
バーテンダー 1
城アラキ,長友健篩
スーパージャンプ
ありふれた「ジントニックお願いします」が特別な響きになる本です。
実はですね、カクテルの美味しさがわからなかった派です。名前から味のイメージ湧かないし、バーではオーダー人任せにしがちなんですが、往々にして薦められるカクテルって甘くて、正直「辛口日本酒持ってこーい!!」と。カクテル=オシャレ横文字が多いけど結局甘い、なイメージ。 でもこの本読んで、バーで出される一杯がちょっと特別になりました。上質な舌がある訳ではないので、今も美味しさの半分もわかってるか怪しいものの、その一杯ごとの物語を思い出してほんのり浸る。ありふれた「ジントニックお願いします」が特別な響きになる本です。 そんなわけで。バーを訪れるお客さんと、一杯のカクテルとの出逢いをバーテンダーさんが繋ぐ、優しく明るい短編連作です。ノンアルコールですがシンデレラのお話とか、滞りを溶かす感じが好きだなぁ。あとジントニックですかねー、やはり。
5投稿日: 2014.10.25
しにこん!1 ―死と婚活の巫女は理想の勇者とゴールインしたい―
ぶんが秀徳,櫻木けい
KADOKAWA
異色に王道な超A級のB級ファンタジー開幕。
小説家になろう系といえば、王道設定をアウトローにチーレムする(俺TUEEE的に最強主人公かつ、複数の女性陣がちやほやされるハーレム展開)のが定番。 しにこん!はあえて「神話が息づく世界で勇者と巫女の世直し旅」と言う王道ファンタジーな設定に、主人公の巫女だけライトノベル世界に生きてます的ぶっ飛び具合を召喚した、王道なようで横道な、でも結末から見るとやっぱり王道だった!が大変素敵ギミックな物語。主人公の内面世界だけ端折ったら王道だし、端折らずとも大局的に見ると王道になってしまうという騙し絵みたいなあらすじ設定。それもこれも、巫女マリアベルの見た目完璧巫女なのに中身は婚活にがっつく変態ででも聖性溢れる良い子っぷりがなし得る技です。 ウェブ版から展開や人物の登場タイミングが大きく変わってますが、面白さが何も変わらないのもすごい。キャラ小説の新時代を見た感。
10投稿日: 2014.10.23
読書は「アウトプット」が99%
藤井孝一
知的生きかた文庫
書評が上手く書けずに悩む人が、書評を真似ぶに最適な本。
読書術の本として購入したら「本を読んだ後」の話がメインでした。読んだ内容を即行動に移せ、よりはハードル低めで、読んだ内容を「話し」て「書く」(+可能なら行動する)なアウトプットの紹介。 読書術的には多読で自分に必要な部分を「斜め読み」「飛ばし読み」「逆さ読み」で見つけていくやり方。同系統の読書法は世にいくらも出回っていて、珍しさはないと思います。 本書の本領発揮だと思うのは後半、まさにアウトプットの部分。特に、要約力や文章力を鍛える手法としての「書評・レビュー」が、手堅いながらシンプルにまとまって、「書評とは何ぞや?」と頭を悩ませる身としては面白かったです。しかも最後の章では著者自らの書評が掲載されているので、ひとつの書評の形を知るには最適なんではないかと。学ぶは真似ぶから始まり、守破離であると言いますし。 あと、文中で引用される本がどれも面白そう。古典に分類される種の本を「読みたい!」と思うのは久しぶりかもしれません。
10投稿日: 2014.10.21
スリーピングビューティー(1)
堂本奈央
ARIA
ベタな展開を答えあわせしているような、ラブサスペンス。
何となく表紙がキレイで買ってしまった。記憶喪失の女子大生が、合コンで知り合った二人の男の子の間で揺れ動きながら、周囲で見え隠れする血と死の気配に戦きつつ自分の記憶を思い出してくジェットコースターラブサスペンス。合コンで仲良くなった皆がワイワイきゃっきゃな次のページからの急展開に一瞬ビビった。 ミステリーではなくサスペンス、だと推理しても無駄かなーと思いつつ、「高校時代行方不明になった彼女を忘れられず今も行方を探してる」男の子ズの告白辺りから、デジャヴュなひっかかりが。更には兄が「アイツらとつき合うな」言い始めた時点でピンポン音が頭で鳴りました。ベタな展開を答えあわせしているような不思議感覚で読めます。そして続刊反射で買った。問題集解いたら多分あってるとわかりつつも、回答と解説を読んで安心したい派です。 あらすじ的にベタとわかりつつも2時間サスペンスドラマを最後まで見ちゃう、ついでにかっこいい男の子が好きな人にオススメる。
6投稿日: 2014.10.18
朝イチでメールは読むな! 仕事ができる人に変わる41の習慣
酒巻久
朝日新聞出版
サラリーマン社長の経験則から見えた「誰が会社で出世するのか」
キャノン電子の社長、酒巻久氏が経験から紐解く仕事習慣の本。 上司部下との関係、スキルアップや交渉、組織のマネジメントなど、広範に渡るのにいちいち示唆に富んでいて、マーカーを引いていったら最初50箇所になってました。サラリーマン経営者が自分の試行錯誤を書いた経験則の本って、座学とはまた違って面白いです。あと、出世する人はこういうとこに気を使うんだな、と。 ぞわっと背筋に来たのが、2章の上司についてで「上司の頭越し(直属の上司飛ばし)は辞職覚悟でやれ」。それは最も上司の怒りを買い、たとい結果を出しても上司との関係が壊れるのは必至だから。チームについての8章でも、情報の飛ばしと抱え込みが組織を狂わせる、として、最近、それで再編に至ったチームを知る身としては、自戒にしたいと。 再読で、過去の自分の読書メモで「昇進して部下を持ったら再読する本」の伝言があったんですが、今も消化しきれないところがあるので「会社の意思決定に関わる立場になったら再読する本」として引き継ぎます。
11投稿日: 2014.10.13
世界のエリートは大事にしないが、普通の人にはそこそこ役立つビジネス書
林雄司
扶桑社BOOKS
ビジネス書だと思った?残念!×××でしたー。
Sony Readerのキープリストに入ってて、ポイントがいい感じに消費できるなーと買ったらビジネス書じゃなかったの巻。いかにもビジネス書的表紙自体がギミックでした。なぜ私これをキープした。 知る人ぞ知るサラリーマンの時間つぶしの味方、デイリーポータルZ編集長の、ビジネス書に見せかけたエッセー、時々、仕事のスタンス?のような何か。雨の日に不良が捨てられた子犬を懐に入れて的なギャップ効果で、基本流れるゆるふわ感の合間でドキっと胸に響く言葉に、出来る男って怖いなーと思いました。それでもやはり、ふふっと笑ってちょっと幸せな気分になるのが、筆者も望む楽しみ方だと想像。 ビジネス書ではないと言いつつ、それっぽいビジネス用語をパワポに散りばめてプレゼンを乗り切る術や、謝罪や催促の場面で複数の言い回しを駆使するTIPS的なのはぜひ試したいかもです!それに巻末特典、著者のネット記事からの抜粋ですが、とても楽しい。
5投稿日: 2014.10.12
小さなひらめきが成果に変わる A4マイ日報で「勝ちパターン」仕事術
中司祉岐
幻冬舎ルネッサンス
温故知新とはまさにこのこと!日報PDCA回しで勝ちパターンを知る。
この本を読んで初めて気がついたんですが、本来学級日誌や業務日誌って、PDCAサイクルを回すために存在してたんですね。 日誌や日報って、正直ほとんどの人にとって「書くことが目的」な面倒くさいもの。マイ日報では「書くという手段」で、1.始業時に予定表を作り、2.終業時に振り返り、3.翌日を改善していく、という見事なまでのPDCAサイクルを実現してます。 一時ライフログが流行りましたが、日報はその先鞭なわけですね。上司や先生に見せるものじゃなく、自分を振り返るもの。自分がその作業にどれだけかかるか仮説を立て、実践し、仮説を検証する。自分の行動をログ(記録)することで、現時点の自分の「身の丈」を知り、今後の勝ちパターン、戦い方を見つける訳です。 本書では、日報の有用性から始まり、日報の書き方、書くタイミング、振り返り方など丁寧に書かれていて、マイ日報体験談も多いのでモチベーションが上がります。
4投稿日: 2014.10.09
テンプレート仕事術―日常業務の75%を自動化する
信太明
東洋経済新報社
ゼロから始めない、のが最大の業務効率化であるという答え。
「繰り返し」作業を定例・自動化することで効率化を図り、付加価値業務に残りの時間と能力を最大限投資して生産性を上げる。考え方自体は新しくないですが、その有用性を管理者側から説くのがちょっと新鮮です。テンプレート=具体的にはフォーマットやリスト、マニュアル群の有用性と作り方と活用法。 ビジネス文書やメールの定型化は自分でもしてますが、営業のアポ取りや商談のTIPSをテンプレ化して職場内共有する考え方はなかったなー。ゼロからやるのと、先人の知恵に従って前例踏襲でやるのでは仕事の「始めやすさ」と「進めやすさ」が違うのは当たり前です、が、あえてライバル(同僚)に塩を送る的なことをする人はいない訳で、こういう「共有知」づくりは管理側発案ならではだなと。あ、著者の職業柄、本書は営業関係のテンプレ活用例が豊富です。 あと地味に、文中のWinショートカット一覧(これも一種のテンプレ)がとっても便利。
3投稿日: 2014.10.09
もっと仕事をラクにしたい人のための 最強のデスクワーク術
オダギリ展子
PHPビジネス新書
あなたの日常から業務の「無駄時間」を省いてくれるデスクワーク術。
仕事効率化の本は数多あれど、事務作業効率化の本て思うほどないですよねーと、この本を読んで気づいた。「ミスを未然に防ぐことが、そのミスをフォローするための無駄な時間を発生させない」をスタート地点とするデスクワーク術。 FAXの送信や郵便物の受け取り、コピーの取り方など、デスクワーカーなら知って損はない74の提案。日常の中で、不便不満やチョットしたミスに出くわしつつも改善までには至らなかった数多の事務作業について、無駄時間を省くにはこうしましょう、と示される提案がどれもチョットした工夫なのに、確かに効果的です。 1枚ペラ資料を紛失しない方法とか、ホチキス止め複数の大量コピー方法とか「言われれば確かに!」と、コロンブスの卵感がすごい。回覧物チェック欄や電話メモは、まさしく最近職場のバイトの子が悩んでいたので、教えてあげて喜ばれました。 日々のデスクワークをちょっと快適にしたいあなたへ。
6投稿日: 2014.10.08
ときメロっ! 異世界でバンドと勇者はじめました!?
藤並みなと,南月ゆう
角川ビーンズ文庫
混ぜるな危険で斬新な化学反応を起こした乙女ゲー世界トリップTSモノ。
一言で言うと乙女ゲー世界トリップ+TSモノ。設定の妙でひっじょーに楽しかったです。 だって、最初は男→女の性転換というギミックはありつつも、ライバルありのバンド青春もので、ステージでいい感じに連帯感高まった翌日に新宿駅が迷宮ダンジョンでRPG化するんですよ。なぜ混ぜた。あまりの急展開ぶりに、むしろ違和感が仕事しません。 しかも主人公和希がどう考えてもフツーの男の子で、トリップで外身女の子になっても口調も態度も変わらないため、文章中心の小説だと正直ボーイズラ(自粛)。ええと、乙女ゲームなお約束を踏襲しつつ、攻略対象のイケメンたちから口説かれても、和希が「はいはいイケメンイケメン」「すげー薔薇しょってやがる」「リア充が。ケッ」みたいな傍観者目線なので、乙女ゲーあるある的にも楽しめます。
2投稿日: 2014.10.04
