【感想】四畳半神話大系

森見登美彦 / 角川文庫
(1545件のレビュー)

総合評価:

平均 4.0
429
600
319
56
9
  • エッシャーの騙し絵の世界を歩くような、奇妙な心地よいふわふわ感。

    冴えない苦学生が薔薇色のキャンパスライフを夢見つつ、うだうだ悩んで駄弁って選択して空転して過ごす、4つの平行世界を巡る「if」の物語。もし〜たら、れば、を巡って知る、必然と偶然と運命。

    4話目、蛾ともちぐまが出て来た辺りからの、頭の中で伏線が一本のベクトルに集約して物語を逆行していくすっきり感と、4話までの間に繰り返された表現が改めて多用されることによる既視感が凄い。あえて既読箇所を飛ばし読みしていくと、読む箇所が減ってくる物語の後半、展開が早まるような錯覚に陥るのでおススメです。エッシャーの騙し絵の世界をふらふら歩くような、奇妙な心地よいふわふわ感。

    隣の芝生は青いけど、今いるそここそがあなたの選択、青い鳥はいつもそこにいるのね的な普遍的なテーマを、一見高尚な文体で包み込んでピリッとスパイスを利かせた、でもやっぱり面白い小説です。
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    投稿日:2014.08.15

  • 「あの時ああしてれば…」などとクヨクヨしている方にはこの一冊

    何とも不思議な物語に出会ったものです。

    四つの短篇からなる一冊ですが、四篇とも同じ主人公、同じ時系列、同じ場所を中心に広げられる異なる物語。
    いわば読者は四篇の並行異世界を体験する事になります。

    予備知識ゼロで取り組むと、この辺の仕組みを正しく理解するのに半分、約二〇〇頁も要してしまいましたが、理解してからは楽しさ倍増。
    最近氏の作品の世界観も理解し始めてきた所だったので、余計な気を回す事無く純粋に没頭する事ができました。

    ただ、最後の一篇は解決編に見えて読者を混乱させるだけだった様な。
    発想は凄く楽しかったけれど。
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    投稿日:2014.04.06

  • 並行世界で七転八倒…嗚呼、バラ色のキャンパスライフはどこに!

    相変わらず拗らせたキャラクターを描くのが上手い。
    『四畳半恋ノ邪魔者』 『四畳半自虐的代理代理戦争』 『四畳半の甘い生活』 『八十日間四畳半一周』 バラ色のキャンパスライフを夢見て入学したのに、冴えない大学三回生になってしまった私。並行世界での4つの物語。
    妖怪の如き悪友の小津、謎の人・樋口師匠、孤高の乙女・明石さん。登場キャラクターもクセモノ揃いで。小津の小指から繋がるのは運命の黒い糸、シュレディンガーの猫、占いの婆さん、猫ラーメン、コロッセオ、大量の蛾…雑多な情報と小道具が入り乱れ、世界は綾取りのように縺れ絡まる。
    下鴨幽水荘の四畳半で繰り広げられる七転八倒。面白かったです。
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    投稿日:2015.03.06

  • 薔薇色のキャンパスライフを目指して

     ノイタミナ枠でアニメ化されていました。アニメと原作では細かい設定が違いますが両方おもしろい作品です。時間があるかたは原作も読み、アニメも見てみるといい思います。
     主人公は薔薇色のキャンパスライフにあこがれる大学生の「私」。小津と出会い、私の大学生活はこんなはずじゃなかったと後悔する日々。あのとき、ああしておけば・・・
     アニメを先に見ていたので内容を知っていましたが、それでも、なかなか楽しい作品でした。回収された伏線が気持ちいいです。
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    投稿日:2014.05.10

  • 本当にリアルな学生生活を描く観念的青春小説

    薔薇色の学生生活は、夢の国の話なのか?それとも、現実にあるのか?

    学生の町京都を舞台に、縦横無尽に青春を謳歌する若者たちの物語。
    それが、たとえ4畳半の下宿の中で悶々と日々を送っているにしても、それは青春なのだ。

    薔薇色の学生生活は、手に届かないところにあるようで、実は青い鳥のように近くにあるのかもしれないし、
    誰かの歌にあったように、青春自体の真ん中は、道に迷っているばかり

    若者は黒髪の乙女を求めて、次元を超えて旅をする。
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    投稿日:2016.07.15

  • もしあのときやり直せたら

    本当によかったのでしょうか?
    この本はきっとその答えを教えてくれるはず・・

    投稿日:2013.09.28

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ブクログレビュー

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  • summer

    summer

    やっぱり、森見登美彦ワールドはすごい……。独特の文体なので頻繁には選ばないのだけど、数年おきに読みたくなる不思議な世界観です。選択していくことのワクワクも感じられて楽しく、面白おかしく読み切りました。

    投稿日:2024.07.07

  • けい

    けい

    「可能性という言葉を無限定に使ってはいけない」
    自分が持ち得る可能性には限界があるが、その範囲の内でひたすら足掻いて自分がどこまでも自分であることを思い知る。それもまたある意味薔薇色なのである。
    私が子供のころ小説を知ったきっかけの、ただただ愛おしい物語続きを読む

    投稿日:2024.07.01

  • きょんこ

    きょんこ

    このレビューはネタバレを含みます

    森見ワールド炸裂。「ほんの些細な決断の違いで私の運命は変わる。」決断次第でいろんな方向に人生進んでゆくという(当たり前に近い)言葉に震えた。最終話は今までの流れの中には無かった小津を思う気持ちが顔を出していた。不毛な2年間だと思っていたけど、この2年間に育まれたものはある。その感情に気づけた「私」の言う「俺なりの愛」には重みがあるナ。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.06.27

  • adbc

    adbc

    人は生活していて後悔はするし、違う生き方があるのではないかと夢想する。でもどのような生き方をしても結局似たような結末になる。だから楽しく生きていこうと励まされる作品であった。

    投稿日:2024.06.20

  • 伊地知

    伊地知

    四つのパラレルワールドからなる物語で、色は違えど運命の糸で様々な人、モノの繋がりが見られる作品だった。全ての章で見られる共通の文章があり、どこで使われるのかというワクワク感もあった。

    投稿日:2024.06.14

  • 柚麻

    柚麻

    独立した短編でありながら、それぞれの話が絶妙に絡み合っている構成がとても面白かった。伏線も丁寧に散りばめられていて、それぞれのパーツが最後にはきっちりハマっていく感覚はもはや爽快。
    同じ文章や展開が繰り返し使われている点は、たとえ異なる選択をしたとしても、自分の人生にそう差異はないことのように思わせてくれる。
    最初に読んだ時には少しキラキラ大学生活への圧が強いな…とも思ったけど、読んでいくうちに堕落的な大学生活とのバランスが癖になってくる。
    続きを読む

    投稿日:2024.06.11

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