
バースデイ
鈴木光司
角川ホラー文庫
リングシリーズ第4作(完結)
ループで完結したかと思いきや、エピローグとしてこれまで語られていなかった細部が書かれている。 こういった作品ではよく蛇足に思えてしまう場合も多いが、ループの読後感がますます冴え渡ること間違いなし。
1投稿日: 2013.11.10
ループ
鈴木光司
角川ホラー文庫
リングシリーズ第3作
リング・らせんに対して科学的な理屈を見いだそうとした力作。冒頭が実に作者らしい家庭の描き方で印象に残る。ホラー作品としては邪道に思えるかもしれないけど、リング・らせんはほんの一幕だったと思えば、ホラーにとどまらないもう一つ上位なシリーズ作品として満足できること間違いなし。 本作にだけは作者あとがきがなかったのが少々不満。
0投稿日: 2013.11.10
らせん
鈴木光司
角川ホラー文庫
リングシリーズ第2作
どうしてこのビデオテープが生まれたのか、という1点に対する科学的考察からは少し距離を置きつつも、作者らしい科学的なもっともさを醸しながら読み進んでいくことが出来る。ホラー作品としてはらせんで完結してもよかったと思うが、そこに甘んじない点が素晴らしく、「中編」という認識で読むべき。
0投稿日: 2013.11.10
リング
鈴木光司
角川ホラー文庫
リングシリーズ第1作
今読むとやはり「ビデオテープ」が鍵となっていることに少し違和感を覚えなくもない。また、どうしても映像化された作品の情景が頭をよぎってしまい、文庫単品としては四つ星かな、おもしろいんだけど。
1投稿日: 2013.11.10
復讐執行人
大石圭
角川ホラー文庫
あとがき要注意
いつもとは違うような描写が気になりながらのストーリー展開。小学校、中学校、高校大学、職場と、どんな集団にいても気づいたら孤立している人向けの作品。あとがきを読んで、作者の意図的なものに納得したようなしなかったような。
0投稿日: 2013.10.14
クリムゾンの迷宮
貴志祐介
角川ホラー文庫
ここまで五つ星
クリムゾンとは深紅色の意とのことで火星のようなところが舞台となるおはなし。13番目のISOLA、黒い家、そして本作には共通した読後の爽快感あり。(これ以降は色々と当たり外れがある印象に・・)
5投稿日: 2013.10.11
黒い家
貴志祐介
KADOKAWA
サイコパスと私
そこそこのサラリーマン勤めをしていた日常だったのに、ひょんなことからサイコパスに目をつけられて、徹底的につけこまれていく様子が我が身のことのように恐ろしくなる一作。 デビュー作に続いて人間の感情をテーマとして描かれている一方で、作者自身が生命保険会社に勤務していたことからそのサラリーマンぶりが臨場感溢れており生々しい。客商売の大変さと、他人の感情と行動に左右されてしまう自身の感情のはかなさを味わえる。
0投稿日: 2013.10.07
十三番目の人格 ISOLA
貴志祐介
角川ホラー文庫
必読の一冊
貴志祐介のデビュー作。10数年振りに読み返してもまだまだ引き込まれる名作。エンパスの主人公を通じて、感情という形にできないものに対する深く洞察された作者の考えが物語として展開されていく。憎しみや憂いといったネガティブな感情が蔓延する日常生活のなかに、人はどうやって救いを見いだしていけばいいのか。デビュー作以降も数々の名作を書き続けている貴志祐介だが、本作を読むことでますますファンになってしまうはず。
5投稿日: 2013.10.02
死者の体温
大石圭
角川ホラー文庫
清々しい殺人鬼
安田祐二さんが週末の小旅行的な感覚で人を殺しては埋める物語。ありがちなプロットともいえるけど、日常のさりげない出来事をみずみずしく語るようなのりで、人殺しの気持ちをあざやかに綴った一作。
0投稿日: 2013.09.25
檻の中の少女
大石圭
角川ホラー文庫
大石圭の最高作
この作者からこの本を越える物語はもう出ないのではないかと思う。大石圭ファンと人に公言したことはないし、いかなる本も人にすすめたことはなく、このレビューを書くのも少々躊躇われる。だけど、この物語の主人公である僕には、日陰で生きていた男のエッセンスを絞って蒸留して濾過して凝縮させたような、そんな淡いのに濃厚な世界観が描かれている。本屋で買うには躊躇われそうな表紙だけど、少女好きとかいう視点ではなく、つまらない人生を送っている男のための一作。
2投稿日: 2013.09.25
