これからの「正義」の話をしよう ──いまを生き延びるための哲学
マイケル・サンデル(著)
,鬼澤忍(訳)
/早川書房
作品情報
日本中が熱狂したベストセラーが紙版の文庫化に合わせて大幅値下げ。
さらに世界初公開、マイケル・サンデル氏の次作『それをお金で買いますか』より「序章」を先行収録いたしました。
1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか?
哲学は、机上の空論では断じてない。金融危機、経済格差、テロ、戦後補償といった、現代世界を覆う無数の困難の奥には、つねにこうした哲学・倫理の問題が潜んでいる。この問題に向き合うことなしには、よい社会をつくり、そこで生きることはできない。
アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ミル、ロールズ、そしてノージックといった古今の哲学者たちは、これらにどう取り組んだのだろう。彼らの考えを吟味することで、見えてくるものがきっとあるはずだ。
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この作品のレビュー
平均 3.9 (309件のレビュー)
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幸福、自由、美徳から考え直す正義
正義とは何でしょうか。書斎の中で思弁的に正義を語ることはできるかもしれませんが、実際に社会に起きている複雑で泥臭い毎日の事件に即して、正義とは何かを考えるのは難しいと思います。本書では、幸福、自由、美…徳という正義の基盤となる考え方を道標(みちしるべ)としながら、読者は正義とは何かを探る旅へと導かれます。
世の中では、社会の最大幸福を追求すべきだとか、自由を尊重すべきだとか、言われるような気がします。しかし、自分を振り返ってみると、ある問題では皆が幸福であるべきだと考えているのに、別の問題では自由を尊重する立場に回ったりして、一貫性に欠けた幸福や自由を尊重していることに気がつきます。改めて、正義とは何かを考えさせられます。
幸福の最大化はわかりやすい考え方ではありますが、この考えを追求すると、人は大多数のために少数者の権利さえ犠牲にするという考えに陥りがちです。果たして、人権をそういう形で侵してもいいのだろうかということが問われます。
そこで人権を尊重する自由という考え方が出てきます。ところが、自由が拠って立つ基盤となるのは自己を所有しているという考え方ですが、この考えを突き詰めると、自分が同意さえすれば自分の命を絶つことが許されるという議論に陥ってしまいます。果たしてそういうことは許されるのでしょうか。
これらの考え方に対して、カントは自己所有とは異なるものに基盤をおいて彼の理論を作り上げたそうです。それは、人間は誰でも理性を持っていて、理性によって自ら行動することができますが、理性こそが人間の尊厳の基盤でもあるということです。さらに、人間は尊厳ある存在であるのだから命を絶つことは許されないというのが、カントの考え方です。
しかし、サンデルは、この確固としたカントの考えにも満足しません。カントの考えは余りにも理想的過ぎて実際の人生で立ち向かう現実との乖離がありすぎるということでしょうか。理想的な考えで正義が論じられるときには、人々が属している文化の美徳のようなものは無視されますが、果たしてそれでいいのでしょうか。自らのアイデンティティを形成してくれた社会から切り離された正義、ある意味非常に抽象化された正義に従うことが正しいのでしょうか。サンデルは、自らの人格形成に大きな影響を与えたコミュニティの道徳的な重荷と重要性を担いつつ、自由と向き合うことができる道を探しているのです。深い洞察と思索によって裏付けられた確固とした考えで、強い感銘を受けました。
続きを読む投稿日:2013.11.24
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「常識」も「善悪」も揺らぐもの。
普段なんとなく判断している善悪。著者のガイドに従って突き詰めて「なんでコレを悪と判断するんだろう?」と考え始めると、意外と自分の判断の根拠があいまいなことに気づく。
こういう哲学の本、好きです。投稿日:2014.04.09
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