麗しの聖母ひょうさんのレビュー
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成りあがり
矢沢永吉 / ぴあ
10,000円のエピソードに涙
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今や日本のロック界に燦然と君臨する矢沢永吉。
その矢沢が、日給2,000円のアルバイトに行く話が泣ける。
5日働いて、10,000円。
バイト先に事情を話して、それだけ払ってもらった。
その1万円札を…、苦しい生活に耐えている妻に渡したかった。
が、出来なかった。
帰りのバス代60円がなかったのである。
小銭まじりの金を渡した時、妻がワンワン泣いたという。
その涙をみて、
「くそ! 絶対にビッグになってやる」
と改めて発奮したという。
本書は、
高邁な理想と非凡な才能とともに、
こうした小さな、でも実感あるエピソードが各所に描かれ
きれいごとでない「成り上がり」ストーリーとなっている。
「成り上がり」とは、すなわち
小さな膨大な努力の上に建つ華やかな楼閣なのだと
矢沢が教えてくれる。
昭和時代に書かれた本だか、
古さを全く感じさせない内容である。
続きを読む投稿日:2015.09.10
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イニシエーション・ラブ
乾くるみ / 文春文庫
3度読んでみて下さい
1
にぶい私は、
1度目に読んだ時、
「かわいいラブストーリーだな」
と思いこみ、
最後の1行まで、意味がわかりませんでした。
わかった時のあの驚き、
え、こういう意味でいいのかな?という疑問。
で、そ…のまま慌てて2度目の読書に突入し
「あああああ、そーゆーこと!」
と、やっと
ネットの書評で評判が高い理由に納得しました。
そして、少し時間をあけて
3度目に読んだ時、
主人公の女性に対して、
また少し違う感想を持ちました。
もし、友達だったなら
やっぱり、ちょっと
肩を抱いてあげたいような気がしました。
ネタバレになるから、
こんなレビューしか書けませんが・・・
それにしても、これを映画化とは、
いったい、どんな風に作ったのでしょう?
にぶい私は、きっと
前売券を2枚買う必要があるでしょう。
続きを読む投稿日:2015.05.10
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恍惚の人
有吉佐和子 / 新潮文庫
「老人問題」を描いて、今なお新鮮
3
作品発表から30年以上の時を経ても、まったく色あせない名作。
老人問題だけでなく、女性の自立や介護問題にも
作者の鋭い視線が行き届いている。
突然、84歳の舅と同居することになる主人公夫婦。
しかも…、その舅は認知症だった。
そして、この老人はこう描写される。
「恍惚として、夢を見ているようだ」
と。
老いとは何か、
それは本当に「ボケて」「老残をさらすだけ」なのか、
作者は時に冷たく、時にやさしく
老いた男の最期を描いていく。
最後の最後のシーンで、
主人公夫婦の長男(高校生)が
母親にこう言う。
「ママ、もう少し生かしておいてもよかったね」
この言葉、こうして読むと
「何と、ひどい!」と思われるだろうが、
実はそんな感じはしない。
では、どんなニュアンスなんだ?
そう思われた方は、本書をご一読されたし。
特に、45歳以上の方
(そろそろ親の介護が頭をよぎる世代)は
読んでみて損はありません。
続きを読む投稿日:2014.11.04
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脂肪と言う名の服を着て[完全版] 上巻
安野モヨコ / FEEL COMICS
かっこいい彼はデブ女が好き?
6
普通のマンガなら
「彼氏に痩せろと言われて」
みたいなきっかけでダイエットが始まるのだが、
この話は、まったく逆。
主人公(のこ)の彼・斎藤くんは
のこがダイエットしていると聞いて逆上し、
「もっと…食え! 俺は太っているのこが好きなんだ!」
と、主人公の口に無理やり食べ物を突っ込む過激さである。
なぜ、彼がそうなったのか、その問題はここではおいておくが。
こんな不安定な関係で、
職場でも問題をかかえた主人公は
食生活のコントロールもめちゃくちゃになり
痩せたり太ったり、体型までも不安定になっていく。
美味しく食べ過ぎて太るならともかく、
泣きながら菓子を食べて太っていく姿は
かわいそうで、でも歯がゆくて、
「あーっ、もう」と言いそうになる。
それは誰が悪いのか?
痩せてきれいになったら、人生は変わるのか?
そして彼女は救われたのか?
けっこう重いコミックで
「読後感がさわやか」とは、お世辞にも言えないが
ダイエットに悩む人は、一読の価値ありと思う。
続きを読む投稿日:2013.11.24
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食えなくなった弁護士・会計士・税理士 週刊東洋経済eビジネス新書No.28
週刊東洋経済編集部 / 週刊東洋経済eビジネス新書
どの仕事でも同じでしょう
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その仕事でも
「できる奴は売れ、できない奴は消える」
は共通であり、
それが、今まで一番お偉かった「士業」にまで
及んできたという話である。
確かに相続税申告などでは
相続税案件を毎年何件か手がけて…いる税理士と
経験が浅い税理士では、
申告書の出来栄えに大きな差がつくのは
周知の事実である。
これから依頼しょうという方は、注意されたし。
続きを読む投稿日:2013.11.24
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浅田真央はメイクを変え、キム・ヨナは電卓をたたく フィギュアスケートの裏側
生島淳 / 朝日新書
ソチオリンピックまでに読んでおこう
3
浅田真央選手が、2010年のバンクーバー五輪で敗れたのは
フリーの演技で、ジャンプにミスが出たから・・・
それだけが真の原因ではないと書く衝撃の1冊。
なぜ、女子の有力選手はトリプルアクセルを跳ばな…いのか?
それは、採点システムの仕組みに大きな原因があるということが
本書に詳しく書かれている。
タイトルは、女子選手の名前だが
他の内容では、
なぜ、バンクーバーで4回転を決めたプルシェンコは、
4回転を回避したライサチェクに敗れたのか?
など、男子選手の話題も入っており、
読み応えがある。
内容的には、2011年までだが
今読んでも、古さはまったく感じない。
また選手だけでなく、コーチや振付師
(タラソワ、モロゾフ、オーサー)といった人たちの略歴も
詳しく書いてあり、
「へー!」と思う箇所がいっぱい。
それにしても、フィギュアの採点はこんなにも奥が深いのか?
あえて書くならば
「フィギュアスケートに関しては、
ソチ五輪は、もう、始まっている」
のだということが、本書を読めば実感できる。
ソチ五輪開幕までに読みたい1冊だと思う。 続きを読む投稿日:2013.11.24