Canoroさんのレビュー
参考にされた数
19
このユーザーのレビュー
-
雨の匂い
樋口有介 / 中公文庫
ストーリー展開にびっくり
6
作者の他の作品と似ているようでいて、全然似ていない、主人公の壊れたキャラクター設定が絶妙。
予定調和の世界を突き放したストーリー展開も鮮やかで、非常に印象的だった。投稿日:2013.10.05
-
シャングリ・ラ 下
池上永一 / 角川文庫
荒唐無稽なストーリー展開自体は好みなんですが...
3
地球温暖化の影響により熱帯化した近未来の東京を舞台に、超巨大建物・アトラスへ移住した支配層と森林化の進む地上に取り残されたゲリラ達の戦い等を描いたSF小説。
とは言っても、途中からストーリーはどんどん…脱線というか別な方向に進み、最後には東京という都市自体の成り立ちや歴史がテーマとして浮上。
超スピーディーで荒唐無稽なストーリー展開といい、登場人物達の極端にデフォルメされたキャラクター設定といい、アニメを無理やり小説という器で読まされた印象で、小説ならではの深みや良さが感じられなかった点が、個人的にやや残念だった。 続きを読む投稿日:2013.10.05
-
小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団
瀬名秀明, 藤子・F・不二雄 / 小学館
期待以上!
2
国民的アニメーションのノベライズ本で、勿論ご都合主義的な展開もいくつかあるが、「パラサイトイヴ」の瀬名秀明氏が作者ということもあり、期待以上に面白かった。
特に、鉄人兵団の襲来を翌日に控えた夜の、3人…+1(のび太、ジャイアン、スネ夫、ドラえもん)の過ごし方を描いた部分が良く、またパー子のエピソードも子供たちだけのストーリーにアクセントを加えていて、作品に一定の深みをもたらしているかと思う。 続きを読む投稿日:2013.10.05
-
シューマンの指
奥泉光 / 講談社文庫
意外性にあふれたクラシック音楽ミステリー
2
クラシック音楽の世界を題材としたミステリー。
中盤まで事件らしい事件がほとんど起こらず、クラシック(特にシューマン)に関連した薀蓄ばかりのストーリーなのでやや退屈したが、一気にストーリーが動きだす後半…以降はなかなか。
特に、ラストの二重にわたるドンデン返しは意外性だけでなく、序盤からの微妙な違和感の解消にもつながっており、「やられた!」と久しぶりに感心してしまった。 続きを読む投稿日:2013.10.05
-
わくらば追慕抄
朱川湊人 / 角川文庫
昭和の懐かしさ満載の作品
1
昭和30年台を舞台に、人や物の記憶をたどることが出来る不思議な能力を持った薄幸の少女を妹の目から描いた「わくらば」シリーズの第二弾。
第一作目を読んだのがだいぶ前だったので、最初は登場人物のキャラクタ…ー設定や関係性が今ひとつ思い出せず戸惑ったが、一話目の中盤あたりからは本作の世界観にすんなり入ってくことができ、古き良き時代の昭和に懐かしさを感じながら読み終えることが出来た。
決して甘いだけのストーリーではないし、実質的な主人公である姉が早世してしまうことは第一作目の段階で明らかにされているが、ストーリーの語り部たる妹の生来の明るさのおかげで、湿っぽさがあまり感じられない点も好印象。
姉と同様の能力を持つライバルが出現するなど、少しずつ話も動き出して来ているので、次作以降にも期待。 続きを読む投稿日:2013.10.05
-
ハーモニー
伊藤計劃 / 早川書房
人が病を克服した先に待つものは...
1
人体内の健康状態を常に把握し、改善策を処方するシステムが開発され、病や不健康が実質克服された近未来を描いたSF小説。
ストーリー展開等にはやや疑問を感じるところもあったが、人が自分の身体にかかわること…のほぼすべてを外注化した先に何が待っているのか?、人の意識とは何なのか?等といった壮大なテーマが扱われていて、読み応えは充分。
また、本作発表後間もなく没することになる作者の思いが、作中何度も語られる「永遠」という言葉にこめられているように思われ、感慨深かった。 続きを読む投稿日:2014.03.07