【感想】あなたの人生の物語

テッド・チャン, 浅倉久志 / ハヤカワ文庫SF
(253件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
80
75
54
8
3
  • 同業者(同じSF作家)からの評価が高い、チャン

    この小説の中にはいっている中短編の8編が今までに発表しているほとんどの作品という凄まじく寡作な作家である。が、すべての作品が何らかのアメリカのSFの賞に絡んでおり、同業者(つまり同じSF作家)からの評価が高い。と前評判は上々なのだが、実際読んでみるとそこまで面白いか?というのが正直な感想。

    表題作「あなたの人生の物語」と「地獄とは神の不在なり」の2作品は確かに面白かった。
    「あなたの人生の物語」は異星人との意思疎通を図る言語学者が、異星言語を研究していくうちにあることに気付きできるように(わかるように)なる。余韻のある結末が良かったですね。「地獄とは神の不在なり」は、天使が降臨する現象が自然現象として起こる世界で、妻がその降臨現象に巻き込まれ死んだ男の話。これも面白い。天使降臨に巻き込まれ死ぬ人もいれば、奇跡が起きて難病が治る人もいるという現象を巡って複数の男女の運命が翻弄される。人にとって信仰とは何か、神とは、天国と地獄とは?などなど結構考えさせられる作品。「バビロンの塔」という話も印象的な話ですが、それ以外は自分的には内容も含め難しいというのが正直な感想。この人の長編読んでみたいとは思いましたが、「書く価値のあるアイディアを思いつかない限り書かない」がモットーらしいので無理かなあ。

    ※アニメ「トップをねらえ!2」の最終話の題名が、この小説の題名と同じというかこの題名を使用。
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    投稿日:2014.10.08

  • SFの奇才が産み落とした1冊

    執筆活動の他にテクニカル・ライターも務める、兼業作家のテッド・チャン。非常に寡作な作家として知られており、現在のところ実質の著作もこの『あなたの人生の物語』だけ。しかし、ここに収められた8つの短篇は、どれも咀嚼するのに時間のかかる濃密な物語になっています。

    表題作の「あなたの人生の物語」では、言語学者の女性が未知の言語を扱うエイリアンとの意思疎通を試みていきます。単語はもちろん、文法やその世界観も異なるエイリアンの世界。彼らの視点を学んでいくことで、次第に彼女自身の人生の見え方も変わっていきます。

    他にも、4ヶ月をかけて頂上まで登る塔を舞台にした「バビロンの塔」など、テッド・チャンは壮大な舞台装置を巧みに使って不思議な世界を構築していきます。

    大きな世界で展開される、小さな人間の物語。ぜひ気になった章から開いて、彼の生み出した物語に没頭してみてください。
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    投稿日:2015.07.30

  • ちょっと骨太なスルメのような作品たち

    表題作ほか,短編全8編。
    表題作「あなたの人生の物語」と「地獄とは神の不在なり」がよかった。

    「あなたの人生の物語」は,異星人との交流を試みるうちに,あることに気づく言語学者の物語。
    その超越した超越した構成には息が漏れた。ただ,物理学に登場する「変分原理」をかじっていないと
    その面白みがあまり伝わらないのでは? とも思ったけれど。

    どの作品も,特徴的な世界観で,頭を使ってじっくりと楽しむちょっと骨太なもの。
    読後にあれこれと考えたり,戻って読み直したりしながら,じわじわと面白みが増してくるスルメのような物語たちのようだ。

    あと,『理解』はラノベ(笑)
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    投稿日:2016.11.03

  • 多様な表現と優れた発想の合体

    映画「メッセージ」公開ということで積ん読状態だったこの本を読んでみた。想像以上によかった。コミュニケーション、言語がテーマの話が多いが、数学、物理の小説化としても感心。「オロモルフ号の冒険」を思い出したり。表現作は映画を見た後読み返して更に感動が深まった。続きを読む

    投稿日:2017.06.03

ブクログレビュー

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  • ビタミンカ

    ビタミンカ

    「最強の3冠SF」という本の帯と友人の勧めで購入。

    短編集とはいえ、本の分厚さにちょっと気が引けてしまい、買ってからしばらく眠らせてましたがようやく読了。

    面白かったです。

    ファンタジー寄りな作品もあれば、そう遠くない未来にあるかもしれない作品もありました。

    やはりタイトルになっている「あなたの人生の物語」が面白かったですが、「顔の美貌について」も色々考えさせられて良かったです。
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    投稿日:2024.03.23

  • ワンbooks

    ワンbooks

    感動する、傑作
    ということで、とりあえず映画をみて本書を手に取りましたが

    最初の塔の話は、まーなるほどという感じで
    そこまで感じることなく、

    その次の話から、もーよくわからん状態。

    私の読解力と想像力と知識の乏しさを
    露呈する本となりました。
    今の私では、ワクワク感がうまれず
    読み切ることができませんでした。

    再読することは、多分ないかなー
    抽象的であっても、
    想像しやすく読みすすめられるものもあるし
    合わなかったんだとギブアップ
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    投稿日:2024.03.18

  • 明烏

    明烏

    このレビューはネタバレを含みます

    名誉か不名誉か、寡作作家たるテッド・チャンの短編集。
    これと『息吹』を読めばだいたい網羅できる。君も2冊読んで「テッド・チャンはだいたい読み切った」と言おう!

    正直『息吹』の方が好みの作品に溢れていたのでちょっと肩透かし。
    まぁ単純なSFと言い切れず、人の認識を揺るがすような作品という意味ではこっちの方だったりするかな。表題の「あなたの人生の物語」や「顔の美醜について―ドキュメンタリー」は特に深く考えさせられる作品だった。
    でも「地獄とは神の不在なり」は結構悪趣味…というより、SF作家らしい論理的思考が行き着いた宗教観という感じが出すぎてちょっと引いたな。いや、面白いんだけどさ…。

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    投稿日:2024.03.07

  • まごいち

    まごいち

    頭空っぽにして楽しんで読めるか、というと難しい
    短中編のあつまりだが、どの話も登場人物の置かれた状況を理解し、十分想像しなければ味わいきれない。世界観が考え込まれた「世にも奇妙な物語」というと、軽すぎるだろうか。

    表題作「あなたの人生の物語」がやはり秀逸
    SFではなく、人生の物語
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    投稿日:2024.02.19

  • fuming

    fuming

    「理解」
    アルジャーノン的な話かと思ったら、ラストは少年漫画のバトルものみたいだった。

    「あなたの人生の物語」
    映画を先に観てて良かった。じゃなきゃさっぱり理解出来なかったと思う。

    「地獄とは神の不在なり」
    ドラマ「地獄が呼んでいる」と映画「ノック」を連想した。

    「顔の美醜について」
    1番解りやすくて楽しめた。
    "カリー"やってみたい。
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    投稿日:2023.12.31

  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    「地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者のルイーズは、まったく異なる彼らの言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく……ネビュラ賞を受賞した感動の表題作(映画化名「メッセージ」)はじめ、天使の降臨とともにもたらされる災厄と奇跡を描くヒューゴー賞受賞作「地獄とは神の不在なり」、天まで届く塔を建設する驚天動地の物語――ネビュラ賞受賞作「バビロンの塔」ほか、全8篇を収録。解説/山岸真」

    〔収録作品〕
    バビロンの塔
    理解
    ゼロで割る
    あなたの人生の物語
    七十二文字
    人類科学(ヒューマン・サイエンス)の進化
    地獄とは神の不在なり
    顔の美醜について――ドキュメンタリー
    続きを読む

    投稿日:2023.12.01

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