ondankbarehondさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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夜の国のクーパー
伊坂幸太郎 / 東京創元社
退屈
0
リアリティのないほら話的なファンタジー。世界観も半端で、前半は特に最後のどんでん返しの伏線にするために色々な事が曖昧にされているから、とりとめもない。伊坂幸太郎のストーリーテリングが、この小説に関して…はあまり上手い事いってない。前半の退屈さが半端ない。スタイリッシュでもない。物語全体が何かの暗喩のような気もするが、ふわっとし過ぎていて、刺さらない。伊坂幸太郎小説にエンターテイメント性を求めている人にはお勧めできない。 続きを読む
投稿日:2015.04.08
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ガダラの豚 I
中島らも / 集英社文庫
怖すぎワロタ
2
人が沢山死ぬし、そこにアフリカの呪術が絡んできて、妙におどろおどろしいのだが、ユーモアがあって文章のテンポも良く、楽しく読めるエンターテイメント。ただ、中島らもの人生を知った上で読むと、何故か小説の中…の泥沼感が半端なく胸に迫ってくる。普通なら気にならないようなちょっとしたディテールが、立体的にグロさを増し、どす黒く思えてくる。ゴッホ型文学というか、作者の人生とセットになると味わいを増す作品だと思う。小説としても普通に面白い。 続きを読む
投稿日:2015.03.29
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東京プリズン
赤坂真理 / 河出文庫
K-1小説
0
大きく、容易には規定しがたいようなテーマに正面からぶつかり、とにもかくにもガチでテーマと戦っている。途中から戦い方がスピリチュアルになってきて読んでいて辛くなるが、しかし逃げも隠れもせず死力を尽くす感…じには、知性以外に並々ならぬ根性を感じる。
生きかたが半端な人間は是非襟を正して読むべき作品。ただ、ちょっとわかりにくい。 続きを読む投稿日:2015.03.23
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愛と暴力の戦後とその後
赤坂真理 / 講談社現代新書
すべてが腑に落ちる
1
現在の世の中を見渡して、なんだろう、この絶望と閉塞感は、どうしてだろう、私たち日本人のこの薄っぺらさは、と思っている人は是非読むべき本だと思う。私はとりあえず、「なるほど」と膝を打った。
右翼でも左翼…でもなく、「自分」の立ち位置から歴史を知ろうと思うと、霧の中に紛れ込んだようになる。戦後の日本の奇妙なねじれ、倒錯的な国土の蹂躙の仕方、この空虚さ。
ああ、そういうことかもな、本当に。と感覚的に腑に落ちる部分があって、読んで本当に面白かったし共感した。
それと共に、今まで周りの日本人に、自分も含めて嫌悪感にかられるところがあったのだが、「これは社会的に解決しなければいけない何かなんだ」と思い始めた。そういう意味では読後感も後味悪くない。知的な本である。 続きを読む投稿日:2015.03.19
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生誕祭(上)
馳星周 / 文春文庫
バブルのお話
2
今の若い人たちはバブルというのがどういうものであったのか、実感としては知らないと思う。そういう人たちにこそ読んでほしい。ここにはバブルの泡の最先端にいた人たちとその価値観が、圧倒的なリアリティによって…描かれている。拝金主義とはどんなものか、そこに展開される醜い人間模様とはどんなものか。説教臭はまるでなく、とにかくスピードとテンポが良く、人物造形はみんなクズ過ぎて興味深く、読者の興味を片時も離さないようにストーリーには工夫がこらされ、キラキラ光る下衆なエピソードを折り込みつつ展開されるエンターテイメントである。
にもかかわらず読み終えた時に、現在の自分を取り巻く日本社会の廃墟のような有様を眺めて、過去から現在へとつながる日本人の自己喪失の歴史がうっすら見える。 続きを読む投稿日:2014.12.24
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バッテリー 全6冊合本版
あさのあつこ, 佐藤真紀子 / 角川文庫
後悔
0
人から「ものすごく面白い」と聞かされて、「では面白いに違いない!」と六冊合本で購入したが、今とても後悔している。
つまらない訳ではないが、一冊づつ購入すべきだった。二冊目で多分買うのをやめたと思う。
…人がたとえ素晴らしいと言っていても、自分にとってはそれほどではないものは存在する。その代表格。
ここに出てくる男の子たちの、誰一人として自分の身のまわりに似たようなタイプがいない。しかも小学生の時点でもうおっさんのように自分の前途を見据えていて、「おれにはこれしかない」とキッとしている感じが、・・・いや、私が文系なので、体育会系はこういうリアリティなのかもしれないが、私にはぴんと来なかった。しかもストーリー展開が遅い。そして、遅すぎて半端に終わる。一巻の主人公と、六巻の主人公との間に、人間的な成長が約3ミリ程度しかなく、つまりは起こっている事件が主人公である天才少年の本質的な成長に深くかかわってこないために、変化がなくて飽きた。
ただ、私の周りの人はみんな面白いと絶賛しているので、これはあくまでも個人的な意見である。 続きを読む投稿日:2014.12.24