
総合評価
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powered by ブクログ一止って名前がいいですね〜なんか好きになった! 簡単に言うと…医療現場は色々忙しくって大変だけどお仕事頑張って続けます!というタイプの本 奥さんもいいし周りの人もいいし…続編も気になりますね〜
0投稿日: 2025.11.12
powered by ブクログどんな仕事をしていても、忙しい時に人の本性が出てしまう。 忙しい医師は、人の死に慣れていかないとやり切れないのだと思うけれど、こんなに心優しい自分を保てる栗原先生みたいなお医者さんも、きっとどこかにいるんだと思う。 昔の医療だったら、 できる限りのことをして! というのがちょうどよかったけど、 今では医療が発達したので、 身体を痛めつけるだけの延命 になってしまうことがあるという話には、心から同感。 私の祖母は、脳梗塞で倒れてから、大好きなお喋りもできず、美味しいものも食べられず、テレビさえ見れなくなって、ただ病院の白い壁を見ながら3年寝たきり。 歩き回るのが大好きで、いつも笑っていて、明るくぽっちゃりしていた祖母が、痩せ細ってただ生かされている姿は、本人も望んでいなかったと思う。 口は悪いけれど、心優しい栗原先生。 ユーモアもあってとても心地よい気持ちになる小説でした。
7投稿日: 2025.10.15
powered by ブクログできるだけ長く生きること、できるだけ長く延命させることだけが、ぼくたちの、医者の生きる道でしょうか。 「とにかく長生きしたい」「肩をこわしてもいいから次の一戦で勝負したい」「寿命が短くなってもいいから酒タバコを嗜みたい」「息子のことを忘れるくらい呆けるなら生きるのを終えたい」「自分を覚えてる人が誰もいないなら死にたい」一人一人の生き方は異なってあるべきだし、それを最終的に決定するのは自分自身であるべきでしょう。様々な人生観がある中で、自分のそれを、他人に介入されたり干渉されたりすることは耐え難い苦痛です。 もっともパターナリズムという考え方があります。本人の判断能力の未熟さを理由に、専門的知識をもつ人や立場の強い人が、彼の利益を思って、行動に介入したり干渉したりすることです。 小学生の頃、毎週父から作文の課題を与えられてました。当時は嫌々取り組んでいたのですが、現在少しはまともな文章が書けるのは、その添削のおかげかなと思ってます。当時のぼくの判断力では将来の利益に気付かなかったでしょう。 小学生の頃、音大を出ている母からは冗談まじりにこんなことをよく言われました。「音大行くのはやめときなさい。才能があっても厳しい世界。特にあんたは男なんだから家庭をもちたいなら学校の先生になるしかない。」辛辣な意見ですね(そんなこと言われる前にぼくには音楽への情熱も才能も欠けているのですが……)。母は確かにぼくの将来の利益を考えてくれたのでしょう(介入や干渉と呼べるほど強いものではありませんが)。しかしこの言説がぼくに将来の利益をもたらしたかどうかはわかりません。最近までこれ以外の考え方はぼくにはありませんでしたし、自分でこの思考に達するという経験が欠けているからです。音楽の世界の厳しさを知りませんし、あきらめる経験をしていないのです。 子どもに対する大人の影響は非常に大きいものです。細心の注意を払ったとしても、違う意図で伝わってしまったり、自分の価値観を強いる形になってしまったり、本人の意思を認めず単にその未熟さを嘆いてしまったり。 学校という場所では意図するしないに関わらず「生き方の見本」みたいなものが示されています。椅子に座る時は、両足は床につけて、背もたれには寄りかかりません。背筋は言わずもがな垂直に伸ばします。それ以外の姿勢は勉強に相応しくありません。友達は「くん」か「さん」をつけて呼ばなければいけません。それ以外の呼び方はいけません。 また今を楽しむことよりも、将来の苦労を減らすことが重要です。我々の人生は常に次のステージへと準備を続けていかなければなりません。つまり次のステージを知らない我々は、年長者・教師の言うことを素直に聞き、従うことでそれが可能となります。 ある程度の指針は必要かもしれませんが、我々はここまで生き方を決められなければならないのか?? その人にとって何が利益で何が幸せなんてことは誰にもわかりません。外野の意見は所詮、参考にすぎません。専門的知識をもつ他人に決められ続け、それが自分にとって幸せかどうかを考える、判断する機会を失った子どもはどうなるでしょうか。 ぼくは思います。可能な限り本人の意思に従うことが、真実を掴むための唯一の手段なんじゃなかろうか。 医療現場では近年患者自身の意思が大きく尊重されるようになってきたと聞きます(実際ぼくにはさっぱりわかりませんが)。教育現場はどうでしょうか。我々は子どもを未熟な者と決めつけ、対等に渡り合うことはなかなか困難です。人の人生は専門家の一元的な価値観で決められるものなのか。 未来の可能性溢れる子どもと、狭い価値観しかもたないぼくがどう付き合うか、日々悩んでいるのですが、少なくともぼくはぼくの人生を生きたいと考えています。
1投稿日: 2025.10.10
powered by ブクログ十分楽しめる内容。しかし妻であるハルの描写に思わせぶりな箇所が多く、何か叙述トリックが潜んでいるのか?と気になって本編に集中できなかった ・御嶽荘の住人としかハルが話している描写がない ・ハルの話を出すと東西看護師とかが妙な反応をする ・いかにも非モテ男性の理想像のような外見、性格 ・貧乏独身男性しか住まないようなボロ家に同居 ・不在が多く多忙な医者に都合の良い設定 ・性的な接触をしている気配がない いかにも怪しい。 2巻目途中でギブアップし、ネタバレ調べたらハルは実在する普通の女性らしい。紛らわしすぎる
1投稿日: 2025.09.24
powered by ブクログ栗原一止は、信州になる病院で、殆ど休みなしで働く内科医。母校の信濃大学医局から誘いの声がかかる。大学に戻れば最先端の医療を学ぶ事ができる。だが大学病院では診てもらえない、死を前にした患者のために働く医者でありたい.悩む一止の背中を押してくれたのは、高齢の癌患者、安曇さんからの思いがけない贈り物だった。2010年本屋大賞2位。 私が一番心に残ったのは仏師が仁王を彫る話「あれは木に仁王を彫り込むじゃない.最初から木の中に仁王が埋まっているのを掘り出すだけだから、容易なものだ」思えば私の仕事も同じようなものかもしれない.点滴やら抗生剤やらを用いて絶える命を引き延ばしているなどと考えては傲慢だ。もとより寿命なるものは人智の及ぶところではない。最初から定めが決まっている.土に埋められた命を掘り起こして光を当て、より良い最期の時を作り出していく、医師とはそういう存在ではないか。
1投稿日: 2025.09.11
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。 https://opac.shigakukan.ac.jp/opac/volume/65506
0投稿日: 2025.09.11
powered by ブクログ松本市にある救急病院の内科医が主人公の医療小説。 作者の日常を小説にしているからか、目の前で起きているような臨場感がある。 特に安曇さんのエピソードは親しい人の病と同じだったので涙が止まらなかった。 患者にとって主治医は心の支えであり、人生の最期のかけがえのない出会いになる。 また、終末期医療と聞けば「死」がイメージされるが、逆に「生」との向き合いの方が問われるのではないか。人生の最期、いくつものポンプにつながれて死に行く人、家族の都合で延命治療を余儀なくされる人、幸せな死とは何か、生きることの本質を考えるきっかけになった。 読後、ドラマも観たが小説の方が小気味よく、何倍も物語に没入できる。 ドラマで本作を見た人にも小説を読んでほしい。
0投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログ文体、表現、ユーモアが、センスの塊のような文章。 どのページを見ても面白い。 どのエピソードも心が揺さぶられるストーリー。 映像化されているが、文章で読まないと、この面白さは伝わらないと思う。
11投稿日: 2025.08.21
powered by ブクログ安曇さんの手紙に涙、ハルさんの可愛さにニヤニヤ、他にも周囲のキャラの個性で読後幸せの気持ちで包んでくれる素敵な小説でした。
2投稿日: 2025.07.31
powered by ブクログ大好きなミスドで読書することが多いので、読みながら泣けてきて大変でした。 私はこの病院で働く人たちのように、周りの人たちを思い遣っているか、安曇さんのように感謝して死んでいけるのか、ハルさんのように夫に幸せと安らぎを与えることができているのか。毎日少しずつでも心に留めて生きて行きたいと思う。
1投稿日: 2025.07.31
powered by ブクログ信州にある「24時間、365日対応」の病院で働く、内科医の栗原一止の喋り方が独特で夏目漱石を尊敬している面白い内科医。 経験豊富な看護師と、変わり者だが優秀な外科医の友人と助け合いながら、狸のような先輩内科医とか登場人物の例えとか主人公とのやり取りが面白い笑
1投稿日: 2025.07.06
powered by ブクログ医者というのはキツイ仕事かも知れないが、主人公の周りの人物はみな優しく愛嬌があり、心が重くなることも無くやんわりと読むことができた。 やはり面白かった。
0投稿日: 2025.06.26
powered by ブクログ医者という職業に驕らず、過酷な労働環境の中、ひたむきに患者と向き合う主人公。クールで知的ながらも内に秘めた思いやりが心に響く。周りの登場人物もそれぞれ個性的であるが、共通して熱い思いが伝わってくる。生きているからこそ人に感謝することができ、優しさを与えることができる。命の尊さを考えさせられる一冊。是非シリーズを読み進めたい。
15投稿日: 2025.06.17
powered by ブクログやっと読んだ。いつ買った本かな? 確かに面白い。何かイベントがあるわけではないが良い話が進んでいく。こう言ったのもアリなのかな。
0投稿日: 2025.05.31
powered by ブクログ2025/05 オーディオブック 優しい話、あまり病気の技術とか病気そのものについてというより、病気の人たちとの交流とか、周りの人との交流がメインで、医療ものというよりはヒューマンドラマな感じ。
0投稿日: 2025.05.30
powered by ブクログ医療をテーマにしている小説は初めて読んだが、誰でも読めるように配慮されているなと感じた。 また、登場人物のキャラクターと安曇野の描写がとても自分好みで早く2を読みたいと思った。
6投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログ地方の救命救急病院で働く若い内科医が、過酷な毎日に辟易し自分の進む道に迷いながらも、友人や患者との触れ合いを通して未来を見定めていく。 読み易く、低年齢向けに配慮されていると思われる一方で、あえて難解な言い回しを多用して文体を古風に近づけているように感じるのは「難読漢字に慣れてもらいたい」という作者から子供たちへのメッセージだろうか。 キャッチコピーは『神の手を持つ医者はいなくても、この病院では奇跡が起こる』だが、作中では難病患者が劇的に回復するような奇跡は何も起こらない。当たり前の日常として、当たり前に患者の死を看取ること、それも一つの奇跡ということかもしれない。医者の本分は何か?という主人公の迷いを通して人生や生命の意味を問いかける秀作。
0投稿日: 2025.05.24
powered by ブクログ主人公・栗原一止(くりはらいちと)は、信州松本にある本庄病院に勤務する内科医である。彼が勤務している病院は、地域医療の一端を担うそれなりに規模の大きい病院。24時間365日などという看板を出しているせいで、3日寝ないことも日常茶飯事。自分が専門でない範囲の診療まで行うのも普通。そんな病院に勤める一止には最近、大学病院の医局から熱心な誘いがある。医局行きを勧める腐れ縁の友人・砂山次郎。自分も先端医療に興味がないわけではない。医局に行くか行かないかで一止の心は大きく揺れる。 そんな中、兼ねてから入院していた安曇さんという癌患者がいた。優しいおばあちゃんという様相で、看護師たちには人気者だが、彼女は「手遅れ」の患者だった。「手遅れ」の患者を拒否する大学病院。「手遅れ」であったとしても患者と向き合う地方病院。彼女の思いがけない贈り物により、一止は答えを出す。 ------------------------------------------------- あぁ・・・最高な医療小説ですよね・・ ずっと読みたかったのですが、やっと巡ってきました。 大きな感動というよりは、心の奥底を少しずつえぐってくるような感動を覚えます。 そして、ときどきかまされる「ユーモア」栗原先生のキャラクターが本当に愛すべきです!夏川草介さんの描くお医者様は本当に素敵過ぎます。 勢い余って、映画も少しかじってみたのですが・・・主人公が全然イメージと違って・・・「ちがーーーーう!!」と心で叫びつつ、見ています。。 もう少し考えて欲しいものです。。うぅぅ それから、長野の話なのでおいしい地酒の話がでるのもいいですよね 私の大好きな「佐久の花」があったときは 目がハートでした。 佐久の花は爽やかなりんごの香りがしてとてもジューシーなところがお気に入りです! 夜明け前・飛露喜もいい♪ とにもかくにも、この先2~3+新 と続きますが、全て読破します!!
26投稿日: 2025.05.22
powered by ブクログ読んでいて心地の良いお話だった。 一止が悩みながらも地方病院の内科医としての生き方に確信を持つまでの過程に、胸がじんと熱くなった。 それにしても、ちょっと変人の一止と次郎に可愛くてよくできた奥さんや彼女がいるのはどうしてだろう。そこが現実離れしてるなぁと思いつつ、この作品の魅力でもあると思った。
1投稿日: 2025.05.18
powered by ブクログ読み終わった最初の感想は、とてもほっこり、心温まるお話…と思う。 正直、最初の1/3ぐらいまでは、小説と私のテンポが合わない感じで、物語に入り込めずなかなか読み進められなかったけど、そこを過ぎたらまあまあ読めました(上からな感じでごめんなさい)。 優しいお話だなぁ〜と思うし、安曇さんのエピソードは、涙なしでは読めない部分もあった。 だけど全体としては私の好みの小説ではなかったと思う…好みの問題なのでね。 ちょっと脱線しますが、読み終わってから映画化の時のキャストを見たら安曇さん役が加賀まりこでめちゃめちゃびっくりした!! イメージとしては正反対。 まあ、映画を見てもないのにそんなこと言うのも我ながらどうかと思いますが…。
1投稿日: 2025.05.13
powered by ブクログ何年も前から読んでみたかったが、シリーズ何作もあり、読むなら全部読みたい自分はなかなか手に取らなかった。 何の予備知識もなく一気に読み終えることとなった本作は、人の死を扱っているにもかかわらず温かな物語と強く感じた。それは登場人物のキャラクターによるところが大きく、特にハルさんには大変惹かれ楽しませてもらった。 と同時に病気についてもあらためて唸らされた。 病むということは、とても孤独ということです、という一文には強く共感した。 30年以上にわたり持病を抱えている自分にとっては沁み入った。 ただそれさえも前向きな物語としている本作はホントに素晴らしい。 出版と同時に読んだ読者は、この作品がこれから何作にもわたるシリーズになることを予想していたのだろうか? 今頃初めて読んだ私は幸運にもシリーズ化を知っているので、この温かな物語をゆっくり味わっていきたい。
2投稿日: 2025.05.09
powered by ブクログ夏目漱石が好きな主人公らしく(?)難しい言葉が多く辞書を引きながら読み大変語彙の勉強にもなりました 作者は医者ということである程度現実に近いものという前提で地域医療の凄まじさに感服した。まさに命を削って日々奮闘しているけどやっぱりその姿勢には疑問が大きい。それでいいのか?と 物語としては 砂山先生東西さんに安曇さん大狸先生古狐先生、ハルさんに男爵、学士殿、魅力的な人物が沢山出てきてそれぞれの関係も素敵だった 信州には行ったことないけど1度行ってみたいな
2投稿日: 2025.05.05
powered by ブクログ一に止まると書いて「正」を意味する。 主人公の栗原一止は医者不足の中、地域医療に従事するが、その中でも人との関わりの大切さだけは忘れない。 高齢者ばかりで、死を待つのみの人に対しても、真摯に向き合い、そして、自分の医療に対して葛藤する。そんな姿が美しい。 自分の名前に込められた哲学を体現できる人って実は少ないんじゃないかと思う。けど、それが実現できる主人公はかっこいい。 読んでいて、心が落ち着くような物語だった。
0投稿日: 2025.04.25
powered by ブクログ古風な言い回しや 特定の街並みを行き交ったり 気持ちの良い登場人物など kojiさんが好きな 森見登美彦センセの 世界と繋がっているのでは? なんて、思わせるくらい 雰囲気が似てて 好き☺️
2投稿日: 2025.04.19
powered by ブクログうっかり電車で読んでしまって、初めは古風な語り口からいまいち入り込めなかったけどどんどん感情移入してしまって 電車で読んじゃダメなやつだった、最近涙腺弱くてボロボロになってしまった笑
0投稿日: 2025.04.13
powered by ブクログ良かった。 仕事の昼休みに読み、危うく涙しそうになった。 安曇さんの手紙は展開としてはベタだが、それでも良い。 非常に読みやすく、すぐに読み終わる。 なんだか、もっと読んでいたい気分になる。 続編も引き続き読みたい。
1投稿日: 2025.04.07
powered by ブクログこの小説の主題は何かを考えたところ、勿論人の死に対しての、宿命性と周囲のありようというところが見え隠れするところだが、サブタイトルとしては逼迫する地方医療と人材不足か。 24時間、365日対応の本庄病院内科医の栗原一止を通しての病院激務を説明する。 そしてこの作者の好みなのであろうか主役をして夏目漱石の影響を受けたとして、古文的な話し方といい、登場人物の渾名のつけ方も大狸先生、男爵、学士なども坊ちゃんかとツッコミを入れたくなる。 医療系小説にしては説明すぎず、サラッとした文体であり、少し主役の住む御嶽荘の個性的な面々の設定はありなのである(個人的には御嶽荘の話しのところは好みである)が、あまりにサラッとしているためか、生命を取り扱っている題材にしては重さを感じない。計算してそうしているのか、もう少し何処か踏み込みが欲しくなるのは自分だけだろうか。
3投稿日: 2025.03.25
powered by ブクログ再読。 主人公で内科医の一止が、漱石フリークな故に話し言葉がちょっと変わっているが、優しいお話しでした。
2投稿日: 2025.03.22
powered by ブクログ映画化される前に読んだ時はそれほどはまらなかったのだけれど、久しぶりに続きを読んだらすごく沁みて、一巻から読み直しています。 大切な人を亡くす痛みを知ると、一止先生やその周りの人たちの良さがまだじわじわとわかってくるのだなと思いました。
2投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログ一止が古めかしい言葉で話をするのが、いまいち受け入れられなかった。その設定には意味があるのだろうか。妻のハルさんも、男性の理想のなかにしか存在しない幻の女性では?と思った。 しかし患者の最期に際し、医師としての役割と、患者個人の想いや願いを大切に思う気持ちとの矛盾に苦しむ描写には心揺さぶれるものがあった。夏川さん作品は【スピノザの診察室】で初めて出会い、静かながら深い感動があり、逆流して本書を読んでみた。冒頭に書いた部分について不思議さを感じてしまうものの、根底にながれている生死に向き合う医師の答えのない哲学的な思想に出会えた。
1投稿日: 2025.03.08
powered by ブクログ再読。 「24時間、365日対応」の病院で働く若い医師栗原一止の物語。読み終わった後の心地よさが忘れられない一冊。櫻井翔さんや宮﨑あおいさんの映画版もよかった。私の好きな松本が舞台になっていることもあり、何度でも読みたくなる。 何と言っても主人公の栗原一止の古風な時代錯誤の話し方がおもしろい。「右顧左眄」(うこさべん)や「須臾(しゆゆ)」「挙措(きょそ)」「希死念慮(きしねんりょ)」「献酬(けんしゅう)」「恩寵(おんちょう)」など普段あまり見ないような難しい熟語も使われている。 慢性的医者不足の地方病院では、外科でも内科でも耳鼻科でも皮膚科でも、ひとりの「救急医」が診療を行わなければならない。しかもベテランの医者は少ないし、食事をとる暇もなく、昼も夜も眠れない。それを研修医たちの力を借りて、かろうじて乗り切っている。そういう厳しい状況の中で、自分のこれから進むべき道に悩みながらも患者さんのことを真剣に考え患者さんに寄り添って対応している一止の姿に感動した。 一止の細君であるハルの可愛らしさも、一止が住んでいる御嶽荘の住民である男爵と学士殿の個性的な面白さも、同僚の次郎や上司の大狸と古狐の思いやりも、安曇さんのやさしさも魅力的に描かれている。 学士殿の門出の場面、安曇さんが残した手紙を読む場面では思わず涙が出てきてしまった。 心温まるステキな物語で、手元に置いて何度でも読みたい一冊。 心に残った言葉 「一に止まると書いて、正しいという意味だなんて、この年になるまで知りませんでした。でもなんだかわかるような気がします。人は生きていると、前へ前へという気持ちばかり急いて、どんどん大切なものを置き去りにしていくものでしょう。本当に正しいことというのは、一番初めの場所にあるのかもしれませんね」(安曇さん) 長い人生だ。いずれまた道を見失い戸惑う時も来るであろう。右往左往して駆け回り、瑣事にとらわれて懊悩することもあるであろう。そんな時こそ、私は声を張り上げて叫ぶのである。 立ち止まり胸を張って槌を振り上げよ! 足下の土に無心に鑿(のみ)をくわえよ! 慌てずともよい。 答えはいつもそこにある。 一に止まると書いて〝正しい〟と読むではないか。
26投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
娘が研修医1年目の彼と結婚したのを機に読んでみました。医者という職業の大変さや凄さがヒシヒシ伝わってきました。義理息子くんも夜勤があったり大変そうだけど、この素晴らしい仕事に誇りを持って、全うして欲しいです。一止の今後も気になるので、続編もこれから読みます。 御嶽荘の廊下が満開の桜になったところが震えるほど感動したのと、安曇さんが屋上で見たアルプスの山々を見たいので、映画も見てみようと思います。
1投稿日: 2025.02.05
powered by ブクログ私の中で最高の1冊。 人としての在り方を最も考えさせてくれた本です。 主人公の風変わりな語り口調で進んでゆく物語。 少し古風な文章に抵抗がなければ、とても読みやすい小説だと思います。 まず全てのキャラクターが濃い! 登場人物を覚えることが苦手な私でも全登場人物を認知できました!笑 患者さん含めると多くの登場人物がいます。 それぞれの人間がそれぞれの意思を持って生きている、当たり前のことですがそれを更に強く実感させてくれました。 日々の仕事の中でたくさん考え、たくさん悩んでいる主人公を応援したい。 もっと感想を書きたいけれど、読み終わったあとの感情を表す言葉を私は知りません。 みんなに読んで欲しい本です。
2投稿日: 2025.02.01
powered by ブクログかなり昔に読んだもの。安曇さんのくだりは毎度号泣。実際に安曇さんに会ったことはないのにこういう患者さんなんだろうっていうのがリアルに伝わる。
5投稿日: 2025.01.17
powered by ブクログそういえばまだ読んでない と 今更感はあるけど 読みました。 おもしろい。文章も内容もテンポ良く 読みやすいし。ご自身の経験があるからこそ 書けたお話ですね。医療用語や病状名もすんなり読めました。 死という 余りにも重たい話でも真面目で朴訥で一生懸命な一止先生の対応で 暖かく感じられてしまうほど。第3話 月花の雪は思わず涙でした。 こんな先生が近くにいてくれたらと思うけど 患者さんの為に無理をしてしまう一止先生の身体が心配になってしまいました。
17投稿日: 2025.01.17
powered by ブクログ不治の病や、心の病を通して、生きる意味を考える。登場する人物の優しさに泣ける。 主人公の一止という名前が、とても素敵な意味の込められたものだと知る。苦しいときには、あれこれを手を尽くしてみるものだが、一度立ち止まって、今ある恵みを噛み締めることを忘れないようにしようと思う。 やっぱり医療っていいなぁ!
1投稿日: 2025.01.13
powered by ブクログ独特な語り口に最初は戸惑いましたが、それも不器用な一止をよく表していて、途中からはこの作品の良さになっていると思いました。 御嶽荘の仲間や職場の同僚たち、上司、そして何と言っても患者から愛されているのは医者冥利につきる。 優しい気持ちになれるシーンが多かったです。 細君のハルはどんな人なのだろう。
12投稿日: 2024.12.27
powered by ブクログ2009年、単行本出版。「今更、読みました」だけど。現役医師で32歳の時に、初めて書いた作品でコレかっ!?…って出来ですよね、今更ですが。「この著者の他の作品は?」と検索してみて、デビュー作だと知って驚愕。面白いし圧倒的だし、かと言って妙に重過ぎないし、リズムが良いが決して軽くない。立ったキャラが浮くことも無い。信じられないなぁ…。続刊、これから読みます。
2投稿日: 2024.12.18
powered by ブクログ強い信念のもとに医師として人間としての生き方を教えてくれているような本でした。 またしても素敵なシリーズものに出会ってしまった♪次も読むぞーて感じになった本です。
1投稿日: 2024.12.14
powered by ブクログ友人に借りた本、3冊目 ドラマなどで話題になっているので名前は知っていたけれど、読んだのは初めて 第二章で泣いた〜 病院の場面ではなくて、友人が故郷に帰るシーン 夏目漱石が愛読書という主人公の独特の語り口調も私は好きです
1投稿日: 2024.11.25
powered by ブクログちょっと他とは比べものにならないくらい思い入れがある本作。主人公の一止が「草枕」を擦り切れるほど読み込んでいるように、私は「神様のカルテ」をことある事に読み返しています。 今、留学先にいるのですが、お守りとしてどうしても肌身離さず持っておきたく、限りあるスーツケースの容量を割いてこの文庫本を連れてきました。苦しくなった時、自分の軸がブレそうな時、優しく力強く正してくれるのはいつも夏川作品です。私にとってバイブルのような作品です。
5投稿日: 2024.11.18
powered by ブクログ主人公栗原一止は地方で終末期の患者と真摯に向き合う心優しい医師。ちょっと変わり者ではあるものの、その純粋さと優しさが周囲の人々の心を救い、物語を豊かに彩ります。主人公が、不器用で生きにくさを感じる人々や、死を目の前にして孤独に苦しむ患者に寄り添う姿は美しく、「優しさの本当の価値」について深く考えさせられます。正解が見えない中で、思い悩みながらも前進する姿はとても綺麗で、この作品を読んで良かったと心から思いました。また、夏目漱石が好きな著者ではありますが、技巧を凝らした難しい文体ではなく軽やかな文体で書かれてますので、サクサク読めるのもポイントかと思いました。
5投稿日: 2024.11.14
powered by ブクログ主人公の独特な語り口で進んでいく話。 僻地医療で最前線で働く医師のリアルな現状あり、いろんなことが混じり合っていく。
4投稿日: 2024.10.12
powered by ブクログ松本に行ってみたくなる。 深志神社や松本城、アルプスが見たくなる。コーヒーが飲みたくなる。 こんな医師がいたらいいなぁ、と思う。
1投稿日: 2024.10.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
夏川作品の読後に訪れる、 この温かく揺蕩うような心地が好き。 『本を守ろうとする猫の話』シリーズ、『スピノザ』に続く4冊目の夏川作品も相変わらずの傑作だった。 ここまで人の気持ちを心地よくできる作家さんを 夏川先生以外私は知らない。 イチ(一止)は、本庄病院で地域医療に密着し動き続ける医師。イチは大学医局から誘いを受けているが、自分が本庄病院の患者を置き去りにしてまで、医局の最新医術を学ぶべきなのか自問する。彼が最後に選んだ選択、そして患者さんを通して彼が成長していく姿に胸を打たれた。 また本作の見どころは登場人物にあるといっても過言でない。イチを支える細君ハル、イチの友人の男爵や学士殿、そして医者仲間…みんなイチを慮っていて、すごく優しい世界だったなぁ。 またイチやみんなに会いたい! p.151 学問を行うのに必要なもの(第二話 門出の桜) 「学問を行うのに必要なものは、気概であって学歴ではない。熱意であって体裁ではない。」 p.200 一に止まると書いて…(第三話 月下の雪) 「一に止まると書いて、正しいという意味だなんて、この年になるまで知りませんでした。でもなんだかわかるような気がします。人は生きていると、前へ前へという気持ちばかり急いて、どんどん大切なものを置き去りにしていくものでしょう。本当に正しいことというのは、一番初めの場所にあるのかもしれませんね」
1投稿日: 2024.09.01
powered by ブクログ人生とは何か、幸せとは何か、正しさとは何か、ひとつ進むごとに問い直すことが、人間らしい生き方なのだと思います。わたしも栗原先生のような医師になりたかった
2投稿日: 2024.08.21
powered by ブクログスピノザが良かったのでこの作者の他の作品ご読んでみたいと探したら、神様のカルテの作者だったことにびっくりした。そっかこの方だったのか。 普段は人に道を譲るような一止、でも信念だけは譲らない姿勢に感動した。 学士殿への言葉も、男爵の描いた桜の花道も、万歳も。これ以上の餞はない。誠意を持って生きれば、小さいけれどちゃんと前進するんだって信じられる。 幸せな涙が止まらない素敵な1冊でした。もっと早く読めばよかった!
9投稿日: 2024.08.15
powered by ブクログ良い話だった。草枕が好きな主人公だけあって、坊っちゃん風あだ名を持つ脇役がみんな個性があり面白い。それにしても、勤務医が忙しすぎるのは、患者側としては心配。80歳過ぎたら、若い医師の時間を奪うような過度な治療は断ろう
75投稿日: 2024.08.13
powered by ブクログちょっと?変人である栗原一止が内科医として勤務する病院は、24時間365日対応なので、とにかく忙しい。 そんな一止に母校の大学病院から誘いがかかる。 大学に戻って最先端の医学を学ぶか、それとも大学病院では診てもらえない死を前にした患者のために働くか。 悩む一止の周囲の人々、写真家の妻だったり、同僚の熊のような医師だったり、また死を前にした心優しい患者や看護師さんが個性豊か。 どのように最期を迎えるか、考えさせられた。
1投稿日: 2024.08.09
powered by ブクログ医者として症例に対処するのではなく、人として心から人に対応する主人公。 実際の現場ではとても難しいことなんだろうと思いながら読みました。 死ぬまで人間らしく生きることの意味、永遠の議題ですね。
2投稿日: 2024.08.05
powered by ブクログお医者さんというのは、本当に生半可な覚悟では生業にできないものだ。眠くても、苦しんでいる患者さんのために働き、身を削る。 主人公の一止先生は、変り者と見られながらも、患者と向き合い、悩みながら、自分の道を探すストーリー。温かい空気感に包まれ、生きるとは…ということも考えさせられました。
7投稿日: 2024.07.30
powered by ブクログとても読みやすかったです。 主人公の栗原一止も少し変わっているけれど、人間らしくとても好きなキャラクターでした。 安曇さんの最期を、医者としてよりも本人と関わった人として見守った判断はグッときました。 そして解説が上橋菜穂子さんで、個人的に嬉しかったし最後の最後まで温かな余韻で終わりました。
2投稿日: 2024.07.26
powered by ブクログ久しぶりに読書で泣ける小説を読んだ。 この作品のシリーズがベストセラーになるのも頷ける。 最終医療の現場を描き、安雲さんの死を描くシーンは涙が止まらない。
0投稿日: 2024.07.22
powered by ブクログ久しぶりに本を読んだ。 地方の医院で働くか大学病院で働くか、それに関する話。登場人物がすごい個性的でおもしろく、読んでて楽しい。
12投稿日: 2024.07.19
powered by ブクログ涙腺壊れた。 映画を先に観ていてストーリーもテイストも分かるつもりで読んで壊れた。 改めていい原作にいい映画だったんだと思う。 5冊セット大人買いします。
1投稿日: 2024.07.16
powered by ブクログ地域医療に携わりとにかく忙しい医師、一止。 漱石のファンでありそれに影響され全編を通し表現や口調が古風でノスタルジック。読んでいてそれが面白い。 一止とその周りの医師や看護師、奥さん、患者とのやり取りも楽しい。 胆のうがんにおかされた安曇さんと一止の心のやり取りに感涙。 病気になるということは孤独であるという安曇さんの言葉。 忙しい業務の中少しでも患者に寄り添うことができる医師が増えることを願う。 それと同時に常に多忙な医師の働き方改革も絶対に必要。 一止のますますの成長も楽しみである。
7投稿日: 2024.07.13
powered by ブクログ今も昔も私のバイブル。科学の美しさに魅せられた私を医療の面で生かす道に進ませてくれた根源。医療の道で人のために心の面でも尽くせるよう奮闘する栗原一止の姿が私の心にすごく刺さった。
3投稿日: 2024.07.12
powered by ブクログ安曇さんの手紙、泣いた 出てくる登場人物のキャラクターが個性的でたまにやりとりでくすりと笑える 重い話のはずなのに、読後感は穏やかな気持ちになった
0投稿日: 2024.06.30
powered by ブクログ一止が安曇さんに施した最後の医療は、美しく散る桜のようだった。 安曇さんは孤独は辛いと言った。 細君のようなパートナーに出会えば最高だと思った。
0投稿日: 2024.06.30
powered by ブクログ穏やかな一冊。リアルな医療系だし、亡くなる人もいるのになぜだろう。きっとそれは、主人公の話し口調が持ってくるものかもと思いました。読み始めて「なんじゃこりゃ?」と思いました。時代設定の問題かと思ったら主人公の性質でした笑 また、誰も不幸にならないという安心感も本書の穏やかさに貢献していると思います。続きが気になってどんどん読めますし、キャラも立っていてわたしは続編を読みたいなと思わされました。 ■不器用な中の優しさにきゅん 主人公が細君を「ハル」って呼ぶのにキュンとしました。普段は古風なので、そこは「細君」とか「ハルナ」というイメージだったので、ちょっとギャップ萌えです。 ■どんでん返しはない 流行りの?伏線とか、おもわず前のページを見てしまうようなどんでん返しはありません。本書は主人公の性格のように実直で淡々と進みます。なので、ブクログユーザーの方は展開が読めてしまうかも? ■地方医療の過酷さ 著者が医師なので、きっと実際もそうなのでしょう。40時間勤務って過酷すぎます。わたしだったら、正しい判断ができなくなるでしょう。だからといって医師を増やすか?高齢化の中で治す医療はそこまで求められないのに、高度化する医療がよいような風潮。いろんな医師がいて然るべきなのに高齢化に対応する医師や制度がない現実。でも自分ひとりでは変えられなくて常に悩むのもわかる気がしました。
7投稿日: 2024.06.27
powered by ブクログ人生が幸せだったか、今、幸せか? 誰もが病気と闘うが自分の人生が何だったかを考えさせられる一冊であった。しかし、医者、ドクターには感服である‥
0投稿日: 2024.06.18
powered by ブクログ言葉がとてもきれいで、心が洗われるようなストーリーでした。 先に映画を観ていたのですが、登場人物の魅力がさらに深められて良かったです。 一止先生のキャラクターもとても素敵だったなあ。
0投稿日: 2024.06.17
powered by ブクログ2024/05/24の東京FM「JUMPUPMELODIES」に夏川草介さんが出演されているたのをきっかけに。『スピノザの診察室』に行く前に、まずは『カルテシリーズ』からと思い読み始める。 著者が「本当のお医者さん」ということを知り、大変なお仕事をしながら、これほど素敵な作品を創作することに脱帽。医療現場が大変なお仕事ということは百も承知ながら、「栗原医師」目線で見ると、素敵な世界に見える不思議。「夏目漱石調」の文体もおもしろく、楽しませていただきました。
6投稿日: 2024.06.08
powered by ブクログとても面白かった。息子の本棚に10年以上前からあるのは知っていたが手に取って読まなかった。 読み終えて、なんでもっと早く読まなかったんだと猛省した。本の舞台は大好きな街(信州 松本)ではないか…毎年必ず訪れてる街 深志神社、縄手通り 松本城 また 続きが読みたくなった。
2投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
スピノザの診察室を読んで、神様のカルテの作家たと気づき読んでみた。 つい先日だと思っていたら2009年の本。 信州にある救急病院で働く栗原一止は、夏目漱石に傾倒して話し方も考え方も「草枕」。 話の進み方がライトノベルのようで少し残念。 いいストーリーなのに軽くなってしまう。 大学病院で先端医療か、地域住民のためのほぼ看取り病院か。この地域密着の病院で働く人たちが素敵すぎる。 そのあたりの設定もスピノザとほぼ同じ。 モルヒネの調整に手こずり、それでもトライし続けた2週間。 有限の輸血を使ってでも下血が止まらない老人に使うか悩み、使わず見送る選択をするところなど、いいドクターだなと感じた。病院の経営的にこれがいいのかそうでないのか、わからないけど身内にとって信頼できる医者だな、と。 過去の同様の経験を思い出した。 あのドクターも、手を握り最後に、お疲れさま、と言ってくれたなあ… 他の作品も読もうと思う。
1投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログめっちゃ面白かった。心が熱くなり、冷えて、ほっこりした。一週間で一瞬で読み終わってしまった。出てくる登場人物が全員カッコよくて、心が踊らされた。また情景の描写が読みやすく想像でき、実物を見たくなるよう書かれていた。 絶対、島崎藤村の「夜明け前」を読んで、連休中に中山道を歩いて東京まで行ってやる。 患者の「心」を救う地方の病院と患者の「命」を救う大学病院。患者を救う目的としては同じだが、意義が全く異なる。 この答えのない選択肢を主人公「栗原一止」が悩む。 この間に登場してくる登場人物に刺激を受けながら、答えを選択する。
1投稿日: 2024.05.26
powered by ブクログ一止の医療に対する考え方に感銘を受けた。安曇さんの言葉、「人は生きていると、前へ前へもいう気持ちばかり急いてどんどん大切なものを置き去りにして行く」という言葉が心に残った。
0投稿日: 2024.05.24
powered by ブクログ地方の野戦病院に勤める医師のオーバーワークな日々と患者の向き合い方というありきたりな構図と言えばそうだけれど、住まう御嶽荘の癖が強い住人が入ることでアクセントがあり思わず泣いてしまった。 桜吹雪の中門出を祝うシーンと遺書を読むシーン。
0投稿日: 2024.05.18
powered by ブクログ2010年本屋大賞第2位。 信州にある24時間365日対応が謳い文句の慢性医師不足の内科医師栗原一止。 最先端の医療の大学病院と違い、ここには死を避けられない高齢患者、末期癌患者が連日訪れる。 一人ひとりの患者に真摯に向き合う若き医師の姿に、目が離せない。
1投稿日: 2024.05.13
powered by ブクログドラマになってるのは知っていだけど、単なる感動ものなのかと思っていたら、漱石の口調を真似したちょっと変な医者ってキャラ立ちしてる人が主人公だと思わなかった笑 でも中身は本当にとても良くて、御嶽荘の仲間、病院の同僚、患者さんの温かさと切なさと命の形、色々胸に響く内容だった。死にかけている人間をなんとか助けることが、ホールインワンよりドキドキして1番楽しい、なんていう言葉、あまりにも際どい発言でびっくりしたけど、作家さんが実際にお医者さんだって聞いて、なんだか納得してしまった。救急医療と延命治療は、もうずっと前からいろんな医療もので見かけるテーマだけど、正しい結論なんてずっと出ないんだろうな。続きも読もう。
0投稿日: 2024.05.10
powered by ブクログ□読むことになったきっかけ GWを前にして読むものがなくなり 退勤後 慌てて 閉店間際のワングーに駆け込んで 手当たり次第にパパパッと すみません・・・ □夏川草介さん 初めてです 文章は読みやすく 登場人物は個性的で みんな愛がある 文豪の書がちらほら 未読の書 多々にて 気になる □オススメ 疲れない文章 ちょっと医療現場 心地よい読後感を味わいたい時に □好きなフレーズ ・五里霧中とはこのことか。人生とは晴れぬ霧に包まれた手探りの放浪にほかならぬ。 p.58 ・川を堰とめ山を切り崩して猛進するだけが人生ではない。そこかしこに埋もれたる大切なものどもを、丁寧に丁寧に掘り起こしてゆくその積み重ねもまた人生なのだ。 p.246 □感想 ・主人公・イチさん 漱石先生を敬愛しすぎていて 話し方がおかしい おもしろい 愛しい ・舞台 信州一地方都市の24時間365日対応病院 松本城の近くの「御嶽荘」 ・好きな登場人物 砂山次郎 黒い大男 外科医 酔うと核心を突く ・好きな場面 【 “どくとる、どくとる・・・” と妙な音が聞こえた。 思わず耳を済ます。 “どくとる、どくとる・・・” 】 ・神様のカルテ 2・3・4・5も おいおい 後味が悪くないやつを読みたい時に 読み進めていこうと 思ったよ
8投稿日: 2024.05.04
powered by ブクログ静かで暖かな物語。地方の病院で医師をしている、少し変わり者の先生が主人公。誰も悪い人が出てこなくて、安心して読めます。個人的に最近ヒリヒリざわざわするような話ばかり読んでいたので少し物足りなく感じたけれど、これ自体はとても素敵なお話でした。文体(特に主人公の話し言葉)が堅苦しいけれど、おかげで、夏目漱石に傾倒しているという主人公のキャラクターの濃さが伝わりやすかったです。
1投稿日: 2024.05.01
powered by ブクログキャラが強めの医療ドラマ。 本屋大賞2位のふれこみながらハマれなかった。無念…。 これまで読んできた中で気づかされたのは、本屋大賞って割りかし若い人ウケなのかな?裏返すと、もしかしておじさんには向かないのかなという不安。 興味を持って調べると、書店員さん615名(2023年)によって選ばれた結果らしい。『店長がバカすぎて』シリーズにも描かれていたけど、店員さんのイメージって比較的若いよね。一周回ってドス黒いタールのような物体を腹に溜めこんでいるアラフィフには、浄化作用が足りないかも。 と謎の満足。でも2は読む。スピノザも読む!
21投稿日: 2024.04.22
powered by ブクログスピノザの診察室がとても良かったので、今更ながらこちらを読んでみることに。 実際、変わり者でもいい先生っているよなぁ。。一止のような先生に出会えたら、例え病気になったとしても、余命宣告されたとしても救いになるだろうなと思いながら読んだ。 過酷な現場なのに、登場人物がみんな優しくてほっこりする。ほっこりしながらも、命の意味を考えさせられる物語。 一止やハルたちの続きを読みたい。
12投稿日: 2024.04.20
powered by ブクログ心温まるいい作品だった。 主人公の口調は変で難しい単語も良く出てくるものの、何故か心地よい感じがする。 全体的な雰囲気もほのぼのしており、死にゆく現場にありながら、前向きな展開になっているのが良かった。 次作も読もう。
9投稿日: 2024.04.06
powered by ブクログ過去に読んだのですが、ストーリー覚えておらず再読。 病院の過剰労働や生死がすごく柔らかい文章で書かれていて、読んでいて緊迫感などは感じず心地よい。主人公の口調は特殊すぎだけど、それがこの柔らかさになっているのかも? 細君がどこまでも素敵なひとすぎる。
1投稿日: 2024.03.31
powered by ブクログスピノザの診察室を読み凄くよかったので早速こちらの本も気になって読みました。 ドラマ化されてるのは知っていたのでかなり期待していました。 スピノザの主人公とは同じ医療系とはいえ全然違ってどちらかというとかっこいいより変態?笑 喋り方も夏目漱石の草枕に影響されまくっていて古風。 登場するキャラクターも個性豊かでみんないい人。 ほのぼのしました。 でもスピノザの方が僕は好きだったかな。
35投稿日: 2024.03.23
powered by ブクログAmazonオーディブルにて。 松本を舞台にした病院の話、表紙からして爽やかな朝ドラ風の感じかな、、、くらいを想像して手に取ったけど、思った以上にポップなノリの本だった。 漱石の草枕が好きな内科医のちょっと皮肉めいた独白は気持ち良い。 朗読するときの各登場人物の声色をちょっと無理に変えすぎでは、という印象だったけど、キャラ付けが濃いからこれくらいキツめに声色を変える方がいいのかもしれない。 医師の労働環境の劣悪さはちょっと古い時代の印象もあるけど、2024年の今も変わらないのかな。
1投稿日: 2024.03.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
地域医療の激務と日々闘う栗原先生 本当に大変さがわかる内容でした。 確かに患者に寄り添い地域医療に人生を捧げる生き方もありだが私だったら大学医局にいくなぁ。 この医師不足の問題は栗原先生一人だけでは解決できないと思う。
7投稿日: 2024.03.17
powered by ブクログ『スピノザの診察室』がとても面白かったので、こちらの作品も読みました。この作品も最高でした。。 主人公の栗原が田舎町の病院で日々仕事に忙殺されながら、患者に向き合い、悩みつつも、周りの人の支えられながら前を向いて生きてく物語。 何か大きな事件が起きるわけでもなく、とんでもない悪役が出てくるわけでもない、ですが笑いあり涙ありの心温まる素晴らしい作品でした。 栗原の変人で小難しい言葉を喋るキャラも最高だし、友人や同僚とのコミカルなやりとりもクスっとさせられて読んでて楽しい。 そんな中で患者の死や友人の悩みに対して真摯に向き合う主人公に感動させられ、元気をもらいました。 まだまだ続編があるので読むのが楽しみです!
16投稿日: 2024.03.06
powered by ブクログお医者さんが主人公の病院が舞台のお話で、人も亡くなるのですが、読み終わった後に温かい気持ちになりました。 人の生死にかかわるお話はそれだけでドラマチックで重たい感じを受けがちで、少し苦手なのですが、この小説は夏目漱石の「草枕」が愛読書で古風な話しぶりのお医者さんが主人公でその語り口で進んでいくことや、主人公を取り巻く魅力的な登場人物たちとのやりとりもあって、始終安心して読み進められたと思います。 主人公とその「細君」である榛名さんとのやりとりがとても素敵で、この後の展開も気になります。 今回のお話しに登場した高齢の末期がん患者、安曇さんの人生を終えるにあたっての態度には感銘しました。私も自分が人生を終える時にはそんな風にできたら、と思いました。
1投稿日: 2024.03.02
powered by ブクログ何年も前に読み、その後本棚にひっそりと在り続けたこの本。海を跨ぐ引越しの際も手放せなかったこの本。 医療従事者の端くれとなり、病棟勤務となった今、読み返すとその世界に更に引き込まれた。優しくも厳しく、答えの出ない医療の世界。
4投稿日: 2024.03.01
powered by ブクログ劣悪で激務の総合病院で働く内科医、栗原一止の、なんとも表現し難い暖かみのある、でもそれだけじゃないお話でした。 前半は、口調が夏目漱石の「草枕」調で古くさいと変人扱いされる一止が面白く、またその一止が語りを担っているのが効いていて人の生死を扱うようになってくるあたりのシリアスさを重く引きずらせず、泣き笑いに似た感情になった。 一止の住み家の住人のスタイルも良きで、本作は嫌な人が登場しない。 全員あったかい人物で読んでいて心地よかった。 あと、すこし森見登美彦氏の、夜は短し~、四畳半系に文体やキャラクターなど似ていた気がしました。 3月初めから良い作品に出会えました。
23投稿日: 2024.03.01
powered by ブクログ久々に再読。やっぱりいいなぁ…。 身近に医師として働いている人ができて、改めてリアルな現場の話を聞いた上で読んだ今回。以前とは感慨というが、感じ方の強さが違いました。 いつか、向こうに逝く日が来たら、安曇さんのように心配りのできる人になっていけたら…と思いました。
23投稿日: 2024.02.27
powered by ブクログ2009年 第10回小学館文庫小説賞を受賞しデビュー 2010年 本屋大賞第2位 2011年に映画化
0投稿日: 2024.02.12
powered by ブクログ出てくる登場人物みんなが暖かい人ばかり 主人公のちょっと変わってるけど根はしっかりしていて人間味のあるところが患者さんにも看護師さんたちにも慕われているんだなも思います。 あと、細君がとにかく可愛いし癒し!疲れた日々での心の拠り所なんだなあと思いました♡
10投稿日: 2024.02.09
powered by ブクログ高度医療を手掛ける大学病院と底辺と言われる地方病院 インスタントのブラックコーヒーと豆からひいたミルクコーヒー どちらもそれぞれの良さがあるし、望むものも人それぞれ違う。 どれが正解とかではなくて、ふと立ち止まった時に自分が幸せならばそれでいい。 前ばかり見てなくてもいい、私の幸せは私にしか分からないのだから。
4投稿日: 2024.01.15
powered by ブクログ夏川草介さんの医療小説。初読みとなります。 舞台は信州にある民間の大病院。ネットで見て知りましたが、夏川さんは信州大学ご出身で実際に長野の病院に勤務されている現役の内科医なのですね。(現時点はどうなのかわかりませんが) 本作を書かれたのは既に十数年前ですが、地方医療に関する人手不足の問題や地域の人々の高齢化といった様々な課題が背景となっています。これらの課題は現時点では解決するどころかむしろ大きくなっている。別に地方に限った問題ではなく、今や日本全体がこの大きな課題に立ち向かっていると言えるでしょう。 夏川さんはこの作品の中で、地方医療機関に勤める一人の医師が、この大きな課題に対してどのように対応していくのか、どのように戦っていくのか?について描いています。厳しい環境にある医療現場の中で戦っている人々とそれを取り巻く人々を心温まるストーリーで展開していました。 読み始めるとすぐに分かるのですが、主人公の語り口が「漱石」風になっている。決して古風で堅い感じがするものではありません。これがまた気持ちの良いテンポを生み出しています。身の回りの人々の描写についても軽妙な「あだ名」をつけてその性格や特徴を的確にユーモラスに表現している。まさしく漱石風ですね。(「草枕」というよりも「坊ちゃん」に近いような気がします) 登場する人物は皆さん良い人たちで、信州の雄大な大自然の鮮やかな風景と相まって、思わずストーリーの中に溶け込んでしまいました。ストーリー自体は素直でシンプル。そして暖かい。 医療関係を主題とした作品は色々と読んできました。作品によっては手術や診療の過程などに「生々しさ」を感じてしまうこともありますが、この作品に限っては「思わず目を背けたくなる」様なことはありませんでした。専門的な表現や名称が出てくるのは当然でしょう。でも、生々しく感じることはなかった。柔らかく暖かい。そのあたりの作風が夏川さんらしいのだと思います。 そして、延命治療・終末期医療について考えさせられる内容でした。先端技術を用いて自力で呼吸できず、意識が無くなっても心臓だけを動かし続けるのか?果たして機械に繋がれて心臓だけが動いている状態が「生きている」ということになるのか? 現代の医療現場では様々な最終判断が医師に委ねられています。その最終判断を下すにあたって医師自身も様々な選択肢を前に葛藤している。 葛藤しながらその判断を下している主人公と患者、それを取り巻く人々の描写に思わず涙腺が緩んでしまいました。 「神様のカルテ」は既にシリーズ化しているので、第二作にも早々に手を出してみます。新たな本との良い出会いができました。
41投稿日: 2024.01.10
powered by ブクログそういえばこのシリーズ、読んでなかったな、 と手に取った本。 安曇さんのところは泣けてきます。 こういうお医者さんの話を読むと 医者を目指したらよかったかな。。。 とも思いました。 次作は日本酒の 「夜明け前」「佐久の花」 を探し出してきて、飲みながら読みたいと思います。
17投稿日: 2024.01.02
powered by ブクログ映画を視聴済み。 夏川さんの安曇野診療記を読み、とても好きだなと思ったので夏川さんの作品を全て読みたいと思い、まずはやはりこちらのシリーズから。 一止さんが思ったよりも変わっているけれども、医療に対して患者さんに対して真摯で、ハルさんも映画動揺、包容力が大きく、好きです。 シリーズ楽しみたいと思います。
1投稿日: 2023.12.30
powered by ブクログ心地よい物語だなぁ……。 上橋菜穂子さんの解説1行目。もうこれに尽きるなぁという感じなんですが、それでは感想にならないので、、、 持って回った様な普段の発言の面倒臭さと、奥さんのハルさんを褒める時の臆面のなさが素晴らしい。 理屈っぽい普段の言葉遣いにカモフラージュされて、通常ならば失笑する様な奥さんへのストレート過ぎる褒め言葉がするりと頭に入ってくる。 このシステム、覚えがあるなぁと考えたら、森見登美彦さんの黒髪の乙女システムですね。 同じ関西出身の理系だからかなぁ、でもそういう人は他にもいるしなぁとか考えながら読みました。 買うだけ買って、積読していた本ですが、続編も買おうと思います。
9投稿日: 2023.12.27
powered by ブクログ奇跡も何も起きないただの日常。終末期医療、医局制度や研修医制度、救急医療などの問題点を取り上げながら、それでも誰も斜に構えてないのがいい。読了後のホンワカした気持ちは、なかなか得がたい。
0投稿日: 2023.12.24
powered by ブクログ最先端医療を行う大学病院ではなく、24時間365日体制で市井の生き死に付き合う田舎の総合病院で、只管患者に寄り添う医者、栗原一止(いちと)の物語。 第二話『門出の桜』がよい。 男爵が、故郷出雲へ帰る学士殿へ叫ぶ台詞、 『こいつは敗北ではない、門出だぞ、学士殿!』 『この一歩は前への一歩だ。前進なんだ。そのための花道だ。絶対忘れるな!』 安曇さんの夫が泥棒少年を見逃すだけでなく、米一俵を持たせた後の話が泣ける。情けは人の為ならず、という言葉を思い出す。
29投稿日: 2023.12.16
powered by ブクログ私も晩年、こんなお医者様に出会えたら幸せだろうなあ・・ 安曇さんのように穏やかにお迎えを待つには難しいことだろうけれど、 でも何か希望が持てる…そんな本でした。
5投稿日: 2023.11.18
powered by ブクログこんなお医者さん、本当にいてほしい。 思い悩む事柄ひとつひとつに、自分の心も揺さぶられる。 周りのキャラクター設定も素晴らしい!
2投稿日: 2023.10.29
powered by ブクログ医療ものは難しそうで、あまり読む気がしないのですが、先日読んだ「本を守ろうとする猫の話」を読んで夏川草介さんに興味が出できたので読んでみた。多少医療用語は出てくるけど、ほとんど気にならない。ハルさんや学士、男爵など他のキャラも立っていてとても面白い。信州の地方病院の苦悩や人情がじんわりと伝わってきて、とてもほっこりさせられるいい作品でした。夏目漱石の草枕が読みたくなった。
14投稿日: 2023.10.16
powered by ブクログ大学病院は日進月歩する 最先端の医療が学べる場所であり、高度な治療が 受けれるのかもしれないけれど、 多くの人間が持つ病気は慢性疾患であったり、 治る見込みのない病気であったりする。 医療の底辺と言われるような 地方の病院こそが、必要な受け皿だったりする。 治る見込みのない患者さんに どこまでな延命治療をするのか。 医療行為で、何日か長く生きたとして 果たしてそれが、生きるということなのか。 きっと、医者、看護師が 生きるということ。 を視点で患者を見た時かならず 起きる葛藤 栗原一止は、 本来ならば、 絶食、安静を指示しなければいけなかったであろう患者に 最後に食べたいと言っていた 文明堂のカステラを渡し、 好きだった山を見れるよう 屋上に連れて行く。その患者は 「夫を亡くし、病気になりずっと自分の人生は虚しく寂しかった。でも、最後のこの時間は幸せだった気がする」と 話す。 たとえ、1人であってもそう思わせることができた 栗原はすごい。 緩急としては 私は、御嶽荘に住む変わった 人たちのやりとりに何度か吹き出す。 夏目漱石ぽい喋り方も面白い。 なんと解説は上穂菜穂子さん。 また、これが素敵な文章で。 死という、テーマを扱う時の作家としての 技量をこう述べている。 「現実に深く思いの針を落とした人でなければ 心地よい物語は書けません 冬をよく知っているからこそ 書ける春 」 医療にも通じていて、 深く、生きるということを考えたとき よい看護、医療ができるんだな。と。
18投稿日: 2023.10.16
powered by ブクログ悲しくて寂しくて感動で涙が止まらなくなります。ですが、登場人物みんなが優しい言葉を紡いでいて心が温まります。変わり者の集まるあのアパートに私も住みたいです。 櫻井くんの実写映画が原作から飛び出してきた世界観で好きでした!
1投稿日: 2023.10.08
powered by ブクログ終始読んでいて心地良かった。最初の方は主人公の毒づくセリフや登場人物の滑稽なキャラクターに笑わされていたが、終盤は感動の展開だった。医師という職業が大変なのは知っていたつもりになっていたが、こんなにも「体力」「知力」「精神力」が要求されるものだとは思わなかった。自分には到底務まらないなと思わされた。しかもこの著者は医師をしながらその傍らで小説を執筆するなんてどんな体力オバケなのか。少子高齢社会の今、AI医療が発達し、少しでも医師の負担が減るようになればいいと思うし、自分自身も感染症等に負けない身体作りに努めていきたい。
9投稿日: 2023.09.27
powered by ブクログ昔から大好きな小説で、もう何回読み返したか分からない。 読み始めてすぐに引き込まれる主人公の人柄や、リアルな医療の描写や、細君の榛名さんをはじめ個性豊かで面白い人々。 理由を言葉にするのは難しいが、穏やかで、爽やかなこの小説の雰囲気が好きだ。 新章の続編も待っている。
1投稿日: 2023.09.19
