
文豪ストレイドッグス 太宰治の入社試験
朝霧カフカ,春河35
角川ビーンズ文庫
こういう楽しみ方もアリ
コミックでは描かれていない、太宰が探偵社に入社し国木田の相棒となった頃のお話。 もしこれがコミックになっていたら…と身悶えしそうになりますが、小説は小説で想像力が脹らむので面白かったです。 謎多き探偵社の一端が知れたようで、今後のシリーズが楽しみです。
2投稿日: 2014.08.23
桃山ビート・トライブ
天野純希
集英社文庫
芸人としての地位は低く、でもプライドは高く
時は安土桃山時代の京都。まだ役者や楽器の演奏者などの地位が確立されていない、いわゆる河原者が数多く存在した頃のお話です。 文体がライトノベルに近いので、ありえないーという点は時々あります。 でも予備知識などややこしい事は考えず、耳元で激しい三味線や笛太鼓の音を想像しながら読むと、爽快な気分になれると思います。
1投稿日: 2014.08.10
風塵の剣(一)
稲葉稔
角川文庫
宮仕えの悲哀
幼いころに両親を殺され、身寄りがなく放浪する彦蔵を拾ってくれた育ての親は不慮の事故で死んでしまう。 普通なら運命を呪って自暴自棄になるか、何処かで人知れず死んでいてもおかしくないのに、そうならないのは持ち前の純真さが己を助けているのか、若者ゆえの無鉄砲さが周りを放っておけない気分にさせるのか。もしかしたら両方なのかもしれません。 この先、「小早川」という姓が彦蔵の運命に関わってくるのか、過酷な運命ゆえに転機がどのように訪れるのか等、そっと見守りたくなりました。
3投稿日: 2014.08.10
吉原手引草
松井今朝子
幻冬舎文庫
吉原を上から見ている感じ?
吉原の売れっ子花魁が失踪するも、一様に口が重い関係者へインタビューする形でストーリーが進みます。 個人的には途中で結末が分かってしまい星一つ減なのですが、読み進めると吉原のしきたりや江戸っ子が拘る「粋」な遊び方、女郎の生活や光と影などを教えて貰っている気分になってくるので、それが面白かったりします。
2投稿日: 2014.08.02
人生はニャンとかなる!-明日に幸福をまねく68の方法
水野敬也,長沼直樹
ミズノオフィス
猫好き&格言好きな方へ
掲載されている格言や逸話は、聞いたことがあるものから初めて聞いたものまで様々。 そんな格言書の堅苦しさを、愛らしい仕草や表情をみせる猫たちが和らげてくれています。 少し気分が下向きの時に開いてみると、上向きになれるヒントが何気なく見つかるかもしれません。
3投稿日: 2014.07.06
死ぬことと見つけたり(上)
隆慶一郎
新潮社
タイトルそのままの内容
作者が戦地へ赴く際、持って行きたい本を隠すために使ったのが、この作品の底辺となる『葉隠』であるというエピソード付きの作品。 鍋島武士の底力と誇り、得物がなくなったら自身を得物にして戦う決して無駄死にはしない覚悟。 「死」という人が避けては通れないテーマだからこそ、共感できずともどこか惹かれるものがあるかもしれません。 いつか機会があったら頑張って『葉隠』も読んでみたいです。 ヘタレ故に、毎朝死んでから起きるという覚悟までは出来そうにありませんが…^^;
1投稿日: 2014.06.01
坊主金~評定所書役・柊左門 裏仕置(一)~
藤井邦夫
光文社文庫
殺し屋とはひと味違うタイプ
左門たちは、決してただ働きをしません。だからといって依頼人がいるわけでもありません。その辺りがよくある成敗モノとは違います。 義憤よりも私腹になること、人々の願いの中から「金になりそうな案件」を嗅ぎだし、全てが丸く収まるように淡々と「事件」を組み立てていきます。 でも左門たちは守銭奴ではなく、時にただ働きに近いこともします。 左門を筆頭に、個性的すぎる仲間たちの人間くささに妙に惹かれました。
0投稿日: 2014.05.12
町医 北村宗哲
佐藤雅美
角川文庫
過去は過去、現在は現在
己の悪事が公になれば確実に獄門行き。そのことは宗哲を知る人とっては公然の秘密みたいなもの。 普通ならば人々から畏れ蔑まれそうな過去なのに、医術の確かな腕と物怖じしない人柄から、裏表の世界から今日も様々な頼み事が押しかけて来ます。 全ての頼み事が解決できるわけではありませんが、効いてしまうと放っておけなくなる宗哲の行動は、どん底を見たことによる、今を一生懸命に生きる人々の味方でありたいと思う心がそうさせているのかもしれません。
0投稿日: 2014.05.12
鼠、江戸を疾る
赤川次郎
角川文庫
痛快、爽快
ドラマを見てから原作を読み始めました。 実物は相当に粋な方だったそうですが、原作の鼠もなかなか粋なことをするなと、読み進める毎に胸がスッとします。
1投稿日: 2014.05.05
妻は、くノ一
風野真知雄
角川文庫
翻弄される純愛と純情
内容にタイトルのような堅苦しさはありません。むしろ軽やかに物語が進んでいきます。 どこか薄暗い場面があってもそれを感じないのは、主人公の彦馬の聡明さと天然ぶり、織絵の一途さがそうさせているのかもしれません。 しかしお約束とはいえ、「近くにいるのに何故気付かないの…!」と彦馬たちに歯がゆくなる自分が悔しいです。(笑)
1投稿日: 2014.05.05
