SEIJIさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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火花
又吉直樹 / 文春文庫
次回作が楽しみです
80
普段、タレントさんが書いた作品というのは全く読まないのですが、
”文学界”に掲載された作品ということで随分話題にもなっているので読んでみました。
いわゆる売れないお笑い芸人が少しずつ売れだして、
そし…て解散、引退というところまでを描いた作品になっています。
売れることのみをわだかまりを持ちながらもよしとする芸人と
売れなくても自分の目指すお笑いを極めようする芸人。
二人の対照的な芸人の生き方、そして芸人とはというような話が
展開されていきます。
その中の一節で、一つのことをずっと続けてきたことに対して
”それは、とてつもない特殊能力を身につけたということやで”
という一節があります。
一つのことを愚直に続けるということについて、リスペクトしている
文章だと思うのですが、ここにはやはり又吉さん自体が芸人ということが
大きく影響しているのだと思います。
芸人又吉が客観的に芸人について語る。
最後は芸人ならではのオチになっています。
とても、面白い作品でした。
今後の又吉さんの作品が楽しみです。 続きを読む投稿日:2015.06.12
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ルーズヴェルト・ゲーム
池井戸潤 / 講談社文庫
必ず共感できるものがあります。
64
約500ページもある作品ですが、読み始めたとたん、どんどん、次の展開が気になって
一気に読み終えてしまいました。
池井戸さんの作品は他の作品もそうですが、人物描写やその背景がしっかりと描かれていて
そ…の場面が映像として頭に浮かんできます。
この作品、不景気な時代における企業スポーツの今ある姿がリアルに描かれていて、
経営者の視点、企業スポーツのあり方、純粋にスポーツに打ち込む選手、各々の姿が
読む人、一人一人どこかに必ず共感できるものがあると感じます。 続きを読む投稿日:2014.04.22
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夜の床屋
沢村浩輔 / 東京創元社
他の作品も読みたくなります
13
普段どうしても好きな作家さんの本ばかりを中心に読むのですが、
たまに本屋さんで、題名と表紙に惹かれて作品を購入することがあります。
この作品もその中の一冊ですが、久しぶりに他の作品も読みたくなる作者に…出会いました。
6本の短編からなるこの作品ですが、一本一本が素晴らしいミステリー作品に
なっていて、しかも読み終えた時にはちょっと感動すら覚えます。
今後、注目していきたい作者です。
続きを読む投稿日:2014.10.21
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グラスホッパー
伊坂幸太郎 / 角川文庫
三人の殺し屋
12
凄く面白い作品でした。
妻を轢き殺された男、後ろから人をそっと押して殺害する”押し屋”
自殺を促す専門の殺し屋、ナイフ使いの殺し屋この4人の登場人物
を中心に物語が進行していきます。
一人一人の関係が…はじめは少し分かりにくいのですが
一通り各人物の状況が把握できてくるとこの4人の関係がすっきりと
頭にはいってきます。
そこから先の展開はどんどん気になって一気に読み終えました。
4人のキャラクターがはっきりしていて凄く面白かったです。 続きを読む投稿日:2013.12.15
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下町ロケット
池井戸潤 / 小学館文庫
ワクワクする作品です
11
大手企業からの、理不尽な訴えを何とか切り抜け社員一同
ほっと一安心したはずが、今度は社長の夢に振り回されることに。
技術力のある小さな町工場が、その技術力の高さゆえに
大手企業を巻き込んで右往左往する…ことになるのですが、
そこで、夢を追う社長と現実をみる社員との対立が起こります。
小さな町工場がロケットの部品を製造するという壮大な夢が、
どのように展開していくのか。
展開がすごく面白くて、ワクワクする作品です。 続きを読む投稿日:2015.10.05
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七つの会議
池井戸潤 / 日本経済新聞出版
でしゃばりすぎない主人公
11
「半沢直樹」や「花咲舞が黙ってない」などの作者、
池井戸潤さんの作品。
池井戸潤さんの作品は、どの作品にも共通しますが、
不正に対して断固として立ち向かう姿勢を持った
主人公が現れます。
この作品も、…立場の弱い下請けと、大手メーカーの
重役が絡んだ不正に巻き込まれた人の人生や、心情が
描かれていて、読み進むにつれ目が離せなくなります。
不正を暴いていく主人公も、過去に自分の起こした
行動で、他人を苦しめたことを、心の中に刻んでいて
普段は、ぐうたらしていても、いざとなれば行動を
起こすついう二面性を持っています。
半沢直樹ほど、行動力や表立った熱さはなく読み始めは
誰が主人公かわからないほどですが、ラストに近づくにつれ
存在感が増してきます。
でしゃばりすぎない主人公。
こういう作品もいいですね。
続きを読む投稿日:2016.04.06