【感想】アルスラーン戦記(3)

荒川弘, 田中芳樹 / 別冊少年マガジン
(49件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
12
21
11
0
0
  • 原作ファンが1~3巻を通して読んだ感想。

    このマンガは原作よりも少々テンポが速いので、カットされたエピソードや、違うところも多い。
    そして、1巻冒頭の第1話は、原作にはないオリジナル部分である。

    もう少し具体的に言うと、主人公アルスラーンはパルスの王子である。
    パルスとは中世ペルシアをイメージした架空の国であり、
    原作冒頭でルシタニアという一神教の国家の攻撃を受け、
    タイトル通りの「王都炎上」から始まる。
    ルシタニアは作者が原作で書いているとおり、神の名の下に一般市民を虐殺する十字軍や、
    中南米の古代文明を滅ぼしたスペイン人のイメージから作り上げた架空の国である。

    故に読者にとって、ルシタニアは「悪」の印象が強い。
    もちろん、読み進めるに従い、ルシタニアや、他の国々に出てくる
    登場人物の魅力や悲哀がわかるようになってくるのだが、
    原作序盤でそうした印象を持つことは難しいだろう。

    だが、このマンガの序盤は、「王都炎上」より少し前、
    ルシタニア人の少年が、同じ年頃のアルスラーンに出会うところから始まる。
    アルスラーンのことを王子だと知らないまま、少年は、
    パルスに対して、ルシタニアに対して率直な印象を語る。

    少々アクロバティックな展開ではあったが、
    作品において、「主人公と同年代」という存在が持つ大きな意味を感じた。
    そりゃ、ルシタニアにはルシタニアの言い分があるということは、
    原作を読めばちゃんとわかる。わかるように書いてある。
    多分、小説よりマンガの方が視覚的な印象があるせいか、「善vs悪」という構図ができあがりやすい。
    最初のルシタニア人の少年のエピソードは、読者に、「そうではない方向」へと導いてくれる。
    ルシタニア軍の侵攻を受け、落ち延びるアルスラーン達。
    原作を最初に読んだときは、ルシタニア兵のことなど考えなかったが、
    このマンガでは考える。やっぱりあの少年は「視点」を増やしてくれた。

    ここまでが2巻までの感想。

    レビューを3巻の方に書いたのは、その少年が2巻末で再登場し、3巻でアルスラーンと再会するからだ。
    そこで、原作読者には「そういうことか!」という展開が待ち受けている。
    さ、流石は『鋼の錬金術師』の作者、この原作の絶妙な改編具合が錬金術のようだ。

    3巻時点で、原作との整合性をどのようにするのか、
    そもそも原作が未完なこと自体、どうなるのか、などいろいろ不安要因はある。

    だが、荒川さんの錬金術(?)で、原作にできないこともできるような気がしてきた。

    以上、3巻までの感想。

    マンガとしての完成度も高いように思うので、
    原作未読の人の方が、もしかしたら素直に楽しめるのかもしれない。
    続きを読む

    投稿日:2015.02.10

  • ファランギースの登場!そこの絶世の美女!(笑)

    アルスラーン戦記に限らず田中芳樹作の作品の面白さの一つにキャラクター同士の掛け合いにあると思いますが、なかでもファランギースとキーヴのやりとりは特に大好きです。超クールなファランギースのキーヴに対するつれなさが笑いを誘います。

    そして今巻の表紙絵のナルサスです。あらゆる可能性を考慮し、そのすべてにおいて自分たちに有利に誘導する策略を巡らすナルサスの凄さの片鱗が見え始めます。

    今巻で最初期のメンバーであるダリューン、ナルサス、エラム、キーヴ、ファランギースが揃い踏みです。改めて見ると一騎当千、天才策略家、弓の達人×2といずれも超絶技巧の持ち主たち。これから続々と合流するメンバーたちも彼らに劣らぬ達人達で、アルスラーン陣営が優秀過ぎてちょっとチートです。

    それにしても焚書のシーンでの「財貨を奪うというならまだしも文化を焼き尽くすとはな」のナルサスのひと言には物語と分かっていても心が軋みますね。
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    投稿日:2015.02.14

  • 面白いのだが、描画で異和感も...

    新作が出るのを楽しみにしている作品です。
    荒川さんの漫画の特徴なのかどうかわからないですが、場面場面でセリフの文字の太さを適宜変えていて、とりわけ悲鳴や唸り声などは文字体すら変え、一層恐ろしげな印象を高めているのはさすがだと思いました。
    ただいくつか描画の部分で気になった点もありました。
    まず、馬の描写です。
    アルスラーン王子がいる崖の上を目指して、カーラーン軍の騎馬隊が駆け上っていく戦闘シーンを見ていると、全体を俯瞰して多数の馬を描写する場面がより顕著なのですが、絵の拙さが目立たぬようにするためか、コマは小さく吹き出しの文字を大きめにしていて迫力に欠けます。
    他にも、ファランギースとギーブの初対面のシーンでは、財宝の盗難の話になった時、ギーブがそれとなく自身の馬上の荷物を隠そうとする(と思われる)のですが、なんとも訳のわからない絵になっていて、脇に押そうとしているのかすら判然としません。
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    投稿日:2015.03.06

  • 荒川さん、ならでは。

    荒川さんらしい、くっきりとしたキャラだち。
    どの人物も、個性的。
    惚れてしまいます。

    小説を未読なため、合っているか自信がないのですが(ファンの皆様お許し下さい)、壮大な歴史絵巻、という感じでしょうか?

    小説とはいえ、どんな国にも過ちはあるのでしょうが(奴隷制だったり極刑だったり..)現実の世界情勢を思うと、決してフィクションとは言い難い怖さを感じました。

    レビューを書かれていらっしゃる方々に感化され、
    小説版も読もうか迷います。
    読みきるのがもったいないストーリーだったらどうしよう。ここが悩むところです(笑)
    続きを読む

    投稿日:2015.05.01

  • アニメ

    アニメを見て興味をもちました。マンガも凄く面白いです。続きも気になります。

    投稿日:2015.04.10

  • なんか淡泊な印象が…

    1~3巻まで買っていますが、キャラの魅力があまり出ていないせいか、その場面場面の印象が淡泊な感じがします。
    昔のアニメ版を見ているせいで序盤のストーリーを知っているからかもしれませんが、荒川弘の他作品(例えば銀の匙など)と比較してそういう印象をぬぐえません。
    続きを読む

    投稿日:2015.04.13

ブクログレビュー

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  • michel723

    michel723

    登場人物が多いのに、
    本当にキャラ立ちしていて、
    みんな個性的で面白い。

    旅の仲間が強くて格好いいけれど、
    まだ何者にもなっていないアルスラーンが、
    様々なことを吸収し、
    思考して成長していく姿がとっても好ましい。続きを読む

    投稿日:2023.04.01

  • sakopy

    sakopy

    このレビューはネタバレを含みます

    小説で読んだ世界が
    漫画になることの面白さ
    セリフは
    漫画でも
    小説でも変わらないのに
    動きが
    そこに繋がるコマの運びが
    漫画ならでは
    大きくなったり
    小さくなったり
    原作者が書きたい事
    作者が描きたい事
    どちらも楽しめるのは良いです

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.08.15

  • tsukasa26

    tsukasa26

    自信と過信は夜と闇のように分かち難いものだぞ…気を付けよ銀仮面卿 財貨を奪うというならまだしも文化を焼き尽くすとはな_もはや蛮人とすらも言えぬ猿のやることだ

    投稿日:2022.02.06

  • ホン・ヨンドル

    ホン・ヨンドル

    このレビューはネタバレを含みます

    王都を奪われた、パルス国の王子・アルスラーンには仲間が増えていた。ダリューンに加え、天才軍師・ナルサス! その侍童・エラムの総勢4人によるパルス奪還軍が編成された。4人vs.ルシタニア軍30万!! 絶望的な劣勢に変わりはなく、さらには、裏切り者の将軍・カーラーンがアルスラーンを捕らえるため、冷酷無比の策に出る! カーラーンの非情な罠に、アルスラーンが下した決断は――。(Amazon紹介より)

    レビューの続きを読む

    投稿日:2019.12.19

  • naonokoto

    naonokoto

    このレビューはネタバレを含みます

    カーラーンの裏切りの理由はこれから明らかになるのか?とうとう銀仮面の下の素顔が。予想通りでしたが。色々な思惑が交錯して、これからどうなるのか気になります。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2016.09.30

  • fz400

    fz400

    遂に銀仮面の正体が判明。

    今後の展開がとても気になります。

    戦勝国であるルシタニアが必ずしもうまく政治をできていな

    いところもリアルで面白いです。

    投稿日:2015.09.27

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