水底(みなそこ)から君を呼ぶ
大石圭
光文社文庫
ホラー小説への挑戦
がんばって書いたホラー小説でそこそこよくかけている。主人公格の男性が立派な人物なことと、寝床の描写を完全に避けたという点は、既存の作風からの脱却(味の素をつかわずに炒飯をおいしくつくるような努力)をめざした一作なのでしょう。このままホラー作家として大成して欲しいもの。
0投稿日: 2015.04.30地下牢の女王
大石圭
光文社文庫
こうゆうのもありなのか
大石圭の別の作品に関する心中だとか、出版社からの期待というものが書いてある。個人的には、うだつのあがらない男が事業ではそこそこ成功して金の力で願望成就、もしくは、うだつのあがらない男がやっぱり人生失敗・・という定石ストーリーが好きなのだが、作者自身も殺人とか性描写という味の素に頼らない味付けを模索しているということを感じる本筋とは別の所で興味深い作品だった。
1投稿日: 2015.01.06女奴隷は夢を見ない
大石圭
光文社文庫
新しい視点
いつものストーリーを業者視点で描いてみた作品。買う方と売られる方だけでなく斡旋する側の視点も追加されたことで若干味付けは変化あり。
2投稿日: 2014.07.27あの夜にあったこと
大石圭
角川ホラー文庫
戦慄はしない
社会的な負け組生活に陥っている2人。人並みな満足度も得られない毎日へのわだかまりが丘の上に住む裕福な家庭への強盗につながる。この2人の行動を描くことで作者がいいたかったことは何?ようわからん。つつましい暮らしをしている人があがいた結果さらに泥沼に、というプロットは他の作品でもあったかもしれないけど、今回はあまり見所が感じられず。
0投稿日: 2014.07.27処刑列車
大石圭
角川ホラー文庫
なぜに処刑列車
貴志祐介の場合は天然のサイコキラーの殺戮ぶりをただひたすら読ませるアクション映画のようなストーリーだったが、本作では、誰がどうしてこんなことをというのを微妙な伏線も交えながら考えさせられる。ラストシーンはけっこう好きだけど、何だかタイトルと中身には乖離を感じた。
0投稿日: 2014.03.29子犬のように、君を飼う
大石圭
光文社文庫
定番のストーリー
赤川次郎の三毛猫シリーズを読んでいるような安定感のある展開。いつもの如く、心に影のある男が女性と出会ってその気持ちを新たにして救いの手をさしのべるストーリー。舞台であるマカオの描写もよくできていて、行きつけのラーメン屋で昼ご飯たべた後のような読後感。
2投稿日: 2014.03.29天使の囀り
貴志祐介
角川ホラー文庫
なんとか読み終えた
全部読み終えた今となってはそれなりにおもしろかったけど、前半の高梨を中心としたストーリー展開がかったるくて、一気に読み進めることができなかった。読後に全体をふりかえっての納得感もあんまりなかった。
0投稿日: 2014.01.19二度はゆけぬ町の地図
西村賢太
角川文庫
なまなましい私小説
学歴もなく自らの欲望に自制もできずに思うがままに生きようとして、それもまかりとおらない青年の物語。その露骨で下品とも思える単語単語に嫌悪感を覚えることもあるが文章の完成度が高いのは否めずに読み進めてしまう。著者の本ははじめて読んだが、別の作品も読まざるを得ないか。
0投稿日: 2014.01.03人間処刑台
大石圭
角川ホラー文庫
力作
人にいえないような内面を書きまくる作者が、ほぼ「暴力」に特化した異色の一作。期待せずに読み始めたのだがよい作品だった。 作者が格闘技に精通しているとは思えないけど、闘いのシーンもそれなりにきちんと描写されている(編集者のサポートの賜か?)。今後もっとこういう方面の作品も手がけて欲しいもの。
2投稿日: 2013.11.2760秒の煉獄
大石圭
光文社文庫
意外にも
最終の数話を読んで退屈な短編集かと思いきや、連作集であり、後半になるにつれてだんだんとひきこまれていく。 定番のあとがき(作者の寂しげな子供時代)がまた味わい深い(今回は少々重くもある)。
2投稿日: 2013.11.27