【感想】宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎

村山斉 / 幻冬舎新書
(276件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
48
114
60
12
0
  • 何もないところから、何かが生まれるメカニズム

    ビッグバンが起こり、宇宙が誕生。微生物が生まれ、恐竜の時代を経て、類人猿、そして人類へという進化の過程はいろいろなところで聞いてきた。けれど、そもそもビッグバンが起きて我々のもととなる“物質”ができるというのはどういうことなのか、についてはどうもよくわからなかった。

    村山先生がこの本で教えてくれた素粒子物理学を読むと、どうやらその秘密は、素粒子=ニュートリノとヒッグス粒子にあるらしい。物質が生まれた時、同じ量の反物質が生まれたと考えられており、物質は反物質が出会うと1対1で消滅してしまう。同じ量のふたつがあるのだとしたら、宇宙の全ては無になっているはず。でも実際は物質が存在している。物質が存在するためにわずかにバランスを崩す役割を担っているのがニュートリノなのだそうだ。わずか数%のズレで生まれる物質は、宇宙に充満するヒッグス粒子によって原子になり、質量を持ち始めたという。

    2013年、“欧州原子核研究機構(CERN)によって存在が確認された素粒子(ヒッグス粒子)に基づく、質量の起源を説明するメカニズムの理論的発見”によって、ヒッグス粒子の名前の元でもあるピーター・ヒッグスがノーベル物理学賞を受賞。

    まだまだ宇宙のほとんどを占めるとされている暗黒物質はほぼ内も解明されていない状態ではあるけれど、真空状態で、無であるとされた宇宙に、我々が存在するきっかけは徐々にわかりつつある。
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    投稿日:2013.10.31

  • 素粒子物理学の骨格をさらりと教えてくれる良書

    素粒子物理学の概要を素人に優しく教えてくれる良書です.
    ただ,カバーする範囲が広範で深いので数式なしの日本語と挿絵だけで理解するのはちょっと難しいかなと思いました.
    村山先生の説明はわかりやすいので他の本も読んでみたいと思います.続きを読む

    投稿日:2013.10.04

  • 「宇宙の起源を知ろうと思ったら、素粒子のことを理解しなければいけません」

    膨張を続ける宇宙も時間を逆行してその起源をたどれば、物質をこれ以上分解できない最小単位に行き着く。つまり広大な宇宙を知るには素粒子を理解することになる。この両極端なものの結びつきを著者は「ウロボロスの蛇」にたとえる。
    大学で力学、電磁気学を少しかじったが、素粒子物理学の前提にあるのは常識を超えた数々の概念だ。たとえると、太陽は自分の頭上を東から西へと移動しているように見えるが(天動説)、実は自分が動いているのだよ(地動説)、と告げられたようなイメージだ。本書は入門書ということでそれを平易に解説している。途中で素粒子の名前が多数出てきて混乱したが、どのようにして宇宙が解明されているかを知るにはうってつけだ。
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    投稿日:2015.05.23

  • 素粒子についてこんなに分かり易く書かれた本は他にないのでは?

    そうか、この本は「素粒子物理学で解く宇宙の謎」が主題だったのか。
    「宇宙が何でできているのか?」が主題の本だと思っていたので、大半が物質について分かったことの説明だったことが残念だったのですが、残念なのは早合点して本書を手に取った自分でした。
    ま、それはそれとして、素粒子についてこんなに分かり易く書かれた本には初めて出会いました。
    ミクロな世界に興味はあるけど何から読んでいいか分からないって人は、本書を選んでおけば間違いないでしょう。
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    投稿日:2017.02.23

ブクログレビュー

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  • 9678

    9678

    はじめのうちは興味深く読んでいたが、途中から難しすぎて気が遠くなりました。これが入門書であれば、私には理科系はやはり無理です

    投稿日:2024.03.11

  • まゆみ

    まゆみ

    最近、宇宙や量子力学に興味があり、読みました。私に専門的な知識がないので、一般の人向けの本らしいのでよみましたが、難しいところもあった。

    投稿日:2023.09.29

  • つー

    つー

    ビルや街灯、ネオンが煌々と輝く都心では殆ど見る事はできないが、小学生の頃に林間学校で見た夜空を覆う幾多の星は子供時代の私の心を躍らせ今でもドキドキ感をよく覚えている。流れ星がこんなに沢山あるんだという事、これだけ星があればきっと地球以外の星に生命体がいるという期待。宇宙はそもそも何で出来るかなど考えたこともなかった。今ならYouTubeなどの動画でそうした謎を解明する番組も多いが、当時は携帯電話すらもない世界、ただただ空の星に想いを浮かべるほか無かった。今でこそ様々なメディアで取り上げられるから宇宙の始まりも、今なお拡大を続ける状態などをご存知の方も多いだろう。本書はそもそもその宇宙自体が何で出来上がっているか、その謎を追い続ける研究者達の飽くなき探究心を伝えている。筆者はそのひとりの物理学者である。
    内容は当然難しいのだが、ノーヘル賞をとった研究成果などの解説と判りやすい例え話が豊富で物理に無知な私でもイメージし易くなっている。
    本書を読んでいると、人間の技術力の凄さと、何より知りたいという想いの強さが強烈に伝わってくる。遠いものを見るのも、小さすぎるものを見るのもどちらも技術がなければ見れないのだが、それよりも前に「それはあるはずだ」という強く信じる気持ちがなければ、それに辿り着くのは難しい(もちろん偶然の発見も沢山あるが)。
    物理学の世界だけに限らず、何事も理論と実証の繰り返しで事実とされていくのだが、スーパーカミオカンデやヨーロッパの巨大施設CERNに籠っていつ出会えるかわからないものを待ち続けるのは根気以前に強い信念と確信が無ければ心が折れてしまうだろう。
    本書を読みながら自分にもここまで情熱を注げる事があるかと、自問自答しながら、恐らくは筆者がにやけ顔で楽しそうに執筆している姿を思い浮かべるのである。
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    投稿日:2023.05.28

  • ますたぁ

    ますたぁ

    素粒子、宇宙の仕組みの研究の来歴を解説した新書

    宇宙の始まり、宇宙の果て、物質の最小単位
    ウロボロスのように循環する謎

    今まで何となく理解していた素粒子というものについて、ちょっとだけ深く知れた
    ただ、全てを理解できたわけではないので、ちゃんとした理解には程遠い

    物質には大きさのスケールがある
    自分を基準に大きくしていけば宇宙の果てになるし、小さくしていけば物質の最小構成単位になる

    宇宙の果てを知るには、宇宙が発生した残滓を観測すればいい
    宇宙の発生時は高エネルギーで物質が安定しない状態だった
    だとしたら、高エネルギーの状態を作り出せば宇宙発生当時を再現できる
    素粒子の種類や力の法則が分かれば宇宙の成り立ちが分かる
    成り立ちが分かれば今後どうなるのかも予測できる
    といった風に最大のものと最小のものへのアプローチは密接している


    現在観測されている原子を全て足しても宇宙全体の重さの4%
    他は観測できない質量を持つダークマターが23%や存在するであろうエネルギーのダークエネルギーが73%
    それだけのものがなければ現在の宇宙を構成できないという、観測値からの推論




    作中ではヒッグス粒子は推測語られているけど、既に観測済み
    物質に重力を与えるのはヒッグス粒子
    ヒッグス粒子の影響を受けるものと受けないもの(光子)があるので、それぞれの振る舞いの不可解さが理解できるようになったと

    標準理論に必要なレプトン、クォーク、光子、グルーオン、W粒子、Z粒子
    そしてヒッグス粒子

    宇宙の始まりは全ての粒子が重さを持たずに光速で飛び回っていたが
    ヒッグス粒子が発生して宇宙空間を満たし、他の素粒子に重力を与える
    クォークやレプトンはヒッグス粒子から受けた抵抗によって質量を持つようになり
    質量が生まれたことで素粒子が集まりやすくなった結果、原子核ができ、原子が生まれたと


    それぞれの素粒子の発見に至る過程
    それまでの研究や観測結果があり、理論があり、またその実証実験という繰り返し

    やはり、科学の発展は人々の想いがあってこそだなぁと思う
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    投稿日:2023.05.17

  • スイミンマン

    スイミンマン

    宇宙を構成する原子および素粒子を中心に噛み砕いて説明されている。
    正直あまり理屈は理解しきれていないが(エネルギーが質量になる、など…)、すべての星を集めても宇宙全体の重さの0.5%、原子で4.4%、それ以外は暗黒物質、暗黒エネルギーなどの原子以外のものであるらしい。標準模型やクォーク、ヒグス粒子など、そういったものの存在を知ることができただけでも学びになった。

    この本は2010年のものなので、13年経った今の最新宇宙事情が気になる。
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    投稿日:2023.03.18

  • ゆん

    ゆん

    今までSFを漁りながらも、ド文系で最低限知識もないまま読んでいたのですが、少しでもわかった方がよいのではないかとチャレンジしました。入門書として最適だったのでは...!暗黒物質とか暗黒エネルギーとか、ちゃんとした物理学上の単語であり、定義なのだということをしっかり理解しました。とてもわかりやすい。
    また少し経つと、クォークってなんだっけ?ってなる気がするので読み返したいと思います笑
    続きを読む

    投稿日:2022.07.29

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