
プリズンホテル 1 夏
浅田次郎
集英社文庫
暴力団専用ホテル
2009/08/23記録。 久々に浅田作品に触れました。 暴力団専用ホテルというコテコテの任侠の世界に、 堅気の世界から4組(小説家・支配人・若林夫妻・わけアリ親子)の 人々がいろんな経緯で引き寄せられ、 それぞれの人間模様が描かれています。 山崎豊子の作品を読んだ後に読むと、 「どうせ作り話じゃん」という馬鹿馬鹿しさが どうしてもぬぐえないのだけど、 読了後、明らかに山崎作品よりすがすがしい感じが残るところが、 明らかな違いとして感じる。 そもそも比べるような話ではないのだけれど。 映画というより、舞台を見た後のような感覚が残ります。 星が1個足りないのはちょっとエンディングが 急展開に思えたのと、そこに至るまでに もう一山欲しかったところかな。 とはいえ、痛快な作品だったので2、3、4と 読み進めることにします。 とはいえ、一応1は1で物語が完結している。 2以降の話はどう続くのだろう。はて。
1投稿日: 2013.12.26
プリズンホテル 2 秋
浅田次郎
集英社文庫
大衆演劇
実際に観たことが無いのだけれど、 大衆演劇を観ているよう気分になる話です。 ヤクザと警察が泊まるホテルではちあわせ。
0投稿日: 2013.12.26
沈黙
遠藤周作
新潮社
「神はいるのか?」
2010/03/21記録。 10年近く前に「深い河」を読んで以来の遠藤作品。 物語は、尊敬してやまない先輩司祭のフェレイラが、 島原の乱の後、切支丹への迫害がキツイ日本において、 棄教したという知らせがローマ教会に入ったところから 始まる。 ローマ教会にとってフェレイラの棄教は、 ヨーロッパ信仰の極東における敗北をも意味する。 主人公ロドリゴと同胞のガルペは、マカオ経由で 長崎に入り隠密行動の中で布教に務めるが やがて、囚われの身となる。そして、 奉行所が切支丹信徒へ容赦のない迫害を加えるのを 目の当たりにする。ロドリゴは神へ祈りを捧げるも。 神は沈黙を破らない。決して救いの手は差し伸ばされない。 まさに、「あなたは神を信じますか?」 「神はいるのか?」を命題にした内容。 前段は、なんとなくだるくてなかなか読み進まなかったが、 ロドリゴの心の葛藤がクライマックスになるにつれ、 カレの中の祈りとそこに含まれる疑念が渦巻く感じが素晴らしい。 個人的に「絶体神」という存在はいないものだと 思っているので、その点のロドリゴの苦悩に共感は しなかったが、極限状態に追い込まれた宣教師の苦悩の描写が 素晴らしかった。 最も興味深かったのは、フェレイラのいう、 「日本には、キリスト教が根付かない。 彼らは、神の存在を自分達の手でねじ曲げてしまい、 大日と同じようなものにしてしまう。 キリスト教にとって日本は沼地。根はいずれ腐っていく。」 という内容。どういう事なのだろう。。。 Wikiを読む限り、このあたりが遠藤周作がノーベル文学賞候補と なりながらも選考員から嫌われた理由なのだろうか。。。 疑問は尽きないが、とりあえず読了。
6投稿日: 2013.12.26
女系家族(上)
山崎豊子
新潮社
下巻は、一気に読み進めたい。
2010/11/07記録。 話は、関西の繊維老舗問屋の婿旦那の病死に ともなう、三女、妾、叔母、そして相続執行人に 指名された老獪な大番頭の思惑を ぐちゃぐちゃにしたドロドロの痛み分け合戦。 この家系は長女が婿取りをして、 四代つづいてきた特殊な家系。女系家族。 物語の導入が悪いのかな。 後段になるにしたがって、ぐんぐん面白くなるのだが、 前段は、物語の舞台設定にページが割かれていて、 あまり面白くなることもないため、 超スローペースになり、結局読了に半年以上の歳月が かかってしまった。 下巻は、一気に読み進めたい。
1投稿日: 2013.12.26
女系家族(下)
山崎豊子
新潮社
「現代の怪談」
2010/11/15読了。 舞台は、大阪船場にある木綿問屋矢島商店。 家督を男子が相続するのではなく、 長女が外から婿をとってくることを四代続けてきた。 そして、その婿旦那の死に伴って発生する遺産相続という 肉親同士での異様なまでの物欲と憎悪にまみれた 駆け引き。中心は三姉妹だが、そこに先々代からつかえる大番頭、 叔母、妾などが登場し、駆け引きは複雑さを増す。 上巻はだらだらと半年以上かけて読んでいた。 上巻の前半は、舞台設定についての部分が 多く、かなりのスローペースになってしまったが、 ようやく、それぞれの思惑が見えてきて、 下巻は一気に読みすすめた。 目的の定まらない物欲。 何のためにそこまで執着するのか。 物欲というよりももはや、「奪いたい」「恨みを晴らしたい」 という気持ちの表れ。 それぞれが根雪のように積もり積もった感情が 一気に噴出する。 人間のもつ魂の愚かさと恐ろしさが遺産相続という 局面で描かれた秀作。 あとがきによると「現代の怪談」らしい。 なるほど。 なお、解説によるとこの作品は、 割合と初期のものらしい。(S38年) 生まれ育った大阪の商家を題材にした作品では5作品目とのこと。 このあと、有名な「白い巨頭」や「不毛地帯」などの 作品を発表していくらしい。 氏の徹底した取材力と研鑽力はどの作品を 読んでもすさまじいものがある。 それがこの方の作品の魅力。
0投稿日: 2013.12.26
ザ・ファシリテーター
森時彦
ダイヤモンド社
「ザ ゴール」のついで買い
2011/6/28読了。 親友にすすめられた「ザ ゴール」を 買いに言った際、隣に並んでいた本でついつい同時購入。 こういうビジネス小説は、かなり食いついてしまう。 前半戦とか、涙腺が弱いのか目頭熱くなる始末。 こんなドラマチックでなくていいから チームを活性化させる力を養いたいと思う。
0投稿日: 2013.12.26
人間失格
太宰治
新潮社
遺書
2011/09/27読了。 遺書です。よってえぐられます。 境界性人格障害というのがどういう気分なのか 理解可能な気がします。
0投稿日: 2013.12.26
霧の旗
松本清張
新潮社
心をえぐるサスペンス
2011/09/26深夜読了。 山崎豊子さんにちょっと飽きてきたので、 気分転換に清張読みました。初めて読みました。 サスペンスなんだけどキモチの強さとその描写、 及びそのえぐりだしようが、エグい。 夢中になってしまいました。 今まで読んだ推理小説と一線を画します。
1投稿日: 2013.12.26
二つの祖国(四)
山崎豊子
新潮社
第四巻~東京裁判 後
2011/10/25読了。 今年度に入ってすぐに手に取った記憶があり、 ずいぶんと時間がかかってしまったように思う。 新装文庫版により全4巻。 トヨコさんの作品は、いつものごとく第一巻を読み終わるのに 時間がかかってしまう。 本作品においては、ざっくりと下記のように分かれるかと。 第一巻~日系アメリカ人強制収容所 第二巻~戦場における日系二世 第三巻~東京裁判 前 第四巻~東京裁判 後 第一巻では、戦争時下の日系人家族がどのような 処遇を受けたかを通して、小説構成上の舞台設定、 登場人物の心理スケッチを読みながら 彼らの人となりを理解する工程を踏むのだが その作業に時間を費やされてしまう。 第二巻以降は、戦場ないし裁判という局面において、 本作品のテーマでもある二つのアイデンティティの端境の中で 自分の果たすべき役割を見出しながらもそれに伴う苦悩に 悶える主人公にぐっと感情移入することができ、 夢中になって読み進めることができた。 また、第三巻以降では、東京裁判というあまり馴染みのない 話題に触れ、戦争指導者たちの証言から 全く知らなかった事実や、意外な思想・信条に 触れることができる。 個人的な一番の関心事は、天皇についての扱いについて。 法的理屈とは無関係に、日米ともに現実に即した 暗黙知の中でことが進んでいったのだと実感。 この点は日本人にとって絶対に譲れない聖域であり、 そこを侵さなかったGHQは懸命だと再確認。 この作品を読了できたので、最新の「運命の人」及び、 「ぼんち」「華麗なる一族」以外の 代表的な作品はほぼ網羅できたかな? 戦争三部作を完読して思うのは氏の描く女性像って なしてここまで男目線の理想像が描けるのかしらと 毎度のごとく感心してしまう。ナギコーーー。 Wikiで本作のモデルは誰だろうと調べると 思わぬネタバレに合ってしまったのが悔やまれるところ。 余談だが、「不毛地帯」の壹岐正のモデルである瀬島龍三が 後の作品の「沈まぬ太陽」だけでなく、本作にもちらっと登場。 まあ、東京裁判を扱えば必然ではあるけれど。 広田弘毅については、悲しいかな予備知識が足りず。 東条英機は割合良く描かれているが、さもありなんかなと。
0投稿日: 2013.12.26
二つの祖国(三)
山崎豊子
新潮社
第三巻~東京裁判 前
2011/10/25読了。 今年度に入ってすぐに手に取った記憶があり、 ずいぶんと時間がかかってしまったように思う。 新装文庫版により全4巻。 トヨコさんの作品は、いつものごとく第一巻を読み終わるのに 時間がかかってしまう。 本作品においては、ざっくりと下記のように分かれるかと。 第一巻~日系アメリカ人強制収容所 第二巻~戦場における日系二世 第三巻~東京裁判 前 第四巻~東京裁判 後 第一巻では、戦争時下の日系人家族がどのような 処遇を受けたかを通して、小説構成上の舞台設定、 登場人物の心理スケッチを読みながら 彼らの人となりを理解する工程を踏むのだが その作業に時間を費やされてしまう。 第二巻以降は、戦場ないし裁判という局面において、 本作品のテーマでもある二つのアイデンティティの端境の中で 自分の果たすべき役割を見出しながらもそれに伴う苦悩に 悶える主人公にぐっと感情移入することができ、 夢中になって読み進めることができた。 また、第三巻以降では、東京裁判というあまり馴染みのない 話題に触れ、戦争指導者たちの証言から 全く知らなかった事実や、意外な思想・信条に 触れることができる。 個人的な一番の関心事は、天皇についての扱いについて。 法的理屈とは無関係に、日米ともに現実に即した 暗黙知の中でことが進んでいったのだと実感。 この点は日本人にとって絶対に譲れない聖域であり、 そこを侵さなかったGHQは懸命だと再確認。 この作品を読了できたので、最新の「運命の人」及び、 「ぼんち」「華麗なる一族」以外の 代表的な作品はほぼ網羅できたかな? 戦争三部作を完読して思うのは氏の描く女性像って なしてここまで男目線の理想像が描けるのかしらと 毎度のごとく感心してしまう。ナギコーーー。 Wikiで本作のモデルは誰だろうと調べると 思わぬネタバレに合ってしまったのが悔やまれるところ。 余談だが、「不毛地帯」の壹岐正のモデルである瀬島龍三が 後の作品の「沈まぬ太陽」だけでなく、本作にもちらっと登場。 まあ、東京裁判を扱えば必然ではあるけれど。 広田弘毅については、悲しいかな予備知識が足りず。 東条英機は割合良く描かれているが、さもありなんかなと。
0投稿日: 2013.12.26
