nakさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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ひきだしにテラリウム
九井諒子 / イースト・プレス
ショート•ショート33作品がこの一冊に詰まっています。
9
短編にも満たない数ページのショート・ショート。どの作品も短いながらもちょっと考えさせ、クスリと笑わせる九井ワールド全開の愛すべきシュールな作品たちです。
表紙をめくって最初の話「すれ違わない」の1ペ…ージを見たとき、中身が違う乱丁か?と驚き、表紙を確認してしまいました。こんな絵もかけるんですね。
次のページで「あっ、九井作品だわ。」になりましたけどw
全部面白いんですが、そのなかでも特に私のお気に入りは...、
「遠き理想郷」 壮大な歴史解釈w、
「代理裁判」うんうんわかるわかるw
「語り草」 言い切ったなおねーさんw
です。あとファンタジーを現実世界に当てはめた世知辛い「夢のある話」は筆者らしい作品で好きです。
1冊でこれほど多彩な画風とジャンル、作品数があってどれも面白いっていうのはすごいと思います。
おすすめです。 続きを読む投稿日:2014.02.22
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冬の巨人
古橋秀之, 藤城陽 / 富士見L文庫
この設定は堪らない!
9
太陽の光は厚い雲に遮られ、風と雪に覆われた極寒の地で千年の長きにわたり延々と歩みを止めない巨人(ミール)。その肩に10万人もの人口を抱える町を背負い、その身体から発する熱で暖を取り、その歩みが暦になる…。ミールとは巨大なものという意味を持ち、そこの住む人々にとって街であり、世界そのものであった。
子供の頃からゲームの攻略本や設定集を読んで想いを馳せるのが、実際にゲームをする以上に楽しかったというくらいの設定夢想家である私にとって、この設定にはドキドキワクワクです。(表紙のイラストも良い!)この巨人が現実に存在したとして、それを見上げる様を想像して興奮してしまいました。
ただ、後半の展開に大いに不満です。もっとこの世界に対する重厚な物語を期待していました。この結末はこれはこれで夢があって面白いとは思いますし、あとがきに書いてあった筆者のこの作品に対するテーマを読むと納得は出来るのですが、私がこの作品を読み終える前に、想像を膨らませ過ぎて期待値を上げてしまったことと、筆者が書きたかったテーマと私が求めていた展開との隔たりが大きかったことが問題で、そこは非常に残念でした。 続きを読む投稿日:2014.10.09
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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet
桜庭一樹 / 角川文庫
生きること、戦うための弾丸。
9
冒頭でとある田舎町で女の子のバラバラ死体が発見され、少し遡って、その女の子、海野藻屑が中学校に転校してくるところから物語は始まります。
貧乏な家庭で育ち、早く大人になって実弾(自立して生活する手段)…を手に入れたいと願うなぎさと、お菓子の弾丸(埒もない空想、妄想)を連射するお金持ちで美人の藻屑の二人の中学生が中心のお話です。
最悪の結末が確定した地点に向かって物語は進みますので明るい展望は望むべきもありませんが、それでも何が本当で、何が嘘なのか分かりづらい藻屑に引きずられたのか、それを一瞬忘れて、もしかしたら...と思ってしまいました。そして、冒頭の場面にたどり着いてしまったときの無力感は堪りません。生徒たちから空気の読めない言われていた担当教師のセリフが印象に残りました。
もともと購入を決めたのは、本書の印象的なタイトルに惹かれたのがきっかけです。実際に読み始めるとストーリーよりタイトルを先に思いついたのかなあという印象を受け、物語の前半はあまりに恣意的に使いすぎていて良い印象はありませんでしたが、最後まで読むとそういった印象は消え失せました。
上記で実弾とお菓子の弾丸について括弧書きしていますが、登場人物の視点、物語の進行具合、または読者によって捉え方が変わってくるかもしれません。 続きを読む投稿日:2014.09.30
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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか10
大森藤ノ, ヤスダスズヒト / GA文庫
救いはあるが、モヤモヤ感が半端ない。
9
9巻冒頭での理性を持つモンスターとの出会いからこの10巻の終結まで、特に本巻の不愉快きわまりない展開にずーっとモヤモヤしながら読み終えました。今回の物語の性質上やむを得ないとはいえ、きつかった。でもこ…の展開、否が応でも次巻に期待感が高まります。スッキリした展開を望むなら次巻の発売を待った方が良いかもしれません。まあ、次巻でスッキリするかどうかわかりませんが。
この10巻の表紙のイラストを見たとき、何でこんな表情なの?、全然ベルっぽくないじゃん。とか思ってごめんなさい。 続きを読む投稿日:2016.05.28
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四月は君の嘘(1)
新川直司 / 月刊少年マガジン
物語にどっぷり浸かって読んでみた。
9
無性に読み直したくなったため、再読中で5巻まで読みなおしたところでこのレビューを書いています。セリフやモノローグを一つ一つの噛締めながら没頭して読んでいると涙が止まりません。
この作品を楽しむために…は如何に物語の中に没入し、登場人物たちの感情に憑依できるかが重要だと思います。それができれば、純粋でまっすぐなセリフに心動かされ、優しいモノローグに心を蕩けさせ、登場人物たちの想いに心を震わせる。そんな感情をきっと味わえるはず...。素直な気持ちで読んで欲しい作品です。 続きを読む投稿日:2014.11.08
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甘々と稲妻(5)
雨隠ギド / good!アフタヌーン
お父さんが頑張り屋さんすぎる。
8
つむぎの愛くるしさとお父さんとのほっこりするやりとりを楽しむこの漫画ももう5巻です。つむぎも徐々に成長し、今巻で年長さんです。
それにしてもこのお父さん、妻に先立たれ仕事をしながら料理を覚え、今巻で…はなんと娘の誕生日の為にドレスまで縫ってしまいます。普通はここまでしないというか、思い付きもしません。つむぎのためにやったことがないことに挑戦する姿は、つむぎの成長する姿とともに眩しいです。
ここまでやってくれる姿を観ているからこそ、つむぎがいい子に育つんですね。
表紙のお父さんの表情がまた良いです。 続きを読む投稿日:2015.12.27