの方はというと、いわゆる「日常の謎」がいくつか出てきて、まあこれはこれで面白かったのだけど、そもそもこの物語に必要だったかというと「?」が。。。 それでもラストはちょっとびっくり。他の「日常の謎」をモチーフにしているあの人やこの人の作品では恐らくありえない展開だろうけど、これはこれで良かったと思う。
0投稿日: 2015.12.13
powered by ブクログ≪Neću nikada zaboraviti Vašu ljubaznost. Hvala i doviđenja!≫ 1991年4月. 雨空の下出会った「マーヤ」は,ユーゴスラビアから来たという. この町,おれの知っていること,将来のこと.友人. すべての円の「外」からやってきた彼女は「それは哲学的な意味がありますか」と,日常に埋もれた謎を掘り起こしていく. 1992年. 帰国したマーヤの住む場所を,おれは知りたかった. ユーゴスラビアは,地図からなくなろうとしていた. 6つの国が託した希望.マーヤの願いまでも,消えてしまうのだろうか―. 読了後の,この,なんとも言えない気持ち. マーヤの口癖,「Da」とか「Ni.」とか「んー.」が,まるで本当に会ってたみたいに自分の頭に浮かんでくる. 悲しくも望みを持たせる『THE SEVENTH HOPE』という英題も印象に残る. ボーイミーツガールミステリの傑作です.
0投稿日: 2015.12.05
powered by ブクログ米澤作品2作目。「王とサーカス」の順番待ちなので、同じ登場人物が出てくるという前作を読んでみたのだが、もしかして私は米澤穂信さんの文章は苦手なのかも・・・。 地方都市に住む高校生たちが出会ったユーゴスラヴィアから来た少女。今までよく知らなかった国の話を聞いたり、自分たちの住む街を少女に紹介したりという交流ののち、彼女は紛争が起こった母国に帰る。 1年後、彼女が帰った街はどこだったのか、彼女のその後を知ろうとする彼らの謎解きに胸が痛むのだが、なんというかこの高校生たちに今ひとつ親近感が湧かず・・・。 日本酒の瓶持ち寄って酒盛りする高校生なあ・・・地方都市ならこれは普通なのか? とりあえずいったん気持ちはリセットして「王とサーカス」を待ちます。
0投稿日: 2015.11.27
powered by ブクログ1991年4月の雨の日、高校生の二人が出会ったのは異国からやってきた少女マーヤだった。マーヤと共に過ごすうちに発見されていく様々な日常の謎、そしてマーヤの帰国の日が近づく… 異国から来たマーヤは日本の日常に興味を示し、日本人なら「ちょっと変わってるな」と思い、そのまま過ぎ去ってしまうことにも貪欲に興味を示し、それがなぜかを探ります。 雨が降ってるのに手に持ってる傘を差さない男性、正月でもないのにお餅を神社に供えに行くという若者、墓前に置かれた紅白まんじゅうなど、 そうした日常の謎を、語り手の男子高校生の守屋やそのクラスメイトたちがマーヤと一緒に解いていきます。 日常の謎としてはちょっと無理やり感を感じるもののあったものの、マーヤが日常に新鮮な驚きを見出す姿、そして友情を深めていく様子は爽やかで、読んでいてどこか清々しさを感じます。どこか青春のキラキラした輝きを感じさせます。 そして後半、マーヤの日本に訪れた目的や、彼女の故国のことを知り、普通の日常に物足りなさを覚えていた守屋の心情に変化が訪れます。 このあたりの心情がとてもリアル! 何かをしたい、すごいことがしたい、と思いつつも実際のところ何もできずただただ日常を過ごす高校生。しかし、そこにマーヤという世界に開く新しい扉が目の前に現れたことで、一気に世界を身近に感じ、「何かを変えられる」という思いを抱くのです。 そして、マーヤが去った後に残された最後の謎、その謎が解けた時、胸を締め付けられるような感覚と共に、一つのセカイが終わったことが悲しいほど鮮やかに示されます。米澤さんの出世作となった作品だそうですが、この読後感は確かにそれを感じさせる力があります。 解説を読んでなるほど、と思ったのがマーヤがなぜ日本の文化や風習に固執したか。そこには彼女の故国の事情があったのではないか、と書かれているのですが、それを踏まえて改めて彼女の行動を思い返すと、また切なさを感じました。
0投稿日: 2015.11.12
powered by ブクログぼちぼちですね。 なんとなく古典部シリーズと似ているような感じで。 ストーリーの展開にちょっと違和感を感じて、あまり入り込めませんでした。 米澤作品は好きなんですけど、このスタイルのミステリーはあまり得意でないのですよね。 そう思って、ほかのブログをよんでいたら、やっぱり古典部シリーズの流れがあったようですね。
0投稿日: 2015.10.29
powered by ブクログ再読。 私は、ユーゴスラヴィアという国を知らない……というか、過去に読んだはずなのに、今読んで感じるのはとてつもないもどかしさだ。高校生という幼い彼らに対するいたわりの目線。そして同世代のマーヤの一つ上の立ち位置が切ない。
0投稿日: 2015.10.24
powered by ブクログ『王とサーカス』を読んでみようと思ったんだけど、こちらがシリーズ一弾らしいので先にこれを。思っていたのと違った。『折れた竜骨』みたいな作風だと思ってたけど全然違うんだもん!
0投稿日: 2015.10.17
powered by ブクログ先日の「王とサーカス」がなかなか面白かったので元(?)作のこちらも読んでみました。 デビュー作・・ではないみたいですが、かなりの初期作らしいですね。最新作読んでからこっちを読むと粗削り感がすごい。内容としても、作者が得意とする日常の謎をちりばめつつの東欧紛争をメインテーマにしてる、と。ちょっとまだその混在っぷりが少し無理矢理な感じもしましたが。そもそも「日常の謎」がいまいち納得しきれないところも多かったし。答えありきという感じで。 それなりに面白かったけど、最新作から最初期作を読んだせいでちょっとあらが目立っちゃったのが残念。
0投稿日: 2015.10.16
powered by ブクログ最後ちょっと泣いた この作品に僕の好きな穂信らしさは期待してなかったんだけど やっぱり初期の作品にはあるんだな 自分と言う人間の矮小さ汚さ、そういうものがあると知ってる風にやり過ごす毎日の中で 本当の自分の矮小さや汚さと向き合い 思っていたよりそれは酷くて自分を恥ずかしく、また自分を喪失してしまう瞬間 穂信はそこを映すのが得意だ この作品にはそれがあって、僕はそういう穂信の後味の悪さが好きだ 満願にはそれはなかった そういう思春期にしかない汚さはなかった この作品の続編となる王とサーカスはどうだろう? 彼らが成長してもこの鈍い輝きはあるかな 期待半分怖さ半分だ ユーゴスラビアについて少し勉強にもなった クロアチアに行きたいと言う人が最近いたからどんなところだろうと思っていた 海外は僕には想像できない 僕は日本のことすら知らない 今、僕は海外に行ってみたいとはじめて思っている けれど日本みたいな治安が良い国に住んでいて海外に行っても平気かが不安だ 治安の悪い国から治安の良い国に行くのは不安が少ないだろうけど 逆は不安が多いよね 恵まれて育ったからこその不安だろうな
0投稿日: 2015.10.07
powered by ブクログ米澤穂信作品の中で、ミステリー色が強くないらしいとレビューなどを読んでいたため、積ん読状態になっていた本作。 新作が、この作品の続編という事が読むきっかけになりました。 社会人になってしまえば、あっという間の数ヶ月を主人公達は、異国の少女がきっかけとなって、決して忘れない数ヶ月として過ごしています。 読後の放心状態になったぼくは、読んでいる間はあの数ヶ月にいて、これからもきっと忘れられないのだと思います。 放課後に友達と飲んだ珈琲の味をまだ覚えているような方には、オススメです。
0投稿日: 2015.09.24
powered by ブクログちょっと乱暴な印象のあったラストだったけど、でもあの終わり方だからこそ、登場人物のやり場のない気持ちが際立ってくる感じがして好きだった。ハッピーエンド、ではないけれど、不思議と読後感は悪くなかったなぁと思う。
0投稿日: 2015.09.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
米澤穂信による、リアルな日常系長編ミステリ。 守屋路行らの前に現れた黒髪で日本語を操る外国人マーヤ。2ヶ月の間に彼らとの交流を深めて母国へと帰った彼女から届くはずの手紙は届かない。 本作は突き詰めればマーヤの出身地はどこかを考えていくミステリである。マーヤは連邦国家・ユーゴスラヴィアからきており、ゆくゆくは政治家としてユーゴスラヴィアに新しい文化を作っていきたいという目標を実現するために、日々を送っている。そのささやかな日常の会話の中に彼女の出自や文化を垣間見せてくれる。 ユーゴスラヴィアという国はあまり日本に馴染みがないと思われ、現に自分もほとんどその知識を持たなかったが、本書により随分と身近に感じることができるようになった。とはいえ、ユーゴスラヴィア自体はすでに連邦国家としては解体され、構成国家がそれぞれ独立して現在に至っている。そうした国を題材として取り上げ、時代もそこに合わせて日常の中に織り込ませることで物語としての説得力を高めている。 本作のラストは非常に切なく、もどかしい思いにさせられるが、これもまた今自分たちが生きている世の中の一つの側面であることをわきまえなければいけないだろう。
0投稿日: 2015.08.30米澤穂信による、リアルな日常系長編ミステリ。
守屋路行らの前に現れた黒髪で日本語を操る外国人マーヤ。2ヶ月の間に彼らとの交流を深めて母国へと帰った彼女から届くはずの手紙は届かない。 本作は突き詰めればマーヤの出身地はどこかを考えていくミステリである。マーヤは連邦国家・ユーゴスラヴィアからきており、ゆくゆくは政治家としてユーゴスラヴィアに新しい文化を作っていきたいという目標を実現するために、日々を送っている。そのささやかな日常の会話の中に彼女の出自や文化を垣間見せてくれる。 ユーゴスラヴィアという国はあまり日本に馴染みがないと思われ、現に自分もほとんどその知識を持たなかったが、本書により随分と身近に感じることができるようになった。とはいえ、ユーゴスラヴィア自体はすでに連邦国家としては解体され、構成国家がそれぞれ独立して現在に至っている。そうした国を題材として取り上げ、時代もそこに合わせて日常の中に織り込ませることで物語としての説得力を高めている。 本作のラストは非常に切なく、もどかしい思いにさせられるが、これもまた今自分たちが生きている世の中の一つの側面であることをわきまえなければいけないだろう。
6投稿日: 2015.08.29
powered by ブクログミステリーの要素は薄いけれどもすごく良かった。旧ユーゴスラビアの国に関する話で好きだったサッカー選手や監督の話を思い出してさみしくなったりも。
0投稿日: 2015.08.22
powered by ブクログ王とサーカスを読みたいがために読んだ。 (あらすじに書いてある彼女はユーゴスラビアの国の中で何処へ帰ったのかというミステリーとは少し違った。残された者たちは何ができたのか??) 残酷な未来が待ってる中で 人は何処まで生きていけるか
0投稿日: 2015.08.14
powered by ブクログ不朽のボーイ・ミーツ・ガール・ミステリ、待望の文庫化。 「哲学的意味がありますか?」 彼女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。 忘れ難い、出会いと祈りの物語。 『犬はどこだ』の著者の代表作! 1991年4月。主人公・守屋路行とその仲間たちと、雨宿りをする少女・マーヤとの出会いは、 彼女がめざすユーゴスラヴィア建国のために与えられたようなものだった。 2か月の時を過ごし故郷に帰ったマーヤ。 その一年後彼女は紛争の続くユーゴスラヴィアのどこへ帰ったのか。 彼女との日々を思い出しながら、その答えを求めていく。 弓道での振る舞い、紅白饅頭、名前の由来、などなど事細かなところで、 ふとした疑問を「哲学的意味がありますか?」で問いかけるマーヤ。 彼女の境遇、背景に圧倒され自分の無力感に苛まれる主人公。 本作の結末はあらかじめ提示されえいるとはいえ、確かに忘れ難い余韻を残すものだった。
0投稿日: 2015.08.13
powered by ブクログ題名からうっすら予感はしていましたがなかなか最後はつらいです。始まりの出会いや途中の他愛ない話とか、なぞときや、送別会しているときは、年相応に見えます。でも経験が圧倒的に違いすぎるからか、自国の将来を考えて、政治家を目指すという信念を持ち語るマーヤはとてもかっこよく、そしてだからこそもったいなかった存在です。 実際遠い地で起きていることなんて、よっぽどでない限り気にもとめないので、深刻さもあまりなく、テレビの中だけで起きているような感覚ですが、マーヤのような悲劇は減っていくことを願うばかりです。
0投稿日: 2015.08.01
powered by ブクログこの作品の続編が出ると知って。 同じ作者で古典部シリーズを読んでいるので。 かなり早い時点で一度、本を閉じた。 まぶしいというか、胸の奥が痛いというか、 なにか辛くなって。 その時は、 少し離した方が字が読みやすくなってきているお年頃には、 青春が痛々しいのかと思っていた。 もしくは、冒頭の雰囲気から、 あまり良くない先行きを予感していたせいかもしれない。 しかし、結末は予想以上だった。 そして、腹立たしかった。 こんな結末は読みたくなかった。
0投稿日: 2015.07.25
