ecotさんのレビュー
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タックスヘイヴン Tax Haven
橘玲 / 幻冬舎文庫
まるで最近公開されたパナマ文書の裏で起こっている事件であるかのようだ。
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確定申告をせずしっかり税金を徴収される身としては、全く関係の無いことなのだが、為替のやりとりが専用の銀行を通して行われているなど、業界の人や、関係する人以外知らないこともを知ることが出来た。世界の物事…の動きは、合理的に出来ているが、これらの仕組みは一世代前のものだとも感じた。と言うことは、やはり様々な抜け道を作ることができるのだ。まだまだイタチごっとが続くのか、新しく作られてきているビットコインなどの電子マネーがそれらに取って代わるのか。これからが見物である。
資本主義という暴落するときもあるが、基本腐ることがない数字が中心の世界は、何か手が付けられないことが発生し、誰求められなくなるのではないかと考える。
本書のレビューとは関係ないことばかりになったが、内容は頭を使いながら読む必要があり、非常に楽しく、最後は深夜をかなり回り込むまでかかり読破した。そこまで、面白かった。 続きを読む投稿日:2016.09.19
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水力発電が日本を救う―今あるダムで年間2兆円超の電力を増やせる
竹村公太郎 / 東洋経済新報社
国土の7割を占める、山間地を利用してのエネルギー発生は理に適ったソリューションだ
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環境問題を考える上で、単に自然を守ろうという言葉は、すでに時代遅れの考え方であろう。
と言うのも、少なくとも高度経済成長期においても、自然環境破壊は理解され、それと経済的メリット発展のバランスをとろ…うとしていたのである。残念なことに、その時代は経済発展を優先することが多かったのである。
上記も軽く触れられながら、本誌では何よりも日本の地形を最大限活用するためには、水力発電を活用することが望ましいことを、様々な面から説いている。
説明されている内容は実に納得がいくもので、国土の約7割が山間地域で有り、年間降水量が3000mmmという条件は正に水力発電に向いているといえる。
水力発電を広げていくためには2つの課題があると思える。
1.水は誰のものでもなく共有財産であるという理解を構築すること
2.共有利用できるための法整備
3.これまでのダムの改修
これらが一部でも解決出来ると、そこからできる改善策を打つことができるはずである。これから、永遠には無いと分かっている、地下埋蔵資源に頼り切るのではなく、どこにでもある水力発電を活用することが良いと考えています。
続きを読む投稿日:2016.10.01
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私とは何か 「個人」から「分人」へ
平野啓一郎 / 講談社現代新書
人間関係は複雑なようで、実は足し算である。
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なるほど、自分は1人ではない。1人の中には、違う人と接するたびに、違う自分がいるという分人という考えを提議することは、うならざるを得なかった。
自分自身のことを考えると、周りにいる人全てに同じ対応を…しているのか?と聞かれると、決してそうでは無い。相手との関係性、私が考えている相手の性格、これまでの流れなどをカんがあわせた上で、話をしたり、態度を取ったりしている。
そのようなことは、普通のことで何一つ否定されることはない。だとすると、タイトルの通り「私とは何か」と言うことになるが、それが私で有り、あなたなのだ。
少し前の、異業種交流会で話題になった本であったが、非常にスッキリ読み終えることができた。あのとき会えた皆様に、感謝。 続きを読む投稿日:2017.01.01
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女のいない男たち
村上春樹 / 文春文庫
哀愁漂う短編集
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文学的小説を読むと、何かもやもやっとした感じになる。
だから何なの?
だからどうしたら善いの?
どうしてそうなの?
自分と重なる部分がある場合など、特にそう思えてくる。
男と女の心の中、自分…心の中でさえ分からないときがあるのに、性別が別の他人の心の中が分かるよしもない。
秋の夜長、そんな世界に入ってみるのも、いいと思う。 続きを読む投稿日:2016.10.16
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国宝消滅―イギリス人アナリストが警告する「文化」と「経済」の危機
デービッド・アトキンソン / 東洋経済新報社
日本が経営していくと言うこと。
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作者は小西美術工藝という、日本の古くからある建築物などの修理などを手がける会社の社長で、この本に書かれているような内容を複数の書に記している。
うがった見方をすれば、衰退している伝統工芸としての建築…メーカーのアピールであるのかもしれないが、昨今しきりに騒がれているインバウンド、海外の方が日本に旅行にいらっしゃることについて、再度考えてみることができた。
というのは、海外の方が何故日本に?と考えると、分からなくなってくるので、私たちは何故、そこに旅行するのだろうか?で考えてみたら良いのだと考えた。
私は行ったことが無いが、ハワイや、グァム、ラスベガスなどのリゾートに行くのは、現在を忘れて別世界で夢の世界に浸ることだろう。そういえば、ディズニーリゾート、USJ、ピューロランドもそうなのかもしれない。
そのような体験で言うと、人が少ない大自然を訪問するというのも同じ感じではないだろうか。であれば、私は後者の方が好きかもしれない。
それに対して、京都、鎌倉、日光、または各地の城、城下町、はたまた寺社、仏閣を訪れたいというのはどういう思いからだろうか?
それは、今の歴史を積み上げて人たちが、どのような暮らしをしていたのか?その地域の文化、その時代の文化に触れてみたいからではないだろうか?となると、それができるだけわかりやすく、当時の面影を残した状態で見せてもらえると、あらがたいものとなるのであろう。
翻って現在のそれらの保存状況を見てみると、果たしてそれらができていて、公開されているかというと、案外そうでも無かったりする。また、写真撮影禁止となっているところも多く、現代であればSNSでここに行ってきたよ、素晴らしかったとアピールすることすらできない。
ヨーロッパに行くと美術館に行く日本人は多いだろうが、日本に来て歴史的建造物を訪問したいと思っているヨーロッパの方も多いと思われる。その時、安価に入場してもらうのではなく、見合った代金を頂き、しっかりと見ていただけるという建物の容姿、サービスも付加させていくことが今後必要になるだろう。
私たちも、海外で有名な観光名所に行って、えっ、てことがあると、もう2度と行こうとは思わないでしょうから。
続きを読む投稿日:2016.09.25
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ガソリン生活
伊坂幸太郎 / 朝日新聞出版
ガソリン生活?
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何じゃそりゃと思い、手に取った。なんだか分からないが、読み進めていくと、どうも主人公は自動車のようだ。
その自動車とオーナー家族が繰り広げる物語。
自動車同士がしゃべることが出来るという設定が、人…間社会でも同じようなことが起こっているようで、物語に深みを持たせてくれる。
人間の社会と、自動車同士の社会と、1つの物語で、2つの物語を読めるような楽身が味わえた。
自動車の名前を知っていると、なおさら面白みが増すが、知らなくてもそれぞれ自動車の顔があることは知っての通りなので、想像しながらも楽しむことが出来るだろう。 続きを読む投稿日:2016.09.19