みんさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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神様が殺してくれる
森博嗣 / 幻冬舎文庫
隠れた衝撃作!!
12
本作はインターポールのレナルドが、連続殺人事件の目撃者である旧友リオンに「犯人はレナルドだ」と思われるような証言をされ、
容疑者になるというよりは職業のこともあり、一緒に捜査をしていくという話です。
…
主人公はインターポールとは言え事務官なので、刑事ものという雰囲気はありませんし、アクション的な要素もなくかなり淡々とした話です。
舞台の多くはヨーロッパで、なんだかお洒落です。雰囲気はスカイ・クロラシリーズに近いかもしれません。
お洒落なんだけど不思議な話でそれだけで楽しめると思っていたら、結構しっかりとしたミステリーでした。
結末があまりに衝撃的すぎて受け入れがたいのですが、よく考えてみると推理可能とも言えると思います。
著者の他の作品だと「すべてがFになる」がミステリーとして有名ですが、こちらの方がミステリーの王道に近いかもしれません。
賛否両論あるかもしれませんが、是非多くの人に読んでいただきたいです!
あ、LGBTの要素があるので苦手な人は注意かもしれません・・・。 続きを読む投稿日:2017.01.26
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異人たちの館
折原 一 / 文春文庫
叙述ミステリーで有名な折原氏の最高傑作と名高い作品。
10
作家志望でゴーストライターなどを仕事としている島崎潤一が主人公。
同じく作家志望で1年前に失踪した小松原淳という人物の伝記を書くことを淳の母親から依頼され、淳がどういう人物なのか調査しながら伝記を執筆…していくのですが、淳の周りには殺人事件、失踪事件、事故が多発していることが分かってくる・・・というストーリーです。
まず、本作はかなりのボリュームがあるのですが、とても読みやすかったです。また、おそらく著者の狙いでしょうが、長さ故に混乱が生じてくることがあり、どんどん騙されていくという感じがしました。
折原氏の作品は他に「倒錯のロンド」を読みましたが、雰囲気はかなり近いです。独特の構成、作中作の登場、ページ番号を記したかなり丁寧な解答編など。
どちらの作品もとても面白かったけど、驚き具合で言えば、「倒錯のロンド」の方が驚いたかもしれません。
しかし、本作の魅力は「赤い靴」という童謡が作中の重要な場面に多々登場し、かなり不気味な雰囲気を醸し出しているというところと、結末にはちょっとしたカタルシスを感じさせてくれるところです。
「倒錯のロンド」が気に入った方はきっと本作も気に入ると思いますし、折原作品初挑戦の方にもおすすめできる1作であると思います。 続きを読む投稿日:2017.04.09
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この闇と光
服部まゆみ / 角川文庫
どんでん返しが見どころと聞いて
9
あらすじは書けません。読みやすいので是非読んでみてください。
私は、どんでん返しがすごい作品と聞いて、ミステリーなのかな?という程度で読みましたが、読んでみるとファンタジーのような美しいお話が。表紙に…似合うお話が始まります。
たしかにどんでん返しには驚きましたが、それ以前に美しく、幻想的で素敵な話でした。
闇と光の対比など考えさせられる点も多くありますし、名作だと思います。 続きを読む投稿日:2017.03.15
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ABC殺人事件
アガサ・クリスティー, 堀内静子 / クリスティー文庫
エルキュールがヘラクレスって意味だと知らなかったなぁ
8
本作は予告殺人の話で、ABCと名乗る人物が犯人です。いくつかの都市を跨いだ連続殺人事件が起こります。
アガサクリスティーの代表作の一つであり、シリーズ長編11作目です。ヘイスティングが再登場する作品で…もあります。
興味深いのは、被害者や容疑者の名前の由来やクリスチャンネームが検討材料としてでてきます。
例えば、エルキュールはフランス語でヘラクレスという意味とか。
あとは、ポアロシリーズにも多いと思いますが、私はクローズドサークルものをよく読むので、本作のような容疑者さえ最後の方まで定まらない作品には斬新さを感じました。
ヘイスティングの手記という形で話が進んでいきますが、その中でも他の視点を挟んでいるところも面白いです。
ポアロの推理の仕方も動機や人間性にこだわったもので、とてもポアロらしさが出ている作品だと思います。
結末には驚きましたが、私にはアンフェアに感じてしまったので、☆3つにしました。
大切な伏線を見逃しているのかもしれないですね・・・。
アクロイド殺しとかの方が、ストーリーの面白さのために多少目をつぶるということがしやすいような・・・という感想です。
皆さんはどう感じるか、注意深く読んでみてほしいです! 続きを読む投稿日:2017.03.30
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改訂完全版 異邦の騎士
島田荘司 / 講談社文庫
御手洗シリーズ、長編3作目
7
本作は長編3作目ですが、時系列的には「占星術殺人事件」よりも前の話。しかし刊行順に読んだ方が面白いと思います。少なくとも「占星術殺人事件」を先に読んでください。
記憶喪失の男が主人公で、色々なことに…不安を感じながら、ある事件に巻き込まれていくというストーリー。途中で御手洗と友人になります。
前2作とは全く違った作風で戸惑いましたが、怒涛の展開で目が離せず一気読みしてしまいました。
今回は結構わかりやすく、途中から謎は解けてしまったのですが、謎解きだけが面白さではないと思わせるお話で、ちょっと感動してしまいました。
島田先生のトリックって自分で解けてもすっきり!な読後感で気持ちいいですよね!
御手洗シリーズのファン必読の1冊です。 続きを読む投稿日:2017.03.13
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イニシエーション・ラブ
乾くるみ / 文春文庫
本音のレビュー
7
私はラスト2行のどんでん返しものだと身構えすぎてしまい、すぐにトリックがわかってしまいました・・・。
前知識なしで、何も考えずに読むのが一番ですね。
かと言ってトリック以外の面はなかなか面白いとは思え…ず・・・、とても普通の恋愛小説ですし、80年代が舞台なのでなんとなく古臭くて共感もできず・・・。
多分ミステリー好きが好む話ではないのかもしれません。
何も知らずに恋愛小説として読み、トリックに気付いたら物凄く面白く感じると思います。
とは言え物凄く話題の作品ですし、完全にネタバレされる前に1度はきちんと読んでおきたい作品だと思います。さらっと読めますし! 続きを読む投稿日:2017.03.13