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thutomuさんのレビュー
いいね!された数32
  • その日のまえに

    その日のまえに

    重松清

    文春文庫

    残される方が辛いかな

    「その日」(死)の前後の物語。 その日を迎える人も、その日を迎える人の家族も辛いよね。 僕は、残される方が辛いと思うけど。 切ない話が続くけど、短編集と思っていたら、登場人物がつながるのはうまいと思った。

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    投稿日: 2017.05.05
  • キッチン

    キッチン

    吉本ばなな

    幻冬舎

    切ない

    吉本ばななは、無料で配信された時に読んだ掌編『HOLY ホーリー』と朝日新聞で連載されていた『ふなふな船橋』しか読んだことがなくて、どちらも「悪くないね」(無料で読むには十分面白い)という感想だったけど、積極的に他の作品を読んでみようとまでは思っていなかった。 でも、この作品を3行読んだだけで、「これ、好きだな」と思った。 文章やそこから醸し出される雰囲気が凄く好きな感じだった。 読み進めていくと、文章だけじゃなくて、ストーリーも登場人物の台詞も好きでどんどん惹き込まれていった。 とにかく、“切ない” ストーリーも登場人物もちょっとした描写も。 随所にユーモアもあるんだけど、それが一層切なさを引き立てているね。 本当に読んでいる間も、読み思わった後も心の中が切なさで一杯になった。 切なさを感じさせるものは、文学でも音楽でも大好きなので。 大好きな作品の一つになった。

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    投稿日: 2017.03.14
  • 羊をめぐる冒険

    羊をめぐる冒険

    村上春樹

    講談社文庫

    前2作よりも好きかな

    「初期三部作」と言われているものの3作目。前2作と比べ、物語として話の筋が通っているので分かりやすいし、面白かった。 羊をめぐる不思議な話は嫌いじゃないというか、かなり好みではあるけれど、正直言って最後の顛末はあれって感じだったなぁ。 ただ、ラストは悪くないというか、かなり好き。

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    投稿日: 2017.02.26
  • 1973年のピンボール

    1973年のピンボール

    村上春樹

    講談社文庫

    デビュー作よりも好きかな

    村上春樹のデビュー2作目。 という情報を持って、デビュー作の『風の歌を聴け』に続けて読んだ。 デビュー作に似ていると思ったけど、デビュー作よりも整理されているように感じて、面白かった。 ただ、二人のエピソードが交互になっていて、接点がないわけではないけど、最終的に交差するわけでもないのは、個人的な好みとしては、すっきりしない。 全般的に「僕」のエピソードが好きだった。 4点にしたけど、若干3点寄りかな。

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    投稿日: 2017.01.02
  • 風の歌を聴け

    風の歌を聴け

    村上春樹

    講談社文庫

    ハルキストにはなれないかな

    「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」が凄く面白くて、これはやっぱり村上春樹をもっと読まないとなぁと思って、次に読んだ作品。 期待が大きかった分もあると思うけど、正直それほどは響かなかった。 デビュー作なので著者も発展途上ということもあると思うけど、それでも文体やエピソードは村上春樹にほかならない。 ただ、(もちろん意図してそうなっているんだと思うけど)物語が断片的に感じてそこが自分の好みでなかったのかなぁ。 と言っても、つまらなかったわけではなくて、ところどころはとても面白いと感じた。 村上春樹の作品をもっと読んでみたいという気持ちはちっとも変っていないし。 5段階評価なので星の数は3点になっているけど、実際は3.5点というところ。

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    投稿日: 2016.12.07
  • 氷点シリーズ 全4冊合本版

    氷点シリーズ 全4冊合本版

    三浦綾子

    角川文庫

    まごうことなき名作

    昔、北海道に旅行に行ったときにバスガイドさんが『氷点』のあらすじを紹介してくれて、面白そうだな、読んでみたいなと思ったけど、月日が流れて、ようやく読むことができた。 期待以上の面白さだった。登場人物それぞれの性格や考え方がすごくよく分かって、それぞれに感情移入しちゃうし、物語にぐいぐい惹き込まれていった。 特に、『氷点』については、緊張感が半端なくてたまらなかった。不朽の名作の名に嘘偽りはないね。 あえて言えば、『続 氷点』の方は、えっ、この人も、あの人も出てくるのということで、若干ジェットコースタードラマのように感じたけど、それでも夢中になって読んだことには変わりはないね。

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    投稿日: 2016.11.24
  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

    色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

    村上春樹

    文春文庫

    ハルキストではないけれど

    村上春樹の作品は読んで面白いと思ってきたけど、決してハルキストというわけではなくて、長編で読んだことがあるのは『ノルウェイの森』しかなかった(ノンフィクションの『アンダーグラウンド』を除く。)んだよね。 そんな僕だけど、これは本当に面白くて、ぐいぐい惹き込まれた。 凄く読みやすいし(これは村上春樹の才能によるものだと思う。)、ちょっと不思議なエピソードも交じっている(これは僕好み)けど、全然難解ということはなくて、単純に(というとやや語弊はあるけど)楽しめる作品になっていると思うな。 もっと村上春樹の作品を読んでみたいと思ったし、僕もハルキストになるかもしれないなぁ(笑) ただ、読書は電子版をスマホで読むということに慣れてしまったので、過去の作品も電子版化してくれると嬉しいんだけど。

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    投稿日: 2016.06.16
  • 清須会議

    清須会議

    三谷幸喜

    幻冬舎

    ちょうど「真田丸」を観ているので

    三谷幸喜脚本でちょうどその時代を舞台にした大河ドラマの「真田丸」を毎週観ているので、興味を持って読んだ。 「真田丸」も現代語を盛り込んだ台詞になっていて、一部批判も浴びているみたいだけど、この作品では、「現代語訳」と書いてあるのだから、これなら文句も出ないね(笑) 現代語だからこそ、各人の思惑や感情がストレートに伝わってきて、人間味が溢れていて面白い娯楽作品になっているんだね。 歴史小説に興味がなくても、十分楽しめるんじゃないかなぁ。

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    投稿日: 2016.05.05
  • ジョーカー・ゲーム

    ジョーカー・ゲーム

    柳広司

    角川文庫

    読み物として面白い!

    ミステリーとか普段は余り読まないし、特別な先入観や知識なしに読んだんだけど、とにかく読み物として面白くて、あっという間に読んでしまった。 「D機関」の設定や結城中佐のキャラクターもよくできている。 特定の主人公はおらず、D機関の設定の中でいくつかの物語ができているので、もっといろんな物語が書けるんじゃないかな。 続編があれば、是非読んでみたい。

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    投稿日: 2016.02.17
  • マリアビートル

    マリアビートル

    伊坂幸太郎

    角川文庫

    エンターテイメント!

    『グラスホッパー』の方が物語としてはよくできていたと思うけど、とにかく理屈抜きに楽しめる。 ぶっそうな殺し屋の対決の話なのに、キャラの立った登場人物が皆生き生きとしていて魅力的! 個人的は、王子と七尾が好きだったな。 くすっと笑えるところもあるし、とにかく飽きさせない。 『グラスホッパー』の登場人物も登場して、にやっとしてしまうし。 『グラスホッパー』を読んでなくても十分楽しめると思うけど、読んでればなお楽しめるかなぁ。 最高のエンターテイメント!

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    投稿日: 2016.01.24