【感想】鍵のない夢を見る

辻村深月 / 文春文庫
(386件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
32
136
148
31
5
  • まあまあ

    5編の短編集。
    誰にでも起こりうるような話ばかりで、
    人間の些細な望みとか欲望が、
    当事者も予想していなかった方向に向かってしまう。
    主人公の心情や考えの描写が詳細で、リアリティがあったが、
    2作ほど結末に「え?だから?」と言いたくなってしまった。
    よく言えば余韻になるのかな。。。
    続きを読む

    投稿日:2016.04.20

  • 辻村作品の印象が変わった作品

    今まで「僕のメジャースプーン」とか、「ツナグ」のようなどこか暖かみを感じる作品が多い印象だったけれど、こんな人間臭いのもいけるんだ、とかなり新鮮に感じた作品。辻村作品の印象がいい意味で変わった。

    編の主人公は皆女性で、女性視点でストーリーは進行している。各編のなかで人が日常の中で抱くであろう後悔、嫉妬、依存、執着、焦燥などのどちらかと言うと醜い、逆に言えばそれ故に人間臭い感情を細やかな表現力で描いている。女性のというよりは、女性を取り巻く環境(男性含む)が女性を追い詰め、弱い部分、醜い部分を暴露させている。かと思えば非日常なのにそれを感じさせない強かさも描かれていたり。

    後半はミステリ色の強いストーリーになっていて、その内容にぐっと引き込まれて読み進めていた。面白い。ただスッキリとした読後感を狙った作品ではないと思うのでその点だけ注意。
    続きを読む

    投稿日:2016.08.31

  • 暗い

    良く言えばリアリティもあるのですが、読むと暗い気持ちになります。
    私は小説に現実逃避を求めるので好きじゃありません。
    ただし、ちゃんと暗い気持ちになれるのでそういう用途で読むならなかなかの作品だと思います。
    続きを読む

    投稿日:2017.01.29

  • 心を揺さぶる5つのストーリー

    5つの短編集からなる本作品は、さすが直木賞を受賞されただけあって読みごたえがありました。
    子供目線、女性目線から書かれる内容は共感できる部分もありそして主人公のずれた主観に違和感を覚えながら最後まで一気に読ませる筆力を感じさせます。
    読んで損なし!5つ星です!
    続きを読む

    投稿日:2015.08.19

  • お気に入りが増えたかも

    ここ何年か、新聞の書評でやたら辻村深月の評判が良かったので、一度作品を読んでみたいと思っていて、文庫なので値段も手ごろだし、直木賞受賞作なので外すこともないかなと思って購入した。
    で、読んでみたら、期待以上に面白くて、惹き込まれてしまった。
    非常に緊張感があって、好み。緊張感を感じるのは、自分が作品の世界に入り込んでいるということだし。
    5編の短編集になっていて、どの作品も日常からちょっと踏み外した事件が描かれていて、ハッピーエンドではないけど、作品の持つ力なのか、読後感は悪くなかった。
    あとがきの対談で著者も言っているように、それまでの辻村深月の作品とは随分感じが違うものみたいだけど、少なくともこの作品は非常に好み。
    もう一作、もっと最近の作品を読んでみて、それも面白かったら、僕のお気に入りの作家に加わると思う。
    続きを読む

    投稿日:2017.07.12

  • 女性作者から見た、文学的世界

    男性の夢追い人は哀れに失敗します。そして、女性は常に現実を見て感覚が鋭いです。
    しかし、現代は楊貴妃の時代であって、欲しがるなら女性というわけで、日本の男はあまり必要とされていないわけです。作者が描く奇妙に鬱屈した男と同様に、男は夢でも見るしかしょうがないのかもしれませんね。
    作者は結局成功者で、死屍累々の投稿レースと若いうちにクリアしている文壇エリートなわけですが、どうなんでしょう。創造性というものを考える時、文学は大江健三郎が食い残した後の残骸をリユースしている以上の評価を得ることができるのでしょうか?
    その点を除けば、女性に焦点を当てた作品としては賞に値する出来だと誰もが認めるものでしょう。
    それにしてもフィクションの中の心理描写もそうですが、人間の心は分からないものです…。
    星5つ。
    続きを読む

    投稿日:2018.07.04

ブクログレビュー

"powered by"

  • heypoy

    heypoy

    直木賞を受賞していたので読んでみましたが、これで受賞?と思いました。短編集で読みやく、オチはイヤミスっぽい感じもありました。プロの選考委員からしたら受賞にあたいしたのでしょう。

    投稿日:2024.04.14

  • ち

    決して後味がいいお話ではなかったが、素人では言語化が難しい、周りにいそうな絶妙にズレた、違和感を漂わせてくる人物像がとてもリアルに描かれています。これまで私も感じてきた、なんとも言えないもやもやした感覚が、そうそう!そうなんだよ!そういう気持ち!となるくらい、丁寧に描かれています。
    気づいたらどんどん読み進めていました。

    最後の女性の妊娠から子育てにかけてのお話は、経験のない私でも、その悩みや葛藤が自分ごとのように感じられました。

    最後の対談にでおっしゃっていた、「立場の違う人たちにも広く分かるようにしていく」まさにその言葉どおりの作品だと思いました。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.09

  • りょう

    りょう

    どれも後味が良いものでは無いが、登場人物の気持ち悪さだったり、この発言を聞いてこの人がどう思っているかということを表現するのが上手い。

    投稿日:2024.04.08

  • sinsinsin

    sinsinsin

    女性の心情が良く書かれていて、男性は読んでいてへこむことが多いと思う。
    5編の短編集ではあるが、何となくつながっている作品でした。


    内容(「BOOK」データベースより)
    第147回直木賞受賞作! !
    わたしたちの心にさしこむ影と、ひと筋の希望の光を描く傑作短編集。5編収録。
    「仁志野町の泥棒」誰も家に鍵をかけないような平和で閉鎖的な町にやって来た転校生の母親には千円、二千円をかすめる盗癖があり……。
    「石蕗南地区の放火」田舎で婚期を逃した女の焦りと、いい年をして青年団のやり甲斐にしがみ付く男の見栄が交錯する。
    「美弥谷団地の逃亡者」ご近所出会い系サイトで出会った彼氏とのリゾート地への逃避行の末に待つ、取り返しのつかないある事実。
    「芹葉大学の夢と殺人」【推理作家協会賞短編部門候補作】大学で出会い、霞のような夢ばかり語る男。でも別れる決定的な理由もないから一緒にいる。そんな関係を成就するために彼女が選んだ唯一の手段とは。
    「君本家の誘拐」念願の赤ちゃんだけど、どうして私ばかり大変なの? 一瞬の心の隙をついてベビーカーは消えた。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.07

  • ぶち

    ぶち

    妙にリアルさがありました。このリアルがなんなのか。初出が10年以上まえですが、昔と比べて貧しくなっていると言われる現代においては身近にある内容だったのかな、自分も同じ立場になっていたかもしれないと思わされる内容でした。他の作品も読んでみたいです。続きを読む

    投稿日:2024.03.25

  • かかか

    かかか

    後味は正直かなり悪い(苦笑)
    表に出さないように努めている奥底の弱みに土足で入り込み、気持ち良く言語化してくれる作品だ。
    個人的に読んだことのある辻村深月さんの作品の中では希望を一切感じなかったので新鮮。
    反面教師的に人に依存しすぎてはいけないとわかるのに‥主人公の目線に入り込んで目を逸らしたくなるんだけれど、また読みたくなる不思議な魅力を持っている。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.23

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。