luteceさんのレビュー
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帝都万華鏡 桜の頃を過ぎても
鳩かなこ, 今市子 / 講談社X文庫
匂い立つエロス
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大正時代の帝都を舞台とする編集者×詩人の大正浪漫BLってところでしょうか。主人公の詩人、石木琢馬は字面からして啄木をモデルにしてるんでしょうね。BLにはちょっと珍しい端正で匂い立つような官能的な文体…がともかく秀逸。故・栗本薫は絶賛したそうですがわかる気がする。 続きを読む
投稿日:2014.06.26
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明治断頭台 ――山田風太郎明治小説全集(7)
山田風太郎 / ちくま文庫
悪くはない
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明治初年のどこか殺伐として未だ不穏で定まらぬ世相を、弾正台の川路利良と香月敬四郎の視点から描き出す。フランスの死刑執行人の家系、サンソン家の末裔のエスメラルダが憑坐となって死者の言葉を語るという非常に…けったいな話で、一見したところ荒唐無稽きわまるが、最後で腑に落ちるようになっている。そうくるか、と思いましたね。各々の事件は一つの短編として書かれているが、オチがオチなので通読しなければ理解できないだろうと思う。当方は佐幕派なので、例によってというか、小笠原長行にかかわる章が秀逸でした。 続きを読む
投稿日:2014.07.27
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ラスプーチンが来た ――山田風太郎明治小説全集(11)
山田風太郎 / ちくま文庫
下ネタに引きました
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後のニコライ二世、ニコライ皇太子が襲撃される大津事件と絡めて描く、日露戦争前夜の東京。ラスプーチンが日本にやってきて……と、これだけでもたいがい奇抜だが、山師めいた占い師や伊勢神宮の神官なども出てき…て、歴史小説というよりは伝奇あるいはファンタジーとさえ言いいうるかもしれない。『明治十字架』と同様、突拍子がなさすぎてシリーズのなかでは不出来なほう、あまりにも荒唐無稽でリアリズムが感じられなかった。
山風が性愛的な事柄を書き出すと直接的な描写がなくとも、なんだかひどく生々しくいやらしい感じがして苦手なのですが、本作はその点でも大いに引いてしまいました。また、主人公の明石元二郎がしょっちゅう放屁していて、下ネタが満載な点もいただけない。実際にそういう人物だったのかどうかは調べないとわからないけれど。話は普通に面白かったですがね。 続きを読む投稿日:2014.07.27
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明治バベルの塔 ――山田風太郎明治小説全集(12)
山田風太郎 / ちくま文庫
牛鍋チェーン
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こちらも各々時代を異とする短篇集。冒頭の表題作は、前作でも登場した黒岩涙香の万朝報にまつわるあれこれ。他には李鴻章を狙撃し釧路監獄へと送られた「牢屋の坊っちゃん」、牛鍋チェーン店を開いた「いろは大王…」こと木村荘平の火葬場の顛末、および大逆事件の幸徳秋水を身体の四部分に分割して描いた「四分割秋水伝」など。掉尾を飾るのは、隻腕の美剣士・伊庭八郎の弟・想太郎による星亨暗殺事件を扱った「明治暗黒星」。
このシリーズは登場人物に少しでも興味があれば、間違いなくハマります。 続きを読む投稿日:2014.07.27
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二人暮らしのユウウツ 不浄の回廊2
夜光花 / キャラ文庫
ごちそうさま
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前作はそっちのほうはかなり控えめだったと記憶しているけど、その分を取り戻す勢いで、続編はベッタベタに甘くてドロドロにエロかったです。満腹満腹。ごちそうさま。ちなみにシナリオもちゃんとしてます。主人公…(受)がヘタレすぎる。 続きを読む
投稿日:2014.07.13
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明治十手架(上) ――山田風太郎明治小説全集(13)
山田風太郎 / ちくま文庫
やややりすぎの感
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『地の果ての獄』にも登場した、元与力で教誨師の原胤昭を主人公とする長編。老境にある原による、昔日を思い出しての一人語り。石川島が主な舞台ということで、凄惨で血なまぐさく酸鼻な話が多い。また、山風はキ…リスト教となると途端に突拍子もない話になる傾向があるらしく、本作はその意味でいろいろやりすぎと思った。あまりにも荒唐無稽に走ってしまっていて、娯楽作品にせよいくらなんでも無理がありすぎ、リアリズムが台無し。愉しみながらも時々首を傾げてしまいました。えげつない表現も多いので、読者を選ぶ気がする。 続きを読む
投稿日:2014.07.27