間 文理さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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山月記・李陵 他九篇
中島敦 / 岩波文庫
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「学力」の経済学
中室牧子 / ディスカヴァー・トゥエンティワン
読みやすく、よい本です。
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子育て中、または子育て準備中の方には熟読をお勧めし、教育関係者、政策立案者でこの手のことをあまりご存じない方は、今のうちにこそっと読んでおくことをお勧めします。
多分、専門家にとっては、ほんの触りだけ…なのでしょうが、素人にはありがたいまとめです。
ところで、「経済学」、とついているので、物事を金銭勘定してしまう人々を呼び集めてしまい、そして詰まらん本だ、となってしまうかもしれない、と懸念しています。教育は、金銭勘定の話ではありません(どうも米国では、心理学と経済学の親和性が高いのでしょうか、なぜか経済学、とついてしまうのかな)。専門家の勝手な個人的意見ではなくて、自分の子どもに、地域の子どもに、日本の子どもに、世界の子どもに、どのように大人が接することで、子どもたちがより頭を使って考えることができるようになるか、というエビデンスの話です。
日本の教育界には、声の大きい、エビデンスの無い、自分の意見を声高に叫ぶ、政権に近い方々が力をお持ちのようですが、それに対する理論武装として、子育て中の皆様、是非、手にお取りください。 続きを読む投稿日:2016.03.16
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京都ぎらい
井上章一 / 朝日新書
大阪生まれ、大阪育ちで、
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この30年近く京都に住んでいるわたしにとって、違和感のある書き出しでした。確かに、京都にいると、「なんでこいつら関西人のくせに東京のまねしてエレベーターで左に寄るんや、どうせまねするんやったらロンドン…のまねして右に寄れよ」などと未だに思うのですが、それは、大阪大国主義の現れなのでしょう。。。京都の方にとって、大阪に習うなど、論外なのでしょう。でも、東京に習わなくってもいいじゃない。。。
それはさておき。最初の4分の3ほどは、2点にしてやろう、と思っていたのですが。最後の方、日本の古代の人々の思いに寄り添い、近代の自己防衛的で他者に攻撃的な流れを、本当の意味での日本の古くからの保守とはちがうのではないでしょうか、という提示には深く共感しました。
ので、3点。読む価値あり。
でも、やっぱり京都に関係なければ、あまり面白くないかも。その上、最初の書き出しがショッキングなせいで、書いてある歴史の流れを、信じていいのやら歴史の素人には、判断できなくなってしまいました。。。 続きを読む投稿日:2016.03.03
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陽のあたる家
さいきまこ / フォアミセス
システムを悪用する少数の人を
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排除するために、システムを真に必要としている多数の人を排除することは、ヒューマニティに反するのではないでしょうか。
行動経済学によると、社会的不公正に対して、自腹を切ってでも罰を加えようとする傾向を地…球人はもっているそうですが、少数のシステムを悪用する人を排除することに重点を置くのではなく(もちろん大事なことですが)、多数の社会的支援を必要としている人にそれを与えようとしないシステムが社会的不公正である、という観点を思い出させてくれる、すばらしい表現だと思います。 続きを読む投稿日:2016.02.20
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予想どおりに不合理 行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」
ダン・アリエリー, 熊谷淳子 / ハヤカワ文庫NF
行動経済学という名前には、違和感がありますが、
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ついつい忘れてしまう、でもとても大事な視点を、思い出させてくれる名著です。
金銭的なincentiveを提示すると、その大小で行動が決定されてしまう。
選択肢が多ければ多いほど、選択できなかった可能性…が増え、不幸に感じてしまう。
そうではなく、自分がすべきことの意義を、理念を、思い起こすことの方が大事。
残念なのは、記載が定性的で、それが本当にどれだけの大きさで、意味を持つのかが、明確ではないところがあったことでしょうか。元の論文にあたれって? そんな時間、ありませんがな。 続きを読む投稿日:2016.02.08
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カンタ
石田衣良 / 文春文庫
はらはらどきどきしながら、
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一気に、読み切りました。二人の男の子の、大人の世間との戦い、すこし離れて不思議な温度を放つ、お姫様。
子どもたちの親の葛藤も。
巧みな、そして力強い展開ですね。
そのうえ、最後は、ハッピーエンド(だと…私は思うのだけど)なので、はらはらしながら、でも安心して読んでください。ハンカチは、人によっては持っておいたほうがいいかも。 続きを読む投稿日:2016.02.04