パドラッパさんのレビュー
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このユーザーのレビュー
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1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録
尾身 茂 / 日経BP
矢面に立つべきは尾身さんたちで無かったはず
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初っ端から専門家組織の独立性が無いことの問題を見せつけられる。その後も会議さえ開催できないことなどから、岩田健太郎さんらが早くから提言されていた「CDC相当の組織」の価値も浮き彫りになる(米国CDCが…理想形ではない)。その制約の中で著者らが精一杯されたのだけれど、根本的な食い違いとリスコミの失敗が最後まで尾を引いたのが悔やまれる。そして、うまく矢面から逃げきった政府がまともに総括しないのも見えてしまうのが辛い。 続きを読む
投稿日:2023.11.08
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免疫学者が語る パンデミックの「終わり」と、これからの世界
小野昌弘 / 筑摩書房
1年前の本だが、全く古くなっていない
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コロナ禍が生んだ分断を具体的で様々な「わたし」を照らし出すことによって落ち着かせ、免疫学の知見を背景にパンデミックの様相を丁寧に解き明かして現状と今後を語っていく。記憶細胞とワクチンの仕組みについての…解説がとても良かった。今後も流行は無くならないが、手に入れた知見と道具を使いこなし備えれば医療逼迫を抑えパンデミックを飼い慣らせる社会へ向かえる。それには特に保健当局のモニタリングと準備が必要だと説く。しかし、そこに大きな問題があったのが日本だと思うので、少々つらい思いも残る。 続きを読む
投稿日:2023.11.04
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鵺の政権 ドキュメント岸田官邸620日
朝日新聞政治部 / 朝日新書
状況追従主義の実態を活写
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岸田政権の動向を追って報道するだけでは取りこぼすものが多いと感じた記者らの反省から生まれた1冊。妖怪「鵺」に喩えたのはメディアや野党でなく自民党の幹部だという。
政策の拘りのなさや独断専行の数々や人…事の迷走etc.から国政を勘でやっているように私は感じていたが、近くで取材していてもそうらしい。そして肝心な勘も悪いことが支持率にも現れていると思う。後半の識者3氏インタビューは危機対応への不安で一致。読み進めるほどにやるせなさの積もる本でした。 続きを読む投稿日:2023.10.31
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月刊星ナビ 2023年11月号
星ナビ編集部 / 星ナビ
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腸よ鼻よ 10
島袋全優 / KADOKAWA
完結できたことが何重にも嬉しい作品
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沖縄を出て(姉と)自立し始めるまでが前巻。もういい加減「健康体」だよねと思いきや、本作の連載を呪うような出来事が次々とマンガみたいに起こりつつ(GANMA!リアタイはハラハラでした)、単行本化→連載完…遂して大団円。
おまけで「その後の全優」が語られ、楽しそうだけど無理しないでと思う一方、青春を謳歌してほしい。
素晴らしい作品でした。 続きを読む投稿日:2023.09.22
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おいしいベランダ。 亜潟家のポートレート
竹岡葉月, おかざきおか / 富士見L文庫
読み終えて、サブタイトルを見て泣きそうです
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シリーズが10巻で終了したあと、番外編の第2弾。前は書籍特典メインのSS集でしたが、今回は「その後」の書き下ろしでした。
表紙から既に幸せが伝わってきますが、あの2人にお子さんが産まれます。出産準備…や保活、そして新生活のはじまりをしみじみと楽しみました。チリトマの自作にチャレンジしたくなってきて、どうしよう。 続きを読む投稿日:2023.09.12