チョッピーさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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純平、考え直せ
奥田英朗 / 光文社文庫
確かに「考え直せ」という物語かも。
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全く自分とは接点の無い世界を描いていながら、それでいて主人公を始めとした登場人物それぞれに余り嫌味なく感情移入出来てしまう奥田さんの語りのうまさが出ている作品だったと思います。確かに「考え直せ」という…内容だったとは思いますが、ラスト直前の「幻想」シーンがラストに繋がっているようで、読者に結末を「選ばせる」効果が出ているような気もしました。ネットの書き込み描写は「今風」を狙ったものかもしれませんが、今作では余り効果は出ていないのでは? 続きを読む
投稿日:2014.05.15
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配達あかずきん 成風堂書店事件メモ1
大崎梢 / 東京創元社
本屋に行きたい。
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書店を舞台にしたミステリーって?と思いつつ読みましたが、短編集として面白く読みました。書店を舞台にしている事もあり、実在する本がそれぞれの物語に出てきますが、そういう点が本好きにはこの作品の堪らないポ…イントかも知れません。もう少し深みのある作品が個人的には好みですが、それぞれの物語がミステリーの「型」をなぞっていたりという部分は単純に軽い読み物とも違った本作品の魅力のように感じます。 続きを読む
投稿日:2014.05.15
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フリーター、家を買う。
有川浩 / 幻冬舎文庫
少々題名に偽り有り?
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題材は違えども、有川浩さんの『シアター!』とよく似た雰囲気を感じたのはどちらも「立て直す」お話だから、という事と、主人公のお姉さんの「男前っぷり」と後半の主人公の活躍っぷりが『シアター!』の「鉄血宰相…」こと司兄さんを思い出させるものがあったからかも、と思います。少し題名に偽りありという点と、物語としては中途半端に終わったような気もしますが、これは題材の重さを考え、安易な形で終わらせられないという有川浩さんの誠実さと見るべきなのかも知れません。恋愛要素は今回は不要だったかも?とも思いますが、これが無いと有川さんらしくないかも? 続きを読む
投稿日:2014.05.21
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特捜部Q―Pからのメッセージ―(上)
ユッシ・エーズラ・オールスン, 吉田薫, 福原美穂子 / ハヤカワ・ミステリ文庫
最高のエンターテイメント作品!
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特捜部Qシリーズの第3作目。これまでの2作品以上に今作はエンタメ度が高い作品となっています。ユーモアとシリアスの絶妙なブレンド、過去と現在を行きつ戻りつする時間構成の巧みさ、ディーヴァー作品に出そうな…「サイコパス」の造形の凄さにうなりながら、読む手を止める事が出来ません。下巻へと続きます・・・。 続きを読む
投稿日:2014.05.22
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特捜部Q―Pからのメッセージ―(下)
ユッシ・エーズラ・オールスン, 吉田薫, 福原美穂子 / ハヤカワ・ミステリ文庫
素晴らしい!
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下巻に入り、とんでもないカーチェイス描写、病院でのドキドキのサスペンス、主人公側の人間のぶっ飛びの展開を経て、犯人側の人間も巻き込んだこれまたドキドキのサスペンスの果てに、犯人を追い詰めた主人公側と犯…人との攻防の二転三転の末の決着と、特捜部Qシリーズらしい余韻の残るエピソードでエンディングを迎えました。今作の下巻に入ってからの物語のスピード感はとにかく素晴らしいの一言です。上下巻合わせて700ページ強の作品でしたが、余りの面白さにほぼ一日での一気読みとなりました。満足の一言です。4作目も早く読まねば! 続きを読む
投稿日:2014.05.22
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研修医純情物語 先生と呼ばないで
川渕圭一 / 幻冬舎文庫
物語?エッセイ?
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小説と思い読み始めましたが、中盤以降はほぼ現実体験を記した「エッセイ」「日記」のような代物で、どっちつかずと言えば聞こえは良いですが、題名からも感じられる「逃げ」の姿勢が内容に表れているように思えまし…た。物語?の方も著者自身の「自分には甘く、他人には厳しい」目線に終始違和感(嫌悪感)を感じてしまい、実際の医療を担っているのは、多分この著者のような「他人事」の人々では無かろうな、と思えてなりませんでした。著者の他の本を読む気にはなれません。 続きを読む
投稿日:2014.06.07