レビューネーム未設定さんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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唸る長刀
谷津矢車 / 幻冬舎時代小説文庫
盛り上がりに欠けるかな
2
ライトな時代ものです
主人公はまだ仕官前の半人前
自分の大きな体を持て余して剣術がいまひとつ
町では押し込み強盗が騒ぎを起こし、友人の父も怪我を負う
主人公が剣の道を探求するのが全体の軸にあるんだけ…ど
本人が飄々とした性格のせいかどうにもパッとしない話になってるような
家中に腕の立つ先輩がいるんだけど、もう少し主人公と
からませてほしかったな
剣術物としても青春物としても何か物足りなかった
続きを読む投稿日:2017.02.24
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まぐだら屋のマリア
原田マハ / 幻冬舎文庫
寓話でもないし・・・
2
専門学校を出て老舗料亭で板前の修業をしていた柴紋(しもん・男)は
料亭での兄弟子たちとの確執や、料亭で昔から行われていた不正事件に
巻き込まれて都会を後にし北へ逃げる。
その北の果ての小さな食堂で、一…人で店を営んでいるマリアという女性に出会う。
舞台設定がどんなにご都合主義でも小説になるものはある。
でもこの話、舞台も登場人物もエピソードもどこまでも型通りなのに
それ以上のものがいつまでたっても出てこない
すみません、挫折しました
ところで電子版の表紙、これいったいなんだろう?
ヘンなイラストなの
そういえば本物の方の表紙の雰囲気はやり過ぎだと思う、この話には
続きを読む投稿日:2017.03.10
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かなたの子
角田光代 / 文春文庫
辛いけど、
2
辛い体験を、たとえフィクションでも読むのは嫌なもの
この作者の場合、明確な希望とか救いは書かれないことが
多いのでなおさら。
でもだからこそ人間が興味深く見えてきて、
他人と自分と、やっぱり怖くて、で…も見ないふりでは
それ以上深く知り合うことはできないのかも 続きを読む投稿日:2017.03.21
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石燕夜行 骨きりの巻
神護かずみ / 角川文庫
キャラは渋めでよいです
2
江戸時代で妖怪がうろついてて、町では骨だけ残して人が殺されてる。
全体的に寄席の話みたいに渋い印象だけど、登場人物がイイ男だったり
気味の悪い老人は結構茶目っ気があったりと楽しめます
主人公は表紙を見…て浪人のような剣士だろうと思ったら見間違ってた
持ってるの筆だわ
絵師でした
ちょっと主人公の石燕(せきえん)と謎の男鏡花(きょうか)のイメージが掴みずらくて残念
そして鏡花が謎すぎて不満
続きを読めってことか
と思ったら
現在3巻まで出てますが、続きが出てません
3巻で鏡花が意識不明のままなんですが、どうなってるのでしょうか
残念 続きを読む投稿日:2017.03.27
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裏閻魔
中村ふみ / ゴールデン・エレファント賞
面白かった
1
第1回ゴールデンエレファント賞 大賞受賞作
現在続編が出て3巻で完結らしいです(すいません未読です)
1巻では幕末から昭和までが舞台。不老不死の運命を背負った刺青師が主人公。
本の装丁からライトノベル…やアニメっぽいものを想像したけど、実際はもっとしっかりしてます。
史実をからめつつ、主人公の不老不死ゆえの苦悩や葛藤を描き、しかし最近ありがちな脳内グルグルにならずにストーリー重視。なにしろ主人公、新撰組隊士だったりしますからね。ただその部分はかなりさらりと。
文章は軽妙で読みやすく、携帯小説のような言葉のセレクトが時代小説として読むと違和感があるかもしれないけど、くすりと笑わせてくれるのでOK。
主人公も魅力的だけど、脇を固める登場人物もいい感じ。とくに主人公の秘密を知り腐れ縁的にかかわり続ける牟田(むた)信正は、主人公よりも年下なのになんだかお兄ちゃんみたいでとっても微笑ましい。
優れたエンターテイメントだと思う。
ただ、表紙のアニメっぽい絵、あれはちょっと違うかなぁ
続きを読む投稿日:2014.02.16
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純平、考え直せ
奥田英朗 / 光文社文庫
奥田さんって読み心地が抜群
1
ヘンなタイトルだなぁ、と思ったら全編タイトル通りだった。
ヤクザの構成員、純平は心から慕うアニキの啖呵を真似てみたり、ヤクザの道(?)に外れた汚いことを心から嫌ったり、女の子や友達にはいいカッコをしよ…うとし、とにかくなんだか憎めないキャラだ。おまけに言うことが的を得ていてカッコイイ。
このまままっすぐ育ってくれよ、と思わず願ってしまうが彼の生きている世界がそれを許さない。
組の親分から敵対する組の幹部の命を取ってくるよう言われる。
純平は待ってましたと喜び勇んでこの指令を受けるわけだが・・・
とにかく純平がカッコかわいい。
普段は目にすることのない裏社会の話だが、過剰にアンダーグラウンドの凄惨さを醸し過ぎず、映画のようにキメ台詞をビシッと言ったり外国かのようなアクションシーンがあるわけではなくて、そこがいい。
全編が純平にとっては日常のことでその雰囲気がよく伝わってくる。だから止めようもなく人生を転落して行こうとしているはずなのにそこに危機感は感じられない。
純平に悲壮感がないからだ。
殺人という罪の話でもあるはずなのに、道徳の教科書のように真正面からそのことを書くことはしない。
人と関わり多くを感じ純平がどう決断するのか、皆さんもぜひ一緒に見ていただきたい。 続きを読む投稿日:2014.06.16