【感想】散り椿

葉室麟 / 角川文庫
(76件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
30
31
8
1
0
  • その想いに応えたくて・・・

     不正を告発したため、本社を追われたエース社員が妻の死をきっかけに帰ってきた。おりしも妻の元許婚を筆頭とした創業者一族と、新規事業で会社を立て直した専務派の派閥争いの真っ只中。新入社員の甥っ子も、知らず知らずに争いの中に巻き込まれていく・・・。そのまま現代版にできてしまいますが、時代劇でやらないと生々しすぎるかな。
     ストーリーは上記のようにベタな流れですが、妻の愛しい気持ちが男たちを切なくさせます。ある意味、愛って残酷なのかな・・・。「褒めてくれるか?」って旦那(私の!)の本音です・・・、多分・・・。
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    投稿日:2015.09.01

  • 切ないですね

    ひとを想う気持ちの切なさに、40過ぎの男が泣きました。
    若い人は、キープリストに追加して歳をとってから読んでください。

    投稿日:2015.05.19

  • 青春の思い出と恋にまつわるお話です。

    扇野藩の坂下藤吾は父の不始末によて減らされた禄高と家名の回復を願って 日々、生真面目にお役目についている。。そんなある日、やはり不始末によって 妻と藩を出た瓜生新兵衛が妻をみとった後かえってくる。。その時から藩にうずまく陰謀や古い恋の顛末が明らかにされていく。やがて藤吾にもふりかかる難儀と縁談のどたばたが藤吾を大人にしてくのである。若い恋と大人たちの古い恋が切なく胸にほろりと来ます。最後ははっぴーえんどでありながら、切ない思いも残ります。心に染み入るお話です。続きを読む

    投稿日:2015.07.05

  • ミステリー時代劇の傑作。いや、これは愛の物語かも

     直木賞受賞作「蜩ノ記」に勝るとも劣らない、傑作時代小説でありました。かなりミステリー的要素が高いので、詳しく記することが出来ないのが残念です。
     主人公が帰郷するところから物語は始まるわけですが、とにかく登場人物全てが、どこかあやしい。みな腹に一物を持っていて、いったい誰が味方で誰が敵なのかも、まったく見えてこない。また、蜻蛉組なる時代劇にはお馴染みの影の隠密軍団も登場しますが、これがまた誰に荷担しているのか最初はわからない。しかも、急に組み入れられる人もいるのですが、監視する側ではなく、逆に監視しやすいように組み入れられるという念の入った仕組みもあったりして、かなり話は込み入ってます。
     そもそもの争いの原因は、藩内の旧勢力と新勢力の争いなのか?それとも商人と癒着して私腹を肥やす上層部の隠蔽工作なのか?はたまた、お家乗っ取りを計る親戚筋の陰謀なのか?なかなか全貌が読めてこない中、亡くなった妻の願いをかなえようとする新兵衛が、これに否応なく絡んでいきます。でも、そんな新兵衛も妻の一世一代の芝居を誤解していた。。。。いやいや、これ以上は書けません。
     そこには亡き妻「篠」の切なくも熱い愛情があったという、麗しき愛の物語となっています。自分の思いをストレートに伝えることが出来ない、もどかしさとそれを曲解してしまう残酷さ。ままになりませんね。それにしても、この直接言えない思いを、歌や漢詩で書き表すことが出来るのは、やはりうらやましい気がします。
     昔の学生は、理科系の人間でも、普通に漢詩を作ることが出来たそうで、私のおじさんにもそのような人がいらっしゃいますが、私も含め、現代の教養レベル低下は否めませんな。
     さて、この作品、是非映像化して欲しいところですが、かなりストーリー的には複雑でありますので、映画よりも連続テレビドラマの方がむいているかもしれません。その時は、やはり主役の新兵衛は、役所広司かなぁ。
     それから後書きには、希代の読書家である女優、中江有里さんの解説が付いています。これがまたこの物語の全てを語っています。読後には、こちらも是非味わって頂きたいと思います。流石の解説ですよ。
    続きを読む

    投稿日:2016.03.05

  • 胸に響きました。

    良い小説に出会えました。主人公はいったい誰なの?
    と考えさせられるほど各々に生き様があり、それが愛と友情の想いで交差しながら物語りは進んでいきます。切なくとも愛情と希望に満ちた『散り椿』の風情に感動しました。続きを読む

    投稿日:2017.01.12

  • 映画化しそう?

    傑作か、と思う。
    エンターテイメントとしては「蜩ノ記」を超えるのではないか、とも。
    暗殺された者の、自決した者の、真相はどうだったのか推理小説のような伏線と、それを背負って生きた者たちの想いに心揺さぶられる。
    同時進行する若者の成長物語に心躍る清涼感も残っている。
    何を感じるのかは、もしかすると世代に問うのかもしれない。
    本当に、よくできた物語だと感じた。こんな時代に生きたいと思うのも、そんな世代ゆえなのかもしれない。。
    読んで面白い。
    映像化されたら、見て損のない作品になるだろうと確信する。そんな作品。

    続きを読む

    投稿日:2015.08.30

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ブクログレビュー

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  • mmlibrary

    mmlibrary

    このレビューはネタバレを含みます

    2024.1.4 読了
     扇野藩シリーズ②だが前後作と関連なし。
    新兵衛と藤吾という擬似親子のふれあい、新兵衛と篠との夫婦愛、藤吾と美鈴の初々しい恋、平山道場の四天王と呼ばれた仲間の友情、はたまた蜻蛉組という隠密組織も出てきて既視感のあるお家騒動が展開される。見所は盛り沢山だがうまい具合に話がまとまってゆく。
    "散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていける"という言葉が印象的。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.01.04

  • yappinkun

    yappinkun

    瓜生新兵衛は、かつて上役の不正を訴えたが認められずに、藩を追われた。
    妻の死に際に、新兵衛に対して故郷に戻ってして欲しい事があるとお願いする。正反対の願いであったが、新兵衛に生きて欲しいとの気持ちからの願いであった。
    散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていけるのだ。
    まさに名作である。
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    投稿日:2023.12.27

  • dejiko1012

    dejiko1012

    読み進めるうちに関係者の過去が明らかになってきて続きが気になる。一気に読んでしまった。小説を多産している方なので別のものも読みたい。
    お名前を拝見しててっきり女性かと思っていたが男性とのこと。登場人物の心の機微を丁寧に描いており女性目線かと勝手に思い込んでいた。
    面白かった。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.20

  • TOM

    TOM

    瓜生新兵衛が、かつての上司の不正を訴えたが認められずに、藩を追われる。そして妻の篠とともに故郷を離れることとなる。それから18年後、亡き妻の願いを叶えるために新兵衛は故郷へ戻ってきた。

    新兵衛と藤吾との育まれていく絆、平山道場の四天王と呼ばれた仲間たちとの友情、采女と篠との複雑な想い、新兵衛と篠との夫婦愛、様々な人間模様が誠実さを含めて描かれている。

    『散る椿は残る椿があると思えばこそ見事に散っていけるのだ』切ないながらも、武士として生きた天晴れな物語である。
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    投稿日:2023.10.19

  • Storia

    Storia

    #読書記録 2023.8

    #散り椿
    #葉室麟

    扇野藩で続く不審死の真相を追うミステリ要素を縦糸に、新兵衛のただまっすぐな妻への思いや剣術仲間の男たちの友情、若者の成長等の人間模様を横糸に。
    葉室さんの描く夫婦愛は本当に心に沁みるので、定期的に補充したくなるよ。

    #読書好きな人と繋がりたい
    #読了
    続きを読む

    投稿日:2023.09.06

  • びん

    びん

    「散り椿」という題名に惹かれて葉室さんの時代小説を初めて手に取った。 長く世間を渡るほど、世の中は綺麗ごとばかりではないと身をもって知ることになる。 ずいぶん昔にどこかへ置いてきしてしまった主人公の一本気な生き方が清々しい。 「散る椿」の意味を知ることになる結びに胸が詰まる。 再読本に入れる。続きを読む

    投稿日:2023.04.29

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