【感想】夜のピクニック

恩田陸 / 新潮文庫
(2356件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
821
805
501
65
12
  • ただ歩く、それだけだけど、それだけじゃない。

    ただ一晩かけて歩くだけ。
    密室劇にも似た、一歩間違えれば退屈になってしまう話を、奇跡とも思えるぐらいの完成度でまとめあげた一冊です。

    正妻の子と、愛人の子と、二人を取り巻く友人達と。
    教室でも、学校でも、修学旅行でもなく、たんたんと歩く歩行祭が舞台だからこそ、
    ある意味昼ドラな半分だけ血の繋がった兄妹の関係がどろどろせずに、
    最後まで柔らかい優しい雰囲気に包まれて展開して行きます。

    ハードカバーで愛蔵用に一冊、読み倒すようの文庫が現在三冊目、とうとう電子書籍でも手に入れてしまいました。
    それくらい大好きでおすすめの本です。

    これまで読んできた本の中で一番好きなお話のひとつです。
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    投稿日:2015.04.04

  • 歩いて、歩いて、歩いて。前へ進む。

    「歩行祭」。それは、夜通し歩き続けるという、暴挙じみているかのようにも思える行事。貴子は、クラスメイトとともに歩き続ける。とある思いを胸に―。

    受験を控えた生徒たちの会話や、個性的な登場人物など、ストーリーを面白くする要素が満載で、一気に読み切ってしまいました。貴子や融の関係にもハラハラドキドキ。

    おすすめの一冊です。
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    投稿日:2015.04.04

  • 凝縮した青春

    高校の修学旅行の代わりに実施される夜通し歩く恒例行事。
    ある秘密を共有することで強いわだかまりをもつ男女が,心ない同級生たちの言葉に翻弄されながらも,本当の仲間達に支えられて,成長していく様を描いています。
    ただ1晩歩くだけとはいえ,街灯もない顔も見えない暗闇の中でただ歩くという共通の目標をもつことで,心のかさぶたがとれて行くわけです。
    恋愛,受験や将来,家族,若さ故に迷う様が鮮やかに描かれています。おすすめです。
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    投稿日:2015.08.31

  • 一緒に歩いた気分になる。

    とある高校の恒例行事である「歩行祭」の一昼夜を舞台に、今まで一言も話したことのない異母きょうだいの確執と成長を書く傑作青春小説。

    とにかく「歩行祭」は強烈だ、朝から翌朝まで少しの休憩をはさむだけで歩き続ける過酷な行事である。しかし苛酷だからこそ今まで飾っていた自分の殻が破れ、本当に求めていたものに気づくことがあるのだろう。

    物語は「歩行祭」の一昼夜だが、まるで一緒に歩いているかのような錯覚さえした。高校生ながら人間関係は複雑だし、これからの人生の期待も畏怖もある。そんな登場人物たちが実際に目の前でぶつぶつ言いながら歩いているような気がした。ここまで引き込まれたのは傑作だからだろう。著者の力量は疑いようがない。
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    投稿日:2017.08.17

  • 表現がきれいで情景が目に浮かぶ

    主人公の心情や、移り変わる景色の描写がとてもきれいなので、同じ行を何度も繰り返し味わって読み進めていました。
    登場人物一人ひとりが味のある暖かい人柄で、読んでいる自分までこの歩行際に参加したいという気持ちになります。
    ずっと終わってほしくない、いつまでも読んでいたいと思える、大好きな本です。
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    投稿日:2015.09.06

  • 歩いているうちに高校生になっているような不思議さ

    歩行祭という、80kmという長距離を夜をはさんで2日間で歩ききる
    学校行事の進行に合わせて物語は進みます。

    題材から分かるかもしれませんが、劇的な展開はありません。
    しかし、歩み続けるかのように、先に先に読み進めてしまう。

    登場人物はどこにでもいそうでありながら好感が持て、
    彼らの関心や悩みは高校生真っ只中と感じさせ、
    行事の進行が詳細に書かれていることも相まって、
    小説の舞台である歩行祭が実に身近に感じられます。

    高校生の頃に戻ったような…。
    もっと高校生やっとけばよかったなと思います(笑)。

    不思議な小説だと思います。
    タイトルに惹かれるものを感じたなら、読んでみてください。
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    投稿日:2017.08.17

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ブクログレビュー

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  • シバフレ

    シバフレ

    高校3年生の最後の行事で登場人物が色々な思いをもって過ごします。

    読み心地の良い本でした。
    読書初心者でも最後までスラスラ読めました。
    青春っていいなぁ、友達っていいなぁと思える本でした。
    どデカい衝撃や感動は無いけど、このゆったりした感じがこの本の味だと思います。
    読後感も良かったです。
    娘や嫁にもいつか勧めてみたいと思います!
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    投稿日:2024.04.08

  • ゆーぐれ

    ゆーぐれ

    このレビューはネタバレを含みます

    名作だとは思うけど何だか合わなかった…
    一応最後まで読んだけど、ウーン…
    確か中学か高校の時にこの本読んで挫折して、大人になってもう一度読んだけどなかなか最後まで読むの辛かった
    どうやら十代のときから私の感性は変わっていないようだ…

    登場人物の価値観が全員大人過ぎ、というか理性的すぎて何か高校生じゃない感がある

    その割に唐突に出てくる中絶事件に対しての「そんなの誰かを好きになれるのは羨ましい〜」というお花畑発言…
    あれ、中絶事件の犯人(相手の男)って結局わかったんだっけ???

    登場人物が突然達観した中年のような思考になったり年相応な高校生に戻ったりするのでなんだか最後までみんなの性格がよくわからなかったけど、気づいたらゴールしててメデタシメデタシ

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.07

  • ゆい

    ゆい

    場面の断片が少しずつ残り、全体の印象が定まる。思い出すのは事実の映像でなく、印象
    ススキの原っぱ、友人と転がった川べり、ふとした瞬間。青春の揺らぎ、煌めき。若さの影。
    読むと青春のあの頃が思い出され、心がざわめく。未成熟だったけど煌めいていた。続きを読む

    投稿日:2024.03.26

  • 星月夜

    星月夜

    歩行祭という変わった学校行事を通して、二人の生徒の難しい関係が描かれる。青春であり、人生の一部であり、もし自分が彼等の立場だったらどうするだろうなぁと思いながら、気がつけば読み進めていた。二人の明るい未来を感じさせる結末で良かった。
    著者の「蜜蜂と遠雷」が面白すぎて、今更ながら代表作であるこの作品を手に取ったが、やはり巧みな文章と表現力で流石だなと感じた。
    続きを読む

    投稿日:2024.03.23

  • すかい

    すかい

    このレビューはネタバレを含みます

    歩行祭を舞台に、高校生がただひたすら歩くと言うお話!!1冊ずっと歩いてる!!んだけど読み続けてく上で心情が変わっていったり、色々な登場人物が出てきたり…
    主人公2人がこの夜行祭を通して、お話できてよかったなあ〜なかなかドロドロした設定ではあるんだけど、そんなことを感じさせない心温まる物語でした。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.03.21

  • wada

    wada

    学生時代から気になってたのに何故かずっと読まずにいた本

    学生生活特有の、適当でちょっと気怠げでいつも少し物足りなさを感じているような雰囲気を描くのが上手い。自分が高校生の頃に実際こんな会話してたな〜と思う

    年々、いわゆる青春小説というものに入り込めなくなっている
    歳を重ねているから当たり前なんだけど
    続きを読む

    投稿日:2024.03.19

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