【感想】千年ジュリエット

初野晴 / 角川文庫
(67件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
19
27
14
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  • 文化祭も謎と笑いで。シリーズ第四弾。

    「エデンの谷」「失踪ヘビーロッカー」「決闘戯曲」「千年ジュリエット」の4編。今巻は主に、ハルチカ属する清水南高校の文化祭を中心に描かれる連作短編。

    前巻で盛り上がった吹奏楽部門があまり描かれていないのはちょっと残念だが、生徒会長・日野原君、「退出ゲーム」で活躍した演劇部・名越君など、清水南校オールスターズとも言うべき面々が登場するのは、シリーズファンとして嬉しいところ。

    ハルチカならではのドタバタ+謎要素も変わらず健在の、シリーズ第四弾。
    個人的感想として、ストーリーとしては「失踪ヘビーロッカー」、笑い的には「決闘戯曲」に各一票。
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    投稿日:2013.12.14

  • シリーズ第4弾

    今回は文化祭。
    特異キャラは今作でももちろん登場します。
    張り巡らせた伏線を最後にすべてしっかり回収する叙述トリックは相変わらずお見事。
    主人公のチカとハルタが卒業するまで書くと作者さんも宣言してますし、今後が楽しみです。
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    投稿日:2015.11.04

  • こんな文化祭、体験してみたい!

    おなじみのメンバーに加え、草壁先生の過去を知る謎のスナフキン(女)や、生真面目暴走ロッカーの男子生徒&その子分等々、今回も癖のある新キャラ投入で大騒ぎな展開に。そんな騒動とは対照的に、描かれない空白部分の静謐さが、余韻を深いものにしていると感じた、今作品。しみじみと、思いをめぐらせてしまいます。
    それにしても、もうすぐ三年生は引退だなんて、寂しいような。。あ、でも、今回の星ひとつマイナスの元凶・朝霧先輩は、誰かどうにかして~。
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    投稿日:2014.01.19

  • コメディ色が薄まったのがちょっと残念

    吹奏楽の甲子園とも呼ばれる普門館コンクールを目指す高校生達を描いたハル・チカシリーズの第四作。
    今作は、高二の文化祭の話に終始しており、結果として新たに部員や指導者として加わりそうな人は何人か登場しますが、吹奏楽部としての活動等はほとんど描かれないため、少し停滞感が感じられました。
    また、比較的重いテーマを扱う話が多かったがためか、このシリーズならではのドタバタコメディ感が薄かった点も、個人的には少し期待外れだったかも。
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    投稿日:2014.03.07

  • 全くブレずに面白い四作目。

    ハルチカシリーズ四作目となる本作だが舞台は清水南高校の文化祭の二日間である。主人公チカとハルタを始め、様々なキャラクターが悲喜こもごものドラマを展開する。まったく面白い。

    全体としてはコメディタッチなのだが結構シリアスな部分も多い。だがそれでも後味が悪かったりしないで、きっちり消化できるのは作者の力量によるところだろう。

    未だ謎な部分もいくつかあるが、まだ結末は迎えてほしくないほどにこのハルチカシリーズにハマっている。とはいっても物語の中では着々と季節が進んでいくのだが…。
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    投稿日:2017.12.30

ブクログレビュー

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  • 甘いパンよりしょっぱいパン

    甘いパンよりしょっぱいパン

    このレビューはネタバレを含みます

    穂村千夏
    清水南高校二年生。廃部寸前の吹奏楽部で、吹奏楽の“甲子園”普門館を夢見るフルート奏者。春太との三角関係に悩んでいる。

    上条春太
    清水南高校二年生。千夏の幼なじみ。ホルン奏者。完璧な外見と明晰な頭脳を持つ。

    草壁信二郎
    清水南高校の音楽教師。吹奏楽部顧問。謎多き二十七歳。

    片桐圭介
    清水南高校三年生。吹奏楽部部長。もうすぐ引退。

    成島美代子
    清水南高校二年生。中学時代に普門館の経験を持つオーボエ奏者。

    マレン・セイ
    清水南高校二年生。中国系アメリカ人。サックス奏者。

    芹澤直子
    清水南高校二年生。クラリネットのプロ奏者を目指す生徒。

    檜山界雄
    清水南高校一年生。芹澤の幼なじみ。打楽器奏者。あだ名はカイユ。

    後藤朱里
    清水南高校一年生。一年生部員を牽引する元気娘。バストロンボーン奏者。

    日野原秀一
    清水南高校三年生。生徒会長を務める。好きな言葉は天上天下唯我独尊。もうすぐ引退。

    萩本肇
    清水南高校三年生。発明部の部長。弟の卓は同校二年生。ふたりともブラックリスト十傑として生徒会執行部から執拗にマークされている。

    甲田裕己
    清水南高校三年生。アメリカ民謡クラブの部長。活動内容はハードロックとヘヴィメタル専門の演奏発表。ブラックリスト十傑の一人。

    清春潤
    清水南高校二年生。アメリカ民謡クラブ所属。甲田に苦労させられている。

    名越俊也
    清水南高校二年生。演劇部の部長。過去、マレンを取り合って吹奏楽部と即興劇勝負をしたことがある。ブラックリスト十傑の一人。

    朝霧亨
    清水南高校三年生。初恋研究会代表。地元に二代つづく興信所の、ひとり息子。ブラックリスト十傑の一人。

    麻生美里
    清水南高校二年生。地学研究会の部長。ヘルメットを被る美少女。カイユの復学と吹奏楽部入部に関与。ブラックリスト十傑の一人
    山辺真琴
    高名な音楽家、故・山辺富士彦の孫娘。全国を放浪中、草壁信二郎に呼び出される。彼女も、また、謎多き二十七歳。


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    投稿日:2023.10.10

  • り

    シリーズ4作目。シリーズ全体からすると、少し骨休めという感じで、ハルチカたちが高2の文化祭あたりを描いている。
    しかし今までよりミステリー要素がかなり強い。楽しく読めたけど、盛り沢山すぎて、私には少し消化不良になってしまった。可能であれば読み返したい。続きを読む

    投稿日:2022.01.24

  • ゆふぃ

    ゆふぃ

    ハルチカシリーズ4作目。これで既刊分は終わり。 初期に感じた読みにくさもなくなって、個性的なキャラクターも馴染んできて、続きが楽しみなシリーズ。 特に表題作の千年ジュリエットが良かった。ヘビーロッカーも好きだったけど。 逆に、決闘の話はストーリー上やむを得ないけど、シナリオ部分が少し退屈だった。 エデンの谷でスナフキンが話した音楽のプロに関する話が印象的。続きを読む

    投稿日:2021.05.31

  • 桜餅

    桜餅

    ハルチカシリーズ4作目。
    【エデンの谷】スナフキンのような格好をした女性は、草壁先生と親しそうに話をしている。先生との会話を盗み聞きしたチカたちは、女性のある探し物を手伝うことになる。

    【失踪ヘビーロッカー】 「そのまま法定速度を守って、この街をぐるぐるまわるんだっ」文化祭本番直前、学校に着いたにもかかわらず、乗っていたタクシーをUターンさせたアメリカ民謡クラブの甲田。肌寒い秋に冷房を最大にしろなどの命令を下す甲田は、一体何を隠しているのか。

    【決闘戯曲】演劇部で脚本担当の1年生が、本番当日の朝、姿を消してしまう。戯曲の内容は、右目が見えず左手が使えない「大塚一族」の世代を超えた3人が、絶望的なはずの決闘で勝利をするというものだった。勝利法がわからない状態で残された未完の戯曲。大塚一族は絶望的状況から、どのようにして勝利を掴んだのか。

    【千年ジュリエット】 「ジュリエットの秘書 はごろも支部」年齢がバラバラな5人の女性は、病院から出られない日々のなか、ブログで恋愛相談を始める。秘書の1人"トモ"は、清水南高文化祭へ足を運び、かつて病院へ慰問してくれていた少年を探すのだった。

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    清水南高校、文化祭間近、晴れの舞台を前に、吹奏楽部の元気少女・穂村チカと、残念系美少年の上条ハルタも、練習に力が入る。そんな中、チカとハルタの憧れのひと、草壁先生に女性の来客が。奇抜な恰好だが音楽センスは抜群な彼女と、先生が共有する謎とは?(「エデンの谷」)ほか、文化祭で巻き起こる、笑って泣ける事件の数々。頭脳派ハルタと行動派チカは謎を解けるのか?青春ミステリの必読書、“ハルチカ”シリーズ第4弾!
    続きを読む

    投稿日:2021.04.28

  • 花嵐

    花嵐

    ハルチカシリーズ第四弾。今回は文化祭がメイン。今作も変わらず面白かった!「決闘戯曲」はユーモア溢れる感じで笑えたし、表題作である「千年ジュリエット」のラストには思わず涙ぐみそうになった。今回はハルタとチカにはそこまで特徴的な出番は回ってこなかったのでそこらへんは次作に期待。続きを読む

    投稿日:2021.04.26

  • 沙都

    沙都

    ハルチカの前にハルチカは無く、ハルチカの後にハルチカは無い。

    まあ、究極的に言えばどんな作品だってそうなんですが、でも初野晴さんの作品、特にハルチカシリーズに関しては、さらに強くそう思ってしまいます

    文化祭を舞台にした短編が4編収録されたシリーズの4巻目。ハルチカシリーズを読むのは久々で、すっとキャラたちに入り込めるかな、と思ったのですが、その心配は完全に無用でした(笑)

    元気少女チカのユーモア溢れる語り口に、ハルをはじめとした個性的なキャラの数々。ああ、この感じだったなあ、とあっという間にハルチカの世界に手を引かれたように思います。

    文化祭で起こる事件もバラエティー豊か。突然体育館に現われたピアニカを吹く女性の謎と、彼女の祖父の遺産の謎を解く「エデンの谷」
    文化祭での演奏時間が迫る中、タクシーで高校まで乗り付けたのに、その場でUターンしてしまった高校生の目的を推理する「失踪ヘビーロッカー」

    行方をくらました演劇部の脚本家に変わり、劇の結末を推理する「決闘戯曲」
    そして、ある決意を持ってハルチカの高校の文化祭にやって来た人物を描く表題作「千年ジュリエット」

    短編集で全ての短編が面白いと思うことはあっても、全てが後になっても思い出せるというのは決して多くはありません。でも今のところは、全て思い出せます(笑)改めてこの短編集の質の高さ、そしてインパクトの強さを感じます。

    ハルチカ、および初野さんの作品の特徴は、ファンタジー要素が強かったり、あるいはマンガのようなキャラたちの掛け合い、あるいはギャグ的な要素がある一方で、突飛で奇抜な謎を持ってきたり、あるいはシリアスな要素を違和感なく、物語に溶け込ませるところだと思います。

    「エデンの谷」はそんなキャラのかけあいや行動に笑わせられる反面で、その内容の厳しさに考えさせられます。シリーズとしても、あるキャラクターの転換点にもなりそうな話で、そうした面白さもあり、またオチで二度笑わせられる。なんだか、感情の起伏が激しくなる短編でした。

    「失踪ヘビーロッカー」は展開が楽しかった! タクシー運転手の視点、到着を待つチカたちの視点、それが交差し、そして徐々に演奏時間が迫ってくるというタイムリミットサスペンスの側面もあって、緊迫感があります。そして一方でドタバタコメディを見ているような面白さも併せ持ちます。
    さらに青春らしい熱い展開も挟まれたりと、これもハルチカでしか書けなさそうな短編。

    「決闘戯曲」では「退出ゲーム」でも登場した濃い演劇部の面々とハルチカのやり取りももちろん面白いのだけど、謎の設定もそれに負けずに魅力的。右目が見えず、左手を使えない状況の登場人物がなぜ、拳銃を撃ち合う決闘で勝利できたのか?

    結末のない脚本から、書き手の伏線や目的を読み取りたどり着いた結末。この推理の過程も面白いし、劇の種明かしはまさに知恵の勝利という感じがします。

    そして表題作の「千年ジュリエット」
    文化祭最終日の様子が描かれる一方で、合間に挟まれる回想は、あまりにも切なく儚い……。どこかの病院で5人が始めたネットでの恋愛相談の顛末は、読者である自分にも生きることや、命の意味を考えさせられます。

    そして明らかになる真実とともに、押し寄せる感動。喪われたものと、確かに繋がれたもの。それを彩る最後の光景とチカのセリフ。そして勇気をもって文化祭に訪れた人物の決意。

    マンガのようなキャラクターたちのユーモア・ライトミステリかと思いきや、予測のつかない謎や、思いがけない真実があり、そしてそんなユーモアとシリアス、そして感動を違和感なく両立させられる。ハルチカのハルチカたるゆえんは、そこだと思うのです。

    久々に読んだこともあってか、ハルチカここまで面白い作品だったか、とビックリしてしまいました。シリーズの中で時間の経過は描かれているので、ハルチカたちもいつかは卒業するのだろうけど、できるだけ長く高校生でいてほしいなあ、とも思ってしまいます。
    続きを読む

    投稿日:2020.03.29

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