
忍びの国(新潮文庫)
和田竜
新潮文庫
忍び vs 武士道 生き様正反対の両者のバトル。どちらがどう勝つのか楽しい!
忍び代表伊賀 vs 武士代表伊勢(織田信雄)。両者が激突したのが、天正伊賀の乱。今までこの乱についてはほとんど知識なかったけど、この作品を読では、単なる勢力争いではなく「忍び」の価値感と「武士」の価値感のぶつかり合いとして描かれているのがすごく新鮮。戦国時代の武士の価値感は、他の時代小説でも描かれることが多いが、この本は忍びの価値感や生き様を分かりやすく描いていて面白い。両者の価値感の違いが、戦前の交渉のやり方の違い、戦場での戦法の違い、戦意高揚のやり方の違い、にすごくよく表れている。まるで日本の中で異質な文化を持つ民族同士の戦争を見ているよう。どちらがどうやって勝つのかは、読んでみてドキドキしながら楽しんで欲しい。
7投稿日: 2014.11.12
敵は海賊・海賊版 DEHUMANIZE
神林長平
ハヤカワ文庫JA
宇宙海賊vs取締官 異空間対決
戦闘妖精に次いで、神林作品2作目。まったく異なる両者の読み味と演出に作家の想像力の広がりを感じた。主人公の宇宙海賊ヨウ冥は男が惚れる男でキャプテン ハーロックを超悪くした感じ。対する取締官のキャラ設定もブっ飛んでいて「黒ネコ型宇宙人?」って何だよ!どういう生き物?という感じ。戦闘妖精がちょっとシリアスに展開していくのと比べて、こちらはこの主役たちのキャラによって、激しく、テンポ良く話が展開して読みやすくて面白い。また両者が駆る宇宙戦艦のメカ設定がカッコいい。画はないがメカ造形への想像力を刺激される表現が上手い。宇宙海賊ヨウ冥の奥深い怖さを残しつつシリーズの第一章であるこの本は終わる。次への期待を高める作品。
5投稿日: 2014.11.11
ドリフターズ(4)
平野耕太
ヤングキングアワーズ
スーパー武人大戦開幕!時代をまたいだ夢のバトル
これは武人好きにはたまらん!まるでスーパーロボット大戦の武人バージョン。島津豊久vs土方歳三、織田信長vsラスプーチン。はたしてどんな戦いなるのか、どっちが勝つのか、ワクワク感でいっぱいになるはず。
6投稿日: 2014.10.28
めぐりくる春
梁石日
幻冬舎
覚悟して最後まで読む
従軍慰安婦を主人公に描いた本作品。書籍説明にあるようにこれ以上ない「悲劇の物語」であることは間違いない。読んでいるとページを閉じたくなります。また、日本人として消えてなくなりたくなります。自分は男なので兵士の視点で「自分が兵士だったら」と読みました。日本にいる時は、優しさもいたわりもある普通の男なのに、戦争だと変ってしまうのはなぜ?戦場で生きるには、他の民族を同じ人間と思わないくらい心を変えないダメ?慰安婦テーマの本ですが、自分は戦場という極限状態での集団や個人の変わりざまにおののき、戦場でもそうならないで済むようなやり方ってないのだろうか?と考えながら読み終わりました。
2投稿日: 2014.10.27
機動戦士Zガンダム Define(8)
北爪宏幸,矢立肇・富野由悠季
ヤングエース
セイラさん久しぶりの登場!
この巻の見どころは何と言ってもセイラさんの登場。TV版や映画版にはなかったような(気がする)、1年戦争後のアムロとのエピソードがセイラさん自らの口から語られてびっくり。続刊継続中のガンダムシリーズは数多くあるが、個人的にはこのΖ Define、ORIGIN、ユニコーンバンテシネが3大押し。
3投稿日: 2014.10.27
鹿男あをによし
万城目学
幻冬舎文庫
面白いです。気軽に読み始めると止まらなくなる。伝奇ミステリーの秀作
「しゅららぽん」「プリンセス・トヨトミ」に次いで3作目の万城目作品は。読み味としては軽妙で数百ページを一気に読める。個人的には万城目作品は出汁の効いた和食の名品のような感じ。読み疲れが一切なくて、それでいてしっかり味わい深く、何より面白い。伝奇ミステリーという分野には何人か好きな作家さんはいるが、万城目さんの作風は他の作家さんにはない。この作品も、解説だけ読んで「鹿が話しかけてくる」なんて怪しい子供向けファンタジーと思って、読まないでいるのはもったいない。日本の神代の伝説を元にしたしっかりとしたミステリーに仕上がっています。あと女性登場人物が魅力的。特に女子高生の準主人公はミステリーっぽくないキャラクター設定で、どうにも気になる、応援したくなる存在。後半にかけて何度か涙が滲んできた作品です。
5投稿日: 2014.10.27
鎧光赫赫
久慈光久
Fellows!
身体を張って戦の中に生きる、女戦士の生きざまを見よ!
短編集。戦いの中に生きる女戦士をテーマにした連作。戦いが常態化している世界で、女として生きることのすさまじさ、誇りと傷を丁寧に描いている。作家の代表作「狼の口ヴォルフスムント」を読んで気に行った方ならこの短編集も響くと思う。日本の戦国~現代の米国まで、それぞれを舞台に技を磨き、その技に自分の全てをかけて戦う女戦士達。男と対等以上に闘うための高度な技法。ドライな残虐さ。女としての弱さ。この作家は、人間の普段は隠れている部分をえぐり出して表現するのが本当に上手い!読んでいると心拍数が20%くらいは上がる作品が多いです。この部分だけなら★5つ。あとこの本にはコメディー作品も一部収録されていますが、個人的にはそっちの世界観には今イチ入り込めませんでした。なので★3つで。
5投稿日: 2014.10.22
エルフェンリート 1
岡本倫
週刊ヤングジャンプ
面白い!能力系SFや伝奇系要素の完成度も高いが、それだけでなく胸の痛さや優しさを感じさせてくれるシナリオがよい
極黒のブリュンヒルデが非常に面白かったので、同じ作家さんの作品にトライ!極黒もそうだったが、一巻を読むと続きが読みたくて止まらなくなる中毒系。他の方もレビューされているが、人が死ぬ場面がコレでもかっ!と出てくるのでグロい面も確かにある(読んでるとグロさは麻痺してくる)。でも、この作品は能力系のフィクションンとしての完成度が高く、能力獲得の謎や能力発動の制限といったプロットが面白い。また、能力を持つことによる悲劇や、家族が能力者であることの葛藤、能力を利用する周囲の動き等、人間の心の痛みの描き方が上手い。もうひとつ、単に殺人モノにならないのは、主人公のとてつもない全てを受け入れる優しさ。彼の存在があるから、この作品のメッセージ性が強く響いてくる。
6投稿日: 2014.09.29
機動戦士ガンダム THE ORIGIN(5)
安彦良和,矢立肇,富野由悠季,大河原邦男
角川コミックス・エース
TV版との微妙な違いを発見するのが楽しい!
基本構成はTV版と同じだが、ディテールの違いに出会うのが楽しい。地球に降りた後のホワイトベースの航路が違っていて、そんなルートでジャブロー目指すのか!とか、カイのセリフが一層空気読んでなくて、セイラさんのカイへの風当たりがもっと強かったり。グフのノーズが妙に長いのも気になる。あと、ガルマの死の責任をとってシャーが更迭された後のエピソードなど、結構発見があって深く楽しめるのがORIGINの魅力。
8投稿日: 2014.09.29
コロロギ岳から木星トロヤへ
小川一水
ハヤカワ文庫JA
次元時間論は難解だが、ファンタジー要素溢れる読みやすい時空SF
まともに次元とか時間の理論をつきつめるというよりも、想像力をフル発揮させて、現代、未来、別次元の3つの世界の世界観を楽しむという読み方が合ってるように思う。時間とか空間を超越した生命と人間のファーストコンタクトは成り立つのか?ここに興味をもったなら、買いです。基本的には読みやすく、ファンタジー要素溢れる本なので堅苦しいことは考えないでサラっと楽しむ面白い本。だいたい3時間前後くらいで読破できます。
1投稿日: 2014.09.24
