blackearowlさんのレビュー
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マルドゥック・ヴェロシティ1 新装版
冲方丁 / ハヤカワ文庫JA
「スクランブル」のあとに読んでほしい前日譚
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「マルドゥック・スクランブル」のボイルドを主人公とした前日譚。時代設定や人物設定などは読者は知っていることとして省略されている部分が多いので、「スクランブル」を読んでからこちらにトライするのが吉。
「…ヴェロシティ」の名の通り、後半になるほど加速するストーリーの疾走感が気持ちいい。だからといって決して明るい話ではなく、「スクランブル」でボイルドがあんな人物に設定されてしまっている理由が重く語られています。
個人的には、敵味方として登場する異能者たちの「能力」が見物だと思っています。これらは、冲方氏でなければ思いもつかないような奇妙奇天烈なものばかり。ハードSFファンとしては、実現可能性としてどうよ、というところもありますが、敵味方一人一人の冒険談だけでそれぞれ短編が書けそうなくらい生き生きしているのは冲方氏ならではという部分もあるように思えます。
「スクランブル」を読んで気に入っていただけた読者なら、文句なく楽しめる作品だと思います。 続きを読む投稿日:2014.07.12