
一人称単数
村上春樹
文春文庫
ハルキらしさ
8作からなる短篇小説集。 これはエッセイでなくて小説なの?という作品(『「ヤクルト・スワローズ詩集」』)も含まれているし、作者の趣味嗜好が色濃く反映された作品が多いように思った。 文体もすぐ作者と分かるもの。 それでも、どの作品も飽きさせないし、特に『品川猿の告白』が面白かった。
0投稿日: 2023.06.14
黒革の手帖(上下)合本版(新潮文庫)
松本清張
新潮文庫
因果応報
何度もドラマ化されているのは知っているけど、幸いなことに観たことがなく、ストーリーも知らなかったので、凄く楽しめた。 時代背景が古く、分量もあるけど、全く飽きることなく、惹き込まれた。 地味なOLだった主人公が悪知恵を働かせてのし上がっていくのも、逆に騙されていくのも、どちらも痛快だった。 因果応報ということかな。
0投稿日: 2023.06.10
能面検事
中山七里
光文社文庫
能面だけど魅力的
今度は、感情を一切表さない能面検事か。 作者らしく、キャラやストーリー展開が素晴らしく、最後まで飽きさせない。 能面で本当なら感情移入できないはずが、どんな圧力にも屈しない姿勢を貫くことで魅力的な検事になっている。
0投稿日: 2023.05.11
検事の信義
柚月裕子
角川文庫
佐方貞人シリーズ第4弾
佐方貞人シリーズ第4弾。 佐方検事の組織の理論に屈せずに、真実を追求する真摯な姿勢に魅力を感じるけど、今作では特に上司の筒井副部長の懐の深さに感心した。 『正義を質す』には、『虎狼の血』シリーズのヤクザ組織とヤクザが出てきたどころか、日岡秀一まで出てきて、驚いた。 読者サービスの点もあるんだろうけど、正直なくてもよかったと思う。
0投稿日: 2023.04.30
世界は密室でできている。
舞城王太郎
講談社文庫
もう一つ入り込めず
作者の作品は初めて。 新聞のコラムで推薦されていたのを読んで、興味を持って購入。 奇想天外な展開で、それはそれで面白いのだけど、少年を主人公にしたためと思われる文体が今一しっくりこなくて、なかなか入り込めなかった。
0投稿日: 2023.04.24
検事の死命
柚月裕子
角川文庫
佐方貞人シリーズ第3弾
佐方貞人シリーズ第3弾。 前作同様、佐方が若手検事の時の話(中短編集)。 人情噺といってよい「業をおろす」も良かったけど、やはり最後の「死命を賭ける」と「死命を決する」の連作に惹き込まれた。 人間の感情を丁寧に描写できる作者の力量を感じた。
0投稿日: 2023.04.20
復讐の協奏曲
中山七里
講談社文庫
御子柴礼司シリーズ第5作
悪辣弁護士・御子柴礼司シリーズ第5作。 今度は御子柴弁護士事務所の事務員が被告人に、 しかも事務員の意外な御子柴との関係が明らかになる、という展開でぐいぐい惹き込まれる。 裁判事件の真相は途中で予想がついたけど、これだけでは終わらず、最後の最後で驚かせてくれるのは作者の真骨頂。
0投稿日: 2023.04.12
暴虎の牙 下
柚月裕子
角川文庫
『孤狼の血』シリーズ完結編
『孤狼の血』シリーズ完結編ということで、前作『凶犬の眼』より後の話と思ったら、死んだはずの大上が出てきて驚いた。 第1作の数年前と第2作から随分経った時の話になっていて、前者は大上が、後者は日岡が絡んでくるが、今作の主人公は愚連隊の沖だね。 沖とその周辺の人間模様に大上や日岡が絡んできて、惹き込まれるし、最後の展開も面白かったけど、これで『孤狼の血』シリーズが完結というのは、しっくりこないなぁ。
0投稿日: 2023.04.05
毒島刑事最後の事件
中山七里
幻冬舎文庫
前作より面白かった
『作家刑事毒島』に続く、毒島シリーズ第2作。 毒島が作家になる前の話で、いったん刑事を辞めるいきさつが描かれる。 前作は文芸界の自虐ネタをコミカルに描いていて、それはそれで面白かったけど、今作は主人公の毒舌刑事が事件を解決していく話としては同じだけど、各エピソード(事件)が線で繋がっているうえ、真相も一捻りしてあって、ミステリとして前作よりも読みごたえがあって面白かった。
0投稿日: 2023.03.19
疾風ロンド
東野圭吾
実業之日本社文庫
軽快
今まで読んだ作者の作品(有名どころ数作)の中では、いい意味で軽みがあって、ユーモアも満載で凄く読みやすかった。 いきなり主人公級が亡くなってどうなるんだと思ったけど、その後の展開も面白かったし、読後感も良かった。
0投稿日: 2023.03.08
