
ちはやふる(22)
末次由紀
BE・LOVE
思わず叫んだラスト!
また良い所で続くなあ! と思わず叫んでしまった。 素晴らしくドキドキして、残りページ数をにらみながら読み進めた。楽しくて読み終わるのがもったいなくて仕方がなかった。 大舞台に立つ主役と、彼ら彼女らを支える人々の思いがそれぞれあって、誰を贔屓にしていいやら迷ってしまう。 そしてどシリアスな場面をことごとく壊していく周防名人の笑いの才能がツボ。 早く続きが読みたい!
2投稿日: 2014.03.27
昭和元禄落語心中(1)
雲田はるこ
ITAN
変わり者だからこそ素敵な人々
落語、文楽、歌舞伎…そういったものを扱っている作品が好きだ。理由は簡単、カッコイイからだ。 こういう今は廃れたもの、流行でないものに励もうとする人はおおむね独自のプライドや生き方を持っている。その道を定めている姿勢が格好いいのだ。 この作品の中でヒロイン(?)が「女になんか生まれたくなかった」と嘆く。女は噺家になれない。しかし、彼女の勤め先の女将はそれを馬鹿だねと笑うのだ。 「生まれちまったらそれが定めさ」と。 男女平等というのは、それぞれの世界に踏み入って肩を並べることではなく、適材適所に在って凛と立つことなのだなあと思う。男の世界に踏み入るときにも、男になろうとはせずに女として生きるべきなのだと。 とにかく男も女もカッコイイのがこの作品の魅力なのだ。
12投稿日: 2014.03.25
宇宙兄弟(23)
小山宙哉
モーニング
今までで最高のドキドキ感
ついに夢が始まった。みんなが宇宙に飛び出していく。 登場人物の誰もがワクワクしていて、読んでいるこっちも胸が高鳴るようだった。せりかと絵名の過去のエピソードに涙し、彼女らが宇宙に出る日がついに訪れたことをうれしく思った。 だから仲間の夢の実現を自分の事のように喜ぶムッタに共感できた。 ムッタの夢も早くかなうと良いなあ。
5投稿日: 2014.03.24
天冥の標 VII 新世界ハーブC
小川一水
ハヤカワ文庫JA
待ちに待った最新刊
この巻で色々な謎が解けて、ようやく1巻とつながった。 けれどまだまだ残された謎、新たに現れる疑問、これからの展開への不安などがいっぱいで、本当にあと3巻で終わるのか? という感じ。 これを読み終えて、また全巻読み返し始めた。伏線が理解できるようになって、読めば読むほど新しい面白さが生まれてきた。 早くも次巻が楽しみ。なかなか出ないんだよなあ…
2投稿日: 2014.02.28
天地の朱 : 1
林ふみの
Comic ZERO-SUM
知名度は低いが、良作。
ホラー+サスペンス+ファンタジー? 少女マンガっぽい絵柄だが、ダークな感じのする作品。 売れないフリーライター荒木が、事件現場で偶然手に入れた青い玉。それは人間を人でないものへと変えてしまうものだった。 時を同じくして荒木の元に届いた一通の手紙。それはかつて好きだった相手、小川からのものだった。 過去の楽しかった思い出や逃げ出してきた苦い思い出、弱くて醜い人間の抱えるやるせなさなどが、印象的な台詞で展開される。 読んでいてきりきりと切なくなるような話。決して明るくはなく、救いもない。だけど惹きつけられる。 小野不由美に似た読み味かもしれない。リーダーでは2巻までしかでていないのが残念。
0投稿日: 2014.02.06
俺物語!! 1
アルコ,河原和音
別冊マーガレット
シュールギャグ…ではない。
ついに買ってしまった。少女マンガにしてはあまりに異色な表紙に興味を惹かれてはいたのだけど… おもしろい。 主人公の親友もヒロインも美男美女なのに、主人公はごついおっさんのようで、しかし同じ画面におさまっていてもなぜか違和感がなくてすごい。 シュールギャグかと思いきや(その要素ももちろんあるけれど)正統派の少女マンガ。主人公の人柄が良すぎて、普通に素敵なヒーローのように思えてくるから不思議。 恋愛描写が潔いから、かゆくならずに読めた。すごいなあ。
3投稿日: 2013.12.28
ちはやふる(21)
末次由紀
BE・LOVE
原田先生、熱い!
いくつになっても目標に向かって邁進し続ける原田先生がかっこいい! 名人になるという夢のために周りを巻き込んで、周りも引きずられて熱くなって、読んでるこっちも熱くなった。 この漫画の登場人物はそれぞれが違うスタンスでありながら真剣なのがいいなあと思う。 貪欲でわがままだけど、そういう人間のほうが輝けるんだな。
1投稿日: 2013.12.28
復活の地1
小川一水
ハヤカワ文庫JA
危機を乗り越えるのは一人の力ではできない
地震からの復興という地味ながら力のあるテーマのシリーズ全3巻。 舞台が地球でないので一瞬おや? と思ったが、物語の根幹にかかわる重要な理由があることが後に判明して納得。 星間文明的に周辺諸惑星より劣ったレンカを舞台に、主人公セイオが地震からの復興のために奔走するのだが、これでもかとばかりに次々と難題が起こる。 利権やら財源やら外交やら人権問題やら、実際の災害でもそうなんだろうなと思わされる問題があり、さらに自分勝手でばらばらの民衆を束ねることのなんと難しいことか。 それらを乗り越え、さらに襲い来る災害を最小限の被害に抑えるための策が功を奏するときには実にすっきりする。しかし、それを成功させても主人公は報われない、日陰者のままなのだ。 縁の下の力持ちのおかげで世界は回っている。読み終わって、姿は見えない人々に感謝の気持ちを抱いた。
4投稿日: 2013.11.15
第六大陸1
小川一水
ハヤカワ文庫JA
質実剛健な宇宙開拓物語
月に行く。そのためにどうすれば良いかをとても丁寧に描いている。 たとえば「宇宙兄弟」などのように、努力して選ばれた人間が月に行くとストーリーも燃えるのだけれど、この作品は一般人が海外旅行へ行くように気軽に月へ行く時代の到来を目指している。 これまでの安価な宇宙旅行といえば軌道エレベーターが一般的だったが、本書ではロケットエンジンに細工を施すことで新たな道を切り開いている。 選ばれた人間でなくても宇宙に行ける時代が実現するかもしれない。そう思えた。 全2巻でコンパクトながら着実にステップをクリアしていって読み応えたっぷりだった。
4投稿日: 2013.11.15
アンブロークン アロー 戦闘妖精・雪風
神林長平
ハヤカワ文庫JA
思弁SFの最高傑作
前2作からスタイルがかなり変わって、戦闘シーン等の描写より、人物の内面やジャムの正体に深く切り込んでいる。 「我思う故に我あり」という言葉がしっくり来る世界観。 派手な戦闘や科学を用いることなく観念的な世界を構築していて、それまでの自分の世界観がくるりと裏返るような驚きに満ちていた。 素晴らしいSF。
2投稿日: 2013.11.15
