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レビューネーム未設定さんのレビュー
いいね!された数132
  • 空声

    空声

    こがわみさき

    電撃G'sマガジン

    透明感のある世界

    独特の空気感のある作品。ちょっと不思議なストーリーとかわいい絵柄が好き。 連作短編なので、主人公は違っても世界が共通していて、そこらじゅうに隠れている伏線や他短編のキャラを探すのも楽しい。 何度も読み返したくなる。

    0
    投稿日: 2013.11.01
  • ちはやふる(1)

    ちはやふる(1)

    末次由紀

    BE・LOVE

    かるたは青春を懸けるに値する競技

    どんな分野であれ才能を開花させている人は輝いて見える。 それまではお姉ちゃんの輝きに見とれているばかりだった千早は、新と出会ってはじめて、かるたという分野で自分の輝きを見つける。 でもやっぱりかるたなんて地味でダサくて、お姉ちゃんのモデルデビューの前にはかすんでしまう。千早には一大事なのに、周りにとっては取るに足りないことで、せっかくの初めての賞状もナチュラルにないがしろにされてしまうのが胸に痛い。 それでも千早には同じ世界を夢見る仲間がいて、一心不乱にかるたのことを考えていられる。 そんな風に青春をかけられるものが一生のうちにいくつあるだろう。 夢を追ったことのある人ならこの情熱がわかるはず。昔を思い出して、胸が締め付けられるような気持ちになった。おすすめ。 あと、おまけマンガが面白い。

    2
    投稿日: 2013.10.28
  • 南極点のピアピア動画

    南極点のピアピア動画

    野尻抱介

    ハヤカワ文庫JA

    先生なにやってんすかw

    自分も表紙で買うのを躊躇していたクチ。「太陽の簒奪者」「沈黙のフライバイ」は非常に楽しめたけど、クレギオンシリーズはあまり合わなかったし、キャラ先行だったらどうしよう…と思っていたのですが。 読み終えてみるとしっかりSFしていて大満足。 突飛な発想でありながら、登場人物が普通に身近にいそうなリアリティを持っていて、「ひょっとしたらすぐにでも実現できるんじゃ?」と思わされる。知識だけではない、技術に裏打ちされた、地に足の着いたSFという印象。 蜘蛛が宇宙へのカギになるというのはありそうなことで、昆虫なら環境変化にも強いだろうし、しかも遺伝子組み換えなどなしで選択的淘汰だけでやってのけてしまうのがすごい。 こんな未来、来たらいいなあ。

    3
    投稿日: 2013.10.21
  • 天冥の標 II 救世群

    天冥の標 II 救世群

    小川一水

    ハヤカワ文庫JA

    医療ミステリとしても秀逸

    SF作品である「天冥の標」シリーズの第二作。遠未来を描いた一作目とはうってかわって、現代が舞台。 南の島で未知のウイルスによるアウトブレイクが発生。原因の特定、治療法の探求、患者群の社会的立場の変遷等が描かれる。 華麗な手術などは出てこないが、医療系SFが好きな人にはぜひ読んでもらいたい。 ひとつの作品として完成していながら、シリーズ全体の中でも重要な要素というか、おおきなターニングポイントになっている。 シリーズの中では今のところこれが一番面白かった。 重要なエピソードではないけれど、イギリスの大規模アウトブレイク制圧の過程がかっこいい!

    1
    投稿日: 2013.10.21
  • 図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1)

    図書館戦争 図書館戦争シリーズ(1)

    有川浩

    角川文庫

    最後までノンストップ!

    スピード感のある文章、向こう見ずで正義感の強い主人公、書籍の検閲をめぐる図書隊とメディア良化機関との攻防など、とにかく途中で目が離せない! 銃犯罪が起こるのは銃を規制しないから、猟奇殺人を起こした犯人が残酷な漫画やゲームを好んでいた、だから規制しよう。 そうした論調と、作中のメディア良化委員会による検閲は同根のもので、それに対して検閲に抵抗する図書隊は「良いものも悪いものも斟酌せず、読み手に判断を委ねる」というスタンス。 その主張を守るためには武力も必要だが、相手を傷つけることについて開き直ったり美化したりしない、そうした点に図書隊の姿勢が表れている。 シリーズ後半になるほどラブコメ成分多目で、少女マンガは苦手な自分だが、主人公がアホの子だからか(?)かえって愉快に読み進められた。 シリアスとコメディのバランスが絶妙だからこんなに読みやすいのかも。

    4
    投稿日: 2013.10.19
  • MM9

    MM9

    山本弘

    創元SF文庫

    もしも世界に怪獣がいたら…?

    非常にライトで読みやすい。人物描写もキャラが立っているというか、ライトノベル風味。 地震に使われる指標M(マグニチュード)を応用してMM(モンスター・マグニチュード)としたり、「怪獣がいない世界では怪獣による被害が自然災害による被害になっていたりするかもね」という多重人間原理などを出してきたり、既存の理論を組み合わせて独自の世界観を作り上げている。 ゆえに、ひょっとしたらこんなパラレルワールドがあるかもしれないと考えさせられた。 この「法則が生み出す世界」というのがまさしくSFだなあと思う。

    6
    投稿日: 2013.10.19
  • 聖☆おにいさん(1)

    聖☆おにいさん(1)

    中村光

    モーニング・ツー

    ゆるゆる時々シュール。

    一話が短いショートショートのようなギャグ。宗教を題材にこんな漫画が描けるのは日本人だけだなーと思った。 家事万能のオカンみたいなブッダと、天然で自称ジョニーデップ似のイエスのキャラクターが愉快。 宗教は詳しくないので時々謎のネタがあるけど、めっちゃ面白い。詳しい人ならさらに面白いだろうなー。

    2
    投稿日: 2013.10.19
  • 七人の敵がいる

    七人の敵がいる

    加納朋子

    集英社文庫

    ラストが痛快!

    女なら、母親なら、社会で生活していれば…、ややこしい人間関係にイライラすることがあると思う。 主人公陽子は有能であるがゆえに、人一倍周りと合わせるのが苦痛で、自分の力を恃みに問題解決を図ろうとする。だけど能力があるだけではなんともならないのが人間世界のしがらみというもの…めんどくさっ! タイトルにふさわしく七章構成で、それぞれに敵が登場し、時には力ずくで、時には搦め手で、そうした面倒くさいいざこざの対処に当たっていく。 他人との立場や考え方の違いでどうしても揉め事は起きてしまう。すぱっと切り捨ててしまえれば楽なのだけれど、そうもいかない。 昨日の敵は今日の友、という風にうまくはいかないけれど、最終的になかなかの落とし所を見つけてしまう展開に「なるほど!」と感心してしまった。

    1
    投稿日: 2013.10.19
  • 王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ 1

    王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ 1

    大河原遁

    スーパージャンプ

    題材が渋い

    弱冠の天才職人がスーツで人生のお悩みを解決しちゃうよ、的なストーリー。 でも主人公礼賛になっているわけじゃなく、浪花節のような台詞回しや、金よりやりがい的な職人気質が渋くて粋を感じさせる。 スーツは着ないのだけれど、読めば読むほど味わい深く知識も増える。 野球のルールはわからないけれど面白く読める野球漫画の紳士服バージョン、みたいな。 話が進むごとに登場人物もどんどん増えていって、その人間関係もまた面白い。

    2
    投稿日: 2013.10.19
  • この空のまもり

    この空のまもり

    芝村裕吏

    ハヤカワ文庫JA

    日本人としての心がきゅっとなる

    ネット上の架空政府をまとめるニートが主人公。悪性タグを消してこの空を守る。 現実と妄想がミックスされたような世界観・文体が好きだ。ガンパレードマーチが好きな人ならたぶん好きになれると思う。 昨今の近隣国との関係が不安定になる中、他国からの電子的な攻撃に実力で反撃するという、戦争賛成? と思わせるような始まりだけど、読み進めていくと、人種・国籍・文化関係なく鷹揚に受け入れるのが日本人だったよなあと思わされる。 自衛隊に文句を言う人がいて、「そういう人たちも守るのが自衛隊です」と答えたエピソードを彷彿とする。 ゆるい文章、読みやすい。難解なこねくりまわしたような設定もない。 みんな仲良く、いいじゃないか。

    0
    投稿日: 2013.10.12