【感想】里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く

藻谷浩介, NHK広島取材班 / 角川oneテーマ21
(304件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
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106
63
6
3
  • 創意工夫は大事だけれど

    少子高齢化する農村。市場原理(主義)が席巻する現代の日本というか世界にあって、少子高齢化への回答を里山資本主義というキーワードで解こうとした試み。
    そうはいっても、全ての里山を維持するのは困難で選別は必須だろうし(限界集落~ちなみに、取材の舞台となった中国山地は限界集落の数が日本一だったような記憶がある)、里山で資本主義をやろうにも、交通の便などの社会資本整備が伴わないと、それらの試みを維持することは難しいだろう。きれい事では済まない。もちろん、これまでの山村の多くに見られたように、お上に頼るだけの無為無策(に近い状態)からの脱却の方法を具体的に広く知らしめたといういう点では評価できる本である。
    日本という巨大経済、その近接した地域にあるという強みをどう生かしていくのか、その辺に里山資本主義の将来がかかっているのだが、本体たる日本経済が萎むようではどのみち先行きは暗い。藤原正彦のいう「天才を産む地域」すなわち美しい景色の代表である里山の美観は日本の資産であり、それを維持することには大いなる意味があるように思うので、里山資本主義という地元の努力以外にも、国全体として出来ることをもっと考えてゆくべきだと感じた。
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    投稿日:2013.11.03

  • 里山は大変よ

    自然の管理という点から見ても超長期的スパンで見る必要があるからダメならつぶせばいいという資本主義とは相性が極めて悪い。林業の件についても、成長速度を遥かに上回る伐採速度だろう。

    投稿日:2013.11.06

  • 目からうろこ

    この本に出会ってよかった。日々仕事をしてるなかで何となくか変えていた不安や不満。その原因と解決方法が見つかった。ひたすら働いて稼いで、豊かになれるか?現金収入の多い少ないだけでは計れない豊かさが、日本の里山には埋もれてる。この本で、中国地方の様々な事例を知ることができる。あとは、自分事として動けるかどうか。日本の未来も、私たちの将来も里山にヒントがありそうです。続きを読む

    投稿日:2013.10.03

  • 新たな発想

    里山から学ぶ循環型経済の構築
    新たな発想を起こさせられる本だと思います。

    本書のように里山の成功例がどの地域にも当てはまるとは思いませんが
    日々の生活で身の回りを見直すきっかけなると思います。

    分が今後どのように行動を起こしていけるか。
    それが大事になってくるのかな。

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    投稿日:2014.05.06

  • NHK広島よくやった

    過疎の限界集落地でも地域興しに成功している例はある。
    日本経済再生の鍵をそうした里山成功例から読み解く一冊。

    投稿日:2013.11.04

  • こういう発想も

    こういう発想も大切ですよね。
    ただ上手くいった事例がまだあまりないのでどうかなあ・・・。

    投稿日:2013.11.05

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ブクログレビュー

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  • あ

    率直に、理想論すぎると感じた。田舎の良いところだけに目を向ける田舎礼賛のきらいを感じた。マネー資本主義のサブシステムとしての里山資本主義を掲げながら、途中でマネー資本主義の上での日本の未来を語り、主題がよくわからなかった。経済換算できない価値を大事にするという意味では賛同できる考えであったが、マネー資本主義を知らないとこのシステムの妥当性は判断できないと感じた。これはタンザニアの彼がいうシステムからの脱却とほぼ同義だと思う。結局のところ個々人が何に幸せを感じるかであり、里山資本主義が正しいというのは、お金で物を買うことに幸せを感じる人の主義を否定し、彼らの生きるところを奪うことになると感じた。マネー資本主義で発展してきた以上、里山資本主義はサブシステムでしかないと感じた。続きを読む

    投稿日:2024.03.20

  • kodyhase

    kodyhase

    日々、企業人としてマネー資本主義の中に生きているわけだが、環境問題に少子高齢化、最近は海外できな臭い話題も多く、それとあまりに遠い自身の活動に果たしてこれでいいのか、マネー資本主義のままじゃダメなんじゃないかと思う中で購読。
    木屑によるバイオマス発電で地域に必要な分の電力を賄う、若者が移り住んで(都会と比べて)スローライフで自身を取り戻す…どれも素晴らしいし憧れる気持ちもある。が、独りならともかく家族、特に子どもがいて教育を考えるとなかなか手が届かない世界のように感じる。日本の処方箋としては弱い気がした。
    続きを読む

    投稿日:2023.12.28

  • Eleanor Rigby

    Eleanor Rigby

    十年前の本だが、今の社会にも通じるメッセージ溢れる内容だった。日本社会の解像度の低い、抽象的な話ではなく、マイクロな視点で、課題やそれに取り組む事例を掘り下げている。
    地方移住の促進や、コロナによる価値観の再考もあって、図らずも里山資本主義者は増加しているように思われる。続きを読む

    投稿日:2023.11.16

  • あきひで

    あきひで

    マネー資本主義に対して、域内で通貨換算できない価値を生み出し自給自足や見逃されてきた新規雇用を生む里山資本主義の可能性を語ってた。けど、マネー資本主義にどっぷり浸かった社会を里山資本主義にシフトさせるのは難しそうと思った。続きを読む

    投稿日:2023.01.15

  • りんこさん

    りんこさん

    https://docs.google.com/document/d/1I8lAbaZARTqPhm6D5uAMeG36hXgz8XMMkqwohQdAO7s/edit

    投稿日:2023.01.09

  • クミ

    クミ

    お金の循環が全てを決するという前提の「マネー資本主義」に対して、身近にある資源活用に着目し、お金がなくても水・食料・燃料が手に入る仕組み「里山資本主義」を提唱する。NHKのドキュメンタリー番組を元に書かれた本で、発売から3か月で16万部が売れたとか。

    発売されたは2013年。東日本大震災により、都市部での計画停電や物流の脆弱さ、原発への不安といった経験から、お金に頼らない安心安全なエコシステムを作る大切さを説く。当時は東日本大震災であったが、今はコロナや戦争、食糧難など、昨今の情勢に当てはめてもやはり里山資本主義はもっと注目されてしかるべきと思う。

    本書で取り上げられていた指標が興味深かった。通常国単位で見る貿易収支を、地方自治体ごとに見る考え方だ。要は地方自治体の中でどれだけ自給できているか、域内で経済を循環できているか。結論としては石油・電気・ガスを買うために多くの金額を域外、ひいては国外に払っており、一番の赤字要因になっている。一方、地下資源に乏しくロシアといった国外からのエネルギーに依存しているオーストリアは、10年も前から危機感を持ってエネルギー自給への転換に取り組んでいるという例は、昨今の情勢を踏まえるとさらに興味深かった。10年前に例として紹介されていた取組や企業を検索しながら読み進めると、時間の経過によって導き出されたとりあえずの「答え」も見えて面白い。

    自分自身も結婚を機に昨年東京から地方へ移住し、オットの実家の裏山から持ってきた木で薪ストーブを燃やすようになった。畑仕事を終えて、温泉で話しているおばあちゃんたちは本当に元気だなと思うし、東京では感じられなかった自然のありがたみや季節の移ろいを感じて、非常に充実感を得ている。東京にいたときよりも、断然里山資本主義に近い暮らしをしている点で、力を込めて本書を読んだ。続編も読んでみよう。
    続きを読む

    投稿日:2022.11.01

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