Hachiroさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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あやかしとおばんざい ~ふたごの京都妖怪ごはん日記~
仲町六絵 / メディアワークス文庫
全2巻、もう少し読みたいと思えるくらいがちょうどいいのかも。
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直史の友人として何気に大塚信介君が登場します。からくさ図書館の常連客の高校生は本作の主人公と同じ大学に進学したようです。
でもこのお話は2巻で終わりなんですね。もう少し読みたいなって思いましたけど、…将来の職業とか考えていなかった直史も2巻最終話では進路を決めたみたいですし、仲町さんは「からくさ図書館来客簿」とリンクした京都のお話をこれからも書いていくようですので、またほかのお話で直史たちと会えるのかもしれませんね。 続きを読む投稿日:2019.07.22
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午前0時のラジオ局
村山仁志 / PHP文芸文庫
偶然知った作者さん、どんなお話を書いてるのかなと
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真面目な主人公の優くんも、かわいいアシスタントの佳澄ちゃんも、もう幽霊が当たり前になってしまって、普通の人間と同じように接してる。二人の成長は微笑ましく今後の展開もそりゃあ気になるけど、ディレクターの…陽一さんには今作のエンディングで成仏してほしかったなあ。
たくさんの本が出版されている中で、偶然に出会った縁に不思議を感じます。とても楽しく読みました。 続きを読む投稿日:2019.06.14
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どこよりも遠い場所にいる君へ
阿部暁子, syo5 / 集英社オレンジ文庫
まさかの地母神様
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主要キャラクターたちがそれぞれ事情を抱かえているようなのですが、序盤はその事情がわからないので感情移入できず、なかなか作品に入り込めませんでした。
中盤でキャラクターたちの過去がわかってくると、その…後の展開が気になり、またそれらを包み込むおおらかな世界が心地よく一気に読んでしまいました。
読みおわって改めてタイトルを見てその壮大さに感激。このタイトルは作品世界を造りあげた地母神様のメッセージなのかも。物語は少年視点なのにね。 続きを読む投稿日:2019.05.20
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でんでら国 上
平谷美樹 / 小学館
百姓が自由に生きれる夢の国
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主人公の善兵衛、60歳になって姨捨てされる身。が、でんでら野に向かう心は浮かれてる。何がそんなに楽しいのか?
江戸時代、生きている限り身分制度に縛られ、百姓は年貢を納めなければならない。でも60…歳になって姨捨された年寄りたちはもうこの世の住人ではないわけで、表向きは死人扱い。山の奥の「でんでら国」でこの世の制度に縛られずに生きている。もう年貢を納める必要もない。自分たちで作った米は全部自分たちの自由に使える。
作中では年貢を増やすため隠田を暴こうとする侍たちとの駆け引きがあるわけだが、でんでら国の住人は侍にそんざいな口をきいたってかまわない。亡者はもう身分制度の外にいる。領主の前に出たって堂々としていていいのだ。
でもね、あの世の祖先たちにとって現世の住人は、いざという時は助けてやりたいかわいい子孫たちなんですよね。 続きを読む投稿日:2018.05.06
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天盆
王城夕紀 / 中公文庫
すべての駒に意味がある
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C★NOVELS大賞で作品傾向が違うからと特別賞になった作者のデビュー作だそうです。作者は「書きたいことを書いて、はたして受けいれてくれるところがあるのか」と賞の行方を不憫に眺めていたそうですが、面白…い本を待っている読者はいっぱいいます。出版社は作品をちゃんと広めてほしいですよね。
物語はかつてどこかにあった蓋という小国が舞台のファンタジー。タイトルの「天盆」とは縦横12マスの盤上で繰り広げられる盤戯のことで、取った手駒が使えるなど日本将棋に似たゲームです。この天盆というゲームの設定もマニアックで面白い。そしてこの国では天盆が国を治める人物を見極め登用する手段にもなっているのです。
一家が住むのは隣国との国境近い東塞の南街、家族は百楽門食堂を営む少勇と静の夫妻に13人の子供たち、上から一龍、二秀、三鈴、四鈴、五鈴、六麗、七角、八角、九玲、十偉、士花、王雪、凡天。ちなみに士、王はその字形から天盆の11マス目12マス目のこと。一応の主人公はとにかく天盆が大好きで天賦の才能を開花させる10歳になる末っ子の凡天ですが、家族はじめ彼を取り巻く周りの人々みんなが主人公かも。
盆塾に入れてもらえない凡天と二秀の師となる翁は無峰。東塞の代表を決める東盆陣のライバルは李空、帳君、懐円、紅英、永涯ら。その覇者は東西南北の代表が集う都の天盆陣に登陣します。しかし凡天の躍進を抑えこまんと百楽門食堂が狙われる。混乱の中を六麗が、十偉が、九玲が駆けぬけ、少勇が微笑む。そして繰り広げられる天盆陣。テンポよく進む物語はまるで痛快な劇場映画を観ているよう。さあ夢物語をみんなで読みましょう。
(文庫化前のレビューをこちらに移植。元の投稿日:2016.12.13) 続きを読む投稿日:2018.04.26
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雨の日も神様と相撲を
城平京 / 講談社タイガ
二本足で相撲を取るカエルの新技なんて、普通は考えつきません。
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最終第5章の怒涛の展開にびっくり。中学生の思考とはとても思えない主人公の文季、こいつ何者。神話的ファンタジーの世界だと思っていたら、何事も理詰めで解釈する彼にかかるとサイエンス・フィクション (SF)… だった。私にとってのSFは「少し不思議」のほうだったんだけど、これは本当のサイエンス・フィクション。ミステリーのほうは、無くても作品は成立していたし私には蛇足感がありました。
結局何が言いたいのかというと、びっくりするほど面白かった。 続きを読む投稿日:2018.04.24