ecotさんのレビュー
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私とは何か 「個人」から「分人」へ
平野啓一郎 / 講談社現代新書
人間関係は複雑なようで、実は足し算である。
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なるほど、自分は1人ではない。1人の中には、違う人と接するたびに、違う自分がいるという分人という考えを提議することは、うならざるを得なかった。
自分自身のことを考えると、周りにいる人全てに同じ対応を…しているのか?と聞かれると、決してそうでは無い。相手との関係性、私が考えている相手の性格、これまでの流れなどをカんがあわせた上で、話をしたり、態度を取ったりしている。
そのようなことは、普通のことで何一つ否定されることはない。だとすると、タイトルの通り「私とは何か」と言うことになるが、それが私で有り、あなたなのだ。
少し前の、異業種交流会で話題になった本であったが、非常にスッキリ読み終えることができた。あのとき会えた皆様に、感謝。 続きを読む投稿日:2017.01.01
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グローバリズム以後 アメリカ帝国の失墜と日本の運命
エマニュエル・トッド / 朝日新書
明日の世界が見えてくる
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エマニュエルと聞いて、映画を思い出すのは、我々の年代以上でしょう、、、さておき。
以前から気になっていた、エマニュエル・トッドの著書でも、簡単そうな部類で、新しいものを読んでみた。
もう残すところ…1ヶ月を切った2016年も、世界は波瀾万丈であった。イギリスのブレグジットEUからの脱退の国民投票の決定、アメリカの次期大統領にドナルド・トランプの決定。
いずれも世界に大きな波紋を投げかけた。
日本に住み、一般的な情報を入手しているだけだと、えっ、何故?となるだろうが、もしかしたら、それらは予見されていたことかもしれない。
それは、エコノミストが出版する「2050年の世界」を読んでから益々そう思うようになった。そんな中、経済学の視点では無く、社会学の視点から世界を捉え、鋭い分析をしているエマニュエル・ドットの著作は面白そうだと以前から気になっていた。
しかし、中々たどり着けずにいたが、ついに1冊読むことが出来た。
結論を書くと、読むだけの価値はあった。
特に、最初の方に新しい情報が入っており、後ろに行くに従って、過去の取材記事となっていく。最初の数十ページでもこの価格を払う価値が十分にある書籍である。
続きを読む投稿日:2016.12.04
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無痛
久坂部羊 / 幻冬舎
痛い!
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読みながら、痛い、痛い、それどころじゃない痛さを感じる!
刑法第39条
1.心神喪失者の行為は、罰しない。
2.心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
https://ja.wikibooks.or…g/wiki/%E5%88%91%E6%B3%95%E7%AC%AC39%E6%9D%A1
なるほど、心神喪失とは当然ながら人の判断によって、なされるわけだ。となると、これはかなり難しいことだろう。
人の気持ちは、1日の中でも浮き沈みが有り、血が上った状態の場合をどのように判断するのだろう。
が、この本の中には、人を外見から見て病状などを見極めることができる医者が2名登場する。
1名は未来の希望をもたず、患者のために働く町医者。もう1人は、自分の考えを元に、どんどん手広く医療界を羽ばたく医院長。
果たしてその2人の運命は。
ああ、しかし、痛い、痛すぎる。私には、痛覚があるが、痛みを感じない病気があることを知り、それにも恐れ入ってしまった。 続きを読む投稿日:2016.11.20
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Qrosの女
誉田哲也 / 講談社文庫
芸能界って面白い!
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いやいや、この本が面白かった!
全く興味を持たない芸能界。CMがどのように作られて、芸能雑誌がどのように作られているかなんて待ってく知らないし、まずもって興味がわかない。
読み進めていくと、いつも…のごとく話が頭の中で繋がっていかない。
登場人物は少ないが、なぜ?となっている中、半分を過ぎた頃から、「もしや」とい思いが
そして、ふむふむと言う思いに。
しかし、最後にどんでん返しが。
いやー、楽しませて頂きました。
さわやかな文章で、人間の内面を描く、この作風にも共感を持てました。ありがとうございました。 続きを読む投稿日:2016.11.03
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女のいない男たち
村上春樹 / 文春文庫
哀愁漂う短編集
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文学的小説を読むと、何かもやもやっとした感じになる。
だから何なの?
だからどうしたら善いの?
どうしてそうなの?
自分と重なる部分がある場合など、特にそう思えてくる。
男と女の心の中、自分…心の中でさえ分からないときがあるのに、性別が別の他人の心の中が分かるよしもない。
秋の夜長、そんな世界に入ってみるのも、いいと思う。 続きを読む投稿日:2016.10.16
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水力発電が日本を救う―今あるダムで年間2兆円超の電力を増やせる
竹村公太郎 / 東洋経済新報社
国土の7割を占める、山間地を利用してのエネルギー発生は理に適ったソリューションだ
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環境問題を考える上で、単に自然を守ろうという言葉は、すでに時代遅れの考え方であろう。
と言うのも、少なくとも高度経済成長期においても、自然環境破壊は理解され、それと経済的メリット発展のバランスをとろ…うとしていたのである。残念なことに、その時代は経済発展を優先することが多かったのである。
上記も軽く触れられながら、本誌では何よりも日本の地形を最大限活用するためには、水力発電を活用することが望ましいことを、様々な面から説いている。
説明されている内容は実に納得がいくもので、国土の約7割が山間地域で有り、年間降水量が3000mmmという条件は正に水力発電に向いているといえる。
水力発電を広げていくためには2つの課題があると思える。
1.水は誰のものでもなく共有財産であるという理解を構築すること
2.共有利用できるための法整備
3.これまでのダムの改修
これらが一部でも解決出来ると、そこからできる改善策を打つことができるはずである。これから、永遠には無いと分かっている、地下埋蔵資源に頼り切るのではなく、どこにでもある水力発電を活用することが良いと考えています。
続きを読む投稿日:2016.10.01