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みんさんのレビュー
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  • 合本 IT【文春e-Books】

    合本 IT【文春e-Books】

    スティーヴン・キング,小尾芙佐

    文春e-Books

    キングらしさという要素を詰め込んだ作品

    最近映画化され話題にもなった本作は、ある日幼馴染に呼び出され、男女複数名が不可解な事件が起こる故郷に再び集まるというストーリー。斬新な導入ですが、そこからなぜ彼らが集まったのかなど謎が次々に解き明かされていき、面白かったです。 とてもキングらしさを感じられる作品で、 序盤は登場人物一人一人ゆっくり紹介されていき、子供時代の友情はスタンドバイミーのような温かさも感じられます。ホラー描写、敵に立ち向かう描写はショッキングだったり恐ろしかったりで、itの正体も一筋縄でなく、ワクワクするものでした。 キングファンなら必読の作品、そうでない人も夢中になれる作品だと思います。

    0
    投稿日: 2018.01.16
  • 新装版 殺戮にいたる病

    新装版 殺戮にいたる病

    我孫子武丸

    講談社文庫

    身構えていても騙された!

    連続猟奇殺人の被害者の妹と被害者の友人の元刑事が自分たちで犯人を捕まえてやろうと奮闘するという話です。噂に違わず、大変グロテスクで素晴らしいどんでん返しでした。叙述ミステリーにも慣れてきたと思いますが、どういうことか一瞬わかりませんでした。再読したいです。この著者の本はいつも綺麗にコンパクトにまとめられている印象があります。あっぱれ。

    1
    投稿日: 2018.01.16
  • 彼女が死んだ夜

    彼女が死んだ夜

    西澤保彦

    幻冬舎文庫

    新しいテイストの推理小説?

      箱入り娘のハコちゃんとあだ名がつけられるほど両親に厳しく育てられた浜口美緒が両親の留守中、家に帰ると自宅に女性の遺体が!助けを求めるべく、大学のサークル仲間に連絡をとり、なんとメンバーの一人に死体遺棄を依頼。事件に巻き込まれてしまった仲間たちは事件を解決すべく、推理を行う・・・。というお話です。  基本的にサークル仲間の大学生たちが飲みながらしゃべっている緩い雰囲気なのですが、最後まで読んでみるとしっかり本格ミステリーでした。推理内容は意外すぎて飛躍しすぎに感じることもありますが、結末にも大変意外性がありとても面白かったです。  本作だけでは誰が探偵役なのかピンとはこなかったのですが、メンバーの中の二人が探偵役でシリーズになっているそうです。同シリーズの他の作品にも挑戦してみたいです!

    0
    投稿日: 2017.10.31
  • 霧越邸殺人事件(上)<完全改訂版>

    霧越邸殺人事件(上)<完全改訂版>

    綾辻行人

    角川文庫

    シリーズものでないからこその面白さ!

    本作は、長野に遊びに来ていたある劇団のメンバー男女数名が、吹雪に巻き込まれ、そんなとき見つけた霧越邸に助けを求める…というお話です。スティーブンキングの作品で見たことがあるようなシュチュエーションでした。そして、その偶然立ち寄った霧越邸には同じく立ち往生していた人と、屋敷に住む人々何名かがおり、その人たちと数日過ごすのですが、事件が起こってしまいます…! 不思議な現象が起こる霧越邸、把握している人々の他に誰かが潜んでいる気がする…など不気味な雰囲気がある作品ですが、もちろん王道の本格推理小説です。雰囲気は少し水車館の殺人に似ているかもしれません。ただ、シリーズものでないが故に、誰もが容疑者になりうるし、探偵役のような人物が本当に探偵かもわからないという点がとても面白かったです。 結末に関しても、意外と普通と思いきや…二転三転する最後まで緊張感のある作品でした。 初めて綾辻先生の作品に挑戦する方にも、館シリーズのファンにも大変おすすめです!

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    投稿日: 2017.10.26
  • 孤島パズル

    孤島パズル

    有栖川有栖

    創元推理文庫

    やっぱり一緒に推理しないといけない!

    学生アリスシリーズ2作目、1作目に登場した人物もチラホラ登場しつつも、江神さん、アリス、マリアが本作の中心です。 マリアに誘われ、江神さん、アリスが孤島に宝探しに行くがそこで事件に巻き込まれる…というお話。宝探しのためにパズルを解くというシーンがありますが、暗号読解の方も作り込まれており充実しています。 また、やはりなんと言ってもすごいのは、本当にちょっとした手がかりからトリックをしっかり推理できるというところです。種明かしされればそう難しいことでもないのですが、全くわからなかったです。 そして、青春テイストで読みやすい学生アリスシリーズですが、本作は程よい青春テイストでとても面白かったです。月光ゲームはちょっと甘酸っぱ過ぎるように感じていたので…笑 王道かつワクワク感ある本作は有栖川作品初挑戦の方にもオススメできる作品だと思います!

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    投稿日: 2017.10.20
  • ギリシャ棺の秘密

    ギリシャ棺の秘密

    エラリイ・クイーン,宇野利泰

    ハヤカワ・ミステリ文庫

    代表作と名高い名作

    本作は、国名シリーズ4作目ですが、時系列的にはローマ帽子以前の作品だそうです。エラリーが大学を卒業したばかりで若く、人間らしく未熟なところが描かれています。 起こる事件は割と地味なのですが、エラリーが振り回され展開が二転三転するところや、犯人がミスリードを作っていくところが面白かったです。 ちなみに私は全く推理できず、謎解き後も、もう一回推理してもわからないだろうな〜と思いました。そのくらいトリックは複雑でした。

    0
    投稿日: 2017.06.21
  • 人形館の殺人〈新装改訂版〉

    人形館の殺人〈新装改訂版〉

    綾辻行人

    講談社文庫

    シリーズ番外編的作品。

    館シリーズ4作目ですが、番外編的作品です。なぜ番外編なのか、最後まで読んでみるとわかり、だからか〜っとすっきりします。 しっかりどんでん返しがあり、私は館シリーズでこういう手法がとられるとは思わなかったので、ちょっと驚きました。 賛否ある作品だとは思いますが、不気味な雰囲気が面白かったです。

    0
    投稿日: 2017.06.21
  • 八月の降霊会

    八月の降霊会

    若竹七海

    角川文庫

    タイトルがあらすじ!

    怪奇現象を調査し、人為的な原因を解明していくが、中には科学で証明できないこともある…みたいな話が好きな人はきっと気にいると思います。私も好きでした! 降霊会を行うと山荘に招かれ、初対面と思われた登場人物たちの過去が交差する…!といった話なので、ホラーなのかミステリーなのかずっと不思議に思いながら読みました。ミステリー要素に期待しすぎるとガッカリするかもしれませんが、どちらの要素も楽しめて二度美味しい作品でした。 スピリチュアルな雰囲気が魅力な作品です。

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    投稿日: 2017.05.10
  • 異人たちの館

    異人たちの館

    折原 一

    文春文庫

    叙述ミステリーで有名な折原氏の最高傑作と名高い作品。

    作家志望でゴーストライターなどを仕事としている島崎潤一が主人公。 同じく作家志望で1年前に失踪した小松原淳という人物の伝記を書くことを淳の母親から依頼され、淳がどういう人物なのか調査しながら伝記を執筆していくのですが、淳の周りには殺人事件、失踪事件、事故が多発していることが分かってくる・・・というストーリーです。 まず、本作はかなりのボリュームがあるのですが、とても読みやすかったです。また、おそらく著者の狙いでしょうが、長さ故に混乱が生じてくることがあり、どんどん騙されていくという感じがしました。 折原氏の作品は他に「倒錯のロンド」を読みましたが、雰囲気はかなり近いです。独特の構成、作中作の登場、ページ番号を記したかなり丁寧な解答編など。 どちらの作品もとても面白かったけど、驚き具合で言えば、「倒錯のロンド」の方が驚いたかもしれません。 しかし、本作の魅力は「赤い靴」という童謡が作中の重要な場面に多々登場し、かなり不気味な雰囲気を醸し出しているというところと、結末にはちょっとしたカタルシスを感じさせてくれるところです。 「倒錯のロンド」が気に入った方はきっと本作も気に入ると思いますし、折原作品初挑戦の方にもおすすめできる1作であると思います。

    10
    投稿日: 2017.04.09
  • ABC殺人事件

    ABC殺人事件

    アガサ・クリスティー,堀内静子

    クリスティー文庫

    エルキュールがヘラクレスって意味だと知らなかったなぁ

    本作は予告殺人の話で、ABCと名乗る人物が犯人です。いくつかの都市を跨いだ連続殺人事件が起こります。 アガサクリスティーの代表作の一つであり、シリーズ長編11作目です。ヘイスティングが再登場する作品でもあります。 興味深いのは、被害者や容疑者の名前の由来やクリスチャンネームが検討材料としてでてきます。 例えば、エルキュールはフランス語でヘラクレスという意味とか。 あとは、ポアロシリーズにも多いと思いますが、私はクローズドサークルものをよく読むので、本作のような容疑者さえ最後の方まで定まらない作品には斬新さを感じました。 ヘイスティングの手記という形で話が進んでいきますが、その中でも他の視点を挟んでいるところも面白いです。 ポアロの推理の仕方も動機や人間性にこだわったもので、とてもポアロらしさが出ている作品だと思います。 結末には驚きましたが、私にはアンフェアに感じてしまったので、☆3つにしました。 大切な伏線を見逃しているのかもしれないですね・・・。 アクロイド殺しとかの方が、ストーリーの面白さのために多少目をつぶるということがしやすいような・・・という感想です。 皆さんはどう感じるか、注意深く読んでみてほしいです!

    8
    投稿日: 2017.03.30