
wonder wonderful 下・1
河上朔,結布
レガロシリーズ
はらはら、降り注ぐ、優しい花びら。
再読したら、ハイタッチしたこかげさんみたくに「ぐぐぐぐ、とお腹の底から湧き上がる熱をどうしたらいいんだろう」て思ってしまって、書いた。笑。 こかげさんが「しごと」をみつけて、動き出して、認められて、妹を迎えにいく覚悟をするまでの話。 こかげさんが動いて、人に波紋が広がって、そして。ひなたが長い時間をかけて準備した「ザキくんのためのお祭り」を、ちゃんとザキくんに見せてあげるバルコニーのシーンが大好きです。さすがおねえちゃん。優しさの圧が強すぎて、息すら苦しくなる。 久々再読で、新たな気づきが多いなーと。こかげさんの不安は結構根が深かった、とか、あの人は結構前からこかげさんを見守ってた、とか。あと、何よりシルヴィ。「君がくれた世界」読了後だと、こかげさんは本当に、シルヴィのために世界を渡って来たんじゃないかと思える。
3投稿日: 2014.06.28
wonder wonderful 上・2
河上朔,結布
レガロシリーズ
とても優しい、彼女の護衛たち。
本編の良さは折り紙付きなのでここでは置いとくとして、書籍書き下ろし「彼女の護衛たち」について。 3人がコカゲの護衛となって、ちょっと仲良くなって、でもコカゲが街をおりて、そして静かに許されるまでの一時。夏の日差しのように真っすぐなシーリーの「彼の苛立ち」、冬のように厳しくでも繊細なヨーサムの「彼の後悔」、そして案外大人じゃない、春の日だまりみたいなラシュの「彼の企み」。 もう、とにかく愛しさがこみ上げて、体がふわふわする。3人が、コカゲにしたことをぐるぐる悩んで、ぶつかって、背伸びして出来ることを頑張って。あぁ、可愛いなぁ。 ファンタジーな舞台なのに、恋とか忠誠とか友情とか、そんなわかりやすい感情ではなくて、もっと曖昧で優しい何かに、胸の奥がきゅうってなる。
6投稿日: 2014.06.28
31歳BLマンガ家が婚活するとこうなる
御手洗直子
ウィングス
あなたの知らない世界がここにある。
地味におススメ。イラスト可愛くて見やすい。 気づいたら2度読みしてた。何だろう、直子さんの滲み出るいい人っぽい人間性から、不快感なく婚活が疑似体験出来る的な。私直子さんと結婚したい。 狩りに行くぞ!ではなくネタになるからいいか!と新しい世界をのぞきに来ました感の直子さんのツッコミにふふっと笑えます。
1投稿日: 2014.06.28
ニュースになりたいっ! 1巻
杜野亜希
Silky
名作「神林&キリカシリーズ」の亡霊がそこに。
杜野先生は名作「神林&キリカシリーズ」で正統派アイドル探偵物をやりきったと思ってたのに、なぜに同じテーマに手を出したのか・・・。 あちらのコンビを逆転した感じで、人情派崖っぷちアイドル・花央と隠れ俺様な局アナ・樹元が、芸能界で起こる事件を人知れず解決していく短編連作。杜野先生鉄板の三角関係もあり。 花央の真っすぐで直情的な性格が、古き良き時代のアイドル探偵ものを思わせて、悪くはないのに古臭さを感じたり。あ、でも、神林&キリカの亡霊が成仏していないだけかもしんない。
1投稿日: 2014.06.28
働きマン(4)
安野モヨコ
モーニング
続きはあなたの心の中で、だっていい。
「お休みマン」で松方の「あたし 仕事以外のスキルって上がってんのかな」に同調し、「お便りマン」で何年後かの未来におののき、「ボケマン」で足下の薄氷に怯え、「父マン」でうっすらした希望と「あたしはきっと頑張れる」の松方の笑顔にきゅんとする。 続き出てないですが、自分的にはここで落着で良いなーとか。だってさ、出版業界の今を想像するとさ、ほら、ね、なんというかさ。 とりあえずシリーズ通して大推薦!良いものは早々色褪せない!
2投稿日: 2014.06.28
働きマン(3)
安野モヨコ
モーニング
起承転結の「承」的な穏やかさ。
導入として最高の1巻、エピソードが珠玉の2巻と比較して、実は3巻はそれほど読み返さない。1、2巻のその後、とか、4巻への繋ぎのように思ってしまうから。あと、あるある過ぎて哀愁をね、勝手に感じてしまうのです・・・。うぅ。 松方の恋愛的には1つの落着なんだけども。
0投稿日: 2014.06.28
働きマン(2)
安野モヨコ
モーニング
時代は変わっても、何も変わらないと良い。
本屋のその先には今も、「昔も今も働きマン」な編集長と編集者がいて、「報われマン」な営業がいたらいいなと思う。 地味に1巻より2巻の方が好きで、「報われマン」の千葉君の話は、社会人やって数年めの人にこそ、読んでほしいのかも。とりあえず私は、絶妙なタイミングでこれ読んで、心の琴線に触れて、嗚咽するように泣いた。 で、その後の「一人前の働きマン」で、松方の「ああ・・・あたしもそうだ 一人でやってる気になって誰もついて来なくて」「たくさんの先人達も同じような時があって それぞれ越えてきてるんだ」に頭をガツんと殴られる。 ちなみにvol.13の「面接マン」は就活生必見。この間面接官やったけどあるある過ぎる。
0投稿日: 2014.06.28
働きマン(1)
安野モヨコ
モーニング
ちょうど松方と同世代になって読み返した、
部下はふたり、後輩はたくさん、失敗すれば社長が謝りに動かないと行けない大きな仕事を任されて、上司からは多分、信頼されている。でも、熱意だけでは働けなくなった。 色褪せてない。そして、自分の欠片がいるように、なぜだか松方に同調する。一度目読んだのは確か学生時代、こうなりたいなと思ったけれど、松方が煙草を吸うとき心を過るものに同情できなかったのに。 でもやっぱりかっこいいなぁ。自分も菅原さんに「わかってる女」て認めさせたい。 ところで、vol.5のあやまりマンで「『後悔する』ようなやり方をしてたことに激しく後悔する 」の下りにざくっと胸を刺されたんだけど、なんで。え、皆さんはどうですか。
3投稿日: 2014.06.28
犬はどこだ
米澤穂信
創元推理文庫
耳の奥、引き金を引く音を聞いた。
ハードボイルド犬探し専門(希望)私立探偵に舞い込んで来たのは、失踪人探しと古文書解読の依頼。 ある程度事件の目星がついた、ところからの急転直下が好き。ラストに潜んだトリガーポイント。耳の奥、引き金を引く音を聞いた気がして、なぜか背筋が凍った。 前半ぱら見して読むのあきらめた方ー!奇をてらわないゆったりスタート、それすらも伏線かもですよ?ミステリーっていいなぁ。
5投稿日: 2014.06.28
ドミノ
恩田陸
角川文庫
タ、タタタ、と。ドミノの音が。
真夏の東京駅を舞台にした群像劇。ドミノが次々と倒れてゆくような、スピード感溢れるパニックコメディ。これぐらい口当たり軽やかな物語も、たまにはいい。 バラバラに動いていた物語が、あるタイミングで歯車がかちりと噛み合ったように集合していく。伏線回収とは別で、あ、その組み合わせで落着するんですか!な面白さがあって楽しかった。タ、タタタ、タとそれまでのエピソードが軽快に重なり合い倒れ込み、まとまるのが小気味良い。 ラストの、ありふれた日常への収束なのか、次のエピローグ的な嵐の前の静けさなのか、な終わりも好き。もしかしたら東京駅では今日も、知らぬ間に物語が展開されてるのかもしれない。
7投稿日: 2014.06.28
